【実施例】
【0042】
次に試験例等を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の試験例等に限定されるものではない。また、以下の試験例において、特に記載がない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0043】
<酵素剤>
以下の試験例において使用した酵素剤を、表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
<小麦粉及び小麦麦芽の乾燥重量当たりのタンパク質含有量>
以下の試験例において使用した小麦粉及び小麦麦芽の、ふすま(胚芽、果皮)の含有の有無、及び乾燥重量当たりのタンパク質含有量を、表2に示す。小麦粉は、いずれも日清製粉社のものを使用した。これらの小麦粉及び小麦麦芽は、学名がTriticum aestivumであるコムギから調製されたものである。
【0046】
【表2】
【0047】
<小麦粉及び小麦麦芽の粒度分布>
以下の試験例において使用した小麦粉及び小麦麦芽について、粒度分布を調べた。具体的には、各小麦粉を、5枚の篩(No.1〜5)が重ねられた振動篩器(製品名:Laboratory Sifter DLKP、BUHLER社製)にかけ、各篩の篩上残量(%)及び篩下量(%)を測定した。測定結果を表3に示す。また、当該測定結果から算出された目幅が0.125mmである篩(No.5)で篩い分けした場合の当該篩の篩上残量及び篩下残量を表4に、目幅が0.25mmである篩(No.4)で篩い分けした場合の当該篩の篩上残量及び篩下残量を表5に、それぞれ示す。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
[試験例1]
4種類の小麦粉を用いて仕込工程を行い、調製されたマイシェの濾過適性を調べた。
まず、5gの小麦粉(薄力粉、強力粉、全粒薄力粉、又は全粒強力粉)及び45gの大麦(穀物原料の小麦粉の使用比率:10%)を200mLの水に混合し、さらに80μgのα−アミラーゼ剤(穀物原料比:0.16%)、25μgのプロテアーゼ剤(穀物原料比:0.05%)、58μgのβ−グルカナーゼ剤A(穀物原料比:0.116%)、及び10μgのリパーゼ剤(穀物原料比:0.02%)を添加した。当該混合物を、50℃で30分間、次いで64℃で50分間、次いで78℃で10分間という温度条件で加温し、マイシェを調製した。得られたマイシェを、ガラスフィルターを敷いたブフナー漏斗を用いて濾過し、濾過開始からの経過時間(以下、濾過時間)(分)ごとの総濾過量(g)を測定した。ガラスフィルターは、アドバンテック社のGA−55(直径90mm)を用いた。ブフナー漏斗は、外径108mm、全長158mm、足径22mm、容量300mLのものを用いた。測定結果を表6に示す。
【0052】
【表6】
【0053】
この結果、薄力粉を用いた試験1−1及び強力粉を用いた試験1−2は、60分間かけて徐々に濾過されていったのに対して、全粒薄力粉を用いた試験1−3及び全粒強力粉を用いた試験1−4では、濾過開始から30分ほどで濾過量はほぼプラトーに達していた。すなわち、全粒粉では、胚乳のみが精粉されたものよりも、濾過遅延が改善されていた。
【0054】
[試験例2]
穀物原料として、25gの小麦粉(強力粉、全粒粉D、又はグラハム粉)及び25gの小麦麦芽を用いた以外は、試験例1と同様にして、マイシェを調製し、かつ得られたマイシェを濾過し、濾過時間ごとの総濾過量を測定した。測定結果を表7に示す。
【0055】
【表7】
【0056】
この結果、強力粉を用いた試験2−1は、60分間かけて徐々に濾過されていったのに対して、全粒粉Dを用いた試験2−2及びグラハム粉を用いた試験2−3では、濾過開始から30分ほどで濾過量はほぼプラトーに達していた。すなわち、全粒粉及びグラハム粉のほうが、強力粉よりも濾過適性が良好であることがわかった。
【0057】
[試験例3]
仕込釜に、50kgの水、17kgのコーンスターチ及び2kgの大麦麦芽を添加して混合し、さらに22gのα−アミラーゼ剤を添加した。当該混合物を50℃から70℃に昇温後、70℃で10分間、次いで100℃で30分間という条件で加温した。一方、仕込槽に、53kgの水、4kgの小麦粉(全粒強力粉、又はグラハム粉)及び17kgの大麦麦芽(穀物原料の小麦粉の使用比率:10%)を添加して混合し、さらに、30gのα−アミラーゼ剤、32gのプロテアーゼ剤、及び15gのβ−グルカナーゼ剤Aを添加した。当該混合物を、50℃で90分間加温後、仕込釜で調製したマイシェと混合し、次いで64℃で50分間、次いで78℃で10分間という温度条件で加温し、マイシェを調製した。得られたマイシェを濾過槽へ移し、差圧(mmH
2O)、濾液の濁度(ppm)、及び濾過流量(L/分)を測定しながら濾過した。濾過槽の仕様及び差圧、濁度、流量の測定機械を下記に示す。濾過時の差圧は500mmH
2O(約5kPa)以下が望ましく、1000mmH
2Oを超えると濾過が中断する設定であった。
【0058】
ロイター形状:直径525mm、高さ1275mmの円筒形状。
網板:縦70mm、横0.8mmのスリットが、縦90mmごと、横5.5mmごとに設けられている。
圧力計器(差圧):DB50(桜エンドレス社製)
濁度計器:インライン光度計TF56(OPTEK社製)
流量計器:KID80B/mgg10C(山武社製)
【0059】
【表8】
【0060】
測定結果を表8に示す。表8中、「試験3−1」は全粒強力粉を用いた結果であり、「試験3−2」はグラハム粉を用いた結果である。試験3−1では、濾過開始から直ちに差圧が急激に上昇し、濾過時間25分の時点では既に1000mmH
2Oを超え、濾過が中断した。これに対して、試験3−2では、濾過時間25分まで差圧が生じず、その後の差圧の上昇も緩やかであり、濾過流量が低減することはなかった。これらの結果から、全粒強力粉(目幅が0.125mmである篩で篩い分けした場合の篩上残量:32.1%)よりも、より粒度の粗いグラハム粉(目幅が0.125mmである篩で篩い分けした場合の篩上残量:93.9%)を用いた場合のほうが、大型麦汁濾過槽を用いた大量濾過における濾過遅延がより改善されることがわかった。
【0061】
[試験例4]
仕込槽に、160kgの水と、21kgの小麦粉(強力粉、全粒強力粉、全粒粉D、又はグラハム粉)及び19kgの小麦麦芽(穀物原料の小麦粉の使用比率:50%)を添加して混合し、さらに64gのα−アミラーゼ剤(穀物原料比:0.16%)、28gのプロテアーゼ剤(穀物原料比:0.07%)、120gのβ−グルカナーゼ剤A(穀物原料比:0.3%)、及び32gのリパーゼ剤(穀物原料比:0.08%)を添加した。当該混合物を、試験例3と同じ温度条件で加温し、マイシェを調製した。得られたマイシェを濾過槽へ移し、差圧、濾液の濁度、及び濾過流量を測定しながら濾過した。濾過槽の仕様及び差圧、濁度、流量の測定機械は、試験例3と同様である。
【0062】
差圧の測定結果を
図1に、濁度の測定結果を
図2に、濾過流量の測定結果を
図3に、それぞれ示す。
図1〜3中、「試験4−1」は強力粉を用いた結果であり、「試験4−2」は全粒強力粉を用いた結果であり、「試験4−3」は全粒粉Dを用いた結果であり、「試験4−4」はグラハム粉を用いた結果である。試験4−1及び4−2では、濾過開始から直ちに差圧が急激に上昇し、濾過時間10分の時点では既に1000mmH
2Oを超え、濾過が中断した。これに対して、試験4−3及び4−4では、濾過時間15分又は25分まで差圧が生じず、その後の差圧の上昇も緩やかであり、濾過流量が明らかに低減することはなかった。これらの結果から、目幅が0.125mmである篩で篩い分けした場合の篩上残量が35%以下である強力粉及び全粒強力粉よりも、当該篩上残量が50%以上である全粒粉D及びグラハム粉のほうが、大型麦汁濾過槽を用いた大量濾過における濾過遅延がより改善されることがわかった。また、濾過遅延改善効果は、試験4−3よりも4−4のほうが大きかったことから、濾過遅延改善効果は、より粒度が粗い(すなわち、目幅が0.125mmである篩で篩い分けした場合の篩上残量が大きい)小麦粉のほうが高いことがわかった。
【0063】
[試験例5]
仕込槽に、160kgの水と、21kgの小麦粉(グラハム粉)及び19kgの大麦麦芽(穀物原料の小麦粉の使用比率:50%)を添加して混合し、さらに64gのα−アミラーゼ剤(穀物原料比:0.16%)、20gのプロテアーゼ剤(穀物原料比:0.05%)、80gのβ−グルカナーゼ剤A(穀物原料比:0.2%)、及び12gのリパーゼ剤(穀物原料比:0.03%)を添加した。当該混合物を、試験例3と同じ温度条件で加温し、マイシェを調製した。得られたマイシェを濾過槽へ移し、差圧、濾液の濁度、及び濾過流量を測定しながら濾過した。濾過槽の仕様及び差圧、濁度、流量の測定機械は、試験例3と同様である。
【0064】
【表9】
【0065】
測定結果を表9に示す。この結果、濾過時間20分まで差圧が生じず、その後の差圧の上昇も緩やかであり、濾過流量が明らかに低減することはなかった。また、濁度も充分に低かった。これらの結果から、グラハム粉を、使用比率が50%になるように用いた場合に、大型麦汁濾過槽を用いた大量濾過において濾過遅延が生じないことがわかった。
【0066】
[試験例6]
仕込槽に、2320kgの水と、300kgの小麦粉(グラハム粉)及び280kgの小麦麦芽(穀物原料の小麦粉の使用比率:50%)を添加して混合し、さらに1856gのα−アミラーゼ剤(穀物原料比:0.32%)、2900gのプロテアーゼ剤(穀物原料比:0.5%)、1740gのβ−グルカナーゼ剤A(穀物原料比:0.3%)、及び464gのリパーゼ剤(穀物原料比:0.08%)を添加した。当該混合物を、試験例3と同じ温度条件で加温し、マイシェを調製した。得られたマイシェを濾過槽へ移し、差圧、濾液の濁度、及び濾過流量を測定しながら濾過した。濾過槽の仕様及び差圧、濁度、流量の測定機械を下記に示す。
【0067】
ロイター形状:直径1650mm、高さ2000mmの円筒形状。
網板:縦70mm、横0.8mmのスリットが、縦90mmごと、横5.5mmごとに設けられている。
圧力計器(差圧):AP102JACNAADAJ(東芝社製)
濁度計器:インライン光度計TF16(OPTEK社製)
流量計器:KID10BY−0025PL11SV−1X(山武社製)
【0068】
【表10】
【0069】
測定結果を表10に示す。この結果、濾過時間40分まで差圧の上昇はほとんど観察されず、その後の差圧の上昇も緩やかであり、濾過流量が明らかに低減することはなかった。また、濁度も充分に低かった。これらの結果から、グラハム粉を、使用比率が50%になるように用いた場合に、3000Lもの大量濾過において濾過遅延が生じないことがわかった。
【0070】
[試験例7]
仕込槽に、160kgの水と、30.5kgの小麦粉(グラハム粉)及び9.5kgの小麦麦芽(穀物原料の小麦粉の使用比率:75%)を添加して混合し、さらに64gのα−アミラーゼ剤(穀物原料比:0.16%)、80gのプロテアーゼ剤(穀物原料比:0.2%)、120gのβ−グルカナーゼ剤A(穀物原料比:0.3%)、及び32gのリパーゼ剤(穀物原料比:0.08%)を添加した。当該混合物を、試験例3と同じ温度条件で加温し、マイシェを調製した。得られたマイシェを濾過槽へ移し、差圧、濾液の濁度、及び濾過流量を測定しながら濾過した。濾過槽の仕様及び差圧、濁度、流量の測定機械を下記に示す。
【0071】
ロイター形状:直径808mm、高さ1000mmの円筒形状。
網板:縦70mm、横0.8mmのスリットが、縦90mmごと、横5.5mmごとに設けられている。
圧力計器(差圧):EJX213J−DMS0G−910DN−EC2−WE1−P(YOKOGAWA社製)
濁度計器:インライン光度計TF56(OPTEK社製)
流量計器:AXF025H(YOKOGAWA社製)
【0072】
【表11】
【0073】
測定結果を表11に示す。この結果、濾過時間20分まで差圧の上昇はほとんど観察されず、その後の差圧の上昇も緩やかであり、濾過流量が明らかに低減することはなかった。また、濁度も充分に低かった。これらの結果から、グラハム粉の使用比率が75%の場合に、穀物原料として全て小麦由来物の場合であっても、大量濾過における濾過遅延を改善し得ることがわかった。
【0074】
[試験例8]
仕込槽に、160kgの水と、30.5kgの小麦粉(グラハム粉)及び9.5kgの大麦麦芽(穀物原料の小麦粉の使用比率:75%)を添加して混合し、さらに64gのα−アミラーゼ剤(穀物原料比:0.16%)、40gのプロテアーゼ剤(穀物原料比:0.1%)、100gのβ−グルカナーゼ剤A(穀物原料比:0.25%)、及び14gのリパーゼ剤(穀物原料比:0.35%)を添加した。当該混合物を、試験例3と同じ温度条件で加温し、マイシェを調製した。得られたマイシェを濾過槽へ移し、差圧、濾液の濁度、及び濾過流量を測定しながら濾過した。濾過槽の仕様及び差圧、濁度、流量の測定機械は、試験例3と同様である。
【0075】
【表12】
【0076】
測定結果を表12に示す。この結果、濾過時間20分まで差圧が生じず、その後の差圧の上昇も緩やかであり、濾過流量が明らかに低減することはなかった。また、濁度も充分に低かった。これらの結果から、グラハム粉を、使用比率が75%になるように用いた場合に、大型麦汁濾過槽を用いた大量濾過において濾過遅延が生じないことがわかった。
【0077】
[試験例9]
仕込槽に、160kgの水と、40kgの小麦粉(グラハム粉)(穀物原料の小麦粉の使用比率:100%)を添加して混合し、さらに800gのα−アミラーゼ剤(穀物原料比:2%)、200gのプロテアーゼ剤(穀物原料比:0.5%)、120gのβ−グルカナーゼ剤A(穀物原料比:0.3%)、及び32gのリパーゼ剤(穀物原料比:0.08%)を添加した。当該混合物を、試験例3と同じ温度条件で加温し、マイシェを調製した。得られたマイシェを濾過槽へ移し、差圧、濾液の濁度、及び濾過流量を測定しながら濾過した。濾過槽の仕様及び差圧、濁度、流量の測定機械は、試験例7と同様である。
【0078】
【表13】
【0079】
測定結果を表13に示す。この結果、濾過時間20分まで差圧はほとんど生じず、その後の差圧の上昇も緩やかであり、濾過流量が明らかに低減することはなかった。これらの結果から、グラハム粉を用いた場合には、使用比率が100%であっても、大型麦汁濾過槽を用いて大量濾過可能であることがわかった。
【0080】
[試験例10]
試験例4で製造した麦汁(試験4−4:グラハム粉の使用比率は50%)、試験例7で製造した麦汁(試験7−1:グラハム粉の使用比率は75%)、試験例9で製造した麦汁(試験9−1:グラハム粉の使用比率は100%)、及び大麦100%の麦汁からそれぞれ常法により煮沸、麦汁冷却、発酵、貯酒、濾過、充填工程を経て調製したビールテイスト飲料(ビール類)、並びに市販の小麦ビール類について、ホルダチンA含有量及びポリフェノール含有量を測定した。
大麦100%麦汁は、次のようにして調製した。まず仕込槽に、160kgの水と40kgの粉砕大麦を添加して混合し、さらに64gのα−アミラーゼ剤、100gのプロテアーゼ剤、48gのβ−グルカナーゼ剤A、及び16gのリパーゼ剤を添加した。当該混合物を、試験例3と同じ温度条件で加温し、マイシェを調製した。得られたマイシェを濾過槽にて濾過して麦汁を得た。
【0081】
各ビール類のホルダチンA含有量を測定した。具体的には、まず、各ビール類に対して15分間の超音波処理を行ってガス抜きした後、水で5倍希釈し、得られた希釈液を、0.5μmメンブランフィルターにて濾過した後、HPLC分析に供した。HPLCの条件を下記に示す。0.2%TFA(トリフルオロ酢酸)溶液及び0.2%TFA含有メタノール溶液は、それぞれ、適当量の超純水又はメタノールを添加しておいた1L容メスシリンダーに2mLのTFAを添加した後、超純水又はメタノールで1Lにメスアップすることにより調製した。
HPLC条件;
移動相A:0.2%TFA溶液
移動相B:0.2%TFA含有メタノール溶液
流速:0.3mL/min
グラジエント条件: 移動相B濃度5%(0min)→移動相B濃度40%(40min)→移動相B濃度50%(60min)→移動相B濃度70%(70min)
カラム:Inertsil ODS−4(4.6×150mm、3μm)、40℃
カラム:ZORBAX SB−C18(4.6×150mm、1.8μm)、40℃
検出波長:300nm
注入量:20μL
【0082】
ホルダチンAの標準溶液の分析結果から作成された検量線に基づいて、HPLC分析で得られたチャート中のホルダチンAのピーク面積から、ビール中のホルダチンA含有量を算出した。検量線作成には、ホルダチンAの濃度既知の4種類の標準溶液(ホルダチンA濃度:0.9、1.9、2.8、及び3.8ppm)を用いた。各標準溶液は、10mL容メスシリンダーに、4.7mg/mLのホルダチンA標準品の溶液を0.1、0.2、0.3、又は0.4mL添加し、さらに0.01mLのギ酸を添加した後、水で10mLにメスアップすることにより、調製した。
【0083】
また、各ビール類の総ポリフェノール含有量を、三価鉄イオンとポリフェノールの反応による比色法(「改訂BCOJビール分析法」、1998年、8.19総ポリフェノール参照。)により測定した。具体的には、10mLのガス抜き後のビール類と8mLのCMC/EDTA試薬(0.2%EDTAを含有するCMC(カルボキシメチルセルロース)−ナトリウム塩の1%溶液)を混合した後、0.5mLの三価鉄試薬(3.5gのクエン酸鉄(III)アンモニウムを100mLの蒸留水に溶かしたもの)を添加し、充分に混合した。次いで、当該混合液に0.5mLのアンモニア試薬(濃アンモニア水(d=0.92g/mL)を2倍容の蒸留水で希釈した溶液)を添加して完全に混合した後、蒸留水で25mLに調整し、再度充分に混合した。当該混合液を10分間静置した後、セル幅10mmのセルを用いて、600nmの吸光度を測定した。吸光度測定のブランクとして、三価鉄試薬を添加していないブランク溶液を用いた。当該ブランク溶液は、具体的には、10mLのガス抜き後のビール類と8mLの前記CMC/EDTA試薬を混合した後、0.5mLの前記アンモニア試薬を添加して完全に混合した後、蒸留水で25mLに調整し、再度充分に混合し、得られた混合液を10分間静置することにより、調製した。
下記式(1)により、吸光度から各ビール類の総ポリフェノール量を求めた。式(1)中、「P」は総ポリフェノール含有量(mg/L)であり、「A」は600nmの吸光度である。
式(1): P=A×820
【0084】
【表14】
【0085】
測定結果を表14に示す。試験4−4、試験7−1、及び試験9−1は、ホルダチンA含有量及びポリフェノール含有量のいずれも、市販の小麦ビール類及び大麦100%麦汁から調製したビール類よりも非常に少なかった。これらの結果から、試験4−4、試験7−1、及び試験9−1の麦汁から調製したビール類からは、市販の小麦ビール類よりも遥かにホルダチンAとポリフェノールの含有量が少なく、渋・雑味が少ないビール等が製造できることがわかった。
【0086】
[試験例11]
試験例9で製造した麦汁(試験9−1:グラハム粉の使用比率は100%)に直接炭酸ガスを加えて、ノンアルコールビールを製造した(試験11−1)。当該ノンアルコールビールと、市販の小麦ノンアルコールビールのホルダチンA含有量を測定し、比較した。ホルダチンA含有量の測定は試験例10と同様にして行った。測定結果を表15に示す。市販品には14.3ppmものホルダチンAが含まれていたのに対して、試験11−1は、ホルダチンAが含まれていないか、又は検出限界値未満の極微量にしか含まれていなかった。
【0087】
【表15】
【0088】
[試験例12]
25gのグラハム粉及び25gの小麦麦芽(穀物原料の小麦粉の使用比率:50%)を200mLの水に混合し、さらに表16に示すように各種酵素剤を添加した。当該混合物を、試験例1と同じ温度条件で加温し、マイシェを調製した。得られたマイシェを、試験例1と同様にして濾過し、濾過開始からの経過時間(以下、濾過時間)(分)ごとの総濾過量(g)を測定した。測定結果を表17に示す。
【0089】
【表16】
【0090】
【表17】
【0091】
この結果、αーアミラーゼ剤の添加量をふった試験例12−1〜3はいずれも濾過量に大きな相違はなかった。プロテアーゼ剤の添加量をふった試験例12−4〜6も、互いに濾過量に大きな相違はなかった。一方で、リパーゼ剤が無添加の試験例12−10は、リパーゼ剤を添加した試験例12−11及び12よりもやや濾過が遅くなっていた。リパーゼ剤の添加量が異なる試験例12−11と12では、濾過量に大きな相違はなかった。また、βーグルカナーゼ剤Bが無添加の試験例12−7は、βーグルカナーゼ剤Bを添加した試験例12−8及び9よりも明らかに濾過が遅延していた。βーグルカナーゼ剤Bの添加量が異なる試験例12−8と9では、濾過量に大きな相違はなかった。これらの結果から、βーグルカナーゼとリパーゼが特に濾過性に影響を及ぼすことがわかった。
【0092】
[試験例13]
45gのグラハム粉及び5gの小麦麦芽(穀物原料の小麦粉の使用比率:90%)を200mLの水に混合し、さらに表18に示すように各種酵素剤を添加した。当該混合物を、試験例1と同じ温度条件で加温し、マイシェを調製した。得られたマイシェを、試験例1と同様にして濾過し、濾過開始からの経過時間(以下、濾過時間)(分)ごとの総濾過量(g)を測定した。測定結果を表19に示す。
【0093】
【表18】
【0094】
【表19】
【0095】
4種の酵素剤のいずれにおいても、無添加のものよりも添加したもののほうが、濾過性が良好であった。特に、αーアミラーゼ剤及びβーグルカナーゼ剤Aでは、添加量が多いほど、濾過性が改善される傾向が観察された。これらの結果から、βーグルカナーゼ剤及びリパーゼ剤に加えて、αーアミラーゼ剤及びプロテアーゼ剤も、濾過性に影響を及ぼすことがわかった。
【0096】
[試験例14]
50gのグラハム粉(穀物原料の小麦粉の使用比率:100%)を200mLの水に混合し、さらに表20に示すように各種酵素剤を添加した。当該混合物を、試験例1と同じ温度条件で加温し、マイシェを調製した。得られたマイシェを、試験例1と同様にして濾過し、濾過開始からの経過時間(以下、濾過時間)(分)ごとの総濾過量(g)を測定した。測定結果を表21に示す。この結果、αーアミラーゼ剤及びプロテアーゼ剤の添加量を増大させるにつれて、濾過性がより改善される傾向が観察された。
【0097】
【表20】
【0098】
【表21】
【0099】
[試験例15]
最終製品たるビールテイスト飲料の味に対する、穀物原料の組成の影響を調べた。
まず、200L水に、40kgの穀物原料を添加した。酵素剤として、64〜800gのα−アミラーゼ剤(穀物原料比:0.16〜0.2%)、28〜200gのプロテアーゼ剤(穀物原料比:0.07〜0.5%)、80〜120gのβ−グルカナーゼ剤A(穀物原料比:0.2〜0.3%)、及び12〜32gのリパーゼ剤(穀物原料比:0.03〜0.08%)を穀物原料の使用比率に応じて適宜調整して添加した。穀物原料は、使用比率が表22に示す値になるように配合したものをそれぞれ用いた。
当該混合物を、試験例1と同じ温度条件で加温し、マイシェを調製した。得られたマイシェに60gのホップを加えて、100℃で60分間煮沸した。煮沸完了後(加熱終了後)濾過を行い、透明な麦汁(濾液)を得た。濾過はいずれも問題なく実施できた。得られた麦汁に、液汁1mLあたり25×10
6個の泥状酵母を接種し、10℃で168時間発酵を行った。得られた発酵液を、−1℃で7日間熟成(後発酵)させた。得られた発酵液を、キャンドルフィルターを用いて珪藻土濾過を行い、酵母及びタンパク等を除去し、ビールテイスト飲料を得た。
【0100】
試験例10と同様にして、得られたビールテイスト飲料のホルダチンA含有量及びポリフェノール含有量を測定した。また、これらのビールテイスト飲料について、10名の専門パネルにより、渋味及び雑味についての官能検査を行った。評価は、1〜5の5段階(渋味・雑味をほとんど感じない場合を1とし、非常に強く感じる場合を5とした。)で行った。測定結果及び評価結果を表22に示す。
【0101】
【表22】
【0102】
この結果、大麦の使用比率が高くなるほど、ホルダチンA含有量及びポリフェノール含有量が高くなり、渋味及び雑味が強くなることが確認された。特に、小麦由来物(小麦粉及び小麦麦芽)の使用比率が75%以上の場合には、ホルダチンA含有量が4ppm以下、かつポリフェノール含有量が100ppm以下となり、渋味、雑味評点が低かった。