【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を有する送給装置および請求項15の特徴を有する成形機により達成される。有利な改良点は、従属請求項に記されている。
全ての請求項の文言は、参照により本明細書に援用される。
【0010】
請求項に記載の発明によると、ローラテンションシステムは、送給ローラの回転軸に対して心出しされ、ねじ山部分とこのねじ山部分に比べて幅広である頭部部分とを有するテンションねじを有する。
テンションねじは、テンション工具を導入するために非円形係合断面形状を有し頭部側に向かって開放している空間を有する。
【0011】
ねじ山部分は、送給シャフトの端部側内部ねじ山に嵌合してテンションねじを送給シャフト内に螺入することができるようにされている。ねじ山部分との関係において軸方向にオフセットされている頭部部分は、送給シャフト上に送給ローラをねじ締めするのに役立つ。
【0012】
本出願では中央テンションねじとも呼ばれている、テンションねじは、送給ローラと送給シャフトとの間の連結の、オペレータにより作動される唯一のテンション要素であり得る。別途作動させる必要のあるさらなるテンション要素は不要であり、好ましくは同様に具備されてもいない。
したがって、送給ローラを交換するためには、オペレータは、単にそれぞれテンションねじを緩め、送給ローラを別の送給ローラと交換し、テンションねじを締め直すかまたは固く締め付けるだけでよいかもしれない。
そのため、送給ローラの交換は大幅に簡略化され、わずかな時間しか必要とされない。テンションねじを固く締め付け、緩めるためには、空間の非円形係合断面形状と整合する非円形係合断面形状を有し頭部側に向かって開放した空間内に嵌合する部分を有する1つのテンション工具しか必要とされない。
【0013】
テンションねじとテンション工具との間の回転不可能な連結は、頭部側に向かって開放する空間により実施されることから、頭部部分はその形状に関して、前記頭部部分の他の機能を目的として最適化されてよい。
詳細には、テンション工具とテンションねじとの間の回転係止連結の信頼性は、非円形係合断面形状を有する空間の形状および深さによって最適化され得ることから、頭部部分は比較的平担であってよい。
詳細には、例えば、テンションねじの頭部部分を円形−円筒形の円周方向面により画定して、空間領域を除いて頭部部分を回転対称に設計できるようにすることが可能である。
そのため、テンションねじの締め付け中の張力の極めて一様な分布を達成することができる。
【0014】
好ましい実施形態において、空間は、内六角形空間として形成される。そのため、テンションねじの締め付け時に外部六角形断面を有する市販のテンション工具を用いて、非常に高いトルクまたは締め付けトルクをそれぞれ達成することが可能である。
しかしながら、他の非円形係合断面形状も同様に可能である。
開放空間は、内部五角形断面形状、内部正方形断面形状、内部多重歯形断面形状、または例えば任意には交差スロットを有するスロット付き断面形状を有していてよい。
【0015】
頭部側に向かって開放している空間は、ねじ山部分の領域内に突出する程度に非常に深いものであってよい。そのため、高いトルクでも高い信頼性で容易に伝達できる。
【0016】
1つの改良によると、空間はテンションねじ内を軸方向に通過する貫通空間として形成されることが規定されている。そのため一方では、係合断面形状上に充分な力伝達面を得るための充分な深さを空間に与えることができる。
さらに、連続した貫通空間によって、送給シャフトの自由端部の中央領域に対する直接的なアクセスが提供される。
数多くの送給装置の場合、送給シャフトの潤滑箇所に潤滑油を供給するために役立つ潤滑用ニップルがそこに存在する。こうして、テンションねじが締まっている時に、潤滑用ニップルを介した潤滑油の導入を実施することができる。
【0017】
1つの改良によると、テンションねじは、(テンションねじの軸と平行に測定した場合の)頭部部分の高さが、ねじ山部分の直径よりも小さい平頭テンションねじとして形成されている。
このタイプの平担な頭部部分は、送給シャフトから離れるように面する送給ローラの側面上に比較的わずかな設置空間しか必要としないことから、必要な場合には、カメラまたは別の付属部品を送給ローラの比較的近くに設置しそこに嵌合させることができる。
そのため、カメラベースの測定システムを用いて非常に短いばねでさえその製造を監視して、とりわけカメラシステムの測定結果に基づいて前記製造を任意に制御する潜在的可能性が提供される。
一部の実施形態において、頭部部分の高さはねじ山部分の直径の50%未満であり、このため、平頭テンションねじの全体的形状は、他の用途向けに提供される多くのテンションねじの形状と著しく異なっている。
【0018】
平頭テンションねじとしての形成は、詳細には、テンションねじが、頭部側に向かって開放する空間を有し、前記空間がテンション工具を適用するのに充分であることにより可能になる。
【0019】
一部の実施形態において、頭部部分の(最大)直径は、ねじ山部分の直径の少なくとも2倍である。こうして頭部部分は、その高さと比べて、それぞれ、比較的幅広または平面的な広がりを有していてよい。
ねじ締めされた状態で、このタイプの幅広の頭部部分は、必要とされる場合、送給ローラの外部側面上に直接、すなわち詳細にはスペーサディスクなどが間に配置されることなく担持されてよく、こうして張力をこの外部側面に伝達することができる。
【0020】
頭部部分のねじ山部分に面する内部側面は、平面的で、前記内部側面が送給ローラの同様に平面的な外部側面上に広い面積にわたり担持され得るようになっていてよい。
しかしながら、頭部部分の内部側面上に半径方向に内側の平担な空間を具備して、ねじ山部分の方向に突出する包囲環状担持部が頭部部分の外周上に形成されるようにすることが有利である場合がある、ということが立証されてきた。
そのため、テンションねじの締め付けの間の張力が、半径方向に外側の環状担持部の領域内の接触面による全面的な伝達が達成され、そのため、極めて信頼性の高いトルク伝達および極めて信頼性の高い係合がそれぞれ支援されるかもしれない。
【0021】
環状担持部は、円周方向に閉鎖されていてよいが、これは義務的ではない。
前記環状担持部は、1つまたは複数の環状セグメントで形成され、円周方向でこれらのセグメント間に離隔距離が存在してよい。
一般に、それぞれ比較的小さい面積の複数の担持面または担持ゾーン、例えば正確に3つの担持面が、全円周上に分布するように形成されていてよい。
必要な場合には、力の分布がこの影響を受けてよい。
【0022】
ある実施形態では、送給ローラが嵌合状態にある場合に、テンションねじの頭部部分とこの頭部部分に面するそれぞれ送給ローラの側方面または外部面との間に少なくとも1つの内部部分を介して配置されているスペーサディスクを特徴とする。
スペーサディスクを用いて、テンションねじにより生成された張力を広い面積にわたり分布させることが可能であり、そのため、テンションねじと送給ローラとの間に改良された摩擦係止を達成できる。
【0023】
従来のスペーサディスクと類似の形で、スペーサディスクは円周方向で閉鎖されていてよい。すなわちスペーサディスクは、ねじ山部分を中で案内するための1つの内側貫通開口部を有するだけでよい。
スペーサディスクが、ねじ山部分を中で案内するための貫通開口部を有し、ここで一方の側面にある貫通開口部が、(円周方向に対し接線方向に測定された場合)ねじ山部分の外径より大きく頭部部分の最大直径よりも小さい開放幅を有する半径方向に連続した側方開口部へと遷移しているスペーサディスクの一変形形態が、極めて有利である。
このタイプのスペーサディスクは、テンションねじを送給ローラから完全に螺出する必要なく挿入または取外しが可能である。したがって、テンションねじは、それが部分的に送給ローラに螺入されている状態にとどまっていてよい。
【0024】
送給ローラに面するべきスペーサディスクの内部側面上に半径方向に内側の空間を具備して、包囲する突出した環状担持部が、スペーサディスクの外周上の内部側面に形成されるようにしてよい。環状担持部は、円周方向に連続していてよい。
その代り、円周方向に離隔された複数の環状セグメントまたは担持ゾーンも、特定の箇所で空間的に画定された担持領域を得る目的で形成されてよい。
一変形形態においては、3点組付けの効果を有する正確に3つの担持面または担持ゾーンが存在する。
【0025】
スペーサディスクの外周上にのみ(1つまたは複数の)担持面を具備することにより、共通の回転軸との関係においてスペーサディスクと送給ローラの間に摩擦係止を有する領域は、半径方向外向きにオフセットされ、そのため、テンションねじ/スペーサディスクと送給ローラとの間のトルクの改善された伝達を達成することができる。
【0026】
スペーサディスクは、円形または円−円弧の外部輪郭を有していてよい。ただし、これは義務的ではない。
任意には丸味のあるコーナーを有する他の外部輪郭形状、例えば多角形形状、例えば三角形、正方形または六角形も同様に可能である。
【0027】
(側方に開放または閉鎖した)スペーサディスクが使用される場合、頭部部分が送給ローラの外部側面に対して直接力を伝達できる必要はない。こうして、頭部部分は、直径が比較的小さくなるように選択されてよい。
いくつかの実施形態において、送給シャフトは、シャフトカラーとそれに隣接して送給ローラを差込むための端部側突起とを有し、送給ローラは、突起の外径より大きい内径を有する中央貫通穴を有する。
送給ローラが嵌合される場合、これは突起上に差込まれ、シャフトカラー上に担持されるまで前方に押され、このとき突起は貫通開口部内に係合する。
テンションねじの頭部部分の外径は、貫通穴の内径よりも小さく、こうしてテンションねじを完全に解除させることなく、ローラを取外すことができるようになっていてよい。
【0028】
この場合に送給ローラを交換するためには、テンションねじを完全に螺出するのではなく単に解除するだけでよいことから、頭部部分の寸法をこのように決定することは、側方に開放したスペーサディスクと併せて極めて有利である。
テンションねじが解除されている場合には、スペーサディスクは側方に取外すことができ、送給ローラは、スクリューの頭部部分を超えて外向きに引張られてよい。
このとき、別の送給ローラの嵌合は、スペーサディスクを側方に導入してテンションねじがその後締め付けられる前に、ねじの頭部部分を超えて送給ローラが最初に突起上へと押されるという点で、逆順序で実施される。
【0029】
テンションねじは、送給シャフトと送給ローラとの間の強制嵌合連結に役立ち、言及された特別な措置のいくつかはここでは、送給シャフトと送給ローラとの間の相対的回転が回避されるか大幅に妨げられるような形で、強制嵌合の改善に寄与することができる。
【0030】
一部のプロセスでは、送給ローラは、高い加速(回転速度の増大)または減速(回転速度の低下)に任意には頻繁に交番する形でさらされ、こうして専ら強制嵌合である連結をゆっくりと解除する可能性を排除することはできない。
したがって、円周方向に作用する送給ローラと送給シャフトとの間の形状嵌合を確立するための追加措置が多くの実施形態で提供されている。
【0031】
一部の実施形態において送給シャフトは、送給ローラを担持するために端部側の担持面を有するシャフトカラーを有しており、担持面を超えて突出し、回転軸との関係において偏心的に存在し、かつ送給ローラの偏心的係合穴内に導入するように寸法決定されている少なくとも1つの係合ボルトが、シャフトカラーに取付けられている。
中心軸を中心にして均一な角度的間隔を置いて分布している複数の係合ボルト、詳細には3つの係合ボルトが、一部の実施形態において具備されている。
送給ローラの嵌合および分解を容易にするために、典型的に、係合ボルトが、割当てられた係合穴との関係においてわずかに小さいサイズを有し、こうして係合ボルトの外径が係合穴の内径よりも幾分か小さく半径方向にわずかなあそびが残るようにすることが規定されている。
【0032】
これらの状況下においてもなお、送給シャフトと送給ローラの間の信頼性の高い形状嵌合を達成するために、一部の実施形態においては、テンションねじのねじ締めの時点で係合ボルトと係合穴の間に存在するあそびがことごとく除去されるような形でテンションねじをねじ締めすることによって作動可能であるあそび補償装置が具備される。
このようにして、円周方向における形状嵌合が達成でき、こうして反復的な加速と減速に続く漸進的な解除が回避される。
【0033】
あそび補償装置はテンションねじをねじ締めすることにより作動させられる。すなわち、テンションねじとは別個の作動要素は全く必要とされない。
いくつかの実施形態において、これは、あそび補償装置が、好ましくは、係合ボルト上に配置されかつその上に作用する軸力によって半径方向に拡張可能であるあそび補償要素を有しており、あそび補償装置は、あそび補償装置が緩んだ状態にあり(すなわちテンションねじが螺出されているかまたは部分的に解除されている場合など)、シャフトカラー上に送給ローラが担持されている場合に、あそび補償装置の作動部分が、シャフトカラーから離れるように面した送給ローラの側方面を超えて突出するように寸法決定されていることによって達成される。
テンションねじがその後締め付けられ、そのため緊張状態になった場合、テンションねじの頭部部分(または頭部部分と送給ローラの間に配置されたスペーサディスク)は、作動部分を圧迫し、あそび補償要素に対し軸力を及ぼし、この要素はそれに対する反作用として半径方向に拡張され、係合ボルトと係合穴の間のあそびを除去する。
【0034】
一実施形態において、なおも有効である単純な構成を有するあそび補償装置は、テンションねじが締め付けられている時に外部作動スリーブによって圧縮される弾性圧縮可能な金型成形要素を、あそび補償要素として使用することによって達成される。
金型成形要素は、例えば、弾性圧縮可能なエラストマ製のOリングであってよい。
【0035】
本発明は同様に、1つまたは複数の成形工具を有する成形装置と、材料備蓄から成形装置の領域まで細長いワーク、詳細にはワイヤまたはチューブを送給するための送給装置と、を有する成形機にも関する。
送給装置は、本出願に記載されているタイプの送給装置である。
詳細には、成形機は、ばね製造機または別のワイヤ加工機、またはチューブ折曲げ加工機であってよい。
【0036】
本発明のさらなる利点および態様は、図面を用いて以下で論述する、本発明の好ましい例示的実施形態についての以下の説明および請求項から導出される。