特許第6231621号(P6231621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6231621新規ベンゾアゼピン誘導体及びその医薬用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231621
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】新規ベンゾアゼピン誘導体及びその医薬用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 223/16 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   C07D223/16 ACSP
【請求項の数】4
【全頁数】53
(21)【出願番号】特願2016-133380(P2016-133380)
(22)【出願日】2016年7月5日
(62)【分割の表示】特願2014-554554(P2014-554554)の分割
【原出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-199575(P2016-199575A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2016年12月1日
(31)【優先権主張番号】特願2012-281908(P2012-281908)
(32)【優先日】2012年12月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000144577
【氏名又は名称】株式会社三和化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】北元 克典
(72)【発明者】
【氏名】春日井 宣慶
(72)【発明者】
【氏名】片岡 浩代
(72)【発明者】
【氏名】大澤 靖
(72)【発明者】
【氏名】久野 祐花
(72)【発明者】
【氏名】藤枝 広樹
(72)【発明者】
【氏名】酒井 啓太
(72)【発明者】
【氏名】永野 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直希
(72)【発明者】
【氏名】井土 徹
(72)【発明者】
【氏名】竹内 光明
(72)【発明者】
【氏名】車塚 大輔
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 俊行
(72)【発明者】
【氏名】原田 聡子
(72)【発明者】
【氏名】後藤 いずみ
(72)【発明者】
【氏名】浅野 幸康
(72)【発明者】
【氏名】山田 由里枝
(72)【発明者】
【氏名】岡部 守男
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5968466(JP,B1)
【文献】 特表2010−504352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D201/00−521/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(IV):
[式中、R2は、水素原子又は低級アルキル基を意味する;R3は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい低級アルキル基、又はハロゲン原子を意味する;R4は、ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、5員の芳香族単環式ヘテロ環基、又は5員の非芳香族単環式ヘテロ環基を意味する(ただし、これらのヘテロ環基は少なくとも一つの窒素原子を含有し、低級アルキル基で置換されていてもよい);R5は、水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン原子を意味する;R9は、カルボキシ基の保護基を意味する。ただし、R9がC1〜C3アルキル基である場合は除く]
で表される化合物。
【請求項2】
前記一般式(IV)において、R9が、ハロゲノ低級アルキル基、低級アルコキシメチル基、低級脂肪族アシルオキシメチル基、1−低級アルコキシカルボニルオキシエチル基、アラルキル基、ベンズヒドリル基、又はフタリジル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記一般式(IV)において、R2が、水素原子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記一般式(IV)において、R5が、メチル基又はフッ素原子である、請求項1に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品として有用な新規ベンゾアゼピン誘導体及びその医薬用途に関するものである。当該化合物は、V2受容体作動薬として様々な医薬用途を有する。
【背景技術】
【0002】
アルギニンバソプレシンは、視床下部で生合成され、下垂体後葉より分泌される9個のアミノ酸からなるペプチドである。アルギニンバソプレシンの受容体は、V1a、V1b、及びV2の3種類のサブタイプに分類され、V1a受容体は、肝臓、筋組織血管細胞、血小板、末梢組織そして中枢神経系に、V1b受容体は中枢神経系に、そしてV2受容体は腎集合管細胞に存在している。アルギニンバソプレシンはV2受容体に結合すると、腎集合管での水の再吸収を促進し、尿量を減少させる。そのためアルギニンバソプレシンが不足すると多尿を呈し、それに起因する疾患としては、中枢性尿崩症、小児の夜尿症、夜間頻尿、過活動膀胱等を挙げることができる。そのため、V2受容体作動薬はこれら疾患の予防又は治療剤として有用である。また、V2受容体作動薬は、血液第VIII因子及びフォンウィルブランド因子放出作用を有するので、出血性疾患(血友病、フォンウィルブランド病等)の治療を行うことができる。
【0003】
従来、V2受容体作動薬としてペプチドであるデスモプレシン(アルギニンバソプレシンの1位のシステインのアミノ基を削除し、8位のアルギニンをd型に変換したもの)が中枢性尿崩症、夜尿症の治療に使用されていた。しかしながら、デスモプレシンの経口剤は生物学的利用率が非常に低く、効果を得るためには高い用量が必要である。さらに、デスモプレシン製剤は高価であり、かつ、個体間での吸収のばらつきに起因する副作用の発生が懸念され、安全上必ずしも満足できるものではない。従って、生物学的利用率が高く、吸収のばらつきが小さい医薬の創製が望まれている。
【0004】
一方、チトクロムP-450(CYP)による代謝反応は、薬物の体内からの消失に主要な役割を果たしており、同じ分子種のCYPにより代謝される薬物がその代謝酵素上で競合すると、何らかの代謝阻害を受けることが考えられる。CYPが阻害されると、薬物の血中並びに組織内濃度の変動、治療効果の変化、そして重篤な副作用の発現につながることがある。従って、CYPに対する親和性が低く、酵素阻害への懸念の小さい医薬の創製が望まれている。
【0005】
これまでに、バソプレシン受容体作動作用を有する化合物として、ベンゾヘテロ環誘導体(特許文献1〜3)、ベンゾアゼピン誘導体(特許文献4〜5)、アミド誘導体(特許文献6)、ベンゾジアゼピン誘導体(特許文献7)が、バソプレシン受容体拮抗作用を有する化合物として、置換スピロベンゾアゼピン誘導体(特許文献8)が報告されているが、これらの化合物は、ベンゾアゼピンの4位の炭素上にカルボニル基を有する本願発明の化合物とは構造が異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第95/34540号公報
【特許文献2】特開平09-221476
【特許文献3】特開2000-351768号公報
【特許文献4】国際公開第97/22591号公報
【特許文献5】特開平11-60488
【特許文献6】特開平11-1456
【特許文献7】国際公開第2006/104008号公報
【特許文献8】国際公開第2005/37795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、V2受容体作動作用を有する化合物を提供すること、及び、V2受容体作動作用に基づく、中枢性尿崩症、夜尿症、夜間頻尿、過活動膀胱、血友病、又はフォンウィルブランド病の予防又は治療剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、前記の課題を解決するための手段として、新たな基本構造を有する化合物が有効であると考え、新規V2受容体作動薬の創製を目指して鋭意研究を重ねた。その結果、下記一般式(I)で表される化合物及びその塩が、非常に優れたV2受容体作動作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明によれば、一般式(I):
【化1】
[式中、R1は、水酸基、低級アルコキシ基、又は下記式:
【化2】
(式中、Aは、存在しないか又は低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基を意味する;R6は、水素原子又は低級アルキル基を意味する;R7は、水素原子、水酸基、低級アルキル基で置換されていてもよい芳香族ヘテロ環基、オキソ基で置換されていてもよい非芳香族ヘテロ環基、又は低級アルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基を意味する)
を意味する;R2は、水素原子又は低級アルキル基を意味する;R3は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい低級アルキル基、又はハロゲン原子を意味する;R4は、ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、5員の芳香族単環式ヘテロ環基、又は5員の非芳香族単環式ヘテロ環基を意味する(ただし、これらのヘテロ環基は少なくとも一つの窒素原子を含有し、低級アルキル基で置換されていてもよい);R5は、水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン原子を意味する]
で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩が提供され、これらの化合物は、本明細書中で以後「本発明化合物」と呼ぶ。以下に本発明化合物の様々な実施形態を列挙する。
【0010】
本発明の一実施形態は、前記一般式(I)において、R1が、水酸基、低級アルコキシ基、又は下記式:
【化3】
[式中、Aは、存在しないか又は低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基を意味する;R6は、水素原子又は低級アルキル基を意味する;R7は、水素原子、水酸基、低級アルキル基で置換されていてもよい芳香族ヘテロ環基、オキソ基で置換されていてもよい非芳香族ヘテロ環基、又は低級アルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基を意味する。ただし、Aが低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基であり、かつR6及びR7が共に水素原子である場合、及びAが存在せず、R6が低級アルキル基であり、かつR7が水素原子である場合は除く]
である化合物である。
【0011】
本発明の別の一実施形態は、前記一般式(I)において、R1が、下記式:
【化4】
[式中、Aは、存在しないか又は低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基を意味する;R6は、水素原子又は低級アルキル基を意味する;R7は、水素原子、水酸基、低級アルキル基で置換されていてもよいオキサジアゾール基、オキソ基で置換されていてもよいピロリジン基、又は1〜2個の低級アルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基を意味する。ただし、Aが低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基であり、かつR6及びR7が共に水素原子である場合、及びAが存在せず、R6が低級アルキル基であり、かつR7が水素原子である場合は除く]
である化合物である。
【0012】
本発明の更に別の一実施形態は、前記一般式(I)において、R1が、下記式:
【化5】
[式中、Aは、低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基を意味する;R6は、水素原子を意味する;R7は、水酸基、低級アルキル基で置換されていてもよいオキサジアゾール基、又はカルバモイル基を意味する]
である化合物である。
【0013】
本発明の更に別の一実施形態は、前記一般式(I)において、R4が、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、1〜4個の低級アルキル基で置換されていてもよいピロリジン基、1〜3個の低級アルキル基で置換されていてもよいピラゾール基、又は1〜2個の低級アルキル基で置換されていてもよいオキサゾリル基である化合物である。
【0014】
本発明の更に別の一実施形態は、前記一般式(I)において、R4が、下記の群
【化6】
[式中、R8は、水素原子又は低級アルキル基を意味する]
から選択されるいずれかの基である化合物である。
【0015】
本発明の更に別の一実施形態は、前記一般式(I)において、R4が下記の群
【化7】
[式中、R8は、低級アルキル基を意味する]
から選択されるいずれかの基である化合物である。
【0016】
本発明の更に別の一実施形態は、前記一般式(I)において、R5が、メチル基又はフッ素原子である化合物である。
【0017】
本発明の更に別の一実施形態は、前記一般式(I)において、R3が、メチル基、トリフルオロメチル基、又は塩素原子である化合物である。
【0018】
本発明の更に別の一実施形態は、前記一般式(I)において、R1が、下記式:
【化8】
[式中、Aは、低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基を意味する;R6は、水素原子を意味する;R7は、水酸基、低級アルキル基で置換されていてもよいオキサジアゾール基、又はカルバモイル基を意味する]
であり、R2が、水素原子であり、R3が、メチル基、トリフルオロメチル基、又は塩素原子であり、R4が、下記の群
【化9】
[式中、R8は、低級アルキル基を意味する]
から選択されるいずれかの基であり、R5が、メチル基又はフッ素原子である化合物である。
【0019】
本発明ではまた、前記一般式(I)で表される本発明化合物の中間体である、下記一般式(II)で表される化合物をも提供する。
【化10】
[式中、R2は、水素原子又は低級アルキル基を意味する;R5は、水素原子、メチル基、エチル基、又はハロゲン原子を意味する;R9は、水素原子又はカルボキシ基の保護基を意味する;R10は、水素原子又はアミノ基の保護基を意味する。ただし、R2及びR5が共に水素原子である場合は除く]
【0020】
本発明は更に、前記本発明化合物を有効成分とする医薬組成物をも提供する。即ち、本発明の医薬組成物は、中枢性尿崩症、夜尿症、夜間頻尿、過活動膀胱、血友病、及びフォンウィルブランド病からなる群から選択される疾患の予防又は治療のために使用される。
【発明の効果】
【0021】
本発明化合物は、優れたV2受容体作動作用を有しており、中枢性尿崩症、夜尿症、夜間頻尿、過活動膀胱、血友病、及びフォンウィルブランド病からなる群から選択される疾患の予防又は治療薬として有用である。尚、本発明の主たる化合物は、V2受容体に選択的に作用すること、また、従来知られていたV2受容体作動作用を有する化合物に比べ、薬物代謝酵素CYP3A4及びCYP2C9に対する阻害作用が低いこと、更に、溶解度、膜透過性等の医薬品としての物性面や、血漿クリアランス及び分布容積といった動態面においても優れた性質を有していることから、種々の副作用(細胞毒性、hERGやCYPに対する作用)と薬効の乖離に優れた安全でかつ有用な医薬となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明化合物について説明する。
【化11】
本発明化合物は、上記一般式(I)で表される化合物において、R1、R2、R3、R4、及びR5が以下のように定義された化合物又はその薬理学的に許容される塩である。
【0023】
R1は、水酸基、低級アルコキシ基、又は下記式:
【化12】
[式中、Aは、存在しないか又は低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基を意味する;R6は、水素原子又は低級アルキル基を意味する;R7は、水素原子、水酸基、低級アルキル基で置換されていてもよい芳香族ヘテロ環基、オキソ基で置換されていてもよい非芳香族ヘテロ環基、又は低級アルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基を意味する]
であり、これらの中で、R1は、水酸基、低級アルコキシ基、又は下記式:
【化13】
[式中、Aは、存在しないか又は低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基を意味する;R6は、水素原子又は低級アルキル基を意味する;R7は、水素原子、水酸基、低級アルキル基で置換されていてもよい芳香族ヘテロ環基、オキソ基で置換されていてもよい非芳香族ヘテロ環基、又は低級アルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基を意味する。ただし、Aが低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基であり、かつR6及びR7が共に水素原子である場合、及びAが存在せず、R6が低級アルキル基であり、かつR7が水素原子である場合は除く]
が好ましく、中でも下記式:
【化14】
[式中、Aは、存在しないか又は低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基を意味する;R6は、水素原子又は低級アルキル基を意味する;R7は、水素原子、水酸基、低級アルキル基で置換されていてもよいオキサジアゾール基、オキソ基で置換されていてもよいピロリジン基、又は1〜2個の低級アルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基を意味する。ただし、Aが低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基であり、かつR6及びR7が共に水素原子である場合、及びAが存在せず、R6が低級アルキル基であり、かつR7が水素原子である場合は除く]
が特に好ましく、その中で、Aは、低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基が好ましく、R6は、水素原子が好ましく、R7は、水酸基、低級アルキル基で置換されていてもよいオキサジアゾール基、又はカルバモイル基が好ましい。
【0024】
R2は、水素原子又は低級アルキル基であり、水素原子が好ましい。R3は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい低級アルキル基、又はハロゲン原子であり、これらの中で、メチル基、トリフルオロメチル基、又は塩素原子が好ましい。
【0025】
R4は、ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、5員の芳香族単環式ヘテロ環基、又は5員の非芳香族単環式ヘテロ環基(ただし、これらのヘテロ環基は少なくとも一つの窒素原子を含有し、低級アルキル基で置換されていてもよい)である。これらの中で、R4は、下記の群
【化15】
[式中、R8は、水素原子又は低級アルキル基を意味する]
から選択される基が好ましく、中でも下記の群
【化16】
[式中、R8は、低級アルキル基を意味する]
から選択される基が特に好ましい。
【0026】
R5は、水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン原子であり、これらの中で、メチル基又はフッ素原子が好ましい。
【0027】
特に好ましい本発明化合物は、一般式(I)において、R1が、下記式:
【化17】
[式中、Aは、低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基で、R6は、水素原子で、R7は、水酸基、低級アルキル基で置換されていてもよいオキサジアゾール基、又はカルバモイル基を意味する]
であり、R2が、水素原子であり、R3が、メチル基、トリフルオロメチル基、又は塩素原子であり、R4が、下記の群
【化18】
[式中、R8は、低級アルキル基を意味する]
から選択される基であり、R5が、メチル基又はフッ素原子である。
【0028】
尚、本願明細書においては、以下のように定義する。
「低級アルコキシ基」とは、−O−(C1〜C3アルキル)基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基等が挙げられる。
【0029】
「低級アルキル基」とは、1〜3個の炭素原子から成る直鎖状のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基等が挙げられる。
【0030】
「低級アルキレン基」とは、1〜3個の炭素原子から成る直鎖状のアルキレンを意味し、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基等が挙げられる。
【0031】
「芳香族ヘテロ環基」とは、窒素、酸素、硫黄等のヘテロ原子を少なくとも一つ含んでいる単環〜3環の芳香環基を意味し、例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、チアゾリル基、ピリミジニル基、ピラゾリル基、ピロリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、イミダゾリル基、キノリン基、キナゾリン基、プリン基、アクリジン基等が挙げられる。
【0032】
「非芳香族ヘテロ環基」とは、部分的に不飽和結合を有していてもよく、窒素、酸素、硫黄等のヘテロ原子を少なくとも一つ含んでいる3〜10員環の非芳香環基を意味し、例えば、ピロリジニル基、ピペリジニル基、アゼピニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペラジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基、インドリル基、1,2−ジヒドロイソキノリル基、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリニル基等が挙げられる。
【0033】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を意味する。
【0034】
「5員の芳香族若しくは非芳香族単環式ヘテロ環基」とは、不飽和結合を有していてもよく、窒素、酸素、硫黄等のヘテロ原子を少なくとも一つ含んでいる単環基を意味し、例えば、ピロリジニル基、チエニル基、フリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、イミダゾリル基等が挙げられる。
【0035】
「薬理学的に許容される塩」とは、一般式(I)で表される化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的又はその他の面においても不都合ではない塩を意味する。このような薬理学的に許容される塩は本発明の範囲に含まれる。薬理学的に許容される塩としては、アミノ酸との塩(例えば、リジン、アルギニン等との塩)、アルカリ金属付加塩(例えば、ナトリウム、カリウム等との塩)、アルカリ土類金属付加塩(例えば、カルシウム、マグネシウム等との塩)、有機アミン付加塩(例えば、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン等との塩)、無機酸付加塩(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等との塩)、有機酸付加塩(例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等との塩)等が挙げられる。これらの付加塩の形成反応は、常法に従い行うことができる。
【0036】
生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により前記一般式(I)に変換される場合、それらの化合物は本発明の範囲に含まれる。例えば、一般式(I)で表される化合物のR1が水酸基でカルボキシ基を形成する場合、当該カルボキシ基がエステル化(例えば、エチルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ピバロイルオキシメチル化等)又はアミド化(例えば、メチルアミド化等)された化合物等が挙げられる。また、R1で表される基が水酸基を有する場合、当該水酸基がアシル化(例えば、アセチル化、プロピオニル化、t−ブチルカルボニル化等)、アルコキシカルボニル化(例えば、メトキシカルボニル化、エトキシカルボニル化、t−ブトキシカルボニル化等)、又はスクシノイル化された化合物等が挙げられる。
【0037】
次に、本発明化合物の中間体である化合物について説明する。
【化19】
本発明化合物の中間体化合物は、上記一般式(II)で表される化合物において、R2は、水素原子又は低級アルキル基であり、R5は、水素原子、メチル基、エチル基、又はハロゲン原子であり、R9は、水素原子又はカルボキシ基の保護基であり、R10は、水素原子又はアミノ基の保護基である(ただし、R2及びR5が共に水素原子である場合は除く)。
【0038】
ここで、「カルボキシ基の保護基」とは、通常、有機合成上カルボキシ基の保護基として知られている基を意味し、(1)直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4の低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基)、(2)ハロゲノ低級アルキル基(例えば、2−ヨウ化エチル基、2,2,2−トリクロロエチル基)、(3)低級アルコキシメチル基(例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、i−ブトキシメチル基)、(4)低級脂肪族アシルオキシメチル基(例えば、ブチリルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基)、(5)1−低級アルコキシカルボニルオキシエチル基(例えば、1−メトキシカルボニルオキシエチル基、1−エトキシカルボニルオキシエチル基)、(6)アラルキル基(例えば、ベンジル、p−メトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基)、(7)ベンズヒドリル基、及び(8)フタリジル基等を例示することができる。
【0039】
また、「アミノ基の保護基」とは、通常、有機合成上アミノ基の保護基として知られている基を意味し、(1)置換または非置換の低級アルカノイル基(例えば、ホルミル基、アセチル基、クロロアセチル基、ジクロロアセチル基、プロピオニル基、フェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、チエニルアセチル基)、(2)置換または非置換の低級アルコキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基)、(3)置換または非置換の低級アルキル基(例えば、メチル基、t−ブチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、トリチル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基、ピバロイルオキシメチル基)、(4)置換シリル基(例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基)、及び(5)置換または非置換のベンジリデン基(例えば、ベンジリデン基、サリチリデン基、p−ニトロベンジリデン基、m−クロルベンジリデン基、3,5−ジ(t−ブチル)−4−ハイドロキシベンジリデン基、3,5−ジ(t−ブチル)ベンジリデン基)等を例示することができる。
【0040】
本発明化合物において、1つ又はそれ以上の不斉炭素が存在する場合、本発明は不斉炭素に基づく異性体及びそれらの任意の組合せの化合物のいずれも包含する。また、本発明化合物において、幾何異性又は互変異性が存在する場合、本発明はそれらの幾何異性体又は互変異性体のいずれも包含する。さらに、本発明化合物には、水、エタノール、イソプロパノール等の医薬品として許容される溶媒との溶媒和物も含まれる。
【0041】
本発明化合物である一般式(I)で表される化合物は、以下の反応工程式Iに示す方法、実施例に記載した方法、又は公知の方法を組み合わせた方法で製造することができる。
[反応工程式I]
【化20】
[式中、R2は、水素原子又は低級アルキル基を意味する;R3は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい低級アルキル基、又はハロゲン原子を意味する;R4は、ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基、5員の芳香族単環式ヘテロ環基、又は5員の非芳香族単環式ヘテロ環基を意味する(ただし、これらのヘテロ環基は少なくとも一つの窒素原子を含有し、低級アルキル基で置換されていてもよい);R5は、水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン原子を意味する;Aは、存在しないか又は低級アルキル基で置換されていてもよい低級アルキレン基を意味する;R6は、水素原子又は低級アルキル基を意味する;R7は、水素原子、水酸基、低級アルキル基で置換されていてもよい芳香族ヘテロ環基、オキソ基で置換されていてもよい非芳香族ヘテロ環基、又は低級アルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基を意味する;R9は、カルボキシ基の保護基を意味する]
【0042】
[工程I-1]
一般式(III)で表される化合物を適当な溶媒(例えばトルエン、塩化メチレン等)中、添加剤(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等)の存在下又は非存在下、塩素化剤(例えば、塩化チオニル、塩化オキサリル等)を用いて酸塩化物とした後、一般式(IIa)で表される化合物と適当な溶媒(例えば、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等)中、塩基(例えば、トリエチルアミン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン等)を用いて反応させることによって、一般式(IV)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分間から48時間である。尚、一般式(III)及び一般式(IIa)で表される化合物は、市販品として入手可能であるものもあるが、後述の反応工程式II〜IVの方法を用いて製造することもできる。
【0043】
[工程I-2]
「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley(1999)」に記載の方法を参考に、一般式(IV)で表される化合物の保護基R9を除去することによって、一般式(V)で表される化合物が得られる。
【0044】
[工程I-3]
一般式(V)で表される化合物と一般式(VI)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、テトラヒドロフラン等)中、添加剤(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等)の存在下又は非存在下、縮合剤(例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド等)を用いて反応させることによって、一般式(I)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分間から48時間である。尚、一般式(VI)で表される化合物は、市販品として入手可能であるものもあるが、公知の方法を用いて製造することもできる。
【0045】
反応工程式Iで出発原料として用いた一般式(III)で表される化合物は、以下の反応工程式II、IIIに示す方法、参考例に記載した方法、又は公知の方法を用いて製造することができる。
[反応工程式II]
【化21】
[式中、R3は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい低級アルキル基、又はハロゲン原子を意味する;R8は、低級アルキル基を意味する;R11は、カルボキシ基の保護基を意味する;Xは、ハロゲン原子、トリフラート、メシラート等の脱離基を意味する]
【0046】
[工程II-1]
一般式(VII)で表される化合物と一般式(VIII)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等)中、塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等)を用いて反応させることによって、一般式(IX)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分間から48時間である。尚、一般式(VII)及び(VIII)で表される化合物は、市販品として入手可能であるものもあるが、公知の方法を用いて製造することもできる。
【0047】
[工程II-2]
「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley(1999)」に記載の方法を参考に、一般式(IX)で表される化合物の保護基R11を除去することによって、一般式(IIIa)で表される化合物が得られる。
【0048】
[反応工程式III]
【化22】
[式中、R3は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい低級アルキル基、又はハロゲン原子を意味する;R8は、低級アルキル基を意味する;R11は、カルボキシ基の保護基を意味する;R12は、脱保護の際、R11と区別可能なカルボキシ基の保護基を意味する;Xは、ハロゲン原子、トリフラート、メシラート等の脱離基を意味する]
【0049】
[工程III-1]
一般式(X)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、トルエン、塩化メチレン等)中、添加剤(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等)の存在下又は非存在下、塩素化剤(例えば、塩化チオニル、塩化オキサリル等)を用いて酸塩化物とした後、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール等)と適当な溶媒(例えば、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等)中、塩基(例えば、トリエチルアミン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン等)を用いて反応させることによって、一般式(XI)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分間から48時間である。尚、一般式(X)で表される化合物は、市販品として入手可能であるものもあるが、公知の方法を用いて製造することもできる。
【0050】
[工程III-2]
一般式(XI)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等)中、添加剤(例えば、1,3−ビス(トリフェニルホスフィノ)プロパン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等)の存在下又は非存在下、一酸化炭素雰囲気下、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸セシウム等)、パラジウム触媒(例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロライド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等)を用いて反応させることによって、一般式(XII)で表される化合物が得られる。反応温度は40℃から溶媒の沸点、反応時間は30分間から48時間である。
【0051】
[工程III-3]
「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley(1999)」に記載の方法を参考に、一般式(XII)で表される化合物の保護基R12を除去することによって、一般式(XIII)で表される化合物が得られる。
【0052】
[工程III-4]
一般式(XIII)で表される化合物と一般式(XIV)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、テトラヒドロフラン等)中、添加剤(ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等)の存在下又は非存在下、縮合剤(例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド等)を用いて反応させることによって、一般式(XV)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分間から48時間である。尚、一般式(XIV)で表される化合物は、市販品として入手可能であるものもあるが、公知の方法を用いて製造することもできる。
【0053】
[工程III-5]
一般式(XV)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、塩化メチレン、テトラヒドロフラン等)中、添加剤(ジメチルスルホキシド)の存在下又は非存在下、酸化剤(例えば、デス・マーチン試薬、ピリジン−三酸化硫黄コンプレックス等)を用いて反応させることによって、一般式(XVI)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から室温、反応時間は30分間から48時間である。
【0054】
[工程III-6]
一般式(XVI)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、塩化メチレン、アセトニトリル等)中、添加剤(トリフェニルホスフィン)存在下、塩素化剤(例えば、ヘキサクロロエタン、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン等)、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、トリエチルアミン等)を用いて反応させることによって、一般式(XVII)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から室温、反応時間は30分間から5時間である。
【0055】
[工程III-7]
「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley(1999)」に記載の方法を参考に、一般式(XVII)で表される化合物の保護基R11を除去することによって、一般式(IIIb)で表される化合物が得られる。
【0056】
反応工程式Iで出発原料として用いた一般式(IIa)で表される化合物は、以下の反応工程式IV〜VIに示す方法、参考例に記載した方法、又は公知の方法を組み合わせた方法で製造することができる。
[反応工程式IV]
【化23】
[式中、R2は、水素原子又は低級アルキル基を意味する;R5は、低級アルキル基又はハロゲン原子を意味する;R9は、カルボキシ基の保護基を意味する;R10は、窒素原子の保護基を意味する;R13は、シアノ基又はカルボン酸誘導体(例えば、メチルエステル、エチルエステル等)を意味する]
【0057】
[工程IV-1]
「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley(1999)」に記載の方法を参考に、(2−アミノフェニル)メタノールの窒素原子をR10で保護することによって、一般式(VIII)で表される化合物が得られる。尚、(2−アミノフェニル)メタノールは、市販品として入手可能である。
【0058】
[工程IV-2]
一般式(XVIII)で表される化合物を適用な溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフラン等)中、酸化マンガン(IV)を用いて反応させることによって、一般式(XIX)で表される化合物が得られる。反応温度は0 ℃から溶媒の沸点、反応時間は30分間から48時間である。
【0059】
[工程IV-3]
一般式(XIX)で表される化合物と一般式(XX)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)中、塩基(例えば、炭酸カリウム、水素化ナトリウム等)を用いて反応させることによって、一般式(XXI)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分間から48時間である。尚、一般式(XX)で表される化合物は、後述の反応工程式VIIの方法を用いて製造することができる。
【0060】
[工程IV-4]
一般式(XXI)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、炭酸ジエチル、エタノール等)中、添加剤(例えば、臭化ナトリウム、臭化リチウム、ヨウ化ナトリウム等)の存在下又は非存在下、塩基(例えば、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等)を用いて反応させることによって、一般式(XXII)で表される化合物が得られる。
【0061】
[工程IV-5]
一般式(XXII)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、酢酸、水等)中、酸(例えば、硫酸、塩酸等)を用いて反応させることによって、一般式(XXIII)で表される化合物が得られる。反応温度は室温から溶媒の沸点、反応時間は12時間から7日間である。
【0062】
[工程IV-6]
「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley(1999)」に記載の方法を参考に、一般式(XXIII)で表される化合物のカルボキシ基をR9で保護することによって、一般式(XXIV)で表される化合物が得られる。
【0063】
[工程IV-7]
「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley(1999)」に記載の方法を参考に、一般式(XXIV)で表される化合物の窒素原子をR10で保護することによって、一般式(XXV)で表される化合物が得られる。
【0064】
[工程IV-8]
一般式(XXV)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、メタノール、エタノール、1,4−ジオキサン等)中、水素雰囲気下、パラジウム触媒(例えば、パラジウム炭素、パールマン触媒等)を用いて反応させることによって、一般式(XXVI)で表される化合物が得られる。反応温度は室温から60℃、反応時間は1時間から48時間である。
【0065】
[工程IV-9]
一般式(XXVI)で表される化合物と求電子剤(例えば、ヨウ化メチル、臭化メチル、ヨウ化エチル、N−フルオロベンゼンスルホンイミド等)を適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)中、塩基(例えば、リチウムジイソプロピルアミン、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等)を用いて反応させることによって、一般式(XXVII)で表される化合物が得られる。反応温度は-78℃から0℃、反応時間は30分間から24時間である。
【0066】
[工程IV-10]
「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley(1999)」に記載の方法を参考に、一般式(XXVII)で表される化合物の保護基R10を除去することによって、一般式(IIa)で表される化合物が得られる。
【0067】
[反応工程式V]
【化24】
[式中、R5は、低級アルキル基又はハロゲン原子を意味する;R9は、カルボキシ基の保護基を意味する;R10は、窒素原子の保護基を意味する]
【0068】
[工程V-1]
「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley(1999)」に記載の方法を参考に、3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5(2H)−オンの窒素原子をR10で保護することによって、一般式(XXVIII)で表される化合物が得られる。尚、3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5(2H)−オンは、市販品として入手可能である。
【0069】
[工程V-2]
一般式(XXVIII)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等)中、塩基(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)を用いて反応させることによって、一般式(XXIX)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分間から5時間である。
【0070】
[工程V-3]
一般式(XXIX)で表される化合物と求電子剤(例えば、ヨウ化メチル、臭化メチル、ヨウ化エチル、N−フルオロベンゼンスルホンイミド等)を適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、アセトン、エタノール等)中、塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム等)を用いて反応させることによって、一般式(XXX)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分間から48時間である。
【0071】
[工程V-4]
一般式(XXX)で表される化合物と還元剤(例えば、トリエチルシラン等)を適当な溶媒(例えば、塩化メチレン、テトラヒドロフラン等)中、酸(例えば、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等)を用いて反応させることによって、一般式(XXXI)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分間から48時間である。
【0072】
[工程V-5]
「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley(1999)」に記載の方法を参考に、一般式(XXXI)で表される化合物の保護基R10を除去することによって、一般式(IIb)で表される化合物が得られる。
【0073】
[反応工程式VI]
【化25】
[式中、R5は、水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン原子を意味する;R9は、カルボキシ基の保護基を意味する;R10は、窒素原子の保護基を意味する;R14及びR15は、互いに異なる置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を意味する]
【0074】
[工程VI-1]
「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley(1999)」に記載の方法を参考に、一般式(XXXI)で表される化合物の保護基R9を除去することによって、一般式(XXXII)で表される化合物が得られる。
【0075】
[工程VI-2]
一般式(XXXII)で表される化合物と一般式(XXXIII)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、テトラヒドロフラン等)中、添加剤(ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等)の存在下又は非存在下、縮合剤(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド等)を用いて反応させることによって、一般式(XXXIV)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点、反応時間は30分間から48時間である。
【0076】
[工程VI-3]
一般式(XXXIV)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール等)中、酸(例えば、硫酸、塩酸等)を用いて反応させることによって、一般式(XXXV)で表される化合物が得られる。反応温度は室温から溶媒の沸点、反応時間は30分間から72時間である。
【0077】
[工程VI-4]
「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley(1999)」に記載の方法を参考に、一般式(XXXV)で表される化合物の保護基R10を除去することによって、一般式(IIc)で表される化合物が得られる。
【0078】
反応工程式IVで用いた一般式(XX)で表される化合物は、以下の反応工程式VIIに示す方法、参考例に記載した方法、又は公知の方法を組み合わせて製造することができる。
[反応工程式VII]
【化26】
[式中、R2は、水素原子又は低級アルキル基を意味する;R13は、シアノ基又はカルボン酸誘導体(例えば、メチルエステル、エチルエステル等)を意味する;Xは、ハロゲン原子、トリフラート、メシラート等の脱離基を意味する]
【0079】
[工程VII-1]
一般式(XXXVI)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等)中、添加剤(例えば、テトラブチルアンモニウムブロマイド、ヨウ化ナトリウム、18−クラウン−6−エーテル等)の存在下又は非存在下、シアノ化剤(例えば、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム等)を用いて反応させることによって、一般式(XXXVII)で表される化合物が得られる。反応温度は室温から溶媒の沸点、反応時間は30分間から24時間である。
【0080】
[工程VII-2]
一般式(XXXVII)で表される化合物と求核剤(例えば、塩化チオニル、塩化メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル無水物等)を適当な溶媒(例えば、塩化メチレン、トルエン等)中、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等)を用いて反応させることによって、一般式(XX)で表される化合物が得られる。反応温度は0℃から室温、反応時間は30分間から24時間である。
【0081】
その他に本発明化合物を製造するために必要な出発原料、中間体、又は試薬として用いる化合物は、市販品として入手可能であるものもあるが、公知の方法を参考に製造することもできる。
【0082】
本発明化合物及び当該化合物を製造するために使用される化合物に含まれる置換基(例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシ基等)は、当該置換基に原料又は中間体の段階で適当な保護基を導入しておくことが化合物製造上効果的である場合があり、必要に応じて前記「Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley(1999)」に記載の保護基を適宜選択して使用してもよい。
【0083】
本発明化合物及び当該化合物を製造するために使用される化合物を反応液から単離、精製するには、通常使用される方法を用いることができる。例えば、溶媒抽出、イオン交換樹脂、担体としてシリカゲル、アルミナ等を用いたカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分取、薄層クロマトグラフィー、スカベンジャー樹脂、再結晶等を用いることができ、これらの単離、精製法は、単独又は組み合わせて行うことができる。単離、精製は、反応毎に行ってもよいし、いくつかの反応終了後に実施してもよい。
【0084】
本明細書中の化合物が不斉炭素を有し光学異性体が存在する場合、これらの光学異性体は、ラセミ化合物の一般的な光学分割法、例えば、一般的な光学活性な化合物とのジアステレオマー塩として再結晶する分別結晶化、又は一般的な光学活性な化合物との反応によってジアステレオマーとしてクロマトグラフィーなどの常法により分割することができる。また、光学活性体分離用カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分取によってもそれぞれの光学異性体を単離することができる。
【0085】
このようにして製造された本発明化合物は、V2受容体作動薬として作用することから、中枢性尿崩症、夜尿症、夜間頻尿、過活動膀胱、血友病、又はフォンウィルブランド病の予防又は治療のための医薬組成物として使用することができる。尚、本発明化合物の主たる化合物は、V2受容体に選択的に作用するため、副作用の観点から有利である。また、本発明化合物は、従来知られていたV2受容体作動作用を有する化合物に比べ、薬物代謝酵素CYP3A4及びCYP2C9に対する阻害作用が低いこと、更に、溶解度、膜透過性等の医薬品としての物性面や、血漿クリアランス及び分布容積といった動態面においても優れた性質を有しているため、安全に使用することができる。
【0086】
本発明化合物を医薬として使用する場合の投与形態としては、「日本薬局方」製剤総則記載の各種投与形態が目的に応じて選択できる。例えば、錠剤の形態に成形するに際しては、通例、当該分野で用いられる経口摂取可能な成分を選択すればよい。例えば、乳糖、結晶セルロース、白糖、リン酸カリウム等の賦形剤がそれにあたる。更に、所望により、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、凝集防止剤等、通例製剤分野で常用される種々の添加剤を配合してもよい。
【0087】
本発明製剤中に有効成分として含有される本発明化合物の量は、特に限定されず、広範囲より適宜選択される。本発明化合物の投与量は、その用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度により適宜決定されるが、経口投与の場合には、本発明化合物の1日量が体重1kg当り約1μg〜100mg、好ましくは約10μg〜20mgが適当で、さらに好ましくは約50μg〜5mgが適当であり、これを1日に1〜4回に分けて適宜投与することができる。しかしながら、投与量、回数は、治療すべき症状の程度、投与される化合物の選択及び選択された投与経路を含む関連する状況に鑑みて決定されることから、前記の投与量範囲及び回数は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0088】
以下に本発明の内容を、実施例、参考例、及び薬理試験例を挙げて、さらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、その記載内容に限定されるものではない。
以下の実施例及び参考例における核磁気共鳴(1H-NMR)スペクトルは、テトラメチルシランを標準物質としてケミカルシフト値をδ値(ppm)で記載した。分裂パターンは、一重線を「s」、二重線を「d」、三重線を「t」、四重線を「q」、五重線を「quin」、多重線を「m」、幅広い線を「br」で示した。質量分析は、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)で行った。表中において、メチル基を「Me」、エチル基を「Et」で示した。
【0089】
[参考例1]
(S)−2−メチル−4−(3−メチルピロリジン−1−イル)安息香酸 メチルエステル
4−フルオロ−2−メチル安息香酸 メチルエステル(970mg)をN−メチル−2−ピロリドン(20mL)へ溶解し、炭酸カリウム(2.39g)存在下、(S)−3−メチルピロリジン塩酸塩(772mg)を加えた後、120℃で6時間撹拌した。反応液を室温へ戻し、酢酸エチルを加え、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/6)にて精製することにより、無色油状物として表記化合物(720mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.88(d,J=8.0Hz,1H),6.34-6.30(m,2H),3.82(s,3H),3.51-3.47(m,1H),3.45-3.39(m,1H),3.36-3.29(m,1H),2.92-2.88(m,1H),2.59(s,3H),2.45-2.32(m,1H),2.17-2.10(m,1H),1.68-1.58(m,1H),1.13(d,J=8.0Hz,3H).
ESI/MS(m/z)234(M+H)+.
【0090】
[参考例2]
(S)−2−メチル−4−(3−メチルピロリジン−1−イル)安息香酸
(S)−2−メチル−4−(3−メチルピロリジン−1−イル)安息香酸 メチルエステル(710mg)をメタノール(7mL)へ溶解し、水(6mL)、水酸化リチウム一水和物(383mg)を加えた後、60℃で6時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、酢酸エチルを加え、5%クエン酸水溶液で酸性とした後、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより、白色固体として表記化合物(660mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ12.36(brs,1H),8.00(d,J=8.0Hz,1H),6.36(d,J=8.0Hz,1H),6.31(s,1H),3.51-3.48(m,1H),3.47-3.41(m,1H),3.37-3.31(m,1H),2.93-2.89(m,1H),2.62(s,3H),2.42-2.35(m,1H),2.18-2.10(m,1H),1.68-1.59(m,1H),1.13(d,J=8.0Hz,3H).
ESI/MS (m/z)220(M+H)+,218(M-H)-.
【0091】
[参考例3]
4−ブロモ−2−メチル安息香酸 ベンジルエステル
4−ブロモ−2−メチル安息香酸(2.15g)を塩化チオニル(5.0mL)とN,N−ジメチルホルムアミド(100μL)に溶解し、50℃で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣を塩化メチレン(10mL)に溶解し、ベンジルアルコール(1.0mL)とピリジン(1.6mL)を加え、室温で30分間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、塩化メチレンで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/0-6/1)にて精製することにより、表記化合物(2.65g)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.82(d,J=8.4Hz,1H),7.47-7.30(m,7H),5.33(s,2H),2.58(s,3H).
【0092】
[参考例4]
4−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−3−メチル安息香酸 メチルエステル
4−ブロモ−2−メチル安息香酸 ベンジルエステル(4.86g)をジメチルスルホキシド(48mL)とメタノール(48mL)の混合溶媒に溶解し、酢酸パラジウム(358mg)と1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(657mg)とジイソプロピルエチルアミン(5.4mL)を加えた後、一酸化炭素で置換し、60℃で一晩撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=24/1-3/1)にて精製することにより、表記化合物(3.91g)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.97(d,J=8.1Hz,1H),7.94-7.90(m,1H),7.87(dd,J=8.1,1.7Hz,1H),7.49-7.43(m,2H),7.43-7.33(m,3H),5.36(s,2H),3.93(s,3H),2.63(s,3H).
ESI/MS(m/z)285(M+H)+ .
【0093】
[参考例5]
4−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−3−メチル安息香酸
4−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−3−メチル安息香酸 メチルエステル(3.03g)をテトラヒドロフラン(30mL)と水(30mL)の混合溶媒に溶解し、水酸化リチウム一水和物(671mg)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に1M塩酸を加え、酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより、白色固体として表記化合物(2.84g)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO)δ13.21(s,1H),7.92(d,J=8.0Hz,1H),7.90-7.77(m,2H),7.53-7.30(m,5H),5.35(s,2H),2.55(s,3H).
ESI/MS(m/z)269(M-H)-.
【0094】
[参考例6]
4−[(1−ヒドロキシプロパン−2−イル)カルバモイル]−2−メチル安息香酸 ベンジルエステル
4−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−3−メチル安息香酸(1.24g)をN,N−ジメチルホルムアミド(23mL)に溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.76g)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.41g)とジイソプロピルエチルアミン(3.1mL)とDL−2−アミノ−1−プロパノール(730μL)を加え、40℃で一晩撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エチル=1/2)にて精製することにより、表記化合物(1.07g)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.90(d,J=8.1Hz,1H),7.60(s,1H),7.56(d,J=8.1Hz,1H),7.48-7.29(m,5H),6.71(brs,1H),5.32(s,2H),4.31-4.15(m,1H),3.73(dd,J=11.1,3.7Hz,1H),3.61(dd,J=11.1,5.5Hz,1H),3.37(brs,1H),2.56(s,3H),1.25(d,J=6.8Hz,3H).
ESI/MS(m/z)328(M+H)+,326(M-H)- .
【0095】
[参考例7]
2−メチル−4−[(1−オキソプロパン−2−イル)カルバモイル]安息香酸 ベンジルエステル
4−[(1−ヒドロキシプロパン−2−イル)カルバモイル]−2−メチル安息香酸 ベンジルエステル(1.07g)を塩化メチレン(16mL)に溶解し、デス・マーチン試薬(2.08g)を0℃で加えた後、室温で1時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、塩化メチレンで抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1-2/5)にて精製することにより、表記化合物(846mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ9.64(s,1H),7.98(d,J=8.1Hz,1H),7.68(s,1H),7.66-7.59(m,1H),7.48-7.31(m,5H),7.01(brs,1H),5.35(s,2H),4.79-4.62(m,1H),2.63(s,3H),1.49(d,J=7.4Hz,3H).
ESI/MS(m/z)326(M+H)+,324(M-H)- .
【0096】
[参考例8]
2−メチル−4−(4−メチルオキサゾール−2−イル)安息香酸 ベンジルエステル
トリフェニルホスフィン(2.05g)とヘキサクロロエタン(1.85g)をアセトニトリル(18mL)に溶解し、2−メチル−4−[(1−オキソプロパン−2−イル)カルバモイル]安息香酸 ベンジルエステル(846mg)のアセトニトリル溶液(8mL)を加え、室温で10分間撹拌した。ピリジン(1.3mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=12/1-5/2)にて精製することにより、表記化合物(691mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ8.02(d,J=8.2Hz,1H),7.95-7.90(m,1H),7.89-7.82(m,1H),7.50-7.30(m,6H),5.36(s,2H),2.66(s,3H),2.26(d,J=1.2Hz,3H).
ESI/MS(m/z)308(M+H)+ .
【0097】
[参考例9]
2−メチル−4−(4−メチルオキサゾール−2−イル)安息香酸
2−メチル−4−(4−メチルオキサゾール−2−イル)安息香酸 ベンジルエステル(69.0mg)をメタノール(8mL)に溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液(4mL)を加え、50℃で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に1M塩酸を加え、酸性とした後、析出した結晶をろ取し、水で洗浄することにより、白色結晶として表記化合物(429mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO)δ7.97(q,J=1.2Hz,1H),7.93(d,J=8.1Hz,1H),7.90-7.86(m,1H),7.86-7.79(m,1H),2.59(s,3H),2.18(d,J=1.2Hz,3H).
ESI/MS(m/z)218(M+H)+,216(M-H)- .
【0098】
[参考例10]
1−トシル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステル
(2−アミノフェニル)メタノール(13.4g)をクロロホルム(400mL)に溶解し、0℃に冷却した。ピリジン(11mL)とp−トルエンスルホニルクロリド(24.8g)を加え、室温で17時間撹拌した。反応液を水で希釈し、6M塩酸を加え、酸性とした後、クロロホルムで抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより、N−[2−(ヒドロキシメチル)フェニル]−4−メチルベンゼンスルホンアミドを得た。
上記のN−[2−(ヒドロキシメチル)フェニル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド(32.0g)をアセトン(480mL)に溶解し、酸化マンガン(IV)(75.0g)を加え、24時間加熱還流した。反応液をろ過した後、酢酸エチルで洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、残渣を水で希釈し酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより、N−(2−ホルミルフェニル)−4−メチルベンゼンスルホンアミドを得た。
上記のN−(2−ホルミルフェニル)−4−メチルベンゼンスルホンアミド(24.0g)をN,N−ジメチルホルムアミド(300mL)に溶解し、ブロモ酪酸エチル(36.4g)と炭酸カリウム(36.1g)を加え、80℃で36時間撹拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより、4−[N−(2−ホルミルフェニル)−4−メチルフェニルスルホンアミド]酪酸 エチルエステルを得た。
上記の4−[N−(2−ホルミルフェニル)−4−メチルフェニルスルホンアミド]酪酸 エチルエステルを炭酸ジエチル(480mL)に溶解し、20%ナトリウムエトキシド−エタノール溶液(43.1g)を加え、室温にて4時間撹拌した。反応液を水で希釈し、6M塩酸を加え、酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/10-1/4)にて精製することにより、黄白色油状物として表記化合物(18.2g)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ6.97-6.87(m,1H),6.61-6.53(m,1H),6.48(d,J=7.9Hz,1H),3.86(s,1H),3.14-3.00(m,2H),2.86-2.76(m,2H),1.86-1.74(m,2H),1.69-1.60(m,2H).
【0099】
[参考例11]
2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル
1−トシル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステル(18.2g)を酢酸(180mL)に溶解し、硫酸(90mL)と水(9mL)を加え、90℃で36時間撹拌した。反応液を0℃に冷却し塩化メチレンと水で希釈した。混合溶液に5M水酸化ナトリウムを加え、中和した後、塩化メチレンで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより、2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸を得た。
上記の2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸をメタノール(180mL)に溶解し、硫酸(10mL)を室温にて滴下した後、17時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し得られた残渣を水で希釈した後、5M水酸化ナトリウムを加え、中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/10-1/4)にて精製することにより、黄白色固体として表記化合物(8.30g)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.65(s,1H),7.29-7.23(m,1H),7.13-7.06(m,1H),6.78-6.72(m,1H),6.63-6.57(m,1H),4.55(s,1H),3.80(s,3H),3.42-3.34(m,2H),2.89-2.83(m,2H).
【0100】
[参考例12]
1−トシル−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5(2H)−オン
3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5(2H)−オン(10.0g)をピリジン(30mL)に溶解し、p−トルエンスルホニルクロリド(13.6g)を氷浴下で加え、室温で12時間撹拌した。反応液に水(60mL)を加え、室温で40分間撹拌した。得られた結晶をろ取し水で洗浄後、乾燥することで淡黄白色固体として表記化合物(18.9g)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.71(ddd,J=7.8,1.7,0.4Hz,1H),7.59(d,J=8.3Hz,2H),7.55-7.46(m,2H),7.41-7.35(m,1H),7.23-7.30(m,2H),3.86(t,J=6.6Hz,2H),2.45-2.39(m,5H),2.00-1.91(m,2H).
ESI/MS(m/z)316(M+H)+ .
【0101】
[参考例13]
5−オキソ−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル
1−トシル−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−5(2H)−オン(47.3g)を炭酸ジメチル(300mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(48.6g)を室温で加え70℃で40分間撹拌した。その後室温まで冷却し反応液を氷水に注いだ後、酢酸エチルで抽出し、水と飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた残渣にメタノールを加え、析出した結晶をろ取し表記化合物(43.8g)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ11.9(brs,1H),7.81-7.10(m,8H),4.10(t,J=6.4Hz,2H),3.75-3.69(m,3H),2.57-2.17(m,5H).
【0102】
[参考例14]
4−メチル−5−オキソ−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)
5−オキソ−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(100mg)をアセトン(2mL)に溶解し、炭酸カリウム(74.1mg)、ヨウ化メチル(33μL)を加え、1.5時間加熱還流した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、飽和食塩水で洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。反応液を減圧濃縮後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1-2/1)で精製し、白色固体として表記化合物(99.2mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.55(d,J=8.4Hz,2H),7.46-7.31(m,4H),7.28-7.21(m,2H),4.08-3.99(m,1H),3.87-3.77(m,1H),3.61(s,3H),2.47-2.31(m,4H),1.89-1.78(m,1H),1.31(s,3H).
ESI/MS(m/z)388(M+H)+.
ここで、「ラセミ」は、例えば下記式;
【0103】
【化27】
【0104】
が示すように、四級炭素原子が不斉炭素である時、四級炭素原子においてラセミ化合物であることを表す。また、同化合物、及び4位の四級炭素原子が同様にラセミである原料を用いて得られる以下の化合物は、その命名の末尾に(ラセミ)と表記する。
【0105】
[実施例1]
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)
4−メチル−5−オキソ−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ:74.0mg)を塩化メチレン(2mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(29μL)、トリエチルシラン(120μL)、メタンスルホン酸(19μL)、三ふっ化ほう素ジエチルエーテル錯体(36μL)を氷浴下加え、そのまま30分間撹拌し、室温で2時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した後、水、飽和食塩水で洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。反応液を減圧濃縮後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9/1-1/1)で精製し、表記化合物(34.2mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.62(d,J=8.3Hz,2H),7.33-7.06(m,6H),4.14-3.37(m,5H),2.69(d,J=13.8Hz,1H),2.53-2.37(m,4H),2.21-2.09(m,1H)1.83-1.54(m,1H),1.12(brs,3H).
ESI/MS(m/z)374(M+H)+.
【0106】
[実施例2]
4−メチル−2,3,4,5,−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ:434mg)をメタノール(12mL)に溶解し、マグネシウム(283mg)を加え、60℃で30分間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、室温で1時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/2)にて精製することにより、黄色油状物として表記化合物(255mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.09(dd,J=7.4,1.6Hz,1H),7.04(td,J=7.4,1.6Hz,1H),6.81(td,J=7.4,1.2Hz,1H),6.67(dd,J=7.4,1.2Hz,1H),3.71(brs,1H),3.62(s,3H),3.18-3.05(m,3H),2.79(d,J=13.7Hz,1H),2.26(dddd,J=13.9,7.0,2.6,1.1Hz,1H),1.70(ddd,J=13.9,9.1,3.2Hz,1H),1.24(s,3H).
ESI/MS(m/z)220(M+H)+.
【0107】
[実施例3]
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ:4.82g)をテトラヒドロフラン(35mL)とメタノール(35mL)の混合溶媒に溶解し、1M水酸化ナトリウム(37mL)を加え、50℃で11時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。水相に6M塩酸を加え、酸性とした後、塩化メチレンで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、白色固体として表記化合物(3.92g)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.62(d,J=8.3Hz,2H),7.27-7.12(m,6H),3.98-3.49(m,2H),2.71(d,J=14.0Hz,1H),2.49(d,J=14.0Hz,1H),2.43(s,3H),2.19-2.13(m,1H),1.78-1.71(m,1H),1.16(brs,3H).
ESI/MS(m/z)360(M+H)+,358(M-H)-.
【0108】
[参考例15]
N−[(R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]−4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボキサミド(キラルA)
[参考例16]
N−[(R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]−4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボキサミド(キラルB)
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ:1.00g)をN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(563mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(800mg)、そして(R)−(−)−2−フェニルグリシノール(572mg)を加え、室温で3時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)にて精製することにより、無色油状物として表記化合物[参考例15(キラルA):526mg、参考例16(キラルB):629mg]を得た。
参考例15(キラルA):1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.59(d,J=8.3Hz,2H),7.32-7.23(m,9H),7.17(td,J=7.4,1.4Hz,1H),7.09(dd,J=7.4,1.4Hz,1H),6.96(brs,1H),6.16(d,J=6.9Hz,1H),4.94-4.90(m,1H),3.88-3.74(m,1H),3.81(dd,J=5.3,5.3Hz,2H),3.63-3.49(m,1H),2.64(d,J=14.3Hz,1H),2.52(d,J=14.3Hz,1H),2.40(s,3H),2.29-2.23(m,1H),1.72-1.65(m,1H),1.12(brs,3H).
ESI/MS(m/z)479(M+H)+,477(M-H)-.
参考例16(キラルB):1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.62(d,J=8.3Hz,2H),7.37-7.20(m,9H),7.17(d,J=8.0Hz,2H),7.12(dd,J=7.0,1.8Hz,1H),6.16(d,J=6.9Hz,1H),4.96-4.92(m,1H),3.78-3.74(m,4H),2.64(d,J=14.1Hz,1H),2.59-2.53(m,1H),2.42(s,3H),2.27-2.22(m,1H),1.70-1.62(m,1H),1.11(brs,3H).
ESI/MS(m/z)479(M+H)+,477(M-H)-.
【0109】
ここで、「キラルA」は、例えば下記式;
【化28】
が示すように、四級炭素原子が不斉炭素である時、四級炭素原子において光学活性な高極性異性体であることを表す。また、同化合物、及び同様に四級炭素原子において光学活性な高極性異性体を原料として得られる以下の化合物は、その命名の末尾に(キラルA)と表記する。
【0110】
ここで、「キラルB」は、例えば下記式;
【化29】
が示すように、四級炭素原子が不斉炭素である時、四級炭素原子において光学活性な低極性異性体であることを表す。また、同化合物、及び同様に四級炭素原子において光学活性な低極性異性体を原料として得られる以下の化合物は、その命名の末尾に(キラルB)と表記する。
【0111】
[実施例4]
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(キラルA)
N−[(R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]−4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボキサミド(キラルA:526mg)をメタノール(11mL)に溶解し、濃硫酸(2.2mL)を加え、80℃で11時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて精製することにより、無色油状物として表記化合物(434mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.62(d,J=8.3Hz,2H),7.28-7.25(m,2H),7.23-7.14(m,3H),7.12-7.08(m,1H),4.00-3.87(m,1H),3.64-3.48(m,1H),3.53(s,3H),2.69(d,J=13.8Hz,1H),2.47(d,J=13.8Hz,1H),2.43(s,3H),2.18-2.13(m,1H),1.76-1.70(m,1H),1.12(brs,3H).
ESI/MS(m/z)374(M+H)+.
【0112】
[実施例5]
4−メチル−2,3,4,5,−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(キラルA)
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(キラルA)を用いて、実施例2と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.09(dd,J=7.4,1.4Hz,1H),7.04(td,J=7.4,1.4Hz,1H),6.81(td,J=7.4,1.4Hz,1H),6.67(dd,J=7.4,1.4Hz,1H),3.71(brs,1H),3.62(s,3H),3.18-3.05(m,3H),2.79(d,J=13.7Hz,1H),2.26(dddd,J=13.9,7.0,2.6,1.1Hz,1H),1.70(ddd,J=13.9,9.1,3.2Hz,1H),1.24(s,3H).
ESI/MS(m/z)220(M+H)+.
【0113】
[参考例17]
1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステル(ラセミ)
1−トシル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステル(631mg)をエタノール(8mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(63.0mg)を加え、水素雰囲気下、50℃で14.5時間撹拌した。パラジウム炭素をセライトろ過した後、濾液を減圧濃縮することにより、白色固体として表記化合物(634mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.66-7.58(m,2H),7.31-7.23(m,3H),7.22-7.12(m,3H),4.20-3.96(m,2H),3.65-3.38(m,1H),2.75-2.57(m,2H),2.55-2.45(m,1H),2.42(s,3H),2.15-1.96(m,3H),1.19(t,J=7.1Hz,3H).
【0114】
[実施例6]
4−フルオロ−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステル(ラセミ)
1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステル(ラセミ:1.00g)をテトラヒドロフラン(25mL)に溶解し、-78℃に冷却した。2Mリチウムジイソプロピルアミド−テトラヒドロフラン溶液(1.7mL)を-78℃で滴下した後、30分間撹拌した。N−フルオロベンゼンスルホンイミド(1.27g)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)を同温度で滴下し、10分間撹拌した後、-40℃に昇温してさらに10分間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/6)にて精製することにより、白色固体として表記化合物(936mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.66-7.61(m,2H),7.31-7.19(m,5H),7.16-7.11(m,1H),4.25-4.16(m,2H),3.63-3.41(m,1H),3.01-2.80(m,2H),2.56-2.37(m,4H),2.15-2.03(m,2H),1.30-1.25(m,3H).
ESI/MS(m/z)392(M+H)+.
【0115】
[実施例7]
4−フルオロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、4−フルオロ−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステル(ラセミ)を用いて、実施例2と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.65-7.60(m,2H),6.88(td,J=7.9,1.2Hz,1H),6.78(dd,J=7.9,1.2Hz,1H),3.82(s,3H),3.45-3.06(m,4H),2.28-2.46(m,1H),2.24-2.11(m,1H).
ESI/MS(m/z)224(M+H)+.
【0116】
[実施例8]
4−フルオロ−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、4−フルオロ−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステル(ラセミ)を用いて、実施例3と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.63(d,J=8.3Hz,2H),7.32-7.21(m,5H),7.17-7.12(m,1H),4.23(d,J=13.7Hz,1H),3.55-3.42(m,1H),3.05-2.87(m,2H),2.63-2.39(m,4H),2.16-2.09(m,1H).
ESI/MS(m/z)364(M+H)+.
【0117】
[参考例18]
4−フルオロ−N−[(R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボキサミド(キラルA)
[参考例19]
4−フルオロ−N−[(R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボキサミド(キラルB)
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)の代わりに、4−フルオロ−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)を用いて、参考例15、16と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物[参考例18(キラルA)、参考例19(キラルB)]を得た。
参考例18(キラルA):1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.59(d,J=8.3Hz,2H),7.46-7.17(m,10H),7.07-7.02(m,1H),7.01-6.94(m,1H),5.07-5.01(m,1H),4.35(d,J=14.8Hz,1H),3.92-3.86(m,2H),3.48-3.36(m,1H),2.91-2.73(m,1H),2.69-2.47(m,3H),2.39(s,3H),2.08-1.92(m,1H).
ESI/MS(m/z)483(M+H)+.
参考例19(キラルB):1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.58(d,J=8.3Hz,2H),7.44(dd,J=7.8,1.4Hz,1H),7.39-7.21(m,9H),7.12(dd,J=7.4,1.5Hz,1H),7.00-6.97(m,1H),5.06-5.02(m,1H),4.32(dt,J=14.8,4.0Hz,1H),3.92-3.89(m,2H),3.39(dd,J=13.8,13.8Hz,1H),2.91-2.72(m,2H),2.58-2.41(m,1H),2.41(s,3H),2.03(dd,J=6.6,5.8Hz,1H),1.94-1.87(m,1H).
ESI/MS(m/z)483(M+H)+.
【0118】
[実施例9]
4−フルオロ−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(キラルA)
N−[(R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]−4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボキサミド(キラルA)の代わりに、4−フルオロ−N−[(R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボキサミド(キラルA)を用いて、実施例4と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.64(d,J=8.3Hz,2H),7.31-7.19(m,5H),7.13(dd,J=5.1,2.5Hz,1H),4.25-4.07(m,1H),3.77(s,3H),3.61-3.42(m,1H),3.09-2.80(m,2H),2.57-2.39(m,4H),2.15-2.04(m,1H).
ESI/MS(m/z)378(M+H)+.
【0119】
[実施例10]
4−フルオロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(キラルA)
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、4−フルオロ−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(キラルA)を用いて、実施例2と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.65-7.60(m,2H),6.88(td,J=7.9,1.2Hz,1H),6.78(dd,J=7.9,1.2Hz,1H),3.82(s,3H),3.45-3.06(m,4H),2.28-2.46(m,1H),2.24-2.11(m,1H).
ESI/MS(m/z)224(M+H)+.
【0120】
[実施例11]
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステル(ラセミ)
N−フルオロベンゼンスルホンイミドの代わりに、ヨウ化メチルを用いて、実施例6と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.62(d,J=8.3Hz,2H),7.31-7.08(m,6H),4.08-3.86(m,3H),3.71-3.41(m,1H),2.67(d,J=13.9Hz,1H),2.52-2.39(m,4H),2.21-2.10(m,1H),1.82-1.63(m,1H),1.21-1.02(m,6H).
ESI/MS(m/z)388(M+H)+.
【0121】
[実施例12]
4−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステル(ラセミ)
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステル(ラセミ)を用いて、実施例2と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.12-7.06(m,1H),7.03(td,J=7.5,1.4Hz,1H),6.81(td,J=7.5,1.4Hz,1H),6.67(dd,J=7.5,1.4Hz,1H),4.06(q,J=7.2Hz,2H),3.71(brs,1H),3.20-3.63(m,3H),2.79(d,J=13.8Hz,1H),2.31-2.22(m,1H),1.74-1.64(m,1H),1.24(s,3H),1.19(t,J=7.2Hz,3H).
ESI/MS(m/z)234(M+H)+.
【0122】
[参考例20]
1−(t−ブトキシカルボニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル
2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(114g)をテトラヒドロフラン(1.2L)へ溶解し、4−ジメチルアミノピリジン(6.85g)、二炭酸ジ−t−ブチル(490g)を加えた後、80℃で5時間撹拌した。その後、さらに4−ジメチルアミノピリジン(68.5g)、二炭酸ジ−t−ブチル(184g)を加え、80℃で15時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、酢酸エチルを加え、有機相を20%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/6)にて精製することにより、淡黄色固体として表記化合物(141g)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.67(s,1H),7.41-7.27(m,3H),7.19(t,J=8.0Hz,1H),3.82(s,3H),3.65(s,2H),2.89(t,J=4.0Hz,2H),1.47(s,9H).
ESI/MS (m/z)304(M+H)+.
【0123】
[参考例21]
1−(t−ブトキシカルボニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル
1−トシル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステルの代わりに、1−(t−ブトキシカルボニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステルを用いて、参考例17と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.26-7.12(m,4H),4.45-4.25(m,1H),3.69(s,3H),3.00-2.10(m,4H),2.10-2.00(m,2H),1.53-1.36(m,9H).
ESI/MS(m/z)306(M+H)+.
【0124】
[実施例13]
1−(t−ブトキシカルボニル)−4−エチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)
1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステルの代わりに、1−(t−ブトキシカルボニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステルを、N−フルオロベンゼンスルホンイミドの代わりに、ヨウ化エチルを用いて、実施例6と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.21-7.08(m,4H),4.30(s,1H),3.59(s,3H),3.00-2.83(m,3H),2.23-2.18(m,1H),1.69-1.37(m,12H),0.85(t,J=8.0Hz,3H).
ESI/MS(m/z)334(M+H)+.
【0125】
[実施例14]
1−(t−ブトキシカルボニル)−4−エチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、1−(t−ブトキシカルボニル)−4−エチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)を用いて、実施例3と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.26-7.10(m,4H),4.29-2.83(m,4H),2.20-2.16(m,1H),1.68-1.37(m,12H),0.91-0.87(m,3H).
ESI/MS(m/z)320(M+H)+,318 (M-H)-.
【0126】
[参考例22]
4−エチル−4−{[(R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]カルバモイル}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル(キラルA)
[参考例23]
4−エチル−4−{[(R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]カルバモイル}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル(キラルB)
4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)の代わりに、1−(t−ブトキシカルボニル)−4−エチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)を用いて、参考例15,16と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物[参考例22(キラルA)、参考例23(キラルB)]を得た。
参考例22(キラルA):1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.33-6.93(m,9H),6.31(s,1H),4.98(s,1H),4.30-3.83(m,3H),2.96-2.27(m,4H),1.68-1.37(m,13H),0.95-0.91(m,3H).
ESI/MS(m/z)439(M+H)+,437(M-H)-.
参考例23(キラルB):1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.35-7.14(m,9H),6.25(brs,1H),4.97-4.94(m,1H),4.36-4.23(m,1H),3.77-3.70(m,2H),3.00-2.95(m,2H),2.38-2.20(m,2H),1.71-1.53(m,3H),1.37(s,9H),0.86(t,J=7.7Hz,3H).
ESI/MS(m/z)439(M+H)+,437(M-H)-.
【0127】
[実施例15]
4−エチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(キラルA)
N−[(R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]−4−メチル−1−トシル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボキサミド(キラルA)の代わりに、4−エチル−4−{[(R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]カルバモイル}−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル(キラルA)を用いて、実施例4と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.09(d,J=8.0Hz,1H),7.03(t,J=8.0Hz,1H),6.80(t,J=8.0Hz,1H),6.65(d,J=8.0Hz,1H),3.72(brs,1H),3.61(s,3H),3.22-2.83(m,4H),2.28-2.22(m,1H),1.76-1.51(m,3H),0.85(t,J=8.0Hz,3H).
ESI/MS(m/z)234(M+H)+.
【0128】
[参考例24]
(S)−3−シアノ−2−メチルプロピル メタンスルホン酸エステル
(R)−3−ブロモ−2−メチル−1−プロパノール(30.1g)をジメチルスルホキシド(130mL)に溶解し、シアン化ナトリウム(10.1g)を加え、60℃で1.5時間撹拌した。反応液に水を加え、塩化メチレンで4回抽出した。有機相を水、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより、(S)−4−ヒドロキシ−3−メチルブタンニトリルを得た。
上記の(S)−4−ヒドロキシ−3−メチルブタンニトリルを塩化メチレン(400mL)に溶解し、トリエチルアミン(44mL)とメタンスルホニルクロリド(18.4mL)を0℃で加えた後、0℃で30分間撹拌した。反応液に1M塩酸を加え、酸性とした後、塩化メチレンで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより、無色油状物として表記化合物(29.9g)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ4.25(dd,J=10.3,4.7Hz,1H),4.08(dd,J=10.3,7.5Hz,1H),3.06(s,3H),2.57-2.41(m,2H),2.41-2.25(m,1H),1.18(d,J=6.9Hz,3H).
【0129】
[参考例25]
(S)−N−(3−シアノ−2−メチルプロピル)−N−(2−ホルミルフェニル)−4−メチルベンゼンスルホンアミド
N−(2−ホルミルフェニル)−4−メチルベンゼンスルホンアミド(33.0g)と(S)−3−シアノ−2−メチルプロピル メタンスルホン酸エステル(23.3g)をN,N−ジメチルホルムアミド(480mL)に溶解し、臭化リチウム(15.6g)と炭酸カリウム(24.9g)を加え、70℃で18時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1-1/2)にて精製することにより、黄色油状物として表記化合物(23.5g)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ10.45-10.38(m,1H),8.04(dd,J=7.1,2.3Hz,1H),7.56-7.45(m,2H),7.43-7.39(m,2H),7.28(d,J=8.3Hz,2H),6.82-6.71(m,1H),3.85-3.64(m,1H),3.50-3.21(m,1H),2.62-2.39(m,1H),2.45(s,3H),2.35(dd,J=6.4,2.4Hz,1H),2.13-1.95(m,1H),1.20-1.04(m,3H).
ESI/MS(m/z)357(M+H)+.
【0130】
[参考例26]
(S)−3−メチル−1−トシル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボニトリル
(S)−N−(3−シアノ−2−メチルプロピル)−N−(2−ホルミルフェニル)−4−メチルベンゼンスルホンアミド(17.7g)を炭酸ジエチル(830mL)に溶解し、20%ナトリウムエトキシド−エタノール溶液(24mL)を加え、室温にて4時間撹拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/9-1/1)にて精製することにより、表記化合物(9.00g)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.65(dd,J=8.0,1.0Hz,1H),7.46-7.33(m,1H),7.42(d,J=8.4Hz,2H),7.29(td,J=7.5,1.0Hz,1H),7.21-7.18(m,3H),6.71(d,J=1.8Hz,1H),4.40(dd,J=13.5,4.2Hz,1H),3.23-3.01(m,2H),2.39(s,3H),1.21(d,J=6.6Hz,3H).
ESI/MS(m/z)339(M+H)+,337(M-H)-.
【0131】
[参考例27]
(S)−3−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル
1−トシル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステルの代わりに、(S)−3−メチル−1−トシル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボニトリルを用いて、参考例11と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.62(s,1H),7.27(dd,J=7.8,1.6Hz,1H),7.11(ddd,J=8.3,7.2,1.6Hz,1H),6.73(ddd,J=7.8,7.2,1.2Hz,1H),6.69-6.61(m,1H),4.57(brs,1H),3.80(s,3H),3.42-3.25(m,2H),3.04(d,J=12.8Hz,1H),1.15(d,J=6.8Hz,3H).
ESI/MS(m/z)218(M+H)+.
【0132】
[実施例16]
(3S)−1−(t−ブトキシカルボニル)−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)
(S)−3−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(305mg)をテトラヒドロフラン(3mL)に溶解し、二炭酸ジ−t−ブチル(1.1mL)、4−ジメチルアミノピリジン(305mg)を加え、17時間加熱還流した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/4-1/2)にて精製することにより(3S)−1−(t−ブトキシカルボニル)−3−メチル2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステルを得た。
上記の(3S)−1−(t−ブトキシカルボニル)−3−メチル2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステルをエタノール(4mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(30.0mg)を加えた。反応容器内を水素で置換した後、50℃で4時間撹拌した。反応容器内をアルゴンで置換した後、反応液をセライトでろ過し、酢酸エチルで洗浄した。ろ液に水を加え分液後、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより、表記化合物(251mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.29-7.01(m,4H),4.54-3.91(m,1H),3.82-3.40(m,3H),3.27-2.07(m,5H),1.60-1.30(m,9H),1.13-0.79(m,3H).
【0133】
[実施例17]
(3S)−1−(t−ブトキシカルボニル)−3,4−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)
(3S)−1−(t−ブトキシカルボニル)−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(251mg)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、-78℃に冷却した。リチウムジイソプロピルアミド(1.8Mテトラヒドロフラン溶液)(870μL)を滴下し、30分間撹拌した。ヨウ化メチル(98μL)を加え、-40℃で1時間撹拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/10-1/4)にて精製することにより、表記化合物(219mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.25-7.04(m,4H),4.22-4.04(m,1H),3.74(s,3H),3.23(d,J=13.2Hz,1H),2.71-2.35(m,3H),1.60-1.31(m,9H),0.85-0.69(m,3H).
【0134】
[実施例18]
(3S)−3,4−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)
(3S)−1−(t−ブトキシカルボニル)−3,4−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ:219mg)を塩化メチレン(4.4mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(730μL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を0℃に冷却し塩化メチレンと水で希釈した。混合溶液に5M水酸化ナトリウムを加えて、中和した後、塩化メチレンで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより、表記化合物(144mg)を得た。
ESI/MS(m/z)234(M+H)+.
【0135】
[実施例19]
(3S)−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル
(3S)−1−(t−ブトキシカルボニル)−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ:913mg)を塩化メチレン(9mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(3mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を0℃に冷却し塩化メチレンと水で希釈した。混合溶液に5M水酸化ナトリウムを加えて、中和した後、塩化メチレンで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより、表記化合物(560mg)を得た。
ESI/MS(m/z)220(M+H)+.
【0136】
[実施例20]
3R)−4−フルオロ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)
(3S)−1−(t−ブトキシカルボニル)−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ:571mg)をテトラヒドロフラン(7mL)に溶解し、-78℃に冷却した。2Mリチウムジイソプロピルアミド−テトラヒドロフラン溶液(1.8mL)を-78℃で滴下した後、30分間撹拌した。N−フルオロベンゼンスルホンイミド(1.13g)のテトラヒドロフラン溶液(2mL)を同温度で滴下し、10分間撹拌した後、-40℃に昇温してさらに10分間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/4)にて精製することにより、(3R)−1−(t−ブトキシカルボニル)−4−フルオロ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ:463mg)を得た。
上記の(3R)−1−(t−ブトキシカルボニル)−4−フルオロ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ:456mg)を塩化メチレン(5mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1.7mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を0℃に冷却し塩化メチレンと水で希釈した。混合溶液に5M水酸化ナトリウムを加えて、中和した後、塩化メチレンで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮することにより、表記化合物(259mg)を得た。
ESI/MS(m/z)238(M+H)+.
【0137】
[実施例21]
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)
2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)安息香酸(507mg)を塩化チオニル(5mL)に懸濁し、50 ℃で30分間撹拌した後、反応液を減圧濃縮した。得られた残渣を塩化メチレン(8mL)に溶解し、4−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ:466mg)とピリジン(430μL)の塩化メチレン溶液(2mL)を加えた後、室温で3時間撹拌した。反応液に水を加え、塩化メチレンで抽出し、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1-1/1)にて精製することにより、黄色油状物として表記化合物(848mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.84-7.42(m,2H),7.16-5.56(m,6H),6.27-6.19(m,1H),4.85-4.61(m,1H),3.79-3.44(m,4H),3.13-2.80(m,3H),2.53-2.29(m,6H),1.99-1.93(m,1H),1.43(brs,2H),1.06(brs,1H).
ESI/MS(m/z)418(M+H)+.
【0138】
[実施例22]
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2(3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ:848mg)をテトラヒドロフラン(5mL)とメタノール(5mL)の混合溶媒に溶解し、5M水酸化ナトリウム(2mL)を加え、50℃で3.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。水相に6M塩酸を加え、酸性とした後、塩化メチレンで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、白色固体として表記化合物(819mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.84-7.45(m,2H),7.21-6.55(m,6H),6.27-6.20(m,1H),4.87-4.61(m,1H),3.75-2.82(m,4H),2.53-2.28(m,6H),2.01-1.95(m,1H),1.50(brs,2H),1.10(brs,1H).
ESI/MS(m/z)404(M+H)+,402(M-H)-.
【0139】
[実施例23]
N−(2−アミノ−2−オキソエチル)−N,4−ジメチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボキサミド(ラセミ)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ:20.0mg)を塩化メチレン(1.5mL)に溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(13.4mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(19.0mg)、そしてN−メチルグリシンアミド塩酸塩(12.4mg)を加え、室温で17.5時間撹拌した。水を加え、塩化メチレンで抽出した後、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=10/1)にて精製することにより、白色固体として表記化合物(2.00mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.84-7.44(m,2H),7.19-6.76(m,4H),7.11(dd,J=8.2,2.0Hz,1H),6.60(d,J=7.4Hz,1H),6.27-6.19(m,1H),5.56(brs,1H),5.33(brs,1H),4.96-4.82(m,1H),4.56-4.49(m,1H),4.18-3.94(m,2H),3.61-3.15(m,5H),2.93-2.88(m,1H),2.52-2.33(m,6H),1.95-1.89(m,1H),1.56(brs,2H),1.26(brs,1H).
ESI/MS(m/z)474(M+H)+,472(M-H)-.
【0140】
実施例21の方法を参考に、下記の反応式に従って化合物を合成した。合成した化合物とデータを表1及び表2に示した。
【化30】
【0141】
【表1】
【0142】
【表2】
【0143】
[実施例44]
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(キラルA)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(キラルA)を用いて、実施例22と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.84-7.45(m,2H),7.21-6.55(m,6H),6.27-6.20(m,1H),4.87-4.61(m,1H),3.75-2.82(m,4H),2.53-2.28(m,6H),2.01-1.95(m,1H),1.50(brs,2H),1.10(brs,1H).
ESI/MS(m/z)404(M+H)+,402(M-H)-.
【0144】
[実施例45]
4−メチル−1−[2−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(キラルA)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、4−メチル−1−[2−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(キラルA)を用いて、実施例22と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
ESI/MS(m/z)393(M+H)+,391(M-H)-.
【0145】
[実施例46]
4−メチル−1−[2−メチル−4−(4−メチルオキサゾール−2−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、4−メチル−1−[2−メチル−4(4−メチルオキサゾール−2−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステル(ラセミ)を用いて、実施例22と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.78(s,1H),7.50-7.37(m,2H),7.22-6.80(m,4H),6.62-6.57(m,1H),4.86-4.61(m,1H),3.49-3.47(m,1H),3.29-2.83(m,2H),2.53(s,3H),2.34-2.27(m,1H),2.20(d,J=1.2Hz,2H),2.10(s,1H),2.02-1.96(m,1H),1.50(brs,2H),1.10(brs,1H).
ESI/MS(m/z)405(M+H)+,403(M-H)-.
【0146】
[実施例47]
1−[2−クロロ−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−4−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(キラルA)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、1−[2−クロロ−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−4−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(キラルA)を用いて、実施例22と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.84-7.70(m,1H),7.64-7.60(m,1H),7.52-6.83(m,6H),6.30-6.21(m,1H),4.80-4.59(m,1H),3.51-2.77(m,3H),2.47-1.95(m,5H),1.62-1.07(m,3H).
ESI/MS(m/z)424(M+H)+,422(M-H)-.
【0147】
[実施例48]
1−[2−クロロ−4−(3−フルオロプロポキシ)ベンゾイル]−4−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、1−[2−クロロ−4−(3−フルオロプロポキシ)ベンゾイル]−4−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 エチルエステル(ラセミ)を用いて、実施例22と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.38-6.78(m,6H),6.54(d,J=8.5Hz,1H),4.83-4.51(m,3H),4.16-3.97(m,2H),3.76-3.48(m,1H),3.28-2.77(m,2H),2.44-2.21(m,1H),2.13(quin,J=5.9Hz,1H),2.07(quin,J=5.9Hz,1H),2.02-1.95(m,1H),1.47(brs,2H),1.08(brs,1H).
ESI/MS(m/z)420(M+H)+,419(M-H)-.
【0148】
[実施例49]
1−[2−クロロ−4−(ピロリジン−1−イル)ベンゾイル)−4−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、1−[2−クロロ−4−(ピロリジン−1−イル)ベンゾイル]−4−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)を用いて、実施例22と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.19(d,J=7.3Hz,1H),7.07-6.92(m,2H),6.85-6.81(m,1H),6.75(d,J=8.5Hz,1H),6.36(d,J=2.3Hz,1H),6.11(dd,J=8.5,2.3Hz,1H),4.84-4.78(m,1H),4.63-4.57(m,1H),3.52-3.49(m,1H),3.18-3.15(m,4H),3.10-3.08(m,1H),2.41-2.23(m,2H),1.95(ddd,J=6.6,3.3,3.3Hz,4H),1.46(brs,2H),1.09(brs,1H).
ESI/MS(m/z)413(M+H)+,411(M-H)-.
【0149】
[実施例50]
1−(2−クロロ−4−プロポキシベンゾイル)−4−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、1−(2−クロロ−4−プロポキシベンゾイル)−4−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)を用いて、実施例22と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.20(d,J=7.5Hz,1H),7.13-6.81(m,4H),6.77(d,J=2.5Hz,1H),6.53(dd,J=8.5,2.5Hz,1H),4.82-4.58(m,1H),3.80(t,J=6.6Hz,2H),3.50(d,J=13.7Hz,1H),3.27-3.04(m,2H),2.45-2.24(m,1H),2.02-1.94(m,1H),1.73(sext,J=7.2Hz,2H),1.47(brs,2H),1.08(brs,1H),0.98(t,J=7.2Hz,3H).
ESI/MS(m/z)402(M+H)+,400(M-H)-.
【0150】
[実施例51]
1−[2−クロロ−4−(オキサゾール−2−イル)ベンゾイル]−4−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、1−[2−クロロ−4−(オキサゾール−2−イル)ベンゾイル]−4−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)を用いて、実施例22と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.95(brs,1H),7.71-7.68(m,1H),7.68(s,1H),7.22(s,1H),7.22-7.00(m,3H),6.98-6.89(m,2H),4.83-4.62(m,1H),3.54-3.50(m,1H),3.31-3.08(m,2H),2.49-2.29(m,1H),2.06-1.98(m,1H),1.49(brs,2H),1.09(brs,1H).
ESI/MS(m/z)411(M+H)+,409(M-H)-.
【0151】
[実施例52]
1−[2−クロロ−4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−4−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、1−[2−クロロ−4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−4−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)を用いて、実施例22と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.83(d,J=2.5Hz,1H),7.68(d,J=1.7Hz,1H),7.67-7.65(m,1H),7.38-7.34(m,1H),7.21-6.86(m,5H),6.44(dd,J=2.5,1.7Hz,1),4.84-4.61(m,1H),3.53-3.50(m,1H),3.32-3.07(m,2H),2.48-2.24(m,1H),2.05-1.98(m,1H),1.49(brs,2H),1.09(brs,1H).
ESI/MS(m/z)410(M+H)+,408(M-H)-.
【0152】
[実施例53]
4−メチル−1−[4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(キラルA)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(キラルA)の代わりに、4−メチル−1−[4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(キラルA)を用いて、実施例22と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ8.07-7.90(m,1H),7.76-7.75(m,1H),7.61-7.48(m,1H),7.37-6.87(m,4H),6.79-6.72(m,1H),6.33-6.24(m,1H),4.81-4.60(m,1H),3.47-2.82(m,3H),2.39-1.97(m,5H),1.64-1.09(m,3H).
ESI/MS(m/z)458(M+H)+,456(M-H)-.
【0153】
[実施例54]
4−フルオロ−1−[2−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(キラルA)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、4−フルオロ−1−[2−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(キラルA)を用いて、実施例22と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.24-7.16(m,1H),7.14-6.94(m,2H),6.76-6.47(m,2H),6.37-6.23(m,1H),6.09-5.94(m,1H),5.03-4.82(m,1H),3.78-2.86(m,7H),2.71-2.38(m,4H),2.29-2.13(m,1H),2.09-1.84(m,4H).
ESI/MS(m/z)397(M+H)+.
【0154】
[実施例55]
(3S)−3,4−ジメチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、(3S)−3,4−ジメチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾロ−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)を用いて、実施例22と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
ESI/MS(m/z)418(M+H)+,416(M-H)-.
【0155】
[実施例56]
(3S)−1−[2−クロロ−4−(ピロリジン−1−イル)ベンゾイル]−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、(3S)−1−[2−クロロ−4−(ピロリジン−1−イル)ベンゾイル]−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)を用いて、実施例22と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.18(d,J=7.3Hz,1H),7.08-6.93(m,2H),6.90-6.72(m,2H),6.38-6.36(m,1H),6.15-6.09(m,1H),6.15-6.09(m,1H),4.96(d,J=12.0Hz,1H),3.40-3.29(m,1H),3.18-3.15(m,4H),2.96-2.90(m,1H),2.50-2.42(m,2H),2.23-2.17(m,1H),1.97-1.93(m,4H),1.17-1.04(m,3H).
ESI/MS(m/z)413(M+H)+,411(M-H)-.
【0156】
[実施例57]
(3R)−1−[2−クロロ−4−(ピロリジン−1−イル)ベンゾイル]−4−フルオロ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸(ラセミ)
4−メチル−1−[2−メチル−4−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)の代わりに、(3R)−1−[2−クロロ−4−(ピロリジン−1−イル)ベンゾイル]−4−フルオロ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−4−カルボン酸 メチルエステル(ラセミ)を用いて、実施例22と同様の方法で反応を行うことにより、表記化合物を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.14(d,J=7.0Hz,1H),7.09-7.02(m,2H),6.88(d,J=7.3Hz,1H),6.76(d,J=8.4Hz,1H),6.35(d,J=2.2Hz,1H),6.12(dd,J=8.4,2.2Hz,1H),4.81-4.77(m,1H),3.71(dd,J=44.3,14.7Hz,1H),3.20-3.14(m,5H),2.89-2.74(m,2H),1.95(ddd,J=6.7,3.6,3.6Hz,4H),1.06(d,J=6.2Hz,3H).
ESI/MS(m/z)431(M+H)+,429(M-H)-.
【0157】
実施例22の方法を参考に、下記の反応式に従って化合物を合成した。合成した化合物とデータを表3に示した。
【化31】
【0158】
【表3】
【0159】
実施例23の方法を参考に、下記の反応式にしたがって化合物を合成した。合成した化合物を表4〜6に、データを表7〜9に示した。
【化32】
【0160】
【表4】
【0161】
【表5】
【0162】
【表6】
【0163】
【表7】
【0164】
【表8】
【0165】
【表9】
【0166】
薬理試験
(1)ヒトV2受容体発現細胞の作製
ヒトV2受容体コード領域を含むDNA断片を脊椎動物細胞の発現ベクターに挿入した。これを動物細胞に遺伝子導入し、細胞表面にヒトV2受容体を発現させた。発現ベクターはG418耐性マーカーとして機能するneo遺伝子を発現し得るので、G418含有培地で培養することによりヒトV2受容体安定発現細胞を選択的に得た。
【0167】
(2)V2受容体発現細胞におけるcAMP産生試験
上記方法により作成した、ヒトV2受容体発現細胞を回収し、インキュベーションバッファー(F-12培地、20mM HEPES)に再懸濁後、5μlの細胞を15,000細胞/ウェルの密度で384ウェルプレートに分配した。各ウェルに、アッセイバッファー(F-12培地、20mM HEPES、1mM IBMX)で希釈した化合物溶液または8-AVP((Arg8)-バソプレシン)溶液5μl(計10μl/ウェル)を添加した(終濃度:15,000細胞/ウェル、500μM IBMX、1%ジメチルスルホキシド)。室温で30分間インキュベートした後、市販のHTRF cAMPキット(Cisbio社)を用いて、記載のプロトコールに従って、cAMP産生量を測定した。試験化合物のEC50、Emax値を求めるために、Excel Fitを用いた。試験化合物のEmax値は、8-AVPによる最大反応を100%として算出し、試験化合物の濃度−反応曲線から50%の反応を示す値をEC50値とし、得られたEC50、Emax値を、表10に示した。
【0168】
その結果、今回試験を行った実施例全ての化合物が、V2受容体アゴニスト活性を持つことが分かった。
【0169】
【表10】
【0170】
(3)ラットPK試験
実験動物として、雄性Sprague-Dawely(Crj:CD(SD)IGS:日本チャールスリバー株式会社)ラットを7〜8週齢で使用した。ラットは一晩絶食させたものを用いた。試験化合物をDMSOに溶解後、PEGと生理食塩水を加え0.5mg/mLの濃度で調製し(20/20/60, v/v/v)、0.5mg/kgの用量で尾静脈内に投与した。投与後6〜8時間まで経時的に頸静脈よりヘパリン処理したシリンジで採血を行い、採取した血液を遠心して血漿を得た。血漿中薬物濃度はLC/MS/MSを用いて測定した。LC/MS/MS測定用サンプルは血漿に内標準物質とアセトニトリルを加え、除タンパクした後の上清を用いた。PKパラメータはノンコンパートメントモデルで解析した。クリアランス(CLp)は投与量をAUC0-∞で除して算出した。分布容積(Vdss)はCLpに平均滞留時間(MRT)を乗じて算出した。得られたCLp、Vdssを、表11に示した。
【0171】
その結果、今回試験を行った実施例全ての化合物は、血漿クリアランス及び分布容積が良好であり、動態面において優れていることが分かった。
【0172】
【表11】
なお、比較化合物1とは、国際公開第2006/104008号公報記載の実施例4の化合物(化合物:N−(2−ヒドロキシエチル)−(R)−1−(2−クロロ−4−ピラゾール−1−イルベンゾイル)−3−メチル−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−4−カルボキサミド)を示す。
【0173】
(4)チトクロームP450(3A4)酵素阻害試験
96ウェルプレートを用いて、基質としてミダゾラム(2.5μM)、試験化合物(0.21〜50μM)、ヒト肝臓ミクロソームタンパク濃度0.1mg protein/mLを1.55mM NADP、3.3mMグルコース-6-ホスフェート、3.3mM MgCl2および0.4Units/mlグルコース-6-ホスフェート デヒドロゲナーゼを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH=7.4)の総量500μl中を反応液とした。10分間37℃でインキュベーションし、4倍量の冷アセトニトリルを加えて反応を停止させた。その後、遠心分離(5000g x 10分 x 4℃)し、上清を採取しLC/MS/MSで代謝物の生成量を測定した。各濃度の阻害率は試験化合物を含まない値に対して算出し,代謝物の生成量を50%阻害する試験化合物の濃度ポイント上下を決定した。これら二つの試験化合物濃度と阻害率を用いて、IC50を求めた。得られたIC50値を、表12に示した。
【0174】
(5)チトクロームP450(2C9)酵素阻害試験
96ウェルプレートを用いて、基質としてスルファフェナゾール(10μM)、試験化合物(0.21〜50μM)、ヒト肝臓ミクロソームタンパク濃度0.1mg protein/mLを1.55mM NADP、3.3mMグルコース-6-ホスフェート、3.3mM MgCl2および0.4Units/mlグルコース-6-ホスフェート デヒドロゲナーゼを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH=7.4)の総量500μl中を反応液とした。10分間37℃でインキュベーションし、4倍量の冷アセトニトリルを加えて反応を停止させた。その後、遠心分離(5000g x 10分 x 4℃)し、上清を採取しLC/MS/MSで代謝物の生成量を測定した。各濃度の阻害率は試験化合物を含まない値に対して算出し,代謝物の生成量を50%阻害する試験化合物の濃度ポイント上下を決定した。これら二つの試験化合物濃度と阻害率を用いて、IC50を求めた。得られたIC50値を、表12に示した。
【0175】
その結果、今回試験を行った実施例全ての化合物が、薬物代謝酵素CYP3A4及びCYP2C9に対して低い阻害作用を示すことが分かった。
【表12】
なお、比較化合物2とは、国際公開第97/22591号公報記載の実施例32の化合物(化合物:2−[(5R)−1−(2−クロロ−4−ピロリジン−1−イルベンゾイル)−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾアゼピン−5−イル]−N−イソプロピルアセトアミド)を示す。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明化合物は、V2受容体作動作用を有していることから、中枢性尿崩症、夜尿症、夜間頻尿、過活動膀胱、血友病、若しくはフォンウィルブランド病の予防又は治療剤として有用である。