(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231644
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】トライボロジーが改善された計時器コンポーネント
(51)【国際特許分類】
G04B 31/08 20060101AFI20171106BHJP
G04B 15/14 20060101ALI20171106BHJP
G04B 17/06 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
G04B31/08 A
G04B15/14 Z
G04B17/06 Z
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-214141(P2016-214141)
(22)【出願日】2016年11月1日
(65)【公開番号】特開2017-96932(P2017-96932A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2016年11月1日
(31)【優先権主張番号】15195386.6
(32)【優先日】2015年11月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599040492
【氏名又は名称】ニヴァロックス−ファー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・シャルボン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・デュボワ
【審査官】
榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭45−018184(JP,B1)
【文献】
特表2002−516924(JP,A)
【文献】
特開平05−208806(JP,A)
【文献】
特開昭60−069197(JP,A)
【文献】
英国特許第00528370(GB,B)
【文献】
米国特許第02159327(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 − 49/04
F16H 55/00 − 30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの自滑性表面層(2)を備え、前記表面層(2)が全てホウ酸H3BO3から成るドライ層であり且つ50ナノメートル〜1マイクロメートルの厚さを有することを特徴とする計時器コンポーネント(1)。
【請求項2】
前記コンポーネント(1)が、前記表面層(2)の下に、酸化ケイ素SiO2若しくは酸化アルミニウムAl2O3から形成される又は酸化ケイ素SiO2若しくは酸化アルミニウムAl2O3から形成される中間層(3)でコーティングされる支持層を備えることを特徴とする、請求項1に記載のコンポーネント(1)。
【請求項3】
前記コンポーネント(1)が、前記表面層(2)の下に、ケイ素又は酸化ケイ素又はCVDダイヤモンド又は別のマイクロファブリケーション材料から形成される支持層を備えることを特徴とする、請求項1に記載のコンポーネント(1)。
【請求項4】
前記コンポーネント(1)が、前記表面層(2)の下に、セラミック支持層を備えることを特徴とする、請求項1に記載のコンポーネント(1)。
【請求項5】
前記コンポーネント(1)が、前記表面層(2)の下に、鋼鉄又は銅合金又はニッケル又はニッケル化合物から形成される支持層を備えることを特徴とする、請求項1に記載のコンポーネント(1)。
【請求項6】
前記コンポーネント(1)が、前記表面層(2)の下に、プラスチック材料から形成される支持層を備えることを特徴とする、請求項1に記載のコンポーネント(1)。
【請求項7】
前記コンポーネント(1)が、がんぎ車、パレットレバー、テンプ、ガードピン、インパルスピン、爪石、バンキングピン、振り座、デテントピン、係止石、デテント、アンクル、ピンからの脱進機構コンポーネントであることを特徴とする、請求項1に記載のコンポーネント(1)。
【請求項8】
請求項7に記載の少なくとも1つのコンポーネント(1)を含む計時器脱進機構(10)。
【請求項9】
酸化ケイ素又はケイ素と酸化ケイ素SiO2との混合物から形成され、前記ホウ酸表面層(2)でコーティングされ、それぞれ前記ホウ酸表面層(2)でコーティングされたルビーの爪石である他の前記コンポーネント(1)と連携するように配置されたがんぎ車である前記コンポーネント(1)を備えることを特徴とする、請求項8に記載の脱進機構(10)。
【請求項10】
請求項8に記載の少なくとも1つの脱進機構(10)を含む計時器ムーブメント(100)。
【請求項11】
請求項10に記載の少なくとも1つのムーブメント(100)を含む時計(1000)。
【請求項12】
層を形成するために、以下の
周囲温度でホウ酸H3BO3顆粒又は粉末を水、イソプロパノール、プロパノール、メタノール、メチルプロパノール、グリコールエチレン、グリセロール、アセトンから選択した溶媒に0.01〜1.0質量%の割合で溶解させるステップと、
前記溶液を混合及び撹拌するステップと、
コーティングを施すコンポーネント(1)を前記溶液に浸漬させる又は前記コンポーネント(1)に前記溶液を噴霧するステップと、
浸漬させる場合に、前記コンポーネントを前記溶液から取り出すステップと、
蒸発が完了するまで表面層(2)を形成している表面を異物から隔離しながら液相を蒸発させるステップとを含むことを特徴とする、計時器コンポーネント(1)を自滑性表面層(2)でコーティングする方法。
【請求項13】
コーティングを施す前記コンポーネント(1)を前記溶液に浸漬させる又は前記コンポーネント(1)に前記溶液を噴霧し、
浸漬させる場合に、前記コンポーネントを前記溶液から取り出し、
蒸発が完了するまで前記表面層(2)を形成している表面を異物から隔離しながら液相を蒸発させることに存する前記ステップを、10ナノメートル〜10マイクロメートルの所望の層厚が得られるまで繰り返すことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
50ナノメートル〜1マイクロメートルの所望の層厚が得られるまで前記ステップを繰り返すことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
がんぎ車、パレットレバー、テンプ、ガードピン、インパルスピン、爪石、バンキングピン、振り座、デテントピン、係止石、デテント、アンクル、ピンから選択される、1秒あたり1より多いインパルスを発する又は1秒あたり1より多いインパルスにさらされる計時器脱進機構のコンポーネント(1)のコーティングへの請求項12に記載の方法の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの自滑性表面層を備えた計時器(timepiece)コンポーネントに関する。
【0002】
本発明は、少なくとも1つのそのようなコンポーネントを備えた計時器脱進機構にも関する。
【0003】
本発明は、少なくとも1つのそのような脱進機構を含む計時器ムーブメントにも関する。
【0004】
本発明は、少なくとも1つのムーブメントを備えた時計にも関する。
【0005】
本発明は、自滑性表面層を備えた計時器コンポーネントをコーティングする方法にも関する。
【0006】
本発明は、高いインパルス周波数、動作中のインパルス及び摩擦位相が多い過酷な使用にさらされる計時器機構用のコンポーネント、例えば脱進機構のコンポーネントの分野に関する。
【背景技術】
【0007】
脱進機構、特には最も一般的なスイスレバー脱進機をメンテナンス不要で動作させることは依然として現在の時計製造開発における主要な目標の1つである。メンテナンスとは一般に潤滑剤の補充を意味することから、潤滑剤を使用しない脱進機の開発では、極めて優れたトライボロジー特性を呈する固体材料を探すことになる。さらに、精度を上昇させるためにより高い周波数で脱進機を動作させる昨今のトレンドには、高加速時に潤滑油が吐き出されやすいことから、限界がある。現在、乾式潤滑の需要が特に高まっている。
【0008】
CHRYSLER CORPORATIONの英国特許第528370(A)号明細書には、油浴への熱浸漬又は適切な固形潤滑剤の細孔への導入により自滑性にできる、圧縮及び焼結された多孔性の金属粉末系の組成物が開示されている。この文献には、軸受けを一体化させた計時器構造体を創製するための、そのようにして作製されたプレートの使用が記載されている。これらのプレートは他の金属プレートで補強し得る。ドライ自滑性表面層の特定の組成物は、適切な割合の
・鉛、スズ、グラファイト、ホウ酸
・銅、スズ、マイカ、ホウ酸
・鉄、銅、グラファイト、ホウ酸
の混合物に関係し、これらの混合物をダイ又はローラでブリケットに圧縮し、好ましくは還元雰囲気下で焼結する。
【0009】
CHRYSLER CORPORATIONのHENDRICK JOHNの米国特許第2159327号(A)明細書には軸受けアセンブリが開示されており、このアセンブリは、液状潤滑剤が染み込んだ多孔性金属から形成される一方のピボットと弾性を喪失可能であり且つピボットを覆う非金属材料から形成されるもう一方のスリーブとを備え、中間スリーブは潤滑剤不浸透性の材料を含む。特定の組成において、多孔性金属は銅、スズ及びグラファイトを含み、また特には押圧又は焼結中に有用なホウ酸又はサリチル酸等の固形潤滑剤を含有し得る。
【0010】
BARTHEL ANTHONY J ET AL,“Origin of Ultra−Low Friction of Boric Acid:Role of Vapor Adsorption”,Tribology Letters,Baltzer Science Publishers,NL,Vol.58,N°3,21.04.2015,pp.1−12,XP035489852,ISSN 1023−8883の記事には、ホウ酸の潤滑特性が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】英国特許第528370(A)号明細書
【特許文献2】米国特許第2159327号(A)明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】BARTHEL ANTHONY J ET AL,“Origin of Ultra−Low Friction of Boric Acid:Role of Vapor Adsorption”,Tribology Letters,Baltzer Science Publishers,NL,Vol.58,N°3,21.04.2015,pp.1−12,XP035489852,ISSN 1023−8883
【発明の概要】
【0013】
ホウ酸H
3BO
3は、その乾式潤滑能により、摩擦という観点から特に有利である。摩擦の間、ホウ酸の平坦な結晶結合は表面に平行な層を構成し易い。この配列が、硫化モリブデンMoS
2、硫化タングステンWS
2等の周知の化合物と同様の形で摩擦を軽減する。
【0014】
本発明の目的は、潤滑剤を使用することなく計時器脱進機を動作させることでメンテナンスを減らし、高い振動周波数を可能にすることである。
【0015】
これを目的として、本発明は、請求項1に記載の少なくとも1つの自滑性表面層を備えた計時器コンポーネントに関する。
【0016】
本発明は、少なくとも1つのそのようなコンポーネントを備えた計時器脱進機構にも関する。
【0017】
本発明は、少なくとも1つのそのような脱進機構を含む計時器ムーブメントにも関する。
【0018】
本発明は、少なくとも1つのムーブメントを備えた時計にも関する。
【0019】
本発明は、請求項12に記載の、計時器コンポーネントを自滑性表面層でコーティングする方法にも関する。
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことで明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実質的に互いに且つ材料の表面に対して平行な層状であるホウ酸H
3BO
3の三斜晶系結晶構造の概略斜視図である。
【
図2】本発明のコンポーネントを使用した脱進機構を備えたムーブメントを備えた時計を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、最大応力下にある、少なくとも計時器機構のコンポーネントに関して、これらをドライ自滑性表面層を施して形成することを提案するものであり、そのためにはホウ酸H
3BO
3の使用が好ましく、ホウ酸H
3BO
3は、その乾式潤滑能により、摩擦という観点から特に有利である。
【0022】
したがって、本発明は、少なくとも1つの自滑性表面層2を備えた計時器コンポーネント1に関する。本発明において、この表面層2は、ホウ酸H
3BO
3を含むドライ層であり且つ10ナノメートル〜10マイクロメートルの厚さを有する。
【0023】
より具体的には、この厚さは50ナノメートル〜1マイクロメートルである。
【0024】
より具体的には、本発明において、この表面層2は全てホウ酸から成る。
【0025】
有利には、コンポーネント1は、この表面層2の下に、ホウ酸の接着性を極めて良好にするために選択した材料を含む。特には、コンポーネント1は、表面層2の下に、酸化ケイ素SiO
2若しくは酸化アルミニウムAl
2O
3から成る又は酸化ケイ素SiO
2若しくは酸化アルミニウムAl
2O
3若しくはDLC等から成る中間層3でコーティングされる支持層を備える。
【0026】
極めて薄い自然酸化物が自然にケイ素上に形成される。接着層としてはこれで十分と思われる。しかしながら、制御された酸化物層を得るために、ケイ素を熱酸化するのが好ましい。同じことはアルミナAl
2O
3にも当てはまる。
【0027】
コンポーネント1の支持層は様々なやり方で形成し得て、特には以下を挙げるがこれらに限定するものでない。
・ケイ素若しくは酸化ケイ素若しくはCVDダイヤモンドから形成される又はLIGA若しくは同様のタイプのアディティブ法によるマイクロファブリケーション材料若しくはDRIE若しくは電食若しくは同様のタイプのマイクロマシニング法で変化させたブランク由来の又はMEMSタイプの方法の実行で得られる支持層
・セラミック支持層
・鋼鉄若しくは銅合金、CuBe、ニッケル若しくはニッケル化合物、NiP又は時計製造で一般的に使用される同様の合金から形成される支持層
・貴金属、金、白金又は銀から形成される支持層
・プラスチック材料から形成される支持層
【0028】
より具体的には、本発明は極めて有利には、がんぎ車、パレットレバー、テンプ、ガードピン、インパルスピン、爪石、バンキングピン、振り座、デテントピン、係止石(locking stone)、デテント、アンクル(fork)、ピンから選択される、脱進機構コンポーネントであるコンポーネント1に適用される。
【0029】
本発明は、少なくとも1つのそのようなコンポーネント1を含む計時器脱進機構10にも関する。
【0030】
より具体的には、この脱進機構10は1つのそのようなコンポーネント1を備え、このコンポーネント1は酸化ケイ素又はケイ素と酸化ケイ素SiO
2との混合物から形成されるがんぎ車である。典型的には、有利な実施形態において、コンポーネント1はDRIEによりケイ素から形成され、次に熱酸化させられる。シリカ又は石英(結晶又はアモルファスSiO
2)から形成されたコンポーネントのマイクロファブリケーションは現時点ではまだ完全に会得されてはいない。がんぎ車をホウ酸表面層2でコーティングし、それぞれそのようなホウ酸表面層2でコーティングしたルビーの爪石である他のコンポーネント1と連携するように配置する。
【0031】
本発明は、少なくとも1つのそのような脱進機構10を含む計時器ムーブメント100にも関する。
【0032】
本発明は、少なくとも1つのこのタイプのムーブメント100を含む時計1000にも関する。
【0033】
本発明は、計時器コンポーネント1を自滑性表面層2でコーティングする方法にも関する。
【0034】
この表面層2を形成するために、この方法は、以下の
周囲温度でホウ酸H
3BO
3顆粒又は粉末を水、イソプロパノール、プロパノール、メタノール、メチルプロパノール、グリコールエチレン、グリセロール、アセトン又は同様のものから選択した溶媒に0.01〜1.0質量%、典型的には約0.15質量%の割合で溶解させるステップ(水の場合は、水の温度を上昇させることで溶解を促進させることが可能である)と、
この溶液を、溶解を促進する、例えば、以下に限定するものではないが、超音波を使用して混合及び撹拌するステップと、
コーティングを施すコンポーネント1をこの溶液に浸漬させる又はコンポーネント1に液滴状のこの溶液をエーロゾル若しくは標的を定めたやり方(すなわち、ピエゾ又は同様のインジェクタによりコンポーネントの機能領域にだけ)で噴霧するステップと、
浸漬させる場合は、コンポーネントを溶液から取り出すステップと、
蒸発が完了するまで表面層2を形成している表面を異物から隔離しながら液相を蒸発させるステップとを含む。
【0035】
より具体的には、10ナノメートル〜10マイクロメートルの所望の層厚が得られるまで、
コンポーネント1を浸漬させる又はコンポーネント1に噴霧を行い、
浸漬の場合は、コンポーネント1を溶液から取り出し、
蒸発が完了するまで表面層2を形成している表面を異物から隔離しながら液相を蒸発させることに存するステップを繰り返す。
【0036】
より具体的には、これらのステップを繰り返すことで50ナノメートル〜1マイクロメートルの厚さを得る。
【0037】
ホウ酸層H
3BO
3の厚さは、溶液の濃度によっても制御し得る。
【0038】
したがって、厚さは溶液の濃度にも左右される。既に生成したホウ酸の溶解が比較的緩慢であることから、これらのステップを繰り返すことで厚さを増大させることが可能である。
【0039】
好ましくは、この方法を、がんぎ車、パレットレバー、テンプ、ガードピン、インパルスピン、爪石、バンキングピン、振り座、デテントピン、係止石、デテント、アンクル、ピンから選択される、1秒あたり1より多いインパルスを発する又は1秒あたり1より多いインパルスにさらされる計時器脱進機構のコンポーネント1のコーティングに応用する。
【0040】
したがって、この好ましい応用例において、本発明は、脱進機のコンポーネントの少なくとも1つ、典型的にはがんぎ車及び/又は爪石を溶液状で塗布するホウ酸でコーティングし、この液体を次に蒸発させることで表面に固体状態の純粋なホウ酸(ホウ酸H
3BO
3の融点=171℃)を得ることに存する。典型的には、ホウ酸層の厚さは50ナノメートル〜1マイクロメートルである。殆どの現代の脱進機構においては、ホウ酸でコーティングするコンポーネントは典型的にはケイ素、ケイ素及び酸化ケイ素、金属又はセラミックから形成される。これらは接着性を高める粗い又は多孔性の表面を有し得る。
【0041】
溶液の典型的な濃度を、コンポーネントが薄層、より具体的には100nmオーダーの固形ホウ酸の薄層でコーティングされるように計算する。周囲温度でのH
3BO
3の溶解度は上で提案した溶媒液において推奨の割合より高く、概して、液体の加熱は不要である。しかしながら、特には引火性ではない水の場合、加熱は溶解を促進し得る。
【0042】
溶解を促進するために、H
3BO
3粉末を有利には溶媒と混合、撹拌し、また超音波も使用し得る。
【0043】
コーティングを施すコンポーネントを溶液に浸漬させ又はコンポーネントに溶液を噴霧し、次に取り出し、例えば吸取紙上に置いた機能部との接触が防止されるように乾燥させる。軽いガス流を用いることで液体の蒸発を加速させ得る。
【0044】
その最後の状態で、コンポーネント1を所望の表面層2でコーティングする。
【0045】
コーティングに先立ってコンポーネント1の表面に鏡面磨きを施すと、干渉縞が目につく。堆積させたホウ酸の厚さが典型的には約50〜100nmと薄いと、色に目立った変化は起きない。
【0046】
検証のために鋭利な物体に表面を通過させると、層の存在を示す痕跡が残る。
【0047】
当然のことながら、XRD又はラマン分析によりH
3BO
3層の存在の確実性を確認することができる。堆積させた表面層2は殆ど目に見えないため、機械的又は審美的な不都合を引き起こすことなくコンポーネント1全体をコーティングし得ることに留意されたい。
【0048】
要するに、本発明により、潤滑剤を使用することなく計時器脱進機を動作させてメンテナンスを減らし、高い振動周波数を実現することができる。