【実施例1】
【0027】
図1は、本発明に係る太陽光発電プラント施工法の作業手順の概要を説明する流れ図である。
図2は、本発明に係る太陽光発電プラント施工に用いるソーラーストリング化工程の説明図、また
図3は、本発明に係る太陽光発電プラント施工に用いる組み立てたソーラーストリングの構造例の説明図である。そして、
図4は、プレアセブル工場において組み立てた多数のソーラーストリングを専用コンテナに収納する態様の説明図、
図5は、コンテナトラックの説明図、
図6は発電サイトに待機する発電サイト構築専用重機の説明図、
図7は、
図6の矢印A方向から見た発電サイト構築専用重機と専用コンテナの正面の概略図、
図8は、
図6の矢印B方向から見た発電サイト構築専用重機と専用コンテナの後面の概略図である。
【0028】
図1に示した作業手順の流れを、
図2乃至
図8を参照して説明する。本発明の作業手順は、ソーラーストリングを組み立てるプレアセンブル工場での作業と、プレアセンブル工場から輸送したソーラーストリングを架台に配置して設置する発電サイトでの作業とからなる。プレアセンブル工場は特定のソーラー発電プラントの設置場所(ソーラー発電サイト、単に発電サイトとも称する)のフィ−ルドとは無関係の場所に設置されるもので、ソーラーモジュールを組み立ててストリングとし、発電サイトではそのフィールドにおける配置を簡単化するものである。発電サイトには、国内あるいは国外からソーラーモジュールが陸路あるいは海路を通って集荷され、荷揚げされて荷解きされ、組み立てラインに搬入される(ステップS−1、以下単にS−1のように表記する)。
【0029】
搬入されたソーラーモジュール110はストリング化工程に渡される(S−2)。ストリング化作業では、
図2乃至
図3に示したように、先ず複数本の支持フレーム(本実施例では、並行な2本のクロスビーム)120(120a,120b)に配列され、ボルト等で固定される(S−21)。この固定では、
図2に示したように、ソーラーモジュール110を、所定枚数(ここでは、11枚)を上記一対の支持フレーム120(120a,120b)の長手方向に整列させてボルトナット111(ボルト111aとナット111b)で固定され、ソーラーストリング100に組み立てる。なお、この固定手段は単純なボルトナットを用いた固定に限らず、補助的な固定金具を介在させてもよい。
図2、
図3は、ボルトナットのみを用いた固定を示す。
【0030】
図3の(a)に示されたように、支持フレーム120(120a,120b)はチタンを好適とする断面がコ字状の長尺フレームであるが、防錆処理した鉄材、ステンレス材、アルミニウムなどの適宜の金属材、あるいは強化樹脂材を用いることもできる。また、支持フレームは上記のコ字断面にかぎるものではなく、H字断面、L字断面、円形あるいは楕円形断面、その他の撓みに強い構造、耐候性の材料を採用できる。
【0031】
複数のソーラーモジュール110を支持フレーム120に固定した後、各ソーラーモジュール間の電気配線を接続するストリング内ケーブリングを行う(S−22)。各セルの出力配線には、図示しないが、ワンタッチ接続可能なコンセントとプラグが設けてあり隣接するソーラーモジュール110間のケーブリング作業を単純化している。接続部には、予め防水手段を施しておくのが好ましい。このようにして組み立てしたソーラーストリング100は、
図4に示したストリング専用コンテナ4に積み込み収容する。この積み込みには、プレアセンブル工場に固定設置した場内クレーン5を用いるが、移動式クレーン等、他の荷役施設を用いてもよい。
【0032】
場内クレーン5は、基台5aに植立した支柱5bに、第1アーム5cと第2アーム5dが取り付けられ、第2アーム5dの先端に真空吸着手段(バキュームグリッパー)6を備えている。真空吸着手段6は、多数の真空吸着パッド6Aを備え、これをソーラーストリング100の表面に吸着させ、平面撓みを最小にして吊り上げ、かつ吊り下げてストリング専用コンテナ4に収容するようになっている。真空吸着パッドを、ソーラーストリングを構成する各ソーラーモジュール対応で配置するのが好ましい。プレアッセンブル工程の最終段で出荷検査を通過したソーラーストリング100は、工場出荷時にストリング毎にバーコード等でナンバリングされる。このナンバリングを用いて工場出荷から発電サイトでの設置、設置後の運用、モニタリングを一貫して管理する。モニタリングされたソーラーストリング100は、場内クレーン5の真空吸着手段6でストリング専用コンテナ4内に順次に積み込まれる。なお、ソーラーモジュールの生産工場でもソーラーモジュール1枚毎に識別コード(モジュール識別コード)が付与される。
【0033】
予定数のソーラーストリング100を積み込んだストリング専用コンテナ4は発電サイトへの輸送ステップ(サイト輸送ステップS−3)に渡される。サイト輸送ステップでは、ストリング専用コンテナ4を通常のコンテナトラック(トレーラトラック)7に載置する(S−31)。ストリング専用コンテナを積み込んだコンテナトラック7は、指定された発電サイトに向けて発進する(搬送S−32)。なお、交通の利便性を考慮して、途中まで鉄道輸送が可能で、遠隔地に発電サイトがある場合などの輸送コスト的に有利であれば、ストリング専用コンテナ4をコンテナ貨車(コキ車)での中間輸送を行なってもよい。また、発電サイトにソーラーストリングの組立工場を設置している場合には、後述する発電サイト構築専用重機で直接輸送することもできる。
【0034】
ストリング専用コンテナ4を積み込んだコンテナトラック7が発電サイトに到着し、発電サイトでのストリング設置ステップに入る(S−4)。発電サイトには発電サイト構築専用重機(特殊重機)8が待機している。発電サイト構築専用重機8には、コンテナ移載装置80と、伸縮アーム90と真空吸着手段60を具備したストリング専用クレーン9とレーザ測距手段のレーザヘッド13が設備されている。レーザ測距手段のレーザヘッド13は発電サイト構築専用重機8の両側に設けてあり、発電サイト構築専用重機8の両側面に沿って上下に昇降可能に設置するのが好ましい。ストリング専用コンテナ4はコンテナ移載装置80で発電サイト構築専用重機8に吊り上げ移載する。
【0035】
専用クレーン9には、
図4で説明したものと同様のソーラーストリングの表面を吸着して吊り上げ、吊り下げるための真空吸着装置(バキュームグラッパー)60が設けられている。
図6では、この真空吸着装置60を折畳んだ状態で示す。設置ステップ(S−4)では、発電サイトに設置してあるクレーン、あるいは発電サイト構築専用重機8に備えたコンテナ移載装置80でコンテナトラックに積んであったストリング専用コンテナ4を発電サイト構築専用重機8の荷台に吊り下げ移載する(特殊重機に移載S−41)。
図7はコンテナ移載装置80でコンテナトラックに積んであったストリング専用コンテナ4を吊り上げた様子を示している。複数のストリング専用コンテナ4を一旦コンテナ置き場に集積してから作業する場合は、その集積場所でストリング専用コンテナ4を発電サイト構築専用重機8の荷台に搭載することもできる。
【0036】
コンテナトラックからストリング専用コンテナ4を移載した発電サイト構築専用重機8は、発電サイトのフィールド(ソーラーストリングを載置する多数の架台を配列した立地)の初期作業位置に移動する。初期作業位置は、フィールドに配列して設置された架台列の端縁でもいいし、架台列の中ほどでもよい。架台列の端縁よりも架台列の中ほどで、発電サイト構築専用重機8によるソーラーストリング100を載置する架台列へのソーラーストリングの配置を両側で行なうようにするのが効率的である。
【0037】
次に、発電サイトのフィ−ルドに設置した多数の架台の位置測定について説明する。
図9は、発電サイト構築専用重機8に設置したレーザ測距手段を用いた架台位置の測定方法の説明図、
図10は、参照ポールを用いた架台位置の測定方法の一例を説明する模式図である。そして、
図11は、本発明の発電サイト構築専用重機における架台位置測定とソーラーストリングの設置制御システムの一例を説明する機能ブロック図である。
【0038】
初期作業位置では、先ず、発電サイト構築専用重機8に設置されているレーザ測距手段のレーザヘッド13を用いて、現在地(初期作業位置)から専用クレーン9の
伸縮アーム90でソーラーストリング100を設置できる範囲(専用クレーンの
伸縮アーム90のサービス範囲)にある架台10の位置と水平方向の位置情報を、参照ポール15を用いた参照ポール位置算出手段21で得る。レーザヘッド13は、地面から所定の高さH、例えばH=2.5mより若干高い位置で水平方向180度の範囲にレーザ光を出射するように設置する。参照ポール15はレーザヘッド13から出射されるレーザ光Lを遮る高さで、ソーラーストリングの中心100Cが配置されるべき架台10の近傍に作業員の手で順次植立保持される。
【0039】
レーザヘッド13の地上高さHは、架台10の最頂部の高さDより若干高く、且つ架台にソーラーストリングを据付けたときの当該ソーラーストリングの最頂部の高さよりも若干高い値に設定される。レーザヘッド13はレーザコントローラ20で制御され、参照ポール15からの反射光を受光し、受光信号を参照ポール距離算出手段21と参照ポール水平角算出手段22に与えてその距離と角度を算出する。算出した参照ポールの位置情報は架台位置情報として記憶手段24に格納される(架台位置測定S−42)。この架台位置情報にはソーラーストリングを配置する架台の順序スケジュールも含まれる。発電サイト構築専用重機8の直近にある架台からソーラーストリングの配置を開始するのが望ましいが、フィ−ルドの状態(傾斜地、架台配列状態など)によっては、適宜の場所の架台からソーラーストリングの配置を開始してもよい。
【0040】
レーザヘッド13から出射したレーザ光14は、
図10に示したように、設置すべきソーラーストリング100の中心部分100Cに近接した位置に植立した参照ポール15で反射光14Aとなってレーザヘッド13に戻ってくる。出射したレーザ光14と反射光14Aとの時間軸上の差、或いは両者のレーザ波の位相差からレーザヘッド13と参照ポール15との距離を参照ポール距離算出手段21で算出する。参照ポール水平角度算出手段22は、レーザヘッドの基準位置の向き(測定前のデフォルト位置)からの現在測定している架台方向との位置(レーザ光の反射光位置)との間の角度で算出する。
【0041】
測定した架台位置へのソーラーストリングの配置は、上記レーザ光による測定値に基づく専用クレーンの移動による。架台上でのソーラーストリングの正確な位置合わせと固定は熟練した少人数の作業員が行なう。参照ポール15による架台の位置測定は、架台毎にするのが精度の上から好ましいが、個々のソーラーストリングの最終的な設置位置は熟練した作業員の手によることを考慮すれば、架台列の要所要所で参照ポールを用いた測定を行ない、測定点の間の架台位置は予測値で設定することもできる。
【0042】
架台の位置を測定後、発電サイト構築専用重機8は専用コンテナ4の上蓋を開放し、
図6に示した専用クレーン9の
伸縮アーム90に取り付けた真空吸着手段60を展開して当該専用コンテナ4に収容されている最上部のソーラーストリングを真空吸着手段60に備えた複数の真空パッド6Aで吸着して吊り上げる。ストリング専用クレーン9の
伸縮アーム90はクレーンアーム移動制御手段27とアーム移動情報処理手段28により、記憶手段24に格納されている架台位置情報と順序スケジュールに基づいて、ストリング専用クレーン9の
伸縮アーム90を専用コンテナ4と所定の架台10との間を順次往復移動させる。クレーンコントローラ29は、ストリング専用クレーン9の基幹動作と真空吸着手段6Aの動作を制御する機能を分担する。
【0043】
この制御システムには、キーボードやマウス、画面タッチ入力などのオペレータインターフェース26からの各種指示入力、その他のシステム全体の制御を行なうCPU23、作業の進捗状況、入出力データ表示、等を表示するための表示手段24、必要なデータの印刷を行なうためのプリンター30、通信制御手段31などが設けられている。通信制御手段31は、本システムを携帯端末(タブレットやスマートホンなど)で実行する際のリモートインターフェースである。上記で説明した本発明における制御システムは一例に過ぎず、本発明の作業を実行する目的の範囲内で種々の構成を採用できる。
【0044】
以上のように、ストリング専用コンテナを移載した発電サイト構築専用重機は、発電サイトのフィールド(ソーラーストリングを載置する多数の架台を配列した立地)の初期作業位置に移動する。初期作業位置では、先ず、発電サイト構築専用重機に設置されているレーザ側距手段を用いて、現在地(初期作業位置)から専用クレーンでソーラーストリングを設置できる範囲(クレーンのサービス範囲)にある架台の位置と方向を参照ポール位置算出手段で得た参照ポールの位置情報に基づいて設定する。この参照ポールの位置情報に基づく架台の位置情報を用いて、アーム移動情報処理手段がソーラーストリングを配置するためのアーム移動情報をアーム移動情報処理手段で演算し、これを記憶装置に格納する。
【0045】
図12は、ソーラーストリング専用コンテナからソーラーストリングを吊り上げて架台に配置する手順の説明図、
図13は
図12の手順に続くソーラーストリング配置手順の説明図である。先ず、
図12の手順[1]に示したように、ストリング専用コンテナ4に収容されている最上部のソーラーストリング100をストリング専用クレーンの
伸縮アーム90に取り付けた真空吸着手段60で吊り上げる。吊り上げたソーラーストリング100を移動させて先の工程で設定された所定の架台10に当該ソーラーストリング100の中心100Cを合わせて載置し(
図12の手順[2]−[3])、作業員の手で位置調整して固定する(
図12の[4])。その後、ストリング内と先に設置した隣接するストリング間とのケーブリングを行なう。この手順[1]に示した位置がスタートポジション(0ポジション)と呼ばれ、ソーラーストリング100を所定の架台10に設置後の作業、すなわち手順[4]→[6]の繰り返しでは作業員の操作パネルのボタン一つで自動的にスタートポジションに戻るように動作する。
【0046】
ソーラーストリング100の中心100Cへの位置合わせは、最終的には作業員が容易に作業できる誤差の範囲でよい。例えば、数十センチの範囲であれば、作業員にとって中心合わせは容易である。GPSを用いて架台の位置を設定するという考えもあるが、民間利用のGPSの精度は10m程度で、DGPSでも数m程度である。したがって、現時点では本発明のような架台の位置を測定するのにGPS測位を用いるのは難しい。しかしながら、将来的にGPSの制度が向上すれば、上記したレーザを用いた測距に替えてGPSを利用した架台位置の測定も採用できる。
【0047】
上記手順[3]―[4]の実行中にソーラーストリング専用コンテナに積層されているソーラーストリングの最上位置にあるソーラーストリングがコンテナの最上部に矢印で示したように上昇する。真空吸着手段60は、上記固定されたソーラーストリング100から離脱し(手順[5])、最上部に上昇した次のソーラーストリング100をストリング専用クレーン9の
伸縮アーム90に取り付けた真空吸着手段60で吊り上げて先に設置された架台の上のソーラーストリングの隣に配置する(
図12の手順[6]―[7]―[8])。
【0048】
以下、同様にして、ストリング専用クレーン9の
伸縮アーム90はクレーンアーム移動制御手段27とアーム移動情報処理手段28により、記憶手段24に格納されている架台位置情報と順序スケジュールに基づいて、ストリング専用クレーン9の
伸縮アーム90を専用コンテナ4と所定の架台10との間を順次往復移動させる。
【0049】
図14は、発電サイト構築専用重機の一側面(右側)に設置された架台の3列目にソーラーストリングを配置している状態の説明図である。ここでは、発電サイト構築専用重機に備えた専用クレーンのサービス範囲が当該発電サイト構築専用重機の横方向で3列目までとした場合を示す。発電サイト構築専用重機の車長方向でのサービス範囲は、ソーラーストリングの長さにもよるが、本実施例では最長で6枚の長さ(ソーラーストリング12枚分)で、横方向に1列離れる方向で4枚の長さ(ソーラーストリング8枚分)、同2列離れる方向で2枚の長さ(ソーラーストリング4枚分)とされている。従って、本実施例においては、発電サイト構築専用重機が一つの場所で設置するソーラーストリングの数は最大で48枚となる。
【0050】
このサービス範囲は、発電サイト構築専用重機に備える専用クレーンの
伸縮アームの旋回範囲に依存する。本実施例で必要とされる作業員の数は、クレーンオペレータ11が1名、調整と固定及びケーブリング作業に4名、計5名で足りる。この作業を繰り返して、ソーラー発電サイトのフィ−ルドにある全ての架台にソーラーストリングを設置する。
【0051】
図15は、架台にソーラーストリングを設置した発電サイトのフィ−ルドの一部を横から見た模式図である。また、
図16は、
図15に示した発電サイトのフィ−ルドの一部を上から見た模式図である。本実施例では、ソーラーストリング100は架台の傾斜方向に2枚(二段)ずつ設置される。ここでは、架台10の高さを、傾斜角が低い側で2mとしている。高い側の地上高さは設置フィ−ルドの立地条件(緯度、フィ−ルドの起伏、等)による。
図15、
図16では、架台列の影が後ろ側の架台列に掛らないように、架台の低い側での傾斜角が2mに対し、列間を2mとし、この部分を管理通路16としている。
【0052】
なお、管理通路16には背丈が低い植物帯160を設けて管理作業員の通行に邪魔にならないようにし、架台10の下側には架台に達しない程度の適宜の背丈となる植物帯170を設けて保水力を高める。これらの植物帯160や170は、道路の法面の表面処理に用いられる植物誘導吹き付けで行なうのが望ましい。
【0053】
なお、太陽に対するソーラーストリング100の設置角について、当該ストリングの設置方位を真南にした場合、設置角はほぼ緯度と一致する。周囲に影となる障害物がなければ、真南とすることでもっとも多くの日射量を受けることができる。ソーラーストリングの設置角については、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公開している「日射量データベース」を参考にすることができる。しかし、フィ−ルドの立地条件によっては、設置方位を真南に出来ない場合があるので、発電サイトのフィ−ルドの立地条件で最も効率のよい設置角を設定することになる。
【0054】
本実施例により、少人数の作業員で工期の短縮と作業の安全性を確保でき、かつ低コストで設置を可能とした太陽光発電プラント施工法を得ることができる。