(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231684
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】工作機械のためのレーザ切断ヘッド
(51)【国際特許分類】
B23K 26/70 20140101AFI20171106BHJP
B23K 26/046 20140101ALI20171106BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20171106BHJP
【FI】
B23K26/70
B23K26/046
B23K26/38 A
【請求項の数】28
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-533202(P2016-533202)
(86)(22)【出願日】2014年11月20日
(65)【公表番号】特表2016-539007(P2016-539007A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】EP2014075209
(87)【国際公開番号】WO2015075152
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2016年7月20日
(31)【優先権主張番号】13194090.0
(32)【優先日】2013年11月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507385752
【氏名又は名称】サルヴァニーニ イタリア エッセ.ピ.ア.
【氏名又は名称原語表記】SALVAGNINI ITALIA S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ゲスイタ,エンツォ
(72)【発明者】
【氏名】マンツォ,リッカルド
(72)【発明者】
【氏名】グランツィエロ,アンジェロ
【審査官】
奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−024811(JP,A)
【文献】
特開2000−066077(JP,A)
【文献】
特開2012−020311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00−26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送手段を介してレーザ発光装置によって作動(powered)され、且つ、切断工作機械と連動可能な(associable)レーザ切断ヘッドであって、
−前記レーザ発光装置からのレーザビームをコリメート(collimate)するコリメート手段(2)、
−前記コリメート手段(2)から来るコリメートされたレーザビームを集束する集束手段(5)、
−前記集束手段(5)を受け入れ保持するケーシング(4)、及び、
−前記集束手段(5)を前記ケーシング(4)のキャビティ(21)内に受け入れ保持するように構成され、且つ、調節方向(X)に沿って移動可能で、前記集束手段(5)から来るレーザビームの焦点を変える支持手段(6)を備える前記レーザ切断ヘッド(1)において、
−少なくとも1つのペルティエセル(12)と放熱部材(13)とを備える冷却ユニット(10)、
−熱伝導材料から成る前記支持手段(6)を前記冷却ユニット(10)に対して接続して前記支持手段(6)と前記冷却ユニット(10)とをリジッドに連結し、且つ、前記集束手段(5)を通過する時に前記レーザビームによって発生された熱を熱伝導によって前記支持手段(6)と前記集束手段(5)から取り出すように構成された熱伝導接続手段(31,41;32,42)、及び、
−前記熱伝導接続手段(31,41;32,42)および/又は前記冷却ユニット(10)を支持し、且つ、前記ケーシング(4)の外壁(4a)にスライド可能に接続されるとともに前記調節方向に沿って移動可能であり、前記支持手段(6)および前記集束手段(5)を移動させる移動部材(37;47)を有するレーザ切断ヘッド。
【請求項2】
前記熱伝導接続手段(31,41;32,42)は、それぞれ熱伝導材料から成る第1接続部材(31;41)と第2接続部材(32;42)とを有し、前記第1接続部材(31;41)は前記支持手段(6)に固定され前記支持手段(6)を保持する第1端部と、前記ペルティエセル(12)に接続された前記第2接続部材(32;42)に固定された第2端部とを有する請求項1に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項3】
前記移動部材(37;47)は、前記第2接続部材(32;42)に接続されている請求項2に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項4】
前記移動部材(37)は、前記接続部材(31,32)を前記支持手段(6)と前記ペルティエセル(12)とに接続することを可能にする個別の開口部(37a)を備えている請求項2又は3に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項5】
前記第2接続部材(42)と前記移動部材(47)とは一体であり、熱伝導材料で形成されている請求項3に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項6】
前記第2接続部材(32;42)および/又は前記移動部材(37;47)は、前記キャビティ(21)の開口部(17)を気密に閉じる請求項2〜5のいずれか一項に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項7】
前記ペルティエセル(12)は、前記熱伝導接続手段(31,32;41,42)に接続された低温面(12a)と、前記放熱部材(13)に接続された高温面(12b)とを有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項8】
前記ケーシング(4)に固定され、且つ、前記移動部材(37;47)に接続されて前記移動部材(37;47)を前記調節方向(X)に沿って移動させる駆動手段(9)を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項9】
前記集束手段は、少なくとも1つの集束レンズ(5)を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項10】
前記冷却ユニット(10)は、並列および/又は直列に配置された複数のペルティエセル(12)を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項11】
前記放熱部材(13)は、空気の通過、特に、対流による空気の通過のための複数の冷却ダクト(14)を有する請求項1〜10のいずれか一項に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項12】
冷却流体、特に圧縮空気を前記冷却ダクト(14)に導入するための取り入れ手段(15)を有する請求項11に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項13】
光伝送手段を介してレーザ発光装置によって作動され、かつ、切断機械工具と連動させることが可能なレーザ切断ヘッドであって、
−前記レーザ発光装置から来るレーザビームをコリメートするコリメート手段(2)、
−前記コリメート手段(2)から出るコリメートされたレーザビームを集束する集束手段(5)、
−前記集束手段(5)を受け入れ収納するケーシング(4)、及び、
−前記集束手段(5)を前記ケーシング(4)のキャビティ(21)内に受け入れ保持するように構成され、且つ、調節方向(X)に沿って移動可能で、前記集束手段(5)から来るレーザビームの焦点を変える支持手段(6)を備える前記レーザ切断ヘッド(1)において、
−前記ケーシング(4)に接続され、且つ、少なくとも1つのペルティエセル(12)と放熱部材(13)とを有する冷却ユニット(10)、及び、
−熱伝導材料から形成された前記支持手段(6)を前記冷却ユニット(10)に接続して、前記集束手段(5)を通過する時に前記レーザビームによって発生された熱を熱伝導によって前記支持手段(6)と前記集束手段(5)とから取り出し、且つ、前記支持手段(6)が前記調節方向(X)に沿って移動することを可能にする少なくとも1つのフレキシブルな熱伝導部材(11)を有する熱伝導接続手段(11)を備えるレーザ切断ヘッド。
【請求項14】
前記集束手段は、少なくとも1つの集束レンズ(5)を有する請求項13に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項15】
前記支持手段は、前記キャビティ(21)内に含まれるとともにその内部でスライドし、且つ、熱伝導材料、特にアルミニウム合金および/又は真鍮等の高熱伝導材料から成る支持部材(6)を有する請求項13又は14に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項16】
前記ケーシング(4)の側壁に形成された開口部を通して前記支持手段(6)に接続され、且つ、前記支持手段(6)を前記調節方向(X)に沿って移動させるように構成された駆動手段(9)を有する請求項13〜15のいずれか一項に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項17】
前記フレキシブル熱伝導部材(11)は、編組銅テープおよび/又はグラファイト被覆テープを備える請求項13〜16のいずれか一項に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項18】
前記フレキシブル熱伝導部材(11)は、前記冷却ユニット(10)に固定されるように構成された主部分(11a)を有し、ここから前記支持手段(6)の両面に固定されるように構成された二つの延出部分(11b)が延出している請求項13〜17のいずれか一項に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項19】
前記ペルティエセル(12)は、前記熱伝導接続手段手段(11)に接続された低温面(12a)と、前記放熱部材(13)に接続された高温面(12b)とを有する請求項13〜18のいずれか一項に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項20】
熱伝導材料から成り、且つ、前記キャビティ(21)と前記支持手段(6)へのアクセスを提供する前記ケーシング(4)の開口部(17)を閉じるように構成されたカバー(16)を有し、前記ペルティエセル(12)の前記低温面(12a)は前記カバー(16)の外壁に固定されている請求項19に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項21】
前記熱伝導接続手段(11)は、前記カバー(16)の内壁に固定されている請求項20に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項22】
前記熱伝導接続手段(11)は、前記カバー(16)の各開口部を通して前記ペルティエセル(12)の前記低温面(12a)に直接固定されている請求項20に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項23】
前記ペルティエセル(12)の前記低温面(12a)は、前記ケーシング(4)の外壁(4a)に固定され、前記フレキシブル熱伝導部材(11)は、前記ケーシング(4)に設けられて前記キャビティ(21)へのアクセスを提供する各開口部を通して前記ペルティエセル(12)の前記低温面(12a)に直接固定されている請求項19に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項24】
前記冷却ユニット(10)は、並列および/又は直列に配置された複数のペルティエセル(12)を有する請求項13〜23のいずれか一項に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項25】
前記熱伝導手段(11)は、前記支持手段(6)と前記ペルティエセル(12)とに、熱伝導接着剤によって固定されている請求項13〜24のいずれか一項に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項26】
前記放熱部材(13)は、空気の通過、特に熱対流による空気の通過のための複数の冷却ダクトダクト(14)を有する請求項13〜25のいずれか一項に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項27】
冷却流体、特に圧縮空気を前記冷却ダクト(14)内に導入するための取り入れ手段(15)を有する請求項26に記載のレーザ切断ヘッド。
【請求項28】
請求項1〜12又は請求項13〜27のいずれかのレーザ切断ヘッド(1)を少なくとも1つ有する切断および/又はパンチング工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断工作機械のためのレーザ切断装置、詳しくは、シートメタル用の切断/パンチング工作機械において光ファイバレーザ切断システムに使用されるレーザ切断ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
パーツの切断、彫刻、溶接のためにレーザシステムを利用することは周知であり、金属シートおよびプレートを加工するための工作機械の分野において広く普及している。
【0003】
レーザ装置は、励起放出プロセスによって、極めて高い光度(輝度)を有する直線状のビームに集束されたコヒーレントで単色の光ビームを放出する。多量のエネルギを非常に小さなポイントに集中することが可能であることによって、レーザ装置は、金属を切断、彫刻、溶接することができる。金属材料の切断は、通常、気化、特に、溶融によって行われる。この最後のケースにおいて、レーザビームは、金属の小さなポイントを溶かし、この溶融された金属(ドロス)はガスのブラスト又は噴流によって除去される。
【0004】
金属を切断するのに適した光ビームを作り出すために異なる種類のレーザ源を使用することができる。通常、ガス(二酸化炭素、一酸化炭素、CO
2)および固体(ダイオード、ドープトガラスファイバ)レーザが使用される。
【0005】
工作機械においては、板金、特に厚い板金、を切断するために必要とされる高いエネルギレベルにより、レーザ発光装置はその寸法と重量とにより機械の上に配置することができない。レーザビームは、光チェーン(optical chain)(CO
2レーザの場合)又は、伝送ファイバ(たとえば、YAGダイオードレーザにおいては光ファイバ)によって前記発光装置に接続されたレーザ切断ヘッド又は集束ヘッドによって工作物上に集束される。前記レーザ切断ヘッドは、その小さな寸法と重量により、工作物を切断するべく、前記工作機械によって精密かつ迅速に動かすことができる。
【0006】
所謂ファイバレーザ切断装置において、レーザビームを切断ヘッドに伝送するために光ファイバケーブルが使用される場合、前記切断ヘッドは、通常、光ファイバから出た光ビームを、コリメートされたレーザビームを切断するべき工作物上に集束可能な集束ユニット上に集束する光コリメータを有する。
【0007】
集束されたレーザビームは、金属の溶融によって発生した前記ドロスを除去するために使用される前記ガスのブラスト又は噴流を集中してこのドロスが前記集束ユニットに到達する可能性を抑制する切断ノズルを通して前記集束ヘッドから出る。前記集束ユニットは、前記レーザビームの集中、即ち、その焦点を、切断されるべき工作物の表面上、又はこの表面のすぐ下、の所与のポイントに位置決めする、ことを可能にする。
【0008】
前記レーザビームの全パワーを集中させて材料を正しく切断するためには焦点の正確な位置決めが必要である。
【0009】
前記集束ユニットは、通常、レーザの集束を可能にするべくレーザビームの方向に対して平行な調節方向に沿って移動可能なレンズホルダスライド又はキャリッジに取り付けられた集束レンズを有する。より正確には、前記レンズホルダスライドは、切断ヘッドと工作物の表面との間の距離に応じて制御される各アクチュエータによって移動され、前記距離は、前記切断ヘッドに取り付けられた適当なセンサによって測定される。前記工作物(たとえば金属の大きなシート)の表面は、実際には、概して不規則であって、平坦ではなく湾曲している。
【0010】
前記集束レンズと対応のレンズホルダスライドとは、レンズを汚してそれによってその光学特性を変化させる汚染および外来要素の侵入を阻止するために、気密状態に閉じられた容器又はケーシング内に収納されている。
【0011】
前記切断ヘッド、特に、前記集束レンズ、を冷却するために冷却システムが設けられる。前記レンズを横切るレーザビームのエネルギの小さな部分は、実際には、様々な原因、主として、光学系(コーティングと基材)の不完全な透明性、により、吸収されて熱に変換される。長時間の使用によって発生する熱によって、ヘッド全体、特に、集束レンズ、の温度上昇が起こる。この温度上昇によって、前記レンズ自身の屈折率の変動、従って、焦点のシフト、が生じる。一般に「熱フォーカスシフト」と呼ばれるこの現象により、切断システムがレーザビームを工作物の表面上の望ましい最適ポイントに集束することが不可能となり、それによって、切断特性の劣化、切断が全く不可能となるまで、の劣化が決まる。
【0012】
前記温度上昇によって、更に、一般にレンズの表面上に設けられてる保護層がダメージを受け、それによって、レンズの光学特性の更なる変動が生じる。
【0013】
この問題を解決するために、ガス(通常は窒素)を、集束ヘッドに制御された温度で導入してそれが集束レンズを介して流れてそれによってこのレンズを冷却させる冷却システムが知られている。
【0014】
前記集束レンズを収納するケーシングを外部冷却することは、実際には、集束レンズの適切な冷却を確保するのに十分ではない。
【0015】
しかしながら、ガス流を使用する冷却システムには、汚染要素を含まない高価なガスの使用を必要とするという欠点がある。ガスに含まれる汚染物又は外来粒子が集束レンズ上に堆積して、光学系の屈折率を変動させるだけでなく、レーザビームのエネルギの吸収を起こし、それによって切断のために利用可能な出力の低下を引き起こす可能性がある。
【0016】
特開2012−91191号は、レーザビームを発生するためのレーザ発生手段を備えるレーザ発光ユニットと、当該レーザ発光ユニットから出力されたレーザビームを工作物に放出するためのガルバノスキャナを備えるレーザヘッドと、前記レーザ発光ユニットから放出されたレーザビームを前記レーザヘッドへと伝送する光ファイバケーブルとを有するレーザ加工装置を開示している。前記光ファイバケーブルは、前記レーザヘッドに取り外し可能に取り付けられたヘッドコネクタを備えている。このヘッドコネクタは、前記光ファイバケーブルから放出されたレーザビームを拡散する拡散用レンズと、当該拡散用レンズから放出されたレーザビームを平行ビームとして集束させる集束レンズとを備えるビームエキスパンダを備えている。
【0017】
米国特許出願公開第2008/0030823号明細書は、レンズを通してレーザ発振器から出力されたレーザビームを集束して対象物を照射するための方法と装置を開示している。当該装置は、前記レーザ発振器から出力されたレーザビームを集束するミラーと、前記レーザビームを集束し対象物を照射するコンデンサレンズとを有している。前記コンデンサレンズの焦点距離は温度変化によって変化しうるので、照射が停止された後にレーザビームの照射を再開する時、前記コンデンサレンズを収納するレンズチューブを、ペルチェ装置を備える温度制御装置によって加熱又は冷却する。
【0018】
米国特許第6198579号明細書は、光学素子を備える対物レンズ、特に、半導体マイクロリソグラフィに使用される投影露出装置用のレンズ、を開示している。前記対物レンズは、光学素子の加熱作用、特に、加熱素子の非回転対称温度分布による、画像誤差の修正のための冷却装置を備えている。当該冷却装置は、前記複数の光学素子の少なくとも1つの上に、その周部に渡って分散配置され、光学素子の温度分布に対して作用するべく異なる状態で電気作動される複数のペルチェ素子を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2012−91191号
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0030823号明細書
【特許文献3】米国特許第6198579号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の課題は、集束手段の効率的で最適な冷却を保証することが可能な冷却システムを備えるレーザ切断ヘッドを提供することにある。
【0021】
もう一つの課題は、単純で経済的な構造を有し、その作動が効果的かつ信頼性の高い冷却システムを備えるレーザ切断ヘッドを提供することにある。
【0022】
更にもう一つの課題は、たとえ長時間の集中的使用後においても、レーザビームの焦点を固定された位置に維持することが可能なレーザ切断ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の第1の態様において、請求項1に定義されるレーザ切断ヘッドが提供される。
【0024】
本発明のこの態様によるレーザ切断ヘッドは、光伝送手段を使用してレーザ発光装置によってフィード可能かつ、切断工作機械と連動可能である。前記レーザ切断ヘッドは、前記発光装置によって発生されたレーザビームをコリメート(collimate)するコリメート手段と、前記コリメート手段から出るコリメートされたレーザビームを集束する集束手段と、集束レンズと、当該集束レンズを収納するとともに放出されたレーザビームの焦点を変化させるべく調節方向に沿って前記レンズを移動させる支持手段とを備える前記集束手段を収納するためのケーシングとを有する。前記レーザ切断ヘッドは、前記ケーシングに外部から取り付けられる(externally associated)とともに、単数又は複数のペルチェセルと、放熱素子とを備える冷却ユニットと、前記支持手段と前記冷却ユニットとをリジッドに連結するとともに、前記支持手段と集束レンズから、前記集束レンズを通過する時に前記レーザビームによって発生された熱を熱伝導によって取り出すように構成された熱伝導接続手段、とを有する。前記支持手段と前記熱伝導接続手段とは、熱伝導性材料、好ましくは、高熱伝導性材料から形成される。
【0025】
前記レーザ切断ヘッドは、更に、前記熱伝導接続部材と前記冷却ユニットとを支持するともに、前記ケーシングの外壁にスライド可能に取り付けられ、前記レーザビームの焦点を調節するために前記支持手段と前記集束手段とを移動させるべく前記調節方向に沿って移動可能な移動部材を有する。
【0026】
前記熱伝導接続手段は、共に熱伝導材料から成る第1接続部材と第2接続部材とを有し、前記第1接続部材は前記支持手段に固定され、この支持手段を保持する第1端部と、前記ペルチェセルの低温面に接続された前記第2接続部材に固定された第2端部とを有する。前記ペルチェセルの高温面は、前記放熱部材に接続されている。
【0027】
前記レーザ切断ヘッドの作動中、前記レーザビームの通過によって前記集束レンズ内に発生した熱は、前記支持手段と熱伝導接続手段とによって、直流又はPWM(パルス幅変調)電流によって適切に駆動(powered)され制御される前記ペルチェセルへと伝達、伝導され、このセルがこの熱を前記放熱部材へと転送する。前記ペルチェセルは、熱を除去することによって、前記集束レンズの温度調節を可能にし、特に、このレンズが過熱して、それによってその屈折率の変動を生じさせ制御できないフォーカスシフトを生じさせることを防止する。尚、前記熱伝導接続手段と前記移動部材とによって、前記集束レンズの温度を制御すること(前記ペルチェセルによって)と、レーザビームのフォーカスを調節するために前記支持手段と前記集束レンズ(前記冷却ユニットと共に)とを前記調節方向に沿って移動させることとの両方が可能となる。
【0028】
本発明の第2の態様において、請求項13に定義されるレーザ切断ヘッドが提供される。本発明のこの態様による前記レーザ切断ヘッドは、光伝送手段を使用してレーザ発光装置によってフィード可能で、かつ、切断機械工具と連動させることが可能である。前記レーザ切断ヘッドは、前記発光装置によって発生されたレーザビームをコリメートするコリメート手段と、前記コリメート手段から出るコリメートされたレーザビームを集束する集束手段と、集束レンズと、当該集束レンズを収納する支持手段とを収納し含み、放出されたレーザビームの焦点を変化させるべく調節方向に沿って前記レンズを移動させるケーシングとを有する。前記レーザ切断ヘッドは、前記ケーシングに外付けされる(externally associated)とともに、単数又は複数のペルチェセルと、放熱素子とを備える冷却ユニットと、前記支持手段と集束レンズから、前記集束レンズを通過する時に前記レーザビームによって発生された熱を熱伝導によって取り出すべく前記支持手段を前記冷却ユニットに接続するように構成された熱伝導接続手段、とを有する。この目的のために、前記支持手段と前記熱伝導接続手段とは、熱伝導性材料、好ましくは、高熱伝導性材料から形成される。前記熱伝導接続手段は、前記ペルチェセルの低温面に接続された少なくとも1つのフレキシブルな熱伝導部材を有し、前記放熱部材は、前記ペルチェセルの高温面に接続されている。
【0029】
前記レーザ切断ヘッドの作動中、前記レーザビームの通過によって前記集束レンズ内に発生した熱は、前記支持手段と熱伝導接続手段とによって、直流又はPWM(パルス幅変調)電流によって適切に駆動(powered)され制御される前記ペルチェセルへと伝達、伝導され、このセルがこの熱を前記放熱部材へと転送する。ヒートポンプとして作用する、前記ペルチェセルは、熱を除去することによって、前記集束レンズの温度調節を可能にし、特に、このレンズが過熱して、それによってその屈折率の変動が生じさせ制御できないフォーカスシフトを生じさせることを防止する。
【0030】
尚、前記熱伝導接続手段のフレキシビリティにより、前記作動中、前記支持手段と前記集束手段とを、それらが前記レーザビームのフォーカスを調節するために前記ケーシング内において前記調節方向に沿って自由に移動する時に、前記ペルチェセルによって効果的に冷却することができる。
【0031】
本発明に開示される前記レーザ切断ヘッドの前記冷却システム(冷却ユニット、熱伝導接続手段および支持手段)の熱効率は、対流によってレンズから熱を除去する公知のガス冷却システムのそれに匹敵するものである。
【0032】
前記独特の冷却システムにより、本発明の前記レーザ切断ヘッドは、たとえ長時間の集中的使用中においても、前記集束レンズの「熱フォーカスシフト」の現象を防止して、レーザビームを工作物の表面に対して所望の最適ポイント上に集束させることを可能にし、効率的かつ正確な切断を確保する。温度制御および調節によって、又、前記集束レンズの保護表面層に対するダメージも防止される。
【0033】
本発明の非限定的な実施例を図示する添付の図面を参照することによって本発明をよりよく理解し実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明のレーザ切断ヘッドの第1実施例の斜視図
【
図2】集束手段をより良く理解するために、冷却ユニットを省略して図示する、
図1のレーザ切断ヘッドの図
【
図4】
図1のレーザ切断ヘッドの集束手段と支持手段とに取り付けられた冷却ユニットの斜視図
【
図5】
図4の冷却ユニット、集束手段および支持手段の前面図
【
図6】
図4の冷却ユニット、集束手段および支持手段の側面図
【
図7】
図4の冷却ユニット、集束手段および支持手段の平面図
【
図8】集束手段と支持手段とに取り付けられた本発明のレーザ切断ヘッドの冷却ユニットの変形例の斜視図
【
図9】
図8の冷却ユニット、集束手段および支持手段の前面図
【
図10】
図8の冷却ユニット、集束手段および支持手段の側面図
【
図11】
図8の冷却ユニット、集束手段および支持手段の平面図
【
図12】本発明のレーザ切断ヘッドの第2実施例の斜視図
【
図17】
図15のレーザ切断ヘッドの集束手段と支持手段とに取り付けられた冷却ユニットの斜視図
【
図18】
図15のレーザ切断ヘッドの集束手段と支持手段とに取り付けられた冷却ユニットの変形例の平面図
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1〜7を参照すると、光伝送手段を介して公知のタイプで図示されないレーザ発光装置によって作動されるように構成されるとともに切断工作機械に連動させることが可能な本発明の第1実施例によるレーザ切断ヘッド1が図示されている。具体的には、前記発光装置は固体レーザ励起放出式のものであり、前記光伝送手段は、前記発光装置によって発生されたレーザビームを前記レーザ切断ヘッド1に送るのに適した光ファイバケーブルを含む。
【0036】
前記レーザ切断ヘッド1は、前記レーザ発光装置によって発生されたレーザビームをコリメートするコリメート手段2と、このコリメート手段2から出るコリメートされたレーザビームを集束する集束手段5と、前記集束手段5を含みこれを収納するケーシング4とを有する。
【0037】
前記レーザ切断ヘッド1は、更に、光センタリング・リングナット19によって前記ケーシング4に固定されるとともに、集束されたレーザビームがそれを通して出る切断ノズル18を有する。当該切断ノズル18は、加工物の溶融によって発生するドロスを除去するためのガスのブラスト又は噴流を集中すると同時に、このドロスが前記ケーシング4の内部と前記集束手段5に到達することを抑制する。
【0038】
前記コリメート手段2は、公知のタイプのものであって、前記光ファイバから出るレーザビームを前記集束手段5へ向かう直線状レーザビームとして集束することが可能な複数のレンズとミラーとのセットを有する。
【0039】
前記集束手段は、少なくとも1つの集束レンズ5を含む。
【0040】
前記レーザ切断ヘッド1は、更に、前記集束レンズ5を受けこれを保持するように構成されるとともに、前記集束手段5から出るレーザビームの焦点の調節を可能にするべく前記ケーシング4内において調節方向Xに沿って移動可能な支持手段6を有する。
【0041】
前記支持手段は、前記集束レンズ5のためのキャリッジ又はスライドとして実質的に機能するとともに、前記ケーシング4のキャビティ21内において、駆動手段9によって前記調節方向Xに沿ってスライド移動可能に収納された支持部材6を有する。
【0042】
前記駆動手段9は、たとえば、回転電気モータによって作動されるとともに前記支持部材6に接続され対応のリードネジに接続されたリニア電気アクチュエータ又は再循環ボールネジを含む。前記駆動手段9は、前記ケーシング4に固定されるとともに、当該ケーシング4の側壁4bに形成された開口部を通して前記支持部材6に接続されている。
【0043】
前記支持部材6は、前記集束レンズ5を受けてロックするのに適したシート7を含む。
【0044】
前記レーザ切断ヘッド1は、更に、前記ケーシング4に外部固定された冷却ユニット10と、前記支持部材6と前記集束レンズ5から、レーザビームが前記集束レンズ5を通過する時にこのレーザビームから発生する熱を熱伝導によって除去するべく前記支持手段6を前記冷却ユニット10に接続するように構成された熱伝導接続手段11とを有する。この目的のために、前記支持部材6は、前記集束レンズ5から熱を伝達することを可能にするべく、熱伝導材料、好ましくは、アルミニウム合金や真鍮等、高熱伝導性材料、から形成される。
【0045】
前記熱伝導接続手段11は、高熱伝導材料、たとえば、編組銅テープおよび/又はグラファイト被覆テープ、から成る少なくとも1つのフレキシブル熱伝導部材を有する。
【0046】
図示の実施例において、前記フレキシブル熱伝導部材11は、主部分11aを有し、これは前記冷却ユニット10に固定されるとともに、そこから前記支持部材6の両側に固定された二つの長手部分11bが延出している。
【0047】
図示されない実施例において、前記フレキシブル熱伝導部材11は、前記主部分11aに加えて、単一の長手部分11bを備えたものとすることができる。
【0048】
尚、前記熱伝導部材11のフレキシビリティは、前記レーザ切断ヘッド1の作動中の前記調節方向Xに沿った前記支持部材6の移動を全く妨げることがなく、他方、この熱伝導部材11の熱伝導材料によって前記集束レンズ5からの最適な放熱が確保される。
【0049】
前記冷却ユニット10は、少なくとも1つのペルチェセル12と放熱部材13とを有する。前記フレキシブル熱伝導装置11は、前記ペルチェセル12の低温面12aに接続され、他方、前記放熱部材13は前記ペルチェセルの高温面12bに接続されている。
【0050】
前記ペルチェセルは、固体ヒートポンプとして作用するとともに、そのプレートの二つの面の一方が熱を吸収し他方が熱を放出する薄プレートの外観を有する熱電デバイスである。熱が伝達される方向は、このプレートの両端部に加えられる直流電流の方向に依存する。より詳しくは、ペルチェセルは、薄いプレートを形成するべく直列に配置された複数のペルティエジャンクションから構成される。前記ジャンクションは、前記プレートの外面を形成する二枚の対向する銅板によって互いに接続された一つのNタイプと一つのPタイプの、二つのドープト半導体から形成される。前記半導体材料に反対の電圧の直流電流を加えることによって、前記プレートの片面を冷却し、それと同時に、その反対面を加熱して、それによって、プレートの両面間で熱エネルギを伝達することができる。前記半導体材料に供給する電流の電圧を反転することによって、熱エネルギ伝達を反転させることができる。
【0051】
前記冷却ユニット10に使用されている前記ペルチェセル12は公知のタイプのものである。
【0052】
前記レーザヘッド1は、熱伝導材料、好ましくはアルミニウム合金や真鍮等の高熱伝導性材料から形成されるカバー16を有し、これは、その内部で前記支持部材6と前記集束レンズ5とが移動する前記キャビティ21に対するアクセスを提供する前記ケーシング4の開口部17を閉じるものである。
【0053】
図3に図示される実施例において、前記ペルチェセル12の前記低温面12aは、前記カバー16の外壁に固定され、前記フレキシブル熱伝導部材11は前記カバー16の内壁に固定されている。
【0054】
或いは、前記フレキシブル熱伝導部材11は、前記カバー16に形成される対応の開口部を通して前記ペルチェセルの前記低温面12aに直接に固定することも可能である(
図4−7)。
【0055】
更に別の構成において、前記ペルチェセル12の前記低温面12aは、前記ケーシング4の外壁4a、たとえば、前壁、に固定することができ、前記フレキシブル熱伝導部材11は、前記ケーシング4に設けられて前記キャビティ21へのアクセスを提供する対応の開口部を通して前記低温面12aに固定することができる。
【0056】
図示されない前記切断ヘッドのタイプにおいて、前記冷却ユニット10は、直列および/又は並列に配置された複数のペルチェセル12を有する。
【0057】
前記放熱部材13は、その本体自身を冷却するべく、空気の通過、特に、対流による通過、を許容する複数の冷却ダクト14を備え、アルミニウム合金等の高熱伝導材料から成る本体部を有する。図示の実施例において、前記放熱部材13は、平行六面体の形状を有し、互いに並列配置されるとともに、長手方向に沿って、たとえば、前記調節方向Xに対して、平行に延出する複数の冷却ダクト14を備えている。
【0058】
前記ペルチェセル12の高温面12bは、前記放熱部材13の後壁に固定されている。
【0059】
前記熱伝導接続手段11を前記支持手段6と前記ペルチェセル12とに固定するために熱伝導性接着剤を使用することができる。詳しくは、熱伝導性接着剤を使用し、前記熱伝導接続手段11を前記支持部材6と前記カバー16、および/又は、前記ペルチェセルの低温面12aに固定するとともに、前記ペルチェセルの両面12a,12bを前記カバー16と前記放熱部材13とに固定する。
【0060】
図8〜11は、熱交換(強制対流)を増大させ、前記ペルチェセルの高温面12bをより迅速かつ効果的に冷却するべく前記冷却ダクト14内に冷却流体を導入するように構成された取り入れ手段15を備える冷却ユニット10のバージョンを図示している。前記取り入れ手段15は、たとえば、圧縮空気を供給されて、この圧縮空気を前記冷却ダクト14に導入することが可能な一対のノズルを備える。分流部材20によって、前記ノズル15からの圧縮空気の流れを、前記冷却ダクト14に向けて前記冷却流体、即ち、前記圧縮空気が前記熱交換部材13から出て加工物に向かうようにすることを可能にする。
【0061】
本発明の前記レーザ切断ヘッド1の作動中に、前記コリメート手段3から出るレーザビームの通過によって前記集束レンズ5内に発生する熱は、前記支持部材6、前記熱伝導接続手段11、そして、前記ペルチェセル12の前記低温面12aへと送られる。このように、前記レーザ切断ヘッド1の作動中、熱は前記集束レンズ5から前記ペルチェセル12へと伝達され、このペルチェセル12がこの熱を前記放熱部材13(前記ペルチェセル12の前記高温面12bに固定されている)へと伝達する。
【0062】
尚、前記レーザ切断ヘッド1の作動中において、前記集束レンズ5は、熱を前記支持部材6に伝達し、この部材6は熱を前記フレキシブル熱伝導部材11へと伝達する。ヒートポンプとして作用する前記ペルチェセル12によって行われる熱除去によって、前記集束レンズ5の温度を制御すること、特にこのレンズレンズ5が過熱して、その結果、当該レンズの屈折率が変化してフォーカスシフトが生じること、が防止される。
【0063】
前記ペルチェセル12を作動する前記直流電流の強度と電圧を調節することによって、作動中に、前記集束レンズ5の温度を、正確かつ確実に制御することが可能となる。
【0064】
前記ユニークな冷却システムにより、本発明の前記レーザ切断ヘッド1は、たとえ長時間の集中的な作動中においても、前記集束レンズ5の熱フォーカスシフトを回避し、従って、レーザビームを、工作物の表面に対して所望の最適ポイントに正確かつ効率的に集束することを可能にする。
【0065】
前記温度制御および調節によって、前記集束レンズ5の保護上層のダメージを回避することが可能となる。
【0066】
尚、前記熱伝導接続部材のフレキシビリティにより、前記支持手段と前記集束レンズは、それらがレーザビームの焦点を調節するために前記ケーシング内部で前記調節方向に沿って移動する間に、前記ペルチェセルによって効果的に冷却することができる。
【0067】
本発明に開示される前記レーザ切断ヘッドの前記冷却システム(冷却ユニット、熱伝導接続手段および支持手段)の熱効率は、対流によってレンズから熱を除去する公知のガス冷却システムのそれに匹敵するものである。
【0068】
図12〜14を参照すると、本発明の第2実施例によるレーザ切断ヘッド1が図示され、これは、光伝送手段を介してレーザ発光装置によって作動されるとともに、切断工作機械に取り付け可能に構成されている。
【0069】
前記レーザ切断ヘッド1は、前記レーザ発光装置によって発生されたレーザビームをコリメートするコリメート手段2と、当該コリメート手段2から出るコリメートされたレーザビームを集束する集束手段5と、この集束手段5を含みこれを収納するケーシング4とを有する。
【0070】
前記レーザ切断ヘッド1は、更に、たとえば、リングナット19によって前記ケーシング4に固定されるとともにそれを通してレーザビームが出る切断ノズル18を有している。
【0071】
前記コリメート手段2は公知のタイプのものであり、前記光伝送手段から来るレーザビームを直線状レーザビームに集束しコリメート可能なレンズ組を有する。前記レーザビームを、少なくとも1つの集束レンズ5を有する集束手段5に向けて方向変換させるためにミラーを設けることができる。
【0072】
前記レーザ切断ヘッド1は、前記ケーシング4のキャビティ21内に前記集束レンズ5を受け入れ保持するために配置されるとともに前記集束レンズ5から来る前記レーザビームの焦点を変化させるべく調節方向Xに沿って移動可能な支持手段6を有する。
【0073】
前記キャビティ21にはアクセス開口部17が設けられている。
【0074】
前記支持手段は、前記集束レンズ5を受けいれこれを保持するのに適したシート7を備えている。
【0075】
前記レーザ切断ヘッド1は、更に、前記ケーシング4に外付けされるとともに少なくとも1つのペルチェセル12と、放熱部材13とを備える冷却ユニット10と、前記支持手段6と前記冷却ユニット10とをリジッドに連結し、かつ、前記支持部材6と前記集束レンズ5から、前記レーザビームが前記集束レンズレンズ5を通過する時に発生される熱を除去するべく前記支持手段6を前記冷却ユニット10に接続するように構成された熱伝導接続手段31を有する。この目的のために、前記支持部材6は、前記集束レンズ5から熱を伝達することを可能にするべく、熱伝導材料、好ましくは、アルミニウム合金や真鍮等、高熱伝導性材料、から形成される。
【0076】
前記ペルチェセル12は、前記熱伝導接続手段31,32に接続される低温面12aと、前記放熱部材13に接続される高温面12bとを有する。前記放熱部材13は、アルミニウム合金等の高熱伝導材料から成る本体部を有し、その本体自身を冷却するべく、空気の通過、特に、自然対流又は強制対流による空気の通過を許容する複数の冷却ダクト14を備えている。
【0077】
前記冷却ユニット10は、更に、並列又は直列に配置された複数のペルチェセル12を有している。
【0078】
前記レーザ切断ヘッド1は、前記熱伝導接続手段31および/又は前記冷却ユニット10を支持するとともに、前記ケーシング4の外壁4a、たとえば前壁、にスライド可能に接続され、前記支持手段6と前記集束レンズ5とを移動させるべく前記調節方向Xに沿って移動可能な移動部材37を有する。
【0079】
駆動手段9が前記ケーシング4に固定されるとともに、前記移動部材37を前記調節方向Xに沿って移動させるべくこの移動部材37に接続されている。
【0080】
前記熱伝導接続手段は、共に、熱伝導性材料、好ましくは、アルミニウム合金や真鍮等の高熱伝導性材料、から成る第1接続部材31と第2接続部材32とを有する。前記第1接続部材31は、前記支持部材6に固定されこの部材を保持する第1端部と、前記第2接続部材32に固定される第2端部とを有し、後者は、前記ペルチェセル12、特に、その低温面12aに接続されている。
【0081】
前記第1接続部材31は、たとえば適当な固定手段によって、取り外し可能に前記第2接続部材32に接続された長手ブラケット又はアームとして実質的に形成されている。前記第1接続部材31と第2接続部材32とは、又、一体に形成することも可能である。
【0082】
前記第2接続部材32は、それに前記第1接続部材31が固定された内面と、前記ペルチェセル12の前記低温面12aに接続された外面とを備える平坦な形状を有する。前記第2接続部材の前記平坦な形状と寸法とによって、前記両熱伝導接続部材31,32(前記支持部材6と前記集束レンズ5と共に)と前記ペルチェセル12との間の高い熱交換が可能とされる。
【0083】
前記第2接続部材32の外面と前記ペルチェセル12の前記低温面12aとを互いに対して固定するために熱伝導性接着剤を使用することができる。
【0084】
前記移動部材37は、前記第2接続部材32を、前記第1接続部材31、前記支持部材6および前記集束レンズ5および前記冷却ユニット10と共に移動させるべく、前記第2接続部材32に接続されている。
【0085】
或いは、前記移動部材37は前記冷却ユニット10を直接に支持することができ、又、この冷却ユニット10は、前記接続部材31,32によって、前記支持部材6と前記集束レンズ5とを支持させることが可能である。
【0086】
図示の実施例において、前記移動部材37は、前記ケーシング4の外壁4a、即ち、前壁、にスライド可能に接続されるとともに、前記ケーシング4の前記キャビティ21に対するアクセスを提供する各開口部37aを備える、平坦部材を含む。より詳しくは、前記移動部材37の前記開口部37aによって、前記支持部材31,32は、前記冷却ユニット10を前記支持部材6に対してリジッドに接続することが可能となる。
【0087】
前記移動部材27は、前記駆動手段9に接続された連結アーム38を有する。後者は前記ケーシング4の側壁4bに固定されるとともに、回転電気モータによって作動されるとともに前記連結アーム38に固定された対応のリードネジに接続されたリニア電気アクチュエータ又は再循環ボールネジを有する。
【0088】
本発明の前記レーザ切断ヘッド1の作動中、レーザビームの前記コリメート手段2から出る通過によって発生する熱(レンズの不完全な透明性によって発生する熱)は、前記支持部材6、前記熱伝導接続部材31,32、その後、前記ペルチェセル12の低温面12aへと伝達される。その後、前記ペルチェセル12が、前記集束レンズの熱を前記高温面12bに固定された前記放熱部材13へと伝達する。
【0089】
従って、前記ペルチェセル12は、前記集束レンズ5の温度の制御、特に、レンズの屈折率の変動とそれによるフォーカスシフトをもたらす前記集束レンズ5の過熱を防止することを可能にする。前記ペルチェセル12を作動する前記直流電流の強度と電圧を調節することによって、作動中に、前記集束レンズ5の温度を、正確かつ確実に制御することが可能となる。
【0090】
前記ユニークな冷却システムにより、本発明の前記レーザ切断ヘッド1は、たとえ長時間の集中的な作動中においても、前記集束レンズ5の熱フォーカスシフトを回避し、従って、レーザビームを、工作物の表面に対して所望の最適ポイントに正確かつ効率的に集束することを可能にする。
【0091】
前記温度制御および調節によって、前記集束レンズ5の保護上層のダメージを回避することが可能となる。
【0092】
尚、前記熱伝導接続手段と前記移動部材とによって、前記集束レンズの温度を制御すること(前記ペルチェセルによる)と、前記レーザビームの焦点を調節するために前記支持手段と前記集束レンズとを前記調節方向に沿って移動させること、との両方が可能となる。
【0093】
更に、前記接続部材31,32を前記移動部材37から接続解除することによって、前記レーザ切断ヘッド1から、前記冷却ユニット10と前記支持部材6との両方を、メンテナンスおよび/又は制御のために、前記集束レンズ5と共に容易かつ迅速に取り外すことが可能になる。
【0094】
図15〜17は、前記レーザ切断ヘッド1の変形例を図示し、これは、
図12〜14の上述した第2実施例と、別の熱伝導折側手段41,42と移動部材47とに関して異なっている。
【0095】
この変形例において、前記熱伝導接続手段の前記第2接続部材42と前記移動部材47とは、その内面が前記熱伝導接続手段の前記第1接続部材に接続され、その外面が前記ペルチェセルの前記低温面12aに接続される、平坦な形状の部材を形成するべく、互いに固定されている。前記第2接続部材42と前記移動部材47とは、高熱伝導性材料で一体に形成することも可能である。
【0096】
前記移動部材47は、前記駆動手段9に接続された連結アーム48を有する。
【0097】
図18は、本発明のレーザ切断ヘッド1の更に別の変形例を図示し、ここでは、前記冷却ユニット10は、更に、熱交換(強制対流)を増大させ、前記ペルチェセルの高温面12bをより迅速かつ効果的に冷却するべく前記冷却ダクト14内に冷却流体を導入するように構成された取り入れ手段15を備えている。前記取り入れ手段15は、たとえば、圧縮空気を供給されてこの圧縮空気を前記冷却ダクト14に導入することが可能な一対のノズルを備える。分流部材20によって、前記ノズル15からの圧縮空気の流れを、前記冷却ダクト14に向けて前記冷却流体、即ち、前記圧縮空気が前記熱交換部材13から出て加工物に向かうようにすることを可能にする。