(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6231689
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】勝敗を決定する投球を表示するオートスコアラー
(51)【国際特許分類】
A63D 5/04 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
A63D5/04 E
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-537585(P2016-537585)
(86)(22)【出願日】2016年6月8日
(86)【国際出願番号】JP2016066982
【審査請求日】2016年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】591235245
【氏名又は名称】船木 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100110537
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 繁
(72)【発明者】
【氏名】船木 寛
【審査官】
生駒 勇人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−119070(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3023958(JP,U)
【文献】
特開2010−190487(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/177844(WO,A1)
【文献】
特開2001−259109(JP,A)
【文献】
特開昭61−016759(JP,A)
【文献】
特表2000−512871(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0173719(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウリング場においてボウリング競技を実施する際に、競技中の競技者の可能最大スコアを算出し、他の競技者と比較し、その点数差を表示する手段を備え、最終順位または勝敗を決定するために必要なストライク、スペア、あるいは何本の投球情報を画面に表示する手段を備え、2レーンを使い、奇数フレームと偶数フレームで左右のレーンを交互に投げる場合には、投球の度に、投球者のレーン上のモニター画面に投球者の表示を交互に移動する手段を備えることを特徴とする、勝敗を決定する投球を表示するオートスコアラー。
【請求項2】
ボウリング場においてボウリング競技を実施する際に、競技中の可能最大スコアを算出し、上段から順に上位順位の競技者を、順位と共にレーン毎に表示する手段を備え、2レーンを使い、奇数フレームと偶数フレームで左右のレーンを交互に投げる場合には、投球の度に、投球者のレーン上のモニター画面に投球者の表示を交互に移動する手段を備えることを特徴とする、勝敗を決定する投球を表示するオートスコアラー。
【請求項3】
ボウリング場においてボウリング競技を実施する際に、競技中の各競技者一人ひとりの画面に、可能最大スコアによる途中順位、ならびに最終順位または勝敗を決定するために必要なストライク、スペア、あるいは何本の投球情報をテロップ表示する手段を備え、2レーンを使い、奇数フレームと偶数フレームで左右のレーンを交互に投げる場合には、投球の度に、投球者のレーン上のモニター画面に投球者の表示を交互に移動する手段を備えることを特徴とする、勝敗を決定する投球を表示するオートスコアラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボウリング場でのボウリング競技大会において、リアルタイムで途中順位ならびに勝敗を決定するために必要な投球を表示し、
投球者のレーン上のモニター画面で、投球の度に投球者の表示を移動させながら、競技者、観客、ならびにテレビやインターネットライブ動画の視聴者が競技状況の理解度を高めることができるオートスコアラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スコアを自動計算するオートスコアラーを使用して、ボウリング場においてボウリング競技を実施する場合は、競技大会開始前にフロントに設置されたMCTコンピューターに各レーン毎の投球者名およびハンデキャップがMCTキーボードから手動入力される。
そして、競技開始後は、各レーンに設置されたスキャナーにより投球毎の倒ピン数が検出され、各レーンのボウラーコンソールと接続されたホストコンピューターのデータ通信により、モニター画面に各投球者の投球毎の投球結果と合計点数が表示され、競技終了後に、各投球者のスコアと、スコアを比較した順位を印刷し、表示するものであった。
また、離れたレーンでゲームを行うプレイヤのフレーム毎のスコアを自動的に記憶、編集することで、総合順位が表示可能なボウリングゲームシステムによれば、単に現時点のスコアだけでなく、現スコアを基に最終スコアを予想した予想スコアや、今後ストライクを続けて得点できる到達可能最高スコアや、投球者の個人情報により予測したスコアを表示することが知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
これらには次のような不都合があった。
(イ)従来のオートスコアラーを使用して、競技大会を開催する場合は、競技途中の競技者が、順位・勝敗を決定するために必要な点数はあと何点なのかを計算する手段を持たなかったため、どの時点で順位・勝敗が決定するのか、決定したのか、判定・表示する手段を持たなかった。
(ロ)そのため、参加者の多い競技大会では、競技中の競技者や観戦中の観客は、どの時点で順位・勝敗が決定するのかわからず、スポーツとしての要諦である勝敗決定の瞬間がわからなかった。また、ボウリングの点数計算は複雑なので、少人数で対戦する決勝トーナメントでは、しばしば競技者本人やテレビの実況中継の解説者が暗算による点数計算を間違え、どの時点で何本倒せば勝敗が決定するのか判定を誤ることがあった。
(ハ)また、参加者の多い競技大会では、参加者全員の競技が終了してから、初めて順位が順位表シートに印刷され表示されるものであったので、競技途中の順位を表示する手段を持たず、参加者全員の競技が終了するまで順位を判定・表示できなかった。
(ニ)そのため、参加者の多い競技大会や予選会では、競技者ならびに観戦中の観客は途中順位がわからないので誰が優勢なのかわからず、熱狂的に興奮するようなスポーツ競技にはならなかった。
(ホ)レーン上のモニターに表示される画面では、初球の投球レーン上の投球順に競技者名とスコアが固定されたまま表示され、順位の表示がなく、また、2レーンを使い、奇数フレームと偶数フレームで左右のレーンを交互に投げるアメリカン方式で競技する場合には、投球レーンを矢印で指示するものであった。
(ヘ)そのため、競技者の順位がわからないばかりではなく、慣れない競技者はしばしば左右の投球レーンを誤ることがあった。
(ト)テレビで実況中継する際には、レーン毎の画像や競技中の競技者一人ひとりの画像に、途中順位や、勝敗を決定するために必要な投球結果(ストライク、スペア、あるいは何本)をリアルタイムで画面に表示する手段を持たなかった。
(チ)そのため、テレビ画面用のスコアを手入力する必要があったが、実況中継では勝敗を決定するために必要な投球結果(ストライク、スペア、あるいは何本)を手動入力する時間的余裕はなかったので、解説者が暗算で点数計算をして、勝敗を決定するために必要な投球について口頭で解説しなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−119070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ボウリング場においてボウリング競技を実施する際に、競技中の競技者またはチーム毎の可能最大スコアによる順位および点数差を表示する手段を備え、最終順位または勝敗を決定するために必要な投球結果(ストライク、スペア、あるいは何本)を画面に表示する手段を備え、それらをレーン毎の画像、各競技者の画像、および順位表画面に表示する手段を備える、勝敗を決定する投球を表示するオートスコアラーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の勝敗を決定する投球を表示するオートスコアラーは、ボウリング場においてボウリング競技を実施する際に、競技中の競技者またはチーム毎の投球結果のスコアに、その後の投球でミスなく全てのピンを倒した場合のスコアを加算した可能最大スコアを算出し、他の競技者と比較し、その点数差を表示する手段を備え、最終順位または勝敗を決定するために必要な投球結果(ストライク、スペア、あるいは何本)を画面に表示する手段ならびに競技途中の順位を順位一覧表に表示する手段を備える。
また、競技中の可能最大スコアによる上位順位の競技者から順に、順位と共にレーン毎に表示する手段を備え、2レーンを使い、奇数フレームと偶数フレームで左右のレーンを交互に投げるアメリカン方式で競技する場合には、投球の度に、投球者のレーン上のモニター画面に投球者のスコア表示を交互に移動する手段を備え、競技中の競技者一人ひとりの画面に、可能最大スコアによる途中順位、ならびに最終順位または勝敗を決定するために必要な投球結果(ストライク、スペア、あるいは何本)を表示する手段を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のオートスコアラーは、競技中の競技者の可能最大スコアを算出し、他の競技者と比較し、その点数差を表示する手段を備え、最終順位または勝敗を決定するために必要な投球結果(ストライク、スペア、あるいは何本)を画面に表示する手段を備えているため、競技途中の競技者またはチーム順位・勝敗がどの時点で、いかにして決定するのか、判定することができる。
【0008】
本発明のオートスコアラーは、競技中の競技者の可能最大スコアを算出し、競技者間の点数差ならびに競技途中の順位と共に順位一覧表に表示する手段を備え、最終順位または勝敗を決定するために必要な投球結果(ストライク、スペア、あるいは何本)を画面に表示する手段を備えているため、参加者全員の競技途中の順位を表示することができる。
【0009】
本発明のオートスコアラーは、競技中の可能最大スコアを算出し、上段から順に上位順位の競技者を、順位と共にレーン毎に表示する手段を備え、2レーンを使い、奇数フレームと偶数フレームで左右のレーンを交互に投げるアメリカン方式で競技する場合には、投球の度に、投球者のレーン上のモニター画面に投球者の表示を交互に移動する手段を備えているため、競技中の投球順に競技者名とスコアが表示され、また、アメリカン方式で競技する場合には、投球レーン上に競技者の表示がされ、左右の投球レーンを誤ることを解消することができる。
【0010】
本発明のオートスコアラーは、競技中の各競技者一人ひとりの画面に、可能最大スコアによる途中順位、ならびに最終順位または勝敗を決定するために必要な投球結果(ストライク、スペア、あるいは何本)をテロップ表示する手段を備えているため、レーン毎の画像や競技者の画像に、途中順位、他の競技者との点数差、ならびに勝敗を決定するために必要な投球、をリアルタイムで画面に表示することができ、テレビの実況中継では、解説者が暗算で点数計算をして、勝敗を決定するために必要な投球について口頭で解説しなければならなかったが、本発明はそれを解消することができた。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例のデータ通信ネットワーク構成の表示図である。
【
図2】本発明を使用した場合の大会予選における具体的表示例を示すレーンモニター9ならびに放映レーン画面11の表示図である。
【
図3】本発明を使用した場合の大会決勝における具体的表示例を示すレーンモニター9ならびに放映レーン画面11の表示図である。
【
図4】本発明を使用した場合のレーンモニター9の具体的掲示例を示す表示図である。
【
図5】本発明を使用した場合の大会予選における具体的表示例を示す順位表モニター10ならびに放映順位表画面13の表示図である。
【
図6】本発明を使用した場合の大会決勝における具体的表示例を示す順位表モニター10ならびに放映順位表画面13の表示図である。
【
図7】本発明を使用した場合の順位表モニター10の具体的掲示例を示す表示図である。
【
図8】本発明を使用した場合の順位表モニター10の具体的掲示例を示す表示図である。
【
図9】本発明を使用した場合の順位表モニター10の具体的掲示例を示す表示図である。
【
図10】本発明を使用した場合の順位表モニター10の具体的掲示例を示す表示図である。
【
図11】本発明を使用した場合の放映競技者テロップ12の具体的表示例を示す表示図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の勝敗を決定する投球を表示するオートスコアラーの一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1に示すように、本発明の勝敗を決定する投球を表示するオートスコアラーは、投球結果を検出するスキャナー1、前記スキャナー1を動作制御する各レーンのボウラーコンソール2、前記ボウラーコンソール2に接続され、動作制御するホストコンピューター4、前記ホストコンピューター4に接続され、投球結果に基づき可能最大スコアによる途中順位を算出し、倒ピン数とスペア、ストライク数の組み合わせによる点数データを記憶し、勝敗を決定する投球情報を送信するサブコンピューター3、前記ホストコンピューター4に接続され、投球者名、投球結果、途中順位、勝敗を決定する投球、を表示するレーンモニター9、順位表モニター10、放映レーン画面11、放映競技者テロップ12、放映順位表画面13、前記ホストコンピューター4に接続され、動作制御するMCTコンピューター6、前記MCTコンピューター6からの情報を表示するMCTモニター5、前記MCTコンピューター6からの情報を印字するプリンター7、前記MCTコンピューター6に情報を手入力するMCTキーボード8、から構成されている。
【0013】
次に、本発明の勝敗を決定する投球を表示するオートスコアラーの操作動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1に示すMCTコンピューター6に接続されたMCTキーボード8により競技者名、ならびにハンデキャップが、チーム戦の場合はチーム毎に、オペレーターにより手動入力される。
ハンデキャップが入力された場合は、競技中の点数計算および順位・勝敗の算定は全てハンデキャップ込のスコアで算出される。
大会予選の場合の決勝進出ラインは、2人〜100人以下の順位で大会ごとに手動入力で決定される。
【0014】
投球者が投球を開始し、スキャナー1によりその投球結果が検出されると、検出結果は各レーンのボウラーコンソール2を経由しホストコンピューター4にデータ送信され、各投球者のスコアが計算される。
【0015】
各投球者のスコアは、ホストコンピューター4に接続または内蔵されたサブコンピューター3に送信され、投球結果のスコアに、その後の投球でミスなく全てのピンを倒した場合のスコアを加算した可能最大スコアを算出し、順位、点数差、ならびに勝敗を決定するために必要な投球が判定される。
また、サブコンピューター3は、ホストコンピューター4を介さずに、放映レーン画面11、放映競技者テロップ12に接続する手段を備え、その場合は、各投球者のスコアは投球毎に手動入力され、可能最大スコアを算出し、順位、点数差、ならびに勝敗を決定するために必要な投球が判定される。
【0016】
算出された順位、点数差、ならびに勝敗を決定するために必要な投球は、以下に説明するレーンモニター9、順位表モニター10、放映レーン画面11、放映競技者テロップ12、放映順位表画面13、に表示される。
【0017】
図2〜図4に示すレーンモニター9ならびに放映レーン画面11に表示された投球者名および投球情報はアメリカン方式で競技する場合には、2レーン左右交互に移動し表示されるが、プロチャレンジにおいてプロボウラーがボックス移動するような場合においては、投球者名および投球情報が任意のフレーム数毎にボックスを移動して表示される。
また、
図2に示すように、レーンモニター9ならびに放映レーン画面11には上位順位の競技者から順に上段から表示され、
図3に示すように、勝敗の決定する可能性のある時点で、例えば『DOMINIC BARRETTはストライク2つと8本で勝ちです。』のように、競技者名と、勝つために必要な投球
情報が表示される。
【0018】
ホストコンピューター4から送信された情報により、
図7、
図8、
図9、
図10に示すように、順位表モニター10には、可能最大スコアによる順位に基づき、上位から順に競技者名が表示され、何ゲーム中の何ゲーム目か、何フレーム目か、ゲームスコア、シリーズ合計スコア、可能最大スコア、可能最大スコアの点数差、が表示され、予選の場合は決勝進出のために必要な点数差が表示される。
【0019】
ホストコンピューター4から送信された情報により、
図11に示すように、放映競技者テロップ12には、各競技者一人ひとりの途中順位、競技者名、ハンデキャップ、何ゲーム中の何ゲーム目か、フレーム毎のスコア、ゲームスコア、シリーズ合計スコア、可能最大スコア、可能最大スコアの点数差、勝敗を決定するために必要な投球が、例えば『DOMINICはストライク2つと8本で勝ちです。』のように表示され、また、予選の場合には他の競技者の途中順位、競技者名、シリーズ合計スコア、可能最大スコア、可能最大スコアの点数差が上位順位から順に画面最下部にスクロール表示され、テレビの実況中継またはUstream などのインターネットによるライブストリーミング配信または録画映像に組み込まれ放映される。
【0020】
図5、
図6に示すように、放映順位表画面13には順位表モニター10と同様に、ホストコンピューター4から送信された情報により、可能最大スコアによる順位に基づき、上位から順に競技者名が表示され、何ゲーム中の何ゲーム目か、何フレーム目か、ゲームスコア、シリーズ合計スコア、可能最大スコア、可能最大スコアの点数差、が表示され、予選の場合は決勝進出のために必要な点数差が表示され、放映レーン画面11、放映競技者テロップ12と共に、テレビの実況中継またはUstream などのインターネットによるライブストリーミング配信に配信される。
【符号の説明】
【0021】
1 スキャナー
2 ボウラーコンソール
3 サブコンピューター
4 ホストコンピューター
5 MCTモニター
6 MCTコンピューター
7 プリンター
8 キーボード
9 レーンモニター
10 順位表モニター
11 放映レーン画面
12 放映競技者テロップ
13 放映順位表画面
【要約】
【課題】リアルタイムで途中順位ならびに勝敗を決定するために必要な投球を表示し、競技者、観客などが競技状況の理解度を高めることができるオートスコアラーを提供する。
【解決手段】投球者が投球を開始し、スキャナー1によりその投球結果が検出されると、検出結果は各レーンのボウラーコンソール2を経由しホストコンピューター4にデータ送信され、各投球者のスコアが計算される。各投球者のスコアは、ホストコンピューター4に接続または内蔵されたサブコンピューター3に送信され、投球結果のスコアに、その後の投球でミスなく全てのピンを倒した場合のスコアを加算した可能最大スコアを算出し、順位、点数差、ならびに勝敗を決定するために必要な投球が判定される。算出された順位、点数差、ならびに勝敗を決定するために必要な投球はレーンモニター9、順位表モニター10、放映レーン画面11、放映競技者テロップ12、放映順位表画面13、に表示される。
【選択図】
図1