(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1が開示するコンタクトプローブは、第1および第2基端部が単に摺動接触しているため、接触抵抗が安定しないという問題があった。接触抵抗を安定化させるには、第1基端部の外周の径、および第2基端部の内周の径を高精度に合わせる必要があり、製造や組み立てが困難であった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で接触抵抗を安定化させることができる接続端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる接続端子は、長手方向に沿って伸縮可能な針状をなす導電性の接続端子であって、接触対象の電極と接触する第1先端部と、前記第1先端部から延びる第1基端部と、を有する第1プランジャと、接触対象の電極と接触する第2先端部と、前記第2先端部から延びる第2基端部であって、当該第2基端部の中心軸を通過する直線が、前記第2先端部の中心軸を通過する直線と交差し、弾性を有し、前記第1基端部と接触する第2基端部と、を有する第2プランジャと、線材を巻回してなり、前記第1基端部と前記第2基端部とが内部に挿通され、前記第1および第2先端部の中心軸が略平行となるように該第1および第2先端部を連結し、前記長手方向に沿って伸縮自在なコイルばねと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる接続端子は、二つの接触対象のうちの一方の接触対象に接触する第1接触部材と、二つの接触対象のうちの他方の接触対象に接触する第2接触部材と、前記第1および第2接触部材の一部を内部に挿通し、前記第1および第2接触部材を軸線方向に付勢可能なコイルばねと、を有する接続端子であって、前記第1接触部材は、第1先端部と、第1基端部と、を備え、前記第2接触部材は、第2先端部と、内周で前記第1基端部の外周と接触する舌片部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる接続端子は、上記の発明において、前記舌片部の少なくとも先端側の曲率半径は、第1基端部と前記舌片部とが非接触の状態において、前記第1基端部の径よりも小さいことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる接続端子は、上記の発明において、前記舌片部は、前記第1基端部と弾性をもって接触することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる接続端子は、上記の発明において、前記舌片部の前記第1基端部と接触する面は、前記第1基端部の外周面に沿った形状をなすことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる接続端子は、長手方向に沿って伸縮可能な導電性の接続端子であって、接触対象の電極のうち一方の電極と接触する第1先端部と、第1基端部と、を有する第1接触部材と、接触対象の電極のうち他方の電極と接触する第2先端部と、前記第1基端部と接触可能な複数の舌片部と、を有する第2接触部材と、前記第1および第2接触部材を前記長手方向に沿って伸縮自在にする弾性部材と、前記複数の舌片部に対して前記第1基端部の外周と接触する方向の荷重を加える荷重付加手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる接続端子は、上記の発明において、前記弾性部材および前記荷重付加手段は、線材を巻回してなる一つのコイルばねからなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる接続端子は、上記の発明において、前記荷重付加手段は、前記複数の舌片部に対して前記第1基端部の外周と接触する方向の荷重を加えるコイルばね、Cリング、Oリングおよび筒状部材のいずれかの締付部材、であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる接続端子は、上記の発明において、前記舌片部は、前記舌片部の端部から前記第2先端部に向けて前記第2接触部材の軸線方向に延びるスリットにより分割されており、前記スリットは、少なくとも舌片部の前記荷重が加えられている位置まで延びていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる接続端子は、上記の発明において、前記舌片部は、前記舌片部の先端から前記第2接続部材の軸線方向に延びるスリットにより分割され、前記スリットは、少なくとも舌片部の前記荷重が加えられている位置を越えて延びていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる接続端子は、上記の発明において、前記舌片部の軸線方向の長さは、第1および第2接触部材が互いの軸線方向に対して相対的に摺動移動可能な長さよりも長いことを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる接続端子は、上記の発明において、前記第2先端部には、前記複数の舌片部のなす中空空間から延びる中空空間が形成され、前記第2接触部材は、平面視で略U字状をなすことを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる接続端子は、上記の発明において、前記第1および第2接触部材のうち、少なくとも一方が板状をなすことを特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる接続端子は、上記の発明において、前記コイルばねは、線材の長手方向と直交する方向の断面が矩形状をなすことを特徴とする。
【0022】
また、本発明にかかる接続端子は、上記の発明において、前記コイルばねは、絶縁材料、もしくは導電材料に絶縁処理を施した材料からなることを特徴とする。
【0023】
また、本発明にかかる接続端子は、長手方向に沿って伸縮可能な導電性の接続端子であって、接触対象の電極と接触する第1先端部と、前記第1先端部から互いに離れる方向に延びる複数の枝部を有する第1基端部と、を有する第1接触部材と、接触対象の電極と接触する第2先端部と、筒状をなし、前記複数の枝部と接触可能な第2基端部と、を有する第2接触部材と、前記第1および第2接触部材を前記長手方向に沿って伸縮自在に支持可能なコイルばねと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、簡易な構成で接触抵抗を安定化させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるプローブユニットの構成を示す斜視図である。
図1に示すプローブユニット1は、検査対象物である半導体集積回路100の電気特性検査を行う際に使用する装置であって、半導体集積回路100と半導体集積回路100へ検査用信号を出力する回路基板200との間を電気的に接続する装置である。
【0028】
プローブユニット1は、長手方向(軸N0)の両端で互いに異なる2つの被接触体である半導体集積回路100および回路基板200の各電極に接触する導電性のコンタクトプローブ2(以下、単に「プローブ2」という)と、複数のプローブ2を所定のパターンにしたがって収容して保持するプローブホルダ3と、プローブホルダ3の周囲に設けられ、検査の際に複数のプローブ2と接触する半導体集積回路100の位置ずれが生じるのを抑制するホルダ部材4と、を有する。プローブ2は、本発明の接続端子に相当する。
【0029】
図2は、本実施の形態1にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図であって、プローブホルダ3に収容されるプローブ2の詳細な構成を示す図である。
図2に示すプローブ2は、導電性材料を用いて形成され、半導体集積回路100の検査を行なうときに、検査回路を備えた回路基板200の電極に接触する第1プランジャ21と、導電性材料を用いて形成され、半導体集積回路100の接続用電極に接触する第2プランジャ22と、第1プランジャ21と第2プランジャ22との間に設けられて第1プランジャ21および第2プランジャ22を伸縮自在に連結するコイルばね23と、を備える。プローブ2は、半導体集積回路100をコンタクトさせた際に、コイルばね23が軸線方向に伸縮することによって半導体集積回路100の接続用電極への衝撃を和らげるとともに、半導体集積回路100および回路基板200に荷重を加える。
【0030】
図3は、本実施の形態1にかかるコンタクトプローブの要部の構成を示す模式図であって、第1プランジャ21の構成を示す図である。第1プランジャ21は、先細な先端形状をなす先端部21aと、先端部21aの基端側から延び、先端部21aの径と比して大きい径を有するフランジ部21bと、フランジ部21bの先端部21aに連なる側と異なる端部から延び、フランジ部21bの径と比して小さい径を有するボス部21cと、ボス部21cのフランジ部21bに連なる側と異なる側の端部から延び、ボス部21cの径と比して小さい幅の半円柱状をなして延びる基端部21dと、を有する。本実施の形態1では、先端部21a、フランジ部21bおよびボス部21cにより第1先端部を構成し、基端部21dが第1基端部を構成する。
【0031】
第1プランジャ21は、先端部21a、フランジ部21bおよびボス部21cを同軸(軸N1)上に有するとともに、基端部21dが軸N1に沿って延伸する。
【0032】
図4は、本実施の形態1にかかるコンタクトプローブの要部の構成を示す模式図であって、第2プランジャ22の構成を示す図である。第2プランジャ22は、先細な先端形状をなす先端部22aと、先端部22aの基端側から延び、先端部22aの径と比して大きい径を有するフランジ部22bと、フランジ部22bの先端部22aに連なる側と異なる側の端部から延び、フランジ部22bの径と比して小さい径を有するボス部22cと、ボス部22cのフランジ部22bに連なる側と異なる側の端部から延び、ボス部22cの径と比して小さい幅の平板状をなして延びる基端部22dと、を有する。第2プランジャ22では、少なくとも基端部22dが弾性を有している。本実施の形態1では、先端部22a、フランジ部22bおよびボス部22cにより第2先端部を構成し、基端部22dが第2基端部を構成する。
【0033】
第2プランジャ22は、先端部22a、フランジ部22bおよびボス部22cを同軸(軸N2)上に有するとともに、基端部22dの延伸方向の軸N10(中心軸)が、軸N2に対して傾斜して交差する。
【0034】
コイルばね23は、線材を所定ピッチに巻回してなり、少なくとも基端部21d,22dが内部に挿通されている。コイルばね23は、第1プランジャ21および第2プランジャ22を連結した際、第1プランジャ21の軸N1と、第2プランジャ22の軸N2が略一致するように連結する。換言すれば、コイルばね23により、第1プランジャ21および第2プランジャ22は、軸N1および軸N2が同一の軸N0上に位置する状態で連結される。コイルばね23は、半田付けによって第1プランジャ21および/または第2プランジャ22と接合されていてもよい。コイルばね23に用いられる線材は、金属または樹脂からなる材料が挙げられる。この材料は、導電性を有するものであってもよいし、絶縁性のものであってもよいし、導電性の材料に絶縁処理を施したものであってもよい。
【0035】
第1プランジャ21および第2プランジャ22は、コイルばね23の伸縮作用によって軸線方向に移動可能である。プローブ2は、プローブホルダ3に保持され、外部からの荷重(重力を除く)が加わっていない状態において(
図2参照)、第2プランジャ22の基端部22dの一部が第1プランジャ21の基端部21dと接触している。具体的には、基端部22dは、
図4に示すように、軸N10が軸N2に対して傾斜(交差)しているため、基端部21dに圧接した状態(基端部21dに対して軸N0と略直交する方向の荷重を加えた状態)となる。
【0036】
プローブホルダ3は、樹脂、マシナブルセラミックなどの絶縁性材料を用いて形成され、ホルダ孔33および34の形成位置は、半導体集積回路100の配線パターンに応じて定められる。
【0037】
図5は、本実施の形態1にかかる半導体パッケージの検査時におけるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図であって、コンタクトプローブが回路基板および半導体パッケージと接続した状態を示す図である。ホルダ部材4に回路基板200が取り付けられると(
図1参照)、
図5に示すように、先端部21aが回路基板200の電極201と接触する。該接触により、回路基板200から先端部21aに接触荷重が加わると、コイルばね23が長手方向に沿って圧縮された状態となる。コイルばね23の圧縮時、第1プランジャ21および第2プランジャ22が互いに近接する方向に移動することで、基端部22dは、基端部21dの接触面に半径方向への荷重を加えた状態で圧接しながら(例えば、
図2の矢印方向)、該接触面上を摺動する。
【0038】
半導体集積回路100の検査時には、先端部22aが接続用電極101と接触し、半導体集積回路100からの接触荷重によりコイルばね23が長手方向(軸N0)に沿ってさらに圧縮された状態となる。コイルばね23が圧縮されると、基端部22dは、基端部21dの接触面に圧接しながら、該接触面上をさらに摺動する。
【0039】
上述した実施の形態1によれば、第2プランジャ22において、弾性を有し、延伸方向の軸N10が軸N2に対して傾斜して交差する基端部22dが、軸N1に沿って延伸する基端部21dに対して摺動するようにしたので、プローブを介して検査用信号を導通させる際に、基端部21dと基端部22dとの接触圧を高め、かつ接触状態が安定し、簡易な構成でプランジャ間の接触抵抗を安定して低下させ、プローブ(全体)の抵抗値を低減することができる。
【0040】
上述した実施の形態1によれば、コイルばね23に電流を流すことなく、基端部21dおよび基端部22dを介して第1プランジャ21と第2プランジャ22との間の電気的導通を確保するようにしたので、大電流を流すことができる。
【0041】
なお、上述した実施の形態1では、少なくとも基端部22dが弾性を有しているものとして説明したが、第2プランジャ22が一体的(同一の材料)で形成されるものであってもよいし、基端部22dのみ弾性を有する材料を用いて形成されるものであってもよい。また、基端部22dが有する弾性とは、大小に規定はなく金属のスプリングバック程度のごく弱いものでもよく、接触面同士が少しでも圧力が印加された状態で接触される程度あればよい。
【0042】
また、上述した実施の形態1では、接続用電極が平板状をなすものとして説明したが、QFP(Quad Flat Package)等に用いられる平板状をなすリードであってもよい。
【0043】
(実施の形態1の変形例)
図6は、本発明の実施の形態1の変形例にかかるコンタクトプローブの構成を示す部分断面図である。上述した実施の形態1では、基端部21d,22dが平板状をなすものとして説明したが、本変形例では、第1および第2プランジャの基端部が、互いの接触面に応じた形状をなしている。
【0044】
図6に示すプローブ2aは、導電性材料を用いて形成され、回路基板200の電極に接触する第1プランジャ210と、導電性材料を用いて形成され、半導体集積回路100の接続用電極に接触する第2プランジャ220と、第1プランジャ210と第2プランジャ220との間に設けられて第1プランジャ210および第2プランジャ220を伸縮自在に連結するコイルばね23と、を備える。プローブ2aを構成する第1プランジャ210、第2プランジャ220およびコイルばね23は同一の軸線を有している。
【0045】
図7は、本発明の実施の形態1の変形例にかかるコンタクトプローブの要部の構成を示す模式図であって、第1プランジャ210の構成を示す図である。本変形例にかかる第1プランジャ210は、上述した第1プランジャ21の基端部21dに代えて円柱状に延びる基端部21eを有する。
【0046】
図8は、本実施の形態1の変形例にかかるコンタクトプローブの要部の構成を示す模式図であって、第2プランジャ220の構成を示す図である。
図9は、本実施の形態1の変形例にかかるコンタクトプローブの要部の構成を示す模式図であって、第2プランジャ220の基端部22e側から軸N2方向でみた図である。第2プランジャ220は、上述した先端部22a、フランジ部22bおよびボス部22cと、ボス部22cのフランジ部22bに連なる側と異なる側の端部から延びる基端部22e(第2基端部)と、を有する。第2プランジャ220では、少なくとも基端部22eが弾性を有している。基端部22eは、本発明の舌片部として機能する。
【0047】
第2プランジャ220は、基端部22eの延伸方向の軸N11(中心軸)が、少なくとも先端部22aの中心軸と平行な軸N2に対して傾斜して交差する。ここで、軸N11は、例えば、基端部22eの重心を通過し、かつ延伸方向と平行な直線である。
【0048】
ここで、基端部22eは、基端部21eの外周のなすR形状と略等しいR形状をなす内周面を有する。具体的には、基端部22eは、平板を軸N11と直交する方向に湾曲した形状をなし、該湾曲態様のR形状(曲率)が、基端部21eの外周側面のR形状(曲率)と等しくなっている。
【0049】
第1プランジャ210および第2プランジャ220は、コイルばね23の伸縮作用によって軸線方向に移動可能である。実施の形態1と同様に、基端部22eは、軸N11が軸N2に対して傾斜(交差)しているため、基端部21eに圧接した状態(基端部21eに対して軸N0と略直交する方向の荷重を加えた状態)となる。外部からの荷重によりコイルばね23が圧縮すると、基端部22eは、基端部21eの接触面に弾性をもって接触しながら、該接触面上を摺動する。
【0050】
なお、上述した変形例では、基端部22eの内周面におけるR形状(曲率)が、基端部21eの外周側面のR形状(曲率)と等しくなっているものとして説明したが、基端部21eと基端部22eとが非接触の状態において、基端部22eの内周面における少なくとも先端側の曲率半径が、基端部21eの外周のなす径よりも小さくてもよい。基端部22eの内周面における曲率半径が、基端部21eの外周のなす径よりも小さければ、基端部21eと基端部22eとが接触した際に、基端部22eが基端部21eの外周に対して噛み合って接触するため、基端部21eと基端部22eとの圧接状態を一層確実なものとすることができる。
【0051】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2にかかるコンタクトプローブの構成を示す部分断面図である。上述した実施の形態1では、一方の基端部が他方の基端部に圧接するものとして説明したが、本実施の形態2にかかるプローブ5は、一方の基端部が他方の基端部の一部を囲繞する。
【0052】
本実施の形態2にかかるプローブ5は、導電性材料を用いて形成され、半導体集積回路100(
図1参照)の検査を行なうときに、検査回路を備えた回路基板200の電極に接触する第1プランジャ51と、導電性材料を用いて形成され、半導体集積回路100の接続用電極に接触する第2プランジャ52と、第1プランジャ51と第2プランジャ52との間に設けられて第1プランジャ51および第2プランジャ52を伸縮自在に連結するコイルばね53と、を備える。プローブ5を構成する第1プランジャ51、第2プランジャ52およびコイルばね53は同一の軸線を有している。コイルばね53は、本発明の弾性部材および荷重付加手段の機能を担っている。
【0053】
第1プランジャ51は、上述した第1プランジャ210と同等の形状なし、先端部21a、フランジ部21b、ボス部21cおよび基端部21eと同一形状の先端部51a、フランジ部51b、ボス部51cおよび基端部51dを有する。コイルばね53についても、上述したコイルばね23と同等の形状をなす。
【0054】
第2プランジャ52は、先細な先端形状をなす先端部52aと、先端部52aの基端側から延び、先端部52aの径と比して大きい径を有するフランジ部52bと、フランジ部52bの先端部52aに連なる側と異なる側の端部から延び、基端部51dを囲繞する複数の舌片部(第1舌片部521および第2舌片部522)からなる舌片部群52cと、を同軸(軸N0)上に有する。第2プランジャ52では、少なくとも舌片部群52cが弾性を有している。
【0055】
図11は、本実施の形態2にかかるコンタクトプローブの要部の構成を示す模式図であって、第2プランジャ52の舌片部群52cの先端側から軸N0方向でみた図である。第1舌片部521および第2舌片部522は、該二つの舌片部の外縁のなす径のうち最大の径が、フランジ部52bの径と比して小さい。また、二つの舌片部の内縁のなす径は、プローブ組み付け後に舌片部が第1基端部にわずかな弾性を有して接触する径であれば、基端部51dの外周の径と同等であってもよいし、また小さくても、大きくてもよい。本実施の形態2では、舌片部を二つ有するものとして説明するが、三つ以上の舌片部を有するものであってもよい。
【0056】
第1舌片部521および第2舌片部522は、各々段付き形状をなし、軸N0を回転軸とする回転対称性を有することが、第2プランジャ52の第1プランジャ51に対する傾斜を抑制する点で好ましい。具体的には、第1舌片部521は、フランジ部52bの先端部52aに連なる側と異なる側の端部から延びる第1ボス部521aと、第1ボス部521aから該第1ボス部521aの内縁に沿って延びるとともに、軸N0と直交する方向の厚さが第1ボス部521aの厚さより小さい第1延在部521bと、を有する。第2舌片部522は、第1舌片部521と同様、第2ボス部522aと第2延在部522bとを有する。第1延在部521bおよび第2延在部522bは、内周面で基端部51dの一部(先端側)を囲繞する。第1舌片部521および第2舌片部522の内周面のなす形状は、基端部51dの外周面に沿った形状をなしていることが好ましい。第1舌片部521および第2舌片部522の内周面のなす形状が基端部51dの外周面に沿った形状をなすことで、接触抵抗を低減することができる。第1舌片部521および第2舌片部522は、例えば、基端部51dに応じた径を有するドリルで穴加工した後、回転カッターなどにより溝加工を施して二つの舌片部に分割することで形成される。
【0057】
コイルばね53は、第1ボス部521aおよび第2ボス部522aがなす外縁に圧入するとともに、ボス部51cに圧入することにより、第1プランジャ51および第2プランジャ52を連結する。
【0058】
このとき、第1ボス部521aおよび第2ボス部522aは、コイルばね53の圧入により締め付けられ、外縁のなす径が縮小する。第1ボス部521aおよび第2ボス部522aがなす外縁の径が縮小すると、第1延在部521bおよび第2延在部522bも内周側に移動する。これにより、第1延在部521bおよび第2延在部522bの内周面がなす径が縮小する。このため、第1延在部521bおよび第2延在部522bは、各々が基端部51dの外周面に圧接した状態となる。舌片部群52cでは、スリットを形成することにより第1舌片部521および第2舌片部522が成形されている。このスリットは、舌片部群52cのフランジ部52b側と異なる側の端部から、少なくともコイルばね53による締め付け位置(コイルばね53により荷重が加えられる位置)まで延びている。
【0059】
第1プランジャ51および第2プランジャ52は、コイルばね53の伸縮作用によって軸線方向に移動可能である。第1延在部521bおよび第2延在部522bがコイルばね53の締め付け力により基端部51dに圧接した状態(基端部51dに対して軸N0と略直交する方向の荷重を加えた状態)となっており、外部からの荷重によりコイルばね53が圧縮すると、第1延在部521bおよび第2延在部522bは、基端部51dの接触面に圧接しながら、該接触面上を摺動する。
【0060】
第2プランジャ52は、例えば、第1プランジャ51のような先端部、フランジ部、ボス部および基端部を形成した後、ドリルやカッターを用いてボス部および延在部を切削することにより作製することができる。上述した方法により第2プランジャ52を一体的に作製する場合は、弾性および導電性を有する材料を用いて形成する。
【0061】
図12は、本実施の形態2にかかるコンタクトプローブと、従来の構造である比較構造との抵抗値に対する試験本数の分布を示す分布図である。
図12に示す分布図は、縦軸を本数(試験本数)、横軸を抵抗値とし、第1ボス部521aおよび第2ボス部522aがコイルばね53の圧入により締め付けられたプローブ5(本願構造)と、コイルばね53による締め付けのない比較用プローブ(比較構造)とのそれぞれの分布を示している。試験は、各構造のプローブを32本ずつ用意し、各々のプローブについて三回測定を行った。試験において、第1プランジャと第2プランジャとのストローク量は、500μmとした。
【0062】
図12に示すように、本願構造は、比較構造と比して抵抗値が低く、抵抗値のばらつきも小さい。本願構造の抵抗値の平均は1回目が33.6mΩ、2回目が34.7mΩ、3回目が35.0mΩであったのに対し、比較構造の抵抗値の平均は1回目が111.5mΩ、2回目が108.0mΩ、3回目が115.0mΩであった。したがって、本願構造のようなコイルばね53により締め付けて圧接させる構造とすることで、プローブ間でばらつきの少ない低抵抗のプローブを得ることができる。
【0063】
上述した実施の形態2によれば、第2プランジャ52において、第1延在部521bおよび第2延在部522bが、コイルばね53の締め付け力により基端部51dに対して圧接しながら摺動するようにしたので、舌片部群52c(第1舌片部521bおよび第2舌片部522b)と基端部51dとの接触圧を高め、かつ接触状態が安定し、簡易な構成でプランジャ間の接触抵抗を安定して低下させ、プローブ(全体)の抵抗値を低減することができる。
【0064】
また、上述した実施の形態2によれば、実施の形態1と比して、第1延在部521bおよび第2延在部522bと基端部51dとの接触面積が大きくなるため、流す電流を一層大きくすることができる。
【0065】
また、上述した実施の形態2において、舌片部の軸線方向の長さが、第1プランジャ51および第2プランジャ52が互いの軸線方向に対して相対的に摺動移動可能な長さよりも長いことが好ましい。舌片部の軸線方向の長さが長いほど、第1プランジャ51に対する締め付け力がモーメント力の関係から小さくなり、摺動摩擦力は小さくなる。このため、摺動摩擦抵抗が大きくなることがなく、適度な摩擦力を発生させることができる。また、舌片部の締め付け部(第1ボス部521aおよび第2ボス部522a)側の端部の曲げ応力は、舌片部が長いほど小さくなるため、舌片部の厚みを薄くすることができ、第2プランジャ52の小径化に対応が容易になる。
【0066】
なお、上述した実施の形態2では、舌片部群52cが二つの舌片部(第1舌片部521および第2舌片部522)からなるものとして説明したが、三つ以上の舌片部以上の舌片部を有するものであってもよい。例えば、舌片部群が三つの舌片部を有する場合、各舌片部の内周面のなす形状を、基端部51dの外周面に沿った形状とすることで、舌片部を二つ有する場合と比して安定した摺動を得ることが出来る。
【0067】
また、上述した実施の形態2において、第1プランジャ51は、ボス部51cがコイルばね53に圧入して連結することでコイルばね53に支持されるものであってもよいし、ボス部51cの径をコイルばね53の内径よりも小さくして、コイルばね53がフランジ部51bに当接して支持するものであってもよい。
【0068】
(実施の形態2の変形例1)
図13は、本発明の実施の形態2の変形例1にかかるコンタクトプローブの構成を示す部分断面図である。上述した実施の形態2では、コイルばね53の線材の巻回によるコイル径が一定であるものとして説明したが、本変形例1は、コイル径が変化する。コイル中央部の径に比べて両端部の径が小さくなっており、上述した実施の形態2と比して圧入度合いが強い。
【0069】
本変形例1にかかるプローブ5aは、上述した第1プランジャ51および第2プランジャ52と、コイルばね53aと、を有する。コイルばね53aは、一端のコイル径が、舌片部群52cの圧入部分(第1ボス部521aおよび第2ボス部524a)がなす外縁の径以下であり、他端のコイル径が、基端部51dの径以下である。
【0070】
(実施の形態2の変形例2)
図14は、本発明の実施の形態2の変形例2にかかるコンタクトプローブの構成を示す部分断面図である。
図15は、本実施の形態2の変形例2にかかるコンタクトプローブの構成を示す断面図である。
図15は、
図14の軸N0を通過する平面を切断面とする断面図である。本変形例2では、第2プランジャにおいて、複数の舌片部により形成される空間(スリット)に応じた切欠き溝を先端部およびフランジ部に形成する。
【0071】
本変形例2にかかるプローブ5bは、上述した第1プランジャ51およびコイルばね53と、第2プランジャ54と、を有する。第2プランジャ54は、先細な先端形状をなす先端部54aと、先端部54aの基端側から延び、先端部54aの径と比して大きい径を有するフランジ部54bと、フランジ部54bの先端部54aに連なる側と異なる側の端部から延びる複数の舌片部からなる舌片部群54cと、を同軸(軸N0)上に有する。
【0072】
複数の舌片部は、フランジ部54bから軸N0方向に延びるとともに、先端にいくにしたがって対向する舌片部との間の距離が小さくなるように延びる。換言すれば、複数の舌片部の外縁(外周)がなす略円の径は、延伸方向の先端に向けて縮径している。なお、複数の舌片部により基端部51dに圧接可能であれば、縮径しないものであってもよい。
【0073】
先端部54aおよびフランジ部54bには、複数の舌片部が形成する内部空間に応じて形成された中空部S1が設けられている。また、第2プランジャ54において、複数の舌片部が形成する内部空間および中空部S1と外部とを連通するスリットが、舌片部群54cのフランジ部52b側と異なる側の端部から第2プランジャ54の軸線方向に延び、舌片部群54cでは、このスリットにより複数の舌片部が成形されている。このスリットは、舌片部群54cのフランジ部54b側と異なる側の端部から、少なくともコイルばね53による締め付け位置(コイルばね53により荷重が加えられる位置)を越えて、すなわち先端部54aおよびフランジ部54bまで延びている。中空部S1を形成し、先端部54aおよびフランジ部54bの剛性を低下させることにより、コイルばね53の圧入で締め付けた際の舌片部群54cの撓み量を大きくして、基端部51dに加える荷重(圧接による荷重)を大きくすることができる。中空部S1についても、上述したようなドリルやカッター(刃工具)を用いることで形成することができる。
【0074】
(実施の形態2の変形例3)
図16は、本発明の実施の形態2の変形例3にかかるコンタクトプローブの構成を示す断面図である。上述した実施の形態2では、基端部51dが円柱状をなすものとして説明したが、本変形例3では、基端部が、円柱を2分割して2方向に分かれたV字状をなす。
【0075】
本変形例2にかかるプローブ5cは、上述したコイルばね53と、第1プランジャ55と、第2プランジャ56とを有する。第1プランジャ55は、先細な先端形状をなす先端部55aと、先端部55aの基端側から延び、先端部55aの径と比して大きい径を有するフランジ部55bと、フランジ部55bの先端部55aに連なる側と異なる側の端部から延び、フランジ部55bの径と比して小さい径を有するボス部55cと、ボス部55cのフランジ部55bに連なる側と異なる側の端部から互いに離間する方向に延びる二つの枝部(枝部551,552)を有する基端部55dと、を有する。
【0076】
第2プランジャ56は、先細な先端形状をなす先端部56aと、先端部56aの基端側から延び、先端部56aの径と比して大きい径を有するフランジ部56bと、フランジ部56bの先端部56aに連なる側と異なる側の端部から延び、フランジ部56bの径と比して小さい径を有するボス部56cと、ボス部56cのフランジ部56bに連なる側と異なる側の端部から延びる筒状の基端部56dと、を同軸上に有する。
【0077】
基端部55dにおいて、枝部551,552間の距離のうち最大の距離(先端側の距離)は、基端部56dの内部空間の径(延伸方向と直交する方向の径)より大きい。これにより、枝部551,552が基端部56dに収容された際に、枝部551,552の外周面と、基端部56dの内周面との圧接状態を確保することができる。
【0078】
枝部551,552は、例えば、円柱状に形成した基端部に対し、刃工具等で中心軸方向に沿って二つに分割した後、所定角度で延在するように折り曲げることにより形成することができる。
【0079】
本変形例3では、コイルばね53により基端部56dが締め付けられて枝部551,552との圧接荷重をさらに大きくするようにしてもよい。また、本変形例3では、枝部は、二つ設けられるものとして説明したが、三つ以上の枝部を設けたものであってもよい。
【0080】
また、上述した変形例3において、第1プランジャ55は、ボス部55cがコイルばね53に圧入して連結することでコイルばね53に支持されるものであってもよいし、ボス部55cの径をコイルばね53の内径よりも小さくして、コイルばね53がフランジ部55bに当接して支持するものであってもよい。また、第2プランジャ56も同様に、ボス部56cがコイルばね53に圧入するものであってもよいし、コイルばね53によってフランジ部56bが支持されるものであってもよい。
【0081】
(実施の形態3)
図17は、本発明の実施の形態3にかかるコンタクトプローブの構成を示す部分断面図である。上述した実施の形態2では、コイルばね53の圧入により第1ボス部521aおよび第2ボス部522aを締め付けるものとして説明したが、本実施の形態3にかかるプローブ5dは、コイルばね53bとは別に設けられる締付部材57によって第1ボス部521aおよび第2ボス部522aを締め付ける。本実施の形態3では、コイルばね53bおよび締付部材57により支持手段を構成する。
【0082】
本実施の形態3にかかるプローブ5dは、上述した第1プランジャ51および第2プランジャ52と、コイルばね53bと、締付部材57と、を有する。コイルばね53bは、巻回の軸方向の長さが、上述したコイルばね53の巻回の軸方向の長さよりも短い。コイルばね53bのばね定数は、コイルばね53と同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0083】
締付部材57は、線材を密着巻きに巻回してなるコイルばねからなる。締付部材57の線材のなす内径は、第1ボス部521aおよび第2ボス部522aの外周のなす径よりも小さい。なお、締付部材57は、線材を所定ピッチに巻回してなるものであってもよい。
【0084】
締付部材57は、第1ボス部521aおよび第2ボス部522aに圧入される。このとき、第1ボス部521aおよび第2ボス部522aは、圧入により締め付けられ、互いに近接する方向であって、基端部51dの外周と接触する方向に弾性変形して縮径する。第1ボス部521aおよび第2ボス部522aが縮径すると、第1延在部521bおよび第2延在部522bも軸N0側に移動する。これにより、第1延在部521bおよび第2延在部522bの内周面がなす径が縮小する。このため、第1延在部521bおよび第2延在部522bは、各々が基端部51dの外周面に圧接した状態となる。
【0085】
上述した実施の形態3によれば、第2プランジャ52において、第1延在部521bおよび第2延在部522bが、締付部材57の締め付け力により基端部51dに対して圧接しながら摺動するようにしたので、舌片部群52c(第1延在部521bおよび第2延在部522b)と基端部51dとの接触圧を高め、かつ接触状態が安定し、簡易な構成で接触抵抗を安定化させることができる。
【0086】
また、上述した実施の形態3によれば、コイルばね53bとは別に締付部材57を設けて、該締付部材57により第1ボス部521aおよび第2ボス部522aを締め付け、コイルばね53bには締め付けの機能を有しないようにしたので、第1プランジャ51および第2プランジャ52の伸縮と、第1ボス部521aおよび第2ボス部522aの締め付けと、をそれぞれ独立して設計することができる。
【0087】
なお、上述した実施の形態3では、締付部材57が、コイルばねであるものして説明したが、Cリングであってもよいし、Oリングであってもよいし、筒状の部材であってもよい。締付部材は、内周のなす径が、第1ボス部521aおよび第2ボス部522aの外周のなす径よりも小さく、弾性変形可能であれば適用可能である。また、コイルばねの径は締付部材よりも大きい径としても良い。
【0088】
(実施の形態4)
図18は、本発明の実施の形態4にかかる接続端子の構成を示す斜視図である。
図19は、本発明の実施の形態4にかかる接続端子の構成を示す分解斜視図である。上述した実施の形態1〜3では、略円柱状をなすコンタクトプローブを例に接続端子の構成を説明したが、本実施の形態4にかかる接続端子6は、板状の部材を用いてなる。
【0089】
接続端子6は、一方の端部が接続対象物と接触して電気的に接続可能な略平板状の第1接触部材61と、一方の端部が接続対象物と接触して電気的に接続可能であるとともに、第1接触部材61と接触可能な略平板状の第2接触部材62と、第1接触部材61および第2接触部材62を長手方向に沿って伸縮自在に支持可能なコイルばね63と、を有する。なお、以下では、平板の面のうち、占有面積が大きく、互いに対向する二つの面を主面、主面と略直交する面を側面とし、主面と直交する方向を板厚方向、板厚方向および長手方向と直交する方向を幅方向とする。
【0090】
第1接触部材61は、導電性を有する材料を用いて形成される。第1接触部材61は、先細な先端形状をなす複数の凸部を有する先端部61aと、先端部61aの基端側から延び、先端部61aの幅と比して大きい幅を有するフランジ部61bと、フランジ部61bの先端部61aに連なる側と異なる端部から略角柱状に延びる延伸部61cと、延伸部61cのフランジ部61bの連結側と異なる端部から延び、延伸部61cの幅と比して大きい幅を有する基端部61dと、を同軸上に有する。
【0091】
第2接触部材62は、導電性を有する材料を用いて形成される。第2接触部材62は、先細な先端形状をなし、板厚方向の平面視で略U字状をなす先端部62aと、先端部62aの基端からそれぞれ幅方向に延びる二つフランジ(第1フランジ621および第2フランジ622)を有するフランジ部62bと、先端部62aの基端からそれぞれ延びる二つの舌片部(第1舌片部623および第2舌片部624)を有する舌片部群62cと、を同軸上に有する。第2接触部材62は、上述した構成により、平面視において中空空間64が形成された略U字状をなす。
【0092】
第1舌片部623および第2舌片部624は、長手方向に沿って互いに平行に延びる略柱状をなす。第1舌片部623および第2舌片部624間の距離は、外部からの荷重(重力を除く)が加わっていない状態で基端部61dの幅と同等程度である。また、第1舌片部623および第2舌片部624には、先端部62a側の端部と異なる側の端部に設けられ、対向する舌片部に向けて突出する突出部623a,624aがそれぞれ形成されている。
【0093】
第1接触部材61および第2接触部材62は、貴金属または貴金属合金からなり、切削加工によって形成される。ここでいう貴金属とは、例えば金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などである。また、貴金属合金は、上述した貴金属のいずれかを含む合金である。なお、銅、銅合金または鉄で形成した第1接触部材61および第2接触部材62に対して上述した貴金属を被覆してもよい。
【0094】
コイルばね63は、線材をらせん状に巻回してなる。コイルばね63の内周のなす径は、舌片部群62cの外接円の径より小さい。なお、ここでいう外接円とは、幅方向と平行な平面を切断面とする舌片部群62cの断面において、該断面と外接する円である。コイルばね63は、
図19に示すように、一端がフランジ部61bに当接して第1接触部材61を支持するとともに、他端に舌片部群62cが圧入されてフランジ部62bに当接することで第2接触部材62を支持する。これにより、第1接触部材61と第2接触部材62とを係合した状態で、コイルばね63により延伸部61c、基端部61dおよび舌片部群62cが包囲される。
【0095】
また、コイルばね63は、少なくとも表面が絶縁性を有する。絶縁性の確保は、コイルばね63の表面をエナメル等の絶縁性の樹脂で被覆すること、または絶縁性を有する樹脂やセラミックス、もしくは第1および第2接触部材より高抵抗の線材を用いてコイル状を形成することで実現される。
【0096】
第1接触部材61と第2接触部材62とは、延伸部61cおよび基端部61dが、第1舌片部623および第2舌片部624のなす空間(中空空間64)に挿入されることで連結する。このとき、第1舌片部623および第2舌片部624と、基端部61dとが、摺接した状態となっている。また、基端部61dと突出部623a,624aとが係止することで、第1接触部材61と第2接触部材62との抜け止め防止機能を有する。
【0097】
コイルばね63には、第1舌片部623および第2舌片部624が圧入される。このとき、第1舌片部623および第2舌片部624は、圧入により締め付けられ、互いに近接する方向に弾性変形する。第1舌片部623および第2舌片部624が近接することで、各々が延伸部61cの外周面に圧接した状態となる。
【0098】
上述した実施の形態4によれば、第2接触部材62において、第1舌片部623および第2舌片部624が、コイルばね63の締め付け力により基端部61dに対して圧接しながら摺動するようにしたので、舌片部群62c(第1舌片部623および第2舌片部624)と基端部61dとの接触圧を高め、かつ接触状態が安定し、簡易な構成で接触抵抗を安定化させることができる。
【0099】
なお、上述した実施の形態4において、基端部61dと突出部623a、624aで抜け止めする構成のようになっているが、両接続部材をコイルばねに圧入する場合、これら(基端部と突出部)はなくてもよい。
【0100】
なお、上述した実施の形態4において、実施の形態3の締付部材を設けて、該締付部材57により第1舌片部623および第2舌片部624を締め付けるものであってもよい。
【0101】
なお、上述した実施の形態4において、第1接触部材61の先端部61aおよびフランジ部61bを、舌片部群62cに対して90°回転させたものであってもよい。
【0102】
なお、上述した実施の形態1〜3において、各フランジ部の各先端部側の端部およびホルダ孔の大径部と小径部との各境界壁面がテーパ状をなすものであってもよい。これにより、プローブをホルダに取り付けた場合のプローブの軸線方向と垂直な方向の位置決めを一段と確実に行うことができる。
【0103】
また、上述した実施の形態1,2および変形例において、フランジ部やボス部などが設けられているものとして説明したが、コイルばねが圧入され、ホルダからの抜け止め機能を有するものであれば、フランジ部またはボス部を有しない構成であってもよい。
【0104】
また、上述した実施の形態1〜4および変形例において、コイルばねは線材を用いて形成されるものとして説明したが、該線材は、線材の長手方向と直交する方向の断面が円状や楕円状をなすものであってもよいし、矩形状をなすものであってもよい。線材が矩形をなす場合、第1プランジャ(第1接触部材)および第2プランジャ(第2接触部材)の伸縮、ならびに締め付けにかかる荷重を増大することができる。
【0105】
上述した実施の形態1〜4および変形例は、本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明は、各実施の形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態1〜3に記載のプランジャと、実施の形態4の接触部材とを組み合わせることも可能である。本発明は、仕様等に応じて種々変形することが可能であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは、上記記載から自明である。