特許第6231695号(P6231695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許62316953次元積層造形装置、3次元積層造形装置の制御方法および3次元積層造形装置の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6231695
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】3次元積層造形装置、3次元積層造形装置の制御方法および3次元積層造形装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/16 20060101AFI20171106BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20171106BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20171106BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20171106BHJP
【FI】
   B22F3/16
   B22F3/105
   B33Y30/00
   B33Y50/02
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-547108(P2016-547108)
(86)(22)【出願日】2016年3月25日
(86)【国際出願番号】JP2016059644
【審査請求日】2016年7月15日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度 経済産業省「産業技術開発(次世代産業用三次元造形システム技術開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】514227988
【氏名又は名称】技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(74)【代理人】
【識別番号】100198960
【弁理士】
【氏名又は名称】奥住 忍
(72)【発明者】
【氏名】北村 真一
(72)【発明者】
【氏名】眞部 弘宣
【審査官】 米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−175012(JP,A)
【文献】 特開平07−138741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/16
B22F 3/105
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元積層造形物が造形される造形面上に、前記3次元積層造形物の材料を散布する材料散布手段と、
電子ビームを発生させる電子銃と、
前記造形面上方の、前記電子ビームが通過する領域の側面を覆うように設けられた金属製のカバー手段と、
前記カバー手段をプラス電圧またはGND電位にする印加手段と、
を備え、
前記カバー手段の内側にフィンが設けられている3次元積層造形装置。
【請求項2】
前記プラス電圧は、30[V]以上である請求項1に記載の3次元積層造形装置。
【請求項3】
前記プラス電圧は、50[V]から100[V]の間である請求項2に記載の3次元積層造形装置。
【請求項4】
前記カバー手段の内側に設けられ、GND電位の接地手段をさらに備える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の3次元積層造形装置。
【請求項5】
前記カバー手段は、波型形状である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の3次元積層造形装置。
【請求項6】
3次元積層造形物が造形される造形面上に、前記3次元積層造形物の材料を材料散布手段により散布する材料散布ステップと、
電子銃により電子ビームを発生させる発生ステップと、
前記造形面上方の、前記電子ビームが通過する領域の側面を覆うように設けられた、内側にフィンが設けられている金属製のカバー手段をプラス電圧またはGND電位にする印加ステップと、
を含む3次元積層造形装置の制御方法。
【請求項7】
3次元積層造形物が造形される造形面上に、前記3次元積層造形物の材料を材料散布手段により散布する材料散布ステップと、
電子銃により電子ビームを発生させる発生ステップと、
前記造形面上方の、前記電子ビームが通過する領域の側面を覆うように設けられた、内側にフィンが設けられている金属製のカバー手段をプラス電圧またはGND電位にする印加ステップと、
をコンピュータに実行させる3次元積層造形装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元積層造形装置、3次元積層造形装置の制御方法および3次元積層造形装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、真空室内に補助ガスとして不活性ガスを導入する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−526694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、2次電子や反射電子などの散乱電子の発生を効果的に抑制することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る3次元積層造形装置は、
3次元積層造形物が造形される造形面上に、前記3次元積層造形物の材料を散布する材料散布手段と、
電子ビームを発生させる電子銃と、
前記造形面上方の、前記電子ビームが通過する領域の側面を覆うように設けられた金属製のカバー手段と、
前記カバー手段をプラス電圧またはGND電位にする印加手段と、
を備え、
前記カバー手段の内側にフィンが設けられている。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る3次元積層造形装置の制御方法は、
3次元積層造形物が造形される造形面上に、前記3次元積層造形物の材料を材料散布手段により散布する材料散布ステップと、
電子銃により電子ビームを発生させる発生ステップと、
前記造形面上方の、前記電子ビームが通過する領域の側面を覆うように設けられた、内側にフィンが設けられている金属製のカバー手段をプラス電圧またはGND電位にする印加ステップと、
を含む。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る3次元積層造形装置の制御プログラムは、
3次元積層造形物が造形される造形面上に、前記3次元積層造形物の材料を材料散布手段により散布する材料散布ステップと、
電子銃により電子ビームを発生させる発生ステップと、
前記造形面上方の、前記電子ビームが通過する領域の側面を覆うように設けられた、内側にフィンが設けられている金属製のカバー手段をプラス電圧またはGND電位にする印加ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2次電子や反射電子などの散乱電子の発生を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る3次元積層造形装置の構成を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る3次元積層造形装置の構成を示す部分拡大図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る3次元積層造形装置の処理手順を説明するフローチャートである。
図4】本発明の第1実施形態に係る3次元積層造形装置の前提技術に係る3次元積層造形装置の構成の一例を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る3次元積層造形装置の前提技術に係る3次元積層造形装置のスモーク現象発生のメカニズムを説明する図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る3次元積層造形装置の備える防着カバーの構成を示す部分拡大図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る3次元積層造形装置の備える防着カバーの構成を示す部分拡大図である。
図8A】本発明の第4実施形態に係る3次元積層造形装置の備える防着カバーの構成を示す部分拡大図である。
図8B】本発明の第4実施形態に係る3次元積層造形装置の備える防着カバーの他の例の構成を示す部分拡大図である。
図9】本発明の第5実施形態に係る3次元積層造形装置の備える防着カバーの構成を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明記載する。ただし、以下の実施の形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての3次元積層造形装置100について、図1を用いて説明する。3次元積層造形装置100は、パウダーベッド方式の装置である。3次元積層造形装置100は、リコータなどにより造形面上に敷き詰めた材料に電子ビームを照射して、材料を溶融し、凝固させ、1層分の材料の積層を完成させる。そして、1層分の積層が完了したら、3次元積層造形装置100は、1層分の高さに相当する高さだけ造形台を下げて、次の層の材料をリコータなどにより敷き詰める(散布する)。材料を敷き詰めたら、電子ビームを照射して、材料を溶融し、凝固させ、次の1層分の材料の積層を完成させる。3次元積層造形装置100は、この動作を繰り返して、所望の3次元積層造形物を造形する。
【0013】
<前提技術>
図4は、本実施形態に係る3次元積層造形装置の前提技術に係る3次元積層造形装置の構成の一例を示す図である。
【0014】
≪構成≫
真空容器401に電子銃402が装着されており、真空容器401内には断面が円状または角状の造形枠台(造形ボックス)403が設けられている。造形枠台403の内側下方にはZ軸駆動機構404があり、粉末台440をラックアンドピニオンやボールねじなどによりZ方向に駆動することができる。
【0015】
造形枠台403と粉末台440との隙間には、耐熱性のあるフレキシブルシール460があり、フレキシブルシール460と造形枠台403の内面のすべり面で摺動性と密閉性とを持たせている。真空容器401は、図示しない真空ポンプにより排気され、真空容器401内は真空に維持されている。
【0016】
粉末台440には、金属粉末で浮かせた状態で、3次元積層造形物430が造形される造形プレート(ベースプレート)406が配置されている。造形プレート406は、電気的に浮かないようにGND線450でGND電位である粉末台440に接地されている。造形プレート406上には3次元積層造形物430が造形され、各層の造形時には、金属粉末を充填した線状漏斗(リコータ)405により、造形枠台403上面とほぼ同じ高さまで、金属粉末が敷き詰められている(敷き詰められた粉末452)。
【0017】
線状漏斗405には、図示しないホッパから適宜金属粉末が補充されている。3次元積層造形物430は、一層分、敷き詰められた粉末(未焼結)452を電子銃402からの電子ビームにより3次元積層造形物430となる領域を2次元的に溶融し、その重ね合わせによって構築される。造形プレート406上に敷き詰められた粉末452の3次元積層造形物430以外の領域は、電子銃402からの電子ビームにより、仮焼結された粉末(敷き詰められた粉末(仮焼結))451であり、導電性を有している。
【0018】
造形面と電子銃402との間には、防着カバー407が取り付けられており、造形時に発生する金属蒸気やファイヤーワークスによる金属スパッタの真空容器401の内壁への蒸着を防いでいる。
【0019】
≪動作≫
3方を金属粉末で覆われた造形プレート406上面を造形枠台403上面とほぼ同じ高さに配置し、電子銃402からの電子ビームを造形プレート406上面全域より少し狭い領域に照射し、金属粉末が仮焼結する程度の温度まであらかじめ昇温しておく。
【0020】
造形の開始時は、造形プレート406上面が造形枠台403上面より僅かに下がった位置に配置するように粉末台440をZ軸駆動機構404により下げる。この僅かに下がったΔZが、その後のZ方向の層厚に相当する。金属粉末を充填した線状漏斗405を造形プレート406の上面に沿って反対側に移動させ、ΔZ分の造形プレート406より少し狭い領域に電子銃402からの電子ビームを照射し、昇温して、照射領域の金属粉末を確実に仮焼結させる。
【0021】
あらかじめ準備された設計上の3次元積層造形物をΔZ間隔でスライスした2次元形状に従い、電子銃402からの電子ビームにより、その2次元領域を溶融する。1層分の溶融および凝固後、再び、造形プレート406より少し狭い領域に電子銃402からの電子ビームを照射し、昇温して、粉末敷き詰めの準備をする。
【0022】
所定の温度に昇温後、電子ビームをOFFにして、Z軸駆動機構404により粉末台440をΔZ分下げ、線状漏斗405を再び造形枠台403の上面に沿って反対に移動させる。そして、ΔZ分の金属粉末を前層の上に敷き詰め、電子銃402からの電子ビームにより確実に仮焼結後、その層に相当する2次元形状の領域を溶融する。これを繰り返して、3次元積層造形物430を造形する。
【0023】
図5は、本実施形態に係る3次元積層造形装置の前提技術に係る3次元積層造形装置のスモーク現象発生のメカニズムを説明する図である。図5は、図4の電子銃402の下部の拡大図である。図示したように、仮焼結や溶融時に電子ビームを照射した際に、照射位置から反射電子や2次電子が大量に発生する。反射電子は、上部の防着カバー407内壁に当たり、更なる反射電子、2次電子が放出される。
【0024】
このように、防着カバー407で覆われた造形面上方には大量の電子が存在しており、仮焼結されていない金属粉末は表面の酸化膜により個々の粉末間は電気的に絶縁状態となるため、容易にマイナスにチャージする。そのため、電子ビームを照射する領域に仮焼結不十分によるチャージした金属粉末ができると、そのチャージした金属粉末は、外側の未焼結領域に吹き飛ばされ、その領域でのチャージのバランスが崩れる。そして、チャージのバランスが崩れると、静電気力による斥力バランスも崩れ、金属粉末同士の反発でそれらが飛び散るスモークという現象が発生する。これを抑制するため、Heガスなどのガス導入でガスイオンを生成し中和作用に期待した手法が用いられているが、仮焼結不十分の場合には、依然としてスモーク現象が発生する。
【0025】
<本実施形態の技術>
≪構成≫
図1は、本実施形態に係る3次元積層造形装置の構成を示す図である。図2は、本実施形態に係る3次元積層造形装置の構成を示す部分拡大図である。3次元積層造形装置100は、真空容器101と、電子銃102と、造形枠台103と、Z軸駆動機構104と、線状漏斗105と、造形プレート106と、防着カバー107と、DC電源108とを備える。なお、以下の説明においては、3次元積層造形装置100として、パウダーベッド方式の造形装置を例に説明をする。
【0026】
防着カバー107は、金属製のカバーであり、電子銃102の先端部分に取り付けられており、絶縁体171で電気的に浮かされている。また、防着カバー107には、外部からプラスのDC電源108が接続されており、+30[V]以上の電圧、好ましくは+50〜+100[V]の電圧が印加される。また、防着カバー107にプラスの電圧を印加しないで、GND電位としてもよい。
【0027】
なお、同図においては、DC電源108が真空容器101内に配置されている例で説明をしているが、DC電源108を真空外に配置して、フィールドスルーを介して印加電圧を導入してもよい。また、防着カバー107の材質としては、チタン(Ti)などの金属や、チタン系の化合物、ステンレス鋼などの合金が代表的であるが、2次電子放出の小さい材質であれば、これには限定されない。また、防着カバー107の厚みは約0.5mmであるが、これには限定されず、これよりも薄くても、厚くてもよい。
【0028】
≪動作≫
3方向を金属粉末で覆われた造形プレート106上面を造形枠台103上面とほぼ同じ高さに配置し、造形プレート106と造形枠台103との間にある金属粉末を覆う。電子銃102からの電子ビームを造形プレート106上面全域に照射し、金属粉末が完全に仮焼結する程度の温度まで造形プレート106をあらかじめ昇温させておく。
【0029】
造形開始時には、造形プレート106上面が造形枠台103上面より僅かに下がった位置に配置されるように、粉末台140をZ軸駆動機構104により下げる。この僅かに下がったΔZが、その後のZ方向の層厚に相当する。
【0030】
金属粉末を充填した材料散布部である線状漏斗(リコータ)105を造形プレート106の上面に沿って反対側に移動させ、ΔZ分の金属粉末を造形プレート106上とその周りに散布して、敷き詰める。造形プレート106上に敷き詰めた金属粉末に対して電子銃102からの電子ビームを照射して、昇温させ、照射領域の金属粉末を確実に仮焼結させる。
【0031】
あらかじめ準備された設計上の3次元積層造形物(造形モデル)をΔZ間隔でスライスした2次元形状に従い、電子銃102からの電子ビームにより、その2次元形状領域を溶融する。1層分、溶融および凝固後、再び造形プレート106より少し狭い領域に電子銃102からの電子ビームを照射し、昇温して、金属粉末敷き詰めの準備をする。所定の温度に昇温後、電子ビームをOFFにする。
【0032】
Z軸駆動機構104により粉末台140をΔZ分下げて、線状漏斗105を再び造形枠台103の上面に沿って反対側に移動させ、ΔZ分の金属粉末を前層の上に敷き詰める。新たに敷き詰められた金属粉末に電子銃102からの電子ビームを照射し、新たに敷かれた金属粉末を確実に仮焼結した後、その層に相当する2次元形状の領域を溶融する。3次元積層造形装置100は、これを繰り返して、3次元積層造形物130を造形する。
【0033】
防着カバー107にプラスの電圧を印加することにより、電子の発生量が大きい2次電子(数〜数10eV)を防着カバー107にトラップすることができ、造形プレート106と造形枠台103との間の未焼結領域の金属粉末のチャージアップを抑制する。
【0034】
図3は、本実施形態に係る3次元積層造形装置100の処理手順を説明するフローチャートである。ステップS301において、3次元積層造形装置100は、3次元積層造形物130の造形データを取得する。ステップS303において、3次元積層造形装置100は、金属粉末を造形面に散布して、敷き詰める。なお、造形面に金属粉末を散布する前に、ベースプレートを仮焼結する温度までの予備加熱を行う。ステップS305において、3次元積層造形装置100は、防着カバー107に所定の電圧を印加する。ステップS307において、3次元積層造形装置100は、散布した金属粉末に電子ビームを照射して仮焼結を実施する。ステップS309において、3次元積層造形装置100は、仮焼結した金属粉末に電子ビームを照射して本溶融を実施する。ステップS311において、3次元積層造形装置100は、3次元積層造形物130の造形が終了したか否かを判断する。造形が終了したと判断した場合(ステップS311のYES)、3次元積層造形装置100は、3次元積層造形物130の造形を終了する。造形が終了していないと判断した場合(ステップS311のNO)、3次元積層造形装置100は、ステップS303以降のステップを繰り返す。
【0035】
本実施形態によれば、2次電子などの放出の小さい材質を用い、さらに、防着カバーにプラス電圧を印加したので、2次電子の発生を効果的に抑制することができる。また、2次電子の発生を抑制するので、未焼結領域の金属粉末のチャージアップを抑制でき、スモーク現象の発生を抑制できる。
【0036】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る3次元積層造形装置について、図6を用いて説明する。図6は、本実施形態に係る3次元積層造形装置600の備える防着カバーの構成を説明するための図である。防着カバー607は、造形枠台103に対して垂直に配置されている。そして、線状漏斗105により金属粉末を散布して、造形面上に敷き詰めいている場合は、防着カバー607は、線状漏斗105の通過スペースができるように、上に上がっている。そして、線状漏斗105により、1層分の金属粉末の散布し、新たな金属粉末が敷き詰められたら、防着カバー607を散布した金属粉末に接触する位置まで下げて、電子ビームを照射する。これにより、電子ビームが照射されない部分である未焼結部分には、電子ビームが到達しないので、未焼結部分のチャージアップを抑制できる。
【0037】
本実施形態によれば、2次電子などの放出の小さい材質を用い、さらに、防着カバーにプラス電圧を印加したので、2次電子の発生を抑制することができる。
【0038】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係る3次元積層造形装置について、図7を用いて説明する。図7は、本実施形態に係る3次元積層造形装置700の備える防着カバーの構成を説明するための図である。防着カバー707は、円錐形状をしており、造形枠台103に近い側の開口が大きくなっている。
【0039】
防着カバー707は可動式となっており、線状漏斗105で、造形面上に金属粉末を敷き詰める場合には、上側に跳ね上がった状態となり、防着カバー707と造形面との間の空間を線状漏斗105が移動する。そして、電子ビームを照射する場合には、防着カバー707が下に降りてきて(同図の点線)、造形プレート106の上部の部分にしか電子ビームが照射されないようにする。
【0040】
本実施形態によれば、2次電子などの放出の小さい材質を用い、さらに、防着カバーにプラス電圧を印加したので、2次電子の発生を抑制することができる。
【0041】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態に係る3次元積層造形装置について、図8を用いて説明する。図8Aは、本実施形態に係る3次元積層造形装置800の備える防着カバーの構成を説明するための図である。図8Bは、本実施形態に係る3次元積層造形装置800の備える防着カバーの他の例の構成を説明するための図である。
【0042】
図8Aに示したように、防着カバー807は、内側にフィン871を備えた構造となっている。フィン871の材質は、防着カバー807の材質と同じであっても、異なっていてもよい。また、フィン871を防着カバー807に取り付ける取付角度は、鋭角であっても、鈍角であってもよく、任意の角度であってもよい。このように、防着カバー807とフィン871とを組み合わせることにより、反射電子や2次電子をトラップする機構の表面積が増えるので、より多くの反射電子や2次電子をトラップすることができる。
【0043】
また、防着カバー807の表面積を増やすために、図8Bに示したように、防着カバー807の形状を波型の形状にして、フィン871と組み合わせることにより、トラップ機構の表面積をさらに増やすことができる。なお、防着カバー807の形状は、波型形状には限定されず、階段状形状や、ジグザグ形状などであってもよい。
【0044】
なお、フィン871は、全て同じ長さでもよいし、それぞれが異なる長さでもよいし、造形面に最も近いフィン871の長さをその他のフィン871の長さよりも長くしてもよい。また、防着カバー807は、GND電位であるが、上記第2実施形態などに示したように、防着カバー807にプラスの電圧を印加してもよい。
【0045】
本実施形態によれば、反射電子や2次電子のトラップ機構の表面積を増やすことができるので、より多くの反射電子や2次電子をトラップでき、スモーク現象の発生を抑制できる。
【0046】
[第5実施形態]
次に本発明の第5実施形態に係る3次元積層造形装置について、図9を用いて説明する。図9は、本実施形態に係る3次元積層造形装置900の備える防着カバーの構成を説明するための図である。防着カバー907は、内側にGND電位の接地部971が設けられている。
【0047】
防着カバー907に印化する電圧を高くしていくと、電子ビームが通る空間に電場が形成され、電子ビームの形状が崩れたり、スポット位置の精度やスキャン位置の精度などが低下したりする。そのため、本実施形態では、防着カバー907の内側に接地部971を設けて、防着カバー907からの電場が、接地部971でGNDレベルに固定される。なお、図示していないが、接地部971は、防着カバー907に対して絶縁体で電気的に浮かした状態で装着されている。
【0048】
本実施形態によれば、接地部を設けたので、防着カバーから発生する2次電子や反射電子をトラップすることができ、造形面近傍の散乱電子が低減できる。さらに、未焼結領域の金属粉末のチャージアップを抑制でき、スモーク現象の発生を抑制できる。
【0049】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0050】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
【要約】
2次電子や反射電子などの散乱電子の発生を効果的に抑制すること。3次元積層造形装置であって、3次元積層造形物が造形される造形面上に、前記3次元積層造形物の材料を散布する線状漏斗を備える。また、3次元積層造形装置であって、電子ビームを発生させる電子銃を備える。さらに、3次元積層造形装置であって、前記造形面と前記電子銃との間に設けられた金属製の防着カバーを備える。さらにまた、3次元積層造形装置であって、防着カバーにプラス電圧を印加するDC電源を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9