特許第6231697号(P6231697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6231697液体燃料CPOX改質器及びCPOX改質の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231697
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】液体燃料CPOX改質器及びCPOX改質の方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/32 20060101AFI20171106BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20171106BHJP
   C10L 1/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   C01B3/32 A
   C01B3/38
   C10L1/00
【請求項の数】15
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2016-553226(P2016-553226)
(86)(22)【出願日】2014年11月5日
(65)【公表番号】特表2016-537296(P2016-537296A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】US2014064101
(87)【国際公開番号】WO2015069749
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2016年10月25日
(31)【優先権主張番号】61/900,510
(32)【優先日】2013年11月6日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516134213
【氏名又は名称】ワット・フューエル・セル・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】WATT FUEL CELL CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】フィンナーティ,ケイン,エム
(72)【発明者】
【氏名】デウォールド,ポール
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0188615(US,A1)
【文献】 特開2008−007372(JP,A)
【文献】 特表2001−518045(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0029539(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/031024(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01787950(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00−3/58
C10L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料CPOX改質器であって:
互いに離間されたCPOX反応器ユニットのアレイであって、各CPOX反応器ユニットが、内表面と外表面を有するガス透過可能壁を有する細長いチューブを備えること、前記ガス透過可能壁が、開口ガス流通路を囲むと共に前記CPOX反応器ユニットのインレットとアウトレット画定すること、
一つのCPOX反応器ユニットが、前記アレイの少なくとも隣の前記CPOX反応器ユニット(単数又は複数)と熱連通状態にあること、及び
前記ガス透過可能壁の少なくとも一つのセクションが、CPOX触媒を備えること;
前記CPOX反応器ユニットのインレットと流体連通状態の気化器;及び
少なくとも一つのCPOX反応器ユニットのCPOX触媒を備える前記ガス透過可能壁の少なくとも一つのセクションと熱連通状態の点火器、を備える液体燃料CPOX改質器。
【請求項2】
水素バリアが、一つのCPOX反応器ユニットの少なくとも前記CPOX触媒含有壁セクションの前記外表面と関連する請求項1に記載の液体燃料CPOX改質器。
【請求項3】
隣り合うCPOX反応器ユニット間の最大距離は、CPOX反応が、動作中のCPOX反応器ユニットにおけるCPOX反応からの熱によって隣のCPOX反応器ユニットで開始されることに失敗しない及び/又は動作の定常状態モード中に、互いに離間されたCPOX反応器ユニットの前記アレイの温度が所定の最小アレイ温度未満に低下しない距離であり;隣り合うCPOX反応器ユニット間の最小距離は、CPOX反応器ユニットのアウトレットでの温度が所定の最大温度を越えることがない距離である請求項1又は2に記載の液体燃料CPOX改質器。
【請求項4】
前記気化器と流体連通状態の第1の酸素含有ガス源と前記気化器の下流の混合ゾーンと流体連通状態の第2の酸素含有ガス源を備える請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液体燃料CPOX改質器。
【請求項5】
ブランチコンジットを有する酸素含有ガスコンジットを備え、前記酸素含有ガスコンジットは、酸素含有ガス源と前記気化器との間に流体連通を提供し、且つ前記ブランチコンジットは、前記酸素含有ガス源と前記気化器の下流の混合ゾーンとの間で流体連通を提供し、前記酸素含有ガスコンジットと前記ブランチコンジットは、前記酸素含有ガス源から前記気化器及び前記気化器の下流の前記混合ゾーンへの酸素含有ガスの送給を分割する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液体燃料CPOX改質器。
【請求項6】
酸素含有ガスインレットと、前記気化器のアウトレットの下流に位置されるガス状CPOX反応混合物アウトレットを備えるコンジットであって、前記コンジットは、前記酸素含有ガスインレットと前記ガス状CPOX反応混合物アウトレットとの間に流体連通を提供すること、及び前記ガス状CPOX反応混合物アウトレットは、前記CPOX反応器ユニットの前記インレットと流体連通状態にあること;
前記コンジットの前記酸素含有ガスインレットと流体連通状態にある、ガス状改質可能燃料のためのインレット;及び
前記ガス状改質可能燃料インレットと前記酸素含有ガスインレットから下流で且つ前記気化器の前記アウトレットの上流のCPOX触媒含有セクションを備える請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液体燃料CPOX改質器。
【請求項7】
前記気化器は、燃料散布器を備える又は燃料散布器である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液体燃料CPOX改質器。
【請求項8】
請求項1の前記液体燃料CPOX改質器を使用して液体改質可能燃料を水素リッチ改質油にCPOX改質する方法であって、前記方法は:
気化された液体改質可能燃料を含むガス状CPOX反応混合物をCPOX反応器ユニットのインレットに導入すること;
少なくとも一つのCPOX反応器ユニットにおいて水素リッチ改質油の生産を開始するために、前記ガス状CPOX反応混合物の触媒部分酸化を開始すること;及び
前記少なくとも一つのCPOX反応器ユニットにおいて前記ガス状CPOX反応混合物の触媒部分酸化を維持することであり、前記少なくとも一つのCPOX反応器ユニットの前記ガス透過可能CPOX触媒含有壁セクションは、ガス状CPOX反応混合物が中で拡散されて生産物水素リッチ改質油がそこから拡散されることを可能とすること、を含む方法。
【請求項9】
水素バリアが、一つのCPOX反応器ユニットの少なくとも前記CPOX触媒含有壁セクションの前記外表面と関連する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
触媒部分酸化を開始することは:
一つのCPOX反応器ユニットにおいてCPOX反応を開始すること;及び
前記CPOX反応からの熱を一つの隣のCPOX反応器ユニットに伝達して中でCPOX反応を開始することを含む請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
酸素含有ガスは、前記気化器から下流で且つCPOX反応器ユニットのインレットから上流で前記ガス状CPOX反応混合物に導入される請求項8乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
CPOXを開始することは、前記CPOX反応器ユニットの各々において二つ以上の点火器を始動して前記ガス状CPOX反応混合物のCPOXを開始することを含み、前記点火器の数が前記CPOX反応器ユニットの数よりも少ない請求項8乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記気化器のアウトレットの上流で、酸素含有ガスのストリーム及び/又は加熱された酸素含有ガスのストリームをコンジット内に配置された及び/又はコンジットと熱連通状態にある熱調整アセンブリで加熱する及び/又は冷却することを含む請求項8乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項6の前記液体燃料CPOX改質器を使用してガス状改質可能燃料を水素リッチ改質油にCPOX改質する方法であって、前記方法は:
ガス状改質可能燃料を含むガス状CPOX反応混合物を前記CPOX触媒含有セクションから上流の前記コンジットに導入すること;
少なくとも一つのCPOX反応器ユニットにおいて水素リッチ改質油の生産を開始するために、前記ガス状改質可能燃料を含む前記ガス状CPOX反応混合物の触媒部分酸化を、前記ガス透過可能壁の少なくとも一つのセクションの構造内に配置されたCPOX触媒、及び/又は前記ガス透過可能壁の少なくとも一つのセクションの構造を含むCPOX触媒において開始することと;及び
前記ガス状改質可能燃料を含む前記ガス状CPOX反応混合物の触媒部分酸化を、前記ガス透過可能壁の少なくとも一つのセクションの構造内に配置されたCPOX触媒、及び/又は前記ガス透過可能壁の少なくとも一つのセクションの構造を含むCPOX触媒において維持することを含む方法。
【請求項15】
前記ガス状CPOX反応混合物の触媒部分酸化が、同じCPOX改質器内で液体改質可能燃料のCPOX改質に先行して、又はそれと同時に又はそれに続いて実行される請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2013年11月6日に出願された米国仮特許出願第61/900,510号明細書の出願日の優先権と利益を享受し、その開示の全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本教示は、液体燃料触媒部分酸化改質器及び液体改質可能燃料を触媒部分酸化改質して水素リッチ改質油を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガス状又は液体改質可能燃料の水素リッチ一酸化炭素含有ガス混合物、一般的には「合成ガス」又は「シンガス(syngas)」と呼ばれる生成品、への変換は、スチーム改質、乾燥改質、オートサーマル改質、及び触媒部分酸化(CPOX)改質のような周知の燃料改質操作のいずれかに従って、実行されることができる。これらの燃料改質操作の各々は、その特有の化学的作用と必要条件を有し、且つ各々は、その他の燃料改質操作に対するその有利な点と不利な点によって特色づけられている。
【0004】
改良された燃料改質器、燃料改質器コンポーネント、及び改質プロセスの開発は、燃料セル、即ち、水素、水素と一酸化炭素の混合物等のような電気化学的酸化可能燃料を電気に電気化学的に変換して主電源ユニット(MPU)及び副電源ユニット(APU)を含む一般的な用途のための大きく拡大された役割を果たすためのデバイスのポテンシャルに起因して多くの研究へ焦点が当てられ続けている。燃料セルは、例えば、電気自動車のためのオンボード電気発生デバイス、家庭用デバイスのためのバックアップ電源、レジャー使用、アウトドア及び送電線網を利用しない場所での他の電力消費デバイスのための主電源、及び携行バッテリパックのためのよりより軽量で、高い電力密度、周囲温度から独立した代替品のような特殊化された用途のために使用されることもできる。
【0005】
大きなスケール、水素の経済的生産、その流通のための基盤、及びその貯蔵のための実際の手段(特に、輸送燃料)は、まだまだ先であると広く信じられているために、多くの現在の研究と開発は、電気化学的酸化可能燃料源、とりわけ、水素と一酸化炭素の混合物源としての燃料改質器とそのような燃料の電気への変換装置のような燃料セル「スタック」とも一般的に呼ばれる燃料セルアセンブリ、及び燃料の改質器と燃料セルの電気エネルギーの生産のためのよりコンパクトで信頼でき且つ効率的なデバイスへの一体化の両方を向上することに向けられている。
【0006】
CPOX改質、即ち、単純にCPOXは、例えば、100ワットから100キロワットの範囲の名目上の電力定格であってそれらの間である全ての電力定格を有する燃料セルスタックに水素リッチ改質油を提供する方法として特に注目されている。とりわけ、CPOX改質の利点は、反応が、外部の熱源を必要とする吸熱反応であるスチーム改質とドライ改質に対比して発熱的であることである。
【0007】
更に、CPOX反応は、一般的に、他の改質反応よりも速く、それによって、早いスタートアップ及び負荷の変化における迅速な応答を可能とする比較的に小さな改質器の構成を可能とする。また、CPOX改質器は、水及びスチームの扱いを必要とする改質器、例えば、水のための貯蔵ユニット、スチーム製造のための加熱ユニット、吸熱改質反応を駆動するために熱を供給するバーナーや燃焼ユニット等、及びそれらに関連する燃料の経路付、動作監視及び制御デバイスを必要とするスチーム改質器及びオートサーマル改質器よりも設計がより単純である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,790,431号明細書
【特許文献2】米国特許第7,578,861号明細書
【特許文献3】米国特許第5,527,631号明細書
【特許文献4】米国特許第6,402,989号明細書
【特許文献5】米国特許第6,458,334号明細書
【特許文献6】米国特許第6,692,707号明細書
【特許文献7】米国特許第6,770,106号明細書
【特許文献8】米国特許第6,887,456号明細書
【特許文献9】米国特許第6,984,371号明細書
【特許文献10】米国特許第7,090,826号明細書
【特許文献11】米国特許第7,118,717号明細書
【特許文献12】米国特許第7,232,352号明細書
【特許文献13】米国特許第7,909,826号明細書
【特許文献14】米国特許第7,976,787号明細書
【特許文献15】米国特許第8,323,365号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2013/0028815号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、且つ先に認識されるように(例えば、米国特許第6,790,431号明細書及び第7,578,861号明細書を参照)、CPOX反応中に生成される熱の典型的に高いレベルは、改質器及び/又はCPOX触媒、触媒支持部、及び他の構造的コンポーネントのようなコンポーネントに対する損傷を含む望ましくない結果を有し得る。これは、多くの現在のCPOX改質器設計の大きな欠点であり、有効な解決策の必要性がある。
【0010】
一つの既知のタイプのCPOX改質器は、一般的には、「触媒モノリス」、「触媒モノリス支持部」、「モノリス基板」又は単純に「モノリス」と呼ばれる触媒支持コンポーネントを含み、それは、その上に配置されるCPOX触媒や触媒系を有する。
【0011】
モノリスは、二つの一般的な構成に基づいて分類される:第1の構成は、中を貫通する本質的に線形のガス流路を呈するハニカム状のチャネルとされた金網又はらせん状に巻かれたコルゲート状シート構造の金属又はセラミックボディによって特徴付けられ、及び第2の構成は、中を貫通する曲がりくねったガス流路を呈する網状の、即ち、開口の細穴構造の金属又はセラミック発泡ボディによって特徴付けられる。一つ又は他の一般的なタイプの代表的なモノリスは、例えば、米国特許第5,527,631号明細書、第6,402,989号明細書、第6,458,334号明細書、第6,692,707号明細書、第6,770,106号明細書、第6,887,456号明細書、第6,984,371号明細書、第7,090,826号明細書、第7,118,717号明細書、第7,232,352号明細書、第7,909,826号明細書、第7,976,787号明細書、第8,323,365号明細書、及び米国特許出願公開第2013/0028815号明細書に開示されている。
【0012】
図1Aに示されるように、長手方向断面で見る、一般的な従来の技術のものであるモノリス100は、CPOX触媒が含浸された又はウォッシュコートされた、多数のチャネル102よりなるハニカム状セラミックボディ101と、ガス状CPOX反応混合物、即ち、ガス状酸化剤、典型的には、空気、と改質可能燃料、例えば、メタン、天然ガス、プロパン又はブタンのようなガス状の燃料又はガソリン、灯油、ジェット燃料又はディーゼルのような気化された液体燃料の混合物が入ることができるインレット端103、水素リッチ一酸化炭素含有改質油生成品(シンガス)を放出するためのアウトレット端104及びモノリス全体と本質的に同一の広がりを持つCPOX反応ゾーン105を含む。
【0013】
CPOX反応ゾーン105は、内側、即ち、中央領域106を有するものと考えられ、この中央領域106を通って、ガス状CPOX反応混合物ストリームの対応する内側、即ち中央部分が、外側,即ち周辺領域107によって囲まれる速度Vの比較的高い範囲内で本質的に流れ、この周辺領域107を通って、ガス状CPOX反応混合物ストリームの対応する外側、即ち、周辺部分が速度Vの比較的低い範囲内で本質的に流れる。
【0014】
モノリスは、典型的には、例えば、およそ600℃から1,100℃の極めて高いCPOX反応温度を受ける。ハニカム状モノリス100の場合、CPOX反応ゾーン105の内側領域106と外側領域107内を夫々流れるCPOX反応混合物ストリームの流速VとVの固有の差分に繋がるこれらの高温は、モノリス100及びCPOX改質が関連する他の本質的に線形の流路モノリスの観察された動作上の欠点の主因となる傾向がある。
【0015】
600℃から1,100℃のCPOX反応温度では、モノリス100は、そのインレット端103で大量の熱を放射する。CPOX反応状態を注意深く観察し且つ制御しても、「フラッシング」の現象、即ち、放射熱ゾーン108内のCPOXガス状反応混合物ストリームがインレット端103に近接する時のそのCPOXガス状反応混合物ストリームの早期燃焼を防止又は禁止することが困難であり得る。インレット端103に近接する初期のCPOX反応ゾーン109内で生じるCPOX反応の発熱の熱はそこから放射熱ゾーン108内に外方に向けて放射する。この放射熱は、前進するCPOX反応混合物ストリーム(矢印で指示)の温度をそのフラッシュポイントに上昇するのに十分な強度の熱であり得る。放射熱ゾーン108内のCPOX反応混合物のフラッシングによって望ましくない熱事象が引き起こされ、その温度を、触媒が気化される又は不活性化される点まで上昇する及び/又は改質器構造が損傷される又は動作不能にされるポイントまで上昇する。また、これらの熱事象は、このゾーン内での燃料の分解蒸留に至ることがあり、その結果、コークス(炭素粒子)形成が増加してCPOX触媒性能の悪化となる。水素リッチ改質油流出物が燃料セルスタックのための燃料として利用される場合、コークス及びその中に含まれる未改質高級炭化水素部分は、燃料セルのアノード表面に堆積し、生成物の改質油の電気への変換を減少することになる。
【0016】
更に図1Aに示されるように、CPOX反応ゾーン105の内側領域106と外側領域107の夫々の内のCPOX反応混合物ストリームの流速VとVの前述の差分は、また、主に、これらの領域におけるCPOX反応温度範囲TとTにおける差分の要因である。このように、内側領域106内のCPOX反応混合物ストリームのより高い速度Vは、その領域でのCPOX反応率がより高く且つ付随する反応温度Tがより高くなり、逆に、外側領域107内のCPOX反応混合物ストリームのより低い速度Vは、その領域でのCPOX反応率がより低く且つ付随する反応温度Tがより低くなる。内側領域106及び外側領域107を横切る温度プロファイルは、温度曲線110によって表されることができる。十分に高い場合、CPOX反応温度Tにおける急な上昇は、モノリス100に対する損傷及び全破壊とさえなり得る。
【0017】
図1Bに示されるように、長手方向断面から見て従来の技術のタイプの発泡モノリス150は、従来の又は他の既知の手順、例えば、含浸又はウオッシュコーティングによって上に堆積されるCPOX触媒又は触媒系を支持する相互接続細穴及び細穴チャネル152の網状の、即ち、開口の、ネットワークによって特徴付けられるセラミック発泡ボディ151を含む。
【0018】
全てのタイプの発泡モノリスの一つの欠点は、図1Aのハニカム状モノリス100のような線形流モノリスに比較して流れに対するより高い抵抗に起因してそれらのより高い圧力低下である。より高い圧力低下は、目標となる流れを満足するためには、より高い動作圧力、従って、より高いエネルギー消費を必要とする。発泡モノリスの他の一つの固有の欠点は、ガス状反応物とその中の反応生成物の流路(矢印で指示されるように)の性質にある。これらの流路の特有のランダム性は、モノリス内の非常に不均一な温度プロファイルとなり(例えば、温度曲線153によって指示されるように)、ホットスポットに起因する熱ショック及び/又はコールドスポットに起因するCPOX変換率の減少のリスクを増加する。
【0019】
全てのタイプの発泡モノリスは、また、上述された線形流路モノリスの場合におけるのと同じ程度にフラッシングの影響を受けやすい。加えて、発泡モノリスは、それらの種類の特有の他の欠点を生じやすい。既知及び従来の発泡モノリスを製造する方法に依存して、それらの発泡モノリスは、特に、それらの中央領域内に比較的に脆弱な細穴ネットワークを有する可能性がある、又はそれらの発泡モノリスは、全体にわたってより強固な細穴構造を有する可能性がある。発泡モノリスの両方のタイプは、不利益を受ける。
【0020】
比較的に脆弱なコア領域を有する発泡モノリスの場合、CPOX改質器(水素リッチ改質油を燃料セルアセンブリに供給するCPOX改質器の典型である)の迅速な熱サイクリングから生じる熱ショックは、CPOX反応が進行するとしても、CPOX反応が非常に非効率的に進行する点まで時間経過に従ってそれらの構造を劣化し得る。
【0021】
頑丈な細穴構造を有する発泡モノリスの場合、そのような構造は、全体的に、ガス流路のランダム性を拡大する傾向がある。ホットスポットにより細穴構造への損傷は無視できる或いは存在しないが、CPOX反応の生産性に悪影響を及ぼす散乱する且つ束の間のコールドスポットの問題は、このタイプの発泡モノリスの一つの欠点のままである。
【0022】
また、良好に定義され且つ密に制御されたプロセスによって製造される時でも、発泡モノリスは、同じプロセスによって製造される他の発泡モノリスからは、それらの細穴構造において、従って、それらのガス流れ特性において異なっていることが留意される。それらの微細構造における不可避的差の結果として、製造の同じプロセスによって製造される個々の発泡モノリスは、経験的に決定されることができるに過ぎない特有の動作特性を表す傾向がある。実際上は、より広い範囲の性能と信頼性パラメータ又は仕様は、性能における予期できないバラツキを許容するために同じ製造の発泡モノリスを組み込む改質器に割り当てられる。
【0023】
従って、本産業では、従来の技術の不利益の幾つかを処理できるCPOX改質器の新規の設計とCPOX改質の新規の方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
発明の概要
上記に照らして、本教示は、現状の技術の欠陥及び/不利な点の一つ以上を処理できる、例えば、フラッシングが生じる機会や傾向がほとんどない又は全くない、過剰に高いCPOX反応温度が無い、及び/又はガスのストリームの経路指定、ガスの流れのコンポーネント及び通路の全ての全体にわたって低背圧である液体燃料CPOX改質器及び液体燃料のCPOX改質の方法を提供する。
【0025】
一態様では、本教示は、液体燃料CPOX改質器であって、互いに離間されたCPOX反応器ユニットのアレイ;CPOX反応器ユニットのインレットと流体連通している気化器;及び前記液体燃料CPOX改質器の少なくとも一つのCPOX反応器ユニットのCPOX触媒と熱連通している点火器、例えば、少なくとも一つのCPOX反応器ユニットのCPOX触媒含有壁セクションを備える液体燃料CPOX改質器に関する。CPOX反応器ユニットは、典型的には、内表面と外表面を有する壁を有する長いチューブを含む。例えば、「液体燃料CPOX改質器」は、「液体燃料多管状CPOX改質器」と考えられることができ、それのそのような表現及び変更は、本明細書では、文脈からそうでないと理解される場合を除いて、相互交換可能に使用されることができる。CPOX反応器ユニットの壁は、開口ガス流通路を囲み且つ流体流を受容するために一端にインレットを画定し、流体流の放出のために反対側端にアウトレットを画定する。CPOX反応器ユニットは、アレイ中の少なくとも隣のCPOX反応器ユニット(単数又は複数)と熱連通状態であることができる。前記CPOX反応器ユニットは、前記内表面を含むその壁の少なくとも一セクションを有することができ、CPOX触媒を含むことができる。CPOX触媒含有壁セクションは、典型的には、CPOX反応状態下で構造的に安定でありながら、ガス状CPOX反応混合物をその中に拡散させることができ且つ水素リッチ生成物改質油をそこから拡散させることができるためにガス透過可能である。
【0026】
液体燃料CPOX改質器は、少なくともCPOX触媒含有壁セクションの外表面に関連する、例えば、それに取付けられた又はそれに接着された水素バリアを含むことができる。この水素バリアは、CPOX反応器ユニットの壁の大部分、又は実質的に全て、又はその全外表面にも関連できる。加えて、水素バリアは、CPOX反応器ユニットの壁の全露出外表面に関連し得る。例えば、加圧ガスのような加圧流体は、例えば、CPOX触媒含有壁セクションの少なくとも外表面に関連する水素バリアであることができる。
【0027】
互いに離間されたCPOX反応器ユニットのアレイ及びそれらの熱連通に関して、これらのCPOX反応器ユニットは、一般的に、一つのCPOX反応器ユニットにおけるCPOX反応からの熱が一つ以上の隣のCPOX反応器ユニットにおけるCPOX反応を始動するのに十分に近い距離だけ離間される。しかしながら、これらのCPOX反応器ユニットは、一般的には、特に、CPOX反応器ユニットのアウトレットでCPOX反応器ユニットの温度の制御ができるのに十分に離れた距離に離間される。即ち、CPOX反応器ユニットは、熱損失がCPOX反応器ユニットから生じてCPOX反応器ユニット、及びもしあるならば、CPOX反応器ユニット(単数又は複数)のアウトレット(単数又は複数)と流体及び熱連通状態であることができる燃料セルスタックに対する損傷を防止するように離間される。そのような配置では、互いに離間されたCPOX反応器ユニットのアレイは、アレイ間で適切な熱バランスを提供し且つ全体的に又はアレイを横切って熱の均一性を促進できる。
【0028】
例えば、隣接するCPOX反応器ユニット間の最大距離は、CPOX反応が、一つのCPOX反応器ユニットにおけるCPOX反応からの熱によって隣のCPOX反応器ユニットにおいて開始されるのを失敗しないその距離である。換言すれば、一つのアレイの一つの(単一の)CPOX反応器ユニットにおけるCPOX反応を開始することによって、CPOX反応器ユニットのアレイのCPOX反応器ユニットの各々におけるCPOX反応を開始するために必要な熱を発生させることができる。最大距離は、動作の定常状態モード中に、CPOX反応器ユニットのアレイの温度が所定の最小アレイ温度、例えば、約600℃又は約650℃未満に低下しないその距離であることができる。
【0029】
隣接するCPOX反応器ユニット間の最小距離は、CPOX反応器ユニットのアウトレットでの温度が所定の最大温度より大きくないその距離であり得る。所定の最大温度は、CPOX反応器ユニットのアウトレットと熱及び流体連通状態にある燃料セルスタックのインレットで許容できる温度、例えば、875℃又は900℃であり得る。
【0030】
液体燃料CPOX改質器は、気化器と流体連通状態にある流体改質可能燃料源を含むことができる。液体燃料CPOX改質器は、単一の点火器を含むことができ、或いは、二つ以上の点火器、例えば、二つの点火器、三つの点火器又は四つ以上の点火器を含むことができ、そこでは、追加の点火器が他のCPOX反応器ユニットのCPOX触媒含有壁セクションと熱連通状態に配置されることができる。
【0031】
CPOX触媒含有壁セクションは、セラミックを含むことができ、又はセラミックであることができる。CPOX触媒含有壁セクションは、多孔基板、例えば、セラミック又は多孔セラミックを含む多孔基板であり得る。CPOX触媒を含む壁の少なくともセクションは、ペロブスカイト(チタン酸カルシウム)であることができる又はそれを含むことができる。例えば、ペロブスカイトは、そのような壁セクションの約20重量%を超える又は約50重量%を超えることができる。CPOX触媒は、その壁内に配置されることができる及び/又はその壁の内表面上に堆積されることができる。例えば、CPOX触媒又はCPOX触媒系は、例えば、浸漬、ウオッシュコーティング、又は同等の手順によって、壁及び/又は壁の内表面のような表面に堆積されることができる。また、CPOX触媒は、壁、即ち、その壁の構造体を部分的に又は完全に形成することができる。特定の実施形態では、CPOX反応器ユニットの触媒含有壁セクション内のCPOX触媒の量は、壁セクションの長さに沿って、例えば、CPOX反応器ユニットのインレットからアウトレット端へ向かう方向に増加してもよい、及び/又はその量は、その壁の内表面から外表面へ向かって減少してもよい。もしあるならば、CPOX触媒のそのような勾配は、典型的には、CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーンにある。
【0032】
本教示の他の一特徴は、酸素含有ガスの主流体ストリームが、例えば、気化器が噴霧器又はウィックのような燃料散布器である当該気化器において、気化器の下流で又は気化器と同期して気化された液体改質可能燃料と混合されることができ、且つ酸素含有ガスの二次流体ストリームがその気化器の下流で又は気化器と同期して得られるガス状CPOX反応混合物と混合されるように、酸素含有ガス源からの酸素含有ガスをスプリットする即ち分割することができるブランチコンジットを備える酸素含有ガスコンジットを含む。そのように、炭素(C)に対する酸素(O)の比率(「O:C比」)は、反応混合物の点火並びにフラッシュバックを軽減する又は防止するために気化器(即ち、気化ゾーン)の上流及び/又は気化器を通ってより低く維持されることができる。即ち、酸素含有ガスの二次ストリームは、CPOX反応器ユニットにおけるCPOX反応のためにより高いO:C比を有するCPOX反応混合物を提供するために気化器の下流及びCPOX反応器ユニットへのインレットの上流でCPOX反応混合物に添加されることができる。
【0033】
酸素含有ガスの流れをスプリット又は分割することができるブランチコンジットを有する、上述のコンジットの使用によって、CPOX改質器及びそれに関連するコンポーネントの熱管理が援助されることができる。気化器を通る流体の容積流の減少、例えば、約50%以下によって、加熱する酸素含有ガスがより少ないので、気化器がその動作温度に達するために気化器に供給される必要な熱がより少なくできる。動作のスタートアップ及びシャットダウンモード中に、主流体と二次流体ストリームの容量は、適切に調節されることができる。
【0034】
従って、液体燃料CPOX改質器は、酸素含有ガス源を含むことができ、そこでは、酸素含有ガス源は、気化器と流体連通状態にあり且つ気化器の下流の混合ゾーンと流体連通状態にある。液体燃料CPOX改質器は、ブランチコンジットを含む酸素含有ガスコンジットを含むことができ、そこでは、酸素含有ガスコンジットは、酸素含有ガス源と前記気化器との間で流体連通を提供することができ、且つブランチコンジットは、酸素含有ガス源と気化器の下流の混合ゾーンとの間で流体連通を提供することができる。ブランチコンジットを有する酸素含有ガスコンジットは、酸素含有ガス源から気化器及び気化器の下流の混合ゾーンへの酸素含有ガスの送給を分割できる。そのような場合、気化器中に又は気化器に同期して及び/又は気化器の下流(例えば、そこでは、気化器は、コンジット内に位置され且つ燃料散布器であることができる)に形成されるCPOX反応混合物は、CPOX反応器ユニットのインレットに送給されるべきCPOX反応混合物未満であるO:C比を有することができる。
【0035】
この基本的テーマの変型例では、酸素含有ガスの流れをスプリットするブランチコンジットを含むコンジットを有する代わりに、液体燃料CPOX改質器は、気化器と流体連通状態の第1の酸素含有ガス源と気化器の下流の混合ゾーンと流体連通状態の第2の酸素含有ガス源を含むことができる。この構成では、二つの分離したコンジット、各酸素含有ガス源に対して一つのコンジットが使用されることができ、そこでは、独立したコンジットが、気化器の下流で混合ゾーンに結合することができる。二つの異なる酸素含有ガス源の使用によって、上述のように又は本明細書の他の箇所で述べられるようにO:C比における同じ変形を達成できる。
【0036】
本教示の他の一つの特徴は、気化器のアウトレットから下流に位置される酸素含有ガスインレットとガス状CPOX反応混合物アウトレットを備えるコンジットを含む。このコンジットは、酸素含有ガスインレットとガス状CPOX反応混合物アウトレットとの間に流体連通を提供できる。コンジットは、酸素含有ガスインレットと気化器のアウトレットとガス状CPOX反応混合物アウトレットの間で流体連通を提供できる。ガス状CPOX反応混合物アウトレットは、COPX反応器ユニットのインレットと流体連通状態にあることができる。電気ヒーターのようなヒーターを含むことができる第1の熱源は、酸素含有ガスインレットから下流で且つ気化器のアウトレットから上流の位置でコンジット内に配置されることができる。液体燃料CPOX改質器及び/又は液体燃料改質器の外部にある水素改質油消費デバイスからの発熱の熱を含むことができる第2の熱源は、第1の熱の下流で且つ気化器のアウトレットから上流又はそのアウトレットと同期する位置でコンジットと熱連通状態にあることができる。気化器のアウトレットは、コンジットと流体連通状態にあることができる。例えば、気化器のアウトレットは、他のコンジットを介してコンジットと流体連通状態にあることができる又はコンジットのポートに直接に隣接していてもよい。気化器は、コンジット内に配置されることができる。気化器は、スプレー又はウィックのような燃料散布器であってもよいし又はそれを含んでいてもよい。
【0037】
種々の実施形態において、電気ヒーターのようなヒーターを含むことができる第3の熱源は、第1の熱源から下流であって且つ気化器のアウトレットの上流の位置でコンジット内に配置されることができる。幾つかの実施形態では、液体燃料CPOX改質器は熱調整アセンブリ、例えば、ヒーターとクーラーを含む熱調整アセンブリを含むことができる。熱調整アセンブリは、第1の熱源から下流で且つ気化器の出口の上流の位置でコンジット内に配置されることができる及び/又はそのコンジットと熱連通状態にあることができる。
【0038】
本教示の更に他の一特徴は、ガス状CPOX反応混合物を複数のCPOX反応器ユニットのインレットに分配するためのマニフォルドであり、即ち、このマニフォルド(即ち、マニフォルドチャンバ)は、これらのCPOX反応器ユニットのインレットと流体連通状態にあることができる。マニフォルドは、マニフォルドハウジングを含み、そこでは、マニフォルドハウジングは、一つのマニフォルドチャンバを画定する。マニフォルドは、中に配置され且つマニフォルドチャンバの長手の少なくとも大部分にわたって延在するガス状CPOX反応混合物分配器を含むことができる。ガス状CPOX反応混合物分配器は、ガス状CPOX反応混合物を出力するコンジットと流体連通状態にあることができる。ガス状CPOX反応混合物分配器は、CPOX反応器ユニットのインレットの反対側に位置される一つ以上のアウトレットを含むことができる。マニフォルドは、マニフォルドチャンバと熱連通状態にあるヒーター及び/又は受動加熱要素を含むことができる。マニフォルドは、キャビティを含むことができ、そこでは、マニフォルドハウジングがそのキャビティを画定する。シールは、キャビティ内又はそれに隣接して配置されることができる。マニフォルドハウジングは、典型的には、複数のキャビティを含み、そこでは、キャビティの数と配置は、CPOX反応器ユニットのインレットの数と配置に一致する。シールは、CPOX反応器ユニットのインレットと係合でき、それによって、マニフォルドハウジングとインレットとの間の気密シールを提供する。
【0039】
他の一態様では、本教示は、液体燃料CPOX改質の方法を提供する。本開示の方法は、一般的に、気化された液体改質可能燃料を含むガス状CPOX反応混合物を本開示の液体燃料CPOX改質器のCPOX反応器ユニットのインレットに導入すること;前記ガス状CPOX反応混合物の触媒部分酸化を開始して水素リッチ改質油の生産を始めること;及び前記ガス状CPOX反応混合物の触媒部分酸化を維持することを含む。
【0040】
種々の実施形態において、ガス状CPOX反応混合物を導入することは、気化された液体改質可能燃料を含むガス状CPOX反応混合物をCOPX反応器ユニットのインレットに導入することを含み、そこでは、前記CPOX反応器ユニットは、互いに離間されたCPOX反応器ユニットのアレイを形成し、各COPX反応器ユニットは、内表面と外表面を有する壁を有する細長いチューブを備え、前記壁は、開口ガス流通路を囲み且つCPOX反応器ユニットのインレットとアウトレットを画定する。CPOX反応器ユニットは、前記アレイの少なくとも隣のCPOX反応器ユニット(単数又は複数)と熱連通状態にあることができる。前記壁の少なくとも一セクションは、CPOX触媒を含むことができる。CPOX触媒含有壁セクションは、ガス状CPOX反応混合物が中に拡散でき且つ生成物(水素リッチ)改質油がそこから拡散できるようにガス透過可能であることができる。CPOX触媒含有壁セクションは、CPOX反応状態下で構造的に安定したままであり得る。前記アレイ中の隣接するCPOX反応器ユニット間の距離は、ここに記述されるようにできる。
【0041】
触媒部分酸化を開始することは、単一の点火器がCPOX反応器ユニット内でCPOX反応を始めることを開始し、それは、一方、液体燃料CPOX改質油の他のCPOX反応器ユニットにおけるCPOX反応を開始することを含むことができる。例えば、触媒部分酸化を開始することは、一つのCPOX反応器ユニット内でCPOX反応を開始すること;CPOX反応からの熱を隣のCPOX反応器ユニットに伝達してその中でCPOX反応を開始すること;及び前記アレイのCPOX反応器の各々におけるCPOX反応を開始するために熱を伝達することを繰り返すことを含むことができる。
【0042】
触媒部分酸化を開始することは、二つ以上の点火器、例えば、二つ、三つ、四つ、五つ以上の点火器を始動して液体燃料CPOX改質器のCPOX反応器ユニット内でCPOX反応(単数又は複数)を開始することも含むことができる。
【0043】
種々の実施形態では、ガス状CPOX反応混合物の触媒部分酸化を維持することは、アレイ内のCPOX反応器ユニット間での熱を伝達して、それによって、そうでなければ水素リッチ改質油の同じ出力のために必要とされるよりもより少ない外部加熱を使用することを含む。アレイのCPOX反応器ユニット間での熱伝達は、所定の最小アレイ温度、例えば、約600℃又は約650℃を維持できる。所定の最小アレイ温度は、CPOX反応器ユニットのアレイを横切って実質的に均一であることができる。
【0044】
幾つかの実施形態では、液体燃料CPOX改質の方法は、進行中のCPOX反応(単数又は複数)の発熱の熱及び/又は何らかの他の熱源からの熱を使用して酸素含有ガス成分を加熱する及び/又はCPOX改質を受けようとしているガス状CPOX反応混合物の液体改質可能燃料を加熱及び/又は気化することを含むことができる。
【0045】
幾つかの実施形態では、液体燃料CPOX改質の方法は、液体改質可能燃料を気化することを含むことができる。液体改質可能燃料を気化することは、周囲温度又は例えば加熱された酸素含有ガスとの接触時の上昇された温度でなされることができる。これらの方法は、酸素含有ガスと気化された液体改質可能燃料を混合してガス状CPOX反応混合物を提供することを含む。酸素含有ガスと気化された液体改質可能燃料を混合することは、ある酸素(O):炭素(C)比を有するガス状CPOX反応混合物を提供できる。これらの方法は、追加の酸素含有ガスを最初に形成されたガス状CPOX反応混合物と混合して増加されたO:C比を有するガス状CPOX反応混合物をCPOX反応器ユニットのインレットへの導入の上流で即ち導入に先立ってガス状CPOX反応混合物のO:C比を増加することを含むことができる。
【0046】
酸素含有ガスの流体ストリームが気化器の上流即ち気化器に先立ってスプリットされる、即ち、気化器を介して容量が減少される(例えば、二つの独立したコンジットを有する場合等で二つの酸素含有ガス源が使用される場合)場合、これらの方法は、酸素含有ガスと気化された液体改質可能燃料を気化器の上流で、又は気化器と同期して、又は気化器を介して又は気化器中で混合することを含むことができ、そこでは、気化器をその動作温度まで加熱するために必要な熱の量は、追加の酸素含有ガスをガス状CPOX反応混合物と混合するステップであって、本方法が増加されたO:C比を有するガス状CPOX反応混合物をCPOX反応器ユニットのインレットに提供するステップが無い場合に必要な熱の量よりも少ない。
【0047】
幾つかの実施形態では、液体燃料CPOX改質の方法は、実質的に均一な組成の気化された液体改質可能燃料を含むガス状CPOX反応混合物を実質的に均一な割合で及び/又は実質的に均一な温度で幾つかのCPOX反応器ユニットの一つ以上のインレットに分配することを含む。
【0048】
本開示の種々の実施形態では、ガス状CPOX反応混合物をCPOX反応器ユニットのインレットに導入することは、CPOX改質器ユニットのインレットに向けて流体の経路指定するためにコンジットに酸素含有ガスを導入すること;加熱された酸素含有ガスのストリームを提供するために前記コンジットに配置された電気ヒーターを含む第1の熱源で前記酸素含有ガスのストリームを加熱すること;及び前記ガス状CPOX反応混合物を提供するために気化器中の又は気化器を介する、又は気化器と同期して、又は気化器を通過して(気化器から下流)加熱された酸素含有ガスの前記ストリームに液体改質可能燃料を導入することを含む。
【0049】
これらの方法は、前記酸素含有ガスの前記ストリーム及び/又は加熱された酸素含有ガスの前記ストリームを第2の熱源で加熱することを含むことができ、前記第2の熱源は前記コンジットと熱連通状態にあると共にCPOX反応器ユニットからの発熱の熱及び/又はCPOX反応器ユニットの外部の水素改質油消費デバイスを含む。これらの方法は、例えば、酸素含有ガスのストリーム及び/又は加熱された酸素含有ガスのストリームの温度を調節するために、酸素含有ガスのストリーム及び/又は加熱された酸素含有ガスのストリームを前記気化器の上流で加熱する及び/又は冷却することを含むことができる。加熱された酸素含有ガスのストリームを加熱することは、前記第1の熱源から下流で前記コンジット内に配置された電気ヒーターを含む第3の熱源で行われることができる。
【0050】
これらの方法は、第1の熱源で酸素含有ガスのストリームを加熱することを中断すること;及び第3の熱源で酸素含有ガスのストリーム及び/又は加熱された酸素含有ガスのストリームを加熱することを減少する又は中断することを含むことができる。
【0051】
更に、本開示に従って、水素リッチ改質油を製造するためにスタートアップモード及び定常状態モードで液体改質可能燃料のCPO改質の方法が提供され、そこでは、これらの方法は、一般的に、
a)スタートアップモードにおいて:
(i)酸素含有ガス及び気化された液体改質可能燃料を含む加熱されたガス状CPOX反応混合物を複数の互いに離間されたCPOX反応器ユニットの各々のインレットに導入すること、各反応器ユニットは、内表面と外表面を有する壁を有する細長いチューブを備えること、前記壁は、中に配置されたCPOX触媒を有する、CPOX触媒の構造体又はCPOX触媒の組合せを含む前記壁の少なくとも一セクションで開口ガス流通路を囲むこと、そのような触媒含有壁セクションとそれによって囲まれた開口ガス流通路がガス相CPOX反応ゾーンを画定すること、触媒含有壁セクションが、CPOX反応条件下で安定したままであると共にガス状CPOX反応混合物を中に拡散させ且つ生成物改質油をそこから拡散させるようにガス透過可能であること、
(ii)CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内で加熱されたガス状CPOX反応混合物のCPOX改質を開始してそれによって水素リッチ改質油の生産を開始すること;及び、
b)定常状態モードにおいて:
(iii)加熱されたガス状CPOX反応混合物をCPOX反応器ユニットのインレットに導入すること、
(iv)以下のステップ(iii)に先立って、又はそのステップ中に、CPOX開始ステップ(ii)を中断すること、及び
(v)CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内でCPOX反応を維持し、それによって、ガス状水素リッチ改質油の製造を継続することを備える。
【0052】
種々の実施形態では、ここで記述された方法は、例えば、上記されたステップ(i)において、ガス状CPOX反応混合物の酸素対炭素のモル比を調節して燃料希薄CPOX反応混合物のそれに対応させることを含むことができる。特定の実施形態では、これらの方法は、例えば、上記されたステップ(iii)において、ガス状CPOX反応混合物の酸素対炭素のモル比を調節して燃料リッチCPOX反応混合物のそれに対応させることを含むことができる。
【0053】
幾つかの実施形態では、これらの方法は、ブロワー又はブロワーシステム、例えば、一連のブロワーユニットを使用してガスのような流体を流すことを含むことができる。これら一連のブロワーユニットの内の各ブロワーは、軸方向インレットと半径方向アウトレットを有するケーシング、酸素含有ガスを第1の圧力でインレットに引き抜き且つ酸素含有ガスをより高い圧力でアウトレットを介して放出するためにケーシング内に配置されているインペラー、前記インペラーを駆動するためのモータ、及び前記一連のブロワーユニットの内の少なくとも一つのブロワーユニットのアウトレットを前記一連のブロワーユニットの内の少なくとも一つの他のブロワーユニットのインレットに含むダクトを含むことができる。特定の実施形態では、前記一連のブロワーユニットの内の少なくとも一つのブロワーユニットは、ブロワーシステムの目標のガス流の60%から90%を提供できる。そのような実施形態では、前記一連のブロワーユニットの内の少なくとも一つの他のブロワーユニットは、ブロワーシステムの目標のガス流のバランスを提供できる。
【0054】
本開示の前述の特徴と利点と並びに他の特徴と利点は、以下の図、記載、詳細な例示的実施形態、及び請求項からより十分に理解されることができる。
【0055】
以下に記載の図面は、例証目的のために過ぎない。図面は、必ずしも縮尺で描かれてはおらず、本教示の原理を描く時に一般的には強調される。図面は、本教示の範囲を制限する意図は全くない。同様の参照番号は、一般的に、同様の部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1A図1Aは、従来技術のタイプの触媒モノリス、特に、ハニカム状触媒モノリスの長手方向断面図である。
図1B図1Bは、従来技術のタイプの触媒モノリス、特に、発泡触媒モノリスの長手方向断面図である。
図2A図2Aは、本教示に係る液体燃料CPOX改質器の二つの実施形態の概略ブロック図である。
図2B図2Bは、本教示に係る液体燃料CPOX改質器の二つの実施形態の概略ブロック図である。
図3A図3Aは、図2A図2Bの液体燃料CPOX改質器の動作を管理するための例示的制御システムの概略ブロック図である。
図3B図3Bは、図3Aに示された制御システムのようなコントローラによって実行される例示的制御ルーチンのフローチャートである。
図4A図4Aは、本教示に係る液体CPOX改質器の実施形態の長手方向断面図である。
図4B図4Bは、図4Aに示された液体燃料CPOX改質器の横方向(長手軸に対して垂直な)断面図である。
図4C図4Cは、図4Aに示された液体燃料CPOX改質器の一部の平面断面図である。
図4D図4Dは、図4Aに示された液体燃料CPOX改質器の液体燃料気化器システムの拡大長手方向断面である。
図4E図4Eは、図4A図4Dに示された液体燃料CPOX改質器の液体燃料気化器システムの燃料散布器コンポーネントの実施形態の拡大斜視図である。
図4F図4Fは、図4A図4Dに示された液体燃料CPOX改質器の液体燃料気化器システムの燃料散布器コンポーネントの実施形態の拡大長手方向断面図である。
図4G図4Gは、本教示に係る液体燃料CPOX改質器のための液体燃料気化器システムの他の実施形態の拡大長手方向断面図である。
図4H図4Hは、図4A乃至図4Cに示された液体燃料CPOX改質器の点火器コンポーネントの拡大斜視図である。
図4I図4Iは、図4A乃至図4Cに示された液体燃料CPOX改質器のマニフォルドと、関連する管状CPOX反応器ユニットの一部の拡大長手方向断面である。
図4J図4Jは、図4Iに示された管状CPOX反応器ユニットの一つの拡大長手方向断面図である。
図4K図4Kは、図4Iに示された管状CPOX反応器ユニットの一つの拡大横方向断面図である。
図4L図4Lは、本教示の液体燃料CPOX改質器の管状CPOX反応器ユニットの二つの他の実施形態の横方向断面図である。
図4M図4Mは、本教示の液体燃料CPOX改質器の管状CPOX反応器ユニットの二つの他の実施形態の横方向断面図である。
図4N図4Nは、夫々、図4A図5A図5B図6A及び図6Bに示された液体燃料CPOX改質器のブロワーシステムコンポーネントの斜視図を示す。
図4O図4Oは、夫々、図4A図5A図5B図6A及び図6Bに示された液体燃料CPOX改質器のブロワーシステムコンポーネントの平面図を示す。
図4P図4Pは、図4Aと類似する、本教示に係る液体CPOX改質器の他の実施形態の長手方向断面図である。
図5A図5Aは、改質器の動作の定常状態モード中の酸素含有ガス及び/又は液体改質可能燃料の外部加熱を行うことを特徴とする、本教示に係る液体燃料CPOX改質器の追加の実施形態の長手方向断面図である。
図5B図5Bは、改質器の動作の定常状態モード中の酸素含有ガス及び/又は液体改質可能燃料の外部加熱を行うことを特徴とする、本教示に係る液体燃料CPOX改質器の追加の実施形態の長手方向断面図である。
図6A図6Aは、図5A図5Bに示された液体燃料CPOX改質器のCPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内に温度を制御するための熱交換器構造体の実施形態の長手方向断面図である。
図6B図6Bは、図5A図5Bに示された液体燃料CPOX改質器のCPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内に温度を制御するための熱交換器構造体の実施形態の長手方向断面図である。
図6C図6Cは、図5A図5Bに示された液体燃料CPOX改質器のCPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内の温度を制御するための熱交換器構造体の一実施形態の平面断面図である。
図7図7は、改質器が定常状態モードで動作している時に最大燃料(ディーゼル)変換能力の異なるパーセンテージにおけるCPO反応混合物の酸素の炭素に対するモル比と本教示の液体燃料CPOX改質器内のCPOX反応温度との間の関係を示すグラフデータを提示する。
【発明を実施するための形態】
【0057】
ここでは、互いに離間されたCPOX反応器ユニットのアレイがより効率的な改質プロセスを提供する発熱CPOX反応の利益を得ることができることが発見された。フラッシング、局部的ホットスポットとコールドスポットの形成、迅速なコーク堆積、及び/又は過剰に高いスパイキングCPOX反応温度の影響を受けやすい触媒モノリスを使用する既知の且つ従来のCPOX改質器とは異なり、本教示の互いに離間されたCPOX反応器ユニットのアレイは、これらの欠点の一つ以上を軽減する又は排除することができる。
【0058】
例えば、アレイの互いに離間されたCPOX反応器ユニット間での全CPOX改質又はCPOX変換負荷の分配によって、効果的な熱バランスの維持と全体のCPOX改質の制御を単純化及び促進することができる。このような設計によって、所与のエネルギー入力に対して動作温度を低下することにより、所与のCPOX触媒負荷に対してより多くの気化された液体改質可能燃料が処理されることができる。
【0059】
本明細書で記述される液体燃料CPOX改質器の向上された熱管理は、CPOX反応器ユニットの各々内で起こるCPOX反応の温度の安定化に寄与できる。その結果、このような改良された熱管理によって、液体燃料CPOX改質器のCPOX反応器ユニット間で均一なCPOX変換性能を安定的に維持されることができる。
【0060】
加えて、本教示のCPOX改質器の設計は、発熱CPOX反応の利点を得ることができ且つアレイの互いに離間されたCPOX反応器ユニットを最小数の点火器、例えば、単一の点火器で点火されることができ、それによって、CPOX反応器ユニットの内の一つにおけるCPOX反応の始動によって、隣のCPOX反応器ユニット(単数又は複数)が中でCPOX改質を開始し、結局は、液体燃料CPOX改質器のCPOX反応器ユニットの各々でCPOX改質を開始するのに十分な熱を提供できる。単一の点火器が液体燃料CPOX改質器において有利ではあるが、本教示は、アレイとCPOX反応器ユニットの指定のサイズ、CPOX反応器ユニットと点火器の配置、及び他のファクタがCPOX改質のための全体の効率的始動又はスタートアッププロセスに寄与し得るので、液体燃料CPOX改質器において二つ以上の点火器の使用を考慮している。それにもかかわらず、複数のCPOX反応器ユニット間での全CPOX変換負荷を分配することの利点は、それに匹敵する燃料変換能力の単一のCPOX反応器に対比して、より短いスタートアップ時間である。
【0061】
更に、複数のCPOX反応器ユニットの互いに離間された配置によって、関連する一連の即ちライン状液体燃料CPOX改質器の設計と製造が単純化されることができ、そこでは、個別の液体燃料CPOX改質器はそれらの燃料改質能力が異なっていてもよい。例えば、増加した燃料改質キャパシティが望ましい新規の液体燃料CPOX改質器設計では、既存の設計に対する標準化仕様の追加の液体燃料CPOX反応器ユニットを、もしあるなら、二乃至三の他の顕著な変更で追加することによって容易に構造化されることができる。
【0062】
本明細書での本教示は、記述された特定の手順、材料、及び変更に制限されず、それらが変化され得ることが理解されるべきである。使用される用語は、特定の実施形態を記述する目的のみのためであり、且つ本教示の範囲を制限する意図はなく、それは、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることも理解されるべきである。
【0063】
指定のコンポーネントを有する又は含む又は備える構成物が記述される、又は指定のプロセスステップを有する又は含む又は備えるプロセスが記述される本願全体を通して、本教示の構成物は、また、引用されたコンポーネントを備える、又はそれらよりなること、及び本教示のプロセスは、また、引用されたプロセスステップを備える又はそれらよりなることが熟考されている。
【0064】
要素又はコンポーネントが、引用された要素又はコンポーネントのリストに含まれる及び/又はそのリストから選択されると言われる本願において、その要素又はコンポーネントは、引用された要素又はコンポーネントのいずれか一つであることができる、又はその要素又はコンポーネントは、引用された要素又はコンポーネントの二つ以上よりなる群から選択されることができることが理解されるべきである。更に、本明細書に記述された構成物、装置、又は方法の要素及び/又は特徴は、本明細書で明示的であろうと暗示的であろうと、本教示の焦点と範囲から逸脱することなく様々な方法で組み合わされることができることが理解されるべきである。例えば、特定の構造が参照される場合、その構造は、本教示の装置の種々の実施形態において及び/又は本教示の方法において使用されることができる。
【0065】
用語「含む(iclude)」、「含む(icludes)」、「含む(icluding)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(contain)」、「含む(contains)」、又は「含む(containing)」は、文法的にそれに等価なものを含み、一般的にオープンエンド及び非制限的、例えば、特に具体的に明記しない限り、又は文脈から理解されない限り、追加の非引用要素又はステップを排除しないものとして理解されるべきである。
【0066】
本明細書における単数形、例えば、「一つ(a)」、「一つ(an)」、及び「その(the)」の使用は、特に具体的に明記しない限り、複数を含む(且つその逆も含む)。
【0067】
用語「約(about)」の使用が、量的値の前にある場合、本教示は、また、特に具体的に明記しない限り、指定の量的値それ自体を含む。本明細書で使用されているように、用語「約(about)」は、特に明記しない又は推測されない限り、名目値から±10%の変動を指す。
【0068】
ステップの順序や特定の動作を実行するための順序は、本教示が動作可能である限り、重要ではないことが理解されるべきである。例えば、本明細書に記述される方法は、本明細書でそうでないと指摘されない又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の適切な順序で実行されることができる。更に、二つ以上のステップや動作は、同時に実行されてもよい。
【0069】
本明細書において様々な場所で、複数の値が群又は範囲で開示される。その記述は、そのような群及び範囲のメンバーの各々及び全ての個別の部分的組合せ及びそのような群又は範囲の様々なエンドポイントの任意の組合せを含むことが具体的に意図されている。例えば、0から40の範囲における整数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26,27、28,29、30、31、32、33、34,35,36,37、38、39、及び40を個別的に開示することが具体的に意図され、1から20の範囲における整数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20を個別的に開示することが具体的に意図される。
【0070】
任意の及び全ての例、即ち本明細書で提供される例示的言語、例えば「のような(such as)」の使用は、本教示をより良く示すよう単に意図され、請求されない限り、本発明の範囲に対して制限を課さない。明細書における言語は、本教示の実施に必須である非請求要素を指すものとして解釈されるべきではない。
【0071】
「上部」、「下部」、「頂部」、「底部」、「水平な」、「垂直な」等の空間的配向や高さを指す用語及び表現は、それらの文脈上の使用がそうではないことを指さない限り、構造的、機能的又は動作上の重要性を有さないものとして、及び添付の図面の幾らかにおいて描かれた本教示の液体燃料CPOX改質器の様々な図の任意に選択された配向を単に反映しているとして、本明細書では理解されるべきである。
【0072】
用語「セラミック」は、その技術が認識された意味に加えて、ガラス、ガラス−セラミックス、及びサーメット(即ち、セラミック‐金属複合物)を含むように本明細書では理解されるべきである。
【0073】
表現「ガス透過可能な」は、それが本明細書ではCPOX反応器ユニットの壁に当てはまるように、制限するわけではないが、ガス状CPOX反応混合物の気化された液体改質可能燃料成分及び生成物改質油の水素成分を含むガス状CPOX反応混合物及びガス状生成物改質油に対して透過可能である壁構造体を意味するように理解されるべきである。
【0074】
表現「液体改質可能燃料」は、標準の温度及び標準の圧力(STP)状態で液体である改質可能炭素及び水素含有燃料、例えば、改質を受けた時に、水素リッチ改質油への変換を受けるメタノール、エタノール、ナフサ、蒸留液、ガソリン、灯油、ジェット燃料、ディーゼル、バイオディーゼル等を含むように理解されるべきである。表現「液体改質可能燃料」は、更に、燃料が液体状態にあろうと又はガス状態、即ち蒸気であろうとそのような燃料を含むように理解されるべきである。
【0075】
表現「ガス状改質可能燃料」は、STP状態においてガスである改質可能炭素及び水素含有燃料、例えば、改質を受けた時に、水素リッチ改質油への変換を受けるメタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ジメチルエーテル、主にメタンである天然ガス及び液化天然ガス(LNG)のようなそれらの混合物、及び主にプロパン又はブタンであるが主にプロパン及びブタン等からなる全ての混合物を含む石油ガス及び液化石油ガス(LPG)等を含むように理解されるべきである。ガス状改質可能燃料は、また、アンモニアを含み、それは、他のガス状改質可能燃料のように、液体として貯蔵されることができる。
【0076】
表現「CPOX反応」は、触媒部分酸化改質又は改質可能燃料の水素リッチ改質油への変換中に生じる反応(単数又は複数)を含むように理解されるべきである。
【0077】
表現「ガス状CPOX反応混合物」は、ガス状液体改質可能燃料(例えば、気化された液体改質可能燃料)、ガス状改質可能燃料、又はそれらの組合せ、及び酸素含有ガス、例えば、空気を含む混合物を言う。本明細書で使用されるように、ガス状CPOX反応混合物は、気化された液体改質可能燃料(又はガス状液体改質可能燃料)を含む。
【0078】
表現「開口ガス流通路」は、ガスが通る通路のためのコンジットやチャネルを指し、そこでは、多孔固体や多孔性材料を含む固体は、コンジットやチャネルの全断面平面を横切っては存在せず、即ち、多孔性固体を含む固体の無いコンジットやチャネルを指す。例えば、CPOX反応器ユニットの場合、モノリスのような多孔性触媒を含むCPOX触媒は、管状CPOX反応器ユニットの長手方向軸に対して垂直な全内断面平面を横切って存在できない。そのような構造は、先に論じられたように、多孔性触媒、例えば、モノリスが詰め込まれる通路とは異なる。開口ガス流通路は、また、中空穴を画定するチューブ又は長手軸に沿って貫通する中空穴を画定する管状基板として画定されることができるCPOX反応器ユニットに存在できる。これらの例示の記載において、中空穴は、開口ガス流通路と考えられることができる。開口ガス流通路は、通常、CPOX反応器ユニットの長手軸に沿って延在することができるが、曲がりくねったコンジットやチャネルが本教示によって熟考され且つ曲がりくねったコンジットやチャネルにCPOX反応器ユニットの断面平面を横切って固体が無い限り、開口ガス流通路を有することができる。また、開口ガス流通路の断面寸法(単数又は複数)は、その長手方向軸に沿って又は曲がりくねったコンジットやチャネルに沿って長く変化できることが理解されるべきである。
【0079】
本教示の液体燃料CPOX改質器の重要な特徴は、互いに離間されたCPOX反応器ユニットのアレイである。CPOX反応器ユニットのアレイは、規則通りの配列又は一つのCPOX反応器ユニットのその他のCPOX反応器ユニット(単数又は複数)に対する規則的な配置を指すことができる。換言すれば、CPOX反応器ユニットは、典型的にはランダムに位置されない又は配置されない。直線、正方形及び矩形構成が一般的には使用されるが、六角形及び八角形のような他の構成が本教示によって熟考される。
【0080】
CPOX反応器ユニットの配列や配置、例えば、隣接するCPOX反応器ユニットに関する距離及び位置は、とりわけ、複数のCPOX反応器ユニットの位置決め及び構成、CPOX反応器ユニットの壁のようなCPOX反応器ユニットの構造体の材料とCPOX触媒の材料、液体改質可能燃料、CPOX反応器ユニットの動作温度、生産物水素リッチ改質油の望ましい使用と出力、例えば、CPOX改質器が接続又は連結されるべき燃料セルユニットやシステムのような水素改質油消費デバイスの構造体の材料を含む様々なファクタによって決定されることができる。(隣り合う)CPOX反応器ユニット(二つ又は三つ以上)間の距離が大き過ぎると、その時は、CPOX反応器ユニットは、熱的に接続されない、即ち、例えば、隣のCPOX反応器ユニットにおけるCPOX反応を始動する及び/又は複数のCPOX反応器ユニットを大まかに取り囲む熱伝達ゾーンを維持するのに十分な熱連通を有さない。逆に、(隣り合う)CPOX反応器ユニット(二つ又は三つ以上)間の距離が小さ過ぎると、CPOX反応器ユニットは、過加熱及び劣化を受け、その結果、液体燃料CPOX改質器の機能不全となる。
【0081】
より具体的には、隣接するCPOX反応器ユニット間の最大距離は、CPOX反応が、最初に点火されたCPOX反応器ユニットにおける最初のCPOX反応(例えば、一つの点火器によって始動される最初のCPOX反応)から又は動作しているCPOX反応器ユニットにおけるCPOX反応から発生された熱によって隣のCPOX反応器ユニット内で始動されることに失敗しない距離であることができる。最大距離は、動作の定常状態モード中に、互いに離間されたCPOX反応器ユニットのアレイの温度が所定の最小アレイ温度より低下しない距離である。本明細書で論じられるものを含む様々なファクタに依存して、動作の定常状態モード中に、互いに離間されたCPOX反応器ユニットのアレイの所定の最小アレイ温度は、約550℃、約575℃、約600℃、約625℃、約650℃、約675℃、約700℃、約725℃、約750℃、約775℃、約800℃、約825℃、又は約850℃であることができる。
【0082】
隣接するCPOX反応器ユニット間の最小距離は、CPOX反応器ユニットのアウトレットでの温度が所定の最大温度よりも大きくない距離である。所定の最大温度は、CPOX反応器ユニットのアウトレットと熱及び流体連通状態にある燃料セルスタックのインレットによって許容できる温度、例えば、燃料セルスタックのインレットのシールが劣化されず且つ機能を維持する温度であることができる。本明細書で論じられるものを含む様々なファクタに依存して、CPOX反応器ユニットの所定の最大温度は、約775℃、約800℃、約825℃、約850℃、約875℃、約900℃、約925℃、約950℃、約975℃、又は約1000℃であることができる。
【0083】
本教示のCPOX改質器の他の一つの特徴は、CPOX反応器ユニット、例えば、CPOX反応器ユニットのアレイ内でCPOX反応を開始する為の一つの点火器である。様々な実施形態では、単一の点火器は、液体燃料CPOX改質器のCPOX反応器ユニットの各々内のCPOX反応を開始するために使用されることができる。他の実施形態では、単一の即ち一つの点火器よりも多くの点火器、例えば、二つの点火器、三つの点火器、又は四つ以上の点火器が、CPOX反応器ユニット内でCPOX反応を開始する即ちスタートするために使用されることができる。点火器の数と配置は、例えば、CPOX反応器ユニットの設計、構造及び配置、及び液体燃料CPOX改質器の望ましい効率及びスタートアップの迅速さを含む様々なパラメータによって決定されることができる。
【0084】
点火器は、チャンバ内に配置されることもできるCPOX反応器ユニットの内表面に近接するがそれから物理的に隔離されて位置される放射熱生成要素を含むことができる。例えば、点火器は、それに近接する少なくとも一つのCPOX反応器ユニットの露出された内表面及び/又はCPOX触媒に対して放射熱を伝達して、中でCPOX反応を開始させる。引き続いて、少なくとも一つのCPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内で生じるCPOX反応によって生成される放射熱は、少なくとも一つの他のCPOX反応器ユニット内、また、典型的には、チャンバ内で、そのようにCPOX反応が液体燃料CPOX改質器のCPOX反応器ユニットの全てで始動されるまで、CPOX反応を順番に開始できる。
【0085】
本教示の液体燃料CPOX改質器の様々な実施形態において、例えば、液体改質可能燃料を気化するための気化器は、CPOX反応器ユニットのインレットと流体連通状態にあることができる。気化器は、液体改質可能燃料をそのフラッシュポイントの温度以上まで加熱することを回避するように並びに改質可能燃料の熱化学劣化、例えば、熱分解を引き起こすことを回避するように動作されるべきである。特定の実施形態では、気化器は、スプレーやウィックのような燃料散布器であってもよい。気化器は、CPOX反応器ユニットのインレットと流体連通状態にある、主コンジットのようなコンジットに配置されることができる。気化器は、例えば、主コンジットのポート又は他のインレットを介して及び/又は気化器と主コンジットとの間に流体連通を提供する他の一つのコンジットを介して(主)コンジットに隣接して及び/又はそれに流体連通状態でそのようなコンジット(例えば、主コンジット)の外側に位置されてもよい。
【0086】
幾つかの実施形態では、水素バリアは、管状CPOX反応器ユニットの少なくとも触媒含有壁セクションの外表面に取り付けられるようにそれに関連づけることができ、その触媒含有壁セクションは、CPOX反応ゾーンを典型的に画定する。水素バリアは、CPOX反応器ユニットの壁の全外表面に取り付けられることができる。水素バリアは、CPOX反応器ユニットからの水素のロスを防止又は禁止できる。そのようなバリアが無い場合、水素は、CPOX反応器ユニットをそのアウトレットを介して出るよりもむしろ、CPOX反応器ユニットの触媒含有壁セクションを介して又はそれを越えて拡散し得る。
【0087】
特定の実施形態では、液体燃料CPOX改質器は、液体改質可能燃料源を含むことができる。この液体改質可能燃料源は、ドラム、胴部、液体改質可能燃料の貯蔵及び/又はそれの液体燃料CPOX改質器に、例えば、液体改質可能燃料を気化された又はガス状の液体改質可能燃料に変換するための気化器に送給するためのタンク又は他の容器を含むことができる。
【0088】
従って、様々な実施形態では、液体燃料CPOX改質器は、互いに離間されたCPOX反応器ユニットのアレイ;少なくとも一つのCPOX反応器ユニットのCPOX触媒と熱連通状態にある点火器;CPOX反応器ユニットのインレットと流体連通状態にある気化器;及び気化器と流体連通状態にある液体改質可能燃料源;を含むことができる。CPOX反応器ユニットは、内表面と外表面を有するガス透過可能セラミック壁を有する細長いチューブ、例えば、中空穴を有するシリンダを含むことができ、そこでは、ガス透過可能セラミック壁の少なくともセクションは、CPOX触媒を備える。ガス透過可能セラミック壁は、開口ガス流通路を囲むことができ且つCPOX反応器ユニットのインレットとアウトレットを画定する。一つのアレイにおいて、CPOX反応器ユニットは、典型的には、そのアレイにおける少なくとも隣のCPOX反応器ユニット(単数又は複数)と熱連通状態にある。
【0089】
幾つかの実施形態では、液体燃料CPOX改質器は、複数の互いに離間されたCPOX反応器ユニットを含むことができ、各反応器ユニットは、ガス状CPOX反応混合物のためのインレット、及び水素リッチ改質油のためのアウトレット、内表面と外表面を有する壁を有する細長いチューブを含み、前記壁は、中に配置されるCPOX触媒を有する壁の少なくとも一部で開口ガス流通路を囲み、そのCPOX触媒の構造体又はそのCPOX触媒の組合せを備え、壁によって囲まれるそのような触媒含有壁セクションと開口ガス流通路は、ガス相CPOX反応ゾーンを画定し、触媒含有壁セクションは、CPOX反応状態下で安定を維持しながら、ガス状CPOX反応混合物が中に拡散でき且つ生成物水素リッチ改質油がそこから拡散できるようにガス透過可能である。
【0090】
幾つかの実施形態では、進行中のCPOX反応の発熱から回収された熱及び/又は一つ以上の他の熱源から回収された熱は、ガス状CPOX反応混合物の形成に先立って、酸素含有ガスを加熱する、液体改質可能燃料を加熱する及び/又は液体改質可能燃料を気化するために利用されることができる。
【0091】
本教示の特定の実施形態では、コンジットは、提供されることができ且つ酸素含有ガスインレットと気化器のアウトレットから下流に位置されるガス状CPOX反応混合物アウトレットを含むことができる。コンジットは、酸素含有ガスインレットとガス状CPOX反応混合物アウトレットとの間に流体連通を提供することができる。コンジットは、酸素含有ガスインレットと気化器のアウトレットとガス状CPOX反応混合物アウトレットとの間に流体連通を提供することができる。ガス状CPOX反応混合物アウトレットは、CPOX反応器ユニットのインレットと流体連通状態であることができる。電気ヒーターのようなヒーターを含むことができる第1の熱源は、酸素含有ガスインレットから下流で且つ気化器のアウトレットから上流の位置でコンジット内に配置されることができる。液体燃料CPOX改質器及び/又は液体燃料改質器の外部の水素改質油消費デバイスからの発熱の熱を含むことができる第2の熱源は、第1の熱源から下流で且つ気化器のアウトレットから上流又はそれと同期する位置でコンジットと熱連通状態にあることができる。気化器のアウトレットは、コンジットと流体連通状態にあることができる。例えば、気化器のアウトレットは、他のコンジットを介してそのコンジットと流体連通されてもよいし又はコンジットのポートに直接隣接してもよい。気化器は、コンジット内に配置されることができる。気化器は、スプレーやウィックのような燃料散布器であっても良いしそれを含んでいてもよい。
【0092】
様々な実施形態では、電気ヒーターのようなヒーターを含むことができる第3の熱源は、第1の熱源から下流で且つ気化器のアウトレットから上流の位置でコンジット内に配置されることができる。幾つかの実施形態では、液体燃料CPOX改質器は、熱調整アセンブリを含むことができ、そこでは、この熱調整アセンブリは、ヒーターとクーラーを含む。ヒーター及び/又はクーラーは、第1の熱源下流で且つ気化器のアウトレットから上流の位置でコンジット内に独立して配置されることができる及び/又はコンジットに熱連通状態であることができる。幾つかの実施形態では、熱調整アセンブリは、第3の熱源で置き換えられてもよい。
【0093】
特定の実施形態では、熱電対と動作上連結状態にあるコントローラは、気化器のアウトレットに又はその下流でコンジット内に位置され、熱電対が気化器の上流でコンジット内に位置され、酸素含有ガスフローメータが、気化器の上流でコンジット内に位置され、液体改質可能燃料フローメータが、気化器に又はその上流に液体改質可能燃料源と流体連通状態に位置され、酸素含有ガス源、液体改質可能燃料源、第1の熱源、もしあれば、第2の熱源、及びもしあれば、第3の熱源及び/又は熱調整アセンブリがある。
【0094】
動作において、コンジット内の電気ヒーターのような一つ以上のヒーターは、例えば、コンジット内に導入された酸素含有ガスのストリームを加熱でき、コンジットは、流体をCPOX反応器ユニットのインレットに向けることができる。加熱された酸素含有ガスは、混合されてガス状CPOX反応混合物を形成する時に、液体改質可能燃料を加熱する及び/又は気化された液体改質可能燃料のガス状態を維持する(又は液体改質可能燃料及び/又は気化された液体改質可能燃料を少なくとも冷却しない)のを助けることができる。CPOX反応器ユニットがスタートアップして熱を発生することを開始すると、CPOX反応の発熱の熱は、酸素含有ガスを加熱するために使用されることができる。その結果、一つ以上の電気ヒーターの使用は、中断されることができる。
【0095】
幾つかの場合において、熱調整アセンブリのヒーターとクーラーは、コンジット内に独立して存在することができる及び/又はコンジットと熱連通状態で存在することができる。ヒーターとクーラーを有する熱調整アセンブリは、第1の熱源から下流で且つ液体改質可能燃料インレットから上流、通常、(加熱された)酸素含有ガスのストリーム、特に、(加熱された)酸素含有ガスのストリームが気化器に到達して熱が逃げる状態を防止する前に、CPOX反応の発熱によって加熱された(加熱された)酸素含有ガスのストリームの温度を調節できるように十分に気化器の上流の位置に配置されることができる。
【0096】
例えば、ヒーターは、コンジット内に位置される電気抵抗ヒーターのような電気ヒーターであることができる。ヒーターは、コンジットの外部に位置されることができるがコンジットと熱連通状態である。クーラーは、コンジット、例えば、コンジットの外部表面と熱連通状態にある流体(例えば、液体)熱交換器であることができ、それによって、流体を適切な温度に冷却することは、加熱された酸素含有ガスのストリーム(CPOX反応がコンジット内の上流においてガス状改質可能燃料で実行される幾つかの場合、CPOX反応混合物のストリーム)の温度を低下するために流体熱交換器を介して循環されることができる。即ち、熱調整アセンブリは、(加熱された)酸素含有ガス(又は、CPOX反応混合物)のストリームの温度を制御及び調整して、動作システムにとって適切であるように、その温度を上昇又は下降できる。
【0097】
酸素含有ガスの熱監視と熱調整を助けるために、マイクロプロセッサのようなコントローラが使用され、そこでは、コントローラは、液体改質可能燃料及び/又は酸素含有ガスの流量及び気化器と気化器に導くコンジット(単数又は複数)の予加熱セクション(例えば、第1、第2及び第3の熱源及び/又は、もしあるならば、熱調整アセンブリが位置されることができる場所)の温度を監視する。そのような態様において、液体改質可能燃料の気化及び/又はガス状CPOX反応混合物の生成は、例えば、適切なように動作上連通しているコントローラ及び適切なセンサ及びバルブアセンブリを含む閉ループシステムを介して制御されることができる。
【0098】
電気ヒーターは、電気抵抗ヒーターであることができる。気化器は、液体燃料ラインを含むことができ、そこでは、液体燃料ラインは、気化器と液体燃料源との間の流体連通を提供する。コンジット内に位置される液体燃料ラインの終端セクションは、燃料散布器、例えば、スプレーやウィックであることができる。液体燃料ラインは、熱伝達セクションを含むことができる。液体燃料ラインの熱伝達セクションは、第1の熱源、第2の熱源及び第3の熱源又は、もしあるならば、熱調整アセンブリの少なくとも一つと熱連通状態にあり且つそれに近接していることができる。
【0099】
様々な実施形態では、液体燃料CPOX改質器は、ガス状改質可能燃料を水素リッチ改質油に交互に又は同時に処理できる。例えば、ガス状改質可能燃料は、最初にCPOX反応を開始し且つシステムの他のコンポーネントを加熱するために使用されることができる。CPOX反応は、CPOX反応器ユニット内で生じることができる。しかしながら、CPOX反応は、酸素含有ガス源のインレット及びガス状改質可能燃料源のインレットから下流で(主)コンジット内で生じることができる。例えば、コンジットは、ガス状改質可能燃料のためのインレット、及びガス状改質可能燃料のインレット及び酸素含有ガスインレットから下流で且つ気化器のアウトレットから上流にCPOX触媒含有セクションを含むことができる。そのような設計及び動作において、改質器システムにおける早期のCPOX反応は、改質器及びその様々なコンポーネントの迅速で効率的な熱スタートアップを促進する。
【0100】
いずれかの場合、多分両方の場合において、改質器がCPOX反応器ユニット内でCPOX反応を開始した後、コンジット及び/又はCPOX反応器ユニット内でのCPOX反応からの発熱の熱は、液体改質可能燃料を加熱し且つ定常状態動作にある時に、液体改質可能燃料のみが使用されることができる(即ち、ガス状改質可能燃料の使用は中断又は減少されることができる)ように液体改質可能燃料を気化することを助けるために使用されることができる。ガス状改質可能燃料に加えて液体改質可能燃料の使用が続く又はガス状改質可能燃料が続くCPOX改質器を最初にスタートアップするためのガス状改質可能燃料の使用によって、液体改質可能燃料を加熱し且つ気化することを必要とするために、システムがその動作温度を達成するために入力されるより多くの熱を必要とする液体改質可能燃料のみでスタートアップすることに比べてCPOX改質器の効率的でより迅速なスタートアップを提供できる。
【0101】
幾つかの実施形態では、液体燃料CPOX改質器は、ガス状CPOX反応混合物の酸素含有ガス成分の流れを向けるためのスプリット経路指定システムを有することができ、そこでは、酸素含有ガスの一部は、フラッシングに対して抵抗性があり得る比較的燃料リッチなストリームを提供するために改質可能燃料と組み合わされることができ且つ酸素含有ガスの他の一部は、望ましいCPOX改質反応のための酸素の炭素に対する事前設定モル比内にあることができるガス状CPOX反応混合物を提供するために、燃料リッチストリームと下流で組み合わされることができる。例えば、スプリット経路指定システムは、ブランチコンジットを含む酸素含有ガスコンジットを含むことができ、そこでは、酸素含有ガスコンジットは、酸素含有ガス源と気化器との間で流体連通を提供でき、且つブランチコンジットは、酸素含有ガス源と気化器の下流の混合ゾーンとの間で流体連通を提供できる。酸素含有ガス源とブランチコンジットは、酸素含有ガス源からの酸素含有ガスの送給を気化器と気化器の下流の混合ゾーンにスプリット、即ち分割できる。
【0102】
特定の実施形態では、液体改質可能燃料を気化するための気化器は、CPOX反応器ユニットのインレットと流体連通状態にある。気化器は、燃料をそのフラッシュポイント以上の温度に加熱すること及び/又は燃料のかなりの熱分解を引き起こすことのリスクを排除又は減少するように動作可能である。
【0103】
様々な実施形態では、例えば、液体燃料CPOX改質器の動作のスタートアップモード中に、CPOX反応器ユニットのアレイ内でCPOX反応を開始するための点火器は、例えば、CPOX反応ゾーン内でCPOX触媒と熱連通状態にある。点火器は、それに近接する少なくとも一つのCPOX反応器ユニット内で少なくとも一つのCPOX反応器ユニット内の発熱の熱でCPOX反応を開始でき、次に、アレイ内の一つ以上の他のCPOX反応器ユニット内でCPOX反応を開始する。
【0104】
幾つかの実施形態では、CPOX反応器ユニットのインレットと流体連通状態にあるマニフォルド又はプレナムは、例えば、実質的に均一な組成で、実質的に均一な温度及び/又は実質的に均一な流量でガス状CPOX反応混合物のCPOX反応器ユニットのインレットへのより均一な分配を提供するように構成されることができる。
【0105】
幾つかの実施形態では、マニフォルドは、マニフォルドチャンバを画定するハウジング、即ち囲みを有することができる。マニフォルドやマニフォルドチャンバは、ガス分配器、例えば、マニフォルドチャンバ内にガス分配器を含むことができる。特定の実施形態では、ガス分配器は、ガス状燃料CPOX反応混合物分配器と考えられることができる。ハウジング、即ち囲みは、比較的低コストで容易に成形可能な熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂から製造されることができる、及び/又はそのアウトレットとCPOX反応器ユニットのインレットとの間に「コールドシール」接続を特徴付けることができる。
【0106】
より具体的には、マニフォルドは、少なくとも一つのCPOX反応器ユニットのインレットと流体連通状態にあることができ、そこでは、マニフォルドは、マニフォルドハウジングを含む。マニフォルドハウジングは、マニフォルドチャンバを画定できる。マニフォルドは、ガス状CPOX反応混合物分配器、ヒーター、及びシールを含むキャビティのような一つ以上の追加のコンポーネントを含むことができる。
【0107】
ガス状CPOX反応混合物分配器は、マニフォルドチャンバ内に配置されることができ、ガス状反応物コンジットと流体連通状態にあるそのマニフォルドチャンバの長手の少なくとも大部分にわたって延在しており、ガス状CPOX反応混合物分配器は、CPOX反応器ユニットのインレットの反対側に位置される一つ以上のアウトレットを含む。即ち、ガス状CPOX反応混合物分配器は、チャンバ、例えば、閉鎖端中空チューブ又は典型的には幅と深さよりも大きな長さを有する他の構造を画定するハウジングを含むことができる。ハウジングは、ハウジング、即ちチャンバの内部とハウジングの外部との間で流体連通を提供する一つ以上のアウトレットを画定することができる。一つ以上のアウトレットは、ガス状CPOX反応混合物分配器の一側に沿って存在できる又は、例えば、管状のガス状CPOX反応混合物分配器の場合では、長手軸に沿うライン状又は長手方向アレイを形成することができる。マニフォルドチャンバ内に配置されると、ガス状CPOX反応混合物分配器の一つ以上のアウトレットは、通常、CPOX反応器ユニットのインレットとは反対側に位置される。そのような設計では、CPOX反応混合物は、最初に、CPOX反応器ユニットのインレットから離れる方向に、例えば、マニフォルドチャンバの底部に向かって下方にマニフォルドチャンバ内に導入され、次に、CPOX反応器ユニットのインレットに向かって流れる、例えば、インレットに向かって上方に流れる。
【0108】
ヒーターは、マニフォルドチャンバと熱連通状態にあることができる。ヒーターは、電気抵抗ヒーターであることができる。ヒーターは、マニフォルドチャンバ内に配置されることができる。加えて、ヒーターは、マニフォルドとCPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーンと熱連通状態にある少なくとも一つの熱伝導性要素のような受動加熱要素を含むことができ、それによって、CPOX反応ゾーン及び/又はCPOX反応器ユニットからの発熱の熱をマニフォルドに伝達できる。
【0109】
マニフォルドハウジングは、一つ以上のキャビティを画定できる。シールは、キャビティ内に又はそれに隣接して配置されることができ、そこでは、シールは、CPOX反応器ユニットのインレットに係合でき且つマニフォルドハウジングとインレットとの間で気密シールを提供できる。二つ以上のCPOX反応器ユニットが存在する場合、マニフォルドハウジングは、各CPOX反応器ユニットがマニフォルドチャンバと流体連通状態にあることができ且つ各キャビティが各CPOX反応器ユニットを固定するシールを含むことができるように、CPOX反応器ユニットとして同数のキャビティを含むことができる。マニフォルドハウジングのキャビティは、各キャビティのインレットへの整合を提供するために、CPOX反応器ユニットのインレットと同じ構成に形成され且つ配置されることができる。シールは、ガスケットであり得る。マニフォルドハウジングは、CPOX反応器ユニットの動作の温度で熱的に且つ機械的に安定している材料から製造される又はそれを含むことができる。
【0110】
特定の実施形態では、CPOX反応器ユニットの壁は、少なくとも二つの領域を含むことができ、第1の、即ち、上流の領域は、実質的にCPOX触媒がなく且つ比較的に低い動作温度の本質的にCPOX反応がないゾーンを囲み、及び第2の、即ち、下流の領域は、CPOX触媒を含み且つ比較的に高い動作温度のCPOX反応ゾーンを囲む。
【0111】
様々な実施形態では、相互接続された一連の個別の遠心ブロワーユニットを特徴付けるブロワーシステムは、酸素含有ガスの流れを改質器に導入するために使用されることができる及び/又は、例えば、構造体(単数又は複数)及び熱ゾーン(単数又は複数)を加熱及び/又は冷却することを含むことができる熱伝達のためにCPOX改質器内にガス流を供給することができる。
【0112】
幾つかの実施形態では、制御システムは、スタートアップモード、定常状態モード、及び/又はシャットダウンモードにおいてCPOX改質器の動作を制御するように構成されることができる。
【0113】
本教示の液体燃料CPOX改質器は、ガスをCPOX反応器ユニットのインレットに向けて経路指定するためのコンジットを含むことができる。このコンジットは、酸素含有ガスのためのインレット;液体改質可能燃料、気化された液体改質可能燃料、ガス状改質可能燃料及びそれらの組合せのためのインレット;酸素含有ガスと気化された液体改質可能燃料が組み合わさってガス状CPOX反応混合物を提供する混合ゾーン;及びガス状CPOX反応混合物のためのアウトレットを含むことができる。コンジットは、一般的に、U形状にされることができる。
【0114】
本教示の液体燃料CPOX改質器は、少なくとも一つの熱源を含むことができる。例えば、液体燃料CPOX改質器は、コンジットに導入された酸素含有ガスを最初の上昇温度に加熱するために、液体燃料CPOX改質器の動作のスタートアップモード中に動作可能な第1のヒーターユニットを含むことができる。また、液体燃料CPOX改質器は、先に最初の上昇温度に加熱された酸素含有ガスを更なる上昇温度に加熱するために、液体燃料CPOX改質器の動作のスタートアップモード及び定常状態モード中に動作可能な第2のヒーターユニットを含むことができる。
【0115】
本教示の液体燃料CPOX改質器は、酸素含有ガスのコンジットへの導入に先立って又はそれに続いて酸素含有ガスを最初の上昇温度に加熱するために液体燃料CPOX改質器の動作の定常状態モード中に動作可能な熱的にリンクされた熱伝達ゾーンを含むことができる。
【0116】
例えば、幾つかの実施形態では、第1の熱源とそれに熱的にリンクされた第1の熱伝達ゾーン(即ち、第1の加熱ゾーン)は、酸素含有ガスのコンジットへの導入に続いて酸素含有ガスを最初の上昇温度に加熱するために改質器の動作の定常状態モード中に動作可能であり、第1の熱源とそれに熱的にリンクされた第1の熱伝達ゾーンは、第1のヒーターユニットと、関連する第1の加熱ゾーンに近接して又はそれらに一致して且つ第2のヒーターと、関連する第2の加熱ゾーンから上流でコンジット内に配置されたCPOX熱伝達ゾーンと熱連通状態にあるCPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーンを備え、CPOX反応ゾーン内で生じるCPOX反応からの発熱の熱は、CPOX熱伝達ゾーンを通過する酸素含有ガスに伝達される。
【0117】
加えて、幾つかの実施形態は、酸素含有ガスのコンジットへの導入に先立って、酸素含有ガスを最初の上昇温度に加熱するために改質器の動作の定常状態モード中に動作可能な第2の熱源とそれに熱的にリンクされた第2の熱伝達ゾーン(即ち、第2の加熱ゾーン)を含むことができ、第2の熱源とそれに熱的にリンクされた第2の熱伝達ゾーンは、改質器以外の熱生成源と、それとともに熱連通している熱伝達ゾーンを備え、そのような熱生成源と熱伝達ゾーンは、コンジットの外部に配置され、熱生成源から回収された熱は、酸素含有ガスのコンジットへの導入に先立って、熱伝達ゾーンを通過する酸素含有ガスに伝達される。
【0118】
本教示の液体燃料CPOX改質器は、例えば、酸素含有ガスと気化された液体改質可能燃料を混合するためのミキサーを含むことができる。このミキサーは、静的ミキサー又は動的ミキサー、例えば、「Mixig Reformable Fuels and an Oxygen−Containing Gas and/or Steam」と題する同時係属中で本願の譲受人に譲渡された米国特許出願第14/335,463号に記述されているような流体混合デバイスであることができ、流体混合デバイス及び本教示に適用可能なCPOX反応混合物を提供するためにそのデバイスを操作する方法に関連する教示を含むあらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0119】
本教示の液体燃料CPOX改質器は、CPOX改質油処理ユニットやデバイス、例えば、生成物改質油の一酸化炭素含有物を減少するための一酸化炭素除去デバイスを含むことができる。CPOX改質油処理ユニットやデバイスは、水ガスシフト変換器、優先酸化反応器、及び/又は改質油を水素流と一酸化炭素含有ストリームに分離するための水素選択性膜を含むことができる。
【0120】
様々な実施形態では、本教示の液体燃料CPOX改質器は、他のデバイス、例えば燃料セルの入口(単数又は複数)に直接に接続されたCPOX反応器ユニットの一つ以上のアウトレットを有することができる。幾つかの実施形態では、CPOX反応器ユニットのアウトレットは、マニフォルド又は複数のCPOX反応器ユニットのアウトレットからの流出物ストリームを組み合わせてそのような組み合わされた流出物を他の一つのデバイス、例えば、燃料セルのアノード、の等しい数の、より多い数の又はよい少ない数のインレットに分配することができる同様なコンポーネントやデバイスと流体連通状態にあることができる。
【0121】
本教示の液体燃料CPOX改質器は、管状CPOX反応器ユニット及び改質器の他の熱放射コンポーネントからの熱損失を減少するための断熱部を含むことができる。
【0122】
本教示の液体燃料CPOX改質器は、ガス流を改質器内に又はそれを通過するように駆動するガス流ドライバを含むことができる。本教示の液体燃料CPOX改質器は、燃料ポンプを含むことができる。燃料ポンプのようなポンプの例は、メータリングポンプ、ロータリポンプ、インペラーポンプ、ダイアフラムポンプ、ぜん動ポンプ、能動変位ポンプ、ギアポンプ、圧電ポンプ、界面動電ポンプ、電気浸透流ポンプ、及び毛細管ポンプを含む。
【0123】
本教示の液体燃料CPOX改質器は、一つ以上の改質器動作を監視し且つ制御するための一つ以上のセンサアセンブリを含むことができる。センサアセンブリの例は、フローメータ、熱電対、サーミスタ、及び抵抗温度検出器を含む。本教示の液体燃料CPOX改質器は、また、改質器のスタートアップモード、定常状態モード、及び/又はシャットダウンモードにおいて改質器の動作を自動化するための制御システムを含むことができる。制御システムは、コントローラと通信状態にある複数のセンサアセンブリを含むことができる。
【0124】
本教示の液体燃料CPOX改質器は、CPOX反応器ユニットと熱連通状態にある熱伝達手段を含むことができる。この熱伝達手段は、例えば、CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内の温度を事前設定範囲内に維持するために、液体燃料CPOX改質器の動作の定常状態モード中にCPOX反応器ユニットからの熱を伝達できる。熱伝達手段は、例えば、CPOX反応器ユニットの露出外表面に対して及び/又はCPOX反応器ユニットの露出表面と熱連通状態にある伝熱アセンブリの熱放射部材に対して冷却剤流を向けるために、ブロワーを含むことができる。本教示の液体燃料CPOX改質器は、また、他の目的のためにブロワーを含むことができる。例えば、ブロワーは、酸素含有ガスをコンジットに導入できる及び/又はガス流をCPOX反応器ユニット内に駆動できる。
【0125】
ブロワーは、一連のブロワーユニットを含んでいてもよい。ブロワーや一連のブロワーユニットは、軸方向インレットと半径方向アウトレットを有するケーシング、ガス、例えば、空気のような酸素含有ガスを軸方向インレットに引込み且つ半径方向アウトレットを通してそのガスを排出するためにケーシング内に配置されたインペラー;及びインペラーを駆動するためのモータを含むことができる。幾つかの実施形態では、ブロワーは、第1の圧力でガスを引込み且つそのガスを第2の、例えば、より高い圧力で排出することができる。ブロワーは、また、少なくとも一つの一連のブロワーユニットのアウトレットと、少なくとも一つの一連の別のブロワーユニットのインレットとを含むダクトを含むことができる。例えば、一連のブロワーは、「Centrifugal Blower System and Fuel Cell Incorporating Same」と題する共同所有の米国特許出願公開第2012/0328969号に記述されているようなブロワーシステムを含むことができ、それは、本教示に適用可能であるので、ブロワーシステム及びそれを操作する方法に関連する教示を含むあらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0126】
本教示の液体燃料CPOX改質器は、電気エネルギー消費改質器コンポーネント及び/又は補助CPOX改質器コンポーネントに電力を供給するための電流源を含むことができる。電流源は、充電可能バッテリ及びバッテリ充電器を含むことができる。
【0127】
他の一態様では、CPOX改質の方法が提供される。より具体的には、本教示は、液体(改質可能)燃料の水素リッチ改質油即ち生成品へのCPOX改質の方法を提供する。そのために、様々な実施形態では、CPOX改質の方法は:
a)スタートアップモードにおいて:
(i)複数のCPOX反応器ユニットの各々のインレットに向けてガスを経路指定するためのコンジットに酸素含有ガスを導入すること、前記コンジットは、酸素含有ガスのためのインレット、液体改質可能燃料のためのインレット及びCPOX反応器ユニットのインレットとガス流連通状態にある加熱されたガス状CPOX反応混合物のためのアウトレットを備えること、各CPOX反応器ユニットは、内表面と外表面を有する壁を有する細長いチューブを備えること、前記壁は、中に配置されるCPOX触媒を有する前記壁の少なくとも一セクションで開口ガス流通路を囲む及び/又はその構造を備えること、それによって囲まれた、そのような触媒含有壁セクションと開口ガス流通路は、ガス相CPOX反応ゾーンを画定すること、触媒含有壁セクションは、CPOX反応状態下で構造的に安定したままであると共に、ガス状CPOX反応混合物がその中で拡散でき且つ生成物改質油がそこから拡散できるようにガス透過可能であること、
(ii)前記酸素含有ガスを加熱すること、
(iii)液体改質可能燃料を前記コンジットに導入すること、
(iv)前記コンジットに導入された前記液体改質可能燃料を気化すること、前記気化された燃料が加熱されたガス状CPOX反応混合物を提供するためにステップ(ii)からの加熱された酸素含有ガスと組み合わされること、
(v)ステップ(iv)からの加熱されたガス状CPOX反応混合物をCPOX反応器ユニットのインレットに導入すること、及び
(vi)CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内で前記ガス状CPOX反応混合物のCPOXを開始して、それによって、水素リッチ改質油の生産を開始すること;及び
b)定常状態モードにおいて:
(vii)酸素含有ガスを前記コンジットに導入すること、前記酸素含有ガスは、前記酸素含有ガスの前記コンジットへの導入に先立って又はそれに続いて前記少なくとも一つの熱源の動作及び熱的にリンクされた熱伝達ゾーンによって既に加熱されていること、
(viii)液体改質可能燃料を前記コンジットに導入すること、
(ix)前記液体改質可能燃料を気化すること、前記気化された燃料は、加熱されたガス状CPOX反応混合物を提供するために、ステップ(vii)からの加熱された酸素含有ガスと組み合わされること、
(x)ステップ(ix)からの加熱されたガス状CPOX反応混合物をCPOX反応器ユニットのインレットに導入すること、
(xi)ステップ(ix)に先立って、又はステップ(ix)中に、又はステップ(ix)に続いて、開始ステップ(vi)を中断すること、及び
(xii)CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内で前記CPOX反応を維持して、それによって、水素リッチ改質油の生産を継続することを含む。
【0128】
幾つかの実施形態では、これらの方法は、例えば、ステップ(vii)において、外部熱生成源からの熱を使用して酸素含有ガスのコンジットへの導入に先立って、周囲温度で又は周囲温度で酸素含有ガスを加熱することを含むことができる。様々な実施形態では、これらの方法は、例えば、CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内で生じるCPOXから回収された発熱の熱を使用して、第1の温度から第2の上昇温度に酸素含有ガスを更に加熱することを含むことができる。
【0129】
幾つかの実施形態では、これらの方法は、例えば、ステップ(iv)及び(ix)のそれぞれにおいて、例えば、ステップ(ii)及び(vii)のそれぞれからの加熱された酸素含有ガス中に含まれる熱を使用して液体改質可能燃料を気化することを含むことができる。特定の実施形態では、これらの方法は、液体改質可能燃料のコンジットへの導入に先立って液体改質可能燃料を加熱することを含むことができる。幾つかの実施形態では、これらの方法は、例えば、ステップ(v)及び(x)のそれぞれにおいてCPOX反応器ユニットのインレットへの加熱されたガス状CPOX混合物の導入に先立って、例えば、ステップ(iv)及び(ix)の各々からの加熱されたガス状CPOX混合物をより均一な組成にすることを含むことができる。様々な実施形態において、これらの方法は、例えば、ステップ(v)及び(x)のそれぞれにおいて、より均一な組成の加熱されたガス状CPOX反応混合物をCPOX反応器ユニットのインレットに分配すること及び/又はより均一な温度で、加熱されたガス状CPOX反応混合物をCPOX反応器ユニットのインレットに分配することを含むことができる。幾つかの実施形態では、これらの方法は、任意の二つのCPOX反応器ユニット内でのCPOX反応混合物の流量の差が約20%以下である及び/又は任意の二つのCPOX反応器ユニットのインレットに入るCPOX反応混合物の温度の差が約10%以下であるようにCPOX反応器ユニットのインレットに加熱されたガス状CPOX反応混合物を分配することを含む。
【0130】
本教示の方法の幾つかの実施形態では、これらの方法は、例えば、ステップ(vi)において、点火器を動作することによってCPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内でガス状CPOX反応混合物のCPOXを開始することを含むことができ、そこでは、点火器から出力される放射熱は、中でCPOX反応を開始するために点火器に近接した少なくとも一つのCPOX反応器ユニットの露出セクションに伝達されることができ、CPOX反応によって生成される放射熱は、前記少なくとも一つのCPOX反応器ユニットの前記CPOX反応ゾーン内で生じ、一方、そのように、CPOX反応が前記チャンバ内のCPOX反応器ユニットの全てで開始されるまで前記チャンバ内の少なくとも一つの他のCPOX反応器ユニット内でCPOX反応を開始する。
【0131】
様々な実施形態では、これらの方法は、例えば、ステップ(v)において、ガス状CPOX反応混合物の酸素の炭素に対するモル比を燃料希薄CPOX反応混合物のそれに対応するように調節することを含むことができる。幾つかの実施形態では、これらの方法は、例えば、ステップ(x)において、ガス状CPOX反応混合物の酸素の炭素に対するモル比を燃料リッチCPOX反応混合物のそれに対応するように調節することを含むことができる。特定の実施形態では、これらの方法は、例えば、気化ステップ(iv)及び(ix)のそれぞれにおいて、気化セクションをバイパスし、且つこれらのステップからの加熱されたガス状CPOX反応混合物と併合するようにコンジットに導入された酸素含有ガスの一部を経路指定する又は迂回させることを含むことができる。幾つかの実施形態では、これらの方法は、酸素含有ガスのガス状CPOX反応混合物への併合に先立って、ガス状CPOX反応混合物の組成をより均一にする又は調節することを含むことができる。特定の実施形態では、酸素含有ガスのガス状CPOX反応混合物への併合に続いて、これらの方法は、併合されたガスの組成をより均一にする又は調節することを含むことができる。
【0132】
幾つかの実施形態では、本教示の方法は、一連のブロワーユニットを含むブロワーシステムによってガス流を提供することを含み、一連のブロワーユニットの内の各ブロワーユニットは、軸方向インレットと半径方向アウトレッドを有するケーシング、酸素含有ガスを第1の圧力でインレットに引き入れ且つ前記アウトレットを介して酸素含有ガスをより高い圧力で排出するために前記ケーシング内に配置されたインペラー、前記インペラーを駆動するためのモータ、及び少なくとも一つの一連のブロワーユニットのアウトレットと、少なくとも一つの一連の別のブロワーユニットのインレットとを含むダクトを備え、少なくとも一つの一連のブロワーユニットは、ブロワーシステムの目標のガス流の60%から90%を提供し、少なくとも一つの一連の他のブロワーユニットは、ブロワーシステムの目標のガス流のバランスを提供する。様々な実施形態では、これらの方法は、水柱の約3インチ以下のCPOX改質器中の背圧を含むことができる。
【0133】
本教示の様々な方法において、ガス状CPOX反応混合物をCPOX反応器ユニットのインレットに導入することは、流体をCPOX改質器ユニットのインレットに経路指定するために酸素含有ガスをコンジットに導入すること;加熱された酸素含有ガスのストリームを提供するために、コンジット内に配置された電気ヒーターを含む第1の熱源で酸素含有ガスのストリームを加熱すること;及びガス状CPOX反応混合物を提供するために、気化器中の又は気化器を通る、気化器で又は気化器を通過した加熱された酸素含有ガスのストリームに液体改質可能燃料を導入することを含むことができる。これらの方法は、酸素含有ガスのストリーム及び/又は加熱された酸素含有ガスのストリームを第2の熱源で加熱することを含むことができ、そこでは、第2の熱源は、コンジットと熱連通状態にあり且つCPOX反応器ユニット及び/又はCPOX反応器ユニットの外部の水素改質油消費デバイスからの発熱の熱を備える。電気ヒーターは、電気抵抗ヒーターであることができる。
【0134】
幾つかの実施形態では、これらの方法は、気化器の上流で酸素含有ガスのストリーム及び/又は加熱された酸素含有ガスのストリームを加熱する及び/又は冷却することを含むことができる。様々な実施形態では、例えば、熱調整アセンブリが使用される場合、第2の熱源(CPOX反応又はCPOX改質器の外部の水素改質油消費デバイスの発熱)によって加熱された酸素含有ガスのストリーム及び/又は加熱された酸素含有ガスのストリームの温度は、発熱の熱が動作システムに対して熱すぎて熱が逃げる状態を防止するために、熱的に制御されることができ且つ必要に応じて冷却する又は温度を下げることができる。
【0135】
特定の実施形態では、これらの方法は、加熱された酸素含有ガスのストリームを、電気ヒーターを含む第3の熱源で加熱することを含み、そこでは、第3の熱源は、コンジット内に第1の熱源から下流に配置される。幾つかの実施形態では、これらの方法は、第1の熱源で酸素含有ガスのストリームを加熱することを中断することを含むことができる。これらの方法は、第3の熱源で酸素含有ガスのストリーム及び/又は加熱された酸素含有ガスのストリームを加熱することを減らしたり、又は中断することを含むことができる。
【0136】
特定の実施形態では、これらの方法は、加熱された酸素含有ガスのストリームの流量、液体改質可能燃料の流量、気化器の温度、加熱された酸素含有ガスのストリームの温度及び液体改質可能燃料の温度の少なくとも一つを監視すること;及びその監視の結果に応答して液体改質可能燃料の気化を制御することを含む。
【0137】
これらの方法は、第1の熱源、第2の熱源、第3の熱源の内の一つ以上によって供給される熱を調節すること、及び熱調整アセンブリによって供給される熱及び/又は冷気を調節することを含むことができる。これらの方法は、液体改質可能燃料を気化器に導入することに先立って、第2の熱源及び/又は、もしあるならば、第3の熱源を使用して液体改質可能燃料を加熱することを含むことができる。特定の実施形態では、加熱された酸素含有ガスのストリームに導入された液体改質可能燃料は、加熱された酸素含有ガスとの接触で気化する。これらの方法は、加熱された酸素含有ガスのストリームの流量、液体改質可能燃料の流量、気化器の温度、加熱された酸素含有ガスのストリームの温度及び液体改質可能燃料の温度の内の一つ以上を監視することを含むことができる。この監視からのフィードバックに基づいて、これらの方法は、応答して液体改質可能燃料の気化を制御することを含むことができる。例えば、気化を制御することは、第2の熱源及び/又は第3の熱源によって供給される熱を調節すること及び/又は熱調整アセンブリによって供給される熱気及び/又は冷気を調整することを含むことができる。
【0138】
本教示に係る液体燃料CPOX改質器及びCPOX改質の方法は、一般的に上記される及び本明細書の他の箇所に記述される。図面を参照しての以下の記述は、本教示の液体燃料CPOX改質器及びCPOX改質プロセスのこれらの特徴及び他の特徴に基づいて詳細を述べており、且つ本発明の本質を制限することなく様々な且つ指定の実施形態を論ずることであり且つ上の論述に対して適用可能であることが理解されるべきである。
【0139】
ここで、図面を参照すると、図2Aは、本教示に係る液体燃料CPOX改質器の一実施形態を示しており、そこでは、CPOX反応混合物の酸素含有ガス成分が、液体燃料CPOX改質器の動作の定常状態モード中にCPOX改質から生じる発熱の熱によって加熱される。
【0140】
図2Aに示されるように、液体燃料CPOX改質器200は、ここで及び本教示の他の実施形態では空気によって例示される酸素含有ガスをコンジット203内に導入するため、及びこのガス及び他のガスストリーム(気化された燃料‐空気混合物(単数又は複数)及び水素リッチ改質油を含む)を、開口ガス流通路を含む、改質器の様々な通路を介して駆動するための遠心ブロワー202を含む。コンジット203は、フローメータ204と熱電対205を含むことができる。これら及び同様のデバイスは、図3Aで示される制御システムに関連してより完全に説明されるように、液体燃料CPOX改質器の動作を測定し、監視し、及び制御するために、液体燃料CPOX改質器内の様々な位置に配置されることができる。
【0141】
例示の液体燃料CPOX改質器200の動作のスタートアップモードにおいて、ブロワー202によってコンジット203内に導入される、周囲温度の空気は、第1の加熱ゾーン206を通過し、そこでは、その空気は、例えば、電気抵抗タイプの第1のヒーター207によって、所与の流量で、上昇された温度の事前設定された、又は目標とされた、第1の範囲内に最初に加熱される。次に、最初に加熱された空気は、CPOX改質器200の動作の定常状態モードにおいて、管状CPOX反応器ユニット209のCPOX反応ゾーン210内で生じるCPOX反応から回収された発熱の熱によって加熱される熱伝達ゾーン208を通過する。改質器200のそのような定常状態動作が達成されると、即ち、CPOX反応器ユニット209内のCPOX反応が自立すると、第1のヒーター207の熱出力は、入ってくる空気が熱伝達ゾーン208を通過して上昇温度のその第1の範囲内に既に加熱されている、即ち、上昇温度のその第1の範囲に近接しているので、減少されることができる又はその動作が中断される。
【0142】
コンジット203内の更に下流に続いて、動作のスタートアップモード中に第1の加熱ゾーン206を通過することによって又は動作の定常状態モード中に熱伝達ゾーン208を通過することによって最初に加熱されている空気は、第2の加熱ゾーン211を通過し、そこでは、その空気は、電気抵抗タイプのヒーターであり得る第2のヒーター212によって、上昇された温度の第2の範囲内まで更に加熱される。ヒーターは、先に加熱された空気の温度で終えるように動作出来、それによって、液体燃料CPOX改質器の幾つかの動作要求、即ち、迅速な応答及び必要に応じて改質器の熱的要求の調整及び微細な調整を助けること、更なる下流でコンジット203に導入された液体改質可能燃料の引き続く気化のために十分な熱を提供すること及び加熱されたガス状CPOX反応混合物を提供することを満足する。
【0143】
ここで及び本教示の他の実施形態でディーゼルによって例示される液体改質可能燃料は、オプションのフローメータ215とオプションのフロー制御バルブ216を備える燃料ライン214を介してポンプ213によってコンジット203内に連続的に導入され、そこでは、第2の加熱ゾーン211から流れる加熱された空気からの熱を利用して気化器システム217によって燃料が気化される。気化された、即ち、ガス状の燃料は、コンジット203の混合ゾーン218内で、加熱された空気のストリームと組み合わさる。ミキサー、例えば、インラインミキサー219のような静的ミキサー、及び/又はコンジット203の内表面に形成される渦発生螺旋溝、又は外部から電力を供給されるミキサー(図示せず)は、そうでない場合よりもより均一な燃料‐空気ガス状CPOX反応混合物を提供するために、コンジット203の混合ゾーン218内に配置される。
【0144】
加熱され且つ気化された燃料‐空気混合物(加熱されたガス状CPOX反応混合物)は、反応混合物をより均一に及び、例えば、より均一な温度で、管状CPOX反応器ユニット209に分配するように機能するマニフォルド、即ち、プレナム220に入る。コンジットとマニフォルドは、通常、断熱部(例えば、図4Aに示される液体燃料CPOX改質器400の断熱部410)によって囲まれるが、CPOX反応混合物は、一般的に、コンジットの同等な長さのそれよりも大きな容量、従って、より大きな壁表面積を有するマニフォルドの壁を介する熱損失に起因する温度低下をなお受け得る。マニフォルド内でCPOX反応混合物の温度の低下を引き起こし得る他のファクタは、混合物がコンジットを出てマニフォルドのより大きな空間に入る時に、混合物が受ける圧力と速度の減少である。
【0145】
これらのファクタのいずれかに起因するCPOX反応混合物の温度の低下、特に、マニフォルドの壁、角部及び/又は他の凹所に近接する又はそれらに接触している反応混合物の領域で生じる低下は、気化された燃料の局所化された濃縮を誘導する。そのような濃縮の可能性を最小にするために、マニフォルドは、ガス状CPOX反応混合物の温度をその気化された燃料成分の濃縮閾値よりも上に維持するための手段を備える。例えば、図2Aに示されるように、温度制御の目的の電気抵抗タイプのヒーター221と熱電対即ちサーミスタプローブ222は、この目的を成就するためにマニフォルド220内に配置される。ヒーターの代替として又はヒーターに加えて、改質器は、管状CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内に生じるCPOX反応から回収された発熱の熱を、燃料蒸気の濃縮の可能性が最も大きくなり得るマニフォルド内のそのような位置、例えば、燃料‐空気アウトレットの近傍にある壁表面及び/又は気化された燃料の局所的な濃縮を引き起こし得るマニフォルドの角部及び他の凹所のような他のサイトに伝達するための、熱伝導構造体(単数又は複数)(例えば、図4Aに示されるCPOX改質器の熱伝導要素434)を備えることができる。
【0146】
マニフォルド220から、加熱されたCPOX反応混合物は、管状のCPOX反応器ユニット209内に導入されるが、その一実施形態の詳細な記述は、ここでは、図4Iに示されるマニフォルド部分450の管状CPOX反応器ユニット408と関連して提示される。CPOX改質器200の動作のスタートアップモードにおいて、点火器223は、管状CPOX反応器ユニット209のCPOX反応ゾーン210内でガス状CPOX反応混合物のCPOX反応を開始し、それによって、水素リッチ改質油の生産を開始する。定常状態のCPOX反応温度が達成される(例えば、250℃から1,100℃)と、反応は、自立になり、点火器の動作は、中断されることができる。熱電対224と225は、夫々、コンジット203で生じる気化動作とCPOX反応器ユニット209内で生じるCPOX反応の温度を監視するために設けられ、温度測定は、改質器制御システム226に対して監視されたパラメータとして中継される。
【0147】
また、改質器200は、ブロワー202、フローメータ204と215、ヒーター207、212及び221、液体燃料ポンプ213、フロー制御バルブ216、点火器223、及び熱電対205、222、224及び225のような電気で駆動されるコンポーネントに対して電力を提供し、且つ必要ならば、後での使用のために余剰電力を蓄電するために、電流源、例えば、充電可能リチウムイオンバッテリシステム227を含むことができる。
【0148】
必要ならば、液体CPOX改質器からの生産物流出物即ち水素リッチ改質油は、例えば、その一酸化炭素(CO)含有物を減少するために一つ以上の従来の又は他の既知の一酸化炭素除去デバイス228に導入されることができ、そこでは、生産物流出物は、燃料として、COによって汚染の影響を特に受けやすい触媒を利用する燃料セルスタック、例えば、ポリマー電解質膜燃料セルに挿入されるべきである。このように、例えば、生産物流出物は、水ガスシフト(WGS)変換器に導入されることができ、そこでは、COが二酸化炭素(CO)に変換されると共に、同時に、追加の水素を生成し、又は生産物流出物は、反応器に導入されることができ、そこでは、COは、COへの優先酸化(PROX)を受けるようになされる。また、COの減少は、これらのプロセスの組合せ、例えば、PROXが続くWGS及びその逆を使用して実行されることができる。
【0149】
生産物改質油の水素ストリームとCO含有副生物ストリームへの分離を行う水素選択性膜を備える既知の又は従来のクリーンアップユニット即ちデバイスに生産物改質油を通過させることによって生産物改質油中のCOレベルを減少することも本教示の範囲内に入る。また、この種のユニット/デバイスは、前述のWGS変換器及び/又はPROX反応器のような一つ以上の他のCO−削減ユニットと組み合わされることができる。
【0150】
空気が、動作の定常状態モード中にCPOX反応器ユニット209から回収された発熱の熱によってコンジット203の熱伝達ゾーン208内で加熱される図2Aの液体燃料改質器200とは対照的に、図2Bの例示の液体燃料CPOX改質器250において、遠心ブロワー252を介してコンジット253に導入された空気は、外部熱生成源、例えば、燃料セルスタック(図示せず)から回収された廃熱(温燃焼ガス排気)が供給される熱交換器254を通過することによって加熱される。他の全ての点で、図2BのCPOX改質器250のコンポーネント及びそれらの機能は、図2AのCPOX改質器200のものと本質的に同じである。
【0151】
図3Aに示される制御システム300は、本教示に係る液体燃料CPOX改質器の動作を制御するために設けられる。図3Aに示されるように、制御システム300は、動作のスタートアップモード、定常状態モード及びシャットダウンモードにおける液体燃料CPOX改質器302を管理するためのコントローラ301を含む。このコントローラは、プロセッサ上で動作するソフトウエアであってもよい。しかしながら、一つ以上のデジタル回路又はアナログ回路、又はそれらの組合せで実施されるコントローラを使用することは、本教示の範囲内にはいる。
【0152】
制御システム300は、更に、コントローラ301を通信状態にあり且つCPOX改質器302の選択された動作パラメータを監視するのに適する、複数のセンサアセンブリ、例えば、燃料圧力メータ304、空気圧メータ309、混合ゾーン熱電対313及びCPOX反応ゾーン熱電対314を含む。センサアセンブリからの入力信号、ユーザ入力デバイス及び/又はプログラムされたサブルーチンからのユーザーコマンド及びコマンドシーケンスに応答して、コントローラは、液体燃料CPOX改質器の動作を管理できる。より具体的には、コントローラは、液体燃料CPOX改質器の望ましいセクション又はコンポーネントの制御信号受信部と、それに特定の動作を指向するコマンド信号を送信することによって、通信できる。このように、例えば、圧力メータ304と309からの流量入力信号及び/又は熱電対313と314からの温度入力信号に応答して、コントローラ301は、例えば、燃料ライン306を通るコンジット307への燃料の流れを制御するために、燃料ポンプ303及び/又は燃料フロー制御バルブ305へ、空気のコンジット307への流れを制御し且つCPOX改質器302内の又はそれを通る加熱されたガス状CPOX反応混合物の流れを駆動するために遠心ブロワー308へ、ヒーターの温度出力を制御するためにヒーター310へ、点火器のオンオフ状態を制御するために点火器311へ、及びバッテリ/バッテリ充電システムの機能を管理するためにバッテリ/バッテリ充電システム312へ制御信号を送信できる。
【0153】
ここでのセンサアセンブリ、制御信号受信デバイス及び通信路は、任意の適切な構造のもの及び従来の技術で既知のものであり得る。センサアセンブリは、動作パラメータが監視される任意の適切なセンサデバイスを含むことができる。例えば、燃料流量は、任意の適切なフローメータで監視されることができ、圧力は、任意の適切な圧力感知又は圧力調整デバイスで監視されることができる等である。センサアセンブリは、必須ではないが、コントローラと通信状態にあるトランスジューサを含んでいてもよい。通信路は、通常、有線電気信号であるが、任意の他の適切な形態の通信路が使用されてもよい。
【0154】
図3Aでは、通信路は、シングルヘッド矢印又はダブルヘッド矢印として概略的に示されている。コントローラ301で終端する矢印は、測定された流量又は測定された温度の値のような入力信号を概略的に示す。コントローラ301から延在する矢印は、矢印が終端するコンポーネントから対応動作を向けるために送られた制御信号を概略的に示す。デュアルヘッド通信路は、コントローラ301が、決定された応答動作を提供するためにCPOX改質器302の対応するコンポーネントにコマンド信号を送信するのみならず、CPOX改質器302及び燃料ポンプ303、燃料制御バルブ305及びブロワー308のような機械的ユニットからの動作信号、及び圧力センサ304と309及び熱電対313と314のようなセンサアセンブリからの測定入力を受信することを概略的に表している。
【0155】
図3Bは、液体燃料CPOX改質器の動作を自動化するために制御システムのコントローラによって実行されることができる例示の制御ルーチンのフローチャートを表す。このフローチャートは、コントローラによって固定間隔、例えば、10ミリ秒毎程度で実行されることができる。図3Bに示される制御論理は、動作のスタートアップモード及び定常状態モードのガス流、加熱、燃料気化及びCPOX反応温度の管理及び改質器動作のシャットダウンモードのための手順の管理を含む幾つかの機能を実行する。
【0156】
本開示の更なる実施形態を表す図4A乃至図4Oに示される例示の液体燃料CPOX改質器400及びそのコンポーネントの種々の図に示されるように、酸素含有ガスとしての空気は、周囲温度で且つ予め設定された質量流量で図4N及び図4Oにより詳細に示される遠心ブロワーシステム402を介してコンパクト設計が好ましい略U形状のコンジットセクションを含む主コンジット404のインレット403を通して導入される。周囲温度空気は、最初に、改質器のスタートアップモード動作において第1のヒーターユニット406からの熱が供給される第1の加熱ゾーン405を通過することによって上昇された温度の事前設定された範囲内に加熱される。第1のヒーターユニット406とその下流の第2のヒーターユニット413は、例えば、10ワットから80ワット又は改質器の燃料処理容量の設計された範囲に依存してそれよりも大きいレートの従来の又はその他の既知の電気抵抗タイプのユニットであることができる。そのようなヒーターは、コンジット内に導入される周囲空気の温度をCPOX改質器構成及び動作容量の比較的広い範囲に対して望ましいレベルに上昇することができる。改質器400の動作の定常状態中に、第1のヒーターユニット406は、シャットダウンされることができ、次に、主コンジット404に導入された空気は、最初に、細長い管状ガス透過可能CPOX反応器ユニット408のCPOX反応ゾーン409から回収された発熱の熱によって熱伝達ゾーン407内で加熱されるが、そのユニット408の構造の及び構成の詳細は、図4I乃至図4Mでより詳細に記述される。このように、コンジットに導入された空気の温度は、周囲温度から何らかの予め設定された上昇温度範囲内に増加されることができ、その特定の温度は、様々な設計、即ち、当業者が容易に認識できる構造及び動作ファクタによって影響を及ぼされる。
【0157】
例えばマイクロポーラス又はアルミナ系耐火タイプの断熱部410は、これらのコンポーネントからの熱損失を減少するために、主コンジット404の大部分及びCPOX反応器ユニット408のCPOX反応ゾーン409に対応するCPOX反応器ユニット408の部分を囲む。
【0158】
加熱空気ストリームが主コンジット404(それは、図示の構成では、酸素含有ガスコンジットとして本明細では参照されることができる)内を下流に流れるので、それは、二つのストリームにスプリット、即ち、分割されることができ、一方のストリーム(例えば、主(流体)ストリーム)は、主コンジット404を通って流れ続け、他方のストリーム(例えば、二次(流体)ストリーム)は、ブランチコンジット411内に迂回され、そこから、他方のストリームは、出て併合ゾーン421で再び主コンジット404に入り、第1の混合ゾーン420(第1の静的ミキサー及び/又は中に配置されるらせん状の溝を有する内壁表面を有する)から通過する気化された燃料‐空気混合物と併合する。次に、併合されたガスは、構造と動作が以下でより十分に記述されるマニフォルド426のガス分配器427内にアウトレット425を介して導入されるための極めて均一な組成のガス状CPOX反応混合物を提供するために、気化器の下流で第2の混合ゾーン422(同様に、第2の静的混合物及び/又は中に配置されるらせん状の溝を有する内壁表面を有する)に入る。
【0159】
幾つかの実施形態では、分岐を含む単一のコンジットよりむしろ、二つの個別の又は独立したコンジットは、各コンジットが各コンジットと流体連通状態にある酸素含有ガス源を有する場合に、同じ目的を達成するために使用されることができる。即ち、第1の酸素含有源からの主流体ストリームは、通常、気化器への及びそれを通る、より高い燃料対空気比を維持するために減少された容量の流量で気化器へ第1の(主)コンジットを介して通過できる。第2の酸素含有ガス源からの二次流体ストリームは、第2のコンジットを通過して主流体ストリームと気化された液体改質可能燃料混合物と気化器の下流であるがCPOX反応器ユニットのインレット及び/又はマニフォルドの上流の第1のコンジットで併合することができ、それによって、ガス状CPOX反応混合物の望ましいO:C比をCPOX反応器ユニットに送給する。
【0160】
図4Pは、図4Aと類似する、本教示に係る液体CPOX改質器のそのような実施形態の長手方向断面図であるが、そこでは、第2の酸素含有ガス源402’と467が存在し、その各々は、コンジット404’とコンジット411’を介して併合ゾーン421’と流体連通状態にある。同様の参照番号は、一般的に、図4A図4Pにおける同様の部品を指し、ここでは繰り返されない。
【0161】
いずれの場合においても、望ましいCPOX反応のための全量の空気を二つのストリームにスプリットすることによって、丁度気化された燃料を形成するために開始し且つ加熱された空気が組み合わさることを始める燃料‐空気混合物に含まれた気化された液体燃料成分の量は、空気成分に比例して高く保たれることができ、このように、この非均一の最初の燃料‐空気混合物の幾つかの領域(単数又は複数)が点火及びその結果のコーク形成を支持するために十分に高い空気の濃度を含むことの可能性を排除又は減少する。最初の燃料‐空気混合物が第1の混合ゾーン内に配置された第1の静的ミキサーを通過して、それによって、比較的に高い空気濃度の点火誘導領域の存在する可能性を余りないようにする組成の不均一の度合いを達成すると、次に、幾分より均一な燃料‐空気混合物は、ブランチコンジットを出る第2の加熱された空気ストリーム(即ち、第2の(流体)ストリーム)を併合ゾーンで併合でき、それによって、望ましいCPOX反応混合物の予め設定されたO対Cモル比を満足する。次に、この燃料‐空気混合物は、混合物がマニフォルドのガス分配器に入る前に、より組成的に均一なガスCPOX反応混合物を提供するために、混合ゾーン内に配置された第2の静的ミキサーを通って流れることができる。
【0162】
第1の加熱ゾーン405及び/又は熱伝達ゾーン407を通過することによって最初に加熱された空気の温度を上昇するために、最初に加熱された空気が主コンジット404内を下流に流れ続けるので、最初に加熱された空気は、第2のヒーターユニット413からの熱が供給される第2の加熱ゾーン412を通るように経路指定される。第2のヒーターユニットは、比較的僅かに最初に加熱された空気の温度を上昇することだけを必要とするので、その第2のヒーターユニットは、本明細書で記述される燃料気化システムとその管状CPOX反応器ユニットの機能動作の両方に関して改質器の正確且つ迅速な熱管理に資する空気温度における典型的に小さな調節を行うことができる増分ヒーターとして機能できる。
【0163】
上述され且つここで及びディーゼル燃料によって本教示の他の実施形態で例示されたもののいずれかのような液体改質可能燃料は、主コンジット404内で終端する燃料ライン414を介して、液体燃料散布器デバイス415、例えば、図4D図4E及び図4Fに示さるウィック416、又は図4Gに示されるスプレーデバイス417に導入される。スプレーやウィックのような液体燃料散布器(デバイス)は、例えば、主コンジットに配置された、又は主コンジットの外部であるがそれと流体連通状態にある気化器であることができる。
【0164】
流体を液体燃料CPOX改質器の流路及びコンジットを通過させ、例えば、燃料ライン414を介して液体燃料を主コンジット404に導入するための任意の従来の又は他の既知のポンプデバイス418が使用されることができる。例えば、メータリングポンプ、ロータリポンプ、インペラーポンプ、ダイアフラムポンプ、ぜん動ポンプ、ジェローターのような能動変位ポンプ、ギアポンプ、圧電ポンプ、界面動電ポンプ、電気浸透流ポンプ、毛細管ポンプ等がこの目的のために使用されることができる。上で指摘されたように、加圧液体燃料は、ウィックによって、又は燃料インジェクタ、加圧されたノズル、アトマイザー(超音波タイプのものを含む)、噴霧器等のような従来の又は他の既知のスプレーデバイスのいずれかによって液滴形態で微細な霧状もしくは別の状態としてコンジット内に散布されることができる。第2のヒーターユニットと燃料散布器デバイスは、コンジット内に導入された液体燃料を気化し且つ共に改質器の燃料気化器システムの主コンポーネントを構成するように一緒に機能できる。幾つかの実施形態では、ポンプ又はそれと等価なデバイスは、燃料を間欠的に又はパルス流の形で送給できる。幾つかの実施形態では、ポンプ又はそれと等価なデバイスは、実質的に連続する流れとして燃料を送給できる。特定の実施形態では、ポンプ又はそれと等価なデバイスは、変化するCPOX改質器動作要求に応答して燃料の流量を迅速に調整できる。
【0165】
改質器は、動作のスタートアップモード中に液体燃料の気化を駆動するために任意の熱源、例えば、電気抵抗タイプのヒーター(ヒーター406と413の場合におけるような)を使用することができ、特に、そこでは、燃料の気化は、主コンジット404の外側で起こるように行われ、図4A図4D及び図4Gに示される液体CPOX改質器の実施形態は、最初に加熱された周囲温度の空気の温度を増分的に上昇するのみならず、主コンジット404への導入に先立って液体燃料を加熱し且つ液体燃料がコンジットに入ると、その燃料を気化するための十分な熱を提供するためにヒーター413を使用する。コンジットへの導入に先立って液体燃料を加熱するためのこのオプションの提供は、所与の量の液体改質可能燃料をより速く気化することを可能にする。即ち、同じ気化器システムが、改質可能燃料がコンジットに入る時の周囲温度で改質可能燃料を動作する場合よりも、より多くの量の液体燃料を所定時間内で気化することを可能にする。
【0166】
液体燃料が主コンジット404に入る前に液体燃料の加熱を行うために、且つ図4A図4D及び図4Gに示される気化器システム、即ち、アセンブリに示されるように、燃料ライン414は、燃料ラインが主コンジット404の第2の加熱ゾーン412を通過する又はそれに近接している、中を流れる燃料の滞留時間を延長するために長さが延長された燃料ラインのセクション419を有する主コンジット404の壁を横断する。延長された燃料ラインセクションは、この目的のために様々な構成、例えば、第2の加熱ゾーンに対応するコンジットの外表面上に又はそれに近接して配置された、コイル状又は渦巻き状巻線(図示のように)又は一連の長手方向の折り曲げ、又は第2の加熱ゾーンに又はそれの近くのコンジットの内表面内に配置された任意の同様なそのような構成を取ることができる。その正確な構成及び/又は配置には関係なく、延長された燃料ラインセクション419は、中の燃料を、予め設定されたある温度範囲内に上昇するのに十分な熱の量を受け取るように、第2の加熱ゾーン412に効果的熱伝達のために近接していなければならない。このように、このゾーン内を流れる空気を更に加熱することに加えて、主コンジット404の第2の加熱ゾーン412内のヒーター413の熱出力の一部は、燃料ライン414の先端セクション419内に流れる燃料、即ち、ディーゼル燃料に伝達し、燃料ライン414の先端セクションは、参照番号419によって示されるように、長く延ばされる、即ち延長されることができ、それによって、その温度を予め設定された範囲内に上昇させる。燃料ライン内の燃料に対して、温度のどのような範囲が選択されようと、もしベーパーロック及びその結果の改質器400のシャットダウンが回避されるべき場合には、燃料の沸点(ディーゼルの場合、150℃から350℃まで)を越えないようにすべきである。
【0167】
液体燃料散布器415は、第2の加熱ゾーン412及び関連するヒーター413から下流で且つ第1の混合ゾーン420から上流の主コンジット404内に配置される。熱電対423は、中に形成することを始める気化された燃料‐空気混合物(例えば、CPOX反応混合物)の温度を監視するために気化器から下流の主コンジット404内に配置される。
【0168】
図4D図4E及び図4Fに示されるように、本明細書で記述される気化器システムの一実施形態では、主コンジット404内の燃料ライン414の終端セクションは、第2の加熱ゾーン412からの加熱された空気ストリームがウィック416の表面上に広がった液体燃料に均一に接触し易いようにコンジットの断面の中心と略位置合わせされていることができる穿孔された又は複数のスロットが形成された液体燃料アウトレット424で終端する。液体燃料アウトレット上に嵌合できるウィックの本体は、任意の適切な熱抵抗性材料から製造されることができる。そのような熱抵抗性材料の例は、金属、セラミック、高温ポリマー等、及びそれらの組み合わせを含み、例えば、織り合わされた金属又はカーボンファイバ(構造的に強度を付すために)及びセラミックファイバ(ウィッキング動作)の螺旋状にねじれたシートである。ウィッキング動作や毛細管動作は、燃料アウトレットを介して放出された加熱されたディーゼル燃料を引き上げることができる。ウィックの表面まで且つその上に引き上げられた加熱されたディーゼルは、第2の加熱ゾーンから下流に流れる加熱空気と接触すると気化し、加熱された空気との組み合うことを開始して不均一なガス状燃料‐空気混合物、即ち、不均一なガス状CPOX反応混合物を最初に形成する。次に、第1の混合ゾーン420内の第1の静的混合物を通ることに続くこの最初の燃料‐空気混合物は、ブランチコンジット411から併合ゾーン421に流れる加熱された空気の残りの補足物と併合し、そこから、併合されたストリームは、第2の混合ゾーン422に内の第2の静的ミキサーに流れ、そこからより成分的に均一なガス状CPOX反応混合物を排出する。
【0169】
図4Gに示されるように、本明細書の液体燃料気化器システムの他の実施形態では、燃料ライン414は、液体燃料スプレーデバイス417で終端し、加熱された空気ストリームと同じ流れの方向に加熱されたディーゼル燃料の微細な噴霧液を主コンジット404内に射出する。図4D図4E及び図4Fに示される気化器システムの燃料ウィッキングコンポーネント416の場合のように、スプレーデバイス417から主コンジット404に放出された加熱されたディーゼルの噴霧液滴は、第2の加熱ゾーン412から下流に流れる加熱された空気ストリームと接触すると気化する。ここで記述された、両方の気化器システムの実施形態では、気化されたディーゼルは、CPOX反応器ユニット内への最終の導入のために、加熱された燃料‐空気ストリームを提供するように、加熱された空気と混合され始める。
【0170】
本明細書で記述される液体燃料気化器システムでは、ディーゼル燃料の温度をそのフラッシュポイント以上に上昇して、燃料の気化よりもむしろ燃料の拡散を引き起こす及び/又はコーク形成を生じる燃料の熱分解を引き起こすリスクを課す、加熱された表面、例えば、電気抵抗ヒーター要素の加熱された表面とのディーゼルの直接的な接触の機会が無い又はほとんどない。このように、図4D図4E図4F及び図4Gに示される気化器システムにおいて、ディーゼル燃料の温度は、スパッターリングやコーキングの顕著な発生を生じることなくフラッシュポイント未満のレベルに容易に且つ確実に維持されることができる。
【0171】
図4Aを参照すると、第2の混合ゾーン422内に配置された第2の静的ミキサーを通過することに続いて、ガス状CPOX反応混合物は、アウトレット425を通って主コンジット404を出て、反応混合物のより均一な分配を管状CPOX反応器ユニット408に又はその中に提供するように構成されるマニフォルド426のガス分配器427に入る。本教示内のそのような配置又は他の配置は、任意の二つのCPOX反応器ユニット内のガス状のCPOX反応混合物の流量における差が約20%以下、例えば、約10%以下、又は約5%以下である、ガス状CPOX反応混合物の分配を提供することができる。
【0172】
図4Aに戻ると、マニフォルド426(その一部の拡大長手方向断面図が、関連する管状CPOX反応器ユニット408と共に図4Iに示される)は、マニフォルドチャンバ429を画定するマニフォルドハウジング、即ち、囲い428を含み、このマニフォルドチャンバ429内で、加熱されたガス状CPOX反応混合物(ガス)分配器427が主コンジット404のアウトレット425に接続される。アウトレット425を通って主コンジット404を出る加熱されたガス状CPOX反応混合物は、ガス分配器427に入り、その後、ガス分配器の底又は下部に位置される孔430(例えば、穴又はスロット)を通して外側に通過し、次に、ガスは、分配器の外表面周りをその頂部又は上部に流れ、そこから管状CPOX反応器ユニット408のインレット431に入る。ガス状CPOX反応混合物がオリフィス430を通過してインレット431に入る時のガス状CPOX反応混合物の進路が図4Bに示されている。
【0173】
マニフォルドチャンバ429の幾つかの領域(単数又は複数)及び/又は表面(単数又は複数)内の温度が、中に存在するガス状CPOX反応混合物の気化された液体改質可能燃料の濃縮温度以下に下降する可能性を排除又は減少するために、電気抵抗ヒーター432と熱電対433は、燃料濃縮温度を越えるチャンバ内の温度を維持するためのアクティブヒーターシステムを提供するために、マニフォルドチャンバ429内に、例えば、その内表面の内の一つ以上に配置される又はその壁の内の一つ以上に埋め込まれる。例えば、上述のように、アクティブヒーターシステムに加えて、又は、それの代替として、銅のような熱良導体から製造され且つ管状CPOX反応器ユニット408のCPOX反応ゾーン409をマニフォルドチャンバ429と熱的にリンクする伝熱要素434を備える受動的熱伝達システムが、中の気化された燃料の温度をその濃縮温度を越えて維持するようにCPOX反応ゾーン409からの発熱の熱をマニフォルドチャンバ429内の領域及び/又は表面に運ぶために改質器400内に配置されることができる。
【0174】
燃料濃縮の発生を防止する又は最小にするそれらの機能に加えて、そのような能動的及び/又は受動的加熱システムは、ガス状CPOX反応混合物の温度がより均一になるように役立つので、当該ガス状CPOX反応混合物がCPOX反応器ユニットのインレットに導入されると、結果として、改質器動作と改質器制御の両方に利益をもたらす。このように、例えば、一方の又は両方のマニフォルド加熱システムは、任意の二つの管状CPOX反応器ユニットに入るガス状CPOX反応混合物の温度の差が約10%以下である、例えば、差が5%以下であるように、マニフォルドチャンバ全体を通して一貫して均一な温度のガス状CPOX反応混合物を提供するように動作されることができる。
【0175】
CPOX反応器ユニットへのガス状CPOX反応混合物のより均一な分配を促進する機能を達成するためにマニフォルドの設計の最適化に影響を及ぼし得る幾つかの指定のファクタは、そのハウジングの構成、そのチャンバの容量、及びそのオリフィスの数、設計及び配置を含むガス分配器の寸法を含む。一方、そのようなファクタは、コンジット内のガス状CPOX反応混合物の目標の流量、CPOX反応器ユニットの数と配置、CPOX反応器ユニットのインレットの形状と寸法のような改質器設計及び動作ファクタ及び同様な考察に依存する。本教示に係る特定の液体燃料CPOX改質器のための最適な燃料‐空気分配性能のマニフォルドは、方法を試験するルーチンを使用して当業者によって容易に構成されることができる。
【0176】
CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーンが実質的に反応器ユニットの長さと同じ広がりを持つ場合、マニフォルドハウジングは、CPOX改質器の典型である高温で熱的に且つ機械的に安定している材料から製造されることができる。これらの実施形態では、カーボンファイバ及び/又はガラスファイバ強化セラミックのような耐火複合材料を含む様々な種類の耐火材が、マニフォルドハウジングを製造するために適切である。構造体の適切な材料は、様々な既知のタイプのアルミナ、再結晶アルミナ、アルミノケイ酸塩、窒化ホウ素、ガラスセラミック、酸化マグネシウム、リン酸ジルコニウム等の緻密なセラミックス、ニッケル‐クロム系超合金、ハステロイ超合金等のような金属を含む。しかしながら、これら及び他の耐火材は、比較的にコストが高い傾向があり、特に、比較的に複雑な構成を有する物品を製造する場合に、使用して役立たせる際に課題となり得る。
【0177】
図4Jに示されるCPOX反応器ユニット408の拡大された、例示の長手方向断面図に示されるように、CPOX反応器ユニット408のガス透過可能壁451は、その長手に沿って、燃料‐空気混合物インレット431で始まる、実質的にCPOX触媒が無い第1の、即ち、上流の領域452と、第1の領域452の終わりに始まり且つ反応器ユニットの生成物改質油流出物アウトレット454で又はそれに近接して終わる、触媒的に効果的な量のCPOX触媒464を含む第2の、即ち、下流の領域453に分割されることができる。図4AのCPOX改質器400の定常状態動作中に、CPOX反応器ユニットのこの実施形態は、特に、CPOX反応器ユニット408の燃料‐空気混合物インレット431とマニフォルドハウジング428との接合部でかなり低い温度、例えば、周囲温度から約350℃までの領域に維持するために本質的にCPOX触媒の無い第1の領域452を出る第2の領域453に熱いCPOX反応ゾーン409を大きく制限する。
【0178】
温度が多くの熱可塑性樹脂の溶融温度よりも低い及び多くの熱硬化性樹脂の熱劣化温度未満である、CPOX触媒の無い壁セクションゾーンのより低い温度によって、マニフォルドハウジングの製造のために幾つかのファミリーの熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の任意のものを利用することが実際的にされ且つ有利にされる。マニフォルドハウジングの製造のために使用されることができる特定のタイプの熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のようなポリアリルエーテルケトン(PAEK)、フェノールホルムアルデヒド樹脂等を含む。それらの比較的に低い材料コストに加えて、これら及び他の熱的に安定な樹脂は、押し出し成形、真空成形、射出成形、反応射出成形、回転成形等のような低コスト製造手順を使用して複雑な形状に容易に形成可能にできる追加の利点を有し、従って、比較的に複雑な幾何学形状を有するマニフォルドハウジングを作るのに良好に適する。
【0179】
図4Aに戻り、マニフォルド426から、加熱されたガス状CPOX反応混合物がCPOX反応器ユニット408のインレット431に入り、CPOX反応ゾーン409に入り、そこでは、反応混合物は、水素リッチ一酸化炭素含有改質油を生成するためにガス相CPOX反応を受ける。スタートアップモードで、一つ以上の点火器(単数又は複数)435がCPOXを開始する。CPOXが自立した後に、例えば、反応ゾーンの温度が約250℃から約1100℃に達すると、点火器(単数又は複数)は、そこでは自立CPOX反応を維持するために外部点火がもはや要求されないので、シャットダウンされることができる。
【0180】
図4A乃至図4C及び図4Hは、本教示の一実施形態を示しており、そこでは、二つの点火器435(各アレイに対して一つ)は、改質器400の動作のスタートアップモード中にチャンバ内のCPOX反応器ユニット408のCPOX反応ゾーン409内でCPOX反応を開始するために使用される。示されるように、CPOX反応器ユニット408は、二つの別々の2×7アレイに配置され、各アレイは、主コンジット404の側面に位置するチャンバ436内に配置される。アレイの周囲は、チャンバ436の開口スペース438と断熱部410との境界を示す。CPOX反応器ユニット408のCPOX反応ゾーン409の少なくとも一部に対応するCPOX反応器ユニット408の壁の外部表面437は、開口スペース438内に露出される。水素バリアが存在する場合、その水素バリアは、CPOX反応器ユニットの外部表面に露出されることができる。例えば、10ワットから80ワット以上に格付けされた電気抵抗タイプの点火器435は、チャンバ436の両端に配置され、そこでは、放射熱生成要素439がCPOX反応器ユニット408の外部表面437に近接するが、それから物理的に隔離状態に位置される。熱電対440は、CPOX反応ゾーン409の温度を監視し且つ図3Aに示される制御システムに関連して記述されるように、改質器制御入力を提供するために点火器435の反対側のチャンバ436の端部に配置される。点火器の動作によって、放射熱が一つ以上の隣接するCPOX反応器ユニットの壁に又はそれを介して伝達され、それによって、CPOXがそのような反応器ユニット(単数又は複数)のCPOX反応ゾーン内で開始される。次に、これらの隣接するCPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン(単数又は複数)から放射される放射熱は、図4Cにおける波状矢印によって示されるようにアレイ内の残りのCPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内でCPOXを開始できる。
【0181】
CPOX反応器ユニットとの直接の接触を回避する一つ、又は二つ、又は多くて二乃至三の点火器(単数又は複数)の供給は、CPOX点火器システムに幾つかの利点を提供し、そこでは、各CPOX反応器ユニットが、それ自体の物理的に取り付けられた又は一体化された点火器を有する。後者の点火システムの使用は、本教示によって熟考されるが、動作不能の点火器の識別が、問題である可能性があり、点火器が一部であるCPOX反応器ユニットに対する損傷及び/又はアレイ中の他の反応器ユニットへの障害無しにその動作不能の点火器の除去及び交換は、困難である可能性がある。従って、アレイ内又は複数のCPOX反応器ユニット内に適切に配置された単一(又は二乃至三の)点火器(単数又は複数)は、故障した又は欠陥のある点火器の容易で且つ単純な識別及びCPOX改質器からの抽出、及び動作する点火器との交換を許容できる。
【0182】
二つの点火器が使用され、各点火器がCPOX反応器ユニットの2×7アレイを点火する、図4C及び図4Hに示されるように、特に、二つのチャンバ間に顕著な熱連通がある場合、チャンバ436の一方の側にある点火器435と熱電対440の位置をチャンバの他方の側にある点火器435と熱電対440の位置に対して反転することが有利である場合がある。そのような配置は、CPOX反応器ユニットの各別れたアレイのCPOX反応ゾーン内でのCPOXのより迅速な開始となることが観察された。しかしながら、チャンバ内で適切に寸法が決められ且つ配置されたCPOX反応器ユニットに関して、単一の点火器が、チャンバ内でCPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内でCPOXを始動するために使用されてもよい。
【0183】
液体改質可能燃料を処理することに加えて、図4Aに示される液体燃料改質器400は、それが複数のガス状改質可能燃料を共に処理する及び/又はそれを交互に/逐次処理することを可能とするコンポーネント、例えば、両方のタイプの改質可能燃料が利用可能であるが、必ずしも同時である必要はない、燃料管理を最適化する能力を含む。更に、この二重燃料処理能力は、それが熱伝達ゾーン407内でガス状燃料のCPOXを開始するためにCPOX反応から生じる発熱の熱を利用することによって、改質器の動作の定常状態モード中に主コンジット404内で熱プロファイルを活用することにおいて更に有利である。
【0184】
図4Aに示されるように、改質器400は、ガス状改質可能燃料ライン441と、ガス状燃料インレット442を含み、これらのガス状改質可能燃料ライン441とガス状燃料インレット442を介して、メタンや天然ガスのようなガス状燃料が、遠心ブロワーシステム402とインレット403の下流であって且つ第1の加熱ゾーン405と熱伝達ゾーン407の上流の主コンジット404内の位置で、この主コンジット404に導入される。ガス状燃料は、先に導入された周囲温度空気と組み合って、結果としてのガス状燃料‐空気混合物が、次に、第1の加熱ゾーン405を通過し、その後、熱伝達ゾーン407を通過する。
【0185】
図示のように、ガス透過可能CPOX触媒含有支持体443、例えば、多孔耐火金属及び/又はセラミック材料として提供されるぴったりと合うスリーブ、インサート、ライニングやコーティングは、主コンジット404の熱伝達ゾーン407内に配置され且つ熱伝達ゾーン407の長手の少なくとも一部、又は全長に亘って延在する。CPOXを開始するために十分な温度まで動作のスタートアップモード中に第1の加熱ゾーン405内で加熱された、又は動作の定常状態モード中に熱伝達ゾーン407内でCPOX始動温度に加熱された燃料‐空気混合物は、水素リッチ改質油を提供するためにCPOX触媒含有支持体443と接触してCPOXを受ける。
【0186】
必要ならば、液体燃料CPOX改質器は、ガス状改質可能燃料で単独で又は間欠的に、又は気化された液体燃料とガス状改質可能燃料の両方で同時に動作されることができる。両方のタイプの燃料の同時変換の場合、ガス状燃料は、CPOXを受けることが最初であり、そのようなことは、熱伝達ゾーン内に配置されたCPOX触媒含有支持体によって行われる。このガス状燃料CPOX反応からの水素リッチ改質油は、次に、気化された液体燃料‐空気混合物と下流で組み合わさり、その後、この混合物は、更なる量の水素リッチ改質油を生成するために、本明細書で記述されるように、管状CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内でCPOXを受ける。
【0187】
コンジットの熱伝達ゾーン内にCPOX触媒含有支持体を設けることによって、ディーゼルのような液体改質可能燃料の効率がより低いCPOX変換のより高い温度状態(例えば、約650℃から1,100℃)に対比してガス燃料の効率がよりよいCPOX変換の典型であるより穏当な温度条件下(例えば、約600℃から約850℃)でガス状燃料のCPOX改質が中で進行できる。上述のより低い温度でのCPOX触媒含有支持体内でガス状燃料CPOX改質を行うことは、(主)コンジット及びCPOX反応器ユニットの表面上で燃料の熱分解及びその結果のコーク形成のリスクを減少する大きな利点を有する。そのような事象は、生じてCPOX改質器欠陥に至る可能性がより高く、それらは、気化された燃料‐空気混合物の導入と共に又はそれに続いてガス状燃料がCPOX反応器ユニットに直接に添加されるためである。従って、二重燃料変換能力を有するCPOX改質器の幾つかの実施形態では、ガス状燃料の単独の処理から液体改質可能燃料CPOX変換の期間に続いて再び戻る遷移及び/又は気化された液体改質可能燃料とガス状改質可能燃料の混合物の同時処理は、CPOX改質器とその適切な機能の一体性に対するリスク無しで容易に且つ順調に達成されることができる。
【0188】
図4Iに戻って、図4A図4Bに示される改質器400のマニフォルド426の拡大されたマニフォルド部分450は、上部ハウジング構造体455、下部ハウジング構造体456、マニフォルドチャンバ429、ガス状CPOX反応混合物(ガス)分配器427及び管状CPOX反応器ユニット408のインレット431と流体連通、例えば、ガス流連通しているガス分配器アウトレット430を含む。管状CPOX反応器ユニット408のインレット端457は、上部ハウジング構造体455内に形成されたキャビティ458内に強固にシールされ、Oリングガスケット459によってそれと気密関係に係合される。加熱されたガス状CPOX反応混合物は、ガス分配器427のアウトレット430を通って、管状CPOX反応器ユニット408のインレット431を通ってCPOX反応ゾーン409内に流れ、そこでは、ガス状CPOX反応混合物は、反応器ユニットのアウトレット端460で関連するアウトレット454を通って反応器ユニットを出る水素リッチ一酸化炭素含有流出物改質油へのガス相CPOX変換を受ける。図示のように、CPOX反応器ユニット408は、ガス分配器からCPOX反応器ユニットのインレットに及ぶオリフィスを含むオリフィスプレートであってもよい熱伝導性要素434の上に着座される。オリフィスプレートは、マニフォルドハウジングと物理的に同じ構造体であってもよいし又は、図示のようにマニフォルドハウジングに取り付けられる又はシールされる別個の構造体であってもよい。後者の構成の場合、オリフィスプレートは、気化された液体燃料がマニフォルドチャンバを出る前にそれの濃縮を防止するために伝熱要素、即ち、「熱スプレッダー」として働くことができる。
【0189】
図4J図4Kに更に示されるように、各管状CPOX反応器ユニット408のガス透過可能壁451は、内表面461、外表面462、一部がCPOX反応ゾーン409を構成するガス透過可能壁451よって囲まれた開口ガス流通路463、及び第2の領域453及びCPOX反応ゾーン409に対応するガス透過可能壁451の少なくともそのセクションの構造体内に支持される及び/又はその構造体を含む触媒として有効量のCPOX触媒464を含む。図示のように、生成物水素ガスのガス透過可能壁451を介する損失を防止又は禁止するために、水素バリア465がガス透過可能壁451の外表面462に取り付けられる。
【0190】
開口ガス流通路は、ガス状CPOX反応混合物とその中の水素含有改質油の実質的に滑らかな流れを可能とし、本教示のCPOX反応器ユニットの構造的特徴は、本教示の液体燃料CPOX改質器の動作の特徴である低い背圧に寄与する。本教示に係る液体燃料CPOX改質器の動作において、水柱の約3インチ(0.0075バール)以下の、例えば、水柱の約2インチ以下の、又は水柱の約1インチ以下の背圧は、容易に達成されることができる。
【0191】
本明細書で先に述べられたように、CPOX反応器ユニットを形成するガス透過可能壁を通過する及び越える拡散による水素の損失を防止する又は禁止するために、CPOX反応器ユニットの幾つかの実施形態では、水素バリアが、CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーンに対応するCPOX反応器ユニットの長手の少なくともその部分に対してガス透過可能壁の外表面即ち外側表面に関連して、例えば、それに取り付けられる又は接着される。効果的な水素バリアとして機能できる材料は、CPOX反応の典型である高温で熱的に安定であるべきであり、改質油ガス、特に水素の材料を介する浸透や拡散を阻止するために十分に密であるべきである。
【0192】
これらの要求を満足する様々なセラミック材料(ガラス及びガラスセラミックスを含む)及び金属は、既知であり、従って、水素バリアを提供するために適する。水素バリアのための特定の材料は、例えば、アルミニウム、ニッケル、モリブデン、錫、クロム、アルミナ、再結晶アルミナ、アルミナイド、アルミノケイ酸塩、チタニア、炭化チタン、窒化チタン、窒化ボロン、酸化マグネシウム、酸化クロム、リン酸ジルコニウム、セリア、ジルコニア、ムライト等、それらの混合物及びそれらの層状の組合せを含む。
【0193】
水素バリアを構成する材料の性質が許す場合、水素バリアは、事前形成された層、フォイル、フィルム又は膜として、CPOX反応ゾーンに対応するCPOX反応器ユニット壁の外表面の少なくともその部分に適用されることができる。水素バリアは、耐火接着剤でその壁に接着されることができる。或いは、水素バリアは、適切な堆積方法、例えば、スプレーコーティング、粉末コーティング、ブラシコーティング、浸漬、キャスティング、共押出、金属化等、及びそれらの多くの変型のいずれかのような従来の又は他の既知のセラミックコーティング及び金属コーティング技術のいずれかを使用して外表面に形成されてもよい。水素バリアの厚みの適切な範囲は、選択されたバリア材料の水素透過性特性及びCPOX反応ゾーンを囲む壁のガス透過性特性に主に依存し、そのような厚みは、当業者によって決定される。多くのバリア材料及び反応器壁構造体に対して、水素バリアの厚みは、約2マイクロメートルから約15マイクロメートルまで、例えば、約5マイクロメートルから12マイクロメートルの間で変化し得る。
【0194】
加えて、水素バリアは、CPOX反応器ユニットのガス透過可能壁、例えば、少なくともCPOX触媒含有壁セクションの外表面に関連する加圧ガスのような加圧流体であってもよい。十分な圧力で、CPOX反応器ユニットの外側にある加圧流体は、CPOX反応器ユニットを形成するガス透過可能壁を通る水素のロスを防止するためのバリアを生成する。加圧流体は、典型的には、不活性ガス(例えば、窒素)及び/又は空気のような加圧ガスである。水素バリアとしての加圧空気の使用は、酸素がCPOX反応器ユニットの外部から内部へ拡散し、その拡散された酸素が、特にそのような水素バリアが使用され且つCPOX反応ゾーンの回りに存在する場合に、再形成されようとしている及び/又は再形成されているガス状CPOX反応混合物のO:C比を調整できる追加の利点を有する。
【0195】
幾つかの実施形態では、CPOX反応器ユニットは、気密チャンバ内に配置されることができるが、それによって、CPOX反応器ユニットのインレットとアウトレットに対して、CPOX反応器ユニットの外部にある環境のガスのような流体の加圧を許容し、その加圧されたガスは、CPOX反応器ユニットの外部表面と関連する水素バリアを生成できる。特定の実施形態では、水素がCPOX反応ゾーンまでCPOX反応器ユニット内で生成されないので、CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーンのみが空気のような流体で加圧される気密チャンバに囲まれる。CPOX反応ゾーンがCPOX反応器ユニットのアウトレットまで延在しない実施形態では、CPOX反応ゾーンの始めからアウトレットまで加圧ガスが水素バリアとして使用されることを許容するために気密チャンバ内に囲まれることができる。幾つかの設計では、本明細書で記述されるチャンバは、CPOX反応ゾーンの一部を取り囲み、他方、CPOX反応ゾーンの残りの部分を取り囲む水素バリアの他の形態が存在してもよい。
【0196】
気密チャンバのようなチャンバが使用される実施形態では、そのチャンバの内部と流体連通状態にあるコンジットは、流体でそのチャンバを加圧するために使用されることができる。例えば、加圧流体やガスコンジットは、(気密)チャンバの内部と圧縮空気のような圧縮ガスの容器のような加圧又は圧縮流体源との間で動作可能な流体連通を提供できる。
【0197】
当業者が容易に認識し且つ理解するように、CPOX反応器ユニットの断面形状、その数及び寸法、及びそれらのCPOX反応器ユニットの幾何形状中心即ち図心から測定されたそれらお互いの分離の距離は、特定の液体燃料CPOX反応器に対する動作上の及び機械的な性能使用に依存して決定される。実質的に均一な円形断面のCPOX反応器ユニット、例えば、図4C図4J及び図4Kに示されるCPOX反応器ユニット408の場合、そのようなCPOX反応器ユニットの数、それらの長さ、それらの内径及び外径(それらのガス透過可能壁の厚みを画定する)、及びガス透過可能壁の外表面に取り付けられる水素バリアの位置、長さ及び厚みは、とりわけ、CPOX改質器の水素生成能力によって決定され、一方、その水素生成能力は、タイプ、量(ガス透過可能壁内のCPOX触媒の装填及び分配)、壁の多孔構造の特性、細孔容積、(細孔サイズの関数)、細孔の主なタイプ(大部分が開いている、即ち、網状の、又は大部分が閉じている、即ち、非網状の)、及び細孔の形状(球状の又は不揃いの)、CPOX反応混合物の容量的流量、CPOX温度、背圧等のような壁のガス透過性に影響を及ぼす(及び従ってCPOX反応に影響する)特性を含む幾つかのファクタの関数である。
【0198】
特定の液体燃料CPOX改質器の望ましい機械的性能特性は、CPOX反応器ユニットの構成のために使用される材料の熱的且つ機械的特性、CPOX反応器ユニットの壁のガス透過可能構造体の細孔の容量と形態、反応器ユニットの寸法、特に壁厚及び関連するファクタのようなファクタにかなりの程度まで依存する。
【0199】
液体燃料CPOX改質器が適切に機能するために、ガス相CPOX反応ゾーンを囲む管状CPOX反応器ユニットの触媒的にアクティブである壁構造体のガス透過性特性は、気化された液体改質可能燃料、及び、ディーゼルの場合、C12−C14炭化水素のようなそれのより長い鎖成分が自由にそのような壁構造体に入り且つそれを通って拡散して表面のCPOX触媒のみならず、もしあるならば、内部のCPOX触媒と良好に効果的な接触を行うことができるようでなければならない。気化された改質可能燃料に対して限られたガス透過性を有するCPOX反応器ユニットの壁構造体は、気化された液体改質可能燃料の水素リッチ改質油へのCPOX変換を大きく遅らせるように制限された物質移行であり得ることに留意すべきである。対照的に、適切なガス透過性の触媒アクティブ反応器壁構造体は、気化された液体改質可能燃料のCPOX変換且つ望ましい組成の水素リッチ改質油に対する選択性を促進する。
【0200】
本教示によって案内され且つ既知及び従来の試験手順を使用して、当業者は、処理されるべき特定の液体改質可能燃料に対して最適なガス透過性特性を示す触媒アクティブ壁構造を有するCPOX反応器ユニットを容易に構成できる。
【0201】
管状CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーンの触媒アクティブ壁構造体が製造されることができる材料は、そのような壁構造体が高温且つCPOX反応の酸化力のある環境特性下で安定していることを可能とする材料である。従来及び他の既知の耐火性金属、耐火性セラミックス、及びそれらの組合せは、CPOX反応ゾーンの触媒アクティブ壁構造体の構成のために使用されることができる。これらの材料の幾つか、例えば、ペロブスカイトは、また、部分酸化に対する触媒活性を有し、従って、CPOX反応ゾーンの触媒アクティブ壁構造体の製造のために使用されることができるのみならずそのような構造体に対してCPOX触媒の一部又はそれの全てにも供給することができる。
【0202】
幾つかの実施形態では、CPOX反応器ユニットのCPOX触媒を含む、CPOX反応ゾーンの壁の少なくともセクションは、ペロブスカイトから作られる又はそれを含むことができる。例えば、ペロブスカイトは、そのような壁の約20重量%を超える、約30重量%を超える、約40重量%を超える、約50重量%を超える、約60重量%を超える、約70重量%を超える、約80重量%を超える、又は約90重量%を超えることができる。そのような壁セクションは、全体的にペロブスカイトで作られてもよいし又はCPOX反応器ユニットの壁全体がペロブスカイトで作られてもよいし又はその壁全体が本明細書で記述されたペロブスカイトの割合を含んでいてもよい。CPOX反応ゾーンに少なくとも対応する壁のセクションの材料のバランスは、ペロブスカイト以外に、金属、セラミックス、耐火性バインダから選択された少なくとも一つの成分とCPOX触媒を含むことができる。
【0203】
ペロブスカイトは、LaNiO、LaCoO、LaCrO、LaFeO及びLaMnOから選択された、少なくとも一つのメンバーであることができる。ペロブスカイトは、ランタンストロンチウムマンガナイト、マンガンストロンチウムフェライト、ランタンストロンチウムコバルトフェライト、ランタンカルシウムマンガナイト、ランタンストロンチウムクロマイト、ランタンストロンチウムガラートマグネサイト、及びそれらの組合せを含むことができる。触媒として存在する場合、ペロブスカイトは、La1−xCeFe、LaCr1−yRu、La1−xSrAl1−yRu及びLa1−xSrFeであることができ、それらの組合せを含み、そこでは、xとyは、0.01から0.5までの範囲の数字である。加えて、他の適切な遷移金属ドープペロブスカイトが本教示の実施において使用されることができる。
【0204】
有用な耐火性金属として、チタン、バナジウム、クロム、ジルコン、モリブデン、ロジウム、タングステン、ニッケル、鉄等、それらの互いの組合せ、及び/又は他の金属及び/又は金属合金との組合せ等がある。耐火性セラミックスは、本目的のために有用でもある多くの耐火性金属及び耐火性金属合金に比較して、それらが比較的に低コストであることに起因して、触媒活性壁構造体の構成のための材料の一クラスである。そのようなセラミックスが既知及び従来の細孔形成手順を使用して極めて再生可能な細孔タイプの管状ガス透過可能構造体に形成できる比較的容易さとセラミックスの一般的に高度に満足のいく構造的/機械的特性(熱膨張係数及び熱ショック性能を含む)及び化学劣化に対する抵抗性は、それらの材料を魅力的な材料にする。CPOX反応ゾーン(先に述べたように、CPOX反応器ユニットの全体の壁構造体を含むことができる)の構成のための適切な耐火性セラミックスは、例えば、ペロブスカイト、スピネル、マグネシア、セリア、安定化セリア、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ安定化ジルコニアのような安定化ジルコニア、カルシア安定化ジルコニア、セリア安定化ジルコニア、マグネシア安定化ジルコニア、ランタナ安定化ジルコニア及びイットリア安定化ジルコニア、ジルコニア安定化アルミナ、ピロコア、ブラウンミラライト、リン酸ジルコニウム、炭化ケイ素、イットリウムアルミニウムガーネット、アルミナ、αアルミナ、γアルミナ、βアルミナ、アルミニウムシリケート、コージェライト、MgAl等を含み、それらの内の様々なものが米国特許第6,402,989号明細書及び第7,070,752号明細書に開示されており、それの明細書の全ての内容は、参照によって本明細書に組み込まれ、且つ希土類アルミン酸塩及び希土類ガラートを含み、それらの内の様々なものが米国特許第7,001,867号明細書及び第7,888,278号明細書に開示されており、それの明細書の全ての内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0205】
一般的に、所与の設計のPOX改質器の全即ち全体の燃料変換能力は、その個別のCPOX反応器ユニットの総燃料変換能力である。互いに隣接するCPOX反応器ユニット間の最小距離は、改質器の動作の定常状態モードにおいて、反応器ユニットの温度が、予め決定された、即ち、事前設定された最大値を越えないようにされ、且つ互いに隣接するCPOX反応器ユニット間の最大距離は、液体燃料CPOX改質器の動作のスタートアップモード中にCPOX反応が一つ以上の反応器ユニット内で開始されることが失敗しない又は一つ以上のCPOX反応器ユニット内の温度が改質器の動作の定常状態モードに対して意図された所定の、即ち、予め設定された最低値以下に低下することがない距離である。互いに隣接するCPOX反応器ユニット間の最小距離と最大距離は、ルーチン試験方法を使用して所与の改質器セクション設計に対して容易に決定されることができる。
【0206】
本教示は、今まで既知で従来のCPOX触媒(触媒系を含む)、触媒を細孔基板又は支持体、特にCPOX反応器ユニットのガス透過可能壁に組み込む方法、制限するわけではないが、壁の特定のセクションに閉じ込められた触媒を含む触媒分配のパターン、反応器ユニットの長手に沿って増加される及び/又は壁の内表面から外表面へ減少される触媒の装填、反応器ユニットの長手に沿って組成が変化するCPOX触媒、及び同様の変型のいずれかの使用を熟考している。このように、例えば、CPOX反応ゾーンの始めからその終わりまで又はその終わりの近くまでCPOX反応器ユニットの壁内における触媒装填の増加は、このゾーンにおいて一定のCPOX反応温度を維持するのに役立つことができる。
【0207】
本明細書で利用されることができる多くの既知で従来のCPOX触媒としては、金属、金属合金、金属酸化物、混合金属酸化物、ペロブスカイト、パイロクロール、例えば、米国特許第5,149,156号明細書、第5,447,705号明細書、第6,379,586号明細書、第6,402,989号明細書、第6,458,334号明細書、第6,488,907号明細書、第6,702,960号明細書、第6,726,853号明細書、第6,878,667号明細書、第7,070,752号明細書、第7,090,826号明細書、第7,328,691号明細書、第7,585,810号明細書、第7,888,278号明細書、第8,062,800号明細書、及び第8,241,600号明細書に開示される様々なものを含む、それらの混合物及びそれらの組合せがあり、これらの明細書の全体の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0208】
多数の高活性貴金属含有CPOX触媒が既知であり、且つそのようなものがここでは有用であるが、それは、一般的に、それらの高いコスト、高温で焼結した結果触媒活性の減少を受ける傾向、及び硫黄による汚染への傾向に起因して他の既知のタイプのCPOX触媒よりも使用されない。
【0209】
ペロブスカイト触媒は、それらが、また、CPOX反応器ユニットの触媒アクティブ壁構造体の構成に適するので、本教示において有用なCPOX触媒のクラスである。ペロブスカイト触媒は、「A」と「B」が非常に異なるサイズの陽イオンであり、「X」は、両陽イオンに接合する陰イオン、一般的には、酸素である、構造ABXによって特徴付けられる。適切なペロブスカイトCPOX触媒の例は、LaNiO、LaCoO、LaCrO、LaFeO及びLaMnOを含む。
【0210】
ペロブスカイトのA部位変更は、一般的に、それらの熱安定性に影響を及ぼし、他方、B部位変更は、一般的に、それらの触媒活性に影響を及ぼす。ペロブスカイトは、それらのA及び/又はB部位でドーピングを行うことで特定のCPOX反応状態に対して適合変更されることができる。ドーピングによって、ペロブスカイト格子内の活性ドーパントの原子レベルの分散が生じ、それによって、それらの触媒性能における劣化を禁止する。また、ペロブスカイトは、CPOX改質の高温特性での硫黄に対する良好な許容範囲を示すことができる。CPOX触媒として有用なドーピングされたペロブスカイトの例は、La1−xCeFeO、LaCr1−yRU、La1−xSrAl1−yRu及びLa1−xSrFeOを含み、ここでは、xとyは、ドーパントの固溶限界とコストに依存して、0.05から0.5まで、例えば、0.05から0.2までの数である。
【0211】
図4Jに関連して先に論じられたように、CPOX反応器ユニットは、実質的にCPOX触媒が無く且つそのインレット端からCPOX触媒を含む第2の、即ち下流領域へ延在する第1の、即ち、上流領域を含むことができる。第2の、即ち下流領域は、典型的には、第1の領域端からその改質油流出物アウトレットに延在するが、アウトレット近くの触媒の量は減少する。CPOX反応器ユニットの全長に対するこれらの領域の長さは、大きく変化してもよい。このように、例えば、第1の領域は、CPOX反応器ユニットの長さの約20%から約60%まで、例えば、約30%から約40%まで又は約50%まで延在し、第2の領域は、CPOX反応器ユニットの長さの残りの長さに延在する。図4AのCPOX改質器400の記述に関連して説明したように、CPOX改質器400の定常状態動作中に、第1の領域452は、図4Aのマニフォルド426のマニフォルドハウジング428が様々な種類の低コストで、容易に成形可能である熱可塑性又は熱硬化性樹脂のいずれかから製造されることができる第2の領域453(CPOX反応ゾーン409に対応する)よりもかなり低い温度にある。
【0212】
CPOX反応器ユニット408は、図4Kに示される円形断面に加えて、図4L及び図4Mに示されるもののような他の断面構成を取ることができる。図4Lは、交互に凹凸となる、即ち、二裂片の断面を有するCPOX反応器ユニットを示している。そのような断面構成を有するCPOX反応器ユニットは、Finnerty氏らによる同時係属中で本願の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2013/0230787号明細書のSOFC燃料セルアセンブリのようにそれらのアウトレットセクションが同様に構成された管状中実酸素燃料セル(SOFC)ユニットに接合される又は嵌合される場合に特に有利であり、その明細書の全体の内容は、実際上、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0213】
代替として又はCPOX反応器ユニットの多管状燃料セルユニットへの直接の接続と組み合わせて、多管状CPOX改質器の二つ以上のCPOX反応器ユニットのアウトレットは、互いに(及びCPOX反応器ユニットの追加のアウトレット)と流体連通状態にあることができ、それらのアウトレットからの水素リッチ改質油は、燃料セルへの導入に先立って組み合わされることができる。例えば、二つ以上のCPOX反応器ユニットからの水素リッチ改質油流出物は、マニフォルド又は同様のデバイス及び/又は一つ以上のコンジット内で組み合わされることができ、次に、多管状燃料セル又は単一の燃料セルユニットであり得る燃料セルに導入される。従って、本教示のCPOX改質器は、そのエンド使用、例えば、水素リッチ改質油を単一の又は多管状燃料セルユニットに提供することに依存する様々な用途に適合されることができる。
【0214】
図4N図4Oにより詳細に示される、CPOX改質器400の遠心ブロワーシステム402は、DeWald氏らによる同時係属中で本願の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2012/0328969号明細書に開示されており、その明細書の全体の内容は、実際上、参照によって本明細書に組み込まれる。その他の利点の内、遠心ブロワーシステムは、同等の空気流容量の複数の片吸込み型遠心ブロワーが、ここで説明されるように、比較的に高い電力消費のブロワーへ頼ることなくては、提供できない生産物水素リッチ改質油の要求における変化に応答して、コンジットに導入される空気の容量及び/又はガス状燃料‐空気混合物のCPOX反応器ユニットへの流量を迅速に調整する能力を有することができる。
【0215】
既知で従来の改質器の動作のためにガス流を提供するために利用される片吸込み型遠心ブロワーのような片吸込み型遠心ブロワーは、変動するガス流要求を満足するためにモータの毎分回転数(rpm)の全範囲の適切な制御を必要とする。CPOX改質器の動作の特定のモードに対する目標のガス流要求に依存して、これらの要求を満たすための片吸込み型ブロワーの最適な性能は、比較的に高いrpm、例えば、約20,000rpm以上で駆動される比較的に小さなサイズのインペラーを有するブロワー又は比較的に低いrpm、例えば、約20,000rpm未満、より一般的には、約10,000rpm未満で駆動される比較的に大きなサイズのインペラーを有するブロワーを使用することを含む。第1の配置(場合)、即ち、比較的に高いrpmで駆動される比較的に小さなインペラーを有する片吸込み型ブロワーは、その動作のために必要な、対応するより大量の電力を引き込むよりパワフルで特別なモータを必要とする。第2の配置(場合)、即ち、比較的に低いrpmで駆動される比較的に大きなインペラーを有する片吸込み型ブロワーは、大きなインペラーのより大きな慣性に起因してブロワー出力の制御と微細な調整がより困難にされ得る。
【0216】
目標の圧力のオーバーシュートと液体燃料CPOX改質器のガス流要求を防止するために、比較的高い慣性のインペラーを有する片吸込み型ブロワーは、ガス圧と流量の期待された範囲にそのブロワーを調整する時に過減衰されなければならない。インペラーの比較的に高い慣性を補償するためのこの過減衰の影響は、ガス流要求を変化する、しばしば迅速に変化することに応答してブロワーを遅くさせることである。比較的高い慣性のインペラーを有する片吸込み型遠心ブロワーのこの特徴的に遅い応答は、ガスフロー要求における変動に対して満足するように応答するためにはより複雑な制御システムを必要とする可能性がある。
【0217】
CPOX改質器内でガス流を駆動するために遠心ブロワーシステムを利用することは、そのシステムが、迅速に目標のガス流とガス圧要求を満足するために、制御並びに低駆動モータrpm及び電力引込みのための両低慣性インペラーから利益を得ることができる。
目標のガス圧とガス流の大部分、例えば、目標のガス圧とガス流の約60%から約90%までを提供するために遠心ブロワーシステムのような相互接続された一連のブロワーにおける一つ以上のブロワーユニットを制御することによって、目標のガス圧とガス流の残りの部分がそのシステムの一つ以上の他のブロワーユニットによって提供されることができる。目標のガス流とガス圧をCPOX改質器へ提供するタスクを、デュアル遠心ブロワーシステムのような少なくとも二つの一体化された、即ち、相互接続された遠心ブロワー間でスプリットすることの結果は、そのような流れと圧力が単一の遠心ブロワーユニットで可能であるものよりも短い時間で且つより大きな精度で達成されることになる。加えて、電力引込みとノイズレベルは、ブロワーインペラーがそれらの動作のために高いrpmを必要としないので、遠心ブロワーシステムにおいて低くなり得る。
【0218】
図4N図4Oに示されるように、遠心ブロワーシステム402は、ダクト488を介して第2の遠心ブロワーユニット487に接続された第1の遠心ブロワーユニット486を含む。第1の遠心ブロワーユニット486は、軸方向インレット490と半径方向アウトレット491を有するケーシング489、周囲空気を第1の圧力で軸方向インレット490に引込み且つ空気を第2のより高い圧力で半径方向アウトレット491を介して放出するためにケーシング489内に配置されたインペラー492、及びインペラー492を駆動するための電気モータ493を含む。第2のブロワーユニット487は、ケーシング494と図4Nにダクト488の切取断面図によって示されるように、ケーシング494内に配置され且つ電気モータ496によって駆動されるインペラー495と、第1のブロワーユニット486のアウトレット491から放出されるガスを受容するための軸方向インレット497を含む。第2のブロワーユニット487は、更に、半径方向アウトレット498とアウトレットガスストリームハウジング499を含み、その放出端484は、点線によって示されるように、コンジット、例えば、図4Aの液体燃料CPOX改質器400の主コンジット404の一端に接続されることができる。
【0219】
図4N図4Oの矢印は、遠心ブロワーシステム402を構成する一連のブロワーにおける各ブロワーユニットの半径方向アウトレットを通る周囲空気の一般的な方向を指す。図示のように、例えば、図4Nにおいて、第1のブロワーユニット486のアウトレット491を介して放出される周囲空気ストリームの軌跡と第2のブロワーユニット487のアウトレット498を介して放出される周囲空気ストリームの軌跡は、それらの夫々のアウトレットに対して平行ではなくそれらに対してある角度である。ストリームがダクト488の内壁に略平行のままであるように、アウトレット491を介して放出された周囲空気ストリームを受容するようにダクト488の配列を配置することによって、そうでない場合には生じる、ストリームがこれらの壁に衝突した乱流を防止又は減少することができる。乱流は、遠心ブロワーシステムにおける背圧源としてそれを減少又は排除するように有利に最小化又は回避されることができる。この同じ理由で、ガスストリームハウジング499の内壁が第2のブロワーユニット487のアウトレット498を介して放出された周囲空気の軌跡に略平行であるようにそのガスストリームハウジング499の角度を配置することが有利であり得る。ガスストリームの軌跡に対するダクトの内壁の最適配置及びガスストリームハウジングのオフセットの角度は、ルーチン実験法を使用して所与の遠心ブロワーシステムに対して容易に決定されることができる。遠心ブロワーシステム402において、ダクト488の内側、即ち、案内表面及びガスストリームハウジング499の内側、即ち、案内表面は、アウトレット491と498に対して約12°から約20°まで、例えば、約14°から約18°までの角度αで設定されることができる。
【0220】
図5Aの液体燃料CPOX改質器500、図5Bの液体燃料CPOX改質器550、図6Aの液体燃料CPOX改質器600及び図6Bの液体燃料CPOX改質器650は、図4A乃至図4Hの液体燃料CPOX改質器400の要素と特徴の多くを含み且つそれと本質的に同じように動作し、従って、液体燃料CPOX改質器400からの顕著な違いに関してのみ記載される。
【0221】
その結果、図5A図5BのCPOX改質器500と550は、夫々、ガス状CPOX反応混合物の空気成分及び/又は液体改質可能燃料成分が改質器の動作の定常状態モード中に加熱される方法において主に異なっている。CPOX改質器500と550において、周囲温度空気の加圧流は、夫々、熱交換器501と551に導入され且つそれを通過し、それを介して熱交換流体、例えば、燃料セルスタック(図示せず)のような外部熱生成源からの熱い燃焼ガス、の流れが循環される。この配置は、改質器の動作の定常状態モード中に改質器に入る周囲空気が、主コンジット404の熱伝達ゾーン407を通過し、空気が、CPOX反応器ユニット408のCPOX反応ゾーン409内で生じるCPOX反応の発熱から回収された熱によってゾーン407内で加熱されるCPOX改質器400において空気を加熱するための設備とは異なっている。加えて、燃料ラインセクション414内に流れる燃料がヒーター413によって加熱される、図4Dに示される燃料加熱システムに対比して、CPOX改質器500と550において、燃料ラインのセクションは、夫々、熱交換器501と551を介して経路付けられて、同様に燃料の気化に先立って、燃料の加熱を提供することができる。その他のすべてに関して、CPOX改質器500と550は、本質的にCPOX改質器400と同様に動作できる。空気の主コンジット404への導入に先立って空気を加熱することの代わりに、又はそれに加えて、周囲温度の液体改質可能燃料は、夫々、熱交換器501と551を通るように経路付けされ、その後、生じた加熱燃料は、主コンジット404の外部で又は主コンジット404内で、図4D乃至図4Gに示される液体燃料気化器の動作中に気化される。
【0222】
メタン、プロパン、ブタン、天然ガス、石油ガス等のようなガス状改質可能燃料に比較して、ディーゼル、ジェット燃料及び他の蒸留液のような液体燃料は、一般的に、より大きな反応発熱性でCPOXを受けるより効率的でない生産物改質油源である。本教示の液体燃料CPOX改質器のCPOX反応器ユニットを冷却する手段は、任意ではあるが、液体燃料CPOX改質器の更なる熱管理と制御を提供することに有用であり得る。改質器制御のそのような更なるレベルを提供するために、図6A図6Bの夫々のCPOX改質器600と650は、それらのCPOX反応器ユニットを温度の予め設定された範囲内、例えば、約750℃から約950℃までに冷却するための熱交換器を含む。
【0223】
図6Aに示されるように、CPOX改質器600は、冷却材ストリーム、例えば、周囲温度の空気をCPOX反応器ユニット603の下部セクション602の露出された外部表面に向ける遠心ブロワー601を含む。遠心ブロワーの代わりに、例えば、ファン、インペラー等のような冷却材ストリームを提供するための任意の他の適切なデバイスが利用されてもよい。
【0224】
図6B図6CのCPOX改質器650では、熱伝導アセンブリは、様々に構成され且つ配置された熱伝導部材651と654を含む。熱伝導部材は、例えば、適宜に高い熱伝導性を有する材料、例えば、金属(特に、銅及び銅合金)、カーボン、セラミックス、及び合成物等から製造されるロッド、プレート、チューブ等として設けられることができる。熱伝導部材は、放射熱、例えば、チャンバ653内のCPOX反応器ユニット652の露出された外部表面から熱伝導部材654に放射された熱を伝導でき、この熱伝導部材654は、同様に、銅のような、高い熱伝導性を表す材料から製造されて、熱放射部材655、例えば、図示の一連のフィンで終端する。遠心ブロワーユニット656は、複数のフィンを支持する熱放射部材655へ冷却材ストリーム、例えば、周囲温度の空気を向けてその熱を消散する。
【0225】
図6B図6Cに示されるチャンバ653は、本明細書で論じられるように、水素バリアとして働くことができる加圧ガスのような加圧流体を含むことができる。チャンバ653は、気密チャンバであることができる。図示のように、チャンバ653は、一般的に、CPOX反応器ユニット652の各々のCPOX反応ゾーン(例えば、CPOX触媒を含むガス透過可能壁のセクション)をチャンバ内に含み並びに主コンジット、点火器及び熱電対(ラベルなし)を含むように配置される。図示のように、チャンバは、CPOX反応ゾーンの大部分を含むが、そのチャンバの一つ以上の壁は、水素バリアとして働くことができ、この水素バリアでは、CPOX反応器ユニットが、例えば、図示のようにチャンバの内部の上方及び下方で壁を横切る即ち壁を貫通して延在する。加圧ガスコンジット(図示せず)のような加圧流体コンジットは、チャンバの内部と圧縮空気源のような加圧又は圧縮流体源との間に動作可能流体連通を提供できる。チャンバの加圧は、適切な水素バリアのための十分な流体圧を提供するために適切なバルブと圧力センサのアセンブリを使用して制御されることができる。
【0226】
図7は、気化されたディーゼル燃料‐空気CPOX反応混合物の酸素(O)対炭素(C)のモル比とCPOX反応温度との間の関係を実証するグラフデータを提示する。そのデータが示すように、CPOX反応混合物のO対Cのモル比は徐々に減少する、即ち、反応混合物が、比較的に炭素希薄なものから比較的に炭素リッチなものへ調整されると、CPOX反応温度が低下する。これらのデータは、本教示に係る液体燃料CPOX改質器の最適化動作のための幾つかの含蓄を保持している。
【0227】
CPOX触媒の迅速な加熱、従って、ガス相CPOX反応のオンセットを促進するために、より高いO対Cモル比を有するガス状CPOX反応混合物(即ち、燃料希薄反応混合物)は、改質器の動作のスタートアップモード中に利用されることができる。燃料希薄CPOX反応混合物に関連するより高い動作温度は、CPOX触媒温度におけるより迅速な上昇と定常状態動作への時間の減少を促進し得る。加えて、燃料希薄比は、CPOX触媒がその最適な温度を達せし且つ十分に活性化される前にコーク形成を禁止するのを助ける傾向がある。CPOX触媒が、約650℃以上の温度に達すると、O対Cのモル比は、燃料流が増加されると、減少されることができる。O対Cのモル比の減少によって、触媒温度を低下し且つCPOX反応器ユニット、つまり、燃料気化器ユニットの温度制御を失うことなくより多くの燃料が処理されることができる。反対の動作が、シャットダウン動作に対して取られることができる、即ち、燃料流は、維持されたO対Cのモル比で減少される。CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーンの温度がコーク形成を生じる温度、例えば、約650℃未満に近接する又はそれ未満に低下し始めると、O対Cのモル比は、CPOX触媒が不活性になるようにコーク形成を防止又は最小にするように増加されることができる。典型的には、CPOX改質器は、CPOX反応混合物の温度が約500℃未満に低下する時にシャットダウンされる。酸素含有ガスの流れは、約15秒から約20秒まで継続されることができ、その後、燃料流は中断された。このようなシャットダウン手順によって、コンジット又は燃料制御バルブとコンジットへの燃料の導入の位置との間の燃料ラインのセクション内に含まれることができる、改質器からの燃料の気化と除去を可能とすることができる。この制御特性は、特定の改質器設計において利用される特定の気化器システム及びコントローラユニットコンポーネントを含む様々な改質器コンポーネントによって影響を及ぼされ得る。
【0228】
O対Cのモル比の変化が改質油の品質及び/又は組成に対する変化となり得るという理解の下で、燃料‐空気CPOX反応混合物のO対Cのモル比は、混合物の出力熱状態を調整する動作中に制御されることができる。CPOX温度が約650℃を越えるように上昇すると、燃料希薄から燃料リッチへシフトするO対Cのモル比の範囲がある。異なるCPOX触媒は、動作ウインドウ及びCPOX温度に影響を及ぼし得る。加えて、異なる燃料(ガス状又は液状)は、改質反応の効率に依存してCPOX温度を変化し得る。
【0229】
本明細書で記述された液体燃料CPOX改質器の様々な実施形態及びそれらの動作の原理を考慮して当業者は、ルーチン実験手順を使用することによって、本教示に係る、望ましい液体改質可能燃料変換能力、構造的特徴、及び機械的特性の特定のCPOX改質器の設計を容易に最適化することができる。
【0230】
本教示は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態の実施形態を包含する。従って、前述の実施形態は、本明細書で記述された本教示を制限するのではなくその例証となる全てに関して考察されるべきである。このように、本発明の範囲は、前述の記載によってではなくて添付の特許請求の範囲によって指摘され、特許請求の範囲の等価の意味と範囲内で生じる全ての変化は、特許請求の範囲内に包含されることが意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図4M
図4N
図4O
図4P
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7