特許第6231699号(P6231699)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 華為技術有限公司の特許一覧

<>
  • 特許6231699-信号処理方法及び装置 図000014
  • 特許6231699-信号処理方法及び装置 図000015
  • 特許6231699-信号処理方法及び装置 図000016
  • 特許6231699-信号処理方法及び装置 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231699
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】信号処理方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G10L 19/035 20130101AFI20171106BHJP
【FI】
   G10L19/035 B
【請求項の数】18
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-556272(P2016-556272)
(86)(22)【出願日】2014年12月1日
(65)【公表番号】特表2017-507366(P2017-507366A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】CN2014092695
(87)【国際公開番号】WO2015165264
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2016年9月8日
(31)【優先権主張番号】201410177234.3
(32)【優先日】2014年4月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲賓▼
(72)【発明者】
【氏名】苗 磊
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲澤▼新
【審査官】 五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−280698(JP,A)
【文献】 特表2016−527546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 19/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号処理方法であって、
N個のサブバンドからM個のサブバンドを選択するステップであって、前記N個のサブバンドは信号の現在フレームのスペクトル係数を分割することによって取得され、前記M個のサブバンドの周波数帯は前記M個のサブバンドを除く前記N個のサブバンドにおけるK個のサブバンドの周波数帯より低く、Nは1より大きな正の整数であり、M及びKは共に正の整数であり、MとKとの和はNである、選択するステップと、
前記M個のサブバンドのエネルギー特性及びスペクトル特性に従って、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することを決定するステップと
前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行するステップと、
前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及び前記K個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って、前記N個のサブバンドに対して第1のビット割当てを実行するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記M個のサブバンドのエネルギー特性及びスペクトル特性に従って、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することを決定するステップは、
前記N個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドのエネルギー特性を決定するステップであって、前記M個のサブバンドのエネルギー特性は前記信号の現在フレームのスペクトルエネルギーのものであって、前記M個のサブバンドに対する集中度を示す、決定するステップと、
前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドのスペクトル特性を決定するステップであって、前記M個のサブバンドのスペクトル特性は前記M個のサブバンドのスペクトル変動度を示す、決定するステップと、
前記M個のサブバンドのエネルギー特性が第1の範囲内に属し、前記M個のサブバンドのスペクトル特性が第2の範囲内に属するとき、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して前記修正処理を実行することを決定するステップと、
を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の範囲は、[1/6,2/3]である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第2の範囲は、
【数11】
である、請求項2又は3記載の方法。
【請求項5】
前記N個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドのエネルギー特性を決定するステップは、
前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドの合計エネルギーを決定するステップと、
前記K個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記K個のサブバンドの合計エネルギーを決定するステップと、
前記K個のサブバンドの合計エネルギーに対する前記M個のサブバンドの合計エネルギーの比を前記M個のサブバンドのエネルギー特性として決定するステップと、
を有する、請求項2乃至4何れか一項記載の方法。
【請求項6】
前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドのスペクトル特性を決定するステップは、
前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドの合計エネルギーと第1のサブバンドのエネルギーとを決定するステップであって、前記第1のサブバンドのエネルギーは前記M個のサブバンドのもののうち最大である、決定するステップと、
前記M個のサブバンドの合計エネルギーに対する前記第1のサブバンドのエネルギーの比を前記M個のサブバンドのスペクトル特性として決定するステップと、
を有する、請求項2乃至5何れか一項記載の方法。
【請求項7】
前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行するステップは、
前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドの合計エネルギーと前記第1のサブバンドのエネルギーとを決定するステップであって、前記第1のサブバンドのエネルギーは前記M個のサブバンドのもののうち最大である、決定するステップと、
前記M個のサブバンドの合計エネルギーと前記第1のサブバンドのエネルギーとに従って修正ファクタを決定するステップと、
前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、前記修正ファクタを利用することによって前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行するステップと、
を有する、請求項1乃至何れか一項記載の方法。
【請求項8】
前記M個のサブバンドにおける各サブバンドの修正されたエンベロープ値は、同一のサブバンドの元のエンベロープ値より大きい、請求項1乃至何れか一項記載の方法。
【請求項9】
信号処理装置であって、
N個のサブバンドからM個のサブバンドを選択するよう構成される選択ユニットであって、前記N個のサブバンドは信号の現在フレームのスペクトル係数を分割することによって取得され、前記M個のサブバンドの周波数帯は前記M個のサブバンドを除く前記N個のサブバンドにおけるK個のサブバンドの周波数帯より低く、Nは1より大きな正の整数であり、M及びKは共に正の整数であり、MとKとの和はNである、選択ユニットと、
前記M個のサブバンドのエネルギー特性及びスペクトル特性に従って、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することを決定するよう構成される決定ユニットと
前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行するよう構成される修正ユニットと、
前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及び前記K個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って、前記N個のサブバンドに対して第1のビット割当てを実行するよう構成される割当てユニットと、
を有する装置。
【請求項10】
前記決定ユニットは
前記N個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドのエネルギー特性を決定し、前記M個のサブバンドのエネルギー特性は前記信号の現在フレームのスペクトルエネルギーのものであって、前記M個のサブバンドに対する集中度を示し、
前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドのスペクトル特性を決定し、前記M個のサブバンドのスペクトル特性は前記M個のサブバンドのスペクトル変動度を示し、
前記M個のサブバンドのエネルギー特性が第1の範囲内に属し、前記M個のサブバンドのスペクトル特性が第2の範囲内に属するとき、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して前記修正処理を実行することを決定する、
よう構成される、請求項記載の装置。
【請求項11】
前記第1の範囲は、[1/6,2/3]である、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記第2の範囲は、
【数12】
である、請求項10又は11記載の装置。
【請求項13】
前記決定ユニットは
前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドの合計エネルギーを決定し、
前記K個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記K個のサブバンドの合計エネルギーを決定し、
前記K個のサブバンドの合計エネルギーに対する前記M個のサブバンドの合計エネルギーの比を前記M個のサブバンドのエネルギー特性として決定する、
よう構成される、請求項10乃至12何れか一項記載の装置。
【請求項14】
前記決定ユニットは
前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドの合計エネルギーと第1のサブバンドのエネルギーとを決定し、前記第1のサブバンドのエネルギーは前記M個のサブバンドのもののうち最大であり、
前記M個のサブバンドの合計エネルギーに対する前記第1のサブバンドのエネルギーの比を前記M個のサブバンドのスペクトル特性として決定する、
よう構成される、請求項10乃至13何れか一項記載の装置。
【請求項15】
前記修正ユニットは
前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドの合計エネルギーと前記第1のサブバンドのエネルギーとを決定し、前記第1のサブバンドのエネルギーは前記M個のサブバンドのもののうち最大であり、
前記M個のサブバンドの合計エネルギーと前記第1のサブバンドのエネルギーとに従って修正ファクタを決定し、
前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、前記修正ファクタを利用することによって前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行する、
よう構成される、請求項9乃至14何れか一項記載の装置。
【請求項16】
前記M個のサブバンドにおける各サブバンドの修正されたエンベロープ値は、同一のサブバンドの元のエンベロープ値より大きい、請求項9乃至15何れか一項記載の装置。
【請求項17】
プログラムを記録したコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムは請求項1乃至8何れか一項記載の方法をコンピュータに実行させるコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
請求項1乃至8何れか一項記載の方法をコンピュータに実行させるよう構成されるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照することによりその全体がここに援用される、“信号処理方法及び装置”という名称であって、2014年4月29日に中国専利局に出願された中国特許出願第201410177234.3号に対する優先権を主張する。
[技術分野]
【0002】
本発明は、信号処理分野に関し、具体的には、信号処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
現在の通信伝送では、音声信号又はオーディオ信号の品質に対する増大する注目が払われ、従って、信号符号化及び復号化に対する要求がますます高くなっている。既存の周波数領域符号化アルゴリズムでは、通常、ビット割当ては周波数エンベロープのサイズに従って信号の各サブバンドに対して直接実行され、それから、各サブバンドが割り当てられるビット数を利用することによって符号化される。しかしながら、実践は、これら既存の符号化アルゴリズムにおいて、低周波数帯のサブバンドは信号符号化品質に対して比較的大きな影響を有し、従って、通常、低周波数帯のサブバンドは信号符号化性能のボトルネックになることを示す。さらに、上記のビット割当て方式は、各サブバンドのビット要求、特に低周波数帯のサブバンドのものに良好に適応化できず、比較的不良な信号符号化性能を導く。対応して、信号復号化性能もまた比較的不良である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施例は、信号符号化及び復号化性能を向上可能な信号処理方法及び装置を提供する。
【0005】
第1の態様によると、信号処理方法が提供され、N個のサブバンドからM個のサブバンドを選択するステップであって、前記N個のサブバンドは信号の現在フレームのスペクトル係数を分割することによって取得され、前記M個のサブバンドの周波数帯は前記M個のサブバンドを除く前記N個のサブバンドにおけるK個のサブバンドの周波数帯より低く、Nは1より大きな正の整数であり、M及びKは共に正の整数であり、MとKとの和はNである、選択するステップと、前記M個のサブバンドの性能情報に従って、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することを決定するステップであって、前記性能情報は前記M個のサブバンドのものであるエネルギー特性及びスペクトル特性を示すのに利用される、決定するステップと、前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行するステップと、前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及び前記K個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って、前記N個のサブバンドに対して第1のビット割当てを実行するステップとを有する。
【0006】
第1の態様を参照して、第1の可能な実現方式では、前記M個のサブバンドの性能情報に従って、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することを決定するステップは、
前記N個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って第1のパラメータを決定するステップであって、前記第1のパラメータは前記信号のスペクトルエネルギーのものであって、前記M個のサブバンドに対する集中度を示す、決定するステップと、
前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って第2のパラメータを決定するステップであって、前記第2のパラメータは前記M個のサブバンドのスペクトル変動度を示す、決定するステップと、
前記第1のパラメータが第1の範囲内に属し、前記第2のパラメータが第2の範囲内に属する場合、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して前記修正処理を実行することを決定するステップと、
を有する。
【0007】
第1の態様の第1の可能な実現方式を参照して、第2の可能な実現方式では、前記N個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って第1のパラメータを決定するステップは、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドの合計エネルギーを決定するステップと、前記K個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記K個のサブバンドの合計エネルギーを決定するステップと、前記K個のサブバンドの合計エネルギーに対する前記M個のサブバンドの合計エネルギーの比を前記第1のパラメータとして決定するステップとを有する。
【0008】
第1の態様の第1の可能な実現方式又は第2の可能な実現方式を参照して、第3の可能な実現方式では、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って第2のパラメータを決定するステップは、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドの合計エネルギーと第1のサブバンドのエネルギーとを決定するステップであって、前記第1のサブバンドのエネルギーは前記M個のサブバンドのもののうち最大である、決定するステップと、前記M個のサブバンドの合計エネルギーに対する前記第1のサブバンドのエネルギーの比を前記第2のパラメータとして決定するステップとを有する。
【0009】
第1の態様又は上記の実現方式の何れか1つを参照して、第4の可能な実現方式では、前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行するステップは、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドの合計エネルギーと前記第1のサブバンドのエネルギーとを決定するステップであって、前記第1のサブバンドのエネルギーは前記M個のサブバンドのもののうち最大である、決定するステップと、前記M個のサブバンドの合計エネルギーと前記第1のサブバンドのエネルギーとに従って修正ファクタを決定するステップと、前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、前記修正ファクタを利用することによって前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行するステップとを有する。
【0010】
第1の態様又は上記実現方式の何れか1つを参照して、第5の可能な実現方式では、前記M個のサブバンドにおける各サブバンドの修正されたエンベロープ値は、同一のサブバンドの元のエンベロープ値より大きい。
【0011】
第1の態様又は上記の実現方式の何れか1つを参照して、第6の可能な実現方式では、当該方法は更に、前記第1のビット割当ての間に前記N個のサブバンドにそれぞれ割り当てられたビット数に従って、前記N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数を決定するステップであって、前記N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数は、同一のサブバンドにおける単一の情報単位を符号化するのに必要とされるビット数未満である、決定するステップと、前記N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数に従って冗長ビット合計数を決定するステップと、前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値、前記K個のサブバンドの元のエンベロープ値及び前記冗長ビット合計数に従って、前記N個のサブバンドに対して第2のビット割当てを実行するステップとを有する。
【0012】
第2の態様によると、信号処理装置が提供され、N個のサブバンドからM個のサブバンドを選択するよう構成される選択ユニットであって、前記N個のサブバンドは信号の現在フレームのスペクトル係数を分割することによって取得され、前記M個のサブバンドの周波数帯は前記M個のサブバンドを除く前記N個のサブバンドにおけるK個のサブバンドの周波数帯より低く、Nは1より大きな正の整数であり、M及びKは共に正の整数であり、MとKとの和はNである、選択ユニットと、前記M個のサブバンドの性能情報に従って、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することを決定するよう構成される決定ユニットであって、前記性能情報は前記M個のサブバンドのものであるエネルギー特性及びスペクトル特性を示すのに利用される、決定ユニットと、前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行するよう構成される修正ユニットと、前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及び前記K個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って、前記N個のサブバンドに対して第1のビット割当てを実行するよう構成される割当てユニットとを有する。
【0013】
第2の態様を参照して、第1の可能な実現方式では、前記決定ユニットは、具体的には、前記N個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って第1のパラメータを決定し、前記第1のパラメータは前記信号のスペクトルエネルギーのものであって、前記M個のサブバンドに対する集中度を示し、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って第2のパラメータを決定し、前記第2のパラメータは前記M個のサブバンドのスペクトル変動度を示し、前記第1のパラメータが第1の範囲内に属し、前記第2のパラメータが第2の範囲内に属する場合、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して前記修正処理を実行することを決定するよう構成される。
【0014】
第2の態様の第1の可能な実現方式を参照して、第2の可能な実現方式では、前記決定ユニットは、具体的には、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドの合計エネルギーを決定し、前記K個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記K個のサブバンドの合計エネルギーを決定し、前記K個のサブバンドの合計エネルギーに対する前記M個のサブバンドの合計エネルギーの比を前記第1のパラメータとして決定するよう構成される。
【0015】
第2の態様の第1の可能な実現方式又は第2の可能な実現方式を参照して、第3の可能な実現方式では、前記決定ユニットは、具体的には、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドの合計エネルギーと第1のサブバンドのエネルギーとを決定し、前記第1のサブバンドのエネルギーは前記M個のサブバンドのもののうち最大であり、前記M個のサブバンドの合計エネルギーに対する前記第1のサブバンドのエネルギーの比を前記第2のパラメータとして決定するよう構成される。
【0016】
第2の態様又は上記の実現方式の何れか1つを参照して、第4の可能な実現方式では、前記修正ユニットは、具体的には、前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って前記M個のサブバンドの合計エネルギーと前記第1のサブバンドのエネルギーとを決定し、前記第1のサブバンドのエネルギーは前記M個のサブバンドのもののうち最大であり、前記M個のサブバンドの合計エネルギーと前記第1のサブバンドのエネルギーとに従って修正ファクタを決定し、前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、前記修正ファクタを利用することによって前記M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行するよう構成される。
【0017】
第2の態様又は上記の実現方式の何れか1つを参照して、第5の可能な実現方式では、前記M個のサブバンドにおける各サブバンドの修正されたエンベロープ値は、同一のサブバンドの元のエンベロープ値より大きい。
【0018】
第2の態様又は上記の実現方式の何れか1つを参照して、第6の可能な実現方式では、前記決定ユニットは更に、前記第1のビット割当ての間に前記N個のサブバンドにそれぞれ割り当てられたビット数に従って、前記N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数を決定するよう構成され、前記N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数は、同一のサブバンドにおける単一の情報単位を符号化するのに必要とされるビット数未満であり、前記決定ユニットは更に、前記N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数に従って冗長ビット合計数を決定するよう構成され、前記割当てユニットは更に、前記M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値、前記K個のサブバンドの元のエンベロープ値及び前記冗長ビット合計数に従って、前記N個のサブバンドに対して第2のビット割当てを実行するよう構成される。
【0019】
本発明の実施例では、ビット割当てはN個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って直接的には実行されず、代わりに、低周波数帯のM個のサブバンドがN個のサブバンドから選択され、M個のサブバンドのものであるエネルギー特性及びスペクトル特性に従って、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することが決定され、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってM個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正が実行され、第1のビット割当ては、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及びK個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってN個のサブバンドに対して実行され、これにより、ビット割当ては各サブバンドのビット要求をより良好に充足し、従って、信号符号化及び復号化性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の実施例における技術的解決策をより明確に説明するため、以下は、本発明の実施例を説明するのに必要な添付図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における添付図面は本発明の単なるいくつかの実施例を示し、当業者は、創作的な努力なく、これらの添付図面から他の図面を依然として導出してもよい。
図1図1は、本発明の実施例による信号処理方法の概略的なフローチャートである。
図2図2は、本発明の実施例による信号処理方法の処理の概略的なフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施例による信号処理装置の概略的なブロック図である。
図4図4は、本発明の他の実施例による信号処理装置の概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下は、本発明の実施例における添付図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決策を明確に説明する。明らかに、説明される実施例は、本発明の実施例の全てでなく一部である。創作的な努力なく本発明の実施例に基づき当業者により取得される他の全ての実施例は、本発明の保護範囲内に属する。
【0022】
信号符号化技術及び信号復号化技術は、携帯電話、無線装置、パーソナル・データ・アシスタント(Personal Data Assistant,PDA)、携帯又はポータブルコンピュータ、グローバル・ポジショニング・システム(Global Positioning System,GPS)受信機/ナビゲーションアシスタント、カメラ、オーディオ/ビデオプレーヤ、ビデオカメラ、ビデオレコーダ及びモニタリング装置などの各種電子装置に広く適用される。通常、このような電子装置は、音声エンコーダ又はオーディオエンコーダを有し、更に音声デコーダ又はオーディオデコーダを有してもよい。音声エンコーダ又はオーディオエンコーダ及び音声デコーダ又はオーディオデコーダは、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor,DSP)チップなどのデジタル回路又はチップによって直接実現されてもよいし、又はソフトウェアコードにおける手順を実行することによってソフトウェアコードにより駆動されるプロセッサによって実現されてもよい。
【0023】
図1は、本発明の実施例による信号処理方法の概略的なフローチャートである。図1における方法は、上記の音声エンコーダ又は上記のオーディオエンコーダなどのエンコーダサイドによって実行される。図1における方法はまた、上記の音声デコーダ又は上記のオーディオデコーダなどのデコーダサイドによって実行されてもよい。
【0024】
符号化処理において、エンコーダサイドはまず、時間領域信号を周波数領域信号に変換してもよい。例えば、時間周波数変換は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform,FFT)又は修正離散コサイン変換(Modified Discrete Cosine Transform,MDCT)などのアルゴリズムを用いることによって実行されてもよい。それから、グローバルゲインが周波数領域信号のスペクトル係数に対して正規化を実行するため利用されてもよく、複数のサブバンドを取得するため、正規化されたスペクトル係数に対して分割が実行される。
【0025】
復号化処理では、デコーダサイドは、正規化されたスペクトル係数を取得するため、エンコーダサイドから受信したビットストリームを復号化してもよく、複数のサブバンドを取得するため、正規化されたスペクトル係数に対して分割が実行される。
【0026】
110.N個のサブバンドからM個のサブバンドを選択し、ここで、N個のサブバンドは信号の現在フレームのスペクトル係数を分割することによって取得され、M個のサブバンドの周波数帯はM個のサブバンドを除くN個のサブバンドにおけるK個のサブバンドの周波数帯より低く、Nは1より大きな正の整数であり、M及びKは共に正の整数であり、MとKとの和はNである。
【0027】
本発明の本実施例では、信号は音声信号であってもよいし、又はオーディオ信号であってもよい。上記のK個のサブバンドは、M個のサブバンドを除くN個のサブバンドにおける全てのサブバンドである。
【0028】
120.M個のサブバンドの性能情報に従って、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することを決定し、ここで、性能情報はM個のサブバンドのものであるエネルギー特性及びスペクトル特性を示すのに利用される。
【0029】
130.M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行する。
【0030】
140.M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及びK個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って、N個のサブバンドに対して第1のビット割当てを実行する。
【0031】
本発明の本実施例では、ビット割当てはN個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って直接的には実行されず、代わりに、低周波数帯のM個のサブバンドがN個のサブバンドから選択され、M個のサブバンドのものであるエネルギー特性及びスペクトル特性に従って、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することが決定され、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってM個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正が実行され、第1のビット割当ては、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及びK個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってN個のサブバンドに対して実行され、これにより、ビット割当ては各サブバンドのビット要求をより良好に充足し、従って、信号符号化及び復号化性能を向上させることができる。
【0032】
具体的には、既存の周波数領域符号化アルゴリズムでは、ビット割当ては、周波数エンベロープのサイズに従って直接的に信号の各サブバンドに対して実行される。この結果、割り当てられるビット数は低周波数帯のいくつかのサブバンドのビット要求を良好には充足できない。しかしながら、本発明の本実施例では、低周波数帯のM個のサブバンドがまずN個のサブバンドから選択され、M個のサブバンドのものであるエネルギー特性及びスペクトル特性に従って、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することが決定され、個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってM個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正が実行され、それから、第1のビット割当てが、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及びK個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってN個のサブバンドに対して実行される。本発明の本実施例では、ビット割当ては、N個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってN個のサブバンドに対して直接的には実行されないことがわかりうる。代わりに、M個のサブバンドのものであるエネルギー特性及びスペクトル特性が、M個のサブバンドの修正された各エンベロープ値を取得するため、修正がM個のサブバンドに対して実行される必要があることを決定するための考慮点として利用され、ビット割当てが、低周波数帯のサブバンドの修正されたエンベロープ値及び他のサブバンドの元のエンベロープ値に従って実行され、これにより、各サブバンドに対して実行され、特に低周波数帯のM個のサブバンドに対して実行されるビット割当てがより適切なものとなり、従って、信号符号化及び復号化性能を向上させることができる。
【0033】
スペクトル係数がN個のサブバンドを取得するため分割された後、各サブバンドのエンベロープが計算及び量子化されてもよい。従って、各サブバンドは量子化されたエンベロープ値を有する。元のエンベロープ値は修正されたエンベロープ値に関連し、元のエンベロープ値はサブバンドの初期的なエンベロープ値、すなわち、サブバンド分割後の計算により取得された量子化されたエンベロープ値を表すものであってもよいことが理解されるべきである。サブバンドの初期的なエンベロープ値が修正された後に取得されたエンベロープ値は、修正されたエンベロープ値として参照される。従って、本発明の本実施例では、言及された元のエンベロープ値及び修正されたエンベロープ値は共に、量子化されたエンベロープ値を表す。
【0034】
任意的には、実施例として、ステップ110において、M個のサブバンドが、サブバンドのハーモニック特性及びサブバンドのエネルギーに従ってN個のサブバンドから選択されてもよい。例えば、M個のサブバンドについて、各サブバンドのハーモニック強度は所定の強度閾値より大きくてもよく、N個のサブバンドの合計エネルギーに対するサブバンドのエネルギーの比は、所定のエネルギー閾値より大きい。上述されるように、低周波数帯のサブバンドは、通常は信号符号化性能のボトルネックである。これらのサブバンドでは、比較的強いハーモニック特性を有し、そのエネルギーが全てのサブバンドの合計エネルギーの特定の割合を説明するサブバンドが、特に符号化性能のボトルネックである。従って、M個のサブバンドがサブバンドのハーモニック特性及びサブバンドのエネルギーに従ってN個のサブバンドから選択され、M個のサブバンドの元のエンベロープ値が修正された後、M個のサブバンドに対して実行されるビット割当てはより適切なものとなり、従って、信号符号化及び復号化性能を効率的に向上させることができる。
【0035】
任意的には、他の実施例として、N個のサブバンドが周波数帯の昇順に配置されてもよい。このようにして、ステップ110において、最初のM個のサブバンドがN個のサブバンドから選択されてもよい。本実施例では、M個のサブバンドは周波数帯の昇順に選択され、これは処理を簡単化し、信号処理効率を向上させることができる。
【0036】
任意的には、他の実施例として、ステップ120において、第1のパラメータは、N個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って決定されてもよく、ここで、第1のパラメータは信号のスペクトルエネルギーのものであって、M個のサブバンドに対する集中度を示すものであってもよい。第2のパラメータは、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って決定されてもよく、ここで、第2のパラメータは、M個のサブバンドのスペクトル変動度を示す。第1のパラメータが第1の範囲内に属し、第2のパラメータが第2の範囲内に属する場合、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することが決定されてもよい。
【0037】
具体的には、M個のサブバンドのエネルギー特性は、信号のスペクトルエネルギーのものであって、M個のサブバンドに対する集中度であってもよく、M個のサブバンドのスペクトル特性は、M個のサブバンドのスペクトル変動度であってもよい。
【0038】
第1の範囲は、サブバンドのエネルギーに関連し、予め設定されてもよい。信号のスペクトルエネルギーのものであって、M個のサブバンドに対する集中度が比較的低いとき、それは、N個のサブバンドに対するM個のサブバンドの比が小さいことを示し、符号化性能が大きく影響されないことを示すものであってもよい。従って、M個のサブバンドの元のエンベロープ値を修正する必要はない。信号のスペクトルエネルギーのものであって、M個のサブバンドに対する集中度が比較的高いとき、それは、M個のサブバンドの元のエンベロープ値がまた比較的大きいことを示す。従って、M個のサブバンドに割り当てられるビット数は符号化のために十分であり、M個のサブバンドの元のエンベロープ値を修正する必要もない。第1の範囲は、実験的なシミュレーションによって予め決定されてもよい。例えば、第1の範囲は[1/6,2/3]に予め設定されてもよい。
【0039】
第2の範囲は、サブバンドのスペクトル変動度に関連し、予め設定されてもよい。M個のサブバンドのスペクトル変動度が低い場合、M個のサブバンドに割り当てられるビット数が小さくても、符号化性能は大きく影響されない。このようにして、M個のサブバンドの元のエンベロープ値を修正する必要はない。従って、第2の範囲は、サブバンドのスペクトル変動度が比較的高いことを示す。第2の範囲は、実験的なシミュレーションにより予め決定されてもよい。例えば、第2の範囲は、
【数1】
又は
【数2】
に予め設定されてもよい。通常、信号において符号化のために利用可能な帯域幅が0〜4KHzである場合、第2の範囲は、
【数3】
に予め設定されてもよく、信号において符号化のために利用可能な帯域幅が0〜8KHzである場合、第2の範囲は、
【数4】
に予め設定されてもよい。
【0040】
第1のパラメータが第1の範囲内に属し、第2のパラメータが第2の範囲内に属するとき、それは、信号のスペクトルエネルギーのものであって、M個のサブバンドに対する集中度が極端に高くなったり、極端に低くなったりせず、M個のサブバンドのスペクトル変動度が比較的高いことを意味し、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正が実行されてもよく、これにより、M個のサブバンドの第1のビット割当ての間にM個のサブバンドに割り当てられるビットは、M個のサブバンドのビット要求をより良好に充足する。例えば、M個のサブバンドにおける各サブバンドについて、修正されたエンベロープ値は元のエンベロープ値より大きい。このとき、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って第1のビット割当てを実行することと比較して、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値に従って第1のビット割当てを実行することは、M個のサブバンドに割り当てられるビット数をより大きくし、従って、M個のサブバンドの符号化性能を向上させることができる。
【0041】
本実施例では、N個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って決定される第1のパラメータ及び第2のパラメータは、各周波数帯の特性を反映しうることがわかりうる。従って、第1のパラメータが第1の範囲内に属し、第2のパラメータが第2の範囲内に属する場合、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することが決定され、これにより、ビット割当てがM個のサブバンドの修正されたエンベロープ値に従って以降に実行されるとき、M個のサブバンドに割り当てられるビット数はM個のサブバンドのビット要求をより良好に充足し、従って、信号符号化及び復号化性能を向上させることができる。
【0042】
任意的には、他の実施例として、ステップ120において、M個のサブバンドの合計エネルギーはM個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って決定されてもよい。K個のサブバンドの合計エネルギーは、K個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って決定されてもよい。K個のサブバンドの合計エネルギーに対するM個のサブバンドの合計エネルギーの比が、第1のパラメータとして決定されてもよい。
【0043】
具体的には、K個のサブバンドの合計エネルギーに対するM個のサブバンドの合計エネルギーの比が、第1のパラメータとして決定されてもよい
【0044】
例えば、第1のパラメータは、以下の式に従って計算により取得されてもよく、ここで、第1のパラメータはαにより表されてもよい。
【数5】
ただし、EPMはM個のサブバンドの合計エネルギーを表すものであってもよく、EPKはK個のサブバンドの合計エネルギーを表すものであってもよく、band_widthはi番目のサブバンドの帯域幅を表すものであってもよく、band_energyはi番目のサブバンドのエネルギーを表すものであってもよい。band_energyはi番目のサブバンドの元のエンベロープ値を表すものであってもよい。例えば、i番目のサブバンドの元のエンベロープ値band_energyは、i番目のサブバンドのスペクトル係数に従って取得されてもよい。例えば、band_energyは、以下の式に従って取得されてもよい。
【数6】
【0045】
当業者は第1のパラメータを取得するため、上記の式に従って様々な等価な修正又は変更を明らかに行うことができ、このような修正又は変更はまた本発明の本実施例の範囲内に属することが理解されるべきである。
【0046】
任意的には、他の実施例として、ステップ120において、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って、M個のサブバンドの合計エネルギーが決定されてもよく、第1のサブバンドのエネルギーが決定されてもよく、ここで、第1のサブバンドのエネルギーはM個のサブバンドのもののうち最大である。M個のサブバンドの合計エネルギーに対する第1のサブバンドのエネルギーの比が、第2のパラメータとして決定されてもよい。
【0047】
具体的には、M個のサブバンドのスペクトル変動度が、M個のサブバンドの元のエンベロープ値の変動度を利用することによって示されてもよい。例えば、第2のパラメータは、以下の式に従って計算により取得されてもよく、ここで、第2のパラメータはβによって表されてもよく、
【数7】
ただし、Ep_tmpi及びEpMの計算方式について、上記の式が参照されてもよい。
【0048】
当業者は、第2のパラメータを取得するため上記の式に従って様々な等価な修正又は変更を明らかに行うことができ、このような修正又は変更もまた本発明の本実施例の範囲内に属することが理解されるべきである。
【0049】
任意的には、他の実施例として、ステップ130において、M個のサブバンドの合計エネルギー及び第1のサブバンドのエネルギーが、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って決定されてもよく、ここで、第1のサブバンドのエネルギーはM個のサブバンドのもののうち最大である。修正ファクタは、M個のサブバンドの合計エネルギー及び第1のサブバンドのエネルギーに従って決定されてもよい。このとき、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、修正ファクタを利用することによって、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正が実行されてもよい。
【0050】
例えば、修正ファクタは以下の式に従って決定されてもよく、ここで、修正ファクタはγによって表されてもよく、
【数8】
ただし、Ep_tmpi及びEpMの計算方式について、上記の式が参照されてもよい。
【0051】
修正ファクタγに従ってM個のサブバンドにおける各サブバンドの元のエンベロープ値に対して修正が実行されてもよい。例えば、各サブバンドの元のエンベロープ値は、サブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、修正ファクタと乗算されてもよい。
【0052】
当業者は、修正ファクタを取得するため上記の式に従って様々な等価な修正又は変更を明らかに行うことができ、このような修正又は変更もまた本発明の本実施例の範囲内に属することが理解されるべきである。
【0053】
任意的には、他の実施例として、ステップ130において、M個のサブバンドにおける各サブバンドの修正されたエンベロープ値は、サブバンドの元のエンベロープ値より大きくてもよい。
【0054】
具体的には、M個のサブバンドにおける各サブバンドの修正されたエンベロープ値は、M個のサブバンドにおける各サブバンドの元のエンベロープ値に対して修正を実行することによって取得される。各サブバンドの修正されたエンベロープ値は、サブバンドの元のエンベロープ値より大きくてもよい。M個のサブバンドにおける各サブバンドの修正されたエンベロープ値がサブバンドの元のエンベロープ値より大きい場合、ステップ140において、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値に従ってビット割当てが実行される。このようにして、M個のサブバンドにおける各サブバンドに割り当てられるビット数が増加し、これにより、ビット割当ては各サブバンドのビット要求をより良好に充足し、従って、信号符号化及び復号化性能を向上させることができる。
【0055】
任意的には、他の実施例として、ステップ130において、M個のサブバンドにおける各サブバンドの修正されたエンベロープ値は、サブバンドの元のエンベロープ値未満であってもよい。
【0056】
具体的には、M個のサブバンドにおける各サブバンドの修正されたエンベロープ値がサブバンドの元のエンベロープ値未満である場合、ステップ140において、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及びK個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って、ビット割当てが実行される。このようにして、M個のサブバンドにおける各サブバンドに割り当てられるビット数は比較的小さく、従って、K個のサブバンドにそれぞれ割り当てられるビット数は増加し、これにより、ビット割当ては各サブバンドのビット要求をより良好に充足し、従って、信号符号化及び復号化性能を向上させることができる。
【0057】
任意的には、他の実施例として、ステップ130において、第1のビット割当ては、エンベロープ値の降順にN個のサブバンドに対して実行されてもよい。
【0058】
任意的には、他の実施例として、ステップ130において、修正ファクタは第2のパラメータに従って決定されてもよい。それから、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、修正ファクタを利用することによって、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正が実行されてもよい。
【0059】
具体的には、修正ファクタは第2のパラメータに従って決定されてもよい。修正ファクタに従ってM個のサブバンドにおける各サブバンドの元のエンベロープ値に対して修正が実行されてもよい。例えば、各サブバンドの元のエンベロープ値は、サブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、修正ファクタと乗算されてもよく、これにより、M個のサブバンドに割り当てられるビット数はM個のサブバンドのビット要求をより良好に充足し、従って、信号符号化及び復号化性能を向上させることができる。
【0060】
第1のビット割当てが実行された後、通常は各サブバンドに割り当てられるビットに冗長ビットがある。各サブバンドの冗長ビットは、サブバンドの1つの情報単位を符号化するのに十分でない。従って、全てのサブバンドの冗長ビット数が、冗長ビット合計数を取得するため計数されてもよく、それから、第2のビット割当てが実行される。
【0061】
任意的には、他の実施例として、ステップ140の後、N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数が、第1のビット割当ての間にN個のサブバンドにそれぞれ割り当てられるビット数に従って決定されてもよく、ここで、N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数は、同じサブバンドにおける符号化のため必要とされるビット数未満である。冗長ビット合計数は、N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数に従って決定されてもよい。それから、第2のビット割当てが、冗長ビット合計数に従ってN個のサブバンドに対して実行されてもよい。
【0062】
具体的には、合計の冗長ビットはN個のサブバンドに等しく割り当てられてもよい。このようにして、ビットの無駄を回避し、信号符号化及び復号化性能を更に向上させるため、冗長ビットが再利用されてもよい。
【0063】
上記は、第1のビット割当て及び第2のビット割当ての処理を説明している。図1における上記の方法がエンコーダサイドによって実行される場合、第2のビット割当て後、エンコーダサイドは、2回のビット割当ての処理において各サブバンドに割り当てられるビット数を利用することによって、各サブバンドのスペクトル係数を量子化し、量子化されたスペクトル係数のインデックス及び各サブバンドの元のエンベロープ値のインデックスをビットストリームに書き込み、それからビットストリームをデコーダサイドに送信してもよい。
【0064】
図1における上記の方法がデコーダサイドによって実行される場合、第2のビット割当て後、デコーダサイドは、復元された信号を取得するため、2回のビット割当ての処理において各サブバンドに割り当てられるビット数を利用することによって、量子化されたスペクトル係数を復号化してもよい。
【0065】
以下は、特定の具体例を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。これらの具体例は当業者が本発明の実施例をより良好に理解するのを助けることを単に意図するものであり、本発明の実施例の範囲を限定することを意図するものでないことが理解されるべきである。
【0066】
以下の具体例において、エンコーダサイドが説明のため具体例として利用される。
【0067】
図2は、本発明の実施例による信号処理方法の処理の概略的なフローチャートである。
【0068】
201.エンコーダサイドは、時間領域信号に対して時間周波数変換を実行する。
【0069】
202.エンコーダサイドは、周波数領域信号のスペクトル係数をN個のサブバンドに分割し、ここで、Nは1より大きい正の整数である。
【0070】
具体的には、エンコーダサイドはグローバルゲインを計算してもよく、グローバルゲインは元のスペクトル係数に対して正規化を実行するのに利用され、それから、全てのサブバンドを取得するため、正規化されたスペクトル係数に対して分割が実行される。
【0071】
203.エンコーダサイドは、計算処理及び量子化処理によって各サブバンドの元のエンベロープ値を取得する。
【0072】
204.エンコーダサイドは、N個のサブバンドからM個のサブバンドを選択し、ここで、Mは正の整数である。
【0073】
M個のサブバンドの周波数帯は、M個のサブバンドを除くN個のサブバンドにおけるK個のサブバンドの周波数帯より低く、ここで、Kは正の整数であり、KとMとの和はNである。
【0074】
205.エンコーダサイドは、M個のサブバンドの元のエンベロープ値及びK個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って第1のパラメータを決定する。
【0075】
第1のパラメータは、信号のスペクトルエネルギーのものであって、M個のサブバンドに対する集中度を示すものであってもよい。例えば、K個のサブバンドの合計エネルギーに対するM個のサブバンドの合計エネルギーの比が、第1のパラメータを示すのに利用されてもよい。第1のパラメータの計算方式について、図1の実施例における第1のパラメータの計算方式が参照されてもよく、詳細は再説明されない。
【0076】
206.エンコーダサイドは、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って第2のパラメータを決定する。
【0077】
第2のパラメータは、M個のサブバンドのスペクトル変動度を示すものであってもよい。例えば、M個のサブバンドの合計エネルギーに対する第1のサブバンドのエネルギーの比が、第2のパラメータを示すのに利用されてもよく、ここで、第1のサブバンドのエネルギーはM個のサブバンドのもののうち最大である。第2のパラメータの計算方式について、図1の実施例における第2のパラメータの計算方式が参照されてもよく、詳細は再説明されない。
【0078】
207.エンコーダサイドは、第1のパラメータが第1の範囲内に属し、第2のパラメータが第2の範囲内に属するか決定する。
【0079】
第1の範囲及び第2の範囲は予め設定されてもよい。例えば、第1の範囲は[1/6,2/3]に予め設定されてもよい。第2の範囲は、
【数9】
又は
【数10】
に予め設定されてもよい。
【0080】
208.エンコーダサイドが、ステップ207において第1のパラメータが第1の範囲内に属し、第2のパラメータが第2の範囲内に属すると決定した場合、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってM個のサブバンドの元のエンベロープ値を修正する。
【0081】
具体的には、エンコーダサイドは、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って修正ファクタを決定してもよい。修正ファクタの計算方式について、図1の実施例における処理が参照されてもよく、詳細は再説明されない。エンコーダサイドは、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、修正ファクタを利用することによって、M個のサブバンドにおける各サブバンドの元のエンベロープ値に対して修正を実行してもよい。例えば、各サブバンドの修正されたエンベロープ値は、サブバンドの元のエンベロープ値より大きくてもよい。
【0082】
209.エンコーダサイドは、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及びK個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って、N個のサブバンドに対して第1のビット割当てを実行する。
【0083】
例えば、エンコーダサイドは、エンベロープ値の降順でN個のサブバンドに対して第1のビット割当てを実行してもよい。M個のサブバンドについて、各サブバンドの修正されたエンベロープ値はサブバンドの元のエンベロープ値より大きいため、修正前の割り当てられたビット数と比較して、M個のサブバンドにおける各サブバンドに割り当てられるビット数は増加し、これにより、ビット割当ては各サブバンドのビット要求をより良好に充足し、これにより、信号符号化及び復号化性能を向上させる。
【0084】
210.エンコーダサイドは、N個のサブバンドに対して第2のビット割当てを実行する。
【0085】
具体的には、エンコーダサイドは、N個のサブバンドの冗長ビット合計数を決定するため、各サブバンドの帯域幅と第1のビット割当て後のN個のサブバンドにおける各サブバンドに割り当てられるビット数とに従って、各サブバンドの冗長ビット数を決定してもよい。それから、合計の冗長ビットは、冗長ビット合計数に従ってN個のサブバンドに等しく割り当てられる。
【0086】
211.エンコーダサイドは、N個のサブバンドにおける各サブバンドに割り当てられるビット数に従って各サブバンドのスペクトル係数を量子化する。
【0087】
212.エンコーダサイドは、ステップ211において取得された量子化されたスペクトル係数及び各サブバンドの元のエンベロープ値に従ってビットストリームを書き込む。
【0088】
具体的には、エンコーダサイドは、量子化されたスペクトル係数のインデックス、各サブバンドの元のエンベロープ値などをビットストリームに書き込んでもよい。特定の処理について、従来技術が参照されてもよく、ここでは詳細は再説明されない。
【0089】
213.エンコーダサイドが、ステップ207において第1のパラメータが第1の範囲外に属するか、又は第2のパラメータが第2の範囲外に属すると決定した場合、エンコーダサイドは、N個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってN個のサブバンドに対して第1のビット割当てを実行する。
【0090】
例えば、エンコーダサイドは、エンベロープ値の降順でN個のサブバンドに対して第1のビット割当てを実行してもよい。
【0091】
214.エンコーダサイドは、N個のサブバンドに対して第2のビット割当てを実行する。
【0092】
具体的には、エンコーダサイドは、N個のサブバンドの冗長ビット合計数を決定するため、各サブバンドの帯域幅と第1のビット割当て後のN個のサブバンドにおける各サブバンドに割り当てられたビット数とに従って、各サブバンドの冗長ビット数を決定してもよい。それから、合計の冗長ビットは、冗長ビット合計数に従ってN個のサブバンドに等しく割り当てられる。
【0093】
215.エンコーダサイドは、N個のサブバンドにおける各サブバンドに割り当てられたビット数に従って、各サブバンドのスペクトル係数を量子化する。
【0094】
216.エンコーダサイドは、ステップ215において取得された量子化されたスペクトル係数及び各サブバンドの元のエンベロープ値に従ってビットストリームを書き込む。
【0095】
具体的には、エンコーダサイドは、量子化されたスペクトル係数のインデックス、各サブバンドの元のエンベロープ値などをビットストリームに書き込んでもよい。特定の処理について、従来技術が参照されてもよく、詳細はここでは再説明されない。
【0096】
本発明の本実施例では、第1のパラメータが第1の範囲内に属し、第2のパラメータが第2の範囲内に属する場合、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って、低周波数帯のM個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正が実行され、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及びK個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って、N個のサブバンドに対して第1のビット割当てが実行され、これにより、ビット割当ては各サブバンドのビット要求をより良好に充足し、従って、信号符号化及び復号化性能を向上させることができる。
【0097】
図3は、本発明の実施例による信号処理装置の概略的なブロック図である。図3における装置300は、エンコーダサイドの装置又はデコーダサイドの装置であってもよい。図3における装置300は、選択ユニット310、決定ユニット320、修正ユニット330及び割当てユニット340を有する。
【0098】
選択ユニット310は、N個のサブバンドからM個のサブバンドを選択し、ここで、N個のサブバンドは信号の現在フレームのスペクトル係数を分割することによって取得され、M個のサブバンドの周波数帯はM個のサブバンドを除くN個のサブバンドにおけるK個のサブバンドの周波数帯より低く、Nは1より大きな正の整数であり、M及びKは共に正の整数であり、MとKとの和はNである。決定ユニット320は、M個のサブバンドの性能情報に従って、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することを決定し、ここで、性能情報はM個のサブバンドのものであるエネルギー特性及びスペクトル特性を示すのに利用される。修正ユニット330は、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行する。割当てユニット340は、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及びK個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って、N個のサブバンドに対して第1のビット割当てを実行する。
【0099】
本発明の本実施例では、ビット割当てはN個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って直接的には実行されず、代わりに、低周波数帯のM個のサブバンドがN個のサブバンドから選択され、M個のサブバンドのものであるエネルギー特性及びスペクトル特性に従って、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することが決定され、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってM個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正が実行され、第1のビット割当ては、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及びK個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってN個のサブバンドに対して実行され、これにより、ビット割当ては各サブバンドのビット要求をより良好に充足し、従って、信号符号化及び復号化性能を向上させることができる。
【0100】
任意的には、実施例として、決定ユニット320は、N個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って第1のパラメータを決定してもよく、ここで、第1のパラメータは信号のスペクトルエネルギーのものであって、M個のサブバンドに対する集中度を示す。決定ユニット320は、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って第2のパラメータを決定してもよく、ここで、第2のパラメータはM個のサブバンドのスペクトル変動度を示す。決定ユニット320は、第1のパラメータが第1の範囲内に属し、第2のパラメータが第2の範囲内に属する場合、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することを決定してもよい。
【0101】
任意的には、他の実施例として、決定ユニット320は、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってM個のサブバンドの合計エネルギーを決定し、K個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってK個のサブバンドの合計エネルギーを決定し、K個のサブバンドの合計エネルギーに対するM個のサブバンドの合計エネルギーの比を第1のパラメータとして決定してもよい。
【0102】
任意的には、他の実施例として、決定ユニット320は、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってM個のサブバンドの合計エネルギーと第1のサブバンドのエネルギーとを決定してもよく、ここで、第1のサブバンドのエネルギーはM個のサブバンドのもののうち最大である。決定ユニット320は、M個のサブバンドの合計エネルギーに対する第1のサブバンドのエネルギーの比を第2のパラメータとして決定してもよい。
【0103】
任意的には、他の実施例として、修正ユニット330は、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってM個のサブバンドの合計エネルギーと第1のサブバンドのエネルギーとを決定してもよく、ここで、第1のサブバンドのエネルギーはM個のサブバンドのもののうち最大である。修正ユニット330は、M個のサブバンドの合計エネルギーと第1のサブバンドのエネルギーとに従って修正ファクタを決定し、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、修正ファクタを利用することによってM個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行してもよい。
【0104】
任意的には、他の実施例として、M個のサブバンドにおける各サブバンドの修正されたエンベロープ値は、同一のサブバンドの元のエンベロープ値より大きくてもよい。
【0105】
任意的には、他の実施例として、決定ユニット320は更に、第1のビット割当ての間にN個のサブバンドにそれぞれ割り当てられたビット数に従って、N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数を決定してもよく、ここで、N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数は、同一のサブバンドにおける単一の情報単位を符号化するのに必要とされるビット数未満である。決定ユニット320は更に、N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数に従って冗長ビット合計数を決定してもよい。割当てユニット340は更に、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値、K個のサブバンドの元のエンベロープ値及び冗長ビット合計数に従って、N個のサブバンドに対して第2のビット割当てを実行してもよい。
【0106】
装置300の他の機能及び処理について、図1及び図2における方法の実施例の処理が参照されてもよい。繰り返しを回避するため、詳細はここでは再説明されない。
【0107】
図4は、本発明の他の実施例による信号処理装置の概略的なブロック図である。図4における装置400は、エンコーダサイドの装置又はデコーダサイドの装置であってもよい。図4における装置400は、メモリ410及びプロセッサ420を有する。
【0108】
メモリ410は、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ、プログラマブル読み出し専用メモリ、不揮発性メモリ、レジスタなどを含むものであってもよい。プロセッサ420は、中央処理ユニット(Central Processing Unit,CPU)であってもよい。
【0109】
メモリ410は、実行可能な命令を記憶するよう構成される。プロセッサ420は、メモリ410に記憶される実行可能な命令を実行し、N個のサブバンドからM個のサブバンドを選択し、ここで、N個のサブバンドは信号の現在フレームのスペクトル係数を分割することによって取得され、M個のサブバンドの周波数帯はM個のサブバンドを除くN個のサブバンドにおけるK個のサブバンドの周波数帯より低く、Nは1より大きな正の整数であり、M及びKは共に正の整数であり、MとKとの和はNであり、M個のサブバンドの性能情報に従って、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することを決定し、ここで、性能情報はM個のサブバンドのものであるエネルギー特性及びスペクトル特性を示すのに利用され、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行し、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及びK個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って、N個のサブバンドに対して第1のビット割当てを実行してもよい。
【0110】
本発明の本実施例では、ビット割当てはN個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って直接的には実行されず、代わりに、低周波数帯のM個のサブバンドがN個のサブバンドから選択され、M個のサブバンドのものであるエネルギー特性及びスペクトル特性に従って、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することが決定され、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってM個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正が実行され、第1のビット割当ては、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値及びK個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってN個のサブバンドに対して実行され、これにより、ビット割当ては各サブバンドのビット要求をより良好に充足し、従って、信号符号化及び復号化性能を向上させることができる。
【0111】
任意的には、実施例として、プロセッサ420は、N個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って第1のパラメータを決定してもよく、ここで、第1のパラメータは信号のスペクトルエネルギーのものであって、M個のサブバンドに対する集中度を示す。プロセッサ420は、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従って第2のパラメータを決定してもよく、ここで、第2のパラメータはM個のサブバンドのスペクトル変動度を示す。プロセッサ420は、第1のパラメータが第1の範囲内に属し、第2のパラメータが第2の範囲内に属する場合、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して修正処理を実行することを決定してもよい。
【0112】
任意的には、他の実施例として、プロセッサ420は、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってM個のサブバンドの合計エネルギーを決定し、K個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってK個のサブバンドの合計エネルギーを決定し、K個のサブバンドの合計エネルギーに対するM個のサブバンドの合計エネルギーの比を第1のパラメータとして決定してもよい。
【0113】
任意的には、他の実施例として、プロセッサ420は、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってM個のサブバンドの合計エネルギーと第1のサブバンドのエネルギーとを決定してもよく、ここで、第1のサブバンドのエネルギーはM個のサブバンドのもののうち最大である。プロセッサ420は、M個のサブバンドの合計エネルギーに対する第1のサブバンドのエネルギーの比を第2のパラメータとして決定してもよい。
【0114】
任意的には、他の実施例として、プロセッサ420は、M個のサブバンドの元のエンベロープ値に従ってM個のサブバンドの合計エネルギーと第1のサブバンドのエネルギーとを決定してもよく、ここで、第1のサブバンドのエネルギーはM個のサブバンドのもののうち最大である。プロセッサ420は、M個のサブバンドの合計エネルギーと第1のサブバンドのエネルギーとに従って修正ファクタを決定し、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値を取得するため、修正ファクタを利用することによってM個のサブバンドの元のエンベロープ値に対して個別に修正を実行してもよい。
【0115】
任意的には、他の実施例として、M個のサブバンドにおける各サブバンドの修正されたエンベロープ値は、同一のサブバンドの元のエンベロープ値より大きくてもよい。
【0116】
任意的には、他の実施例として、プロセッサ420は更に、第1のビット割当ての間にN個のサブバンドにそれぞれ割り当てられたビット数に従って、N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数を決定してもよく、ここで、N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数は、同一のサブバンドにおける単一の情報単位を符号化するのに必要とされるビット数未満である。プロセッサ420は更に、N個のサブバンドにおける各サブバンドの冗長ビット数に従って冗長ビット合計数を決定してもよい。プロセッサ420は更に、M個のサブバンドの修正されたエンベロープ値、K個のサブバンドの元のエンベロープ値及び冗長ビット合計数に従って、N個のサブバンドに対して第2のビット割当てを実行してもよい。
【0117】
装置400の他の機能及び処理について、図1及び図2における方法の実施例の処理が参照されてもよい。繰り返しを回避するため、詳細はここでは再説明されない。
【0118】
当業者は、本明細書に開示された実施例において説明される具体例に関して、ユニット及びアルゴリズムステップが電子ハードウェア又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよいことを認識しうる。機能がハードウェア又はソフトウェアによって実行されるか否かは、技術的解決策の特定の適用及び設計制約条件に依存する。当業者は、異なる方法を利用して特定の各適用について説明された機能を実現してもよいが、実現形態は本発明の範囲を超えているとみなされるべきでない。
【0119】
便利で簡潔な説明の目的のため、上記のシステム、装置及びユニットの詳細な動作処理について、上記の方法の実施例における対応する処理が参照されてもよく、詳細はここでは再説明されないことが、当業者により明確に理解されうる。
【0120】
本出願において提供される複数の実施例において、開示されるシステム、装置及び方法は他の方式で実現されてもよいことが理解されるべきである。例えば、説明される装置の実施例は単なる例示的なものである。例えば、ユニットの分割は、単なる論理的機能の分割であり、実際の実現形態では他の分割であってもよい。例えば、複数のユニット又はコンポーネントが他のシステムに組み合わせ又は統合されてもよいし、又はいくつかの特徴は無視されるか、又は実行されなくてもよい。さらに、表示又は説明される相互結合若しくは直接的な結合又は通信接続は、いくつかのインタフェースを用いることによって実現されてもよい。装置又はユニットの間の間接的な結合又は通信接続は、電子、機械又は他の形式により実現されてもよい。
【0121】
別々のパーツとして説明されるユニットは物理的に別々であってもよいし、又はそうでなくてもよく、ユニットとして表示されるパーツは物理的ユニットであってもよいし、又はそうでなくてもよく、1つの位置に配置されてもよいし、又は複数のネットワークユニット上に分散されてもよい。ユニットの一部又は全ては、実施例の解決策の課題を実現するため実際の要求に従って選択されてもよい。
【0122】
さらに、本発明の実施例における機能ユニットは1つの処理ユニットに統合されてもよいし、又はユニットのそれぞれは物理的に単独で存在してもよいし、又は2つ以上のユニットが1つのユニットに統合される。
【0123】
当該機能はソフトウェア機能ユニットの形態で実現され、独立した製品として販売又は使用されるとき、当該機能はコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づき、従来技術に実質的又は部分的に貢献する本発明の技術的解決策又は技術的解決策の一部は、ソフトウェア製品の形態で実現されてもよい。コンピュータソフトウェア製品は記憶媒体に記憶され、本発明の実施例において説明される方法のステップの全て又は一部を実行するようコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ、ネットワーク装置などであってもよい)に指示するための複数の命令を有する。上記の記憶媒体は、USB、フラッシュドライブ、着脱可能なハードディスク、読み出し専用メモリ(ROM,Read−Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM,Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスクなど、プログラムエンコードを記憶可能な何れかの媒体を含む。
【0124】
上記説明は、本発明の単なる特定の実現方式であり、本発明の保護範囲を限定することを意図するものでない。本発明において開示される技術的範囲内で当業者により容易に想到される何れの変形又は置換も本発明の保護範囲内に属する。従って、本発明の保護範囲は請求項の保護範囲に従属する。
図1
図2
図3
図4