【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1にて提案されている「脱毛装置」は、「手持操作により毛髪を容易に引き抜くことができる美容用の脱毛装置を提供する」ことを目的としてなされたもので、
図5の(a)に示すように、「先端部が開口部4に臨むように挟持金具15を保持した前後動可能なホルダー16と、後退移動により挟持金具15に毛髪を挟持させるスライダー17と」を備え、これらを覆う部材や駆動する部材等を多く備える必要のあるものである。一方、特許文献2にて提案されている「脱毛器」は、
図5の(b)に示すように、「ピンセット要素12を有する脱毛器10に係り、少なくとも前記ピンセット要素12の表面は、少なくとも30%の充填材料を有して強化される基本材料を有して少なくとも部分的に作られる。該充填材料を有して強化される基本材料は、モース硬度において少なくとも3である硬度を有する」ものとして構成されるものである。
【0006】
これらの特許文献1及び2にて提案されている「ピンセット型」の脱毛器は、ピンセットの先端部で無駄毛を掴み取って、器具全体を移動させることにより、無駄毛を抜き取ることができると考えられるが、ピンセットの先端部での無駄毛の掴み取りがよく見えないこともあって、局所的な無駄毛抜きができないだけでなく、器具全体が大きいことから、耳穴や鼻孔内に差し込めず、これらの中の無駄毛を抜くことはできないと考えられる。
【0007】
特許文献3及び4にて提案されている「スプリング型」の脱毛器も、
図6の(a)または(b)に示すように、圧縮したスプリングで無駄毛を掴み取って、器具全体を移動させて無駄毛を抜き取ることができると考えられるが、スプリングでの無駄毛掴みがよく見えないこともあって、局所的な無駄毛抜きができないだけでなく、器具全体が大きいことから、耳穴や鼻孔内に差し込めず、これらの中の無駄毛を抜くことはできないと考えられる。
【0008】
勿論、特許文献1または2にて提案されている「ピンセット型」の脱毛器も、特許文献3または4にて提案されている「スプリング型」の脱毛器も、ピンセット部分やスプリング部分を駆動するための部材を必要としていることから、全体的に複雑なものとなっている。
【0009】
そこで、本発明者等は、「ピンセット」と「コイルスプリング」の長所を十分生かすことができて、構造を非常に簡単にしながら、局所的な無駄毛抜きが確実に行える無駄毛抜きとするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0010】
すなわち、本発明の目的とするところは、「ピンセット」により「コイルスプリング」を圧縮したとき、無駄毛の両側を2つの平面によってしっかりと掴むことができ、しかも、この掴みを無駄毛の根元で行うことができて、局所的な無駄毛抜きが、「ピンセット」と「コイルスプリング」の長所を十分生かしながら確実に行える無駄毛抜きを、簡単な構造によって提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題を解決するために、本発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「互いに対向する一対のピンセット腕11を指で挟むことにより、これらのピンセット腕11の先端部12を閉じるピンセット本体10と、各ピンセット腕11の先端部12間に取り付けられて、各先端部12が閉じられたとき圧縮されるコイルスプリング20とからなるピンセット型の無駄毛抜き100であって、
コイルスプリング20を構成している各コイル部分21について、その圧縮方向の両側面に前記圧縮方向に直交する第1平面22を形成するとともに、その外側面に第1平面22に直交する第2平面23を形成して、コイルスプリング20が圧縮されたとき、各コイル部分21の各第1平面22を互いに密着させるとともに、各第2平面23全体が連続した当接面を形成するように
し、
さらに、各ピンセット腕11の外端部12にバネ留め溝13を形成して、このバネ留め溝13内に、コイルスプリング20の両外端に位置するコイル部分21を係止させたことを特徴とするピンセット型の無駄毛抜き100」
である。
【0012】
すなわち、本発明に係る無駄毛抜き100は、
図1に示すように、一般的なピンセット形状のピンセット本体10を構成している一対のピンセット腕11の外端部12間に、圧縮スプリングであるコイルスプリング20を取り付けたものであり、各ピンセット腕11を指先で挟むことにより、先端のコイルスプリング20を圧縮する手動利器である。また、この無駄毛抜き100で採用しているコイルスプリング20の、非圧縮状態での圧縮方向(
図1の(a)では、図示上下方向)の長さは、その他の部分での最大となっており、しかも鼻孔や耳穴内に挿入できる程度としてある。つまり、この無駄毛抜き100のコイルスプリング20は、
図1に示す状態でそのまま鼻孔や耳穴内に挿入できるものである。
【0013】
また、この無駄毛抜き100を構成しているコイルスプリング20の各コイル部分21については、
図2〜
図4に示すように、その圧縮方向の両側面に前記圧縮方向に直交する第1平面22を形成するとともに、その外側面に第1平面22に直交する第2平面23を形成して、コイルスプリング20が圧縮されたとき、各コイル部分21の各第1平面22を互いに密着させるとともに、各第2平面23全体が連続した当接面を形成するようにしてある。
【0014】
そして、各ピンセット腕11の外端部12には、図1の(b)に示すように、バネ留め溝13が形成してあり、このバネ留め溝13内には、後述するコイルスプリング20の両外端に位置するコイル部分21が係止され、この係止部分では必要に応じて溶接等の手段によって両者の固定がなされる。なお、この係止部分やその溶接部分では、人の皮膚に傷を付ける可能性のある突起(後述するコイルスプリング20の切断端部)やバリ(溶接した場合)が残ることがあるが、これらは研磨等の手段によって除去される。
【0015】
さて、この無駄毛抜き100におけるコイルスプリング20は、ピンセット本体10のピンセット腕11が開かれた状態にあるときには、
図2、及び
図4の(a)に示すように、その各コイル部分21の間に均等な幅の隙間が形成されており、これらの隙間は、他の部分に遮られること無く、十分目視できるものとなっている。ここで、除去対象である無駄毛が脛の表面にある場合や鼻孔内にある場合には、当該コイルスプリング20を目視あるいは鏡に映しながら無駄毛に向かわせれば、無駄毛は各コイル部分21間の隙間内に容易に入り込む。
【0016】
一方、無駄毛が耳穴内にある場合は、これを使用者本人が目視したり鏡に映したりすることができず、各コイル部分21間の隙間の目視もできない。しかしながら、コイルスプリング20は、
図1に示す状態でそのまま耳穴内に挿入できるし、各コイル部分21の間には均等な幅の隙間が多数形成してあるから、例えば当該コイルスプリング20を回しながら挿入することによって、無駄毛を各コイル部分21間の隙間内に入り込ませることができるし、これを敏感な耳穴は感じることもできる。
【0017】
無駄毛が各コイル部分21間の隙間内に入り込めば、互いに対向している一対のピンセット腕11を指で挟むことにより先端部12を閉じると、例えば
図4の(b)に示すように、無駄毛を両側のコイル部分21が掴むことになる。
【0018】
ここで重要なことは、各コイル部分21について、その圧縮方向の両側面に前記圧縮方向に直交する第1平面22が形成されていることと、各コイル部分21の外側面に第1平面22に直交する第2平面23が形成してあることである。これにより、コイルスプリング20が圧縮されたときには、まず、
図4の(b)に示すように、無駄毛の両側になっている各コイル部分21の各第1平面22が互いに密着し合うため、無駄毛の両側は各第1平面22によってしっかりと掴まれることになる。
【0019】
そして、コイルスプリング20が閉じられたときには、各コイル部分21の第2平面23全体が、
図4の(b)に示すように、連続した当接面を形成しているから、圧縮されたコイルスプリング20は、無駄毛の生えている皮膚表面にピッタリと当接することになる。これにより、各第1平面22によって掴まれた無駄毛は、その生え際まで各コイル部分21の第1平面22によって固定されていることになるのである。
【0020】
以上の通り、除去したい無駄毛の両側は、その生え際から各第1平面22によってしっかりと掴まれることになり、当該無駄毛抜き100全体をそのまま動かせば、当該無駄毛が、途中で切れることなく、皮膚から抜き取られることになるのである。
【0021】
従って、本発明に係る無駄毛抜き100によれば、「ピンセット」と「コイルスプリング」とからなる簡単な構造となっており、しかも耳穴や鼻孔内の無駄毛抜きができる程度の小さな手動利器となっているから、脛のような広い皮膚上の無駄毛は勿論、耳穴や鼻孔内のような局所的な箇所に生えている無駄毛であっても抜くことができるのである。
【発明の効果】
【0022】
以上説明した通り、本発明においては、
「互いに対向する一対のピンセット腕11を指で挟むことにより、これらのピンセット腕11の先端部12を閉じるピンセット本体10と、各ピンセット腕11の先端部12間に取り付けられて、各先端部12が閉じられたとき圧縮されるコイルスプリング20とからなるピンセット型の無駄毛抜き100であって、
コイルスプリング20を構成している各コイル部分21について、その圧縮方向の両側面に前記圧縮方向に直交する第1平面22を形成するとともに、その外側面に第1平面22に直交する第2平面23を形成して、コイルスプリング20が圧縮されたとき、各コイル部分21の各第1平面22を互いに密着させるとともに、各第2平面23全体が連続した当接面を形成するように
し、
さらに、各ピンセット腕11の外端部12にバネ留め溝13を形成して、このバネ留め溝13内に、コイルスプリング20の両外端に位置するコイル部分21を係止させたこと」
にその構成上の特徴があり、これにより、「ピンセット」と「コイルスプリング」の長所を十分生かすことができて、局所的な無駄毛抜きが確実に行える無駄毛抜き100を、簡単な構造によって提供することができるのである。
【0023】
すなわち、本発明の無駄毛抜き100によれば、「ピンセット」により「コイルスプリング」を圧縮したとき、無駄毛の両側を2つの第1平面22・22によってしっかりと掴むことができ、しかも、この掴みを第2平面23の存在によって無駄毛の根元で行うことができて、局所的な無駄毛抜きが、「ピンセット」と「コイルスプリング」の長所を十分生かしながら確実に行えるのである。