(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に多孔質セラミック構造体の実施の形態例を
図1A〜
図8Bを参照しながら説明する。なお、本明細書において、数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0019】
本実施の形態に係る多孔質セラミック構造体10は、例えば
図1A及び
図1Bに示すように、一主面12aと、該一主面12aと対向する他主面12bと、複数の側面(例えば4つの側面14a〜14d)とを有する立体状である。この多孔質セラミック構造体10の形状は、少なくとも上面から見た平面形状が、基材(すなわち、
図4A等に示すように、バルク体22が貼着される対象物24)への設置部分の平面形状に沿った形状となっている。
図1Aでは、説明を簡単にするために、便宜的に直方体状としている。
【0020】
そして、この多孔質セラミック構造体10は、一主面12aから他主面12bに向かって少なくとも1つの切れ込み16が形成されている。切れ込み16は、
図1Aに示すように、1つの方向(例えばx方向)に沿った切れ込み16を1つ、あるいはそれ以上形成してもよいし、1つの方向とは別の方向(例えば1つの方向と直交する方向:y方向)に沿った切れ込み16を1つあるいはそれ以上形成してもよい。
【0021】
図1Bに示すように、切れ込み16は、例えば切れ込み16aのように、一方の側面(例えば側面14aや側面14c)から、該一方の側面に対向する他方の側面(例えば側面14bや側面14d)にかけて直線状に延在させて形成してもよいし、例えば切れ込み16b等のように、途中まで延在させて形成してもよい。また、切れ込み16は、
図1Cに示すように、切れ込み16aや16b等のように、側面(例えば側面14aあるいは側面14c)に沿って例えばx方向あるいはy方向に沿って形成してもよいし、切れ込み16cや16dのように、側面(例えば側面14bや側面14d)に対して斜め方向に形成してもよい。
【0022】
また、多孔質セラミック構造体10は、
図1Bに示すように、切れ込み16で区画された部分(以下、区画部分18と記す)のアスペクト比が3以上であることが好ましい。さらに好ましくは5以上であり、より好ましくは7以上であり、特に好ましくは15以上である。
【0023】
ここで、アスペクト比は最大長La/最小長Lbをいう。最大長Laは、
図1Bに示すように、区画部分18を構成する複数の面のうち、最も広い面(ここでは、一主面12aに属する面)における最大長をいう。広い面が正方形、長方形、台形、平行四辺形、多角形(五角形、六角形等)であれば、最も長い対角線の長さが該当し、円形であれば直径が該当し、楕円であれば、長軸の長さが該当する。一方、最小長Lbとは、
図1Aに示すように、区画部分18の厚みのうち、最も薄い部分の厚み、すなわち、多孔質セラミック構造体10の厚みtaをいう。
【0024】
厚みtaは、500μm以下が好ましく、さらに好ましくは50〜500μmであり、より好ましくは55〜400μmであり、特に好ましくは60〜300μmである。
【0025】
図2に示すように、切れ込み16の端面20は傾斜していてもよい。端面20の傾斜角θは、全ての切れ込み16について同じであってもよいし、異なっていてもよい。ここで、傾斜角θとは、一主面12aの法線方向に対する傾斜角をいう。なお、切れ込み16の断面形状は矩形状であっても構わない。
【0026】
また、
図2に示すように、切れ込み16の深さhaと多孔質セラミック構造体10の厚みtaとの関係は、
1/10≦ha/ta≦9/10
であることが好ましい。
1/10≦ha/ta≦7/10
がさらに好ましく、
1/10≦ha/ta≦1/2
がより好ましい。
【0027】
なお、4つの側面14a〜14dの各稜線部分に湾曲面(R面)を形成してもよいし、形成しなくてもよい。
【0028】
ここで、多孔質とは、緻密でも中空でもない状態をいい、複数の気孔又は粒子で構成された状態をいう。なお、緻密とは、複数の微粒子が隙間なく結合した状態であって、気孔を有しない。中空とは、内部が中空であって、外殻部分が緻密である状態をいう。
【0029】
多孔質セラミック構造体10の気孔率は20〜99%である。気孔とは、閉気孔、開気孔の少なくとも1つのことであり、両方を含んでもよい。また、気孔の形状、すなわち、開口の面形状としては、正方形、四角形、三角形、六角形、円形等、不定形のいずれの形状であってもよい。平均気孔径は500nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは10〜500nmである。この寸法は、熱伝導の主因である格子振動(フォノン)の発生を阻害するのに有効である。
【0030】
多孔質セラミック構造体10は、微粒子が三次元に繋がった構造を有する。微粒子の粒径は1nm〜5μmであることが好ましい。さらに好ましくは50nm〜1μmである。このような範囲の粒径の微粒子で構成された多孔質セラミック構造体10は、熱伝導の主因である格子振動(フォノン)の発生が阻害されるため、低熱伝導率を図る上で有効となる。微粒子とは、一つの結晶粒からなる粒子(単結晶粒子)であってもよいし、多数の結晶粒からなる粒子(多結晶粒子)であってもよい。つまり、多孔質セラミック構造体10がこの範囲の粒径の微粒子の集まりであることが好ましい。なお、微粒子の粒径は、多孔質セラミック構造体10の骨格を構成する粒子群のうちの1つの微粒子の大きさ(球状であれば直径、そうでなければ最大径)を、電子顕微鏡観察の画像から計測したものである。
【0031】
多孔質セラミック構造体10の熱伝導率は1W/mK以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.7W/mK以下であり、より好ましくは0.5W/mK以下、特に好ましくは0.3W/mK以下である。
【0032】
多孔質セラミック構造体10の構成材料としては、金属酸化物を含むことが好ましく、金属酸化物のみからなることがさらに好ましい。金属酸化物を含むと、金属の非酸化物(例えば、炭化物や窒化物)に比べて金属と酸素の間のイオン結合性が強いために熱伝導率が低くなりやすいためである。
【0033】
金属酸化物がZr、Y、Al、Si、Ti、Nb、Sr、La、Hf、Ce、Gd、Sm、Mn、Yb、Er、及びTaからなる群から選ばれる1の元素の酸化物あるいは2以上の元素の複合酸化物であることが好ましい。金属酸化物がこれらの元素の酸化物、複合酸化物であると、格子振動(フォノン)による熱伝導が起こりにくくなるためである。
【0034】
具体的な材料としては、ZrO
2−Y
2O
3にGd
2O
3、Yb
2O
3、Er
2O
3等を添加したものが挙げられる。さらに具体的には、ZrO
2−HfO
2−Y
2O
3、ZrO
2−Y
2O
3−La
2O
3、ZrO
2−HfO
2−Y
2O
3−La
2O
3、HfO
2−Y
2O
3、CeO
2−Y
2O
3、Gd
2Zr
2O
7、Sm
2Zr
2O
7、LaMnAl
11O
19、YTa
3O
9、Y
0.7La
0.3Ta
3O
9、Y
1.08Ta
2.76Zr
0.24O
9、Y
2Ti
2O
7、LaTa
3O
9、Yb
2Si
2O
7、Y
2Si
2O
7、Ti
3O
5等が挙げられる。
【0035】
ここで、多孔質セラミック構造体10の製造方法について、
図3A及び
図3Bを参照しながら説明する。
【0036】
先ず、
図3AのステップS1において、上述した多孔質セラミック構造体10の構成材料の粉末に、造孔材、バインダー、可塑剤、溶剤を加えて混合し、成形用スラリーを調製する。
【0037】
その後、ステップS2において、スラリーに、真空脱泡処理を施すことにより、粘度を調整した後、例えばドクターブレード装置によって、焼成後の厚さが最小長Lbとなるように成形体(グリーンシート)を作製する。
【0038】
その後、ステップS3において、成形体(グリーンシート)を焼成してシート状の焼結体を得る。
【0039】
そして、ステップS4において、焼結体をレーザーで加工することで、複数の切れ込み16を有する多孔質セラミック構造体10を得る。このレーザー加工においては、焼結体に対してレーザー光をその厚み方向途中まで到達させることで行われる。
【0040】
その他の製造方法としては、例えば
図3Bに示すように、ステップS101及びS102において、
図3AのステップS1及びS2と同様に、成形用スラリーを調製した後、焼成後の厚さが最小長Lbとなるように成形体(グリーンシート)を作製する。
【0041】
その後、ステップS103において、成形体(グリーンシート)をレーザーで加工することで、複数の凹凸を有する成形体(グリーンシート)を作製する。
【0042】
その後、ステップS104において、複数の凹凸を有する成形体を焼成することで、複数の切れ込み16を有する多孔質セラミック構造体10を得る。
【0043】
次に、多孔質セラミック構造体10を用いて1つのバルク体22を構成する方法について
図4A〜
図4Cを参照しながら説明する。
【0044】
先ず、
図4Aに示すように、対象物24上に接着剤26を塗布する。
図4Bに示すように、例えば1つの面に多孔質セラミック構造体10を貼り付けたシート28を使って、対象物24の接着剤26上に多孔質セラミック構造体10を転写する。シート28は、粘着力があるシートもしくはフィルムであり、熱、電気等の外的要因で剥離することが可能なものが好ましい。もちろん、多孔質セラミック構造体10を治具にて把持できる程度にサイズが大きければ、シート28を使用せずに直接治具を使用して接着剤26上に載置してもよい。
【0045】
図4Cに示すように、シート28を加熱して、シート28を剥がすことで、対象物24上に多孔質セラミック構造体10と接着剤26によるバルク体22が設置されることになる。
【0046】
さらに、
図5Aに示すように、多孔質セラミック構造体10上に、接着剤26を塗布してバルク体22を構成してもよい。この場合、多孔質セラミック構造体10の外表面が接着剤26で覆われるため強度的に強固になるが、
図4Cの例よりも熱伝導率が高くなるおそれがある。
【0047】
また、
図5Bに示すように、
図5Aの状態から上層の接着剤26上に、さらに多孔質セラミック構造体10を転写して、バルク体22を構成してもよい。すなわち、2層の多孔質セラミック構造体10と接着剤26によるバルク体22が構成される。また、
図5Cに示すように、
図5Bの状態から上層の多孔質セラミック構造体10上に、接着剤26を塗布してバルク体22を構成してもよい。
【0048】
もちろん、
図4Cの状態を起点として、複数の多孔質セラミック構造体10上への接着剤26の塗布→接着剤26上への多孔質セラミック構造体10の転写を繰り返して、3層以上の多孔質セラミック構造体10と接着剤26によるバルク体22を構成してもよい。あるいは、
図5Aの状態を起点として、接着剤26上への多孔質セラミック構造体10の転写→多孔質セラミック構造体10上への接着剤26の塗布を繰り返して、3層以上の多孔質セラミック構造体10と接着剤26によるバルク体22を構成してもよい。
【0049】
また、
図6Aに示すように、接着剤26上に多孔質セラミック構造体10を転写したときに、多孔質セラミック構造体10の一部又は全部の区画部分18が分離して、それぞれ区画片30となってもよい。この場合、
図6Bに示すように、対象物24の表面が不定形(反り等)であったり、曲面状等であっても、対象物24の表面に沿って、複数の区画片30を設置することができる。
【0050】
また、
図7Aに示すように、多孔質セラミック構造体10の他主面12bに緻密層32を配置してもよい。この場合、
図7Bに示すように、多孔質セラミック構造体10の一部又は全部の区画部分18が分離して、それぞれ区画片30となった場合であっても、区画片30と一緒に分離した緻密層32によって区画片30の強度を確保することが可能となる。もちろん、緻密層32を多孔質セラミック構造体10の他主面12bのほか、他主面12bと対向する一主面12a(対象物24側の主面)に配置してもよい。また、多孔質セラミック構造体10の一主面12aと他主面12bの両方に緻密層32を配置してもよい。多孔質セラミック構造体10の一主面12aに緻密層32を配置すると、接着剤26が多孔質セラミック構造体10や区画片30に染み込むのを抑制することができ、しかも、多孔質セラミック構造体10や区画片30の強度を高くすることができる。多孔質セラミック構造体10への緻密層32の配置は、別体の緻密層32を多孔質セラミック構造体10に配置してもよいし、多孔質セラミック構造体10自体に変質層(緻密層)を形成してもよい。
【0051】
従来は、
図8Aに示すように、スラリー34に添加する粒子36が小さいため、スラリー34に粒子36を均一に分散させることが困難である。そのため、
図8Bに示すように、スラリー34を焼成、固化してバルク体22としたとき、接着剤26中に複数の粒子36が均一に分散しないことから、粒子36よりも熱伝導率が高い接着剤26のみの領域38が多く存在することになり、バルク体22の低熱伝導率化が不十分となる。
【0052】
これに対して、本実施の形態では、例えば
図5Aにも示すように、複数の切れ込み16にて区画された部分、すなわち、複数の区画部分18が接合された形態となっているため、接着剤26中に、複数の区画部分18を均一に分散配置することができる。しかも、多孔質セラミック構造体10よりも熱伝導率が高い接着剤26のみの領域が狭くなることから、バルク体22の熱伝導率を低く抑えることができる。しかも、バルク体22間での熱導電率の均一化も図ることができ、バルク体22を配置する箇所に応じてバルク体22を変更する必要がなく、配置工程の簡略化、工数の削減化を図ることができる。
【0053】
特に、上記の方法では、対象物24上に接着剤26を介して多孔質セラミック構造体10を設置したので、対象物24上に複数の区画部分18あるいは複数の区画片30を均一に並べることができる。しかも、対象物24の一部の領域にバルク体22を設置したり、複雑な形状に沿ってバルク体22を設置することも容易になり、設計の自由度を向上させることができる。また、1つの面に多孔質セラミック構造体10を貼り付けたシート28を使用するようにしたので、複数の切れ込み16が形成された多孔質セラミック構造体10のハンドリングが容易になり、しかも、接着剤26上に、多孔質セラミック構造体10を設置する作業も簡単になる。これは、製造工程の簡略化を図る上で有利である。
【0054】
シート28の粘着力(JIS Z0237)は1.0N/10mm以上、引張伸度(JIS K7127)は0.5%以上、厚みは5mm以下であることが好ましい。これにより、以下の効果を奏することができる。
(a) 粘着力が高いほど多孔質セラミック構造体10を強固に固定することができる。
(b) 引張伸度が高いほど曲面に追従させることができる。
(c) 厚みが薄いほど曲面に追従させやすい。
【0055】
シート28の粘着力は、より詳しくは、以下の通りである。すなわち、多孔質セラミック構造体10の保持時の粘着力は1.0N/10mm以上、多孔質セラミック構造体10の剥離時の粘着力は0.1N/10mm以下である。
【0056】
シート28の粘着力の評価方法は、粘着テープの粘着力の評価方法と同じであり、ステンレス板にシート28を貼り付け、シート28を180°又は90°に引っ張り、シート28がステンレス板から剥がれるときの力を粘着力とする。
【0057】
また、シート28は基材(支持体)に接着剤が塗布されて構成されている。この場合、基材の種類としては、以下のように選択することが好ましい。
【0058】
すなわち、平面形状の対象物24上に多孔質セラミック構造体10を転写する場合は、基材としてフィルム、金属箔、紙等を用いることが好ましい。シート28の基材が硬めなので、平面形状の対象物24に対してシート28を皺なく成膜することが可能となる。
【0059】
曲面(凸面、凹面、凹凸面)形状の対象物24上に多孔質セラミック構造体10を転写する場合は、基材として布、ゴムシート、発泡体等を用いることが好ましい。シート28の基材が柔らかく伸縮性があるので、シート28を曲面形状に追従して成膜することが可能となる。
【0060】
また、このシート28は、熱や水、溶剤、光(紫外光)、マイクロ波を作用させることで、粘着力が弱くなり、容易に剥がすことが可能である。このとき、シート28の粘着力は、対象物24と多孔質セラミック構造体10間に用いた接着剤26よりも弱いことが好ましい。
【0061】
また、切れ込み16が形成されていることで、例えば
図5Aに示すように、対象物24の表面にバルク体22を設置したとき、対象物24の表面が不定形(反り等)であったり、曲面状等であった場合でも、バルク体22を対象物24の表面に沿って設置することができる。
【0062】
切れ込み16の深さhaが浅すぎる場合は、多孔質セラミック構造体10が複数の区画片30に分離しにくくなるため、対象物24の表面が不定形であったり、曲面状等であった場合、対象物24の表面に対するバルク体22の密着性が低下し、剥離し易くなるという問題が生じるおそれがある。
【0063】
反対に、切れ込み16の深さhaが深すぎる場合は、多孔質セラミック構造体10が分離し易くなるため、多孔質セラミック構造体10のハンドリング(運搬等)が困難になり、シート28を使用しての対象物24の表面への転写が困難になるおそれがある。これは、工程の複雑化、生産性の低下につながるおそれがある。
【0064】
従って、切れ込み16の深さhaと多孔質セラミック構造体10の厚みtaとの関係は、上述したように、1/10≦ha/ta≦9/10であることが好ましく、さらに好ましくは1/10≦ha/ta≦7/10であり、より好ましくは1/10≦ha/ta≦1/2である。
【実施例】
【0065】
実施例1〜4に係る多孔質セラミック構造体10、並びに比較例1及び2に係る多孔質セラミック構造体10を使用してそれぞれバルク体22を構成した場合の各バルク体22の対象物24に対する密着性及び各バルク体22の熱伝導率を確認した。
【0066】
(実施例1)
多孔質セラミック構造体10として、気孔率が60%、最小長が50μm、アスペクト比が10、切れ込み16の深さhaと多孔質セラミック構造体10の厚みtaとの関係がha/ta=1/2である多孔質セラミック構造体を使用し、上述した製造方法に準じて実施例1に係るバルク体22を作製した。すなわち、先ず、多孔質セラミック構造体10が1つの面に貼り付けられたシート28を使用した。そして、対象物24に接着剤26(熱伝導率2W/mK)を塗布した後、上記シート28を使って、対象物24の接着剤26上に多孔質セラミック構造体10を転写し、熱をかけることでシート28を剥がした。その上から接着剤26を塗布した後、接着剤26を固化して、対象物24の表面にバルク体22を設置した。
【0067】
<多孔質セラミック構造体の作製>
実施例1において、気孔率測定用の多孔質セラミック構造体とバルク体用の多孔質セラミック構造体を以下のようにして作製した。これは、後述する実施例2〜4並びに比較例1及び2についても同様である。
【0068】
先ず、イットリア部分安定化ジルコニア粉末に、造孔材(ラテックス粒子あるいはメラミン樹脂粒子)、バインダーとしてのポリビニルブチラール樹脂(PVB)、可塑剤としてのDOP(フタル酸ジオクチル)、溶剤としてのキシレン及び1−ブタノールを加え、ボールミルにて30時間混合し、グリーンシート成形用スラリーを調製した。このスラリーに、真空脱泡処理を施すことにより、粘度を4000cpsに調整した後、ドクターブレード装置によって焼成後の厚さが最小長となるように成形体(グリーンシート)を作製した。その後、この成形体を1100℃、1時間にて焼成して焼結体とし、この焼結体にレーザー加工で切れ込みを入れることで、多孔質セラミック構造体10を得た。
【0069】
(実施例2)
多孔質セラミック構造体10として、気孔率が60%、最小長が100μm、アスペクト比が5、ha/ta=1/2である多孔質セラミック構造体を使用した点以外は、実施例1と同様にして実施例2に係るバルク体22を作製した。
【0070】
(実施例3)
多孔質セラミック構造体10として、気孔率が75%、最小長が80μm、アスペクト比が7、ha/ta=1/7である多孔質セラミック構造体を使用した点以外は、実施例1と同様にして実施例3に係るバルク体22を作製した。
【0071】
(実施例4)
多孔質セラミック構造体10として、気孔率が30%、最小長が100μm、アスペクト比が5、ha/ta=1/2である多孔質セラミック構造体を使用した点以外は、実施例1と同様にして実施例4に係るバルク体22を作製した。
【0072】
(比較例1)
多孔質セラミック構造体10として、気孔率が10%、最小長が50μm、アスペクト比が10、ha/ta=1/2である多孔質セラミック構造体を使用した点以外は、実施例1と同様にして比較例1に係るバルク体22を作製した。
【0073】
(比較例2)
多孔質セラミック構造体10として、気孔率が60%、最小長が50μm、アスペクト比が10、ha/ta=1/20である多孔質セラミック構造体を使用した点以外は、実施例1と同様にして比較例2に係るバルク体22を作製した。
【0074】
<気孔率の計測>
先ず、気孔率測定用の多孔質セラミック構造体10を複数の区画片30に分離した。複数の区画片30から無作為に10個の区画片30を選んで樹脂に埋込み、電子顕微鏡にて区画片30を観察することができる観察箇所まで研磨して、樹脂埋め研磨面とした。そして、この樹脂埋め研磨面に対して電子顕微鏡観察(画像解析)を行った。画像解析より、10個の区画片30の各気孔率を算出し、10個分の区画片30の平均値を多孔質セラミック構造体10の気孔率とした。
【0075】
<平均気孔径の計測>
多孔質セラミック構造体10の平均気孔径を、株式会社島津製作所の自動ポロシメータ(商品名「オートポア9200」)を使用して計測した。
【0076】
<バルク体の熱伝導率測定方法及び評価基準>
先ず、水銀ポロシメータでバルク体22の密度を測定した。次に、DSC(Differential Scanning Calorimeter)法でバルク体22の比熱を測定した。次に、レーザーフラッシュ法でバルク体22の熱拡散率を測定した。その後、熱拡散率×比熱×密度=熱伝導率の関係式から、バルク体22の熱伝導率を算出し、以下の評価基準に基づいて、実施例1〜4、比較例1及び2を評価した。
A:0.9W/mK以下
B:1.0W/mK以上1.4W/mK以下
C:1.5W/mK以上
【0077】
<密着性>
テープ剥離試験を行うことで、バルク体22の対象物24への密着性を評価した。バルク体22が対象物24から一部でも剥離した場合を×、バルク体22が剥離しなかった場合を○と評価した。×の評価であった場合は、バルク体22の熱伝導率の測定を行わなかった。
【0078】
<評価結果>
実施例1〜4、比較例1及び2の内訳及び評価結果を下記表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
表1からわかるように、比較例2は、テープ剥離試験でバルク体22が剥離した。これは、切れ込み16の深さhaが浅すぎたため、バルク体22が対象物24の表面形状に追従できず、密着性が低下したからと考えられる。従って、この比較例2については、バルク体22の熱伝導率の測定及び評価を行わなかった。
【0081】
比較例1は、熱伝導率が1.8W/mKと高かった。これは、比較例1に係るバルク体22は、接着剤26のみの領域が多く存在したことから、熱伝導率が高くなったものと考えられる。
【0082】
一方、実施例1〜4のうち、実施例4以外は、バルク体22の熱伝導率が0.9W/mK以下で、評価がAであった。実施例4についても、評価はBではあるが、熱伝導率が1.0W/mKであり、限りなくAに近い評価であった。
【0083】
実施例1〜4は、比較例1及び2と比して、接着剤26に複数の区画部分18あるいは複数の区画片30が均一に分散し、熱伝導率が高い接着剤26のみの領域が狭くなったため、バルク体22の熱伝導率を低く抑えることができたものと考えられる。
【0084】
なお、本発明に係る多孔質セラミック構造体は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。