(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のスチレンテロマー分布
本発明によってとりわけ提供されるのは、陰イオン連鎖移動スチレン反応においてスチレンはタキソゲン(重合性試薬)であり、また、トルエンはテロマー化するテロゲン(連鎖移動剤)であるテロマー分布を含むいくつかの組成物である。そのような4種の組成物は以下のとおりである:
i) 式:
【化2】
[式中、各C
6H
5はフェニル基であり、また、前記式の各分子について、nは約1.5〜約5.5の範囲の平均数である。ただし、1,3−ジフェニルプロパン、すなわちnが0である上記式の化合物が、25GPC面積%以下の量、前記分布中に場合によって存在する。]のトルエンスチレンテロマーの分布を含み、かつ、前記分布は、約430〜約1000の範囲のM
w、約350〜約770の範囲のM
n、約550〜約1700の範囲のM
z、約1.2〜約1.65の範囲の多分散性、約160〜約500の範囲の標準偏差、かつ約1.3〜約3.2の範囲の非対称性を有することをさらなる特徴とする組成物が提供される。
ii)式:
【化3】
[式中、各C
6H
5はフェニル基であり、前記式の各分子について、nは約2.6〜約5.5の範囲の平均数である。ただし、1,3−ジフェニルプロパン、すなわちnが0である上記式の化合物が、5GPC面積%以下の量、前記分布中に場合によって存在し、またさらに、前記分布が、場合によって、0.1重量%以下の量のトルエンをさらに含む。」のトルエンスチレンテロマーの分布を含み、かつ、前記分布は、約630〜約1060の範囲のM
w、約460〜約770の範囲のM
n、約770〜約1700の範囲のM
z、約1.2〜約1.65の範囲の多分散性、約250〜約520の範囲の標準偏差および約1.3〜約2.9の範囲の非対称性を有することをさらなる特徴とする組成物が提供される。
iii) 式:
【化4】
[式中、各C
6H
5はフェニル基であり、前記式の各分子について、nは約2.8〜約5.5の範囲の平均数である。ただし、1,3−ジフェニルプロパン、すなわちnが0である上記式の化合物は、5GPC面積%以下の量、前記分布中に場合によって存在し、さらにまた、前記分布が、場合によって、0.1重量%以下の量のトルエンをさらに含む。]のトルエンスチレンテロマーの分布を含み、かつ、前記分布は、約645〜約1100の範囲のM
w、約490〜約770の範囲のM
n、約780〜約1760の範囲のM
z、約1.2〜約1.65の範囲の多分散性、約250〜約530の範囲の標準偏差および約1.3〜約2.8の範囲の非対称性を有することをさらなる特徴とする組成物が提供される。
iv)式:
【化5】
[式中、各C
6H
5はフェニル基であり、前記式の各分子について、nは約2.9〜約3.9の範囲の平均数である。ただし、1,3−ジフェニルプロパン、すなわちnが0である上記式の化合物が、1GPC面積%以下の量、前記分布中に場合によって存在し、さらにまた、前記分布が、場合によって、0.1重量%以下の量のトルエンをさらに含む。]のトルエンスチレンテロマーの分布を含み、かつ、前記分布は、約650〜約750の範囲のM
w、約500〜約600の範囲のM
n、約830〜約1120の範囲のM
z、約1.2〜約1.35の範囲の多分散性を有することをさらなる特徴とする組成物が提供される。望ましくは、この段落に記載する組成物の分布は、約690〜約730の範囲のM
w、約520〜約560の範囲のM
n、約910〜約960の範囲のM
z、約1.25〜約1.32の範囲の多分散性を有することをさらなる特徴とする。
【0029】
本発明の特に好ましい実施形態は、下記数式(1)の両方によって合理的に記述する(モデル化する)ことができるTSTDを与えるACTSRである。数式(1)はワイブル確率密度関数(PDF)として知られている。数式(1)はχ
iの離散値について求められる。そのような典型的なワイブル分布は
図4によって表される。ワイブルPDFのそのような計算は、統計関数の内蔵集合体内にワイブルPDFを含む最新の表計算ソフトプログラムの使用によって都合よくなされる。数式(2)はテロマー成分鎖χ
iについて規格化した重量分率X
iを与える。数式(2)および(3)から、モル分率n
iは、χ
i=1から少なくともχ
i=(M
w+6σ)/104までの範囲のχ
iにわたって算定される。n
iおよびM
i(ポリマー成分鎖χ
iの分子量)から、M
n、M
wおよびM
zの値は、上記表2に提示されたパラメーターの数式に従ってワイブル分布から算定される。モデルの
「適合度」、すなわち、正確さは、PDI、標準偏差(σ
n)、歪み
nU
3および非対称性(
nα
3)に対して生じる値を、実験的に求めた値(GPC分析結果)から生じる値と比較して評価する。
【数3】
および
【数4】
および
【数5】
【0030】
本発明者らは、もし本発明のプロセス条件の下に製造されればそのようなTSTDは、ポリマーの臭素化難燃剤分布の形成に対して特有に適切であることを見出した。さらなる加工なしで形成されると、γが約0.9〜約1.8の範囲にあり、αが約3.5〜約9.5の範囲にあるワイブルトルエンスチレンテロマー分布は、臭素化に適切なTSTDの形成に、またポリマー難燃剤の製造に特に有用である。そのようなTSTDは、約350〜約700の範囲のM
n、約550〜約1000の範囲のM
w、780〜約1700の範囲のM
z、約1.2〜約1.9の範囲のPDI、約160〜約500の範囲のσ
nおよび1.3〜約3.2の範囲の
nα
3を有する。ポリマー臭素化難燃剤を形成するための好ましいTSTDは、約425〜約600の範囲のM
n、約580〜約960の範囲のM
w、760〜約1430の範囲のM
zを有し、かつ、約1.3〜約1.6の範囲のPDI、約260〜約390の範囲のσ
nおよび1.6〜約2.1の範囲の
nα
3を有する。ポリマー臭素化難燃剤を形成するためのより好ましいTSTDは、約430〜約550の範囲のM
n、約600〜約820の範囲のM
w、790〜約1140の範囲のM
zを有し、および、約1.3〜約1.5の範囲のPDI、約250〜約475の範囲のσ
nおよび1.6〜約1.9の範囲の
nα
3を有する。
【0031】
本発明の特に好ましい実施形態は、比較的低い1,3−ジフェニルプロパン含量率を有するトルエンスチレンテロマー分布TSTDを与えるACTSR組成物である。そのようなTSTDは、合理的に下記数式(4)の両方によって記述する(モデル化する)ことができる。ワイブル分布に関する上記の議論と同様に、下記数式(4)はベータ確率密度関数として知られている。下記数式(4)は、ポリマー成分鎖χ
iの離散値について評価することができる。しかしながら、ワイブルPDFと同様に、最新の表計算ソフトプログラムの関数として一般に提供される下記の累積ベータ分布式(5)を使用するほうが都合がよい。そのような典型的なベータ分布は
図5によって表される。ベータ確率密度関数については、値が既に規格化されているので、f(χ
i)=X
iである。モル分率n
iは、上記数式(3)によってχ
i=1から少なくともχ
i=(M
w+6σ)/104の範囲χ
iまでにわたって算定される。また、前と同様に、M
n、M
wおよびM
zの値は、n
iおよびM
iの両方から、しかしここではX
iおよびX
i-1の離散値で評価された累積ベータ確率密度関数の差から、下記数式(6)に従って算定される。モデルの「適合度」すなわち、正確さは、PDI、標準偏差(α
n)、歪み
nU
3および非対称性(
nα
3)について生じる値を、実験的に求めた(GPC分析結果の)値から生じる値と比較して評価する。
【数6】
【数7】
t=0〜t=χ
iから評価される
【数8】
【0032】
もし金属アルコキシド助触媒が導入される本発明のプロセス条件の下に製造されれば、そのようなTSTDは、そのような組成物は、驚いたことに、高温用途で使用されるポリマー臭素化難燃剤分布の形成に極めて適切であることを本発明者らは見出した。そのような物質は、300℃で20分間時効した場合、熱色度安定性が著しく増加しより高いTGA5%重量減少値を有する臭素化難燃剤分布を与える傾向がある。さらに、316ステンレス鋼反応器内で調製された場合、これらの物質は製品品質の低下を受けにくい。これらのトルエンスチレンテロマー分布は、αが約1〜約2.6の範囲にあり、かつβが約15〜約32の範囲にある場合、ベータPDFに適合する。ただしαおよびβはベータPDFの特徴であるスケーリングおよび成形パラメーターである。そのようなTSTDは、約370〜約770の範囲のM
n、約550〜約1000の範囲のM
w、790〜約1500の範囲のM
zを有し、かつ、約1.2〜約1.65の範囲のPDI、約260〜約500の範囲のσ
nおよび1.3〜約2.2の範囲の
nα
3を有する。
【0033】
本発明の好ましいTSTD分布に関する非対称性値は、相当に重要である。これは、最低分子量成分鎖分率χ
i、1,3−ジフェニルプロパン(ここで、i=1)の形成を低減したいという要望の結果である。TSTD中に有意量の1,3−ジフェニルプロパンが存在すると、それから由来する、臭素化ポリマー難燃剤分布の性能は低下する。したがって、1,3−ジフェニルプロパンは、臭素化に先立って、通常蒸留によって、塗布フィルム蒸発器(WFE)を使用して分布から、場合によって、(および好ましくは)除去される。1,3−ジフェニルプロパンはそれ自体に価値を含むが、その形成は収率の損失を表し、プロセス効率を低下させる。したがって、TSTD反応混合物中の1,3−ジフェニルプロパンの形成を低下させ、同時にTSTDのM
wを増加させないことが望ましい。概して言えば、1,3−ジフェニルプロパンの形成を低減すると、一定のM
wでより高いM
nをもたらし、したがって、一般にM
zの低減を必要とする。難燃剤HIPS組成物に組み込まれたら優れたメルトフローおよび衝撃特性を与える臭素化ポリマー難燃剤分布を形成する恩恵を提供するためには、一定のM
wでM
zを低減した分布を製造することが重要であると考えられる。また、20を超える(i>20)スチレン繰り返し単位を有するより長い成分鎖χ
iの臭素化は、それほど効率的でなく、したがってそれほど簡潔でないと考えられる。したがって、生成分布中のそのようなより高分子量成分の重量分率合計を最小限に抑えることが望ましく(例えば、その合計は通常、約1.0重量%未満〜約4重量%未満の最大重量%合計である。)、これはM
z、歪みおよび非対称性の全体的な低減に反映される。非常に低い非対称性値を有するTSTDを実際に成形し形成する能力は、本発明のプロセス技術の主な利点および特色である。
【0034】
ワイブル分布は、本発明のほとんどのプロセス条件の下で、粗反応混合物に対して結果として生じる。ワイブル分布は、それが確率変数xの、唯一の確率事象で起こる母集団密度の分布であるということを特徴とする。本発明のワイブル分布にとって、ランダムva
irableは、離散的なテロマー成分鎖χ
iであり、また、確率事象は連鎖移動剤トルエンからの連鎖移動である。したがって、χ
iの確率密度分布はX
i(χ
iの重量分率)で、確率P
tr t、iによって決定される。デッドテロマー成分鎖χ
iを形成する、トルエンからリビングテロマー成分鎖χ
iへの連鎖移動は、P
tr t,1の確率で起こる。本発明のワイブル分布に対してP
tr tiはすべてのχ
iに対してequallでなく、iに依存する。すなわち、P
tr t,i≠P
tr t,2≠P
tr t,3≠・・・P
tr t,i(iはテロマー成分鎖χ
iを含むスチレン環の数である)。
【0035】
本発明の限られた数のプロセス条件においては、ベータ分布が形成される。ベータ分布は、金属アルコキシドなどの助触媒の存在を伴う、本発明のプロセス条件に起因する。xの母集団が、第1の確率事象によって確立された母集団で実行された第2の確率事象によって決定される場合、ベータ分布は、それが確率変数xの確率密度であることを特徴とする。本発明のワイブル分布と同様に、第1の確率事象は連鎖移動剤トルエンからの連鎖移動である。連鎖移動剤トルエンからの連鎖移動の確率は、P
tr t、iとして表示され、P
tr t,i≠P
tr t,2≠P
tr t、3≠・・・P
tr t、iである(iは鎖χ
iを含むスチレン環の数である)。本発明のベータ分布について、第2の確率事象は再生確率P
riであり、デッドテロマー成分鎖χ
iの再生する傾向に関係する。テロマー鎖成分χ
iの再生はトルエンを含む連鎖移動の逆反応である。本発明のこの種のベータトルエンスチレンテロマー分布の形状および非対称性は、P
r1>>>>P
r2>>P
r3>・・・・P
niであることを示すであろう。当業者であれば、この傾向が、より小さいサイズの成分鎖の、サイズ、立体相互作用(鎖のからみ合い)および拡散速度に基づいて、容易に合理的解釈を与えられることを認識するだろう。
【0036】
金属アルコキシド助触媒を使用して形成されたベータ分布の驚くべき1つの特質は、316ステンレス鋼反応器などの金属反応器内で形成された場合、そのような金属反応器内で助触媒なしで形成されたワイブル分布と比較して、臭素化されたとき、これらの分布は、300℃で熱色度安定性の低下を示さないことである。316ステンレス鋼反応器内で形成された、類似の臭素化分布と比較して、臭素化されたとき、グラスライニング製反応器内で形成されたワイブル分布は、300℃で著しくより優れた熱色度安定性を示す。助触媒が存在しない状態で形成されたワイブル分布の場合には、反応が316ステンレス鋼反応器内で行われたとき、300℃での熱的安定性の低下は、表面化学現象であるように思われる。この性能低下は、容量を著しくスケールアップ(例えば2ガロンから2000ガロンまで)することで改善することができる。
【0037】
ワイブルおよびベータ以外の分布を形成することができるようにプロセス条件およびプロセスオプションを修正することができることを本発明者らは見逃してはいない。そのようなオペレーションは対数正規分布などの乗法(multipicative)確率を有する他の分布をもたらすことができる。ワイブルPDFおよびベータPDFによって最も正確にモデル化した分布を与えるものを使用して、最も緊密にモデル化した分布を与えるプロセス間の連続したプロセスオプションが存在する。さらにまた、トルエンに加えて第2、第3、さらには第4の連鎖移動剤さえ使用することができることを本発明者らは見逃してはいない。そのような連鎖移動剤は、エチルおよび他のn−アルキルベンゼンならびにキシレンの様々な異性体および他のポリメチル化ベンゼンを含む。メチルベンゼン以外のアルキルベンゼンの使用は、アルキル芳香族スチレンテロマー骨格中に第四級炭素原子を形成する傾向があるため、いくつかのプロセス条件下では好ましくない。そのような構造上の特徴は臭素化プロセスの間に脱アルキル化する傾向があり、臭素化ポリマー組成物中に高レベルの望ましくない不純物をもたらす。
【0038】
したがって、本発明のさらに別の態様は、約0.1〜約99.9重量%の範囲のi)、ii)、iii)またはiv)の組成物、および分子中に約1〜約4個の範囲の芳香環(
縮合していても、縮合していなくてもよく、または縮合および非縮合の組合せでもよい)を有する1つ以上の芳香族炭化水素化合物から形成される1つ以上のスチレン系テロマー分布を約99.9〜約0.1重量%の範囲で含む組成物を提供することである。なお、上記の化合物は(a)化合物が分子中に1〜約4個の芳香環を有する場合、環上の置換基は1分子当たり2個以上のメチル基からなる、または(b)化合物が分子中に2〜約4個の芳香環を有する場合、化合物の環上の唯一の置換基は1個のメチル基であることをさらなる特徴とする。タイプ(a)の芳香族炭化水素化合物の限定されない例は、1つ以上のキシレン異性体、トリメチルベンゼンの異性体(例えばメシチレン、1,2,4−ベンゼンなど)、テトラメチルベンゼンの異性体(例えばジュレン、1,2,3,4−ベンゼンなど)を含む。タイプ(b)の芳香族炭化水素化合物の限定されない例は、1つ以上つ以上の縮合polycylic芳香族炭化水素(例えば1−もしくは2−メチルナフタレンまたは両者の混合物)、および1つ以上の非縮合polycylic芳香族炭化水素(例えばモノメチルビフェニルの1つ以上の異性体)ポリメチル化ビフェニル(例えばジメチルビフェニルの異性体、モノメチルビフェニルとジメチルビフェニルの1つ以上の異性体との混合物)の1つ以上の異性体および/またはトリメチルビフェニルなどの1つ以上の異性体を含む。
【0039】
本発明のスチレンテロマー分布を形成する本発明の方法
本発明によってまたとりわけ提供されるのは、上記の組成物を製造する方法であって、I)トルエン、アルキルリチウム、ならびに、場合によって、IAまたはIIA族助触媒およびTMEDAを含む成分から形成される撹拌した反応混合物中へ、(i)時間当たりのスチレンのモル数とトルエンのモル数の率が約0.3〜約1.5の範囲、かつ(ii)時間当たりのスチレンのモル数とアルキルリチウムのモル数が約40〜約110の範囲の率で;スチレン:トルエンのモル比が約0.75〜約4の範囲で、スチレン:アルキルリチウムのモル比が約150〜約350の範囲で、かつTMEDA:アルキルリチウムのモル比が約2.2〜約8の範囲で;10フィート/秒を超える供給速さで小オリフィスを通してスチレンを供給すること、および反応混合物中で実質的に均質の濃度プロファイルを少なくとも維持するのに十分に撹拌して、約70℃〜約95℃の範囲に反応混合物の温度を維持すること;
II)(I)において形成された触媒種を破壊するために反応混合物をクエンチすることA)クエンチし
た反応混合物を水洗浄して、クエンチの結果形成された金属含有成分を除去し、
または水洗浄して少なくとも1つの相を分断して水相を除去し、反応混合物からTMEDAおよび未反応トルエンを分離し回収し、それによって水も反応混合物から除去し、また、結果として得られる生成混合物中のトルエン含有率が0.1重量%未満であり生成混合物中の1,3−ジフェニルプロパンの含有率が25重量%未満となるように、分離を継続すること;または
B)無水トルエンおよびTMEDAをストリップし、それによって反応混合物から乾燥TMEDAおよび未反応トルエンを分離し回収し、ストリップしたのと少なくとも等量のトルエンを添加し戻し、次いで洗浄水を添加し、少なくとも1つの相を分断して水相を除去し、(a)洗浄に用いたトルエンを分離し回収し、それによって水も反応混合物から除去し、また、結果として得られる生成混合物中のトルエン含有率が0.1重量%未満であり生成混合物中の1,3−ジフェニルプロパンの含有率が25重量%未満となるように、分離を継続することを含む方法である。
【0040】
本発明によってまたとりわけ提供されるのは、上記の組成物を製造する方法であって、I)トルエン、アルキルリチウムおよびTMEDAを含む成分から形成される撹拌した反応混合物中へ、(i)時間当たりのスチレンのモル数とトルエンのモル数が約0.3〜約1.5の範囲、かつ(ii)時間当たりのスチレンのモル数とアルキルリチウムのモル数が約40〜約110の範囲の率で;スチレン:トルエンのモル比が約0.75〜約4の範囲で、スチレン:アルキルリチウムのモル比が約150〜約350の範囲で、かつTME
DA:アルキルリチウムのモル比が約2.2〜約8の範囲で;スチレンを供給すること、および反応混合物中で実質的に均質の濃度プロファイルを少なくとも維持するのに十分に撹拌して、約70℃〜約90℃の範囲に反応混合物の温度を維持すること;
II)約80℃未満の温度で(i)水がクエンチ溶媒であれば少なくとも1つの相を分断する、また、(ii)水以外のクエンチ溶媒が使用される場合、洗浄水を添加して相を分断する、プロトン性溶媒を用いて、反応混合物をクエンチすること;および
III)反応混合物から乾燥TMEDAおよび未反応トルエンを分離し回収し、それによって水も反応混合物から除去し、また、結果として得られる生成混合物中のトルエン含有率が0.1重量%未満、かつ、生成混合物中の1,3−ジフェニルプロパンの含有率が25重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満となるように、分離を継続することを含む方法である。
【0041】
本発明の臭素化スチレンポリマー
本発明が、とりわけ、なおさらに提供するのは、
【化6】
[式中、
●nは、約2.6〜約5.5の範囲の平均数であり;
●各xは同一または異なり、かつ、主として2〜5(xが0または1である場合、環が非常に小さい分率で存在すると考えられる)の範囲の整数であり;
●組成物中にxのすべての平均数が約3.00〜約3.80の範囲にあり;
●約90℃〜約140℃の範囲のガラス転移温度
●XRFによって求められるポリマー中の臭素の重量パーセントが、約71〜約75の範囲であり;
●臭素化ポリマー分布のM
n、M
wおよびM
zの値が、標準偏差がσ
n≒250/(1−重量%Br)〜σ
n≒約530/(l−重量%Br)の範囲、非対称性(
nα
3)が約1.3〜約4.5の範囲、望ましくは約1.3〜約3.2の範囲となるようにする。]の臭素化芳香族ポリマーを含む、臭素化難燃剤組成物である。
【0042】
本発明が、とりわけ、なおさらに提供するのは、式:
【化7】
[式中、nは約2.9〜約3.9の範囲の平均数であり;各xは同一または異なり、3〜5の範囲の整数であり;組成物中にxのすべての平均数が約3.50〜約3.80の範囲にあり;かつXRFによって求められるポリマー中の臭素の重量パーセントが、約73.4〜約74.5の範囲である。]の臭素化芳香族ポリマーを含む、臭素化難燃剤組成物である。
【0043】
好ましい臭素化難燃剤組成物は、以下の卓越した特徴の1つまたは複数を含むものである:
●350℃を超える温度で起こる5%のTGA重量減少、
●50ppm〜約200ppmまでの検出限界未満の300℃での熱HBr値、
●約100ppm〜約900ppmの範囲の320℃での熱HBr値、
●約1〜約6.5の範囲のASTM D1925黄色度指数、
●ハンター溶液色度値試験の0〜約4の範囲のΔE値、
および
●約90℃〜約140℃の範囲のガラス転移温度。
【0044】
さらに、本発明の好ましい臭素化難燃化組成物は、不活性雰囲気下で250℃で15分間、約15未満の、かつ300℃で20分間、25未満の、熱的時効の前および後のハンター溶液色度値試験ΔEによって求められる、増強された熱色度安定性に特色がある。
【0045】
より好ましい臭素化難燃剤組成物は、以下の卓越した特徴の1つまたは複数を含むものである:
●360℃を超える温度で起こる5%のTGA重量減少、
●50ppm〜約200ppmまでの検出限界未満の300℃での熱HBr値、
●約100ppm〜約900ppmの範囲の320℃での熱HBr値、
●約1〜約3.5の範囲のASTM D1925黄色度指数、
●ハンター溶液色度値試験において0〜約2の範囲のΔE値、および
●約115℃〜約130℃の範囲のガラス転移温度。
【0046】
さらに、本発明のより望ましい臭素化難燃化組成物は、不活性雰囲気下で250℃で15分間、約10未満の、かつ300℃で20分間、15未満の、熱的時効の前および後のハンター溶液色度値試験ΔEによって求められる、増強された熱色度安定性に特色がある。
【0047】
本発明のスチレンテロマー分布を形成する本発明の方法
式(I)は、もう一度便宜上ここに提示するが、陰イオン連鎖移動で生成する新規のトルエンスチレンテロマー分布、すなわち本発明のTSTDの組成物を表し、
【化8】
[式中、1,3−ジフェニルプロパン、すなわちnが0である上記式の化合物が、25GPC面積%未満の量(好ましくは、5GPC面積%以下、さらにより好ましくは1GPC面積%以下)、前記分布中に場合によって存在することを条件として、nは約1.5〜約5.5(好ましくは2.6〜約5.5、より好ましくは約2.8〜5.5、さらにより好ましくは約2.9〜約3.9)の範囲の平均数である。]、前記分布は、約430〜約1000(好ましくは約630〜約1060、より好ましくは約645〜約1100、およびさらにより好ましくは約650〜約750)の範囲のM
w、約350〜約770(好ましくは約460〜約770、より好ましくは約490〜約770、さらにより好ましくは約500〜約600)の範囲のM
n、約550〜約1700(好ましくは約770〜約1700、より好ましくは約780〜約1760、さらにより好ましくは約830〜約1120)の範囲のM
z、約1.2〜約1.65(好ましくは約1.25〜約1.32)の範囲の多分散性、約160〜約500(好ましくは約250〜約520、より好ましくは約250〜約530)の範囲の標準偏差、また約1.3〜約3.2(好ましくは約1.3〜約2.9、より好ましくは約1.3〜約2.8)の範囲の非対称性を有することをさらなる特徴とする。これらは本発明の未臭素化組成物である。本発明のTSTDの立体規則性に関して、式(I)が、立体配置を限定するかさもなければ規定することを意図していないことをもう一度留意すべきである。例えば、式はこの種のテロマーの、主としてアイソタクチックのポリスチレン、主としてシンジオタクチックのポリスチレン、または主としてアタクチックのポリスチレンなどのタクティシティーを、決して限定するものではない。
【0048】
また、特許請求の範囲を含め本明細書のどこに使用されても、用語「臭素化スチレンポリマー分布」(単数であろうと複数であろうとも)が、本発明の未臭素化トルエンスチレンテロマーより高い分子量を有するので、本発明の臭素化トルエンスチレンテロマー分布を指すということは、理解され認識されるべきである。
【0049】
本発明のスチレンテロマー分布を調製する本発明の好ましい方法において、トルエン、アルキルリチウム、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、および場合によって、IA族(例えばNa、K、Csおよびこれらの合金)または、IIA族(例えばMg)助触媒(いくつかの公知のIAおよびIIA族の化合物が触媒を形成するのに使用することができる。例えば米国特許第3,742,077号参照)を含む成分から形成される、撹拌した反応混合物に(i)時間当たりのスチレンのモル数とトルエンのモル数が約0.3〜約1.5の範囲、かつ(ii)時間当たりのスチレンのモル数とアルキルリチウムのモル数が約40〜約110の範囲の率でスチレンは供給される。スチレンとトルエンのモル比は約0.75〜約4の範囲であり、スチレンとアルキルリチウムのモル比は約150〜約350の範囲であり、かつTMEDAとアルキルリチウムのモル比は、約2.2〜約8の範囲である。反応混合物の温度は、約70℃〜約90℃の範囲で(約95℃以上への短時間の上昇は製品品質の著しい損失がなく許容することができるが推奨されない)、好ましくは約78℃〜約81℃の範囲で維持し、反応混合物中で実質的に均質の濃度プロファイルを少なくとも維持するのに十分に撹拌する。反応が完了したら、示したように、例えば一定の熱流束でプロセス温度を迅速に下げることによって、反応混合物を通常約80℃未満の温度でクエンチする。クエンチはプロトン性溶媒を用いて実施し、(i)水がクエンチ溶媒であれば少なくとも1つの相を分断して有機および水相を分離し、また、(ii)水以外のクエンチ溶媒が使用される場合洗浄水を添加してクエンチ溶媒を抽出して有機相と水相を形成し、次いで、相分断によって分離する。TMEDAおよび未反応トルエンは反応混合物から分離し回収する。それによって最後の微量の水も、反応混合物から共沸で除去される。結果として得られる生成混合物のトルエン含有率が0.1重量%未満で、かつ、生成混合物中の1,3−ジフェニルプロパンの含有率が1重量%未満になるまで、この分離操作を継続する。好ましくは、TMEDAトルエン混合物は、モレキュラシーブに通すこと、または乾燥窒素流の下で還流することを含む従来の手段、または好ましくはトルエンからTMEDAを除去しない他の方法によって乾燥した後、回収し反応に再循環する。もしその方法がTMEDAを除去する場合、トルエンだけでなくTMEDAをも回収し再循環するのが、プロセス経済学の見地から望ましい。クエンチ作業およびその後の洗浄において、脱酸素水の使用は、トルエンスチレンテロマー分布中の着色体の形成を抑えるので、特に望ましい。商業生産装置が定常的な製造に達するとそのような着色体の量が連続的に増加するので、そのような着色体の形成は、非常に望ましくない。工業的プラント設備は、バッチ、セミバッチまたは上記のような均衡のとれた供給を使用する連続モードのいずれかで運転することができる。
【0050】
本発明のTSTDを調製する方法の特色は、反応混合物中の試薬が一様に分散する程度である。したがって、反応混合物中の試薬の著しい撹拌と分散的な混合の組合せが、本発明のトルエンスチレンテロマー分布を提供するために使用される。より具体的には、使用する撹拌および混合は、反応混合物中の実質的に均質な濃度プロファイルを少なくとも維持するのに十分であるべきである。すなわち、分離した成長反応ゾーン(すなわち、任意のそのような試薬の局所的な高濃度は最小限である。)または分離した連鎖移動ゾーン(すなわち、任意のそのような試薬の局所的な低濃度は最小限である)がないように、反応混合物の全体積中の全試薬の濃度勾配が最小限でなければならない。この結果として、相補的な反応確率および、その結果、連鎖移動および分子鎖生長反応の反応速度は、反応混合物の全体積にわたって一様に起こり、それによって本発明のプロセスの実施において一様で狭い分子量分布を達成する。そうする際に、触媒の非効率および不純物の形成をもたらす、望ましくない副反応との競争は、本質的に除かれる。
【0051】
以下の表15〜19に記載する実験の結果から見られるように、本発明の臭素化スチレンポリマー分布をブレンドしたポリスチレン組成物は、熱変形温度(HDT)、Vicat性能およびメルトフローインデックス(MFI)の熱的物性については特に、特性の特別に望ましい組合せを有する。理論によって束縛されることは望まないが、本発明者らの
研究所で得られた実験結果および他の観察から、有益な熱的物性のこの特有の組合せは本発明のTSTDの立体規則性およびタクティシティーのタイプによるものであると考えることができる。言いかえれば、出発物質の立体化学は、そのような出発物質から製造された本発明の臭素化生成物の性能に有益な影響を及ぼすと考えられる。より具体的には、本発明の臭素化スチレンポリマー分布のT
gは、一部分本発明のスチレンポリマーの未臭素化分布のタクティシティーの形態および程度の関数であることが理論付けられる。本発明の臭素化陰イオン連鎖移動スチレンポリマー分布のT
gから、調合する樹脂のメルトフローインデックス(MFI)が予測できると仮定される。表16〜20の結果からわかるように、臭素化ポリスチレン樹脂のT
gは、約110℃〜約140℃の範囲、好ましくは115℃〜125℃の範囲にあることが望ましい。したがって、
図6でわかるように、本発明者らの研究所において、臭素化連鎖移動スチレンポリマーのT
gと、臭素化連鎖移動スチレンポリマーをブレンドした最終ポリマー組成物(特にハイインパクトポリスチレン(HIPS)用途において)のMFIとの間の一般的な相関性が、連鎖移動スチレンポリマーを調製する様式に関係なく、存在することが発見された。これによって、HIPSなどの適切なホストポリマーに臭素化難燃剤をブレンドすることにより形成された、最終ポリマー組成物のMFIに関して、単にそのT
gの測定によって性能を予想することが可能になる。
図7でわかるように、臭素化連鎖移動スチレンポリマーのT
gと、臭素化連鎖移動スチレンポリマーをブレンドした最終ポリマー組成物のVicatとの間に、類似しているが逆比例の関係が存在する。
図8でわかるように、臭素化ポリスチレンポリマーのT
gはその分子量によって影響を受け、それは、その未臭素化分子量と臭素化ポリマー中の重量パーセント臭素との産物である。さらに、それは、臭素化ポリスチレン分布の立体化学、立体規則性および立体規則性によって影響を受ける。さらに、立体化学、立体規則性およびタクティシティーは、臭素化処置の間に変化しないと考えられる。したがって、本発明は、未臭素化ポリマーの立体化学、立体規則性およびタクティシティーに有益な影響を及ぼすことができる重要性の発見をもたらし、次には、表3〜5に示すような特性の特別な組合せを有する本発明の臭素化難燃剤の形成を可能にする。
図9において、臭素化連鎖移動スチレンポリマーの熱色度安定性の、臭素化連鎖移動スチレンポリマーをブレンドした最終ポリマー組成物の色度との、直接的で密接な関係が実証される。
【0052】
以下に示す実施例での実験の詳細の全般的な結果および検討
本発明の実施において使用される陰イオン連鎖移動スチレンテロマー化手順の全般的な説明を以下に記載する。実施例1〜6において使用する主反応条件、および実施例1〜6において形成した粗生成分布に関して得られた分析を、表3に述べる。実施例10〜18において使用する供給プロファイルに関する関連反応条件、実施例10〜18において形成した粗生成分布に関して得られた分析、および各々に対する統計モデルの結果を表4に述べる。実施例19〜27において使用する供給プロファイルに関する関連反応条件、実施例19〜27において形成した粗生成分布に関して得られた分析、および各々に対する統計モデルの結果を表5に述べる。表6は、TSTDの実施例10A、10B、12、13A、13B、14および16それぞれから調製したストリップしたトルエンスチレンテロマー分布(STSTD)の実施例29〜35の、物質収支で算定した収量データを含む。表7は、TSTDの実施例19、20、22、24、25および27からそれぞれ調製したストリップしたトルエンスチレンテロマー分布(STSTD)の実施例39〜44の、物質収支で算定した収量データを含む。
【0053】
表3に述べた実施例は、特定の分布を製造する設計をした商業化試行規模(100ガロン)の開発反応を表す。表4に述べた実施例は、2ガロン規模で行った類似反応(表3中のものと類似している)であり、プロセス化学およびプロセス条件の範囲および相互依存性を実証する。
【0054】
以下の実施例は、本発明に従うトルエンスチレンテロマー分布を製造する好ましい方法
を例証する。これらの実施例は、本発明を本明細書に記載された手順のみに限定するようには意図されない。
【0055】
実施例1〜9
トルエンスチレンテロマー分布の大規模調製
使用する一般的な装置
頂部凝縮器、浸液サーモウェル/熱電対および底部ドレーンバルブを装備した、グラスライニング製100ガロンジャケット付き反応器。温度は、水蒸気制御弁を使用して、ジャケットを通して流れる水の温度を制御することにより、設定ポイントで維持した。激しい撹拌を、可変速度駆動装置の3枚刃の後退わん曲型撹拌器によって実施した。反応器には、濡れたPTFE部品または他のフッ素化ポリマー物質もしくはエラストマーは、本質的にまったく存在しなかった。全操作の間、反応器を不活性乾燥N
2雰囲気下に保った。反応器に、携帯用タンクから圧力移送によって浸漬脚部を通して連鎖移動剤を装填した。アルキルリチウム、追加の溶媒およびアミン促進剤(TMEDA)はすべて、上記浸漬脚部を通して、攪拌された連鎖移動剤の液面下に供給した。スチレンを、3Aモレキュラーシーブ(Zeochem)の24”シリンダー型カラム(直径:3”、約6lb.
(2.7kg))を通して計量弁によって携帯用圧力容器から圧力移送し、スリット供給ノズルを通して微細流または霧として、反応混合物の液面上に送達した。
【0056】
実施例1パートA
トルエンスチレンテロマー分布1(TSTD1)
トルエン
63.4kg(140lb
)(689モル)を反応器に装填した。Karl Fischer水分分析は残留H
2Oを7ppmと示した。撹拌を開始した。容器ジャケットに温度調節した水を施すことにより溶媒を78℃に加熱した。設定ポイント温度に達したら、トルエン
4.53kg(10lb
)(49.24モル)中のN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン
1.84kg(4.07lb)(TMEDA、15.9モル)を、撹拌したトルエン反応混合物の液面より下の浸漬脚部を通して反応器に装填した。次いで、供給管路は無水トルエン
9.51kg(21lb
)(103モル)を用いて洗い流した。次に、n−BuLi溶液
1.76kg(3.9lb
)(シクロヘキサン中の23.5重量%)(6.53モルn−BuLi)を、液面下供給管路を通して装填し、特徴的な明るい赤橙色のTMEDA複合ベンジルリチウムアニオンが形成され、同時にブタンガスが放出された。供給管路は無水トルエン
9.51kg(21lb
)(103モル)を用いて洗い流した。スチレン(99+%、1629モル、American Styrenics)
169kg(374.4lb
)を162分にわたって供給した。圧力移送によって計量弁を通して、
1.04kg(2.31lb
)/分の一定供給速度で、窒素調節した携帯用タンクからスチレンを加えた。反応が完了したことを確かめるために5分間反応器に滞留させておいた。
【0057】
窒素ガスを流すことによりオーバーナイトで脱酸素しておいた0.75重量%塩化アンモニウム溶液10ガロンを用いて、反応混合物を70℃でクエンチした。反応混合物は、脱酸素水の第2の10ガロンを用いて洗浄した。相分断は素早く起こり、ほとんど静置時間を要しなかった。水およびいずれの断片または乳化液も底部ドレーンバルブを通して除去した。洗浄した粗反応混合物の試料をGPCによって分析した。トルエンを除いたこの非ストリップ反応混合物のGPC分析の結果は、表3で報告する。
【0058】
容器ジャケットに温度調節した水を使用して大気圧の沸点に反応器を加熱した。次いで、水蒸気を反応器ジャケットに施し、反応器ジャケットの温度を140℃に上げた。135℃の釜温度が観察されるまで、シクロヘキサン、残留水分およびトルエンを、沸騰させ、頂部凝縮器内で凝縮し、ドラムに排出した。反応器を50℃に冷却した。真空を容器に施し、反応器を沸点に加熱した。次いで、水蒸気を反応器ジャケットに施し、反応器ジャケットの温度を140℃に上げた。真空を使用し反応器圧力を35mmHgに低下させた。135℃の釜温度が観察されるまで、シクロヘキサン、残留水分およびトルエンを、沸騰させ、頂部凝縮器内で凝縮し、ドラムに排出した。アリコートをGPCによる分析のために反応器から取り出した。(M
p:301、M
n:433、M
w:626、M
z:883、多分散性(PD):1.45)。反応物(
200kg(443lb
))は350ガロンの運搬箱に集めた。
【0059】
実施例1パートB
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布1(STSTD1)の形成
プラントでストリップした粗反応混合物(実施例1パートAで調製したTSPD1)の試料3893gを、Pope Scientific Inc社によって製造された塗布フィルム蒸発器(WFE)を使用してストリップし、残留トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパン(最大1.0GPC面積%規格まで)を除去し、SSPD1 3111gを得、次のGPC分析を行った:M
p:409、M
n:543、M
w:698、M
z:907、PD:1.29。WFE操作条件は以下のとおりであった:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=155℃、圧力=<0.1mmHgおよび凝縮器温度=0℃。さらに、トルエン、1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルペンタンの混合物784gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0060】
実施例2
トルエンスチレンテロマー分布2(TSTD2)
スチレン(3.5lbモル)361lbを、トルエン192lb(2.1lbモル)、TMEDA(0.0351lbモル)3.63lb、およびシクロヘキサン(ブチルリチウム0.0129lbモルを含む0.083lb)中の23.63重量%ブチルリチウム3.5lbで構成された反応混合物に、158分の時間にわたって供給したこと以外は、実施例1パートAの手順を繰り返した。トルエンを除いた非ストリップ反応混合物のGPC結果を表3で報告する。反応物(
465lb)は350ガロンの運搬箱に集めた。
【0061】
実施例3
トルエンスチレンテロマー分布3(TSTD3)
スチレン(
1.58kg(3.5lb
)−モル)
163kg(361lb
)を、トルエン
86.9kg(192lb
)(
0.95kg(2.1lb
)−モル)、TMEDA(
0.0159kg(0.0351lb
)−モル)
1.64kg(3.63lb
)、およびシクロヘキサン(ブチルリチウム、
0.0058kg(0.0129lb
)−モルを含む
0.037kg(0.083lb
))中の23.63重量%ブチルリチウム
1.58kg(3.5lb
)で構成された反応混合物に、129分の時間にわたって供給したこと以外は、実施例1パートAの手順を繰り返した。トルエンを除いた非ストリップ反応混合物のGPC結果を表3で報告する。反応物(
237kg(523lb
))は350ガロンの運搬箱に集めた。
【0062】
実施例4
トルエンスチレンテロマー分布4(TSTD4)
スチレン(
1.90kg(4.2lb)−モル)
199kg(440lb)を、トルエン
87.4kg(193lb)(
0.95kg(2.1lb
)−モル)、TMEDA(
0.0181kg(0.0401lb
)−モル)
2.10kg(4.65lb
)、およびシクロヘキサン(ブチルリチウム
0.00734kg(0.0162lb
)−モルを含む
0.471kg(1.04lb
))中の23.63重量%ブチルリチウム
1.99kg(4.4lb
)で構成された反応混合物に、146分の時間にわたって供給したこと以外は、実施例1パートAの手順を繰り返した。トルエンを除いた非ストリップ反応混合物のGPC結果を表3で報告する。反応物(
200kg(442lb
))は350ガロンの運搬箱に集めた。
【0063】
実施例5
トルエンスチレンテロマー分布5(TSTD5)
スチレン(
1.90kg(4.2lb
)−モル)
198kg(437lb
)を、トルエン
86.5kg(191lb
)(
0.95kg(2.1lb
)−モル)、TMEDA(
0.0165kg(0.0365lb
)−モル)
1.86kg(4.1lb
)、およびシクロヘキサン(ブチルリチウム
0.00684kg(0.0151lb
)−モルを含む
0.439kg(0.97lb
))中の23.63重量%ブチルリチウム
1.86kg(4.1lb
)で構成された反応混合物に、162分の時間にわたって供給したこと以外は、実施例1パートAの手順を繰り返した。トルエンを除いた非ストリップ反応混合物のGPC結果を表3で報告する。反応物(
222kg(491lb
))は350ガロンの運搬箱に集めた。
【0064】
実施例6パートA
トルエンスチレンテロマー分布6(TSTD6)
この実施例において、実施例1〜5を含む先の運転から回収したトルエン、TMEDA、シクロヘキサンおよび1,3−ジフェニルプロパンから主に構成される複合物の一部を使用した。したがって、この実施例は、再循環した成分の使用を実証する。
【0065】
新しいトルエン
181kg(40lb)(197モル)および再循環したトルエン
44.1kg(97.3lb
)(トルエン97.1%、
42.9kg(94.5lb
)、465モル;TMEDA1.7%、
0.72kg(1.6lb
)、6.2モル;1,3−diphenlypropane0.3%、
0.136kg(0.3lb
)、0.7モル;シクロヘキサン0.9%、
0.41kg(0.9lb
)、4.9モルを含有する)を、反応器に装填した。Karl Fischer水分分析は残留H
2Oを7ppmと示した。撹拌を開始した。容器ジャケットに温度調節した水を施すことにより溶媒を79℃に加熱した。設定ポイント温度に達したら、新しく作ったトルエン
4.53kg(10lb
)(49.24モル)中のN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン
1.83kg(4.04lb
)(TMEDA、15.8モル)を、撹拌したトルエン反応混合物の液面より下の浸漬脚部を通して反応器に装填した。次いで、供給管路は
9.06kg(20lb
)の無水トルエン(99モル)を用いて洗い流した。次に、n−BuLi溶液
1.99kg(4.4lb
)(シクロヘキサン中の23.6重量%)(7.4モルn−BuLi)を、液面下供給管路を通して装填し、特徴的な明るい赤橙色のTMEDA複合ベンジルリチウムアニオンが形成され、同時にブタンガスが放出された。次いで、供給管路は
9.96kg(22lb
)の無水トルエン(108モル)を用いて洗い流した。スチレン(
203kg(450lb
)、99+%、1629モル、American Styrenics)は152分間にわたって供給した。圧力移送によって計量弁を通して、
1.34kg(2.96lb
)/分の一定供給速度で、窒素調節した携帯用タンクからスチレンを加えた。反応が完了したことを確かめるために5分間反応器に滞留させておいた。
【0066】
オーバーナイトで脱酸素しておいた0.75重量%塩化アンモニウム溶液10ガロンを用いて、反応混合物を70℃でクエンチした。反応混合物は、脱酸素水の第2の10ガロンを用いて洗浄した。相分断は素早く起こり、ほとんど静置時間を要しなかった。水およびいずれの断片または乳化液も底部ドレーンバルブを通して除去した。洗浄した粗反応混合物の試料をGPCによって分析した。トルエンを除いたこの非ストリップ反応混合物のGPC分析の結果は、表3で報告する。
【0067】
容器ジャケットに温度調節した水を使用して大気圧の沸点に反応器を加熱した。次いで、水蒸気を反応器ジャケットに施し、反応器ジャケットの温度を140℃に上げた。135℃の釜温度が観察されるまで、シクロヘキサン、残留水分およびトルエンは、沸騰させ、頂部凝縮器内で凝縮し、ドラムに排出した。反応器は50℃に冷却した。真空を容器に施し、反応器を沸点に加熱した。次いで、水蒸気を反応器ジャケットに施し、反応器ジャケットの温度を140℃に上げた。真空を用いて、35mmHgに反応器圧力を下げた。135℃の釜温度が観察されるまで、シクロヘキサン、残留水分およびトルエンは、沸騰させ、頂部凝縮器内で凝縮し、ドラムに排出した。アリコートをGPCによる分析のために反応器から取り出した。(M
p:299、M
n:428、M
w:612、M
z:859、PD:1.43)。反応物(
256kg(565lb
))は350ガロンの運搬箱に集めた。
【0068】
実施例6パートB
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布6(STSTD6)の形成
物質の携帯型5ガロン缶に物質を装入する前に、実験用試験に取り置いた。
【0069】
プラントでストリップした反応混合物(実施例6パートAで調製したSPD1)の試料2000gを、Pope Scientific Inc社によって製造された塗布フィルム蒸発器(WFE)を使用してストリップし、残留トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパン(最大1.0GPC面積%規格まで)を除去し、SSPD6 1540gを得、次のGPC分析を行った:M
p:404、M
n:545、M
w:697、M
z:911、PD:1.28。WFE運転条件は以下のとおりであった:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=220℃、圧力=10mmHgおよび凝縮器温度=0℃。さらに、トルエン、1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルペンタンの混合物365gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0070】
実施例7
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布7(STSTD7)の形成
トルエンスチレンテロマー分布1〜5の複合物の5ガロンの試料は、2種のWFE条件の下にストリップした。この実施例は高真空、低温ストリップ手順の使用に関する。他のストリップ操作は実施例8および9に記載する。
【0071】
プラントでストリップした粗反応混合物(実施例1〜5で調製したSPD1〜STSTD5)の試料1700gを、Pope Scientific Inc社によって製造された塗布フィルム蒸発器(WFE)を使用してストリップし、残留トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパン(最大1.0GPC面積%規格まで)を除去し、SSPD7 1418gを得、次のGPC分析を行った:M
p:399、M
n:543、M
w:707、M
z:940、PD:1.30。WFE運転条件は以下のとおりであった:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=158℃、圧力=<0.1mmHgおよび凝縮器温度=0℃。さらに、トルエン、1,3−ジフェニルプロパン(約85GPC面積%)、1,3,5−トリフェニルペンタン(約15GPC面積%)の混合物365gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0072】
実施例8
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布8(STSTD8)の形成
この実施例において、使用するWFEストリップ条件は穏やかな真空およびより高温度を必要とした。
【0073】
プラントでストリップした粗反応混合物(実施例1〜5で調製したSPD1〜STSTD5)の試料2044gを、Pope Scientific Inc社によって製造された塗布フィルム蒸発器(WFE)を使用してストリップし、残留トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパン(最大1.0GPC面積%規格まで)を除去し、SSPD8 1418gを得、次のGPC分析を行った:M
p:399、M
n:545、M
w:706、M
z:925、PD:1.30。WFE運転条件は以下のとおりであった:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=220℃、圧力=10.0mmHgおよび凝縮器温度=0℃。さらに、トルエン、1,3−ジフェニルプロパン(約85GPC面積%)、1,3,5−トリフェニルペンタン(約15GPC面積%)の混合物316gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0074】
実施例9
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布9(STSTD9)の形成
この実施例において、使用したWFEストリップ条件は、中位の真空および中位の温度を用い、より高いM
wTSTDを得るためにより強いストリップを必要とした。
【0075】
プラントでストリップした粗反応混合物(実施例1〜5で調製したSPD1〜STSTD5)の試料7217gを、Pope Scientific Inc社によって製造さ
れた塗布フィルム蒸発器(WFE)を使用してストリップし、残留トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパン(最大1.0GPC面積%規格まで)を除去し、SSPD8 5970gを得、次のGPC分析を行った:M
p:418、M
n:588、M
w:762、M
z:998、PD:1.29、σ
n=320および
nα
3=1.94。WFE運転条件は以下のとおりであった:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=200℃、圧力=5.0mmHgおよび凝縮器温度=0℃。さらに、トルエン、1,3−ジフェニルプロパン(約78GPC面積%)、1,3,5−トリフェニルペンタン(約20GPC面積%)および1,3,5,7−テトラフェニルヘプタン(約2GPC面積%)の混合物1246gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0076】
実施例10〜18
金属成分としてブチルリチウムから単独で形成した触媒を使用して形成したトルエンスチレンテロマー分布の2ガロン規模調製
使用する一般的な装置
熱電対、底部ドレーンバルブ、冷却コイル、加熱マントルおよびツインピッチブレードタービンインペラーを有する316ステンレス鋼製2ガロンParrオートクレーブに、ダイヤフラムポンプ、窒素パージした250mLステンレス装填容器、十分に較正された計量ポンプおよび
0.16cm(1/16インチ
)の外径の液面下供給管路をさらに装備した。反応器に、凝縮器を有する3リットル水ジャケット付きフラスコで出口をつけた。底部ドレーンバルブに、底部ドレーンを有し頂部撹拌および蒸留に備えた、6リットルのオイルジャケット付きひだ付き洗浄容器を配管した。バルク溶媒(通常、溶媒でありかつ連鎖移動剤と同じ)を、ダイヤフラムポンプによって反応器に装填し、もし使用するなら、TMEDA、butylithiumおよび任意の追加の共触媒を、装填容器を通して反応器に別々に装填した。装填毎に溶媒の100mLアリコートを用いて洗い流した。スチレンは
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して所定の一定速度で計量ポンプを通して供給する。スチレンが
5.5〜6.7m(18〜22フィート
)/秒の速さで供給され、底部タービンインペラーに近接して送達されるように、その先端が修正された。冷却コイルへの電磁弁の出力と加熱マントルへの出力の平衡を保つParr4841制御器を使用して、反応温度を所定の設定ポイントでしっかりと維持した。反応器は、4リットルの反応溶媒(ほとんどの場合、溶媒でありかつ連鎖移動剤と同じ)装填し、加圧条件の下で120℃に加熱することにより準備した。次いで、過熱した溶媒(約200mL)を、3リットルの反応器に頂部から流し込んだ。次いで、溶媒の大部分を冷却し、反応器から除去し、水分を分析した(Karl Fischer)。触媒成分の移送はすべて不活性雰囲気下で注射器経由で行った。スチレン(99%、Across)、TMEDA(Aldrich)、ブチルリチウム(Aldrich)はそれぞれ、売り手から受領したままで使用した。反応混合物は、化学量論量のプロトン性クエンチ剤を含有する溶媒100mLの装填によってクエンチする。
【0077】
実施例10
トルエンスチレンテロマー分布(TSTD10)の形成
トルエン1386g(約1.6リットル、15.07モル)を、反応器(23ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.26g(4.0ミリモル)を添加することによってさらに無水にした。無水トルエンを78℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、n−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.135モル中の16.5重量%)52.22gを、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路はトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次に、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.335モル)38.9gを装填した。撹拌は850RPMに上げ、TMEDAは反応器液面下に圧入した。装填系統は、トルエンの第2の100mLのアリコートを用いて洗い流した。トルエン1559g(16.9モル)の合計(初期の装填および装填管路を洗い流すために使用したもの)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3698g(35.51モル)を、供給速度23.55g/分で供給速さが約
6.1m(20フィート
)/秒になるように、157分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。通常、供給の80%が完了すると、撹拌駆動装置が過負荷になり、その結果、混合が短時間中断する。したがって、混合での損失を回避するこの設定のためのみの実施として、スチレン供給の80%が完了したら、撹拌速度を715rpmに下げた。スチレン供給の完了が近づいたら、トルエン100mLをスチレン供給系統に装填し、それによって、反応性スチレンモノマーの管路を完全に洗い流した。反応器へのスチレンの供給は、反応熱がもはや観察されなくなった時が完了であると判断し、これは、巻きつくコイル(coiling coils)の自動制御弁の閉鎖によって一般的に示された。次いで、触媒は、メタノール4.5g(0.135モル)を含有するトルエン100mLを装填してクエンチする。
【0078】
実施例10パートA
クエンチした非ストリップ反応混合物を水洗浄する標準手順
反応混合物のおよそ1/2(物質収支で49.5%)を、前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し、次いで、脱酸素水(3x300mL)を用いて洗浄した。相分断は、80℃で行い、迅速でほとんど静置時間を必要としなかった。水およびいずれの断片または乳化液も底部ドレーンバルブを通して除去した。アリコートを取り出しGPCによって分析した。(M
p:408、M
n:562、M
w:866、M
z:1216、PD:1.54、σ
n=413、
nα
3=1.788)。オイルジャケットの温度を170℃に上げた。シクロヘキサン、残留水分、TMEDAおよびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した(2422g)。
【0079】
実施例10パートのB
水性洗浄の前にストリップした無水トルエンTMEDA
反応混合物のおよそ1/2(物質収支で50.5%)を、85℃に加熱した洗浄容器に移送した。移送が完了したら、混合物を、161℃(175℃のオイルジャケット温度)に徐々に加熱し、トルエンおよびTMEDAの本質的に無水の混合物を回収した。反応器は110℃に冷却し、次いでトルエン1.5リットルを装填し、さらに約80℃に温度を落とした。TMEDAをストリップした生成混合物を脱酸素水を用いて洗浄した(3x300mL)。相分断は、80℃で行い、迅速で静置時間はほとんど必要としなかった。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度を170℃に上げた。残留水分およびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した(2184g)。
【0080】
実施例11
トルエンスチレンテロマー分布(TSTD11)の形成
トルエン1128g(約1.3リットル、12.21モル)を反応器(52ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.48g(7.5ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを80℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、n−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.154モル中の16.5重量%)59.79gを、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.405モル)47.10gを装填した。トルエン1298g(14.1モル)の合計(初期の装填および装填管路を洗い流すために使用したもの)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン4388g(42.13モル)を、供給速さが供給速度23.85g/分で
6.1m(20フィート
)/秒となるように、184分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、トルエン100mL中のメタノール4.93g(0.15モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:416、M
n:540、M
w:820、M
z:1147、PD:1.52、σ
n=389、
nα
3=1.794。
【0081】
実施例12
トルエンスチレンテロマー分布(TSTD12)の形成
トルエン1437g(約1.7リットル、15.60モル)を反応器(49ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.36g(5.6ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを80℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、n−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.135モル中の16.5重量%)52.60gを、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.349モル)40.60gを装填した。トルエン1607g(17.4モル)の合計(初期の装填および装填管路を洗い流すために使用したもの)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3719g(55.71モル)を、供給速さが供給速度21.25g/分で約
5.5m(18フィート
)/秒となるように、175分間にわたって
0.16cm(1/16インチ)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物を、トルエン100mL中のメタノール4.34g(0.135モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:308、M
n:469、M
w:696、M
z:985、PD:1.48、σ
n=326、
nα
3=1.974。後処理手順は、下記条件と共に、実施例10パートBのような一般的な後処理手順に従った。
【0082】
クエンチしたら、反応混合物を、未反応トルエンおよびTMEDAのステンレス鋼反応器内において、昇温減圧下で徐々にストリップした(終了条件の釜温度は160℃で75mmHgの真空)。その混合物は100℃に冷却し、一部(物質収支で合計の56.8%)は前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し、新しいトルエン1667gを装填した。TMEDAをストリップした生成混合物は脱酸素水を用いて洗浄した(3x300mL)。相分断は80℃で行い、迅速で静置時間はほとんど必要ではなかった。水およびいずれの断片または乳化液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度を170℃に上げた。残留水分およびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したら冷却し、物質を窒素パージし瓶(2578g)に排出した。
【0083】
実施例13
トルエンスチレンテロマー分布(TSTD13)の形成
トルエン1578g(約1.8リットル、17.06モル)を反応器(81ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム1.0g(15.7ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを80℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、n−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.131モル中の16.5重量%)50.91gを、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.351モル)40.80gを装填した。トルエン1742g(18.91モル)の合計(初期の装填および装填管路を洗い流すために使用したもの)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3563g(34.21モル)を、供給速さが供給速度21.21g/分で約
5.5m(18フィート
)/秒となるように、168分間にわたって
0.16cm(1/16インチ)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、トルエン100mL中のメタノール4.2g(0.131モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:308、M
n:471、M
w:702、M
z:996、PD:1.49、σ
n=330、
nα
3=1.981。
【0084】
実施例13パートA
クエンチした非ストリップ反応混合物を水洗浄する標準手順
反応混合物のおよそ1/2(物質収支で42.6%)を、前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し、次いで、脱酸素水(3x300mL)を用いて洗浄した。相分断は、80℃で行い、迅速で静置時間はほとんど必要としなかった。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度は170℃に上げた。シクロヘキサン、残留水分、TMEDAおよびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した(2496g)。
【0085】
実施例13パートB
第1の洗浄で存在するNaBH
4
反応混合物のおよそ1/2(物質収支で57.4%)を、前もって95℃に加熱した洗浄容器に移送し洗浄した。第1の洗浄(500mL)はNaBH
46.22g(0.164モル)を含有し、14MNaOH溶液および水463g中の12重量%NaBH
451.8gから形成されていた。洗浄は90℃で30分間行い、この溶液は85℃に冷却し相分離した。次いで、底部水層を取り出した。第2の洗浄(500mLの脱酸素水)を10分間行い、続いて80℃で相分断した。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度を170℃に上げた。シクロヘキサン、残留水分、TMEDAおよびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した(3366g)。
【0086】
実施例14
トルエンスチレンテロマー分布(TSTD14)の形成
トルエン1444g(約1.7リットル、15.68モル)を反応器(25ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.29g(4.5ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを80℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、n−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.136モル中の16.5重量%)52.76gを、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.343モル)39.90gを装填した。トルエン1614g(17.5モル)の合計(初期の装填および装填管路を洗い流すために使用したもの)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3705g(35.57モル)を、供給速さが供給速度21.35g/分で約
5.5m(18フィート
)/秒となるように、173分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、トルエン100mL中のメタノール4.35g(0.136モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:418、M
n:475、M
w:704、M
z:992、PD:1.48、σ
n=330、
nα
3=1.939。後処理手順は、下記条件と共に、実施例10パートBのような一般的な後処理手順に従った。
【0087】
クエンチしたら、反応混合物を、未反応トルエンおよびTMEDAのステンレス鋼反応
器内において、昇温減圧下で徐々にストリップした(終了条件の釜温度は160℃で50mmHgの真空)。その混合物は100℃に冷却し、反応器の内容物の一部(約50%)は前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し、新しいトルエン1700gを装填した。TMEDAをストリップした生成混合物は脱酸素水を用いて洗浄した(2x500mL)。相分断は、80℃で行い、迅速で静置時間はほとんど必要としなかった。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度は170℃に上げた。残留水分およびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した。上記のプロセスは反応器の内容物の後半分について繰り返した。ストリップした粗反応生成物合計4483gが得られた。
【0088】
参考実施例15
トルエンスチレンテロマー分布(TSTD15)の形成
トルエン1445g(約1.7リットル、15.68モル)を反応器(37ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.42g(6.6ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを85℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、n−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.111モル中の16.5重量%)43.05gを、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.288モル)33.47gを装填した。トルエン1615g(17.53モル)の合計(初期の装填および装填管路を洗い流すために使用したもの)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン102g(0.98モル)を、供給速さが供給速度17.4g/分で約
4.3m(14フィート
)/秒となるように、6分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、トルエン100mL中のメタノール3.55g(0.111モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:307、M
n:406、M
w:551、M
z:734、PD:1.36、σ
n=243、
nα
3=1.790。
【0089】
実施例16
還流の冷却温度プロファイルをモデル化する終了時に温度傾斜を有するトルエンスチレンテロマー分布(TSTD16)の形成
トルエン1447g(約1.7リットル、15.70モル)を反応器(19ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.22g(3.4ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを80℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、n−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.125モル中の16.5重量%)48.67gを、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.308モル)35.80gを装填した。トルエン1617g(17.6モル)の合計(初期の装填および装填管路を洗い流すために使用したもの)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3640g(34.95モル)を、供給速さが供給速度31.16g/分で約
5.5m(18フィート
)/秒となるように、172分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。スチレン供給の最後の20%の間、約0.33℃/分の速度で80℃〜92℃に温度を上げた。92℃の反応混合物を、トルエン100mL中のメタノール4.01g(0.125モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:308、M
n:465、M
w:696、M
z:1000、PD:1.50、σ
n=328、
nα
3=2.081。後処理手順は、下記条件と共に、実施例10パートBのような一般的な後処理手順に従った。
【0090】
クエンチしたら、反応混合物を、未反応トルエンおよびTMEDAのステンレス鋼反応器内において、昇温減圧下で徐々にストリップした(終了条件の釜温度は160℃で50mmHgの真空)。その混合物は100℃に冷却し、反応器の内容物の一部は前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し、新しいトルエン1700gを装填した。TMEDAをストリップした生成混合物は脱酸素水を用いて洗浄した(2x500mL)。相分断は、80℃で行い、迅速で静置時間はほとんど必要としなかった。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度は170℃に上げた。シクロヘキサン、残留水分およびトルエンは残留水分およびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した。上記のプロセスを反応器内容物の後半分について繰り返した。合計4494gのストリップした粗反応生成物が得られた。
【0091】
実施例17
還流の冷却温度プロファイルをモデル化する、より高い初期温度および終了時に温度傾斜を有するトルエンスチレンテロマー分布(TSTD17)の形成
トルエン1646g(約1.9リットル、17.86モル)を反応器(37ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.48g(7.5ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを85℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、n−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.110モル中の16.5重量%)42.70gを、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.281モル)32.60gを装填した。トルエン1816g(19.7モル)の合計(初期の装填および装填管路を洗い流すために使用したもの)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3638g(34.93モル)を、供給速さが供給速度23.62g/分で約
6.1m(20フィート
)/秒となるように、154分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。スチレン供給の最後の15%の間、約0.33℃/分の速度で85℃〜92℃に温度を上げた。92℃の反応混合物を、トルエン100mL中のメタノール3.52g(0.110モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:1.92、M
n:407、M
w:582、M
z:813、PD:1.43、σ
n=267、
nα
3=2.009。
【0092】
実施例17パートA
クエンチした非ストリップ反応混合物を水洗浄する標準手順
反応混合物のおよそ1/2(物質収支で47.0%)を、前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し脱酸素水(3x300mL)を用いて洗浄した。相分断は、80℃で行い、迅速で静置時間はほとんど必要としなかった。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度は170℃に上げた。シクロヘキサン、残留水分、TMEDAおよびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した(2371g)。
【0093】
実施例17パートB
水性洗浄前のステンレス反応器内でストリップした無水トルエンTMEDA
反応混合物(53.0%)の残部を、未反応トルエンおよびTMEDAのステンレス鋼反応器内において、昇温減圧下で徐々にストリップした(終了条件の釜温度は160℃で50mmHgの真空)。その混合物は100℃に冷却し、反応器の内容物は前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し、新しいトルエン1700gを装填した。TMEDAをス
トリップした生成混合物は脱酸素水を用いて洗浄した(3x300mL)。相分断は、80℃で行い、迅速で静置時間はほとんど必要としなかった。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度は170℃に上げた。残留水分およびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した(2669g)。
【0094】
実施例18
還流の冷却温度プロファイルをモデル化する、より高い初期温度および終了時に温度傾斜を有するトルエンスチレンテロマー分布(TSTD18)の形成
トルエン1423g(約1.7リットル、15.44モル)を反応器(23ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.44g(6.9ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを80℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、n−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.104モル中の16.5重量%)40.52gを、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.279モル)32.40gを装填した。トルエン1593g(17.3モル)の合計(初期の装填および装填管路を洗い流すために使用したもの)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3628g(34.83モル)を、供給速さが供給速度22.82g/分で約
5.8m(19フィート
)/秒となるように、159分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。スチレン供給の最後の15%の間、約0.33℃/分の速度で85℃〜92℃に温度を上げた。92℃の反応混合物を、トルエン100mL中のメタノール3.34g(0.104モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:315、M
n:533、M
w:798、M
z:1138、PD:1.50、σ
n=376、
nα
3=2.011。
【0095】
実施例18パートA
クエンチした非ストリップ反応混合物を水洗浄する標準手順
反応混合物のおよそ1/3(物質収支で30.7%)を、前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し、次いで、脱酸素水(3x300mL)を用いて洗浄した。相分断は、80℃で行い、迅速で静置時間はほとんど必要としなかった。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度は170℃に上げた。シクロヘキサン、残留水分、TMEDAおよびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した(1291g)。
【0096】
実施例18パートB
水性洗浄の前にステンレス反応器内でストリップした無水トルエンTMEDA
反応混合物の残りの2/3(69.3%)を、未反応トルエンおよびTMEDAのステンレス鋼反応器内において、昇温減圧下で徐々にストリップした(終了条件の釜温度は160℃で50mmHgの真空)。その混合物は100℃に冷却し、反応器の内容物は前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し、新しいトルエン1700gを装填した。TMEDAをストリップした生成混合物は脱酸素水を用いて洗浄した(3x300mL)。相分断は、80℃で行い、迅速で静置時間はほとんど必要としなかった。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度は170℃に上げた。残留水分およびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した(2918g)。
【0097】
実施例19〜28
金属成分としてブチルリチウムおよびカリウムt−ブトキシドから形成した触媒を使用して形成したトルエンスチレンテロマー分布の2ガロン規模の調製
これらの実施例において使用した全体的装置は実施例10〜18に記載したものである。
【0098】
実施例19
カリウムt−ブトキシド助触媒を用いるトルエンスチレンテロマー分布(TSTD19)の形成
トルエン1088g(約1.3リットル、11.81モル)を反応器(41ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.48g(7.6ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを80℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、カリウムt−ブトキシド13.06g(0.116モル)、トルエン399g(4.33モル)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン72.00g(TMEDA、0.620モル)で構成された混合物を、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にn−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.119モル中の16.5重量%)46.17gを装填した。トルエン1657g(18.0モル)の合計(初期の装填、カリウムt−ブトキシド/TMEDA溶液を形成するために使用する量、および装填管路を洗い流すために使用する量)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3718g(35.70モル)を、供給速さが供給速度20.43g/分で約
5.5m(18フィート
)/秒となるように、182分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物を、トルエン100mL中のメタノール7.52g(0.235モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:413、M
n:620、M
w:885、M
z:1233、PD:1.42、σ
n=405、
nα
3=1.991。後処理手順は、下記条件と共に、実施例10パートBのような一般的な後処理手順に従った。
【0099】
クエンチしたら、反応混合物を、未反応トルエンおよびTMEDAのステンレス鋼反応器内において、昇温減圧下で徐々にストリップした(終了条件の釜温度は160℃で19mmHgの真空)。その混合物は100℃に冷却し、反応器の内容物の一部(約33%)は前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し、新しいトルエン1700gを装填した。TMEDAをストリップした生成混合物は脱酸素水を用いて洗浄した(2x500mL)。相分断は、80℃で行い、緩慢であり、長い静置時間(>45分)を必要とした。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度は170℃に上げた。残留水分およびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した。反応器の内容物の残りの2/3に対してさらに2回(各回、ストリップした反応混合物合計の1/3を洗浄して)上記プロセスを繰り返した。合計4459gのストリップした粗反応生成物が得られた。
【0100】
実施例20
カリウムt−ブトキシド助触媒を用いるトルエンスチレンテロマー分布(TSTD20)の形成
トルエン1215g(約1.4リットル、13.19モル)を反応器(59ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.66g(10.3ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを80℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、カリウムt−ブトキシド16.29g(0.145モル)、トルエン186g(2.02モル)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン90.45g(TMEDA、0.778モル)で構成された混合物を、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にn−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.144モル中の16.5重量%)56.00gを装填した。トルエン1571g(17.1モル)の合計(初期の装填、カリウムt−ブトキシド/TMEDA溶液を形成するために使用する量、および装填管路を洗い流すために使用する量)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3604g(34.60モル)を、供給速さが供給速度19.59g/分で約
5.2m(17フィート
)/秒となるように、184分間にわたって
0.16cm(1/16インチ)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、反応器にポンプ注入した200gの脱酸素水(11.1モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:517、M
n:547、M
w:795、M
z:1092、PD:1.45、σ
n=368、
nα
3=1.773。後処理手順は、下記条件と共に、実施例10パートBのような一般的な後処理手順に従った。
【0101】
乳化した反応混合物のおよそ1/2を、前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し、次いで、脱酸素水(3x250mL)を用いて洗浄した。相分断は、80℃で行い、緩慢で非効率的であり、1500mLの追加トルエンの添加および非常に長い静置時間(>60分)を必要とした。
水および多くの断片または乳濁液を底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度は170℃に上げた。シクロヘキサン、残留水分、TMEDAおよびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した。このプロセスを反応器の内容物(5039g)の第2の1/2について繰り返した。
【0102】
実施例21
カリウムt−ブトキシド助触媒を用いるトルエンスチレンテロマー分布(TSTD21)の形成
トルエン1220g(約1.4リットル、13.24モル)を反応器(12ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.14g(2.1ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを80℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、カリウムt−ブトキシド16.34g(0.146モル)、トルエン188g(2.04モル)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン85.53g(TMEDA、0.736モル)で構成された混合物を、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にn−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.145モル中の16.5重量%)56.28gを装填した。トルエン1578g(17.1モル)の合計(初期の装填、カリウムt−ブトキシド/TMEDA溶液を形成するために使用する量、および装填管路を洗い流すために使用する量)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3647g(35.02モル)を、供給速さが供給速度19.61g/分で約
5.2m(17フィート
)/秒となるように、186分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、100mLのトルエン中の酢酸17.45g(0.291モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:512、M
n:539、M
w:780、M
z:1074、PD:1.45、σ
n=360、
nα
3=1.813。
【0103】
実施例22
カリウムt−ブトキシド助触媒を用いるトルエンスチレンテロマー分布(TSTD22)の形成 トルエン1268g(約1.5リットル、13.76モル)を反応器(56ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.64g(10.0ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを80℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、カリウムt−ブトキシド14.07g(0.125モル)、トルエン160g(1.74モル)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン78.77g(TMEDA、0.678モル)で構成された混合物を、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にn−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.123モル中の16.5重量%)47.74gを装填した。トルエン1598g(17.3モル)の合計(初期の装填、カリウムt−ブトキシド/TMEDA溶液を形成するために使用する量、および装填管路を洗い流すために使用する量)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3620g(34.76モル)を、供給速さが供給速度20.11g/分で約
5.2m(17フィート
)/秒となるように、180分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、100mLのトルエン中の酢酸14.91g(0.248モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:520、M
n:551、M
w:747、M
z:986、PD:1.36、σ
n=329、
nα
3=1.692。後処理手順は、下記条件と共に、実施例10パートBのような一般的な後処理手順に従った。
【0104】
クエンチしたら、反応混合物を、未反応トルエンおよびTMEDAのステンレス鋼反応器内において、昇温減圧下で徐々にストリップした(終了条件の釜温度は160℃で19mmHgの真空)。その混合物は100℃に冷却し、反応器の内容物の一部(約33%)は前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し、新しいトルエン2600gを装填した。TMEDAをストリップした生成混合物は脱酸素水を用いて洗浄した(2x400mL)。相分断は、80℃で行い、緩慢であり、長い静置時間(約30分)を必要とした。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度を170℃に上げた。残留水分およびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した。反応器の内容物の残りの2/3に対してさらに2回(各回、ストリップした反応混合物合計の1/3を洗浄して)上記プロセスを繰り返した。合計5355gのストリップした粗反応生成物が得られた。
【0105】
実施例23
カリウムt−ブトキシド助触媒を用いるトルエンスチレンテロマー分布(TSTD23)の形成
トルエン1250g(約1.4リットル、13.57モル)を反応器(25ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.28g(4.4ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを80℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、カリウムt−ブトキシド14.01g(0.125モル)、トルエン150g(1.63モル)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン75.70g(TMEDA、0.651モル)で構成された混合物を、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にn−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.125モル中の16.5重量%)48.70gを装填した。トルエン1570g(17.0モル)の合計(初期の装填、カリウムt−ブトキシド/TMEDA溶液を形成するために使用する量、および装填管路を洗い流すために使用する量)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3678g(35.31モル)を、供給速さが供給速度20.43g/分で約
5.2m17フィート)/秒となるように、180分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、100mLのトルエン中の酢酸15.03g(0.250モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:509、M
n:514、M
w:724、M
z:1002、PD:1.41、σ
n=329、
nα
3=1.992。
【0106】
実施例24
カリウムt−ブトキシド助触媒、スチレン:トルエン比1:1を用い、スチレン供給で希釈剤としてトルエンを添加するトルエンスチレンテロマー分布(TSTD24)の形成
トルエン1097g(約1.3リットル、11.91モル)を反応器(30ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.51g(7.9ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを80℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、カリウムt−ブトキシド12.80g(0.114モル)、トルエン480g(5.21モル)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン70.30g(TMEDA、0.605モル)で構成された混合物を、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にn−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.114モル中の16.5重量%)44.43gを装填した。反応器への初期のトルエン装填の合計は、(初期の装填、カリウムt−ブトキシド/TMEDA溶液を形成するために使用する量、および装填管路を洗い流すために使用する量)1747g(16.8モル)であった。
スチレン3004g(28.84モル)をトルエン628g(6.04モル)と合わせ、供給速度17.67g/分(21.4g/分の溶液供給速度)でスチレン供給速さが約
5.5m(18フィート
)/秒となるように、170分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、100mLのトルエン中の酢酸13.72g(0.229モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:404、M
n:484、M
w:714、M
z:1004、PD:1.47、σ
n=334、
nα
3=1.937。後処理手順は、下記条件と共に、実施例10パートBのような一般的な後処理手順に従った。
【0107】
クエンチしたら、反応混合物を、未反応トルエンおよびTMEDAのステンレス鋼反応器内において、昇温減圧下で徐々にストリップした(終了条件の釜温度は160℃で19mmHgの真空)。その混合物は100℃に冷却し、反応器の内容物の一部(約50%)は前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し、新しいトルエン1700gを装填した。TMEDAをストリップした生成混合物は脱酸素水を用いて洗浄した(2x500mL)。相分断は、80℃で行い、緩慢であり、長い静置時間(約30分)を必要とした。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度は170℃に上げた。残留水分およびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した。上記プロセスを反応器の内容物の残りの1/2について繰り返した。ストリップした粗反応生成物の合計3996gが得られた。
【0108】
実施例25
カリウムt−ブトキシド助触媒を用いるトルエンスチレンテロマー分布(TSTD25)の形成
トルエン1188g(約1.4リットル、12.90モル)を反応器(19ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.21g(3.2ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを80℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、カリウムt−ブトキシド14.01g(0.125モル)、トルエン167g(1.81モル)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン74.73g(TMEDA、0.643モル)で構成された混合物を、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にn−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.122モル中の16.5重量%)47.35gを装填した。トルエン1526g(16.6モル)の合計(初期の装填、カリウムt−ブトキシド/TMEDA溶液を形成するために使用する量、および装填管路を洗い流すために使用する量)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3655g(35.09モル)を、供給速さが供給速度20.77g/分で約
5.5m(18フィート
)/秒となるように、176分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、100mLのトルエン中のイソプロピルアルコール14.82g(0.247モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:508、M
n:497、M
w:675、M
z:895、PD:1.36、σ
n=297、
nα
3=1.732。後処理手順は、下記条件と共に、実施例10パートBのような一般的な後処理手順に従った。
【0109】
クエンチしたら、反応混合物の1/3はオイルジャケット付き洗浄反応器に移送した。未反応の無水トルエンおよびTMEDAを、釜温度が150℃に達するまで蒸留によって除去し回収した。トルエンの収集が減速してほぼなくなり、水分が反応器内に生じることによって釜温度が140℃未満に降下するまで、残りのトルエンおよび微量のTMEDAを、水蒸気と共沸で取り出す。水蒸気の注入を中止し、混合物を100℃に冷却した。冷却したら、混合物に徐々に新しいトルエン1700gを装填する。TMEDAをストリップした生成混合物は脱酸素水を用いて洗浄した(2x500mL、85℃)。相分断は、80℃で行い、緩慢であり、長い静置時間(約30分)を必要とした。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度は170℃に上げた。残留水分およびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した。上記プロセスを反応器の内容物の残りの2/3について繰り返した(毎回、ストリップした反応混合物合計の1/3を洗浄して)。ストリップした粗反応生成物の合計4474gが得られた。
【0110】
実施例26
低温度でカリウムt−ブトキシド助触媒を用いるトルエンスチレンテロマー分布(TSTD26)の形成
トルエン1274g(約1.5リットル、13.83モル)を反応器(38ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.43g(6.8ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを76℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、カリウムt−ブトキシド18.17g(0.162モル)、トルエン154g(1.67モル)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン97.96g(TMEDA、0.843モル)で構成された混合物を、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にn−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.162モル中の16.5重量%)62.98gを装填した。トルエン1598g(17.3モル)の合計(初期の装填、カリウムt−ブトキシド/TMEDA溶液を形成するために使用する量、および装填管路を洗い流すために使用する量)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3604g(34.60モル)を、供給速さが供給速度19.27g/分で約
4.9m(16フィート
)/秒となるように、187分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、100mLのトルエン中の酢酸19.47g(0.324モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:521、M
n:546、M
w:842、M
z:1184、PD:1.54、σ
n=402、
nα
3=1.798。後処理手順は、下記条件と共に、実施例10パートBのような一般的な後処理手順に従った。
【0111】
クエンチしたら、反応混合物を、未反応トルエンおよびTMEDAのステンレス鋼反応器内において、昇温減圧下で徐々にストリップした(終了条件の釜温度は160℃で19mmHgの真空)。その混合物は100℃に冷却し、反応器の内容物の一部(約33%)は前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し、新しいトルエン2600gを装填した。TMEDAをストリップした生成混合物は脱酸素水を用いて洗浄した(2x400mL)。相分断は、80℃で行い、緩慢であり、長い静置時間(約30分)を必要とした。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。オイルジャケットの温度を170℃に上げた。残留水分およびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が161℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した。反応器の内容物の残りの2/3に対してさらに2回(各回、ストリップした反応混合物合計の1/3を洗浄して)上記プロセスを繰り返した。ストリップした粗反応生成物の合計4312gが得られた。
【0112】
実施例27
低温度70℃でカリウムt−ブトキシド助触媒を用いるトルエンスチレンテロマー分布(TSTD27)の形成
トルエン1281g(約1.5リットル、13.90モル)を反応器(33ppmの残留H2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.38g(5.9ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを70℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、カリウムt−ブトキシド18.19g(0.162モル)、トルエン164g(1.78モル)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン99.00g(TMEDA、0.852モル)で構成された混合物を、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にn−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.161モル中の16.5重量%)62.40gを装填した。トルエン1615g(17.5モル)の合計(初期の装填、カリウムt−ブトキシド/TMEDA溶液を形成するために使用する量、および装填管路を洗い流すために使用する量)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3722g(35.74モル)を、供給速さが供給速度19.80g/分で約
5.2m(17フィート
)/秒となるように、188分間にわたって
0.16cm(1/16インチ)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、100mLのトルエン中の酢酸19.39g(0.323モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:415、M
n:576、M
w:845、M
z:1155、PD:1.47、σ
n=394、
nα
3=1.694。
【0113】
実施例28
触媒錯体溶解性を向上させるためにTMEDA装填を増やした、カリウムt−ブトキシド助触媒を用いるトルエンスチレンテロマー分布(TSTD28)の形成
トルエン1343g(約1.6リットル、14.58モル)を反応器(31ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.35g(5.5ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水トルエンを80℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、カリウムt−ブトキシド16.33g(0.146モル)、トルエン90g(0.98モル)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン105.71g(TMEDA、0.910モル)で構成された混合物を、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路をトルエン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にn−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン0.146モル中の16.5重量%)56.67gを装填した。トルエン1603g(17.4モル)の合計(初期の装填、カリウムt−ブトキシド/TMEDA溶液を形成するために使用する量、および装填管路を洗い流すために使用する量)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン3671g(35.25モル)を、供給速さが供給速度20.62g/分で約
5.5m(18フィート
)/秒となるように、178分間にわたって
0.16cm(1/16インチ
)の外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、100mLのトルエン中の酢酸17.50g(0.291モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:403、M
n:493、M
w:684、M
z:943、PD:1.39、σ
n=307、
nα
3=2.038。
【0114】
実施例29〜44
先の実施例で形成したTSTDからSTSTDを形成する塗布フィルム条件
以下の実施例は、実験規模の塗布フィルム蒸発器を使用する、本発明のストリップしたトルエンスチレンテロマー分布を形成するための条件および物質収支のデータを提供する。見積った物質収支データ、スチレンおよびトルエンの原料の使用、ならびに合成/洗浄結果(上記)から算定される%収率、ならびにストリップの結果(下記)は表6および7で報告する。
【0115】
実施例29
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布STSTD29の形成
実施例10パートAの一部2416g(反応混合物の49.5%)を、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=180℃、圧力=約0.1mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用してストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂1896gが得られた:Mp:400、M
n:688、M
w:941、M
z:1256、PD:1.37、σ
n=417、
nα
3=1.77。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混合物138gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0116】
実施例30
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布STSTD30の形成
実施例10パートAの一部2176g(反応混合物の50.5%)を、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=180℃、圧力=約0.1mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用してストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂1937gが得られた:Mp:511、M
n:676、M
w:938、M
z:1259、PD:1.39、σ
n=421、
nα
3=1.75。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混合物138gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0117】
実施例31
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布STSTDの形成
実施例12の一部2529g(反応混合物の56.8%)を、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=212℃、圧力=約5.0mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用してストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂2091gが得られた:M
p:403、M
n:577、M
w:762、M
z:1014、PD:1.32、σ
n=327、
nα
3=1.98。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混合物407gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0118】
実施例32
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布STSTD32の形成
トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=185℃、圧力=約55.0mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用して、実施例13パートAの一部3366g(反応混合物の57.4%)からトルエンをストリップし、液体樹脂2439gが得られた。トルエンをストリップした樹脂の一部960g(反応混合物の39.4%)を、WFE(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=208℃、圧力=約5.0mmHgおよび凝縮器温度=0℃)で1,3−ジフェニルプロパンを除去するためにさらにストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂813gが得られた:M
p:410、M
n:587、M
w:772、M
z:1018、PD:1.32、σ
n=330、
nα
3=1.90。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混合物140gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0119】
実施例33
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布STSTD33の形成
トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=185℃、圧力=約55.0mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用して、実施例13パートBの一部2492g(反応混合物の42.6%)からトルエンをストリップし、液体樹脂1793gが得られた。トルエンをストリップした樹脂の一部948g(反応混合物の52.9%)を、WFE(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=208℃、圧力=約5.0mmHgおよび凝縮器温度=0℃)で1,3−ジフェニルプロパンを除去するためにさらにストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂793gが得られた:M
p:410、M
n:590、M
w:769、M
z:1002、PD:1.30、σ
n=325、
nα
3=1.82。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混合物139gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0120】
実施例34
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布STSTD34を形成するテロマーブレンドの形成
実施例14の部分4439g(反応混合物の約100%)を、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=212℃、圧力=約5.0mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用してストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂3673gが得られた:M
p:400、M
n:574、M
w:759、M
z:1009、PD:1.32、σ
n=326、
nα
3=1.95。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混合物702gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0121】
実施例35
テロマーブレンドをストリップしたトルエンスチレンテロマー分布STSTD35の形成
実施例16の部分4474g(反応混合物の約100%)を、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=212℃、圧力=約5.0mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用してストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂3601gが得られた:M
p:411、M
n:581、M
w:769、M
z:1027,PD:1.32、σ
n=330および
nα
3=2.00。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリ
フェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混合物703gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0122】
実施例36
テロマーブレンドをストリップしたトルエンスチレンテロマー分布の形成と次のSTSTD36のストリップ
実施例17パートAの一部2361g(反応混合物の47.0%)および実施例18パートAの一部1291g(反応混合物の30.7%)からブレンドを形成した。これは以下の分析値を有する:M
p:304、M
n:440、M
w:639、M
z:905、PD:1.45、σ
n=296、
nα
3=2.07。このブレンドを、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=170℃、圧力=<0.1mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用してストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂2651gが得られた:M
p:406、M
n:547、M
w:706、M
z:923、PD:1.29、σ
n=295、
nα
3=1.95。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混合物422gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0123】
実施例37
テロマーブレンドをストリップしたトルエンスチレンテロマー分布の形成と次のSTSTD37のストリップ
実施例17パートBの一部2643g(反応混合物の53.0%)および実施例18パートBの一部1037g(反応混合物の24.6)からブレンドを形成した。これは以下の分析値を有する:M
p:305、M
n:437、M
w:631、M
z:888、PD:1.44、σ
n=291、
nα
3=2.04。このブレンドを、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=165℃、圧力=<0.1mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用してストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂2955gが得られた:M
p:302、M
n:530、M
w:686、M
z:900、PD:1.29、σ
n=288、
nα
3=1.97。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混合物500gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0124】
実施例38
2つのストリップしたトルエンスチレンテロマー分布STSTDS38からのテロマーブレンドの形成
実施例31からのSTSTD31 2086gおよび実施例34からのSTSTD34
1985gおよび乾燥したBCM7000gからブレンドを製造した。これは以下のGPC分析値を有する36.8重量%を形成した:M
p:406、M
n:582、M
w:763、M
z:1004、PD:1.31、σ
n=325、
nα
3=1.89。
【0125】
実施例39
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布STSTD39の形成
実施例19の4385gの部分(反応混合物の100%)を、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=212℃、圧力=約5.0mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用してストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂3664gが得られた:M
p:513、M
n:656、M
w:903、M
z:1246、PD:1.38、σ
n=403、
nα
3=2.10。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混
合物348gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0126】
実施例40
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布STSTD40の形成
実施例20の5008gの部分(反応混合物の100%)を、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=155℃、圧力=<0.1mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用してストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂3926gが得られた:M
p:500、M
n:616、M
w:823、M
z:1096、PD:1.34、σ
n=357および
nα3=1.89。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混合物170gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0127】
実施例41
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布STSTD41の形成
実施例22の5255gの部分(反応混合物の100%)を、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=157℃、圧力=<0.1mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用してストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂3946gが得られた:M
p:517、M
n:606、M
w:776、M
z:1008、PD:1.28、σ
n=321、
nα
3=1.94。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混合物229gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0128】
実施例42
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布STSTD42の形成
実施例24の3787gの部分(反応混合物の100%)を、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=212℃、圧力=約5.0mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用してストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂2882gが得られた:M
p:408、M
n:606、M
w:794、M
z:1047、PD:1.31、σ
n=338、
nα
3=1.93。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混合物467gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0129】
実施例43
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布STSTD43の形成
実施例25の4330gの部分(反応混合物の100%)を、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33L/時、オイルジャケット温度=165℃、圧力=<0.1mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用してストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂3944gが得られた:M
p:504、M
n:565、M
w:713、M
z:909、PD:1.26、σ
n=289および
nα
3=1.82。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混合物378gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0130】
実施例44
ストリップしたトルエンスチレンテロマー分布STSTD44の形成
実施例27の4279gの部分(反応混合物の100%)を、トルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの塗布フィルム蒸発器(WFE)(WFE条件:供給速度=1.33
L/時、オイルジャケット温度=175℃、圧力=<0.1mmHgおよび凝縮器温度=0℃)を使用してストリップし、以下のGPC分析値を有する液体樹脂3664gが得られた:M
p:501、M
n:653、M
w:882、M
z:1176、PD:1.35、σ
n=387、
nα
3=1.83。1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルプロパンおよび1,3,5,7−テトラフェニルヘプタンから主として構成された混合物292gをコールドフィンガーで凝縮した。
【0131】
表3〜5において、スチレン/トルエン/時間は、時間当たりトルエンモル数当たり供給されたスチレンのモル数を示し、スチレン/ブチルリチウム/時間は、時間当たり(最初に装填された)ブチルリチウムのモル数当たり供給されたスチレンのモル数を示す。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0132】
表4に示されるように、実施例11および15の結果は、本発明の特有のトルエンスチレンテロマー分布を形成するためには、反応混合物に対してスチレンを制御しつつ、しかし非常に高速の供給をすることが重要であることを明確に実証する。実施例11において、トルエン1モル当たりスチレン3モルを供給し、その平均値M
w、PDI、σ
nおよび
nα
3に関して他の実施例から分子量分布の著しい乖離がない。実施例15において、実施例11の場合と同様の供給に対してスチレン供給はわずか6分で停止させ、結果として得られたテロマー分子量分布は平均値M
w、PDI、σ
nおよび
nα
3に関して他の実施
例から著しく逸脱しなかった。唯一の金属成分としてアルキルリチウムから形成された触媒を使用するこれら2つの実施例の、本発明の激しく混合して、高度に分散した一様な反応混合物についての結果は、デッドテロマー鎖成分χ
iの分布の形成が、時間の微分値(dt)に対する各スチレン供給の微分の増分(ds)、すなわちスチレン供給速度(ds/dt)を主として特徴とすることを明確に示す。これらの結果は、本発明のこれらの条件の下では、デッドテロマー鎖成分χ
iの再生は認められず、最終生成分布は、単純に漸増的に生成したデッドポリマー鎖の全集団の時間平均した合計であることを実証している。したがって、本発明の重要な特色は、非常に限定的な歪みおよび低い非対称性を有する狭くて非常に低い分子量のトルエンスチレンテロマー分布が、非常に迅速なスチレン供給速度によって非常に低い触媒装入で達成されるという驚くべき結果である。これは先行技術の教示のすべてに反することである。
【0133】
表5の実施例によって表すプロセス技術は1,3−ジフェニルプロパンのレベルの減少という明瞭な利点を有する。直前の段落で論じた特異的なリチウムプロセスの場合には、デッドテロマー鎖成分の分布は、急速な増分のスチレン供給速度(ds/dt)によって主として決まることをこの結果は実証している。しかし、カリウムt−ブトキシド系助触媒が添加されるこれらの条件下では、主としてデッド成分連鎖χ
1のみの再生が可能であり実際にそれが起こる。その結果、1,3−ジフェニルプロパンの多くからの反応し、高分子量成分鎖(χ
i)を形成して、それによって重量平均分子量M
wの増加なしで、、またより重要なことにはz平均分子量M
zの増加およびその結果として生じる歪みおよび非対称性の増加なしで、トルエンスチレンテロマー分布の総収量を向上させる。したがって、金属助触媒が使用される本発明のこのプロセス技術はまた、本発明の臭素化スチレンポリマーの製造に適切なトルエンスチレンテロマー分布も製造する。
【0134】
しかし、触媒の金属部分がリチウムのみからなるプロセスとは対照的に、触媒の金属部分がリチウムおよびカリウムから形成される場合、触媒の溶解性が問題になる。これは、プロセス技術に関して表5に示す結果が関係している。ここで、カリウムt−ブトキシドおよび追加のTMEDAについては、Kモル:Li(活性)モル=1:1、Kモル+Liモル(Li合計としての):TMEDAモル=1:2.5である(活性Liモルには初期装填したトルエンを乾燥するために添加したブチルリチウムを含まず、Liモル(合計)は触媒装填およびトルエンの乾燥に必要とされる量を含む。)。分子量分布に対して形成された分子の分布を点検したが、予想される傾向に必ずしも従うとは限らないことを示す。本発明者らは、金属がリチウムのみからなる触媒と異なり、形成された触媒のある組成および濃度については、反応混合物から沈殿し、事実上触媒活性を低下させる傾向があることを発見した。このデータは、カリウムt−ブトキシド、n−ブチルリチウム、Li
2O(溶媒中の水分および乾燥に使用されるブチルリチウムからの)およびTMEDAの非常に狭い組合せで触媒を形成するという論点を指摘している。実施例28は、装填した金属の合計に対してTMEDA装填を2.5:1〜3.0:1に増加させることは結果の再現性を向上させるが、非対称性をいく分損失することを実証している。
【0135】
比較例45〜48
比較例45は、本発明のトルエンスチレンテロマーの分子量範囲の分子量を有するベンジルオリゴスチレン分布を形成する陰イオンポリスチレン系プロセスのプロセス非効率性を比較によって実証する。比較例46〜48は、欧州特許出願公開第0741147A1号の実施例4を繰り返した場合に、本発明者らが得た結果を例証する。欧州特許出願公開第0741147A1号の実施例4に報告した結果と一緒に、これらの実験結果を表8に要約する。
【0136】
この結果は、先行プロセス技術から形成された生成物分布のタイプおよび形状が、高度に分布する高分子量の裾を有することを特徴とすることを明確に立証している。高分子量
ポリマー成分鎖がこのように過剰量存在すると、このような分布を臭素化して本発明の臭素化スチレンポリマーを形成することができなくなる。さらに、欧州特許出願公開第0741147A1号のプロセス技術によって形成される高分子量分率の特徴的な高率は、欧州特許出願公開第0741147A1号の分布を臭素化すると高いガラス転移温度を与えるであろう。高いガラス転移温度を有するこのような臭素化物質は、本発明の臭素化スチレンポリマーによって提供される所望のメルトフロー特性および好都合な衝撃特性を提供できないであろう。
【0137】
比較例45
陰イオンポリスチレンベンジルオリゴスチレンの形成
トルエン(無水等級)(2162g)(約2.5リットル、23.46モル)を反応器に装填し、50℃に加熱した。設定ポイント温度に達したら、n−ブチルリチウム溶液308.8g(2.0M、シクロヘキサン0.795モル中の16.5重量%)を、装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)トルエン溶液に液面下で送達した。容器および管路は、トルエン250mLのアリコートを用いて洗い流し、次にトルエン250mLに溶解したN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン115.77g(TMEDA、0.997モル)を装填した。撹拌は850RPMに上げ、TMEDAを反応器液面下にポンプ注入した。装填ポンプは、トルエン400mLのアリコートを用いて洗い流した。反応器を45℃に冷却した。トルエン3808g(41.33モル)の合計(初期の装填および装填管路を洗い流すために使用するもの)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。トルエン482gに溶解したスチレン512g(4.92モル)を、浸漬脚部を通して40分で反応器に供給した。スチレン供給が完了に近づいたら、トルエン500mLを、スチレン供給系統および管路に装填し、それによって反応性スチレンモノマーを完全に洗い流した。反応器へのスチレンの供給は、反応熱がもはや観察されなくなった時が完了であると判断し、これは、巻きつくコイル(coiling coils)の自動制御弁の閉鎖によって一般的に示された。次いで、触媒は、イソプロピルアルコール50.1g(0.835モル)を含有するトルエン500mLを装填してクエンチする。
【0138】
反応混合物のおよそ1/2を、前もって85℃に加熱した洗浄容器に移送し、次いで、脱酸素水(300mL)を用いて洗浄した。相分断は80℃で行い、迅速であり、静置時間はほとんど必要としなかった。水およびいずれの断片または乳濁液も底部ドレーンバルブを通して除去した。アリコートを、GPCによって分析するために取り出した(M
p:714、M
n:670、M
w:763、M
z:843、PD:1.14、σ
n=250および
nα
3=0.318)。オイルジャケットの温度を170℃に上げた。シクロヘキサン、残留水分、TMEDAおよびトルエンは単蒸留ヘッド(1気圧)によって蒸留した。釜温度が148℃に達したとき、物質を冷却し窒素パージした瓶に排出した。物質の第2の半分は、全く同一の手法で処理し、後処理の後、同一の瓶に入れた(558g)。したがって、APSベンジルオリゴスチレン558gは、スチレン512gおよびブチルリチウム0.795モルから製造された。
【0139】
比較例46
限定された連鎖移動剤を有する大量の希釈剤中で反応混合物を形成する比較例
トルエン1325g(約1.7リットル、15.74モル)を反応器(12ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.30g(4.7ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水シクロヘキサンを70℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、カリウムt−ブトキシド9.14g(0.081モル)、シクロヘキサン80g(0.95モル)、エチルベンゼン236.6g(2.23モル、100ppmの水)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン50.30g(TMEDA、0.433モル)で構成された混合物を装填容
器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)シクロヘキサン溶液に液面下で送達した。容器および管路は、シクロヘキサン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にn−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン中の16.5重量%、0.081モル)31.47gを装填した。トルエン1563g(18.57モル)の合計(初期の装填、カリウムt−ブトキシド/TMEDA溶液を形成するために使用する量、および装填管路を洗い流すために使用する量)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン1648g(15.82モル)を、供給速度が供給速度4.50g/分で約3.82フィート/秒となるように、366分間にわたって1/16インチの外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、100mLのトルエン中のイソプロピルアルコール9.76g(0.163モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:1598、M
n:1056、M
w:2027、M
z:3377、PD:1.92、σ
n=1010、
nα
3=2.699。
【0140】
比較例47
限定された連鎖移動剤を有する大量の希釈剤中で反応混合物を形成する比較例
トルエン1290g(約1.7リットル、15.33モル)を反応器(18ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.35g(5.5ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水シクロヘキサンを70℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、カリウムt−ブトキシド10.36g(0.092モル)、シクロヘキサン82g(0.98モル)、エチルベンゼン238.6g(2.25モル、131ppmの水)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン57.42g(TMEDA、0.494モル)で構成された混合物を装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)シクロヘキサン溶液に液面下で送達した。容器および管路は、シクロヘキサン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にn−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン中の16.5重量%、0.094モル)36.36gを装填した。トルエン1526g(18.13モル)の合計(初期の装填、カリウムt−ブトキシド/TMEDA溶液を形成するために使用する量、および装填管路を洗い流すために使用する量)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチレン1675g(16.08モル)を、供給速度が供給速度4.47g/分で約3.79フィート/秒となるように、375分間にわたって1/16インチの外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、100mLのトルエン中のイソプロピルアルコール11.17g(0.186モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:1585、M
n:1046、M
w:2055、M
z:3471、PD:1.96、σ
n=1030、
nα
3=2.771。
【0141】
比較例48
限定された連鎖移動剤を有する大量の希釈剤中で反応混合物を形成する比較例
トルエン1318g(約1.7リットル、15.66モル)を反応器(15ppmの残留H
2O)に装填し、n−ブチルリチウム0.16g(2.5ミリモル)を添加することによってさらに無水にしたこと以外、実施例10の手順を繰り返した。無水シクロヘキサンを70℃に加熱し、設定ポイント温度に達したら、カリウムt−ブトキシド10.36g(0.092モル)、シクロヘキサン94g(1.12モル)、トルエン206.3g(2.24モル、31ppmの水)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン55.45g(TMEDA、0.477モル)で構成された混合物を装填容器を通して装填し、穏やかに撹拌した(300rpm)シクロヘキサン溶液に液面下で送達した。容器および管路は、シクロヘキサン100mLのアリコートを用いて洗い流し、次にn−ブチルリチウム溶液(2.0M、シクロヘキサン中の16.5重量%、0.093モル)36.14gを装填した。トルエン1554g(18.46モル)の合計(初期の装填、カリウムt−ブトキシド/TMEDA溶液を形成するために使用する量、および装填管路を洗い流すために使用する量)を、スチレン供給を始める前に反応器に装填した。スチ
レン1644g(15.78モル)を、供給速度が供給速度4.46g/分で約3.78フィート/秒となるように、369分間にわたって1/16インチの外径の供給管路を通して供給した。反応混合物は、100mLのトルエン中のイソプロピルアルコール11.13g(0.185モル)を用いてクエンチした。反応混合物のアリコートで以下のGPC分析をした:M
p:1331、M
n:877、M
w:1597、M
z:2608、PD:1.68、σ
n=795、
nα
3=2.624。
【表8】
【0142】
比較のベンジルオリゴスチレンおよびエチルベンゼンスチレンテロマー分布形成プロセス
比較例45は、NakamuraおよびTsukaharaによって独立して報告された限定された実験の詳細と適合し、熱可塑性樹脂の広範囲の用途の臭素化難燃剤を形成するのに有用な分子量範囲のベンジルオリゴスチレンの形成に付随するプロセスの非効率性を実証している。1.14の多分散性指数、250ダルトンの標準偏差および0.318の非対称性を有する763M
wのベンジルオリゴスチレン558gは、ブチルリチウム0.795モルを消費し、TMEDA1.0モルを必要として、トルエン(物質収支によって求められた)約46g、スチレン512g(4.92モル)から形成された。このようなガウス形分布を形成するには有用であるが、このプロセスは、この重量平均分子量のポ
リマー臭素化難燃剤の形成に経済的に適切な基剤を製造することについてはコストが法外に高い。
【0143】
比較例46〜48は、欧州特許出願公開第0741147A1号の実施例4にその開示において記載された反応条件を模倣するように設計している。本出願の背景技術の部で指摘したように、欧州特許出願公開第0741147A1号はM
nおよびM
wのみを報告し、M
zは報告していない。M
zなしでは、形成された分布の形状を歪みおよび非対称性に関して評価することはできない。その結果として3つの比較例、実施例46〜48を実施した。2つは欧州特許出願公開第0741147A1号のエチルベンゼンを含み、1つはトルエンを含む。χ
iの重量分率の分布であるX
i、成分鎖χ
iの分布を形成した実施例は、式(7)で与えられる対数正規確率密度関数(LNPDF)に適合する。モデルおよびこの比較試験の結果は上記表8にある。対数正規PDFに基づくと、欧州特許出願公開第0741147A1号実施例4に対してM
z=2381の値が予想される。確率変数χ
iの対数正規確率密度分布(規格化した場合、X
iすなわち重量分率)は、乗法確率が存在する場合に確立する。欧州特許出願公開第0741147A1号において開示されたプロセス技術について、確率密度またはχ
iを定義する第1の乗法確率(P
tr CTA、i)は、デッドポリマー成分鎖χ
iを形成する連鎖移動剤(CTA)からの連鎖移動である。第2の乗法確率(P
ri)は、連鎖移動剤のイオン化形を含む、連鎖移動の逆反応によるχ
iの再生である。第3の乗法確率は、連鎖移動がデッドポリマー成分鎖χ
iとリビングポリマー成分鎖χ
jの間に起こる確率P
tr i,jである。表8に報告した結果は、そのような反応に関与する少なくとも成分鎖χ
i分率についてほぼ平衡のプロセスにおける、リビング鎖からデッド鎖への連鎖移動に関して、欧州特許出願公開第0741147A1号に開示されたプロセスの説明と矛盾しない。これらの結果に基づくと、その成分鎖χ
1−χ
7は事実上そのような平衡に関与するように見える。たとえあったとしても、より高分子量鎖はあまり効果的に関与することができない。このようなプロセス技術は、高度に分布する高分子量の裾を有する望ましくない分布を製造し、そのため本発明の臭素化難燃剤の形成に全く適していない。
【数9】
かつ、前と同様に
【数10】
同様に
【数11】
【0144】
本発明のスチレンポリマーの臭素化分布
本発明の実施において、芳香族炭化水素の臭素化のためのいかなる公知の方法も使用することができる。一般に、臭素化は光が存在しない状態で行い、臭素化剤として好ましくは元素の臭素を使用する。臭素化は、無水物の条件下でハロゲン化アルミニウムまたはハロゲン化第二鉄触媒などの適切なルイス酸触媒を使用して行う。脂肪族炭素原子上の臭素化を最小限に抑えるために、反応を、好ましくは約25℃未満の温度で行う。臭素化溶媒、例えばジブロモメタン、二臭化エチレン、ブロモクロロメタン、ジクロロメタン、二塩化エチレンが、本方法で通常使用される。
【0145】
実施例BR−49〜BR−80
本発明の実施において使用する好ましい臭素化技術
本発明の好ましいプロセスは、臭素化剤を用い触媒量のハロゲン化アルミニウム触媒の存在下において本発明のスチレンポリマーの分布を臭素化することを含む。望ましくは、本発明のプロセスで使用するハロゲン化アルミニウム触媒の最初の形は、AlCl
3またはAlBr
3としてである。AlCl
3は、適切な希釈剤中で望ましくはスラリー化する。代替として、クロリド臭化物交換(トランスハロゲン化)によってAlCl
3を反応させ、液体希釈剤中で溶解性が向上した、混合または部分混合したクロロブロモアルミニウム三ハロゲン化物を生成することができる。AlBr
3を使用する場合、臭素に予めそれを溶解するのが望ましい。本発明の臭素化プロセスは、バッチ、セミバッチとしてまたは連続プロセスとして行うことができる。
【0146】
前に述べたように、本発明の好ましいプロセスは、供給が、反応器の液状内容物(通常供給開始時の液体溶剤残留物および供給が始まった後の粗反応物)の液面下であり、また、供給が、初期の反応器内容物と共に本発明の臭素化スチレンポリマー分布、AlBr
3および溶媒を少なくとも含む粗反応物を形成し、トルエンスチレンテロマー分布が、臭素化剤およびAlBr
3の合同または別々の供給に近接してまたは同時に、溶質として供給されることをさらに特色とすることができる。粗反応物はまた未反応の臭素化剤を含むことができる。すべての場合において恐らく存在する別の種類の不純物はN−ブロモアミンであり、これは望ましくない着色体および熱不安定性臭素を生じる疑いがある。これらのN−ブロモアミンは、本発明のスチレンポリマー分布中に存在すると疑われるアミン成分または不純物から形成するであろう。これらは連鎖移動重合促進剤(TMEDA)に由来すると疑われている。
【0147】
本発明のスチレンポリマー分布の原料に選択される溶媒は、供給が始まる前に、反応器に予備装填する溶媒と同じであるのが好ましい。
【0148】
本発明のスチレンポリマー分布および反応器予備装填において使用する溶媒は、次の例示の溶媒のいずれかから選択することができる;ジクロロメタン、ジブロモメタン、ブロモクロロメタン、ブロモトリクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジブロモエタン、1,1−ジブロモエタン、1−ブロモ−2−クロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、1,2−ジブロモプロパン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、2−ブロモ−2−メチルプロパン、1−ブロモペンタン、1,5−ジブロモペンタン、1−ブロモ−2−メチルブタン、1−ブロモヘキサン、1−ブロモヘプタン、ブロモシクロヘキサン、ならびにこれらの液体の異性体、同族体、または類似物、および前述のものの任意の2種以上の混合物。好ましい溶媒はジクロロメタン、ジブロモメタンおよび1,2−ジクロロエタンである。ブロモクロロメタンは特に好ましい溶媒である。
【0149】
選択する溶媒が何であっても、水を相対的に含まないように守ることが重要である。当分野においてよく認識されているように、臭素化の間の反応系において、水はハロゲン化アルミニウム触媒の触媒活性に影響する。一般に、溶媒が約50ppm(重量/重量)未満の水を含むのが最もよい。水に関して、反応体はすべて乾燥していなければならない。臭素化剤(例えば臭素)は、約30ppmを超える水を含むべきでない。本発明のトルエンスチレンテロマー分布はまた、臭素化に有害な量の水を導入しないように十分に乾燥していなければならない。
【0150】
本発明のトルエンスチレンテロマー分布の原料中の溶媒の量は、少なくとも自由流動する低粘性溶液の形成を可能にする量である。本発明のトルエンスチレンテロマー分布が液体である場合には、溶媒を含まない本発明のトルエンスチレンテロマー分布原料の使用を考えることができる。しかし、溶媒の使用は、本発明のトルエンスチレンテロマー分布原料を希釈するのを助け、効率的な臭素化が反応物中で生じるので、好ましいことが見出さ
れた。一般に、溶媒がブロモクロロメタンである場合、本発明のトルエンスチレンテロマー分布の原料の約60〜約80重量%は溶媒である。溶媒の好ましい量は65〜約75重量%である。受け入れがたい量の不純物の形成を導入せず触媒しない固体吸収剤(臭素化に先立って、極性種を除去する酸性酸化アルミニウムなどの)を用いて、臭素化溶媒に溶かした本発明のトルエンスチレンテロマー分布の溶液を処理するのが有利であることが示された。そのような処理によって320℃もの高い温度での熱HBr安定性が増す。受け入れがたい量の不純物の形成を導入せず触媒しない他の適切なabsorbantsは、市場で入手可能である。Amberlyst(登録商標)またはAmberlyte(登録商標)樹脂(Rohm & Haas Company)の酸性形、Dowex(登録商標)樹脂(The Dow Chemical Company)の酸性形などの物質は、この処理手順で使用されるabsorbantsとしての使用に対して適切と認められる。高い表面シリカゲル、酸化アルミニウムの中性および塩基性形態ならびにある種の酸性ゼオライトも、この処理手順で使用するのに適切であると考えられる。
【0151】
反応体および触媒の供給の前に反応器に溶媒を予備装填することで、十分な量の質量が十分な吸熱を実現し、副生成物であるHBrの溶解熱と合わせた臭素化反応の発熱を分散させ、その結果、「ヒートキック(heat kick)」すなわち温度急騰が、上記のように供給される近傍で最小限に抑えられる。この目的のためにはまた、粗反応器内容物/粗反応物を撹拌し、その中の熱的および物質的な一様性を促進することが好ましい。HBrで既に飽和した先の運転で得た残留物を使用すると、反応器の冷却装置についての初期の需要を低減し、その理由よっていくつかの実用的構成において好ましい。
【0152】
AlBr
3は、例えば臭素中の溶質として、臭素化剤供給とは別に供給することができるが、そのような別々の供給スキームは好ましくない。プロセスの単純性は、臭素化剤を臭素とし、AlBr
3および臭素を単一供給として供給するよう、要求する。AlBr
3は臭素に容易に溶ける。供給するAlBr
3の量は、別々であろうと臭素供給との組合せであろうと、次式を使用して算定されるように、供給した臭素のモル当たり約0.3〜約1モル%のAlBr
3を提供するのに十分な触媒量である:
【数12】
供給する臭素の量は、副生成物HBrと共に、臭素塔頂留出物の一部の少量の消失を仮定して求められる、所望の臭素化レベルを達成するのに必要な量である。したがって、例えば、約73.4〜約74.5重量%の臭素含有率を得ることを望む場合、存在するフェニル基の1モル当たり約3.5〜約3.8モルの臭素を供給する。トルエンスチレンテロマー分布(I)
【化9】
に対して存在するフェニル基のモル数は下記式から与えられる:
フェニル基(モル)/トルエンスチレンテロマー(モル)=2+n
average=2+[(M
n−196.29)/104.15].
【0153】
代替としてまたより好都合なことに、下記の式に基づいて臭素を簡単に装填することができる:
a)Br重量=Br重量%・臭素化SSPDの重量
b)臭素化SSPDの重量≒未臭素化SSPDの重量/(1−Br重量%)
備考:b)において、近似は、臭素に置換されたプロトンを考慮しないで小量の質量を無視した結果である。
したがって、
c)Br重量≒Br重量%・[未臭素化SSPDの重量/(1−Br重量%)]、
また、
d)臭素のモル数=2・Br重量/159.81
e)臭素のモル数≒2・Br重量%*[未臭素化SSPDの重量/(1−Br重量%)]/159.81
【0154】
所望の重量%臭素を得るためにちょうど必要な臭素の量にできるだけ近く供給するのが好ましい。過剰の臭素を供給した場合、その過剰分の少なくとも一部は粗反応物中にあり、下流の仕上げステップで除去しなければならない。
【0155】
粗反応物中の過剰臭素の存在についての理由が何であろうと、そのような過剰臭素を除去するために当業界で認識された従来の手法を使用することができ、例えば還元剤(例えば亜硫酸ナトリウム)を使用して臭素を水溶性の臭化物塩に変換する。しかし、この種の還元剤を使用すると、下流の仕上げステップのいくつかの間で、乳濁液および/または断片の形成を助長する傾向があることが観察されている。そのような乳濁液または断片層は、分離困難およびプロセス非効率の原因となる。
【0156】
本発明のトルエンスチレンテロマー分布、臭素化剤およびAlBr
3の供給は、反応器内容物/反応物の液面下に、および互いに近接してなされるべきである。本発明の原理は本発明のトルエンスチレンテロマー分布の臭素化が迅速に起こることである。本発明の臭素化の反応速度は反応速度論により非常に高速である。したがって、本発明の方法において、律速因子は物質移動の速度である。したがって、反応体および触媒が互いに接近するように、近傍への供給が設計されている。高速の臭素化を保証する別の因子は臭素を含む溶液中のAlBr
3の供給である。臭素はAlBr
3を予め活性触媒状態に条件付けし、その結果、最初供給されたときに触媒は活性となっていると考えられる。供給が隣接するのを保証する一手法は、隣接して平行の、または直接衝突する方向に供給が放出するように反応器内容物/反応物の中へ供給管が一緒に保持されるようにすることである。
【0157】
供給を反応器内容物/粗反応物の液位の下に放出させるのは、供給する領域からの熱放散を確保するので有益である。供給する領域での「過熱部(hot spot)」は、実用的に可能な範囲で回避すべきである。さらにまた、反応器内容物/粗反応物の撹拌もまた熱放散を助ける。
【0158】
反応器への溶媒の予備装填量は、必要以上の材料取扱費でププロセスに負担をかけることなく、熱放散機能を遂行するのに必要な量とすべきである。
【0159】
反応器のサイズおよび設計、扱わなければならない発熱、および熱管理において助ける利用可能な冷却、利用可能な供給装置およびHBr副生ガスを安全に取り扱う能力を考慮しつつ、個々の原料の供給速度を可能な限り高くするべきである。可能な供給速度が高いほど、プロセスは効率的である。
【0160】
共供給の間、反応器内容物/粗反応物は、実質的に臭素化のすべてが起こるまで、約−20℃〜約5℃の範囲内の、好ましくは約−10℃〜約0℃の範囲内の温度に保つべきである。反応器への供給は、ほぼ常温で供給するのが都合よい。上述の反応器内容物/粗反応物温度を得るために、反応器は適切な冷却手段を備えている。実際には、供給領域に接近して温度を測定するべきである。
【0161】
臭素化の間の反応器中の圧力は重要ではないが、加圧が標準である。しかし、超高圧は設備要件および安全問題の文脈において好ましくない。自原性の圧力は差し支えない。
【0162】
反応体および触媒の供給に続いて、臭素化が終了したことを確認するために、反応物が滞留時間を経ることは差し支えない。約74重量%臭素で臭素化する場合、約7℃に温度を上げて供給した臭素の消費を容易にし、実際的である限り多量が反応し尽くすのを助けることは差し支えない。従事者が何らかの乳濁液および断片層の困難を回避するために、最初の水クエンチの間で亜硫酸塩またはチオ硫酸塩系臭素還元剤の使用を控えることを決定する場合には、これは特に望ましい。滞留を全く控えて、ヒドラジン水和物を含む洗浄溶液に反応器内容物を移送することは可能である。亜硫酸塩およびチオ硫酸塩の臭素還元剤と異なり、ヒドラジン水和物の使用には乳濁液または厚い断片層が伴わない。
【0163】
供給が完了し、滞留時間がもしあればそれが済んだ後、粗反応物を反応器から取り出し、水中でクエンチする。前述のように、粗反応物、または、さらに言えば、臭素化の後段で処理する何らかの有機相が、未反応の臭素を含む場合、そのような臭素含有率は、還元剤の使用によって下げるまたはなくし、臭素を水溶性臭化物に変換することができる。しかしもう一度繰り返すが、そのような還元剤、特に、亜硫酸塩の使用は乳濁液形成を引き起こす場合があり、ハンター溶液色度値試験においてより高いΔE値を有する生成物をもたらすことがある。したがって、重亜硫酸塩もしくは亜硫酸塩、または他の硫黄系の臭素還元剤も使用しないことが推奨される。
【0164】
クエンチは常温で実施するのが都合よい。また、概して言えば、残留HBrの溶解熱以外の熱は、相分離を達成するためには必要ではない。臭素および他の活性な臭素化種が存在し得るので、混合物の加熱を最小限に抑えて、かつ可視光への暴露を制限するのが好ましい。これは、熱不安定性臭素含有率を確実に低くするのを助けるのを、ある程度まで支援する。本発明のよりさらに好ましい実施形態において、ヒドラジン水和物はクエンチする洗浄水に添加され直ちに未反応臭素を処理する。ヒドラジンは、さらに他の活性な臭素種が存在する場合、その活性を減じることができる。
【0165】
水クエンチにはAlBr
3の失活としての滞留時間がなく、臭素の還元は、粗反応物がクエンチ水またはクエンチ水還元剤溶液に供給する時とほぼ同時である。クエンチが完了すれば、2つの明確な相、水相および有機相が形成される。有機相は溶媒および本発明の臭素化スチレンポリマー分布を含んでおり、さらに処理を必要とする。
【0166】
水クエンチおよび相分離、および何らかの追加の臭素除去ステップ(水抽出または蒸留)が完了した後、本発明の好ましい特徴は、塩基性水素化ホウ素ナトリウム溶液を用いて有機相を洗浄することである。ホウ化水素およびそのボラン副生成物は作用して、有効な(available)未反応の臭素化剤、例えば臭素(なお存在する場合)を含有する、有効な活性臭素種、および未反応の臭素化剤(例えば次亜臭素酸塩および/または次亜臭素酸)から形成される任意の有効な誘導体、また任意の有効なN−ブロモアミンを変換し、その結果、臭素および活性な臭素種が還元される。ただし、N−ブロミドの場合には、この物質が臭化ナトリウムおよび遊離アミンに還元される。臭素化ポリスチレンの製造において臭素を還元する水素化ホウ素ナトリウムの使用は知られている。しかし、本発明の好ましい方法の新規の特徴は、水素化ホウ素ナトリウムの苛性アルカリ溶液を使用して、臭素化テロマー分布に伴うN−ブロモアミン由来の着色体の量を減少させることである。したがって、本発明の方法にとって、水素化ホウ素ナトリウムには、主要な機能、すなわち、存在するN−ブロモアミンの量を減少させること、また二次的機能、すなわち存在する臭素の相当量を減少させること、がある。したがって、定量的には、使用する水素化ホウ素ナトリウムの量は、両方の機能を扱うのに必要な量である。この段落において、活性臭素種、未反応臭素化剤、未反応臭素化剤から形成された誘導体およびN−ブロモアミンに関連して使用する用語「有効な」は、識別した物質が、水素化ホウ素ナトリウム溶液との単なる接触によっては除去することができない程度には固形分内に閉じ込められてい
ないことを示す。
【0167】
水素化ホウ素ナトリウム苛性水溶液が有機相を処理するために使用されると、水相が形成される。水素化ホウ素ナトリウム溶液のpHは、形成された水相が有機相に接している間、形成された水相は約10および約14の間のpHを呈している。
【0168】
処理する溶液の好ましい水素化ホウ素ナトリウム含有率は、処理する溶液の全重量に対して約0.05〜約1.0重量%水素化ホウ素ナトリウの範囲内にある。
【0169】
苛性水素化ホウ素ナトリウムステップの重要な特色は、処理の期間、約45℃を超える、好ましくは約54℃〜約62℃の範囲内の温度で1気圧に維持することである。実験によると、高温度がもたらすN−ブロモアミンに由来する着色体および熱不安定性臭素を、室温では高度に減衰できないことを示した。しかし、酸性ヒドラジン水和物の後に続いて、水素化ホウ素ナトリウムを使用する場合には、クエンチ洗浄、次いで、室温水素化ホウ素処理を使用することができる。実際、水和ヒドラジンを使用する場合、DE、YIおよび熱色度安定性によって測定される製品品質の軽微な犠牲を伴うのみで、水素化ホウ素処理を控えることは可能である。室温苛性洗浄(5%NaOHで十分である)は簡便に使用することができる。それでもなお、生成物の安定性の見地から、水素化ホウ素処理はより好ましい実施形態である。
【0170】
処理温度には、少なくとも処理の恩恵を得るために必要な長さの時間維持するが、一般に、少なくとも約30分は足りて余りあると見なされる。従事者はその人のニーズに合わせて、時間の長短を選択することができる。一般に、実験によると、有機相および水性混合物(処理中に混合される)は、約45℃〜50℃で顕著に薄まり始まる。理論的には、存在するN−臭化物および任意のN−スルフィドおよび/またはN−酸化物種は、第四級、すなわち帯電種であるかまたは少なくとも高極性種である。このような種は、よく混合した有機および塩基性水相の濃厚化に関係する。これは、混合に使用される撹拌器駆動装置の電流が増加することでわかる。45℃を超え54℃によりに近い温度では、そのような濃厚化はなくなり、駆動装置の電流は減少する。45℃未満の温度では濃厚化が起こり、時には不完全な相分離が観察される。より高温度が達成されれば濃厚化現象はなくなり、特に54℃を超える温度が使用される場合、相分離はほぼ瞬間的である。
【0171】
上記の水溶性苛性水素化ホウ素ナトリウム処理または洗浄の使用は、水クエンチステップおよび相分離の後のいつでも、また下流の仕上げ段階の任意の回収有機相で使用することができる。
【0172】
水素化ホウ素ナトリウム処理に先立って有機相のかなりの発熱を回避するのが好ましい。したがって、水素化ホウ素処理に先立って35℃未満の温度が好ましい。
【0173】
最終洗浄の後、有機相は水相から分離し、湯、例えば約90℃〜約100℃の湯に供給し、存在する溶媒を取り除き、水相中に固形分を与える。温度の維持は、水を還流温度に保つことにより達成することができる。この除去法は、臭素化ポリスチレン製造の当分野では周知されている。
【0174】
溶媒を除去したら、従来の手段、例えば濾過などによって固形分を水から分離する。次いで、分離した固体は、固体のT
gをもう一度念頭に置きつつ従来の乾燥法によって乾燥する。乾燥固体は本発明の最終組成物である。
【0175】
低T
gポリマーを扱う場合、有用となり得る別の方法は、速やかに溶媒を除去することができ、結果として得られる粘性のある溶融物を容易に操作し、次いで、粒状化またはペ
レット化することができる、塗布フィルム蒸発器、流下膜式蒸発器、連続ストリップケトルまたはdevolitilization押出機に、有機相(共沸乾燥の後、腐食問題を予防するために)を送ることである。
【0176】
沈澱による脱揮発であろうと、塗布フィルム蒸発器、流下膜式蒸発器、連続ストリップケトルまたは脱揮発押出機による脱揮発であろうと、共沸で乾燥した溶液を、活性化酸性酸化アルミニウムを通して濾過するのが好ましい。溶解した(含まれている)臭素化トルエンスチレンテロマー100重量部当たり、酸化アルミニウム約1〜5重量部が、熱色度安定性の低下の一因となる不純物を除去するのに十分であることが見出された。
【0177】
本発明の実施において使用する臭素化手順、および後処理手順の変形の全般的な説明は下記に述べ、表9に要約する。実施例において形成した生成物について実施した分析の要約は、表10に述べる。表11には、より大規模な臭素化の熱色度データを含む結果を提示する。表10および11に報告したGPCデータは光散乱GPC法1を使用して誘導した。表12において、100ガロンガラス反応器から得られ、最初に装填する臭素化触媒としてA1Cl
3を使用して臭素化し、クエンチ洗浄においてヒドラジン水和物を使用するSTSTDの臭素化について分析結果を報告する。表13において、2ガロンの316ステンレス鋼反応器から得られ、最初に装填する臭素化触媒としてA1Cl
3を使用して臭素化し、クエンチ洗浄においてヒドラジン水和物を使用するSTSTDSの臭素化について分析結果を報告する。表14において、2ガロン316ステンレス鋼反応器から得られ、TSTDの形成中に助触媒としてカリウムt−ブトキシドを使用するSTSTDの臭素化について分析結果を報告する。これらのSTSTDSは、最初に装填する臭素化触媒としてA1Cl
3を使用して臭素化し、クエンチ洗浄でヒドラジン水和物を使用した。表12〜14に報告したGPCデータは光散乱GPC方法2を使用して誘導した。
【0178】
臭素化の調製
共沸で乾燥してまたは活性化酸性酸化アルミニウム(EMD Chemicals、酸化アルミニウム、70〜230メッシュ、カラムクロマトグラフィー等級)を用いて乾燥することによって、乾燥ブロモクロロメタン(BCM、Karl Fisherによる5〜30ppmの水分)を準備した。供給管路、供給タンクおよびガラス器具はすべて、臭素化反応での使用に先立ってオーバーナイトで乾燥しパージした(適切な場合には最低130℃で2時間炉乾燥した)。ガラス器具、供給管路および供給タンクはすべて、組み立ておよび臭素化反応器の運転の間、N
2雰囲気下に維持する。
【0179】
活性触媒の0.25モル%(式[AlBr
3(モル)/Br
2(モル)]*100%=0.25モル%AlBr
3を使用して算定した)溶液を作製するのに必要な量の(市販の)AlBr
3触媒を、秤量し、次いで、窒素パージしたグローブボックス中の炉乾燥した試薬瓶に移送した。活性触媒によって意味することは、さもないと臭素それ自体の、または臭素化反応に関与する他のプロセス流中の水分によって失活するであろう追加の量の、上記触媒量である。AlBr
3を含有する試薬瓶に臭素(5〜10ppmの含水率)をポンプ注入し、次いで、PTFE被覆磁気撹拌子を用いて30分間撹拌して触媒を均一に溶解した。次いで、臭素溶液中の0.25モル%AlBr
3を、大容量実験用天秤に置いた目盛り付き供給容器に移送した。
【0180】
使用する陰イオン連鎖移動スチレンポリマー分布を、乾燥した(5〜10ppmの水分)BCMに溶解し25重量%溶液を作った。次いで、この溶液は目盛り付き供給容器に装填した。臭素中の0.25モル%AlBr
3およびBCM溶液中の25重量%ACTSTを、別々の蠕動ポンプによって1/8”(3.2mm)外径供給管路に通して、よく撹拌した新しい、または再循環残留物の無水BCMに0℃〜−10℃で共供給する。供給した2つの試薬の比が求電子臭素化反応の間に一定またはほぼ一定となるように、相対的な供
給速度を絶えず監視する。
【0181】
臭素化設備組み立て
5Lオイルジャケット付きフラスコ(臭素化反応器)に、頂部ガラス撹拌機シャフト、PTFE撹拌櫂、水冷式凝縮器、サーモウェル、窒素注入口および底部ドレーンバルブを装備した。反応器を、硫酸カルシウム水分トラップからよく撹拌した苛性スクラバーに通気し、副生成物HBrおよび混入Br
2を吸収した。さらに、反応器に3つの注入管路:1)BCMの反応器への最初の供給のための1/4”(6.4mm)外径PTFEBCM供給口(BCMは新しいものでも、先の運転で得たBCM再生残留物でもよい)、2)1/8”(3.2mm)外径基材/BCM液面下供給管路、および3)1/8”(3.2mm)外径Br
2/AlBr
3液面下供給管路を装着した。AlBr
3/Br
2供給管路およびSSPD/BCM供給管路は、両入口管路がごく接近して内容物を排出し、局所的に高い試薬濃度ができるように固定する。臭素化反応器をアルミニウム箔で完全に覆い光を遮断し、反応を暗い排気フード内で行った。
【0182】
臭素化反応器を、臭素化反応器の底部ドレーンバルブをこのクエンチ容器に接続する3/8“(9.5mm)外径PTFEドレーン管路を有する6リットル水クエンチ容器の上に置き、臭素化反応器の内容物の直接移送を可能にした。クエンチ容器は、オイルジャケット型で、頂部撹拌機構、サーモウェルを備え、有機相と水相とを緊密に混合するためのバッフルを付けた。クエンチ容器は窒素注入口を有し、苛性スクラバーにパージした。クエンチ容器には釜の内容物を中間の5リットル貯蔵容器に移送することができる底部ドレーンバルブを有していた。
【0183】
中間の貯蔵容器は、その内容物を洗浄ケトルに移送するように配管した。洗浄ケトルには6リットルオイルジャケット付きバッフル反応器で、頂部撹拌器、熱電対および底部ドレーンバルブを備えていた。
【0184】
生成物単離のための組み立ては、BCMの同時共沸除去が同時に起こる、生成物スラリーを供給する水含有容器を備える。そこからの沈殿物は乾燥炉に通す。
【0185】
実施例BR−49
未反応臭素を水素化ホウ素ナトリウム処理するTSTD1の臭素化
上記の5L臭素化反応器に乾燥したBCM3000g(23ppmの水分、Karl Fisher)を装填した。BCMは暗所で−2℃に冷却し、蒸留したSSPD1混合物(M
w=698)333gおよび乾燥BCM1000gで構成される、前もって調製しておいた25重量%溶液を、シリンダーの全内容物を蠕動計量ポンプによって臭素化反応器に移送するように配置された1/8”(3.2mm)PTFE供給管路を備える、N
2で覆った乾燥2000mLメスシリンダーに装填した。予め調製しておいた、臭素(1795.9g)中のAlBr
3(0.25モル%)を、蠕動ポンプによって1.5リットルのメスシリンダーに移送した。この供給容器は、N
2雰囲気下に維持し、所望量の臭素溶液を蠕動計量ポンプによって臭素化反応器に移送するように配置した、1/8”(3.2mm)PTFE供給管路を備えていた。
【0186】
2つの供給の全内容物が装填されて90分の平均滞在時間で180分で同時に完了するように、2種の試薬を、所定の相対速度で共供給した。反応温度が−2℃付近を保つように、操作の間中、冷却を十分に施した。供給が完了したら、さらに15分間反応物を撹拌し、未反応の臭素が消費されるように7℃まで徐々に暖めた。反応混合物を、底部ドレーンバルブおよび3/8”(9.5mm)外径PTFE移送管路を通して、6Lクエンチ容器に(重力で)移送した。
【0187】
クエンチ容器に、予め1000mLの水道水(25℃)を装填し、400rpmで撹拌して、有機相と水相とを確実に緊密に混合した。クエンチは発熱的であり、10℃の温度上昇が観察された。撹拌を20rpmに減速し有機相を静置した。淡黄色臭素/HBr水相は徐々に分離し、最上層を形成した。より低い有機相は、1重量%NaBH
4および10%NaOH1000mLを含む5L貯蔵容器に移送した。
【0188】
次いで、この2相系を6L洗浄ケトルに移し、30分間還流(62℃)した。撹拌を中断し、底部の有機層を反応器から取り出した。有機層を、完全に排出したケトルに戻し、pH10が観察されるまで、1000mLの水道水で洗浄した。
【0189】
ほとんど無色の有機溶液を、95℃の釜温度の新しい水を含む、よく撹拌した10リットル容器に供給した。共沸で蒸留したBCMとして分離した固体生成物を沈殿器から取り出した。生成物は、3リットルの目の粗い焼結ガラス濾過器漏斗で真空濾過によって集めた。生成物は2度(2×1000mL)洗浄し、漏斗上に置いて乾燥した。次いで、この白色濾過ケーク(2400g)を窒素パージ下、炉内で105℃で36時間乾燥した。次いで、これを減圧(4時間、105℃、30インチHg真空)でさらに乾燥し、その結果として1200gの白色生成物が得られた。これらの分析は表10に要約する。
【0190】
実施例BR−50
未反応臭素を亜硫酸水素ナトリウム処理するTSTD1の臭素化
未反応臭素を、クエンチ容器に10%亜硫酸水素ナトリウム溶液を添加することによって滴定し、次に1重量%NaBH
4および10%水性NaOHを含有する中間貯蔵容器に移送したこと以外、実施例Br−49の手順を使用した。続くステップはすべてBR9と同様であった。次いで、白色濾過ケーク(2400g)を窒素パージ下で105℃で36時間炉内で乾燥した。次いで、これを減圧(4時間、105℃、30インチHg真空)でさらに乾燥し、その結果として1200gの白色生成物が得られた。これらの分析は表10に要約する。
【0191】
実施例BR−51
未反応臭素を水素化ホウ素ナトリウム処理し続いて酸性酸化アルミニウムを用いて処理するTSTD1の臭素化
反応器内の平均滞在時間が90分となるように一定相対供給速度で、乾燥BCM中のSSPD1(M
w=698、PD=1.29)の25重量%溶液1334gを臭素中の0.25モル%AlBr
31682.9gと、BCMの残留物3000gに共供給したこと以外、実施例BR−49の手順を使用した。
【0192】
釜温度が1気圧で69℃に達するまで生成混合物を共沸で乾燥したこと以外、ポスト臭素化後処理手順はBR−9と同様であった。次いで、この混合物を、活性化酸性酸化アルミニウム(EMD Chemicals、酸化アルミニウム、70〜230メッシュ、カラムクロマトグラフィー等級)60グラムと1時間撹拌し、その時間の間約45℃に冷却した。生成混合物は、次いで、アルミナを真空濾過して除去した。アルミナは乾燥したBCM200mLで1回すすいだ。濾液およびリンス液は合わせて沈澱容器に供給した。生成物を96℃水から沈殿させ、それと同時に有機溶媒を除去した。生成物はBR−9と同様に濾過によって集めた。次いで、結果として得られる白色濾過ケーク(2250g)は105℃で36時間窒素パージ下で炉内で乾燥した。次いで、これを減圧(4時間、105℃、30インチHg真空)でさらに乾燥し、その結果として1125gの白色生成物が得られた。これらの分析は表10に要約する。
【0193】
実施例BR−52
未反応臭素を水素化ホウ素ナトリウム処理するTSTD7の臭素化
反応器内の平均滞在時間が90分となるように一定相対供給速度で、乾燥BCM中のSSPD7(M
w=706、PD=1.29)の25重量%溶液1334gを臭素中の0.25モル%AlBr
31795.9gと、BCMの残留物3000gに共供給したこと以外、実施例BR−49の手順を使用した。ポスト臭素化手順はBR−9と同様であった。手順に従って白色濾過ケーク(2400g)を作製し、次いで、窒素パージ下で105℃で36時間炉内で乾燥した。次いで、これを減圧(4時間、105℃、30インチHg真空)でさらに乾燥し、その結果として1202gの白色生成物が得られた。これらの分析は表10に要約する。
【0194】
実施例BR−53
未反応臭素を水素化ホウ素ナトリウム処理するTSTD8の臭素化
反応器内の平均滞在時間が90分となるように一定相対供給速度で、乾燥BCM中のSSPD8(M
w=706、PD=1.29)の25重量%溶液1334gを臭素中の0.25モル%AlBr
31795.9gと、BCMの残留物3000gに共供給したこと以外、実施例BR−49の手順を使用した。ポスト臭素化手順はBR−9と同様であった。手順に従って白色濾過ケーク(2400g)を作製し次いで、105℃で36時間窒素パージ下で炉内で乾燥した。次いで、これを減圧(4時間、105℃、30インチHg真空)でさらに乾燥し、その結果として1210gの白色生成物が得られた。これらの分析は表10に要約する。
【0195】
実施例BR−54
水素化ホウ素ナトリウムを用いる酸性酸化アルミニウム処理したTSTD6の臭素化
乾燥BCM中のSSPD6(M
w=706、PD=1.29)の25重量%溶液を、活性化酸性酸化アルミニウム(EMD Chemicals、酸化アルミニウム、70〜230メッシュ、カラムクロマトグラフィー等級)100グラムを用いてまず処理したこと以外、実施例BR−49の手順を使用した。次いで基剤原料を重力濾過しアルミナを除去した。反応器内の平均滞在時間が90分となるように一定相対供給速度で、アルミナ処理した25重量%溶液の1256gの部分を臭素中の0.25モル%AlBr
31693.4gと、BCMの残留物3000gに共供給した。
【0196】
ポスト臭素化手順は、洗浄/処理ステップの後、釜温度が1気圧で69℃に達するまで、生成混合物を共沸で乾燥した以外、BR−9と同様であった。次いで、この混合物を、活性化酸性酸化アルミニウム(EMD Chemicals、酸化アルミニウム、70〜230メッシュ、カラムクロマトグラフィー等級)60グラムと1時間撹拌し、その時間の間、約45℃に冷却した。次いで生成混合物を真空濾過しアルミナを除去した。アルミナは乾燥BCMの200mLで1回すすいだ。濾液およびリンス液を合わせ、沈澱容器に供給した。
【0197】
生成物を96℃の水から沈殿させ、それと同時に有機溶媒を除去した。生成物はBR−9と同様に濾過によって集めた。手順に従って白色濾過ケーク(2260g)を作製し、次いで、105℃で36時間窒素パージ下で炉内で乾燥した。次いで、これを減圧(4時間、105℃、30インチHg真空)でさらに乾燥し、その結果として1130gの白色生成物が得られた。これらの分析は表10に要約する。
【0198】
実施例BR−15は、より短い反応物時間でセミバッチで臭素化を行うという利点を実証する。
実施例BR−15−パートAおよびBR−15−パートBは、酸性酸化アルミニウムなどの固体吸収剤の使用によって極性種を除去するという利点を実証する。
【0199】
実施例BR−55
未反応臭素を水素化ホウ素ナトリウム処理するTSTD6の臭素化
反応器内の平均滞在時間が60分となるように一定相対供給速度で、乾燥BCM中のSSPD6(M
w=697、PD=1.29)の25重量%溶液880gを臭素中の0.25モル%AlBr
31186.5gと、BCMの残留物2000gに共供給したこと以外、臭素化実施例BR−49の手順を使用した。反応混合物を反応器からクエンチ釜に取り出し、水洗浄し、次いで、10%水性NaOH中に1重量%NaBH
41250gを含む中間貯蔵容器に移送した。
【0200】
次いで、臭素化反応器にBCMの第2の残留物2000gを装填した。次いで、乾燥BCM中のSSPD6(M
w=697、PD=1.28)の25重量%溶液の第2の880gを、臭素中の0.25モル%AlBr
31186.5gとBCM残留物2000gに共供給した。反応器中の平均滞在時間が60分となるように、この第2の共供給をもう一度行った。次いで、第2の反応混合物をクエンチ容器に移送して洗浄し、次いで、中間貯蔵容器内の第1の反応混合物と合わせた。合わせた生成混合物は、内容物全体が6000mLの反応器に安全に収まるまで、BCM(62℃)の共沸蒸留で少しずつNaBH
4処理反応器に供給した。反応混合物は55℃に冷却し、相分離した。次いで、有機生成物相を洗浄容器に戻し、1000mLの新しい水を用いて洗浄した。相を分離し、次いで有機生成物相は、釜温度が69℃に到達するまで共沸で乾燥した。
【0201】
実施例BR−55−パートA
さらなる処理をしない生成物沈澱
生成混合物の約半分をBR−49と同様に沈澱させた。手順に従って白色濾過ケーク(1600g)を作製し、次いで、105℃で36時間窒素パージ下で炉内で乾燥した。次いで、これを減圧(4時間、105℃、30インチHg真空)でさらに乾燥し、その結果として820gの白色生成物が得られた。これらの分析は表10に要約する。
【0202】
実施例BR−55−パートB
生成物の沈澱および後続の酸性酸化アルミニウムを用いる処理
沈澱の前に、この混合物を、活性化酸性酸化アルミニウム(EMD Chemicals、酸化アルミニウム、70〜230メッシュ、カラムクロマトグラフィー等級)40グラムと3時間撹拌し、その時間、約25℃に冷却した以外、BR−49と同様に、生成混合物の第2の半分を沈澱させた。生成混合物は、次いで、アルミナを真空濾過して除去した。アルミナは乾燥BCM200mLで1回すすいだ。濾液およびリンス液を合わせて沈澱容器に供給した。手順に従って白色濾過ケーク(1550g)を作製し、次いで、窒素パージ下で105℃で36時間炉内で乾燥した。次いで、これを減圧(4時間、105℃、30インチHg真空)でさらに乾燥し、その結果として770gの白色生成物が得られた。これらの分析は表10に要約する。
【0203】
実施例BR−56
TSTD/BCM/臭素を予備混合してAlCl
3を使用し続いて未反応臭素を水素化ホウ素ナトリウムで処理するTSTD6の臭素化
乾燥BCM中のSSPD6(M
w=697、PD=1.29)の25重量%溶液1333gを臭素1823gと、AlCl
32.28g(0.017モル)を含有するBCM3000gの残留物に共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。SSPD6/BCM原料および触媒を含まない臭素を、臭素化反応器に結合した、グリコール冷却(−5度)ジャケット付きスタティックミキサーに別々にポンプ注入することにより前もって混合した。供給は、180分必要とするように一定の相対供給速度で行った。反応器内容物をクエンチ釜に取り出し、反応混合物を水洗浄し、次いで、10%水性NaOH中の1重量%NaBH
41000gを含む中間貯蔵容器に移送した。ポスト反応の後処理はBR−9の通りとした。手順に従って白色固形物1215gを製造し、その分析は表10
に報告した。
【0204】
実施例BR−57
実験室で調製したTSTDの、AlBr
3を使用し未反応臭素を水素化ホウ素ナトリウム処理するより大規模な臭素化
液体のジャケットおよびHuberシステムを用いる温度制御器、撹拌器、−7℃に冷却した還流頂部凝縮器、2つの別々の半インチの外径のテフロン(登録商標)配管路によってスクラバーに連結されたガス発生ポート、保持タンクからのBCM供給管路および臭素貯蔵タンクからの臭素供給管路を装備した50Lガラス反応器内で臭素化を行った。
【0205】
反応器にBCM30kgを装填し−3℃に冷却した。SSPD原料は、BCM中の25重量%溶液の14.8kg溶液として調製した。M
w=702およびPD=1.3を有する実験室調製した基剤のこのSSPD複合体が、再循環したトルエンおよび再循環したTMEDAを使用して、12Lの規模で得られた。運転は実施例6パートAと類似していたが、より非効率な混合を補うために2倍の触媒装填を行った。この溶液を臭素中の0.25重量%AlBr
318.7kgと共供給した。溶液は、反応混合物の液面下近く(50mm未満)で終端するテフロン(登録商標)配管を経由して共供給した。BCM中の25重量%SSPD溶液および臭素溶液は、供給が一緒に終了するように両方の供給が確実に連続的で一定速度の添加となるように注意して、130分間の時間、同時に(各々の質量に比例した質量速度で)供給した。臭化水素が形成され、約1時間後に激しく放出し始めた。ガススクラビング塔を有する22Lフラスコに水16kgを装填した。還流凝縮器の出口から2つのテフロン(登録商標)管路を経由して排出される、形成したHBrを捕らえるためにスクラバーを使用した。添加の最後で、反応混合物を7℃に暖め、次いで、クエンチおよび後処理の前に30分間7℃で保持した。
【0206】
臭素化反応の後処理は100Lガラス製ジャケット付き反応器内で行った。これに水20kgを装填し、水およびクエンチした有機相はジャケット温度を1℃に維持することにより低温に(約5℃)保った。移送は真空度の差によって行った。クエンチ容器は約300mmHgの真空下に置いた。臭素化反応混合物の移送は、臭素化反応器の底部からクエンチ反応器のヘッドスペース中へ導く3/8”テフロン(登録商標)管路を経由して行った。クエンチ反応器内の温度は30〜40分の添加時間の間、約15℃に上がる。臭素化反応器および移送管路をBCM8kgを用いてすすぎ、これはクエンチ反応器に送って、そこで臭素化SSPD溶液と混合した。約15分間撹拌した後、混合物を5分間静置すると、相は容易に分離した。
【0207】
底部相は生成物および遊離の臭素を含んでいた。反応器からこれを、前もって10%水性NaOH中の1%NaBH
43.33kgをそれぞれ装填しておいた3つの5ガロン篭巻瓶に収集した。篭巻瓶の物質構成中には抽出される成分が存在するので、篭巻瓶とのBCM溶液の接触時間は最小限に抑えた。抽出される成分による生成物の汚染が無視できることが生成物溶液のNMRによって観察された。各篭巻瓶に充填したら、それを手で激しく撹拌し、Br
2およびその活性な臭素誘導体をNaBH
4で還元することによって臭素化反応混合物を脱色した。次いで、クエンチ容器中の上部の水相を集め、亜硫酸ナトリウム溶液を用いて処理して残留臭素を減少させ、その後処分するかまたは臭化物の有価物として回収した。クエンチ反応器は、水4kgを用いてさらに洗浄し、処分するために送った。次いで、3つの生成物溶液/水素化ホウ素篭巻瓶の内容物は反応器に戻し、ガラス腐食を予防するために水性部分を追加の水10kgを用いて希釈し苛性の濃度を下げた。水素化ホウ素アニオン(BH
4−)の存在を点検した後に、内部反応物温度を70℃に設定することにより(ただし温度は62℃でピークに達する)、反応器内容物を1時間加熱して還流した。次いで、これを25℃に冷却し、オーバーナイトで(しかし、要したのは数分のみであった。)そのまま静置した。このプロセスは、さらに2回、合計3回繰り返し
た。
【0208】
この3回の運転で22重量%臭素化SSPD(BR−17)58kgの溶液がそれぞれ得られた。これらのバッチを単離のために合わせ、次いで溶液11kgを93℃の水17kgに2時間にわたって供給した。これには16の別々の沈澱バッチを必要とした。BCMは頂部で蒸留し、その一方では生成物を沈澱容器に供給し、容器内に微細な水スラリーを形成した。冷却の後、生成物を遠心分離によって単離し、窒素パージ下で105℃で36時間炉内で、次いで真空下で105℃で6時間乾燥した。16の沈澱バッチの乾燥ブレンド複合体は、37.2kgの物質を与えた。この分析は表11に報告した。
【0209】
実施例BR−58
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD8の臭素化
BCM(34ppmの水分)中のTSTD8(M
w=720、PD=1.30)の25重量%溶液1333gを、臭素1823gとAlCl
34.06g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給は、供給が180分必要とするように一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物を0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。
【0210】
クエンチした反応混合物はこのようにして洗浄し、次いで、速やかに静置させた。次いで、底部有機層を新しい水1000gを含む洗浄反応器に移送した。この混合物を常温で15分間撹拌し、次いで、沈降させた。次いで、乳状の有機相を、2つの別々の中間貯蔵容器(各々に生成物相の1/2)に移送した。第1の容器は5重量%水酸化ナトリウム500gを含み、第2の容器は5重量%水酸化ナトリウム500gおよびさらに水素化ホウ素ナトリウム6グラムを含んでいた。
【0211】
実施例BR−58パートA
苛性洗浄処理手順
第1の容器の内容物はバッフル付き洗浄反応器に移送し、30℃で30分間撹拌した。その時間の間、有機相は乳状の外観を失い薄く着色した透明になった。混合を中断し、相を分離させた。有機生成物相を、生成物相から任意の断片層(一般に有機相の0.05体積%未満と非常に小さい)を除いた水相から分離し、次いで、500gの新しい水を用いて洗浄した。ほとんど無色の有機溶液を、釜温度95℃の新しい水を含有するよく撹拌した10リットル容器に供給した。共沸で蒸留したBCMとして分離した固体生成物を沈殿器から取り出した。生成物は、3リットルの目の粗い焼結ガラス濾過器漏斗の真空濾過によって集めた。生成物は、2回(2×1000mL)洗浄し、漏斗上でそのまま乾燥した。次いで、白色濾過ケーク(1200g)は105℃で36時間窒素パージ下で炉内で乾燥した。次いで、これを減圧(4時間、105℃、30インチHg真空)でさらに乾燥し、その結果として605gの白色生成物が得られた。これらの分析は表12に要約する。
【0212】
実施例BR−58パートB
苛性NaBH
4洗浄処理手順
第1の容器の内容物はバッフル付き洗浄反応器に移送し、62℃で30分間撹拌した。その時間の間、有機相は乳状の外観を失い薄く着色した透明になった。混合は中断し、相を分離させた。有機生成物相は、生成物相から任意の断片層(一般に有機相の0.05体積%未満と非常に小さい)を除いた水相から分離され、次いで、500gの新しい水を用いて洗浄した。ほとんど無色の有機溶液を、95℃の釜温度を有する新しい水を含有するよく撹拌した10リットル容器に供給した。共沸で蒸留して得たBCMとして分離した生成物を沈殿器から取り出した。生成物は、3リットルの目の粗い焼結ガラス濾過器漏斗の真空濾過によって集めた。生成物は、2回(2×1000mL)洗浄し、漏斗上でそのま
ま乾燥した。次いで、白色濾過ケーク(1200g)は窒素パージ下で105℃で36時間炉内乾燥した。次いで、これを減圧(4時間、105℃、30インチHg真空)でさらに乾燥し、その結果として605gの白色生成物が得られた。これらの分析は表12に要約する。
【0213】
実施例BR−59
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD8の臭素化
BCM(34ppmの水分)中のTSTD8(M
w=720、PD=1.30)の25重量%溶液1333gを、AlCl
34.06g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、Br−58と同様に洗浄しさらに細分化し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表12で報告する。
【0214】
実施例BR−60
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するTSTD9の臭素化
BCM(27ppmの水分)中のTSTD9(M
w=762、PD=1.29)の25重量%溶液1333gを、AlCl
33.96g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58と同様に洗浄しさらに細分化し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表12で報告する。
【0215】
実施例BR−61
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD9の臭素化
BCM(27ppmの水分)中のTSTD9(M
w=762、PD=1.29)の25重量%溶液1333gを、AlCl
33.96g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。TSTD供給が180分必要とするが臭素供給は192分必要とするように、供給は不均衡で可変の相対速度で行った。臭素供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、Br−58と同様に、洗浄し、さらに細分化し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表12で報告する。
【0216】
実施例BR−62
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD9の臭素化
BCM(27ppmの水分)中のTSTD9(M
w=762、PD=1.29)の25重量%溶液1333gを、AlCl
33.96g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58パートBと同様に洗浄し、さらに、苛性および水素化ホウ素ナトリウムで処理し、単離し、乾燥して生成物1207グラムを与えた。生成物の分析は表12で報告する。
【0217】
実施例BR−63
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD9の臭素化
BCM(27ppmの水分)中のTSTD9(M
w=762、PD=1.29)の25重量%溶液1333gを、AlCl
33.96g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58と同様に洗浄しさらに細分化し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表12で報告する。
【0218】
実施例BR−64
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD29の臭素化
BCM(18ppmの水分)中のTSTD29(M
w=941,PD=1.39)の25重量%溶液1333gを、AlCl
33.95g(0.029モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58と同様に洗浄しさらに細分化し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表13で報告する。
【0219】
実施例BR−65
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD30の臭素化
BCM(22ppmの水分)中のTSTD30(M
w=938,PD=1.39)の25重量%溶液1333gを、AlCl
33.93g(0.029モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58と同様に洗浄しさらに細分化し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表13で報告する。
【0220】
実施例BR−66
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD35の臭素化
BCM(24ppmの水分)中のTSTD35(M
w=769,PD=1.32)の25重量%溶液1333gを、AlCl
33.97g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58と同様に洗浄しさらに細分化し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表13で報告する。
【0221】
実施例BR−67
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD35の臭素化
BCM(24ppmの水分)中のTSTD35(M
w=769,PD=1.32)の25重量%溶液1333gを、AlCl
33.97g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を
使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58と同様に洗浄しさらに細分化し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表13で報告する。
【0222】
実施例BRr−68
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD32の臭素化
BCM(67ppmの水分)中のTSTD32(M
w=772,PD=1.32)の25重量%溶液1333gを、AlCl
34.30g(0.032モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58と同様に洗浄しさらに細分化し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表13で報告する。
【0223】
実施例BR−69
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD33の臭素化
BCM(58ppmの水分)中のTSTD33(M
w=769、PD=1.32)の25重量%溶液1333gを、AlCl
34.27g(0.032モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58と同様に洗浄しさらに細分化し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表13で報告する。
【0224】
実施例BR−70
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD38の臭素化
BCM(21ppmの水分)中のTSTD38(M
w=763、PD=1.31)の25重量%溶液1333gを、AlCl
33.94g(0.029モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。
供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。
供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。
反応混合物は、BR−58パートBと同様に洗浄しさらに、苛性および水素化ホウ素ナトリウムで処理し、単離し、乾燥した。生成物の分析は表13で報告する。
【0225】
実施例BR−71
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD36の臭素化
BCM(33ppmの水分)中のTSTD36(M
w=706、PD=1.29)(M
w=941,PD=1.39)の25重量%溶液1333gを、AlCl
34.025g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58と同様に洗浄しさらに細分化
し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表13で報告する。
【0226】
実施例BR−72
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD37の臭素化
BCM(33ppmの水分)中のTSTD37(M
w=686、PD=1.29)の25重量%溶液1333gを、AlCl
34.025g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58と同様に洗浄しさらに細分化し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表13で報告する。
【0227】
実施例BR−73
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理する74Br重量%生成物を形成するSTSTD39の臭素化
BCM(36ppmの水分)中のTSTD39(M
w=903、PD=1.38)の25重量%溶液1333gを、AlCl
34.06g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1796gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58と同様に洗浄しさらに細分化し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表14で報告する。
【0228】
実施例BR−74
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理する73Br重量%生成物を形成するSTSTD39の臭素化
BCM(36ppmの水分)中のTSTD39(M
w=903、PD=1.38)の25重量%溶液1333gを、AlCl
34.06g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1726gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58と同様に洗浄しさらに細分化し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表14で報告する。
【0229】
実施例BR−75
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD40の臭素化
BCM(25ppmの水分)中のTSTD40(M
w=823、PD=1.34)の25重量%溶液1333gを、AlCl
33.96g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58パートBと同様に洗浄しさらに、苛性および水素化ホウ素ナトリウムで処理し、単離し、乾燥し、生成物1207グラムを与えた。生成物の分析は表14で報告する。
【0230】
実施例BR−76
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD41の臭素化
BCM(20ppmの水分)中のTSTD41(M
w=776、PD=1.28)の25重量%溶液1333gを、AlCl
33.96g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58パートBと同様に洗浄しさらに、苛性および水素化ホウ素ナトリウムで処理し、単離し、乾燥し、生成物1207グラムを与えた。生成物の分析は表14で報告する。
【0231】
実施例BR−77
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD42の臭素化
BCM(36ppmの水分)中のTSTD42(M
w=794、PD=1.31)の25重量%溶液1333gを、AlCl
34.02g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58と同様に洗浄しさらに細分化し、処理し、単離し、乾燥した。2パート、すなわちパートAおよびパートBの分析は、表14で報告する。
【0232】
実施例BR−78
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD43の臭素化
BCM(46ppmの水分)中のTSTD43(M
w=713、PD=1.26)の25重量%溶液1333gを、AlCl
34.02g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58パートBと同様に洗浄しさらに、苛性および水素化ホウ素ナトリウムで処理し、単離し、乾燥し、生成物1207グラムを与えた。生成物の分析は表14で報告する。
【0233】
実施例BR−79
AlCl
3を使用し未反応臭素をヒドラジン処理するSTSTD44の臭素化
BCM(26ppmの水分)中のTSTD44(M
w=882、PD=1.35)の25重量%溶液1333gを、AlCl
33.98g(0.030モル)を含有するBCM3000gの残留物に臭素1823gと共供給したこと以外、臭素化BR−49の手順を使用した。供給が180分必要とするように、供給は一定相対供給速度で行った。供給が完了したら、反応混合物は、0±3℃で15分間撹拌し、次いで、反応器内容物は、0.5重量%ヒドラジン水和物溶液1000gを含む撹拌したクエンチ釜に取り出した。反応混合物は、BR−58パートBと同様に洗浄しさらに、苛性および水素化ホウ素ナトリウムで処理し、単離し、乾燥し、生成物1207グラムを与えた。生成物の分析は表14で報告する。
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【0234】
本発明の臭素化難燃剤の使用およびこれらから達成可能な特性
上に示したように、本発明の臭素化スチレンポリマー分布(本明細書においてはしばしば「本発明の臭素化難燃剤」と呼ぶ)は、広範囲の難燃剤であることをとりわけ特徴とする。これは、様々な熱可塑性ポリマーを含む種々様々の異なるタイプのポリマーにおいて、効果的に難燃剤を使用することができることを意味する。さらに、本発明の臭素化難燃剤は、プリント配線および回路基板に使用されるエポキシ樹脂などの熱硬化性のポリマー、ならびに天然エラストマーおよび熱可塑性ポリウレタンエラストマ(TPU)などを含む合成エラストマーに有効であると考えられる。
【0235】
本発明の臭素化難燃剤が使用することができる例示のポリマーは次のものを含む:オレフィンポリマー、架橋したおよび架橋していない、例えばエチレン、プロピレンおよびブチレンのホモポリマー;2種以上のアルケンモノマーのコポリマーおよび1つ以上のこの種のアルケンモノマーおよび他の共重合性モノマーのコポリマー、例えばエチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリルレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー;オレフィン性不飽和モノマーのポリマー、例えばポリスチレン、例えばハイインパクトポリスチレン、スチレンコポリマー、ポリウレタン;ポリアミド;ポリイミド;ポリカーボネート;ポリエーテル;アクリル樹脂;ポリエステル、特にポリ(エチレンテレフタレートおよびポリ(ブチレンテレフタレート);ポリ塩化ビニル;熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂;エラストマー、例えばブタジエン/スチレンコポリマー、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー);アクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンのターポリマー;天然ゴム;ブチルゴムおよびポリシロキサン。ポリマーは、適切な場合に、化学的な手段、または照射によって架橋することができる。本発明の臭素化難燃剤はまた、ラテックス系裏引加工などの織物の用途において使用することができる。
【0236】
配合物において使用する本発明の臭素化難燃剤の量は、求められる難燃性を得るために必要な量である。一般に、配合物および結果として得られる製品は、約1〜約30重量%、好ましくは約5〜約25重量%の本発明の臭素化難燃剤を含むことができる。本発明の臭素化難燃剤を含有するポリマーのマスターバッチは、追加量の基剤ポリマーまたは結合剤とブレンドし、典型的には難燃剤をさらに高濃度、例えば、95重量%以上含む。
【0237】
アンチモン系の相乗剤、例えばSb
2O
3と組み合わせて本発明の臭素化難燃剤を使用することが有利である。そのような使用は、芳香族臭素難燃剤が使用される、すべてでないにしても、ほとんどの難燃剤用途において従来から実施されている。一般に、本発明の難燃剤生成物は、アンチモン系の相乗剤と共に、約1:1〜7:1、好ましくは約2:1〜約4:1の範囲の重量比で使用される。
【0238】
本発明の臭素化難燃剤と共に、熱可塑性の配合物において使用されるいくつかの従来の添加剤(例えば可塑剤、抗酸化剤、充填材、顔料、紫外線安定剤など)のいずれでも、各々の従来の量を使用することができる。
【0239】
熱可塑性ポリマーおよび本発明の臭素化難燃剤を含む配合物から形成される熱可塑性樹脂製品は、従来通りに、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形などによって製造することができる。ブロー成形もまた特定の場合には適切であり得る。
【0240】
本発明の特定の難燃化組成物の中には、下記が含まれる:
A) 本発明の臭素化難燃剤の難燃量を含有するHIPS系配合物。そのような配合物は主としてHIPSから構成することができる、または、ポリフェニレンエーテル−HIPSブレンドなどのHIPSのアロイであってもよい。これらは、本発明の臭素化難燃剤をHIPSまたはそのアロイとブレンドすることにより形成される難燃化組成物である。
B) 本発明の臭素化難燃剤の難燃量を含有するABS系配合物。そのような配合物は主としてABSから構成することができる、または、ポリカーボネート−ABSブレンドなどのABSのアロイであってもよい。これらは、本発明の臭素化難燃剤をABSまたはそのアロイとブレンドすることにより形成される難燃化組成物である。
C) 本発明の臭素化難燃剤の難燃量を含有するポリオレフィン系配合物。そのようなポリオレフィン系配合物は、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレンまたはプロピレンの、それらと共重合可能な他のオレフィンモノマーとのコポリマーを含む。これらは、本発明の臭素化難燃剤をポリオレフィンホモポリマーまたはコポリマーとブレンドすることにより形成される難燃化組成物である。
D) 本発明の臭素化難燃剤の難燃量を含有するエンジニアリングサーモプラスチック系配合物。これらは、本発明の臭素化難燃剤をエンジニアリングサーモプラスチックポリマーまたはそのブレンドとブレンドすることにより形成される難燃化組成物である。
E) エンジニアリングサーモプラスチックが熱可塑性ポリエステルである、D)の配合物。これらは、本発明の臭素化難燃剤を熱可塑性ポリエステルまたはそのブレンドとブレンドすることにより形成される難燃化組成物である。
F) エンジニアリングサーモプラスチックが熱可塑性ポリアミドである、D)の配合物。これらは、本発明の臭素化難燃剤をポリアミド熱可塑性樹脂またはそのブレンドにブレンドすることにより形成される難燃化組成物である。
G) 難燃量が、配合物の全重量に対して約1〜約95重量%の範囲にあるA)−F)のいずれかの配合物。
H) さらに相乗効果の量の難燃相乗剤を含むA)−F)のいずれかの配合物。
I) 式中、本発明の臭素化難燃剤の難燃量を含有する熱硬化性樹脂を含む難燃化熱硬化樹脂組成物。
J) 前記熱硬化性樹脂がノボラック樹脂である、I)の組成物。
【0241】
本発明の難燃剤が熱可塑性樹脂などのポリマー基剤にブレンドされる場合、明白になる特性の特有に有益な組合せは、基剤ポリマーがハイインパクトポリスチレン(Dow(登録商標)801ハイインパクトポリスチレン樹脂)である一群の試験によって実証された。試験した物質、使用した試験およびそのような試験の結果は、表15に要約する。基剤ポリマーがハイインパクトポリスチレン(INEOS NOVA495Fハイインパクトポリスチレン樹脂)である追加の試験もまた評価した。試験した物質、使用した試験およびそのような試験の結果は、表16〜19に要約する。
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【0242】
表15−19に要約した結果からわかるように、本発明の臭素化難燃剤は、UL−94(登録商標)試験手順によって測定される有効な難燃性に寄与し、一方で、熱変形温度(HDT)およびVicat性能などの熱的性質の犠牲を伴わないでポリマー樹脂のメルトフローを実質的に向上させる。さらに、この樹脂の成形品は白色で、ノッチ付きIzod衝撃試験によって測定される優れた衝撃特性を有する。
【0243】
ポリカーボネート/ABSアロイおよびポリフェニレンオキシド/HIPSアロイ、および特に熱可塑性ポリアミド(様々な等級のナイロン)および熱可塑性ポリエステル(例えばPET、PBTなど)などのエンジニアリングサーモプラスチックブレンドを含む様々なエンジニアリングサーモプラスチックにブレンドした場合、本発明の臭素化難燃剤はまた高度に有効である。
さらに、これらは、様々なポリオレフィンホモポリマーおよびコポリマー中、特にアタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレンおよびアイソタクチックポリプロピレンを含むポリプロピレンおよびプロピレンコポリマー中の難燃剤として高度に有効である。
【0244】
本発明の臭素化難燃剤の優れた有効性は、本発明の3つの難燃化組成物の形成により実証された。これらは:
【0245】
市販の熱可塑性ポリアミド樹脂、Zytel 70G43L(DuPont Engineering Polymers、ガラス繊維強化材(43%)を含むポリアミド66プラスチック材料と表示される)とZytel101L(DuPont Engineering Polymers、ポリアミド66樹脂と表示される)とのブレンド;または
【0246】
ガラス充填マスターバッチとガラスを含まない試料とのブレンド(両方とも同様な市販のポリブチレンテレフタレート樹脂(Crastin 6134;DuPont Eng
ineering Polymers)で構成される);または
【0247】
ポリプロピレンインパクトコポリマープラスチック(LyondellBasell)と表示される市販のプロピレンコポリマー(Pro−fax7523):中の本発明の難燃剤のブレンドであった。
【0248】
次いで、これらのブレンドを試験片に成型し、様々な標準試験手順にかけた。
使用した材料、それらを使用した比および試験結果は、表20に要約する。
【表20】
【0249】
本発明の上記エンジニアリングサーモプラスチックブレンドおよび上記ポリプロピレンコポリマーブレンドは、非常に望ましい特性の組合せを有していたことが表20に示す結果からわかる。
【0250】
本発明の臭素化難燃剤は、また、熱硬化性樹脂、特に、エポキシ樹脂に有効であるとわかる。
実施例29は、試験試料の調製を記載し、結果として得られた熱硬化性樹脂を評価して得られた試験結果を要約する。
【0251】
実施例123
一般に、アドバンスト樹脂、硬化剤および促進剤のストック溶液はすべて、実験を容易にするために別々に調製して保存する。85重量%フェノールのエポキシノボラック樹脂溶液、DEN(登録商標)438−EK85(2−ブタノン(MEK)15重量%含有)は、The Dow Chemical Companyから得られた。Durite SD−1702ノボラック硬化剤はHexion Corporationから得られた。ノボラック樹脂溶液は、50重量%MEK溶媒中に50重量%SD−1702を溶解することにより調製した。
【0252】
約74重量%Brを含有する実施例BR−17で調製した難燃剤を、3.01ミクロン(d50=2.64ミクロン)の平均粒子サイズにジェット粉砕した。8オンス広口ガラスかめ中で、85重量%DEN438溶液75.76g、50重量%SD−1702溶液75.60gおよび難燃剤38.20gを添加することによって、20.0重量%Brを含有する難燃性樹脂混合物を調製した。トルエン(95g)を樹脂混合物に添加し、溶液は、ヒートガンでかめを加熱しながら連続的に混合することにより得られた。硬化促進剤、2−フェニルイミダゾール(0.052g)を、樹脂溶液に添加しよく混合した。ノボラックと促進剤の比は約742:1であった。樹脂溶液約0.5−1mLを約162−164℃で熱硬化プレート(Thermo−electric company)に加えた。舌圧子を縦半分に裂き、圧子の半分を使用し、固さが認められるまで、次いで圧子の平坦部で樹脂を引き上げて、糸曳きが止まるまで、ホットプレート上の樹脂を動かした。ゲル化時間は4分24秒であり、樹脂混合物からもはや樹脂「糸」を曳くことができず、エポキシが「指触乾燥」になる時点によって求めた。
【0253】
11平方インチのガラス職布(BGF Industriesからの643仕上げの7628ガラス)を大きいロールからサイズに合わせて切り、布端部の表裏を木製支持体(長さ12インチ、幅1インチおよび厚さ1/16インチ)にステープルで留めた。木製支持体はBステージ炉内に織物を吊るす紙クリップを端に挿入するための穴を隅に含む。Aステージ、すなわち樹脂ワニスを布の表裏に塗布した。紙クリップを開き、1つの木製支持体の両方の穴に挿入した。樹脂を染み込ませた布を、実験室換気フード内でアルミニウム支持体から吊るし、約1分間滴らして乾燥させ、次に、予備加熱した(170℃)対流式Blue M炉(Lab Safety Supply Inc.(General Signalの1単位))内で4分間吊るした。Bステージのプリプレグの端部は、10インチ×10インチにシート寸法を縮小することによって除去した。シートは4枚の5インチ×5インチのシートに切って秤量し、次に、Pacothane離型フィルム(Insulectro Corp.)の2層および2枚の鋼板(1/8インチ厚、12インチ×12インチ四方の寸法)の間にプリプレグの4層を積み重ねた。積層物は5,000psigで1時間加熱プレスで形成した。結果として得られた積層物は厚さ0.032インチであり、44重量%の樹脂を含み、3重量%の樹脂はプレス成形中にあふれ出た。5個の0.5インチ幅の試片を、ダイヤモンド鋸を使用して積層物から切り出し、試片端部は、研摩紙を用いて平滑化した。試片の燃焼性を、Atlas UL−94燃焼室を使用して、ASTM D3801−06によって検査し、結果として5つの試片すべてについて2回の点火で合計燃焼時間13秒のV−0格付けが得られた。
【0254】
分析法
本発明の組成物および配合物の特性を検査する際に、公知の分析法を使用する、または使用するために適合させることができる。
【0255】
全臭素含有率
本発明の組成物はテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒によい、または少なくとも満足すべき溶解性を有するので、本発明の組成物についての全臭素含有率の測定は、従来の蛍光X線分析法の使用により容易に遂行される。分析した試料は希薄な、例えばTHF60mL中に0.1g±0.05gの試料である。XRF分析装置はPhillips PW1480 Spectrometerであってもよい。ブロモベンゼンのTHF標準溶液を校正標準として使用する。本明細書に記載し実施例に報告した全臭素価はすべてXRF分析法に基づく。
【0256】
ハンター溶液カラー値試験
本発明の難燃剤組成物の色度特質を求めるために、クロロベンゼンなどの得ることが容易な溶媒にこれらの組成物を溶解する能力をもう一度活用する。この分析法は、組成物の試料5グラム+/−0.1gを50mL遠心分離管の中へ秤量することを伴う。管にクロロベンゼン45g+/−0.1gもまた添加する。管を閉じて、手首運動式振盪機で1時間振盪する。1時間の振盪時間の後、溶液中の溶解しない固形分を調べる。ヘイズが存在する場合は、4000rpmで10分間溶液を遠心分離機にかける。溶液がなお透明でない場合は、さらに10分遠心分離機にかける。仮に溶液がかすんだままなら、正確な測定ができないので廃棄すべきである。しかし、これは通常のケースであるが、透明な溶液が得られ、HunterLab Color Quest Sphere Spectrocolorimeterの試験にかける。20mmの透過長さを有する透過セルを使用する。比色計は、「デルタE−lab」に設定して、ΔEとして色度を報告し、「L」「a」および「b」について色値を与える。生成物色度は、クロロベンゼン中の10%重量濃度の生成物対クロロベンゼンのHunter L、aおよびb尺度を使用して、全色差(ΔE)として求められる。
【0257】
黄色度指数ハンター比色計
本発明の組成物をASTM D1925に記載されている分析にかけた。
【0258】
T
g値
T
g値はTA Instruments DSC Model 2920を用いてDSCによって得られた。試料は窒素下で10℃/分の速度で400℃に加熱した。T
gは、ガラスからゴムへの転移の際のポリマーの比熱の変化に注目することにより求められる。これは、2次の吸熱転移(転移を通過するのに熱を必要とする)である。DSCにおいて、転移は、溶融転移で見られるようなピークでなく段階状の転移として現われる。以下参照:The Elements of Polymer Science and Engineering, An introductory Text for Engineers and Chemist、Alfred Rudin、Academic Press、Orlando FL、1982、pg 403。
【0259】
熱重量分析
熱重量分析(TGA)も本発明の難燃剤組成物の温度特性を試験するために使用する。TGA値は、TA Instruments Thermogravimetric Analyzerを使用して得られる。各試料はPtパン上で50−60mL/分の窒素流を用いて10℃/分で約25℃〜600℃に加熱する。
【0260】
熱安定性試験(熱不安定性臭素試験)
この試験手順は本質的に米国特許第5,637,650号に記載されている通りである
。この試験を行う際、各試料は重複運転する。2.00g+/−0.01gの試料を新しい清浄な20mm×150mmの試験管に入れる。ネオプレン栓およびVitonフッ素ゴム配管を用いて、試験管は窒素パージ管路に連結し、試験管から出るガスは、各々0.1NNaOH200mLおよびフェノールフタレイン5滴を含有する3つの250mL枝管付き濾過フラスコ内の液面下のガス分散用泡ガラスに連続的に通す。0.5SCFHで窒素パージを一定にして、試験管を、15分間融解塩浴(51.3%KNO
3/48.7%NaNO
3)中で300℃で加熱し、次に常温で5分置く。次いで、試料を含有する試験管を清浄な乾燥した試験管に置き換え、300℃塩浴中に空の試験管を入れた装置をさらに10分間窒素パージする。試験管、配管およびガス分散管はすべて脱イオン水を用いてすすぎ、リンス液は、3つの捕集フラスコ内の溶液と定量的に合わせる。合わせた溶液は、1:1HNO
3を用いて酸性化し、自動電位差滴定器(Metrohm 670、716および736、または等価物)を使用して、0.01NAgNO
3を用いて滴定する。結果は下式に従ってppmとして算定される:
HBr=(終点までのAgNO
3(mL)・(AgNO
3の規定度)・(80912)/(試料重量)
【0261】
配管は、次の分析の前に窒素を用いて完全に乾燥する。各々の日最初の試料の前に、3つの空の清浄な試験管をブランクとして測定して、系中に残存ハロゲン化水素が存在しないことを確認する。
【0262】
本発明のストリップした臭素化トルエンスチレンテロマー分布のGPC分子量−方法1
M
w、M
n、M
zおよびPD値は、Viscotek Corporationによって製造された統合多重検出器GPCシステムを使用して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られた。システムは、二角度光散乱検出器と共に屈折率検出器(RI)を含む統合検出器システム(モデルTDA)と共に連結ポンプおよびオートサンプラー(モデルGPC−Max)を含む。使用したカラムは、300mm×7.5mm、部品番号1113−6520のPolymer Labs(Varian)オリゴポアカラムであった。使用した溶媒はテトラヒドロフラン(HPLC等級)であった。試験手順はTHF10mLにおよそ0.20gの試料を溶解することを含む。この溶液のアリコートを濾過し、50μLをカラムに注入する。光散乱測定は、較正のために1つのポリスチレン基準を必要とする。19,550ダルトンの公知の分子量を有するポリスチレン標準を、検出器システムを較正するために使用した。分子量分布を求めるために使用するソフトウェアは、Viscotek Omnisec、バージョン4.2.0.237ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)データ集および処理システムであった。本発明のストリップした臭素化トルエンスチレンテロマー分布のGPC分子量−方法2
【0263】
本発明のストリップした臭素化トルエンスチレンテロマー分布のGPC分子量−方法2
M
w、M
n、M
zおよびPD値は、Shimadzuオートサンプラー(モデルSIL−9)、Shimadzu屈折率検出器(モデルRID−6A)、Waters HPLCポンプ(モデル510)およびWaters TCMカラム加熱器を含むモジュラーシステムを使用して、GPCによって得られた。使用したカラムは、300mm×7.5mm、部品番号1113−6520のPolymer Labs(Varian)オリゴポアカラムであった。使用した溶媒はテトラヒドロフラン(HPLC等級)であった。試験手順はTHF10mLにおよそ0.10gの試料を溶解することを含む。この溶液のアリコートを濾過し、50μLをカラムに注入する。単離した1,3−ジフェニルプロパンおよび1,3,5−トリフェニルペンタン付加物に基づき、分離様式はサイズ排除であり、ピークは溶離の順序に従って、1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルペンタン、1,3,5,7−テトラフェニルヘプタン、1,3,5,7,9−ペンタフェニルノナンなどであると同定される。次いで、オリゴマー物質の個々のピークは理論的な
分子量値を割り当てる。臭素化した標準の分子量は以下のように算定される:
臭素化した標準のMW=未臭素化標準のMW/(l−臭素(重量分率))
【0264】
あたかも、分析されている臭素化トルエンスチレンテロマー分布の重量分率臭素に臭素化されたかのように基準用にこれらの理論値を使用して検量線が構築される。検量線はこれらの理論値およびその対応する保持時間を使用して構成される。この較正に基づいて、全体の分布データを算定して報告する。その計算は、Viscotek Omnisec、4.2.0.237版ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)データ集および処理システムによって実施した。
【0265】
本発明のストリップしたトルエンスチレンテロマー分布のGPC分子量
M
w、M
n、M
zおよびPD値は、Shimadzuオートサンプラー(モデルSIL−9)、Shimadzu屈折率検出器(モデルRID−6A)、Waters HPLCポンプ(モデル510)およびWaters TCMカラム加熱器を含むモジュラーシステムを使用して、GPCによって得られた。使用したカラムは、300mm×7.5mm、部品番号1113−6520のPolymer Labs(Varian)オリゴポアカラムであった。使用する溶媒はテトラヒドロフラン(HPLC等級)であった。試験手順はTHF10mLにおよそ0.10gの試料を溶解することを含む。この溶液のアリコートを濾過し、50μLをカラムに注入する。単離した1,3−ジフェニルプロパンおよび1,3,5−トリフェニルペンタン付加物に基づき、分離様式はサイズ排除であり、ピークは溶離の順序に従って、1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルペンタン、1,3,5,7−テトラフェニルヘプタン、1,3,5,7,9−ペンタフェニルノナンなどであると同定される。 次いで、オリゴマー物質の個々のピークは理論的な分子量値を割り当てる。検量線はこれらの理論値およびそれらの対応する保持時間を使用して構築する。この較正に基づいて、全体の分布データを算定し報告する。その計算は、Viscotek Omnisec、4.2.0.237版ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)データ集および処理システムによって実施した。
【0266】
熱色度値を求める分析法
熱色度分析の手順は以下のとおりである:
20mLの平底シンチレーションバイアルにsnugglyに適合する直径を有する12の加熱ポートを特色とするJ−Kem Scientific(St.Louis,MO)からの注文仕様の金属加熱ブロックを使用する。加熱ブロックを窒素パージしたグローブボックスに配置し、試験温度(250または300℃のいずれか)に加熱する。BAPC粉体の重複する2グラムの試料を20mLのシンチレーションバイアルに入れ、加熱ブロックで熱処理する。バイアル中の物質を、規定時間(250℃で15分または300℃で20分)加熱した。熱処理または熱的時効時間が完了したら、試料をブロックから直ちに取り出し、窒素下で冷却する。試料をクロロベンゼンに溶解して10重量%溶液にし、測定はシンチレーションバイアル中の10%溶液で直接得られる。溶液色度は、L、a、bに関して溶解した試料のものであり、Hunter Lab ColorQuest XE Colorimeter(Reston、VA)を使用してデルタEを測定し、クロロベンゼンのブランク標準(L=100、a=0、b=0)と比較する。
【0267】
成型品の分析法:
HDTはASTM D648によって求めた;ASTM D1525によるVicat(℃);ASTM D256によるIzod衝撃;ASTM D1238によるメルトフローインデックス;およびUL−94、1/8”(32mm)、UL−94による格付け。色度特性はASTM D1925によって求めた。
【0268】
本発明の難燃剤組成物は難燃加工相乗剤と共に使用する。これらの相乗剤は、アリール
臭素化難燃剤と共に一般に使用され、当分野において周知のものである。そのような相乗剤の例示は鉄酸化物、ホウ酸亜鉛または好ましくは三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、亜アンチモン酸カリウム、亜アンチモン酸塩ナトリウムなどの酸化アンチモン相乗剤である。難燃剤相乗剤の量は、使用された場合、一般に、HIPSまたはABS系の配合物全重量に対して最大約12重量%の範囲である。相乗剤量は約1〜約6重量%の範囲内にあることが最も多い。先に記載した割合の範囲からの逸脱は、目前の特定の状況下で必要であるまたは望ましいと判断される場合はいつでも許容でき、そのような逸脱は本発明の範囲および企図の範囲内である。
【0269】
本明細書または特許請求の範囲のいずれかにある化学名または式により言及される成分は、単数形または複数形のいずれで言及されていても、それらが化学名または化学タイプにより言及される別の物質(例えば、他の成分、溶媒など)と接触する前に存在しているとして確認される。結果として生じる組合せまたは溶液中で、たとえあるとしても、化学変化、変換および/または反応が起きるかどうかは重要でなく、その理由はそのような変化、変換および/または反応は、特定の成分をこの開示に従い要求される条件下で一緒にすることの当然の結果であるためである。したがって、所望の操作を実施することまたは所望の組成物を形成することに関連して、一緒にされる成分であると確認される。従って、以下の特許請求の範囲が現在形(「含む」、「である」など)で物質、成分および/または原料に言及し得るとしても、この言及はそれが本発明に従い1種もしくは複数の他の物質、成分および/または原料と最初に接触、ブレンドまたは混合される直前にそれが存在していた物質、成分または原料に関する。本開示に従いまた通常の化学技術を適用して行われる場合に、物質、成分または原料が、接触、ブレンドまたは混合の操作の過程で化学反応または変換によって元の同一性を失い得るという事実は、実際的に重要でない。
【0270】
本明細書のいずれかの部分で言及した各々およびすべての特許または刊行物は、あたかも完全に記載されたかのように全体として参照により本明細書に組み込む。
【0271】
特に他に指摘しない限り、本明細書において使用される、また仮に使用される場合の「1つの」という項目は、その項目が指す単数の要素に特許請求に範囲を限定するようには意図されず、また限定すると解釈されるべきでない。むしろ、本明細書において使用される、また仮に使用される場合の「1つの」という項目は、文脈中のテキストが明確に示さない限り、そのような要素の1つまたは複数を包含する。
【0272】
本発明は、本明細書において記述される材料および/または手順を含み、からなり、または本質的にからなっていてよい。
【0273】
本発明はその実施において相当の変形を受けることがある。したがって、前述の説明は、上に提起された特定の例証に本発明を限定するようには意図されず、限定すると解釈されるべきでない。