(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転リングは複数配置されており、各回転リングにはローラーが備えられており、かつ、前記複数の回転リングのうちの少なくとも1つに備えられたローラーがモーターにより回転駆動制御されるものであることを特徴とする請求項1に記載の太陽熱集熱装置。
前記回転リングの回転と前記アクチュエータのアームの前進後退運動は、内蔵された、暦および真太陽時に応じた太陽の動きに対する各反射鏡の角度調整データに基づいて制御されるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽熱集熱装置。
前記回転リングの回転と前記アクチュエータのアームの前進後退運動が、中央制御可能なものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の太陽熱集熱装置。
【背景技術】
【0002】
従来より石油など化石燃料からエネルギーを得てきたが、近年では、これらの化石燃料の枯渇や、該化石燃料の使用により排出される二酸化炭素等の温室効果ガス、さらには化石燃料の購入のためのコスト(燃料費)が問題となっている。
そこで、再生可能であり、燃料費が不要の太陽光が、新たなエネルギー源の1つとして注目されている。
【0003】
この太陽光をエネルギー源として利用する太陽熱集熱装置としては、太陽光の集光方式の違いから数種挙げられる(特許文献1等参照)。これらの中には、例えばトラフ型や線形フレネル型、タワー型と呼ばれるタイプの集熱装置がある。
【0004】
ここで、トラフ型の集熱装置は、桶状の放物面鏡を用いて太陽光を反射し、該反射光をレシーバに集光して太陽熱を集熱するものである。
また、線形フレネル型の集熱装置は、南北方向に並列に設定した複数の反射ライン上に複数枚の反射鏡を設置するとともに、これらの反射鏡の上方に南北方向に設定した受光ライン上にレシーバを設置し、反射鏡により太陽光を反射してレシーバに集光して太陽熱を集熱するものである。
さらに、タワー型の集熱装置は、ヘリオスタット機構により、タワー周辺に配置した複数枚の反射鏡の反射面の角度を調整し、太陽光をタワーに設けたレシーバに集光して太陽熱を集熱するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように太陽熱集熱装置においては種々の集光方式が用いられているが、まず、トラフ型や線形フレネル型の方式ではエネルギー源である太陽光から十分に集熱できているとは言えず、より一層、効率良く集熱することが可能な太陽光集熱装置が求められている。
【0007】
また、タワー型の方式では例えば
図5のようなヘリオスタット機構が用いられている。反射鏡の裏面にT字の支柱(Tボーン)が取り付けられており、
図5に示すようにTボーンの各部を回転させることによって、太陽の動きに合わせて反射鏡を任意に回転させることができる。しかしながら、このTボーンの動きは複雑であり、これによって反射面の角度を精度良く制御するのは難しい。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、簡便に、高精度で効率良く太陽熱を集熱することができる太陽熱集熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、複数本の反射ラインと、1本以上の受光ラインとを有する太陽熱集熱装置であって、前記複数本の反射ラインは、南北方向に並列に設定されたものであり、各列の反射ライン上には太陽光を反射する複数枚の反射鏡が設置されており、該複数枚の反射鏡は太陽の動きに追従させて反射面の角度を調整するヘリオスタット機構を備えており、該ヘリオスタット機構は、前記複数枚の反射鏡の反射面を東西方向に角度調整する回転リングと、前記複数枚の反射鏡の反射面を南北方向に角度調整するアクチュエータとを有しており、前記回転リングは前記複数枚の反射鏡とフレームを介して連結されており、前記回転リングの回転により前記フレームを介して1本の反射ライン上にある前記複数枚の反射鏡の反射面の角度が同時に調整されるものであり、前記アクチュエータは前記反射鏡毎にそれぞれ配置され、各アクチュエータはアームを有し、該アームと前記反射鏡とが連結されており、前記アームの前進後退運動により各反射鏡の反射面の角度が個別に調整されるものであり、前記1本以上の受光ラインは、前記複数本の反射ラインに直交して上方の定位置に設定されたものであり、各受光ライン上には1基のレシーバが設置されており、該レシーバは前記複数枚の反射鏡からの太陽光の反射光の熱を集熱するものであることを特徴とする太陽熱集熱装置を提供する。
【0010】
このようなものであれば、まず、反射ラインと受光ラインとが上記関係であるクロスリニア型の太陽熱集熱装置であり、例えば従来の線形フレネル型のものに比べ、低コストで、より効率良く太陽熱を集熱することが可能である。
【0011】
さらには、上記のような回転リングとアクチュエータとを有しており、反射鏡の反射面の角度を調整するための制御構造を、東西方向の角度を調整するものと南北方向の角度を調整するものとに分けている。従来ではTボーンのみで反射面を任意の角度に調整しており、そのために制御が複雑なものになってしまっていたが、本発明のように東西方向と南北方向の角度に分けて制御することで制御を単純なものとすることができるとともに、精度を大幅に高めることができる。すなわち簡便に、低コストで、しかも高精度で反射面の角度を調整することができる。したがって、太陽光を適切な角度でレシーバに向けて反射し易く、この点からも集熱効率の向上を図ることができる。
【0012】
また、前記回転リングは複数配置されており、各回転リングにはローラーが備えられており、かつ、前記複数の回転リングのうちの少なくとも1つに備えられたローラーがモーターにより回転駆動制御されるものとすることができる。
このようなものであれば、ローラーおよびモーターによって、簡便かつ正確に1本の反射ライン上にある複数枚の反射鏡の反射面の角度を同時に調整を行うことができる。
【0013】
また、前記アクチュエータのアームは、前記反射鏡の裏面に取り付けられて反射鏡を支持するものとすることができる。
このようなものであれば、アームによって反射鏡は裏面から支えられているため、風が吹いても反射鏡が揺れにくいものとすることができる。したがって、風が吹いても太陽光をレシーバへ向けて適切に反射して焦点を合わすことができる。風の影響で集熱効率が下がるのを抑制することができる。
【0014】
また、前記回転リングの回転と前記アクチュエータのアームの前進後退運動は、内蔵された、暦および真太陽時に応じた太陽の動きに対する各反射鏡の角度調整データに基づいて制御されるものとすることができる。
【0015】
従来では、逐次、太陽の実際の位置等に応じて適切な反射面の角度を計算し、該計算結果に基づいてTボーンを制御して反射面の角度調整を行っていた。しかしながら、上記のような内蔵の角度調整データに基づいて制御するのであれば、太陽の位置から逐次計算をする必要もなく簡便である。逐次計算が必要ないため、太陽の動きに遅れることなく反射面の角度調整をすることができ、高精度かつ低コストなものとなる。
【0016】
また、前記回転リングの回転と前記アクチュエータのアームの前進後退運動が、中央制御可能なものとすることができる。
このようなものであれば、回転リングとアクチュエータを統一的に制御することもできる。例えば反射光を集光して集熱を開始するにあたって、実際の太陽の位置に合わせて集熱開始時の反射面の初期角度の調整を行うときや、メンテナンスのときに便利である。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、クロスリニア型であり、その上、従来よりも単純な制御構造で、簡便かつ高精度で反射鏡の反射面の角度調整を行うことができ、低コストで効率良く集熱することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に本発明の太陽熱集熱装置の一例を示す。
まず、太陽熱集熱装置1の全体的な仕組みについて説明する。複数本の反射ライン2と1本以上の受光ライン3とが設定されている。各々の反射ライン2上には複数枚の反射鏡4が設置されており、受光ライン3上にはレシーバ5が設置されている。太陽光が反射鏡4に照射して反射され、該反射光をレシーバ5へ集光することで、太陽熱を集熱するものである。
太陽熱を集熱して温められたレシーバ内の媒体は不図示の蒸気タービンやガスタービン等へ送られて発電が行われる。
【0020】
以下、各部について詳述する。
複数本の反射ライン2は、南北方向に沿って互いに並列に設定されている。
図1には4本の反射ライン2A〜2Dが設定されている例を示したが、反射ライン2の本数は複数本であればよく、特に限定されない。
【0021】
また、1本以上の受光ライン3は、各々が、反射ライン2の上方の定位置に設定されている。さらには反射ライン2に直交するように(すなわち東西方向に沿うように)設定されている。
図1には1本の受光ライン3Aが設定されている例を示したが、2本以上とすることもでき、適宜決定することができる。例えば、
図1に示す反射鏡4やレシーバ5等を1ユニットとし、このユニットを複数用意して並列配置することができる。
また、受光ライン3と反射ライン2との垂直方向の距離も特に限定されず、例えば太陽光を集光し易いように各種条件に合わせて適宜決定することができる。
【0022】
このように反射ラインおよび受光ラインの関係から分かるように、太陽熱集熱装置1はクロスリニア型のものであり、低コストで、効率良く太陽熱を集熱することが可能である。
【0023】
次に、複数枚の反射鏡4について説明する。反射鏡4は太陽光を反射できる反射面6を有しているものであれば良く、反射鏡4の形状等は特に限定されない。例えば、太陽光の反射面6が平らなものとすることもできるし、凹面状のものとすることもできる。大きさも限定されず、例えば反射面6が3m×1.5m程度の面積を有するものとすることができる。
反射鏡4は反射ライン2A〜2Dの各列上に複数枚ずつ設置されている。
図1には各列あたり6枚ずつ設置されている例を示したが、この枚数に限定されない。例えば設置箇所の広さに応じて決めることができる。
【0024】
また、反射鏡4にはヘリオスタット機構7が備えられている。ここで
図2にヘリオスタット機構7の一例を示す。
ヘリオスタット機構7は太陽の動きに追従させて反射面6の角度を調整するものである。反射鏡4の反射面6に関して、東西方向の角度を調整する手段(東西角度調整手段8)と、南北方向の角度を調整する手段(南北角度調整手段9)とを有している。なお、ここでは反射ライン2A上の反射鏡4A
1〜4A
6の場合についての例を挙げているが、他の反射ライン2B〜2Dにおいても同様にこれらの手段が備えられている。
従来では
図5のようなTボーンのみを用いて任意の角度に反射面の角度を調整していたが、本発明におけるヘリオスタット機構7では、東西方向の角度と南北方向の角度とで調整手段が異なっている。これらの手段は、互いに独立して各々の方向の角度を調整できるようになっている。したがって、制御が簡単でありながら、高精度で角度調整ができる。
【0025】
まず、東西角度調整手段8について説明する。
図3に東西角度調整手段8の一例を示す。
図3(A)は東西角度調整手段8の上面図であり、
図3(B)はその側面図である。なお、1本の反射ライン2A上に設置された反射鏡4(4A
1〜4A
6)も併せて記載している。
【0026】
図3(A)に示すように、東西角度調整手段8は回転リング10とフレーム11を備えている。
また、
図2、
図3(A)に示すように、フレーム11は、南北方向に直列に並べられた反射鏡4A
1〜4A
6の全てを囲うようにして配置されており、各反射鏡4A
1〜4A
6の東側および西側の側面と連結されている。なお、ここでは各反射鏡4A
1〜4A
6の側面の中央部において連結されており、該連結部を結ぶ軸(
図3(A)の点線)を中心にして各反射鏡4A
1〜4A
6は南北方向に回転可能になっている。
【0027】
また、
図3(A)に示すように、回転リング10はフレーム11を例えば外側から囲うようにして、フレーム11の両端と中央部に配置されており、各々、フレーム11と連結されている。すなわち、回転リング10と反射鏡4A
1〜4A
6はフレーム11を介して連結されている。
なお、ここでは回転リング10の数が3つの場合を例に挙げたが、これに限定されず1つ以上あれば良い。例えばフレーム11の中央のみに配置しても良いが、特には複数あるのが好ましく、
図3の場合よりも多く配置することもできる。
反射鏡4A
1〜4A
6を適切に保持できるとともに、同時に回転させることができれば良く、フレーム11の形状や大きさ、回転リング10の数や大きさ等は適宜決定することができる。反射鏡の重量等も考慮してフレーム11等に撓みが生じないように、材質等もその都度決定することができる。
【0028】
さらに
図3(B)に示すように、各々の回転リング10には、回転リング10を東西方向に回転させるためのローラー12が備えられている。回転リング10を回転させる手段としては特に限定されないが、このようなローラー12であれば、回転リング10を簡便に回転させることができ、フレーム11を介して連結されている反射鏡4(4A
1〜4A
6)を同時に東西方向に回転させることができる。
ここでは回転リング10ごとに2つのローラー12が配置されている。該ローラー12によって回転リング10は回転可能に下方から支えられている。ローラー12の数や大きさ等は特に限定されず、適宜決定することができる。
【0029】
また、これらの回転リング10のうちの少なくとも1つにおいて、ローラー12にモーター13が接続されている。モーター13によって、ローラー12の回転駆動を制御して、所望のタイミング、回転数でローラー12を回転させることができる。これにより、回転リング10をmR〜数十mRの精度で正確に回転制御することが可能である。
配置するモーター13の数は適宜決定することができる。
また、回転の度合い(回転範囲)も特に限定されないが、日中に反射鏡4が太陽光をレシーバ5に反射させることができるよう、反射鏡4を、12時間あたり90°回転させることが可能なモーター13やローラー12を用意するのが良い。
【0030】
このような東西角度調整手段8が、各列の反射ライン上ごとに備えられている。このため、1本の反射ライン上に設置されている複数枚の反射鏡を全て同時に東西方向に回転させることができ、それらの東西方向の角度調整を同時に行うことが可能である。しかも複数ある反射ラインを各反射ラインごとに独立して反射鏡の角度調整をすることができる。
【0031】
次に南北角度調整手段9について説明する。
図4に南北角度調整手段9の一例を示す。
図4(A)は
図2のA矢視図であり、各々の位置関係が把握しやすいように、回転リング10、フレーム11、反射鏡4も併せて記載している。また
図4(B)は
図2のB矢視図であり、フレーム11、反射鏡4も併せて記載している。
南北角度調整手段9は反射鏡4に対して個別に設けられており、アーム14を有するアクチュエータ15を備えている。このアクチュエータ15はアーム14を前進後退運動させるものである。またアーム14は反射鏡4に連結されている。
【0032】
ここではアーム14は、先端が反射鏡4の裏面に連結されており、その前進後退運動により反射鏡4の裏面を押し引きすることができ、それによってフレーム11との連結部同士を結ぶ軸を中心にして反射鏡4を南北方向に回転させることが可能である。アーム14の前進後退の距離によって、反射鏡4の反射面6の南北方向の角度を調整することができる。
【0033】
アーム14の前進後退の範囲(ストローク範囲)は特に限定されないが、少なくとも、1年を通して太陽光をレシーバに向けて適切に反射できるようなものであれば良い。地軸の傾きにより、1年を通して太陽の高度は(23.4°×2)の範囲で変化するため、反射面6の角度を少なくともその範囲の分は調整できるように、アーム14のストローク範囲を決定すると良い。
【0034】
またアーム14は、前述のように反射鏡4の裏面を押したり引いたりして反射鏡4を回転させるが、同時に反射鏡4を裏面側から支持している。
図5の従来のTボーン方式では風によって反射鏡が揺れてしまい、レシーバへの反射に悪影響が生じることがあったが、
図4のアーム14による支持のおかげで、風が吹いたとしても反射鏡4が揺れるのを効果的に防ぐことができる。したがって、反射鏡4の揺れによってレシーバへの反射が適切に行われなくなるのを防ぐことができ、集熱効率が下がるのを抑制することができる。
【0035】
なお、反射鏡4の裏面でアーム14と連結している場合について説明したが、当然これに限定されず、アーム14と反射鏡4の連結部は適宜決定することができる。例えば反射鏡4の側面でアーム14と連結させることも可能である。
【0036】
また、前述したように反射鏡4はフレーム11ごと東西方向に回転するものであるので、アクチュエータ15自体は、例えばフレーム11に固定させると良い。このようにすれば、反射面6の東西方向の角度調整のために回転リング10によってフレーム11および反射鏡4が東西方向に回転したとしても、アクチュエータ15はフレーム11に固定されているので、東西方向に回転する前と同様にして、アクチュエータ15のアーム14で反射面6の南北方向の角度調整を行うことが可能である。
【0037】
このような南北角度調整手段9が、各々の反射鏡ごとに備えられている。このため、反射鏡4を個別に南北方向に回転させて、その反射面6の南北方向の角度調整を行うことが可能である。しかも反射鏡ごとに互いに独立して角度調整することができる。
【0038】
以上、東西角度調整手段8と南北角度調整手段9について、反射鏡4を回転させて反射面6の角度を調整するための仕組みについて説明してきた。
図5のような従来のTボーン方式では、そのTボーンのみで反射面を様々な方向に回転させて任意の角度に調整しなければならず、そのために制御が複雑であった。
しかしながら、本発明では、反射面の角度調整を、回転リングを有する東西角度調整手段とアクチュエータを有する南北角度調整手段で分担している。すなわち、東西角度調整手段は東西方向の角度調整だけ行えば良く、また、南北角度調整手段は南北方向の角度調整だけ行えば良いので、各々は、単純な制御構造で簡便に反射面の角度を調整することができ、それらの組合わせで任意の角度に反射面の角度を高い精度で調整可能である。しかも、それぞれの機構は簡単であるため、低コストなものとなる。
【0039】
なお、単に反射面6を任意の角度に調整できるだけでなく、ヘリオスタット機構7として、実際に、太陽の動きに追従するように角度が調整されるものでなければならない。
このような角度調整を円滑にすすめるため、例えば、東西角度調整手段8および南北角度調整手段9に、暦および真太陽時に応じた太陽の動きに対する反射鏡4の角度調整データを内蔵しておくと良い。前述したように、東西角度調整手段8においては、モーター13によりローラー12が回転駆動制御されて、回転リング10の回転が制御され、反射鏡4の反射面6の東西方向の角度調整が行われる。また太陽の動きは暦および真太陽時から予め推測することができる。
【0040】
そこで、モーター13として、その駆動制御のためのコンピュータを備えるものとし、該コンピュータには上記太陽の動きに追従して反射鏡4の反射面6の角度が適切に調整されるようにするための、回転リング10の回転度合いやモーター13の制御値(角度調整データ)のパターンをインプットしておく。そして、実際に太陽光をレシーバ5に反射させる際には、コンピュータ内の角度調整データに基づいてモーター13を駆動させ、回転リング10の回転を制御することで、簡便に反射面6の角度調整を行うことができる。
特に東西角度調整手段8においては、東から西へ移動する太陽に対して、一定速度で回転させれば良く、極めて安定した制御が可能である。従来のTボーン方式では太陽の位置に対応させるために、反射鏡が大きく回転することもあり、回転速度を急激に高める必要性が生じたりもするが、本発明ではそのような急激な回転の必要性を低減することができる。
なお、コンピュータを別個用意するのではなく、例えばモーター13に内蔵されるメモリと制御回路に角度調整データを入力して制御させることもできる。
【0041】
また、南北角度調整手段9についても同様である。すなわち、アクチュエータ15のメモリ上、あるいは備えつけたコンピュータ内に、上記太陽の動きに追従して反射鏡4の反射面6の角度が適切に調整されるようにするための、アクチュエータ15のアーム14の前進後退運動の制御値(角度調整データ)のパターンをインプットしておく。そして該角度調整データに基づいてアクチュエータ15のアーム14の前進後退運動を制御することによって、簡便に反射面6の角度調整を行うことができる。
【0042】
当然、従来のように、逐次、太陽の位置を計算し、さらにその太陽の位置に対応した反射面の角度を計算して東西角度調整手段8および南北角度調整手段9を制御しても良い。しかしながら、上記のようにパターン化された内蔵データを利用するのであれば、従来のような逐次計算は必要なく、また、そのような逐次計算を行ってから反射面の角度調整を行うのではないので、より一層、太陽の動きに遅れることなくいち早く対応させることが可能であるし、簡便である上に精度も高い。また集熱効率の上昇につなげることができる。コスト等に応じて適宜決定することができる。
【0043】
また、東西角度調整手段8および南北角度調整手段9は各々独立して制御可能であるが、これに限定されず、
図1に示すように中央制御装置16を設け、それぞれの、東西角度調整手段8のモーター13や南北角度調整手段9のアクチュエータ15と接続し、中央制御装置16によって、回転リング10の回転とアクチュエータ15のアーム14の前進後退運動を統一的に制御することも可能である。例えば、集熱開始時やメンテナンス時の反射面6の初期角度の調整を行うときに中央制御装置16で制御することができる。太陽の位置に基づいて、適切な反射面6の角度やその角度に調整するためのモーター13等の制御データを計算し、該計算結果に基づき、中央制御装置16によって反射面6の初期角度を調整することができる。
そして、初期角度を調整した後、引き続き中央制御装置16により角度調整を行っても良いし、あるいは前述したように内蔵データを利用して角度調整を行うこともできる。
【0044】
次にレシーバ5について説明する。
レシーバ5自体は特に限定されるものではなく、その形状、大きさは適宜決定することができる。例えば従来と同様のものを用いることができる。太陽光の反射光を集光させて、効率よく集熱することができるものであれば良い。
レシーバ5は媒体(空気や二酸化炭素など)が流れる受熱管を有しており、レシーバ5に集熱した太陽熱により受熱管中の媒体が温められ、該温められた媒体が蒸気タービン等に送られ、発電に用いられる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
図1に示すような本発明のクロスリニア型の太陽熱集熱装置を用いて太陽光を集光して受熱管内の媒体を温めるシミュレーションを行った。シミュレーションの条件を以下のように設定した。
1本の受光ラインを設定してレシーバを設置し(地上から20mの高さ)、80本の反射ライン上に(ライン間の距離は1.5m)、一列あたり30枚の反射鏡(大きさは1.5m×1.5m)を設置した(全反射鏡の面積は5400m
2)。
また、反射鏡は全てレシーバに対して北側に配置した。レシーバに近い側の第一番目の反射鏡の先端とレシーバとの水平方向の距離が5mになるようにした。
反射鏡の角度調整は、
図1の東西角度調整手段および南北角度調整手段を用いた。内蔵の、暦および真太陽時に応じた太陽の動きに対する各反射鏡の角度調整データに基づいて、回転リングの回転とアクチュエータのアームの前進後進運動を制御して反射鏡の角度調整を行った。
【0046】
また、その他の条件は以下の通りである。
ブロッキング(反射鏡同士による反射光の遮り)は0〜0.2(すなわち2割以下)とした。
また、日時や場所としては、春分の午前10時で、赤緯36.8401632度(スペインアルメリア)とした。
【0047】
シミュレーションの結果を見ると、全ての反射鏡の平均のコサイン効果は0.941(なお、反射鏡の使用効率が100%のとき1.00)で、反射鏡のほとんどが有効に集光に使用できることが明らかになった。
【0048】
(比較例)
従来の線形フレネル型(12列の反射ラインおよび受光ラインが共に南北方向)の太陽熱集熱装置を用いて太陽光を集光して受熱管内の媒体を温めるシミュレーションを行った。シミュレーションの条件を以下のように設定した。
【0049】
幅が1.5m、長さが300mの反射鏡を12列(レシーバに対して東側に6列、西側に6列)設置した(実施例と同様に、全反射鏡の面積は5400m
2)。
また、反射鏡同士の間隔を1.5mとすることにより、ブロッキングの割合が実施例とほぼ同様になるようにした。
なお、日時や場所は実施例と同様にした。
【0050】
シミュレーションの結果を見ると、全ての反射鏡の平均のコサイン効果は0.799で、反射鏡のうち有効に集光に使用できたのは8割程度であった。
【0051】
実施例と比較例とでは実施例の方がミラー当たりの集光効率が14%も大きい。緯度と時間によってこの差は異なり、これらの条件によっては40−80%以上の違いがみられる。本発明によって、反射鏡やヘリオスタット機構の数量が低減できることから、プラント建設のためのコストが低減できる。
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。