特許第6231751号(P6231751)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6231751-自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造 図000002
  • 特許6231751-自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造 図000003
  • 特許6231751-自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造 図000004
  • 特許6231751-自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造 図000005
  • 特許6231751-自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造 図000006
  • 特許6231751-自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造 図000007
  • 特許6231751-自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231751
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造
(51)【国際特許分類】
   F02D 35/00 20060101AFI20171106BHJP
   B62M 7/02 20060101ALI20171106BHJP
   B62K 11/04 20060101ALI20171106BHJP
   F01N 13/00 20100101ALI20171106BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20171106BHJP
【FI】
   F02D35/00 368C
   B62M7/02 G
   B62K11/04 B
   F01N13/00 A
   F01N13/08 G
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-15372(P2013-15372)
(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公開番号】特開2014-145335(P2014-145335A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067840
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 望
(74)【代理人】
【識別番号】100098176
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 訓
(74)【代理人】
【識別番号】100169111
【弁理士】
【氏名又は名称】神澤 淳子
(72)【発明者】
【氏名】中村 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 雄太
【審査官】 堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−047118(JP,A)
【文献】 特開2008−280995(JP,A)
【文献】 特開2009−220589(JP,A)
【文献】 特開平11−343895(JP,A)
【文献】 特開2005−178420(JP,A)
【文献】 特開平08−062236(JP,A)
【文献】 特開2006−097606(JP,A)
【文献】 特開2010−065580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 31/00−39/10
F01N 3/00− 3/02、 3/04− 3/38、
9/00−11/00
F01N 1/00− 1/24、 5/00− 5/04、
13/00−99/00
B62M 1/00−29/02
B62K 1/00−11/14
B60K 11/00−15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(2)と、同車体フレーム(2)に前後輪(10,13)の間で懸架される内燃機関(3)を備え、同内燃機関(3)の車両前方側から、同内燃機関(3)の下方を通すように車両後方側に延出される排気管(51A〜D、52L,R)を備えた自動二輪車(1)の排気ガスセンサ配置構造において、
前記車体フレーム(2)は、左右一対で前記内燃機関(3)の下部両側を通過して車体後方側に延出するボトムフレーム部(25L,R)を備え、
車両前面視で前記内燃機関(3)と前記ボトムフレーム部(25L,R)との間に配置された前記排気管の(52L,R)上半分において、排気ガスセンサ(6L,R)が、車両前面視で前記内燃機関(3)と前記ボトムフレーム部(25L,R)との間に左右から挟まれるように配置され、
前記排気ガスセンサ(6L,R)の中心軸(Lx,Rx)は、前記内燃機関(3)とボトムフレーム部(25L,R)との間を指向するように車両中心鉛直線(Vc)に対して上方が車幅方向外側に傾斜して配置され、
前記排気管(52L,R)が、前記内燃機関(3)の下方の左右両側をそれぞれ通過するように、複数配置され、左右両側の前記排気管(52L,R)に排気ガスセンサ(6L,R)が鉛直方向に対して傾斜して配置され、
前記内燃機関(3)の下部にはオイルパン(37)が配設され、前記排気管(52L,R)は、同オイルパン(37)と前記ボトムフレーム部(25L,R)の間に配置されており、
同オイルパン(37)は、車幅方向中心(X)に対して左右非対称で、前記内燃機関(3)の下方の左右両側を通過する前記排気管(52L,R)の間に下方に向けて突出するように形成され、前記排気ガスセンサ(6L,R)は前記オイルパン(37)との干渉を避けるように、それぞれ鉛直線(V)に対して中心軸(Lx,Rx)の傾斜角度(θ1,θ2)を異ならせて配置されたことを特徴とする自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造
【請求項2】
前記排気ガスセンサ(6L,R)の中心軸(Lx,Rx)が鉛直線(V)と交差する角度(θ1,θ2)が、鋭角となる側で1/2直角を超えない角度に設定されたことを特徴とする請求項に記載の自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造
【請求項3】
前記排気管(52L,R)の上半分の一部と前記ボトムフレーム部(25L,R)とが側面視で重なり、その重なる範囲に前記排気ガスセンサ(6L,R)のセンサ取付け部(52b)が配置されたことを特徴とする請求項1または請求項に記載の自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造。
【請求項4】
側面視で前記排気ガスセンサ(6L,R)の前記排気管(52L,R)からの露出部の少なくとも一部が前記ボトムフレーム部(25L,R)で覆われるように、前記排気ガスセンサ(6L,R)が前記排気管(52L,R)に配置されたことを特徴とする請求項3に記載の自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造。
【請求項5】
前記内燃機関(3)のオイルパン(37)が前記排気ガスセンサ(6L,R)の前方で車幅方向に膨出するように形成されて、車両前面視で前記排気ガスセンサ(6L,R)が同オイルパン(37)の膨出部(37a,37b)により覆われたことを特徴とする請求項または請求項に記載の自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスセンサが保護される自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車の内燃機関の下方を通過する排気管であって、内燃機関のオイルパンの後方に位置する排気管の部分の上面に排気ガスセンサを配置したものが、例えば下記特許文献1に示されている。
下記特許文献1に示されたものでは、排気ガスセンサは、車幅方向中心上にあって、4本の排気管が集合する集合部付近の比較的幅が広い部位の上面に延長方向に配置されるため、排気ガスセンサの下方が排気管によって広く保護されている。
しかしながら、車両によっては、排気管が車幅方向中心を通過するように配置できない場合や、幅広い排気管の上面に配置することができない場合があり、そのように、排気管が車両の一側方に偏在して配置される場合であっても、排気ガスセンサが保護される排気ガスセンサ配置構造が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4057145号(図2図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の従来技術に鑑み、排気管が車両の側方に偏在して配置される場合であっても、排気ガスセンサが保護される自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車体フレームと、同車体フレームに前後輪の間で懸架される内燃機関を備え、同内燃機関の車両前方側から、同内燃機関の下方を通すように車両後方側に延出される排気管を備えた自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造において、前記車体フレームは、左右一対で前記内燃機関の下部両側を通過して車体後方側に延出するボトムフレーム部を備え、車両前面視で前記内燃機関と前記ボトムフレーム部との間に配置された前記排気管の上半分において、排気ガスセンサが、車両前面視で前記内燃機関と前記ボトムフレーム部との間に左右から挟まれるように配置され、
前記排気ガスセンサの中心軸は、前記内燃機関とボトムフレーム部との間を指向するように車両中心鉛直線に対して上方が車幅方向外側に傾斜して配置され、前記排気管が、前記内燃機関の下方の左右両側をそれぞれ通過するように、複数配置され、左右両側の前記排気管に排気ガスセンサが鉛直方向に対して傾斜して配置され、
前記内燃機関の下部にはオイルパンが配設され、前記排気管は、同オイルパンと前記ボトムフレーム部の間に配置されており、同オイルパンは、車幅方向中心に対して左右非対称で、前記内燃機関の下方の左右両側を通過する前記排気管の間に下方に向けて突出するように形成され、前記排気ガスセンサは前記オイルパンとの干渉を避けるように、それぞれ鉛直線に対して中心軸の傾斜角度を異ならせて配置されたことを特徴とする自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造。
【0007】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造において、前記排気ガスセンサの中心軸が鉛直線と交差する角度が、鋭角となる側で1/2直角を超えない角度に設定されたことを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1または請求項に記載の自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造において、前記排気管の上半分の一部と前記ボトムフレーム部とが側面視で重なり、その重なる範囲に前記排気ガスセンサのセンサ取付け部が配置されたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造において、側面視で前記排気ガスセンサの前記排気管からの露出部の少なくとも一部が前記ボトムフレームで覆われるように、前記排気ガスセンサが前記排気管に配置されたことを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項または請求項に記載の自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造において、前記内燃機関のオイルパンが前記排気ガスセンサの前方で車幅方向に膨出するように形成されて、車両前面視で前記排気ガスセンサが同オイルパンの膨出部により覆われたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明の自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造によれば、排気ガスセンサが、内燃機関とボトムフレーム部との間に配置された排気管の上半分において、これらの間に左右から挟まれるように配置されたので、下方を排気管で、両側を内燃機関およびボトムフレーム部で、近接して囲まれるため、周辺部材を利用した排気ガスセンサの保護が図れる。
また、排気ガスセンサが、その中心軸を車両中心鉛直線から上方外側に向けて傾斜配置されたことで、車幅方向中心に配置される前後輪側から見て、排気ガスセンサが排気管により覆われる面積を大きくして、より一層の保護が図れる。また、排気ガスセンサを内燃機関から離して熱の影響を抑制できる。
また、内燃機関の下方の左右両側の排気管にそれぞれ配置した排気ガスセンサを、両方とも内燃機関とボトムフレーム部により保護できる。
そして、複数の排気ガスセンサが左右非対称のオイルパンを避けるようにして配置されて、オイルパンとボトムフレーム部とで協働して排気ガスセンサを保護することができる。
【0015】
請求項の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、排気ガスセンサの中心軸の傾斜角度を1/2直角を超えない角度とすることで、内燃機関下方からと、車輪から来た飛散物に対して排気管による保護が確実に行なえる。
【0018】
請求項の発明によれば、請求項1または請求項の発明の効果に加え、排気ガスセンサの側面をボトムフレーム部よって覆うことで、排気ガスセンサの保護を図ることができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、排気ガスセンサの露出部の側方をボトムフレーム部で覆うことで、排気ガスセンサを側方から保護することができる。
【0020】
請求項の発明によれば、請求項または請求項の発明の効果に加え、オイルパンの車幅方向の膨出部により排気ガスセンサの前面を覆うように配置することで、排気ガスセンサの前方からの保護を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る排気ガスセンサ配置構造を備えた自動二輪車の燃料タンク部分を切り開いた左側面図である。
図2図1に示される自動二輪車の左側面図である。
図3図1および図2中の、III−III矢視による自動二輪車の断面図であり、内燃機関3はその下部のオイルパン37のみが示され、他は図示省略されている。
図4図3中IV−IV矢視による、左ボトムフレーム部と、左の合流排気と、左の排気ガスセンサとの位置関係の説明図であり、内燃機関は、オイルパンのみが2点鎖線で示され、他は図示省略されている。
図5図3中V−V矢視による、右ボトムフレーム部と、右の合流排気と、右の排気ガスセンサとの位置関係の説明図であり、内燃機関は、オイルパンのみが2点鎖線で示され、他は図示省略されている。
図6図1中、VI−VI矢視による自動二輪車の中央部底面図である。
図7図1中、VII−VII矢視による燃料タンク等を除いた自動二輪車の中央部要部平面図であり、内燃機関は、オイルパンのみが示され、他は図示省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1から図7に基づき、本発明の一実施形態に係る自動二輪車の排気ガスセンサ配置構造につき説明する。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係る排気ガスセンサ配置構造を自動二輪車に備えた状態での車両(自動二輪車)の向きに従うものとする。
また、図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る排気ガスセンサ配置構造を備えた自動二輪車1の燃料タンク部分を切り開いた左側面図である。図2は、同じ自動二輪車1の右側面図である。
自動二輪車1の車体フレーム2は、ヘッドパイプ20と、ヘッドパイプ20から斜め後方に延出する左右一対のメインフレーム21と、メインフレーム21の後端から下方に延出する左右一対のセンターフレーム22と、ヘッドパイプ20とメインフレーム21を繋ぐ左右一対の補助フレーム23と、補助フレーム23から左右一対で下方に延びた後、後方に屈曲して水平方向後方に伸び、センターフレーム22の下端に繋がる左右一対のダウンフレーム24と、メインフレーム21から後方に延出する左右一対のシートステー(不図示)と、センターフレーム22の中央部とシートステーの中央を結ぶ左右一対のミッドフレーム26とを備えている。
ダウンフレーム24において、後方に屈曲して後、水平方向後方に伸び、左右一対で内燃機関3の下部両側を通過し、車体後方に延出して左右のセンターフレーム22の下端に繋がる部分を、ここで特に、ボトムフレーム部25と言う。
以上のメインフレーム21、センターフレーム22、ダウンフレーム24およびシートステーは、その左右を繋ぐ図示しないクロスメンバーを要所に備えている。
【0024】
前輪10を支持するフロントフォーク11が、ヘッドパイプ20に操向可能に支持され、フロントフォーク11の上部にはステアリングハンドル12が連結されている。また、後輪13を支持するスイングアーム14が、センターフレーム22に、ピボットボルト15を介して上下揺動可能に支持され、シートステーとミッドフレーム26の接続部27と、リアフォーク14との間にはクッションユニット16が設けられている。
【0025】
内燃機関3は、ダウンフレーム24とメインフレーム21とセンターフレーム22に支持され、内燃機関3の動力は、後輪駆動用チェーン17を介して後輪13に伝達される。メインフレーム21には、内燃機関3の上方に位置するようにして燃料タンク18が設けられ、シートステー上には運転者用と同乗者用のタンデム型シート19が取付けられている。
【0026】
本実施形態において、自動二輪車1に搭載された内燃機関3は、空冷直列4気筒の4ストロークサイクル内燃機関であって、そのクランクケース30内の後部に変速機を一体に備えて、いわゆるパワーユニットを構成しており、そのクランク軸31を、自動二輪車1の車幅方向、すなわち左右方向に配向させて自動二輪車1に搭載されている。
内燃機関3は、クランクケース30の前部上方にシリンダ軸線Cを若干前傾させて、シリンダブロック32、シリンダヘッド33とシリンダヘッドカバー34を起立した姿勢で備え、クランクケース30の下面にはオイルパン37が締結接合され、クランクケース30の前部にはオイルフィルタ38が取付けられている。
【0027】
内燃機関3のシリンダヘッド33から後方には、その4気筒の各気筒の吸気ポート35に、吸気系4が接続している。
シリンダヘッド33から前方には、その4気筒の各気筒の、左側から順に、排気ポート36A〜36Dに、排気系5をなす排気管51A〜51Dが接続して延出し、内燃機関3の下方を通すように車両後方に延出される。
【0028】
一方、ダウンフレーム24は、左ダウンフレーム24Lと右ダウンフレーム24Rが左右一対で内燃機関3の前方に沿って後方に傾斜しながら下方に延在した後、後屈し、左ボトムフレーム部25Lと右ボトムフレーム部25Rとして、内燃機関3の下部、概ねオイルパン37の左右両側を通過して車体後方に延出する。
【0029】
左側の2気筒に接続する排気管51A、51Bは、それぞれ左側の排気ポート36A、36Bから左ダウンフレーム24Lを挟むように、その前方へ延出して後、下方に向けて屈曲し、左ダウンフレーム23Lの前方に沿って下方に延在して後、内燃機関3の車両前方から、内燃機関3の下方を通るように屈曲し、内燃機関3(オイルパン37)と左ボトムフレーム部25Lとの間において合流し、左の合流排気52L(本発明の「排気管」)を形成して車両後方に延出し、後輪13の左側方に配設された左側マフラー53Lに接続している。(図3図6参照)
【0030】
右側の2気筒に接続する排気管51C、51Dは、それぞれ右側の排気ポート36C、36Dから右ダウンフレーム24Rを挟むように、その前方へ延出して後、下方に向けて屈曲し、右ダウンフレーム24Rの前方に沿って下方に延在して後、内燃機関3の車両前方から、内燃機関3の下方を通るように屈曲し、内燃機関3(オイルパン37)と右ボトムフレーム部25Rとの間において合流し、右の合流排気52R(本発明の「排気管」)を形成して車両後方に延出し、後輪13の右側方に配設された右側マフラー53Rに接続している。(図3図6参照)
【0031】
複数の排気管51A〜51Dは、内燃機関3の下方の左右両側に分かれてそれぞれ通過するように配置されており、その左右の合流排気52L、52Rにはそれぞれ、排気ガスの諸値を検出する排気ガスセンサ6L、6Rが取付けられている。
排気ガスセンサ6L、6Rはそれぞれ、例えば、理論空燃比を境としたリーン(空気過剰)域またはリッチ(燃料過剰)域を判別するために用いられる酸素センサ、または、空燃比に比例した電流値をECUに出力するLAF(Linear Air Fuel Ratio)センサであり、排気ガスセンサ6L、6Rの検出結果は、図示しないECU(Engine Control Unit)に送られ、内燃機関3の燃焼制御(フィードバック空燃比制御)に用いられる。
【0032】
図3は、図1および図2中の、概ねIII−III矢視による自動二輪車1の断面図であり、車両前面視を示すものであるが、図3において、内燃機関3はその下部のオイルパン37のみが示され、他は図示省略されている。
【0033】
図3に示されるように、左の排気ガスセンサ6Lは、左の合流排気52Lの上半分において、車両前面視で内燃機関3と左ボトムフレーム部25Lとの間に挟まれるように、右の排気ガスセンサ6Rは、右の合流排気52Rの上半分において、車両前面視で内燃機関3と右のボトムフレーム部25Rとの間に挟まれるように配置されている。
そして、排気ガスセンサ6L、6Rは、センサ本体6aがそれぞれ合流排気52L、52Rの上壁52a(図4図5参照)のセンサ取付け部52bを貫き、検出部6bが合流排気52L、52Rのそれぞれの内部に露出した状態で取付けられている。
したがって、左の排気ガスセンサ6Lは、下方を左の合流排気管52Lで、両側を内燃機関3および左のボトムフレーム部25Lで、近接して囲まれ、右の排気ガスセンサ6Rは、下方を右の合流排気管52Rで、両側を内燃機関3および右のボトムフレーム部25Rで、近接して囲まれるため、周辺部材を利用した左右の排気ガスセンサ6L、6Rの保護が図られている。
【0034】
そして、左の排気ガスセンサ6Lの中心軸Lxは、内燃機関3と左のボトムフレーム部25Lとの間を指向するように鉛直線Vに対して交差する角度θ1で上方が車幅方向外側に傾斜して配置されており、右の排気ガスセンサ6Rの中心軸Rxは、内燃機関3と右のボトムフレーム部25Rとの間を指向するように鉛直線Vに対して交差する角度θ2で上方が車幅方向外側に傾斜して配置されている。
すなわち、左右の排気ガスセンサ6L、6Rの中心軸Lx、Rxは、車両中心鉛直線Vcに対して上方が車幅方向外側に向けて傾斜配置されている。
【0035】
そのように、左右の排気ガスセンサ6L、6Rが、その中心軸Lx、Rxを車両中心鉛直線Vcから上方外側に向けて傾斜配置されているので、自動二輪車1の車幅方向中心Xに配置される前後輪10、13側(図1、2、6参照)から見て、排気ガスセンサ6L、6Rが合流排気52L、52Rにより覆われる面積を大きくして、より一層の保護が図れている。
また、左右の排気ガスセンサ6L、6Rを内燃機関から離すこととなり、気ガスセンサ6L、6Rに対する熱の影響を抑制できる。
【0036】
また、本実施形態において、左右の排気ガスセンサ6L、6Rの中心軸Lx、Rxが鉛直線Vと交差する鋭角となる側の傾斜角度θ1、θ2は、図示のように1/2直角(45°)を超えない角度に設定されており、内燃機関3下方からと、前輪10から来る飛散物に対して左右の排気管51A、51Bおよび合流排気52LR、ならびに排気管51C、51Dおよび合流排気52Rによる保護が確実に行なえる。
【0037】
以上のように複数の排気管として左右の合流排気管52L、52Rが、内燃機関3の下方の左右両側をそれぞれ通過するように配置され、左右両側の合流排気管52L、52Rにそれぞれ左右の排気ガスセンサ6L、6Rを、鉛直方向Vに対して傾斜して配置しているので、左右の排気ガスセンサ6L、6Rが両方とも内燃機関3とボトムフレーム部により保護される。
【0038】
図3に示されるオイルパン37は、内燃機関3の下部に配設されたものであり、車幅方向中心Xに対して左右非対称で、内燃機関3の下方の左右両側を通過する左右の合流排気管52L、52Rの間に、下方に向けて突出するように形成され、左右の合流排気管52L、52Rはそれぞれ、オイルパン37と左右のボトムフレーム部25L、25Rとの間に配置されている。
したがって、内燃機関3の下部で下方に向けて突出するオイルパン37の左右の排気ガスセンサ6L、6Rは、左右非対称のオイルパン37との干渉を避けるように、それぞれ鉛直線Vに対する中心軸Lx、Rxの傾斜角度θ1、θ2を異ならせて配置されることで、オイルパン37と左右のボトムフレーム部25L、25Rとが協働して左右の排気ガスセンサ6L、6Rを保護することが可能となっている。
【0039】
なお、オイルパン37が、内燃機関3の下部において、車幅方向中心Xに対して左右対称に形成された場合も、オイルパン37は内燃機関3の下方の左右両側を通過する左右の合流排気管52L、52Rの間に、下方に向けて突出するように形成され、左右の合流排気管52L、52Rはそれぞれ、オイルパン37と左右のボトムフレーム部25L、25Rとの間に配置されるので、排気ガスセンサ6L、6Rは、左右対称のオイルパン37との干渉を避けるように、それぞれ鉛直線Vに対する中心軸Lx、Rxの傾斜角度θ1、θ2を適宜設定すれば、オイルパン37と左右のボトムフレーム部25L、25Rとが協働して左右の排気ガスセンサ6L、6Rを保護することが可能である。
【0040】
図3中IV−IV矢視により、左ボトムフレーム部25Lと、左の合流排気52Lと、左の排気ガスセンサ6Lとの位置関係を、図4に示す。図4において、内燃機関3は、オイルパン37のみが2点鎖線で示され、他は図示省略されている。
また、図3中V−V矢視により、右ボトムフレーム部25Rと、右の合流排気52Rと、右の排気ガスセンサ6Rとの位置関係を、図5に示す。図5においても、内燃機関3は、オイルパン37のみが2点鎖線で示され、他は図示省略されている。
【0041】
図4図5に示されるように、左右の合流排気管52L、52Rの上半分の一部と左右ボトムフレーム部25L、25Rとがそれぞれ側面視で重なり、その重なる範囲に左右の合流排気管52L、52Rにおけるそれぞれの排気ガスセンサ6L、6Rを取付けるセンサ取付け部52bが位置するようにして排気ガスセンサ6L、6Rがそれぞれ配置されており、排気ガスセンサ6L、6Rの側面をそれぞれ、左右ボトムフレーム部25L、25Rによって覆うことで、左右の排気ガスセンサの保護が図られている。
【0042】
特に、図5に示されるように、右の排気ガスセンサ6Rの右の合流排気管52Rからの露出部6Raの全体の側方が、側面視で右ボトムフレーム25Rによって覆われるように、右の排気ガスセンサ6Rが右の合流排気52Rに配置されたので、右の排気ガスセンサ6Rは、側方からより十分に保護されている。
【0043】
図6は、図1中、VI−VI矢視による自動二輪車1の中央部底面図である。
内燃機関3の排気管51A、51Bは、左ダウンフレーム24Lを挟むように、その前方へ延出して後、下方に向けて屈曲し、内燃機関3の車両前方から、内燃機関3の下方を通るように屈曲し、内燃機関3と左ボトムフレーム部25Lとの間において合流し、左の合流排気52Lを形成して車両後方に延出し、後輪13の左側方に配設された左側マフラー53Lに接続しており、排気管51C、51Dは、右ダウンフレーム24Rを挟むように、その前方へ延出して後、下方に向けて屈曲し、内燃機関3の車両前方から、内燃機関3の下方を通るように屈曲し、内燃機関3と右ボトムフレーム部25Rとの間において合流し、右の合流排気52Rを形成して車両後方に延出し、後輪13の右側方に配設された右側マフラー53Rに接続していることが、示される。
左右の排気ガスセンサ6L、6Rは、概ねの位置が図中破線で示される。
【0044】
一方、左ダウンフレーム24Lと右ダウンフレーム24Rが、左右一対で内燃機関3の前方に沿って後方に傾斜しながら下方に延在した後、後屈し、左ボトムフレーム部25Lと右ボトムフレーム部25Rを形成して、内燃機関3の下部、概ねオイルパン37の左右両側を通過して車体後方に延出し、左右のセンターフレーム22の接続することが示される。
オイルパン37は、排気ガスセンサ6L、6Rの前方で車幅方向に膨出するように形成されて、クランクケース30の下部に取付けられている。
【0045】
図7は、図1中、VII−VII矢視による燃料タンク18等を外した自動二輪車1の中央部要部平面図であり、各排気管51A〜51D、左右の合流排気管52L、52R、メインフレーム21、左右のボトムフレーム部25L、25R、左右の排気ガスセンサ6L、6Rの位置関係を示し、内燃機関3は、その最下部に設けられるオイルパン37のみが示され、他は図示省略されている。
図7においても、オイルパン37が、排気ガスセンサ6L、6Rの前方で車幅方向に膨出するように形成されて配設されていることが示される。
【0046】
したがって、車両前面視で、左右の排気ガスセンサ6L、6Rは、オイルパン37の左右の膨出部37a、37bにより前面を覆われ、オイルパン37の車幅方向の膨出部により排気ガスセンサの覆うように配設することで、左右の排気ガスセンサ6L、6Rの前方からの保護が図られている。
【0047】
以上、本発明の一実施形態につき説明したが、本発明の態様が上記実施形態に限定され
ず、本発明の要旨の範囲で、多様な態様で実施されるものを含むことは勿論である。
例えば、本発明の自動二輪車は、実施形態の自動二輪車に限定されず、請求項1の要件を備える自動二輪車であればよく、内燃機関は空冷、水冷の種類、複数気筒であれば気筒数を問わない。
また、各機器の左右の配置は、説明の便宜上、図示のものに特定して記載したが、上記実施形態に示すものと左右逆となる配置のものも、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1…自動二輪車、2…車体フレーム、3…内燃機関、4…吸気系、5…排気系、6L…(左の)排ガスセンサ、6R…(右の)排ガスセンサ、10…前輪、13…後輪、20…ヘッドパイプ、21…メインフレーム、22…センターフレーム、23…補助フレーム、24…ダウンフレーム、24L…左ダウンフレーム、24R…右ダウンフレーム、25…ボトムフレーム部、25L…左ボトムフレーム部、25R…右ボトムフレーム部、30…クランクケース、31…クランク軸、35…吸気ポート、36A〜36D…排気ポート、37…オイルパン、37a…(左の)膨出部、37b…(右の)膨出部、51A〜51D…排気管、52L…(左の)合流排気(本発明の「排気管」)、52R…(右の)合流排気(本発明の「排気管」)、52a…上壁、52b…センサ取付け部、Lx…左の排気ガスセンサ6Lの中心軸、Rx…右の排気ガスセンサ6Rの中心軸、V…鉛直線、Vc…車両中心鉛直線、θ1…中心軸Lxの傾斜角、θ2…中心軸Rxの傾斜角、X…車幅方向中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7