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特許6231752デバイス制御装置およびデバイス制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231752
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】デバイス制御装置およびデバイス制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/30 20060101AFI20171106BHJP
   G06F 1/28 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G06F1/30 K
   G06F1/28 C
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-17916(P2013-17916)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-149671(P2014-149671A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年12月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】富士通テン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】309033839
【氏名又は名称】株式会社富士通コンピュータテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】多田 健二
(72)【発明者】
【氏名】古川 健司
(72)【発明者】
【氏名】美甘 徹
(72)【発明者】
【氏名】澤井 利仁
(72)【発明者】
【氏名】西澤 秀志
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 隆史
(72)【発明者】
【氏名】中江 悟
(72)【発明者】
【氏名】小山 輝芳
(72)【発明者】
【氏名】泉本 亮
(72)【発明者】
【氏名】花田 満
【審査官】 境 周一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−333933(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/137670(WO,A1)
【文献】 特開2009−223866(JP,A)
【文献】 特開2010−092194(JP,A)
【文献】 特開2013−088357(JP,A)
【文献】 特開2002−032155(JP,A)
【文献】 特開平09−230965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26−1/32
H02J 1/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの出力電圧の変動を監視する監視部と、
前記監視部によって前記出力電圧が所定の電圧まで上昇したことが検知された場合に、前記バッテリを電源とする複数のデバイスのうち、一部のデバイスに対する前記バッテリからの電圧供給を開始させ、第1の動作モードで動作して当該デバイスのリジューム処理を行う第1の処理部と、
前記リジューム処理が完了した場合に、前記一部のデバイス以外のデバイスに対する前記バッテリからの電圧供給を開始させ、前記一部のデバイス以外のデバイスの状態を初期化して前記第1の動作モードよりも消費電力が大きな第2の動作モードで動作する第2の処理部と
前記バッテリから供給される電圧によって充電される電圧を蓄電して前記第1の処理部へ供給する蓄電部と
を備え、
前記第1の処理部は、
前記蓄電部の蓄電率が所定値以上となった場合に、前記リジューム処理を開始する
ことを特徴とするデバイス制御装置。
【請求項2】
前記バッテリから前記蓄電部へ供給される電圧を昇圧する昇圧部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のデバイス制御装置。
【請求項3】
前記第2の処理部は、
前記監視部によって前記出力電圧が前記所定の電圧まで低下したことが検知された場合に、前記一部のデバイス以外のデバイスに対する前記バッテリからの電圧供給を停止させ、
前記第1の処理部は、
前記一部のデバイス以外のデバイスに対する前記バッテリからの電圧供給が停止された場合に、前記第1の動作モードで動作して、前記一部のデバイスのサスペンド処理を行った後、前記一部のデバイスに対する前記バッテリからの電圧供給を停止させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデバイス制御装置。
【請求項4】
前記第2の処理部は、
前記一部のデバイス以外のデバイスに対する前記バッテリからの電圧供給を停止させる前に、当該デバイスに対する動作要求の入力を禁止する
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のデバイス制御装置。
【請求項5】
前記第1の処理部は、
前記一部のデバイス以外のデバイスに対する前記バッテリからの電圧供給が停止される前に当該デバイスを使用するアプリケーションソフトが起動されていた場合、前記リジューム処理を行う期間に、当該アプリケーションソフトを終了させる
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のデバイス制御装置。
【請求項6】
バッテリの出力電圧の変動を監視する工程と、
前記出力電圧が所定の電圧まで上昇したことが検知された場合に、第1の処理部が前記バッテリを電源とする複数のデバイスのうち、一部のデバイスへ前記電圧の供給を開始させ、当該デバイスのリジューム処理を第1の動作モードで行う工程と、
前記リジューム処理が完了した場合に、第2の処理部が前記一部のデバイス以外のデバイスへ前記電圧の供給を開始させ、当該デバイスの状態を初期化して前記第1の動作モードよりも消費電力が大きな第2の動作モードで動作する工程と
前記バッテリから供給される電圧によって充電される電圧を蓄電部によって蓄電して前記第1の処理部へ供給する工程と、
前記蓄電部の蓄電率が所定値以上となった場合に、前記第1の処理部が前記リジューム処理を開始する工程と
を含むことを特徴とするデバイス制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイス制御装置およびデバイス制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリを電源として情報処理を行うデバイスでは、何らかの原因によってバッテリからの電圧供給が停止される場合がある。このため、かかるデバイスには、リジューム機能が設けられる。
【0003】
リジューム機能を備えるデバイスは、電圧供給が停止される場合に、動作状態を記憶するサスペンド処理を行った後、電圧供給が開始された場合に、サスペンド処理で記憶した動作状態へ戻すリジューム処理を行って作業を再開する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−345468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、バッテリが複数のデバイスの電源として使用される場合、リジューム処理の際に、必要な電圧がデバイスへ供給されず、デバイスが動作の再開を正常に行うことができなくなるという恐れがある。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、複数のデバイスへ電圧を供給するバッテリからの電圧供給が再開される場合に、デバイスの動作の再開を正常に行わせることができるデバイス制御装置およびデバイス制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係るデバイス制御装置は、監視部と、第1の処理部と、第2の処理部とを備える。監視部は、バッテリからの電圧供給の状態を監視する。第1の処理部は、前記監視部によって前記電圧供給の開始が検知された場合に、前記バッテリを電源とする複数のデバイスのうち、一部のデバイスに対する前記バッテリからの電圧供給を開始させ、第1の動作モードで動作して当該デバイスのリジューム処理を行う。第2の処理部は、前記リジューム処理が完了した場合に、前記一部のデバイス以外のデバイスに対する前記バッテリからの電圧供給を開始させ、前記一部のデバイス以外のデバイスの状態を初期化して前記第1の動作モードよりも消費電力が大きな第2の動作モードで動作する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、複数のデバイスへ電圧を供給するバッテリからの電圧供給が再開される場合に、デバイスの動作の再開を正常に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るデバイス制御装置の動作を示す説明図である。
図2図2は、実施形態に係るデバイス制御装置の構成の一例を示す説明図である。
図3図3は、実施形態に係る制御部の構成の一例を示す説明図である。
図4図4は、実施形態における電圧供給停止時処理中の消費電力の推移を示す説明図である。
図5図5は、実施形態における電圧供給開始時処理中の消費電力の推移を示す説明図である。
図6図6は、実施形態に係るバッテリの出力電圧の推移と、変圧部の入力電圧の推移との対応関係を示す説明図である。
図7図7は、実施形態に係るバッテリの出力電圧と、蓄電部の出力電圧と、デバイス制御装置の動作状態との対応関係を示す説明図である。
図8図8は、実施形態に係る電圧供給停止時処理を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態に係る電圧供給開始時処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するデバイス制御装置およびデバイス制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
また、以下では、車載バッテリ(以下、単に「バッテリ」と記載する)を電源として動作する複数のデバイスの動作を制御するデバイス制御装置を例に挙げて説明する。なお、以下の説明では、バッテリ、または、後述する蓄電部の出力電圧をデバイス等の電源端子へ印加することによるデバイス等への電力供給を、電圧供給と称して説明する。これに伴い、以下では、デバイスへ供給される電力を電圧と記載して説明することとする。
【0012】
かかるデバイス制御装置は、具体的には、車両のダッシュボードに設置されるDA(ディスプレイ・オーディオ)装置である。なお、デバイス制御装置は、一つのバッテリを電源とする複数のデバイスを制御するアプリケーションソフト(以下、「アプリ」と記載する)を記憶したスマートフォンであってもよい。また、以下では、フル充電時のバッテリの出力電圧が12Vであり、各デバイスの動作に必要な電源電圧が5Vである場合について説明する。
【0013】
近年の車両は、環境面を考慮し、一時的に車両が停止した場合に、エンジンを自動的に停止させ、走行を再開する際に、エンジンを自動的に始動させる機能が設けられており、頻繁にエンジンの停止と始動とを繰り返す。
【0014】
エンジンを始動する際には、比較的大きな電力(電圧)を要するため、一時的にバッテリの出力電圧が5Vを下回る場合がある。かかる場合、デバイスは、電圧不足のために動作が強制的に終了され、その後、バッテリの出力電圧が回復しても、動作を正常に再開することができなくなる。
【0015】
かかる事態の発生を抑制するため、実施形態に係るデバイス制御装置は、バッテリからの電圧供給が停止される場合に、デバイスの動作状態を記憶しておくサスペンド処理を行う。その後、デバイス制御装置は、バッテリからの電圧供給が再開される場合に、デバイスの動作状態をサスペンド処理で記憶した動作状態へ戻すリジューム処理を行うことで、デバイスの動作を正常に再開させる。ただし、バッテリを電源とするデバイスの台数が多い場合、リジューム処理に要する時間と消費電力が嵩む。
【0016】
そこで、実施形態に係るデバイス制御装置は、複数のデバイスへ電圧を供給するバッテリからの電圧供給が再開される場合に、デバイスの動作の再開を正常に行わせる制御を行う。
【0017】
図1は、実施形態に係るデバイス制御装置の動作を示す説明図である。図1に示すように、デバイス制御装置は、消費電力が異なる3種類の動作モードで動作して、複数のデバイスの動作を制御する。
【0018】
具体的には、デバイス制御装置は、消費電力が最小のスリープモード、消費電力がスリープモードの次に大きな第1の動作モードであるアイドルモード、消費電力がアイドルモードよりも大きな第2の動作モードである通常モードという3種類の動作モードで動作することが可能である。
【0019】
ここで、通常モードは、例えば、バッテリの出力電圧が5Vよりも高い場合の動作モードである。また、アイドルモードは、バッテリの出力電圧が5V以下の場合の動作モードである。また、スリープモードは、デバイス制御装置が待機状態の場合の動作モードである。
【0020】
そして、デバイス制御装置は、バッテリからの電圧供給が停止される場合に、電圧供給停止時処理を行い、電圧供給が再開される場合に、電圧供給開始時処理を行う。具体的には、デバイス制御装置は、通常モードでデバイスの動作制御を行っている期間に、バッテリの出力電圧値が所定値まで低下した場合、バッテリからの電圧供給が停止されると判定し、電圧供給停止時処理を開始する。その後、デバイス制御装置は、バッテリの出力電圧値が低下する前の値まで回復した後、所定の条件が成立した場合、電圧供給が再開されると判定し、電圧供給開始時処理を開始する。
【0021】
かかる電圧供給停止時処理では、デバイス制御装置は、バッテリを電源とする複数のデバイスのうち、一部のデバイスと、それ以外のデバイスとで、それぞれ異なる制御を行う。ここで、一部のデバイスとは、複数のデバイスのうち、サスペンド処理およびリジューム処理の対象とする予め設定されたデバイス(以下、「S/R対象デバイス」と記載する)のことである。また、一部のデバイス以外のデバイスとは、複数のデバイスのうち、サスペンド処理およびリジューム処理の対象外とする予め設定されたデバイス(以下、「S/R非対象デバイス」と記載する)のことである。
【0022】
そして、デバイス制御装置は、電圧供給停止時処理を開始すると、まず、バッテリからS/R非対象デバイスへの電圧供給を停止(OFF)させる(ステップS1)。これにより、バッテリを電源とするデバイス群全体としての消費電力を低減することができる。続いて、デバイス制御装置は、動作モードを通常モードから通常モードよりも消費電力が小さいアイドルモードへ遷移させる。これにより、消費電力をさらに低減することができる。
【0023】
その後、デバイス制御装置は、S/R対象デバイスのサスペンド処理を行い(ステップS2)、サスペンド処理が完了した後に、S/R対象デバイスへの電圧供給を停止(OFF)させる(ステップS3)。その後、デバイス制御装置は、動作モードをアイドルモードからアイドルモードよりも消費電力が小さいスリープモードへ遷移させ、待機状態となる。
【0024】
このように、デバイス制御装置は、バッテリからの電圧供給が停止される場合に、S/R非対象デバイスへの電圧供給の停止、および、通常モードからアイドルモードへの遷移を行うことで消費電力を低減する。
【0025】
これにより、デバイス制御装置は、S/R非対象デバイスへの電圧供給の停止、および、通常モードからアイドルモードへの遷移を行わなければ消費されてしまう分の電力を、S/R対象デバイスのサスペンド処理に使用することができる。したがって、デバイス制御装置によれば、S/R対象デバイスのサスペンド処理を正常に完了させることができる。
【0026】
一方、電圧供給開始時処理では、デバイス制御装置は、まず、動作モードをスリープモードからアイドルモードへ遷移させ、S/R対象デバイスへの電圧供給を開始(ON)させて(ステップS4)、S/R対象デバイスのリジューム処理を行う(ステップS5)。そして、デバイス制御装置は、リジューム処理の完了後、S/R非対象デバイスへの電圧供給を開始(ON)させて(ステップS6)、動作モードをアイドルモードから通常モードへ遷移させる。
【0027】
このように、デバイス制御装置は、バッテリからの電圧供給が再開される場合、S/R非対象デバイスへの電圧供給を開始する前に、比較的消費電力の小さいアイドルモードで動作しながら、S/R対象デバイスのリジューム処理を行う。
【0028】
これにより、デバイス制御装置は、通常モードで動作して全てのデバイスのリジューム処理を行う場合よりも小さな消費電力で、S/R対象デバイスのリジューム処理を行うことができる。
【0029】
したがって、デバイス制御装置は、例えば、リジューム処理中に、再度バッテリの出力電圧が低下し始めるような状況となった場合であっても、S/R対象デバイスについては、正常にリジューム処理を完了させることができ、起動時間を短縮することができる。なお、デバイス制御装置は、S/R非対象デバイスについては、リジューム処理を行わないが、初期化処理を行うので正常に起動させることができる。
【0030】
次に、図2を参照し、デバイス制御装置の構成の一例について説明する。図2は、実施形態に係るデバイス制御装置1の構成の一例を示す説明図である。図2に示すように、デバイス制御装置1は、バッテリ2と、車両に設けられる複数のデバイス3との間に接続され、バッテリ2から供給される電圧によって動作すると共に、バッテリ2から出力される電圧をデバイス3へ供給する。また、デバイス制御装置1は、各デバイス3の動作制御も行う。
【0031】
ここで、バッテリ2は、車両に搭載される12Vの蓄電池である。かかるバッテリ2は、デバイス制御装置1およびデバイス3以外に、車両のエンジンを始動するスタータモータやライト等、車両に設けられる全ての電子機器へ電圧の供給を行う。
【0032】
また、デバイス3は、S/R対象デバイス31とS/R非対象デバイス32とを含む。S/R対象デバイス31は、起動や終了に要する処理量および消費電力がS/R非対象デバイス32よりも小さなデバイス群である。かかるS/R対象デバイス31は、例えば、EMMC(Embedded Multi Media Card)(登録商標)、フラッシュメモリ、ジャイロセンサ、ディスプレイに設けられるタッチパネル装置等である。
【0033】
一方、S/R非対象デバイス32は、起動や終了に要する処理量および消費電力がS/R対象デバイス31よりも大きなデバイス群である。かかるS/R非対象デバイス32は、例えば、オーディオやビデオのプレーヤおよびレコーダ、各種ディスプレイ等である。これらのS/R非対象デバイス32は、例えば、WiFi(Wireless Fidelity)(登録商標)やHDMI(High Definition Multimedia Interface)(登録商標)等によってデバイス制御部1と接続される。
【0034】
なお、本実施形態では、起動や終了に要する処理量および消費電力の大小で複数のデバイス3をS/R対象デバイス31とS/R非対象デバイス32とに分類しているが、かかる分類は、設定によって任意に変更することが可能である。
【0035】
例えば、ユーザが頻繁に使用するデバイス3をS/R対象デバイス31とし、それ以外のデバイス3をS/R非対象デバイス32としてもよい。また、ユーザの使用頻度に応じて、自動的、且つ、定期的に、S/R対象デバイス31とS/R非対象デバイス32との分類を変更するように構成してもよい。
【0036】
このようにS/R対象デバイス31とS/R非対象デバイス32とを分類しておくことにより、一旦スリープモードになった状態からデバイス3が起動されるまでの主観的(見かけの)起動時間を短縮することができる。
【0037】
デバイス制御装置1は、変圧部11、制御部12、昇圧部13、蓄電部14、および、監視部15を備える。変圧部11は、バッテリ2または蓄電部14から入力される電圧を5Vへ変圧して制御部12およびデバイス3へ出力する。変圧部11と、S/R対象デバイス31との間には、第1スイッチSW1が設けられ、変圧部11とS/R非対象デバイス32との間には、第2スイッチSW2が設けられる。
【0038】
また、デバイス制御装置1では、昇圧部13と第3スイッチSW3との直列接続体が、バッテリ2と変圧部11との間に設けられる。かかる直列接続体は、バッテリ2と変圧部11とを接続する接続線と並列に接続される。また、昇圧部13と第3スイッチSW3との接続点と、グランドとの間には蓄電部14が接続される。
【0039】
昇圧部13は、バッテリ2から入力される電圧を24Vまで昇圧して出力する。蓄電部14は、昇圧部によって昇圧された電圧によって充電されるキャパシタである。かかるキャパシタの一対の電極間には、フル充電の状態で24Vの電圧が蓄電される。なお、蓄電部14は、キャパシタに限定するものではなく、リチウムイオンバッテリ等の蓄電池であってもよい。
【0040】
監視部15は、バッテリ2の出力電圧を検出して、バッテリ2からの電圧供給の状態を監視する処理部である。かかる監視部15は、例えば、バッテリ2の出力電圧が5Vまで低下した場合に、第3スイッチSW3をONさせる切換信号Sig1を出力する。
【0041】
これにより、監視部15は、バッテリ2から変圧部11へ出力される電圧が5Vを下回りそうになった場合に、蓄電部14から変圧部11へ電圧を供給させることで、変圧部11への供給電圧を、例えば、24Vまで昇圧させることができる。
【0042】
したがって、デバイス制御装置1では、一時的にバッテリ2の出力電圧が制御部12やデバイス3の動作に必要な電圧を下回る状態になっても、蓄電部14によって蓄電された電圧によって、所定期間、制御部12やデバイス3の動作を継続させることができる。係る点については、図6を参照して後述する。
【0043】
また、デバイス制御装置1は、第3スイッチSW3と変圧部11との接続点にカソードが接続され、アノードがバッテリ2に接続されるダイオード16を備える。これにより、デバイス制御装置1では、第3スイッチSW3がONとなり、蓄電部14から変圧部11へ24Vの電圧が供給される場合に、電圧が24Vの電流がバッテリ2へ逆流することを阻止してバッテリ2の破損を防止することができる。
【0044】
なお、昇圧部13は、必須ではなく省略してもよい。昇圧部13を省略した場合には、若干、制御部12やデバイス3の動作継続時間が短くなるが、回路構成の簡略化およびコストの低減が可能となる。
【0045】
また、監視部15は、バッテリ2の出力電圧に基づいて、バッテリ2による電圧供給の停止、および、開始を判定する。さらに、監視部15は、蓄電部14の電圧を監視することによって蓄電部14の充電率を判定する。そして、監視部15は、これらの判定結果を示す電圧供給の状態、および、蓄電部14の蓄電率を示す状態信号Sig2を制御部12へ出力する。
【0046】
制御部12は、バッテリ2からの電圧供給が停止されることを示す状態信号Sig2が入力される場合に、前述の電圧供給停止時処理を開始する。また、制御部12は、バッテリ2からの電圧供給が開始されることを示す状態信号Sig2が入力される場合に、前述の電圧供給開始時処理を開始する。
【0047】
また、制御部12は、第1スイッチSW1へ切換信号Sig3を出力することによって第1スイッチSW1のON/OFF制御を行い、第2スイッチSW2へ切換信号Sig4を出力することによって第2スイッチSW2のON/OFF制御を行う。
【0048】
さらに、制御部12は、S/R対象デバイス31との間で制御信号Sig5を送受信することによってS/R対象デバイス31の動作を制御する。また、制御部12は、S/R非対象デバイス32との間で制御信号Sig6を送受信することによって、S/R非対象デバイス32の動作を制御する。次に、図3を参照し、かかる制御部12の構成の一例について説明する。図3は、実施形態に係る制御部12の構成の一例を示す説明図である。
【0049】
図3に示すように、制御部12は、第1コア41と、第2コア42と、記憶部43と、I/Oインターフェース44とを備えるデュアルコアプロセッサである。記憶部43は、複数のアプリ51と、複数のドライバ52と、S/R情報53とを記憶する。
【0050】
ここで、アプリ51は、ユーザとのインターフェースを持つソフトウェアであり、第1コア41または第2コア42によって実行されることにより、ユーザに対して各デバイス3が備える機能を提供する。
【0051】
また、ドライバ52は、アプリ51とデバイス3との間のインターフェースを持つソフトウェアであり、第1コア41または第2コア42によって実行されることにより、対応する各デバイス3を駆動させる。
【0052】
また、S/R情報53は、電圧供給の停止時に、第1コア41がサスペンド処理で書き込むS/R対象デバイス31の状態を示す情報であり、また、電圧供給の開始時に、第1コア41がリジューム処理で読み出すS/R対象デバイス31の状態を示す情報である。
【0053】
I/Oインターフェース44は、第1コア41および第2コア42と、監視部15、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、デバイス3との間で、状態信号Sig2、切換信号Sig3、Sig4、制御信号Sig5、Sig6の送受信を行う通信インターフェースである。
【0054】
第1コア41は、第1の処理部として機能するものであり、第2コア42よりも処理速度は低速だが、第2コア42よりも低消費電力で動作するコアプロセッサである。かかる第1コア41は、バッテリ2から電圧の供給が開始された場合に、S/R対象デバイス31に対するバッテリ2からの電圧供給を開始させる切換信号Sig3を出力し、アイドルモードで動作してS/R対象デバイス31のリジューム処理を行う。
【0055】
また、第1コア41は、S/R非対象デバイス32に対するバッテリ2からの電圧供給が停止される前に、S/R非対象デバイス32を使用するアプリ51が起動されていたか否かを、S/R情報53に基づきリジューム処理中に判定する。そして、第1コア41は、電圧供給の停止前に、S/R非対象デバイス32を使用するアプリ51が起動されていた場合、リジューム処理を行う期間に、そのアプリ51を終了させる。
【0056】
一方、第2コア42は、第2の処理部として機能するものであり、第1コア41よりも消費電力は大きいが、第1コア41よりも処理速度が高速なコアプロセッサである。かかる第2コア42は、S/R対象デバイス31のリジューム処理が完了した場合に、S/R非対象デバイス32に対するバッテリ2からの電圧供給を開始させる切換信号Sig4を出力し、S/R非対象デバイス32の状態を初期化して通常モードで動作する。
【0057】
このように、デバイス制御装置1では、リジューム処理後にS/R非対象デバイス32が初期化され、しかも、電圧供給の停止前に起動されていたS/R非対象デバイス32を使用するアプリは、初期化の前に行われるリジューム処理中に終了される。したがって、デバイス制御装置1によれば、後にS/R非対象デバイス32を使用するアプリ51を起動させる際、初期状態から正常にS/R非対象デバイス32を動作させることができる。
【0058】
また、第2コア42は、バッテリ2からの電圧の供給が停止された場合に、S/R非対象デバイス32に対する動作要求となる制御信号Sig6のS/R非対象デバイス32への入力を禁止する処理を行う。その後、第2コア42は、S/R非対象デバイス32に対するバッテリ2からの電圧供給を停止させる。
【0059】
これにより、S/R非対象デバイス32へバッテリ2から電圧が供給されていない状態で、第2コア42からS/R非対象デバイス32へ制御信号Sig6が入力されることによるS/R非対象デバイス32の破損を防止することができる。
【0060】
また、第1コア41は、S/R非対象デバイス32に対するバッテリ2からの電圧供給が停止された場合に、アイドルモードで動作して、S/R対象デバイス31のサスペンド処理を行う。その後、第1コア41は、S/R対象デバイス31に対するバッテリ2からの電圧供給を停止させる切換信号Sig3を出力する。
【0061】
次に、図4を参照し、電圧供給停止時処理を行う期間の消費電力の推移について説明する。図4は、実施形態における電圧供給停止時処理中の消費電力の推移を示す説明図である。なお、以下では、制御部12の消費電力と、全デバイス3の消費電力との和を総消費電力と記載する。
【0062】
図4に示すように、デバイス制御装置1が通常モードで動作している場合(時刻t0〜t2)、総消費電力は、S/R非対象デバイス32の消費電力W2、S/R対象デバイス31の消費電力W1、通常モードにおける制御部12の消費電力WHの和となる。
【0063】
ここで、例えば、時刻t0でバッテリ2からの電圧供給が停止される場合、第2コア42は、S/R非対象デバイス32に対する動作指令の入力を禁止する等といったS/R非対象デバイス32の保護設定を行う。なお、S/R非対象デバイス32の保護設定の具体例については、図8に示すフローチャートの説明の中で後述する。
【0064】
その後、第2コア42は、時刻t1でS/R非対象デバイス32への電圧供給を停止する。これにより、S/R非対象デバイス32は、待機状態となり消費電力がほぼ0となる。このため、総消費電力は、S/R対象デバイス31の消費電力W1と、通常モードにおける制御部12の消費電力WHの和となり、総消費電力が低減される。
【0065】
続いて、時刻t2で第1コア41が第2コア42に代わってアイドルモードで動作を開始する。これにより、総消費電力は、S/R対象デバイス31の消費電力W1と、アイドルモードにおける制御部12の消費電力WLの和となり、総消費電力がさらに低減される。そして、第1コア41は、かかるアイドルモードでの動作中に、S/R対象デバイス31のサスペンド処理を行う。その後、第1コア41は、時刻t3でサスペンド処理が終了した場合に、S/R対象デバイス31への電圧供給を停止させて、スリープモードへ遷移する。
【0066】
次に、図5を参照し、電圧供給開始時処理を行う期間の消費電力の推移について説明する。図5は、実施形態における電圧供給開始時処理中の消費電力の推移を示す説明図である。図5に示すように、デバイス制御装置1がスリープモードで動作している期間に、時刻t4でバッテリ2から電圧の供給が開始される場合、第1コア41は、スリープモードからアイドルモードへ遷移して、S/R対象デバイス31への電圧供給を開始させる。
【0067】
続いて、第1コア41は、アイドルモードの期間(時刻t4〜t5)に、S/R対象デバイス31のリジューム処理を行う。かかる時刻t4〜t5の期間における総消費電力は、S/R対象デバイス31の消費電力W1と、アイドルモードにおける制御部12の消費電力WLとの和となる。
【0068】
その後、第1コア41は、アイドルモードの期間に、時刻t5でR/S非対象デバイス32への電力供給を開始させ、アイドルモードの期間中である時刻t5〜t6の期間に、S/R非対象デバイス32の状態を初期化する。このため、時刻t5〜t6の期間における総消費電力は、S/R対象デバイス31の消費電力W1、S/R非対象デバイス32の消費電力W2、アイドルモードにおける制御部12の消費電力WLの和となる。
【0069】
そして、時刻t6でS/R非対象デバイス32の初期化が完了すると、第2コア42が第1コア41に代わって通常モードへ遷移し、その後、通常モードでデバイス3の動作制御を行う。このため、時刻t6以降の通常モードにおける総消費電力は、S/R対象デバイス31の消費電力W1、S/R非対象デバイス32の消費電力W2、通常モードにおける制御部12の消費電力WHの和となる。なお、第1コア41は、時刻t6以降の処理において、第2コア42が行う制御を補助する少々処理を行うこともできる。
【0070】
このように、デバイス制御装置1によれば、電圧供給開始時処理の中で、通常モードで消費される総消費電力よりも小さな総消費電力でS/R対象デバイス31のリジューム処理、および、S/R非対象デバイス32の初期化を行う。これにより、例えば、電圧供給開始時処理中に、バッテリ2の出力電圧が低下しても、S/R対象デバイス31およびS/R非対象デバイス32を正常に起動させることができる。
【0071】
次に、図6を参照し、監視部15による第3スイッチSW3のON/OFF制御の一例について説明する。図6は、実施形態に係るバッテリ2の出力電圧の推移と、変圧部11の入力電圧の推移との対応関係を示す説明図である。
【0072】
図6に示すように、例えば、第3スイッチSW3がOFFの状態で、バッテリ2を電源としてデバイス3が動作中に、時刻t7でバッテリ2の出力電圧が何らかの原因で低下すると、それに伴って変圧部11の入力電圧も低下する。そして、バッテリ2の出力電圧が時刻t8でデバイス3の動作に必要な5Vまで低下し、その後、さらに低下した場合、デバイス3が正常な動作を行うことができなくなる恐れがある。
【0073】
そこで、監視部15は、時刻t8でバッテリ2の出力電圧が5Vまで低下した場合、第3スイッチSW3をONにして、蓄電部14から変圧部11へ電圧を供給させる。蓄電部14は、バッテリ2の出力電圧が低下する前に、昇圧部13によって24Vまで昇圧されたバッテリ2の出力電圧によって充電されているため、時刻t8で第3スイッチSW3がONになると、24Vの電圧を変圧部11へ供給する。
【0074】
これにより、蓄電部14がなければ時刻t8以降に正常な動作を行えなくなるデバイス3を、時刻t8以降でも正常に動作させることが可能となる。その後、監視部15は、バッテリ2の出力電圧が回復し、時刻t9で5Vまで上昇した場合に、第3スイッチSW3をOFFにする。
【0075】
この時刻t8〜t9の期間に、蓄電部14によって供給される変圧部11の入力電圧は、徐々に低下するが時刻t9の時点で5V以上であれば、デバイス3の正常な動作を保障することができる。
【0076】
次に、図7を参照し、デバイス制御装置1がリジューム処理を開始するタイミングについて説明する。図7は、実施形態に係るバッテリ2の出力電圧と、蓄電部14の出力電圧と、デバイス制御装置1の動作状態との対応関係を示す説明図である。
【0077】
図7に示すように、デバイス制御装置1は、例えば、時刻t10でバッテリ2の出力電圧が5Vまで低下するまでは、通常モードで動作する。そして、デバイス制御装置1は、時刻t10でバッテリ2の出力電圧が5Vまで低下すると、前述のように、アイドルモードで動作し、S/R対象デバイス31のサスペンド処理等を行う。また、時刻t10以降では、前述のように、蓄電部14が電源として使用されるので、蓄電部14の出力電圧は徐々に低下する。
【0078】
そして、デバイス制御装置1は、時刻t11でサスペンド処理が完了した場合に、スリープモードへ遷移する。その後、蓄電部14は、スリープモード中の時刻t12でバッテリ2の出力電圧が上昇を開始すると、充電が開始されて出力電圧が徐々に上昇する。
【0079】
ここで、デバイス制御装置1は、バッテリ2の出力電圧が5Vまで上昇した場合に、電源を蓄電部14からバッテリ2へ切り替える。ただし、デバイス制御装置1は、この時点ではS/R対象デバイス31のリジューム処理を開始せず、蓄電部14の充電率が所定値に達する時刻t13までスリープモードを継続する。なお、図7では、充電率に関する所定値がフル充電時の充電率(100%)の場合を示しているが、所定値は90%や95%等の任意の充電率であってもよい。
【0080】
そして、デバイス制御装置1は、時刻t13で充電率が所定値に達した場合に、アイドルモードに遷移して、S/R対象デバイス31のリジューム処理を開始する。その後、デバイス制御装置1は、S/R非対象デバイス32の初期化等を行った後に、時刻t14以降、通常モードで動作する。
【0081】
このように、デバイス制御装置1は、バッテリ2の出力電圧が5Vまで上昇した時点ではなく、蓄電部14の充電率が所定値に達した時点(時刻t13)でリジューム処理を開始する。これにより、デバイス制御装置1は、例えば、バッテリ2の出力電圧が5Vまで回復した直後に、何らかの原因で再び5V未満に低下するような場合であっても、蓄電部14から供給される電圧によって、正常にリジューム処理等を完了させ、デバイス3を正常に起動させることができる。
【0082】
次に、図8を参照し、デバイス制御装置1によって実行される電圧供給停止時処理について説明する。図8は、実施形態に係る電圧供給停止時処理を示すフローチャートである。図8に示すように、デバイス制御装置1では、通常モードでの動作中に、監視部15は、バッテリ2からの電圧供給が停止されるか否かの判定を行う(ステップS101)。
【0083】
ここで、監視部15は、例えば、バッテリ2の出力電圧が5Vよりも高い場合に、バッテリ2からの電圧供給が停止されないと判定し(ステップS101,No)、その旨を示す状態信号Sig2を制御部12へ出力する。かかる状態信号Sig2が入力されると、制御部12は、通常動作処理を行い(ステップS102)、処理をステップS101へ移す。通常動作処理において、制御部12は、通常モードで動作してデバイス3の動作を制御する。
【0084】
一方、バッテリ2の出力電圧が5Vまで低下した場合、監視部15は、電圧供給が停止されると判定し(ステップS101,Yes)、その旨を示す状態信号Sig2を制御部12へ出力する。さらに、監視部15は、第3スイッチSW3をONにする切換信号Sig1を出力し、処理をステップS103へ移す。なお、電圧供給が停止されるか否かを監視部15が判定する判定基準は、5Vに限定するものではなく、任意の電圧であってもよい。
【0085】
ステップS103において、制御部12は、S/R非対象デバイス32の保護設定を行う。ここで、制御部12は、例えば、I/Oインターフェース44の出力端子の中で、S/R非対象デバイス32と接続される端子をハイインピーダンス状態にする設定を行う。これにより、その後、電圧供給が停止された状態で、S/R非対象デバイス32へ制御信号Sig6が入力されることによるS/R非対象デバイス32の破損を防止することができる。
【0086】
また、制御部12は、S/R非対象デバイス32を使用するアプリ51の中で、S/R非対象デバイス32に対してアクセスしようとするプロセスが存在する場合、そのプロセス(アプリ51)を実行することなくS/R情報53の中に記憶させることにより、待ち状態とする。さらに、制御部12は、各ドライバ52に対して、以後に入力される動作指令をエラーとして扱わせるように設定を行う。
【0087】
かかる保護設定により、電圧供給が停止された状態で、S/R非対象デバイス32へ制御信号Sig6が入力されることによるS/R非対象デバイス32の破損や、供給電圧不足によるS/R非対象デバイス32の誤動作を防止することができる。
【0088】
なお、これらの保護設定のうち、I/Oインターフェース44の出力端子の中で、S/R非対象デバイス32と接続される端子をハイインピーダンス状態にする設定以外の保護設定については、後述のサスペンド処理中に行ってもよい。
【0089】
その後、制御部12は、第2スイッチSW2をOFFにする切換信号Sig4を出力することによって、S/R非対象デバイス32への電圧供給を停止させる(ステップS104)。続いて、制御部12は、起動中の全てのアプリ51に対して実行中の全てのプロセスを一時停止させる一時停止要求を行い、起動中のアプリ51の状態をS/R情報53として記憶部43へ記憶させた後、通常モードからアイドルモードへ遷移する(ステップS105)。
【0090】
ここで、制御部12は、各アプリ51からの一次停止要求に対する応答を待つことなく、通常モードからアイドルモードへ遷移する。そして、制御部12は、S/R対象デバイス31のサスペンド処理を行う(ステップS106)。その後、第1スイッチSW1をOFFにする切換信号Sig3を出力することによって、S/R対象デバイス31への電圧供給を停止させ(ステップS107)、アイドルモードからスリープモードへ遷移し(ステップS108)、処理を終了する。
【0091】
次に、図9を参照し、デバイス制御装置1によって実行される電圧供給開始時処理について説明する。図9は、実施形態に係る電圧供給開始時処理を示すフローチャートである。図9に示すように、デバイス制御装置1では、スリープモード中に、監視部15は、バッテリ2からの電圧供給が開始されるか否かの判定を行う(ステップS201)。
【0092】
ここで、監視部15は、例えば、バッテリ2の出力電圧が5Vよりも低い場合に、バッテリ2からの電圧供給が開始されないと判定し(ステップS201,No)、その旨を示す状態信号Sig2を制御部12へ出力し、処理をステップS201へ移す。かかる状態信号Sig2が入力されると、制御部12は、スリープモードを継続する。
【0093】
一方、バッテリ2の出力電圧が5Vまで上昇した場合、監視部15は、電圧供給が開始されると判定し(ステップS201,Yes)、第3スイッチSW3をONにする切換信号Sig1を出力する。ただし、この時点で監視部15は、バッテリ2による電圧供給が開始されることを示す状態信号Sig2を制御部12へ出力せずに、処理をステップS202へ移す。なお、電圧供給2が開始されるか否かを監視部15が判定する判定基準は、5Vに限定するものではなく、任意の電圧であってもよい。
【0094】
ステップS202において、監視部15は、蓄電部14の充電率が所定値(例えば、100%(フル充電)、95%、90%等)以上になったか否かを判定する。そして、制御部12は、所定値以上になっていないと判定した場合(ステップS202,No)蓄電部14の充電を継続させ(ステップS203)、処理をステップS202へ移す。
【0095】
一方、蓄電部14の充電率が所定以上になったと判定した場合(ステップS202,Yes)、監視部15は、その旨を示す状態信号Sig2を制御部12へ出力し、さらに、第3スイッチSW3をOFFにする切換信号Sig1を出力する。これにより、バッテリ2から制御部12への電圧供給が開始される(ステップS204)。
【0096】
続いて、制御部12は、スリープモードからアイドルモードへ遷移し(ステップS205)、第1スイッチSW1をONにする切換信号Sig3を出力して、S/R対象デバイス31への電圧供給を開始させる(ステップS206)。
【0097】
そして、制御部12は、S/R対象デバイス31のリジューム処理を行う(ステップS207)。ここで、制御部12は、記憶部43に記憶されているS/R情報53に基づいて、各アプリ51の状態をスリープモードへ遷移する前の状態へ戻す。さらに、制御部12は、S/R情報53に基づいてスリープモードへ遷移する前に起動されていたS/R非対象デバイス32を使用するアプリ51を特定して終了させる。
【0098】
その後、制御部12は、第2スイッチSW2をONにする切換信号Sig4を出力して、S/R非対象デバイス32への電圧供給を開始させ(ステップS208)、S/R非対象デバイス32の状態を初期化する(ステップS209)。続いて、制御部12は、S/R非対象デバイス32の保護設定を解除する処理を行い(ステップS210)、アイドルモードから通常モードへ遷移し(ステップS211)、その後、通常動作処理を行い(ステップS212)、処理を終了する。
【0099】
上述したように、実施形態に係るデバイス制御装置は、監視部と、第1の処理部と、第2の処理部とを備える。監視部は、バッテリからの電圧供給の状態を監視する。第1の処理部は、監視部によって電圧供給の開始が検知された場合に、バッテリを電源とする複数のデバイスのうち、一部のデバイスに対するバッテリからの電圧供給を開始させ、第1の動作モードで動作して一部のデバイスのリジューム処理を行う。
【0100】
また、第2の処理部は、リジューム処理が完了した場合に、一部のデバイス以外のデバイスに対するバッテリからの電圧供給を開始させ、一部のデバイス以外のデバイスの状態を初期化して第1の動作モードよりも消費電力が大きな第2の動作モードで動作する。したがって、デバイス制御装置によれば、複数のデバイスへ電圧を供給するバッテリからの電圧供給が再開される場合に、デバイスの動作の再開を正常に行わせることができる。
【0101】
また、実施形態に係るデバイス制御装置は、バッテリから供給される電圧によって充電される電圧を蓄電して第1の処理部へ供給する蓄電部をさらに備え、第1の処理部は、蓄電部の蓄電率が所定値以上となった場合に、リジューム処理を開始する。これにより、デバイス制御装置は、リジューム処理中にバッテリの出力電圧が低下しても、蓄電部に蓄電された電圧によってリジューム処理を正常に完了させることができる。
【0102】
また、実施形態に係る第2の処理部は、監視部によって電圧供給の停止が検知された場合に、一部のデバイス以外のデバイスに対するバッテリからの電圧供給を停止させる。また、第1の処理部は、一部のデバイス以外のデバイスに対するバッテリからの電圧供給が停止された場合に、第1の動作モードで動作して、一部のデバイスのサスペンド処理を行った後、一部のデバイスに対するバッテリからの電圧供給を停止させる。
【0103】
これにより、デバイス制御装置は、一部のデバイスについては正常にサスペンド処理を完了させることができるため、後に行うリジューム処理を正常に行うことができ、正常に再起動させることができる。なお、前述のように、一部のデバイス以外のデバイスについては、再起動の際、初期化された状態から動作を開始するので、正常に動作を開始させることができる。
【0104】
また、実施形態に係る第2の処理部は、一部のデバイス以外のデバイスに対するバッテリからの電圧供給を停止させる前に、デバイスに対する動作要求の入力を禁止する。これにより、電圧供給が停止された状態で動作要求が入力されることによる、デバイスの破損を未然に防止することができる。
【0105】
また、実施形態に係る第1の処理部は、一部のデバイス以外のデバイスに対するバッテリからの電圧供給が停止される前にデバイスを使用するアプリケーションソフトが起動されていた場合、リジューム処理を行う期間に、アプリケーションソフトを終了させる。これにより、一部のデバイス以外のデバイスを再起動する場合に、初期状態から正常に起動させることができる。
【0106】
また、実施形態に係るデバイス制御装置は、バッテリから蓄電部へ供給される電圧を昇圧する昇圧部をさらに備える。これにより、昇圧部がない場合に比べ、バッテリの代わりに蓄電部から供給される電圧によってデバイスが動作可能な時間を延長することができる。したがって、デバイスが動作可能な延長された時間内に、サスペンド処理およびリジューム処理を正常に完了させることが可能となる。
【0107】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 デバイス制御装置
11 変圧部
12 制御部
13 昇圧部
14 蓄電部
15 監視部
16 ダイオード
2 バッテリ
3 デバイス
31 S/R対象デバイス
32 S/R非対象デバイス
41 第1コア
42 第2コア
43 記憶部
44 I/Oインターフェース
51 アプリ
52 ドライバ
53 S/R情報
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
SW3 第3スイッチ
Sig1、Sig3、Sig4 切換信号
Sig2 状態信号
Sig5、Sig6 制御信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9