特許第6231764号(P6231764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231764
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】担保権付物件の管理支援方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20171106BHJP
【FI】
   G06Q50/16
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-85316(P2013-85316)
(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公開番号】特開2014-206938(P2014-206938A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】599037632
【氏名又は名称】有限会社コンチェルト
(74)【代理人】
【識別番号】100102406
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100100240
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 孝
(72)【発明者】
【氏名】尾身 正進
【審査官】 宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−161699(JP,A)
【文献】 特開2013−058111(JP,A)
【文献】 特開2010−015322(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0209829(US,A1)
【文献】 JTN-MAPでできること|法務局より安く登記情報が取得可能,[online],株式会社情報通信ネットワーク,2013年 4月 3日,[平成29年3月6日検索],URL,http://web.archive.org/web/20130403215211/http://www.jtn-map.com/press.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動産を対象とする担保権および債権関連物件(「担保権付物件」)の管理を支援する情報を生成するコンピュータの動作方法であって、前記コンピュータは、演算手段と記憶手段と入力手段と出力手段を有し、前記演算手段は、
管理対象としている担保権付物件について、不動産登記法所定の登記事項のうち少なくとも抵当権の債務者名および債権額、または根抵当権の債務者名および極度額を含む担保権付物件データを、不動産ごとに記録した、第1の担保権付物件情報ファイルを生成し、前記記憶手段に格納するステップと、
不動産登記規則所定の受付帳に記録される公的な情報であって受付日もしくは受付期間を指定して取得した情報を、受付帳データとして、前記入力手段に入力するステップと、
入力された前記受付帳データのうち、少なくとも登記受付の発生種別を含む受付データを、不動産ごとに記録した、受付情報ファイルを生成し、前記記憶手段に格納するステップと、
前記第1の担保権付物件情報ファイルと前記受付情報ファイルを前記記憶手段から読み出して不動産ごとに照合し、前記担保権付物件データと前記受付データを合成した合成データを、不動産ごとに記録した、第2の担保権付物件情報ファイルを生成し、前記記憶手段に格納するステップと、
前記受付データのうち少なくとも前記登記受付の発生種別について、特定の種別を指示する指示入力を受けて、前記第2の担保権付物件情報ファイルから、前記特定の種別を前記受付データにもつ合成データを検出するステップと、
検出された前記合成データについて、出力情報を生成し、前記出力手段に出力するステップと、
を実行することを特徴とする、担保権付物件の管理支援方法。
【請求項2】
前記検出ステップにおいて指示入力される特定の種別は、抵当権の設定、根抵当権の設定、売買による所有権移転、所有権移転仮登記、相続、贈与、保全処分、もしくは処分の制限のいずれか1つ、または2つ以上であること、
を特徴とする、請求項1記載の担保権付物件の管理支援方法。
【請求項3】
前記コンピュータはさらに通信手段を有し、
前記演算手段は、
前記第1の担保権付物件情報ファイルを生成する際に、前記通信手段により接続している登記情報提供者の情報処理装置から通信回線を介して公的な不動産登記情報を取得し、前記第1の担保権付物件情報ファイルに記録すべき担保権付物件データを検証するステップ、
をさらに実行することを特徴とする、請求項1記載の担保権付物件の管理支援方法。
【請求項4】
不動産を対象とする担保権および債権関連物件(「担保権付物件」)の管理を支援する情報を生成する装置であって、演算手段と記憶手段と入力手段と出力手段を有し、
前記演算手段は、
管理対象としている担保権付物件について、不動産登記法所定の登記事項のうち少なくとも抵当権の債務者名および債権額、または根抵当権の債務者名および極度額を含む担保権付物件データを、不動産ごとに記録した、第1の担保権付物件情報ファイルを生成し、
不動産登記規則所定の受付帳に記録される公的な情報であって受付日もしくは受付期間を指定して取得した情報を、受付帳データとして、前記入力手段に入力し、
前記入力手段により入力された、不動産登記規則所定の受付帳に記録される公的な情報であって受付日もしくは受付期間を指定して取得した情報からなる受付帳データのうち、少なくとも登記受付の発生種別を含む受付データを、不動産ごとに記録した、受付情報ファイルを生成し、
前記第1の担保権付物件情報ファイルと前記受付情報ファイルを読み出して不動産ごとに照合し、前記担保権付物件データと前記受付データを合成した合成データを、不動産ごとに記録した、第2の担保権付物件情報ファイルを生成し、
前記記憶手段は、前記第1の担保権付物件情報ファイル、前記受付情報ファイル、および前記第2の担保権付物件情報ファイルを格納し、
前記演算手段は、前記受付データのうち少なくとも前記登記受付の発生種別について、特定の種別を指示する指示入力を受けて、前記第2の担保権付物件情報ファイルから、前記特定の種別を前記受付データにもつ合成データを検出し、
前記演算手段は、検出された前記合成データについて、出力情報を生成し、前記出力手段に出力すること、
を特徴とする、担保権付物件の管理支援装置。
【請求項5】
さらに通信手段を有し、
前記演算手段は、
前記第1の担保権付物件情報ファイルを生成する際に、前記通信手段により接続している登記情報提供者の情報処理装置から通信回線を介して公的な不動産登記情報を取得し、前記第1の担保権付物件情報ファイルに記録すべき担保権付物件データを検証すること、
を特徴とする、請求項4記載の担保権付物件の管理支援装置。
【請求項6】
不動産を対象とする担保権および債権関連物件(「担保権付物件」)の管理を支援する情報を生成する処理を、コンピュータに行わせるためのプログラムであって、前記コンピュータは、演算手段と記憶手段と入力手段と出力手段を有し、前記プログラムは、前記演算手段に、
管理対象としている担保権付物件について、不動産登記法所定の登記事項のうち少なくとも抵当権の債務者名および債権額、または根抵当権の債務者名および極度額を含む担保権付物件データを、不動産ごとに記録した、第1の担保権付物件情報ファイルを生成し、前記記憶手段に格納し、
不動産登記規則所定の受付帳に記録される公的な情報であって受付日もしくは受付期間を指定して取得した情報を、受付帳データとして、前記入力手段に入力し、
入力された前記受付帳データのうち、少なくとも登記受付の発生種別を含む受付データを、不動産ごとに記録した、受付情報ファイルを生成し、前記記憶手段に格納し、
前記第1の担保権付物件情報ファイルと前記受付情報ファイルを前記記憶手段から読み出して不動産ごとに照合し、前記担保権付物件データと前記受付データを合成した合成データを、不動産ごとに記録した、第2の担保権付物件情報ファイルを生成し、前記記憶手段に格納し、
前記受付データのうち少なくとも前記登記受付の発生種別について、特定の種別を指示する指示入力を受けて、前記第2の担保権付物件情報ファイルから、前記特定の種別を前記受付データにもつ合成データを検出し、
検出された前記合成データについて、出力情報を生成し、前記出力手段に出力する、
処理を実行させることを特徴とする、プログラム。
【請求項7】
前記コンピュータはさらに通信手段を有し、
前記プログラムは、前記演算手段に、
前記第1の担保権付物件情報ファイルを生成する際に、前記通信手段により接続している登記情報提供者の情報処理装置から通信回線を介して公的な不動産登記情報を取得し、前記第1の担保権付物件情報ファイルに記録すべき担保権付物件データを検証する、
処理をさらに実行させることを特徴とする、請求項6記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産を対象とする担保権および債権関連物件(債務者の所有する当該担保権が設定されている物件、債務者が所有する別の物件、連帯保証人が所有する物件、債務者の家族が所有する物件を含む。以下、これらの物件を総称して、本明細書において「担保権付物件」という。)の管理を支援する情報を生成するコンピュータの動作方法および装置に関し、特に、銀行等の金融機関が、自行の管理対象としている担保権付物件のうち種々のリスクの可能性ある案件を早期に特定すること等を支援する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関の融資のうち担保権に頼る割合は多く、その大半は、抵当権と根抵当権によって運営されていることが知られている。従来、金融機関は、顧客訪問等の営業活動や担保物件の現地調査等を通じて、自行が管理対象としている担保権が、将来不良債権化するおそれがあるか等の債権リスクを、間接的に把握するよう努めている。また、金融機関は、ある融資案件について、当該債権リスクを客観的にかつ一義的に把握するために、担保権を設定している特定の不動産(土地、建物、区分建物)について、不動産登記法所定の登記事項が記載されている不動産登記簿を、定期的にあるいは随時に取得し、解釈し、リスク評価をしている。
【0003】
ところで、本発明者は、不動産登記情報をデジタル化して関係機関に有効活用してもらうことを長年企図し、紙媒体の不動産登記簿、およびインターネット等の通信回線を介して取得した不動産登記情報を、直接デジタルデータとして入力し、あるいはOCR(Optical Character Recognition)処理等の処理によりテキスト変換(文字コード化)して、デジタルデータベースを構成する技術を提案している(例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3参照)。
【0004】
また、不動産登記情報は、民法、不動産登記法等に基づき登載される難解な記載の連続である。受付年月日、受付番号、登記の目的、登記の原因、権利者その他の事項の全ての登記事項に意味があり、法律の定めるところによってその効力が決定付けられる。よって、不動産登記情報を漏れなく解釈して、現に効力を有する登記情報を正確に把握する作業を効率化することは、金融機関にとって極めて重要な課題である。かかる課題等を解決する目的で、本発明者は、取得した公的な不動産登記情報をもとに、現に効力を有する登記情報のみを実質的に登載する登記情報ファイルを生成する技術、および取得した公的な不動産登記情報に含まれている、ユーザに特に注意喚起する必要のある登記事項の確認に漏れが生じないようユーザを支援する技術を提案している(例えば、特許文献4、および特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−143058号公報
【特許文献2】特開2007−4407号公報
【特許文献3】特開2007−148475号公報
【特許文献4】特開2011−186787号公報
【特許文献5】特開2013−58111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金融機関は、自行が単独で保有する全ての担保権付物件、および共同で担保権を管理する信用保証機関もしくは信用保証会社(以下、「保証機関」という)が保有する全ての担保権付物件について、不動産種別、所在、地番(家屋番号)、担保権の種別、債務者名、担保額等の情報を記録した担保台帳を保有し、運用している。しかしながら、かかる担保台帳の情報をより発展的に活用し、早期に債権リスクを発見する技術は、いまだ提案されていない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、銀行等の金融機関が、自行の管理対象としている担保権付物件のうち、種々のリスクの可能性ある案件を早期に特定すること等を支援する方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明者は、鋭意研究を行った結果、不動産登記規則所定の「受付帳」に着目し、受付帳に記録される公的な情報を、受付日もしくは受付期間を指定して取得し、取得した情報をデータ化し、担保台帳で管理しているデータと有機的に結合して活用する、という着想を得て、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明に係る担保権付物件の管理支援方法は、不動産を対象とする担保権の管理を支援する情報を生成するコンピュータの動作方法であって、前記コンピュータは、演算手段と記憶手段と入力手段と出力手段を有し、前記演算手段は、
管理対象としている担保権付物件について、不動産登記法所定の登記事項のうち少なくとも抵当権の債務者名および債権額、または根抵当権の債務者名および極度額を含む担保権付物件データを、不動産ごとに記録した、第1の担保権付物件情報ファイルを生成し、前記記憶手段に格納するステップと、
不動産登記規則所定の受付帳に記録される公的な情報であって受付日もしくは受付期間を指定して取得した情報を、受付帳データとして、入力手段に入力するステップと、
入力された前記受付帳データのうち、少なくとも登記受付の発生種別を含む受付データを、不動産ごとに記録した、受付情報ファイルを生成し、前記記憶手段に格納するステップと、
前記第1の担保権付物件情報ファイルと前記受付情報ファイルを前記記憶手段から読み出して不動産ごとに照合し、前記担保権付物件データと前記受付データを合成した合成データを、不動産ごとに記録した、第2の担保権付物件情報ファイルを生成し、前記記憶手段に格納するステップと、
前記受付データのうち少なくとも前記登記受付の発生種別について、特定の種別を指示する指示入力を受けて、前記第2の担保権付物件情報ファイルから、前記特定の種別を前記受付データにもつ合成データを検出するステップと、
検出された前記合成データについて、出力情報を生成し、前記出力手段に出力するステップと、
を実行することを特徴とする。
【0010】
本発明において、不動産登記規則所定の「受付帳」とは、不動産登記規則第18条第1号に従い法務省法務局の管轄登記所に備え付けられる「受付帳」をいう。また、受付帳に記録される公的な情報とは、同規則第56条第1項に定められた事項であり、登記の目的、申請の受付の年月日、および受付番号、ならびに不動産所在事項(具体的には、土地にあっては、所在と地番、建物もしくは区分建物にあっては、所在と家屋番号)を含む。本発明において、受付帳に記録される登記の目的は、後述する受付情報ファイルに不動産ごとに記録される受付データに含まれる「登記受付の発生種別」として扱われる。
【0011】
現行法の下では、同規則に従い受付帳に記録される公的な情報は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第4条第1項に基づいて取得することができる。すなわち、行政機関の長である地方法務局長に対し、受付日もしくは受付期間、種別(不動産)、および法務局管轄を指定して開示請求を行うことにより、同法第9条第1項の規定に基づき、不動産登記受付帳の開示を受けることができる。
【0012】
現行法の下での運用では、実際には、受付帳の開示内容を用紙に出力したものが請求人に交付されるため、交付された受付帳の開示内容を例えばOCR処理等の処理によりテキスト変換し、データ化すると良い。本明細書では、受付帳に記録される公的な情報を、公知の方法でデータ化したものを、受付帳データと呼ぶ。ただし、これは現行法の下での一例を述べたまでのことであり、将来の法改正等の事由により、受付帳の開示内容を全てデータ化した電子ファイルが、請求人に直接交付されるようになったとき等の場合には、上記のようなデータ化を省略できることはいうまでもない。
【0013】
受付帳データを入力するために、所定のインタフェース仕様に従いコンピュータに接続されたスキャナを使用しても良い。また、代替的に、別途OCR処理を経てテキスト処理した受付帳データを、各種の記憶媒体(例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のUSBストレージ、または書き込み可能なCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)もしくはBD(Blu−ray(登録商標) Disc))に保存し、所定のインタフェース仕様に従いコンピュータに接続されたキーボードおよびマウス等のポインティングデバイス、もしくはタッチスクリーン等の入力装置による指示操作により、各種記憶媒体からコンピュータに取り込んでも良い。受付帳データを入力するためのスキャナ、あるいは各種記憶媒体から受付帳データを取り込むために操作するキーボード、ポインティングデバイス、もしくはタッチスクリーン、および周辺装置(CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ)は、本発明の入力手段に相当する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態において、前記検出ステップにおいて指示入力される特定の種別は、抵当権の設定、根抵当権の設定、売買による所有権移転、所有権移転仮登記、相続、贈与、保全処分、もしくは処分の制限等のいずれか1つ、または2つ以上であると良い。保全処分、処分の制限の登記受付は、裁判につながる直接的な危険信号であり、いち早く知っておく必要がある危険情報といえる。また、所有権移転、相続、もしくは贈与の登記受付は、将来の債権劣化につながりうることを知らせる、予備的な危険情報といえる。他方、抵当権の設定の登記受付は、主に住宅ローン、根抵当権の設定の登記受付は、他の金融機関からの最新の債務の存在を知らせる有力な借換情報として利用することができる。
【0015】
また、本発明の好ましい実施の形態において、前記コンピュータはさらに通信手段を有し、前記演算手段は、前記第1の担保権付物件情報ファイルを生成する際に、前記通信手段により接続している登記情報提供者の情報処理装置から通信回線を介して公的な不動産登記情報を取得し、前記第1の担保権付物件情報ファイルに記録すべき担保権付物件データを検証するステップをさらに実行すると良い。かかる検証ステップを実行する主たる利点は、管理対象としている担保権付物件について、現在効力を有するかを確認できること、および不動産登記法所定の登記事項と一致しない担保権付物件データが、不一致のままで第1の担保権付物件情報ファイルに記録されるのを防ぐことができることにあるが、他方で、検証ステップの実行は、担保権の登記に錯誤または遺漏がないことを事前確認するのに役立つという利点もある。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態において、公的な不動産登記情報を、通信回線を介して取得するために、例えば、一般財団法人民事法務協会(当該協会は、本発明における「登記情報提供者」に相当する一具体例である)の「インターネット登記情報提供サービス」サイト(http://www1.touki.or.jp/gateway.html)を利用することができる。同サイトには、登記所で保管する不動産登記情報(共同担保目録を含めて、不動産登記法所定の登記の全部事項)が、アップデートされて蓄積されている。インターネット等の通信回線を介して、同サイトに、不動産の特定に必要な識別情報(具体的には、土地であれば不動産番号、または所在および地番、建物であれば、不動産番号、または所在および家屋番号、さらに管轄登記所の情報)を転送し、請求時点の最新の不動産登記情報を、リアルタイムで取得することが可能である。
【0017】
登記情報提供者から通信回線を介して取得される公的な不動産登記情報は、一般には不動産登記簿と呼ばれている「登記事項証明書」の体裁を有している。本発明においては、公的な不動産登記情報を取得する度に、登記事項証明書の体裁を保つ電子ファイルとして、第2の担保権付物件情報ファイルと関連付けて、記憶手段に格納しても良い。なお、登記事項証明書の体裁を保つ電子ファイルのフォーマットは、好ましくはPDF(Portable Document Format)で良く、TIFF(Tagged Image File Format)、HTML(HyperText Markup Language)等の他のフォーマットであっても良い。
【0018】
また、本発明に従い出力される出力情報は、所定のインタフェース仕様に従いコンピュータに接続された表示装置もしくはプリンタ、またはコンピュータの筐体に直接設けられた表示装置に出力されても良く、これら表示装置またはプリンタは本発明の出力手段に相当する。なお、出力情報は、所定のインタフェース仕様に従いコンピュータに接続された外部記憶装置に別途格納されても良く、あるいはコンピュータから通信回線を介して外部システムに向けて転送されても良い。
【0019】
本発明の担保権付物件の管理支援装置は、不動産を対象とする担保権付物件の管理を支援する情報を生成する装置であって、演算手段と記憶手段と入力手段と出力手段を有し、
前記演算手段は、
管理対象としている担保権付物件について、不動産登記法所定の登記事項のうち少なくとも抵当権の債務者名および債権額、または根抵当権の債務者名および極度額を含む担保権付物件データを、不動産ごとに記録した、第1の担保権付物件情報ファイルを生成し、
不動産登記規則所定の受付帳に記録される公的な情報であって受付日もしくは受付期間を指定して取得した情報を、受付帳データとして、前記入力手段に入力し、
前記入力手段により入力された、不動産登記規則所定の受付帳に記録される公的な情報であって受付日もしくは受付期間を指定して取得した情報からなる受付帳データのうち、少なくとも登記受付の発生種別を含む受付データを、不動産ごとに記録した、受付情報ファイルを生成し、
前記第1の担保権付物件情報ファイルと前記受付情報ファイルを読み出して不動産ごとに照合し、前記担保権付物件データと前記受付データを合成した合成データを、不動産ごとに記録した、第2の担保権付物件情報ファイルを生成し、
前記記憶手段は、前記第1の担保権付物件情報ファイル、前記受付情報ファイル、および前記第2の担保権付物件情報ファイルを格納し、
前記演算手段は、前記受付データのうち少なくとも前記登記受付の発生種別について、特定の種別を指示する指示入力を受けて、前記第2の担保権付物件情報ファイルから、前記特定の種別を前記受付データにもつ合成データを検出し、
前記演算手段は、検出された前記合成データについて、出力情報を生成し、前記出力手段に出力すること、
を特徴とする。
【0020】
さらに、本発明のプログラムは、不動産を対象とする担保権付物件の管理を支援する情報を生成する処理を、コンピュータに行わせるためのプログラムであって、前記コンピュータは、演算手段と記憶手段と入力手段と出力手段を有し、前記プログラムは、前記演算手段に、
管理対象としている担保権付物件について、不動産登記法所定の登記事項のうち少なくとも抵当権の債務者名および債権額、または根抵当権の債務者名および極度額を含む担保権付物件データを、不動産ごとに記録した、第1の担保権付物件情報ファイルを生成し、前記記憶手段に格納し、
不動産登記規則所定の受付帳に記録される公的な情報であって受付日もしくは受付期間を指定して取得した情報を、受付帳データとして、前記入力手段に入力し、
入力された前記受付帳データのうち、少なくとも登記受付の発生種別を含む受付データを、不動産ごとに記録した、受付情報ファイルを生成し、前記記憶手段に格納し、
前記第1の担保権付物件情報ファイルと前記受付情報ファイルを前記記憶手段から読み出して不動産ごとに照合し、前記担保権付物件データと前記受付データを合成した合成データを、不動産ごとに記録した、第2の担保権付物件情報ファイルを生成し、前記記憶手段に格納し、
前記受付データのうち少なくとも前記登記受付の発生種別について、特定の種別を指示する指示入力を受けて、前記第2の担保権付物件情報ファイルから、前記特定の種別を前記受付データにもつ合成データを検出し、
検出された前記合成データについて、出力情報を生成し、前記出力手段に出力する、
処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
上記のとおり、いち早く知っておく必要がある危険情報(保全処分、処分の制限の登記の受付)、または、将来の債権劣化につながりうることを知らせる予備的な危険情報(所有権移転、相続、もしくは贈与の登記の受付)が検出されて、リスクのある担保権を示す出力情報が提供される。したがって、金融機関が、自行の管理対象としている担保権付物件のうち、種々のリスクの可能性ある案件を早期に特定することができる。
【0022】
また、上記のとおり、本発明において検出される抵当権の設定の登記受付は、主に住宅ローン、根抵当権の設定の登記受付は、他の金融機関からの最新の債務の存在を知らせる有力な借換情報として利用することができる。
【0023】
上記した本発明の目的および利点並びに他の目的および利点は、以下の実施の形態の説明を通じてより明確に理解される。もっとも、以下に記述する実施の形態は例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態における担保権付物件の管理支援装置の機能ブロック図である。
図2】不動産受付帳の記載例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態における担保権付物件の管理支援装置の動作フローを示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態における第1の担保権付物件情報ファイル、受付情報ファイル、および第2の担保権付物件情報ファイルのレコード構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態における担保権付物件の管理支援装置の機能ブロック図である。図1に示すように、管理支援装置1は、演算装置(CPU:Central Processing Unit)2、記憶装置3、入力装置4、出力装置5、および通信装置6から構成されている。
【0026】
演算装置2は、記憶装置3に格納された所定のプログラムを実行することにより、管理対象としている担保権付物件についての担保権付物件データを、不動産ごとに記録した、第1の担保権付物件情報ファイル(図3に示す32)を生成する。担保権付物件データは、不動産登記法所定の登記事項のうち少なくとも抵当権の債務者名および債権額、または根抵当権の債務者名および極度額をレコードに含むが、図4を参照して後述するように、金融機関等が担保管理のために付与する案件固有の担保台帳番号、担保台帳名をさらに含んでいても良い。演算装置2は、記憶装置3に格納された所定のプログラムを実行することにより、第1の担保権付物件情報ファイルを記憶装置3に格納する。
【0027】
また、演算装置2は、記憶装置3に格納された所定のプログラムを実行することにより、不動産登記規則所定の受付帳に記録される公的な情報であって受付日もしくは受付期間を指定して取得した情報を、受付帳データとして、入力装置4に入力する。
【0028】
さらに、演算装置2は、記憶装置3に格納された所定のプログラムを実行することにより、入力装置4により入力された、不動産登記規則所定の受付帳に記録される公的な情報であって受付日もしくは受付期間を指定して取得した情報からなる受付帳データ(図1および図3に示す33)のうち、少なくとも登記受付の発生種別を含む受付データを、不動産ごとに記録した、受付情報ファイル(図3に示す34)を生成する。演算装置2は、記憶装置3に格納された所定のプログラムを実行することにより、受付情報ファイルを記憶装置3に格納する。
【0029】
また、演算装置2は、記憶装置3に格納された所定のプログラムを実行することにより、第1の担保権付物件情報ファイルと受付情報ファイルを読み出して不動産ごとに照合し、担保権付物件データと受付データを合成した合成データを、不動産ごとに記録した、第2の担保権付物件情報ファイル(図3に示す35)を生成する。演算装置2は、記憶装置3に格納された所定のプログラムを実行することにより、第2の担保権付物件情報ファイルを記憶装置3に格納する。
【0030】
さらに、演算装置2は、記憶装置3に格納された所定のプログラムを実行することにより、受付データのうち少なくとも登記受付の発生種別について、特定の種別を指示する指示入力を受けて、第2の担保権付物件情報ファイルから、特定の種別を受付データにもつ合成データを検出する。そして、演算装置2は、記憶装置3に格納された所定のプログラムを実行することにより、検出された合成データについて、出力情報を生成し、出力装置5に出力する。
【0031】
記憶装置3は、本発明の方法に従い、不動産を対象とする担保権付物件の管理を支援する情報を生成する処理を、演算装置2に実行させるための所定のプログラムを格納する。また、記憶装置3は、上記のとおり、第1の担保権付物件情報ファイル、受付情報ファイル、および第2の担保権付物件情報ファイルを格納する。記憶装置3は、各種のRAM(Random Access Memory)、およびHDD(Hard Disc Drive)等のストレージデバイスで良い。
【0032】
入力装置4には、演算装置2に処理させる各種のデータ(例えば、金融機関等の担保権付物件ファイル31から取得される担保権付物件データ、管轄法務局から取得した不動産登記受付帳に基づいた受付帳データ33)が入力される。また、入力装置4は、これを指示操作することにより、演算装置2に各種の処理を実行させるためのコマンドを、演算装置2に入力する。
【0033】
出力装置5は、記憶装置3に格納された所定のプログラムを演算装置2が実行することにより、演算装置2によって第2の担保権付物件情報ファイルから検出された、特定の種別を受付データにもつ合成データについて生成された出力情報(図3に示す36)を、出力する。出力装置5が出力する出力情報の例は、後述する特定債務者リスク種別一覧、特定債務者借換一覧、および特定債務者担保設定一覧を含むが、これらは例示であって、出力情報の形式や態様はこれらに限定されない。
【0034】
通信装置6は、管理支援装置1を図示しない登記情報提供者の情報処理装置と接続し通信を行うための装置であり、記憶装置3に格納された所定のプログラムを演算装置2が実行することにより、第1の担保権付物件情報ファイルを生成する際に、登記情報提供者の情報処理装置(具体的には、一般財団法人民事法務協会の「インターネット登記情報提供サービス」サイトの情報処理装置)から通信回線を介して公的な不動産登記情報(図1に示すオンライン登記情報37)を取得し、第1の担保権付物件情報ファイルに記録すべき担保権付物件データを検証する。
【0035】
図示しない通信回線は、専用線、公衆電話回線、衛星通信回線等の各種通信回線や図示しない各種サーバ等を含んで構成され、その具体的様態は特に限定されない。また、管理支援装置1と通信回線との間には、ISP(Internet Service Provider)やNSP(Network Service Provider)、携帯電話事業者等が提供するサーバやファイアーウォール、ゲートウェイ装置等の各種機器が介在する構成としても良い。
【0036】
図2は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第4条第1項に基づいて取得することができる、不動産登記受付帳の記載例を示す図である。図示するとおり、受付帳は、不動産所在事項(具体的には、土地にあっては、所在と地番、建物もしくは区分建物にあっては、所在と家屋番号)により特定した不動産ごとに、受付番号、申請の受付の年月日、および登記の目的が記録されている。本発明においては、後述するとおり、不動産所在事項を不動産識別情報として使用することにより、第1の担保権付物件情報ファイルと受付情報ファイルを、不動産ごとに照合して、担保権付物件データと受付データを合成した合成データを、不動産ごとに記録した、第2の担保権付物件情報ファイルを生成している。
【0037】
図3は、管理支援装置1の動作フローを示すフローチャートである。図3のフローチャートおよび図4に示すファイルのレコード構成を参照して、手順を説明する。
ステップS301において、金融機関が自行で単独で保有する全ての担保権付物件、および共同で担保権付物件を管理する保証機関が保有する全ての担保権付物件について記録している、金融機関等の保有する担保権付物件ファイル(いわゆる担保台帳)31から、管理対象となっている現在効力のある担保権についてのデータを取得する。取得するデータは、例えば、不動産種別(土地または建物)、所在・地番(家屋番号)、担保権の種別(通常は抵当権または根抵当権の別であるが、無担保債務者の場合を含めても良い)、担保台帳番号、担保台帳名、物件番号(不動産番号)、債務者名、担保額等(債権額または極度額)を含むと良いが、一例であってこれらに限定するものではない。入力装置4の操作により、演算装置2は、金融機関等の担保権付物件ファイル31から取得したデータを管理支援装置1に入力する。
【0038】
金融機関が管理対象としている担保権が現在効力を有するかを確認するために、演算装置2は、通信装置6により接続している登記情報提供者の情報処理装置(図示せず)から通信回線を介して公的な不動産登記情報を取得して、金融機関等の担保権付物件ファイルから取得したデータを検証すると良い。なお、不動産登記法所定の登記事項と一致しないときは、不一致のまま後述の第1の担保権付物件情報ファイルに記録させない。検証の結果、担保権の登記に錯誤または遺漏がある可能性を発見した場合も同様である。
【0039】
ステップS302において、演算装置2は、金融機関等の担保権付物件ファイル31から取得したデータをもとに、金融機関が管理対象としている担保権付物件について、不動産登記法所定の登記事項のうち少なくとも抵当権の債務者名および債権額、または根抵当権の債務者名および極度額を含む担保権付物件データを、不動産ごとに記録した、第1の担保権付物件情報ファイル32を生成する。図4(A)は、第1の担保権付物件情報ファイル32のレコード構成を示している。所在・地番(家屋番号)は、後述する受付情報ファイル34および第2の担保権付物件情報ファイル35において共通して使用される不動産識別情報である。また、担保台帳番号、担保台帳名、物件番号、債務者名、および担保額等の項目は、金融機関が保有する担保台帳に記録されている、自行の抵当権、根抵当権の内容から一部を抽出した情報である。演算装置2は、生成した第1の担保権付物件情報ファイル32を、記憶装置3に格納する。
【0040】
図3のフローチャートに戻って、ステップS303において、入力装置4の操作により、演算装置2は、種別(不動産)、受付日もしくは受付期間、および法務局管轄を指定した開示請求により取得した不動産登記受付帳の情報を、受付帳データ33として管理支援装置1に入力する。受付日もしくは受付期間としては、例えば平成25年3月分、平成25年1月から3月分等と指定することにより、直近の1ヶ月分または数ヶ月分の受付帳の情報をまとめて取得することができる。ここでは、受付帳の開示内容を用紙に出力したものが交付されることを前提として、入力装置4は、用紙をスキャンし、OCR処理を経てテキスト処理した受付帳データ33を入力するためのスキャナを含んで良い。また、代替的に、別途OCR処理を経てテキスト処理した受付帳データ33を、記憶媒体(例えば、USBストレージ、または書き込み可能なCD、DVDもしくはBD)に保存し、キーボードおよびマウス等のポインティングデバイス、もしくはタッチスクリーン等の入力装置4による指示操作により、記憶媒体からコンピュータに取り込んでも良い。
【0041】
ステップS304において、演算装置2は、入力された受付帳データのうち、少なくとも登記受付の発生種別を含む受付データを、不動産ごとに記録した、受付情報ファイル34を生成する。図4(B)は、受付情報ファイル34のレコード構成を示している。所在・地番(家屋番号)は、前述の第1の担保権付物件情報ファイル32および第2の担保権付物件情報ファイル35において共通して使用される不動産識別情報である。また、登記受付の発生種別は、抵当権の設定、根抵当権の設定、売買による所有権移転、所有権移転仮登記、相続、贈与、保全処分、および処分の制限のいずれかである。演算装置2は、生成した受付情報ファイル34を、記憶装置3に格納する。
【0042】
再び図3のフローチャートに戻って、ステップS305において、演算装置2は、第1の担保権付物件情報ファイル32と受付情報ファイル34を記憶装置3から読み出して不動産ごとに照合し、担保権付物件データと受付データを合成した合成データを、不動産ごとに記録した、第2の担保権付物件情報ファイル35を生成する。図4(C)は、第2の担保権付物件情報ファイル35のレコード構成を示している。所在・地番(家屋番号)は、前述の第1の担保権付物件情報ファイル32および受付情報ファイル34において共通して使用される不動産識別情報である。不動産識別情報を用いて、不動産ごとに照合することで、第1の担保権付物件情報ファイル32から、担保台帳番号、担保台帳名、物件番号、債務者名、および担保額等が取得され、受付情報ファイル34から登記受付の発生種別が取得され、データ合成される。演算装置2は、生成した第2の担保権付物件情報ファイル35を、記憶装置3に格納する。
【0043】
ステップS306において、演算装置2は、受付データのうち少なくとも登記受付の発生種別について、特定の種別を指示する指示入力が、入力装置4の操作により入力されたことを受けて、第2の担保権付物件情報ファイル35から、特定の種別を受付データにもつ合成データを検出する。上記のとおり、抵当権の設定、根抵当権の設定、売買による所有権移転、所有権移転仮登記、相続、贈与、保全処分、および処分の制限からなる登記受付の発生種別のうち、いずれか1つ、または2つ以上の特定の種別を指示することができる。
【0044】
ステップS307において、演算装置2は、検出された合成データについて、出力情報を生成し、出力装置に出力する。以上で、管理支援装置1の動作は終了する。
【0045】
図1に示している、出力装置5が出力する出力情報36の具体例について、簡単に説明すると、特定債務者リスク種別一覧とは、いち早く知っておく必要がある危険情報(保全処分、処分の制限の登記の受付)、または、将来の債権劣化につながりうることを知らせる予備的な危険情報(売買による所有権移転、所有権移転仮登記、相続、もしくは贈与の登記の受付)が検出されて、リスクのある担保権と債務者を特定している一覧である。また、特定債務者借換一覧とは、特に自行の担保権が設定されていない不動産について、他の金融機関からの最新の債務の存在を知らせる抵当権の設定、または根抵当権の設定の登記受付が検出されて、有力な借換情報と債務者を特定している一覧である。さらに、特定債務者担保設定一覧とは、特に自行の担保権が設定されていない不動産について、上記特定債務者リスク種別一覧の検出、および特定債務者借換一覧の検出以外の、例えば、合筆および分筆等の登記受付が検出された案件の一覧である。
【0046】
上記した実施形態の説明から明らかなとおり、従来、金融機関は、債権リスクのモニタリングのために、大量の物件についての不動産登記情報を、多額の手数料を支払って定期的に取得する必要があったが、本実施形態によれば、管理支援装置1が提供する、リスクのある担保権と債務者を特定している特定債務者リスク種別一覧をもとに、必要な不動産登記情報だけを取得すればよく、債権リスクの管理の迅速性、経済性を大幅に向上させることができる。
【0047】
また、従来、他行の設定済み担保権付物件を探すのは困難であったが、本実施形態によれば、管理支援装置1に特定債務者借換一覧を出力させることで、指定した受付期間内に設定された新鮮な担保権付物件を、圧倒的なヒット率でかつ自動で探し出すことができる。この一覧は、特に、他の金融機関が調査済みの最新の債務の存在を知らせるものであるため、有力な借換情報としても利用できるものである。
【0048】
なお、本実施形態の変形例として、演算装置2が、受付情報ファイル34に記録している所在・地番(家屋番号)のうち、自行で管理している担保権が設定されている不動産以外の所在・地番(家屋番号)を特に指定して、通信装置6により接続している登記情報提供者の情報処理装置から通信回線を介して公的な不動産登記情報を自動的に取得するようにしても良い。これにより、他行が設定済みの担保権付物件の債務者名および担保額が判明するので、所在・地番(家屋番号)に基づいて、あるいは所在・地番(家屋番号)を街区番号に変換したうえで、宛名ラベルの印刷を自動で行わせたりする、さらなる改良も可能となる。
【0049】
また、本発明の実施の形態における管理支援装置1は、ユーザ装置が通信回線を介して接続されるWebシステムとして構成しても良いことはもちろんである。この場合、ユーザ装置が、入力装置4および出力装置5の機能の多くを提供する端末装置として働くことは当業者にとり明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えば、金融機関における担保権の劣化を防止するための対策および顧客獲得のための営業戦略の立案と推進に役立つ基礎資料を、安価にかつ迅速に提供するものとして、好適に利用される。
【符号の説明】
【0051】
1 管理支援装置
2 演算装置(CPU)
3 記憶装置
4 入力装置
5 出力装置
6 通信装置
図1
図2
図3
図4