特許第6231765号(P6231765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6231765-皮膚異常改善外用剤 図000002
  • 特許6231765-皮膚異常改善外用剤 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231765
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】皮膚異常改善外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/81 20060101AFI20171106BHJP
   A61K 36/9068 20060101ALI20171106BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20171106BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20171106BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20171106BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20171106BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   A61K36/81
   A61K36/9068
   A61P17/00
   A61K47/10
   A61K9/08
   A61K8/9789
   A61Q19/00
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-91021(P2013-91021)
(22)【出願日】2013年4月24日
(65)【公開番号】特開2014-214102(P2014-214102A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】506390188
【氏名又は名称】増田 ミサエ
(74)【代理人】
【識別番号】100136113
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寿浩
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 ミサエ
【審査官】 鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−123721(JP,A)
【文献】 特開2003−206225(JP,A)
【文献】 特開平10−045615(JP,A)
【文献】 特開2002−370998(JP,A)
【文献】 特開平11−060497(JP,A)
【文献】 特開2011−111408(JP,A)
【文献】 南山堂 医学大辞典(豪華版),株式会社 南山堂,1998年,p.1179-1180 [接触〔性〕皮膚炎]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
A61K 9/00−9/72
A61K 47/00−47/69
A61K 8/00−8/99
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
唐辛子と生姜が焼酎に漬け込まれたアルコール液からなる、肌荒れ、ただれ、かぶれなど(水虫によるものを除く)の皮膚異常改善外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、唐辛子の薬効成分と生姜の薬効成分とを利用した、肌荒れなどの皮膚異常を改善するための外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、唐辛子や生姜は食用に供されるほか、その含有成分を薬効成分としても利用されている。例えば、唐辛子はカプサイシンによる温間作用、血行促進作用などが代表的である。一方生姜は、発汗作用、健胃作用、鎮吐作用、興奮作用、強壮作用などがあるとされている。
【0003】
唐辛子や生姜の薬効効果を利用する場合、これらを直接食すことにより利用する場合もあるが、これらの含有成分をアルコール等により抽出したエキスとして利用することもある。このような技術として、例えば特許文献1や特許文献2がある。特許文献1は、唐辛子や生姜の抽出エキス等を利用した皮膚外用剤である。特許文献2は、生姜エキスと粉末唐辛子とを利用した体温調節剤(内服剤)である。
【0004】
特許文献1や特許文献2では、その血行促進効果などにより、肩こり、腰痛、喉痛、解熱、鼻詰まり、咳き止め、リウマチなどに対して有効とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−106818号公報
【特許文献2】特開2007−145774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では神経痛やリウマチなど身体内部の異常に対して効果があるとされているのみであり、皮膚そのものの異常に対しては着目していない。また、特許文献2は内服剤であり、そもそも皮膚の異常に対する効果は期待できない。
【0007】
これに対し、本発明者は唐辛子や生姜の薬効成分が皮膚異常にも効果があることを知見し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は従来とは異なる効能を利用した新たな用途を提供するものであって、唐辛子成分と生姜成分とを利用した皮膚異常改善外用剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのための手段として、本発明の皮膚異常改善外用剤は、唐辛子成分と生姜成分とを含有することを特徴とする。特に、唐辛子成分と生姜成分とを含有するアルコール液とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、唐辛子成分と生姜成分の新たな効能を利用しており、皮膚の異常部位(患部)に塗布することで、肌荒れなどの皮膚異常(肌トラブル)を改善することができる。これにより、完治するまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】塗布前の状態を示す写真である。
図2】塗布後の状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の代表的な実施態様について説明する。本発明の皮膚異常改善外用剤(以下、単に外用剤と称すことがある)は、唐辛子成分と生姜成分とを含有する。唐辛子由来の抽出成分(薬効成分)としては、具体的にはカプサイシンが挙げられる。生姜由来の抽出成分(薬効成分)としては、具体的にはジンゲロン、ジンゲロール、ショウガオールが挙げられる。
【0012】
これらの薬効成分は、唐辛子及び生姜から抽出して得られる。その抽出方法としては、水蒸気蒸留法、溶剤抽出法、超臨界二酸化炭素抽出法などが利用できるが、中でも溶剤抽出法であれば安価で簡便に行えるため好ましい。抽出溶剤としては特に限定されないが、例えばエタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の低級アルコール又は含水低級アルコール、或いは1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール又は含水多価アルコール、或いはアセトン、酢酸エチル、ヘキサン等の各種有機溶剤による抽出が可能である。これらの溶剤は、1種のみを用いても良く、2種以上を混合して使用することもできる。また、焼酎や日本酒等の飲用アルコールにより抽出することも好ましい。飲用アルコール抽出であれば、飲用アルコールに含まれるミネラルや栄養成分との相乗効果も期待できるからである。
【0013】
焼酎等の飲用アルコールも含めて、溶剤抽出する場合、唐辛子及び生姜の浸漬量は特に限定されないが、溶剤100重量部に対して、唐辛子及び生姜を合計で10〜200重量部程度とすればよい。唐辛子及び生姜の浸漬量が10重量部未満では、薬効成分量が少なくて改善効果が得難くなるからである。一方、唐辛子及び生姜の浸漬量が100重量部を超えても、改善効果に大差はなく、材料コストが嵩んでしまう。
【0014】
溶剤抽出する際の浸漬時間も、ある程度の薬効成分が抽出できている限り特に限定されないが、少なくとも1日以上は浸漬することが好ましい。十分量の薬効成分を抽出するには、10日以上浸漬することが好ましく、より好ましくは20日以上、さらに好ましくは1ヶ月以上浸漬する。
【0015】
唐辛子成分や生姜成分を抽出する際、唐辛子や生姜をそのまま用いることもできるが、適宜裁断ないし粉砕しておくことが好ましい。また、適宜乾燥したうえで使用することが好ましい。これらの前処理を行うことで、抽出効率が向上する。使用する唐辛子としては、カプサイシンを含む限り特に限定されず、赤唐辛子でも青唐辛子でもよい。生姜としても、根生姜、葉生姜、矢生姜いずれも使用できる。
【0016】
本発明の外用剤は、上記抽出成分を食用油脂等により製剤化するなど、適宜加工して用いることもできるが、単に抽出成分を含有する抽出液、好ましくはアルコール液とすることが望ましい。加工の手間を省くことができ簡便だからである。抽出液とする場合は、適宜溶剤を揮発させた濃縮液とすることも好ましい。濃縮液としていれば、薬効効率が向上するからである。なお、抽出液とする場合は、抽出するために漬け込んだ唐辛子や生姜を溶剤(抽出液)から取り出して使用することが好ましいが、漬け込んだ唐辛子や生姜を取り出さずそのまま使用することもできる。
【0017】
本発明の外用剤は、唐辛子成分及び生姜成分を含有することで、肌荒れ、ただれ、かぶれなどの皮膚異常を改善することができる。当該外用剤は、皮膚異常が生じている患部に直接塗布や噴霧すればよい。または、ガーゼ、ティッシュ、コットン、布帛、不織布などに含浸させてこれらを患部に貼り付けておくことも好ましい。
【実施例】
【0018】
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、これに限られることは無く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。
【0019】
オーブンにて100℃で30分熱乾燥した生生姜1kgと、半分に切断した乾燥唐辛子(タカノツメ)80gとを、アルコール分35%の焼酎(ホワイトリカー)2斤(約1.2kg)に3ヶ月以上漬け込んで、外用剤としてのアルコール液を作成した。
【0020】
当該外用剤を、数年間足裏の皮膚異常(図1参照)に悩んでいた患者の患部に、1日1回、毎日適量塗布した。すると、目に見えて皮膚異常が改善していき、3ヵ月後には、図2に示すように皮膚異常がほぼ完治した。これにより、唐辛子成分と生姜成分とを含有する外用剤は皮膚異常の改善効果があることが確認された。



図1
図2