(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の管の各管は、それぞれの前記管の軸方向端部で前記複数の開口のそれぞれの開口に結合されると共に、前記それぞれの開口を介して空気流を受けるように構成される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシステム。
多管燃料ノズルの本体を貫通して延在する複数の管内へと空気を受ける段階であって、前記複数の管の各管は、前記管の上流側軸方向端部に少なくとも1つの混合誘導機構を有する開口を介して空気を取り入れ、前記複数の管に関連ある前記開口は、前記複数の管に隣接して設けられる少なくとも1つの入口板に設けられる段階と、
前記管の前記上流側軸方向端部から下流の位置において前記複数の管の各管内へと燃料を受ける段階と、
燃料−空気混合物を前記複数の管から出力する段階と
を含む方法であって、前記混合誘導機構が前記開口に入り込むように横方向に延在する少なくとも1つの突出部を含み、
前記少なくとも1つの突出部は、
前記開口を通る流れの上流方向又は下流方向に傾斜する、又は、
単一の楔形突起、又は、
前記開口を横切る方向に互いに平行に延在する格子状部材、又は、
前記開口の軸の周りに対称に配置される複数の突起を含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の1つ以上の特定の実施形態を以下に説明する。これらの実施例を簡潔に説明するために、実際の実施態様の全ての特徴を本明細書に説明しない場合もある。こうしたいかなる実際の実施態様の開発においても、あらゆる技術又は設計プロジェクトの場合と同様に、システム関連及び事業関連の制約事項に準拠すること等の、実施態様毎に異なることもある、開発者の特定の目標を達成するために、その実施態様特有の数多くの決定を行わなければならないことを理解するべきである。さらに、このような開発努力は複雑であり、かつ時間がかかることもあるが、それでもやはり、本開示を利用することができる当業者にとっては、設計、製作及び製造という定常作業であることを理解するべきである。
【0012】
本発明のさまざまな実施形態の要素を示す場合、「1つの」、「ある」、「この」及び「前記の」という冠詞は、その要素が1つ以上あることを意味することを意図している。「備える」、「含む」及び「有する」という用語は、包含的であることを意図するとともに、列挙された要素以外の付加的な要素が存在する場合もあることを意味する。
【0013】
以下に詳細に述べるように、本開示の実施形態は、多管燃料ノズルの各管内における燃料−空気混合を高めるように構成される混合誘導機構を有する多管燃料ノズルを含む。多管燃料ノズルは、複数(例えば10〜1000本)の平行な管を含み、これらの管は、管内で内部混合された後に燃焼器(例えばガスタービン燃焼器)内に噴射される燃料と空気との両方を受ける。混合誘導機構は、多管燃料ノズルの各管の長さに沿ったいかなる位置に配設されてもよく、管内において流れの乱れを創出して燃料−空気混合を促進させる流れ撹乱装置であると表現することができる。以下に述べる実施形態において、混合誘導機構は、多管燃料ノズルの各管の入口との関連において説明されるが、混合誘導機構は多管燃料ノズルの各管の何らかの上流部分(例えば各管長さの最初の0〜50%)に配設されてもよい。混合誘導機構は、入口板、管の変形、付加的突起(例えばタブ、プロング、歯)、ワイヤ、表面の肌理、又は管を貫通する流路に横方向に延在するその他の構造等の、各管と一体化されるか又は分離される様々な構造を含んでよい。例えば、混合誘導機構は、各管の入口において流れを撹乱する1つ以上の入口機構を含んでよい。これらの入口機構は、全ての管にわたって延在する混合促進入口板(例えば共通の板又はその他の構造)に配設されてもよく、又は個別の各管が自身の独自の入口機構を有してもよい。例えば、各管の上流側軸方向端部に結合される入口機構を有する
開口を持つ入口板は、各管に流入する空気流に影響を及ぼし、以って多管燃料ノズルから流出する燃料−空気混合物に影響を及ぼすことができる。以下に述べるように、入口板の各
開口は、空気流に影響を及ぼすことができる入口機構(例えば
突出部、楔形、扇形、線形
突出部)を有してよい。入口機構は、管の直径及び/又は長さを変更することなしに各管内において渦流の創出、渦の形成、乱流の促進又はその他の方法による空気流の混合促進を行なうことができる。各管に流入する空気流を相違させることができ、それが多管燃料ノズルの各管から流出する燃料−空気混合物の質の相違に繋がる。従って、管間での示差的な構成の入口機構が多管燃料ノズルの燃料−空気混合物に影響を及ぼして、燃焼器内において所望の燃料−空気混合物を得ることができる。
【0014】
次に図面を参照すると、
図1に、本発明の実施形態に従った少なくとも1つの混合誘導機構13を有する混合促進入口板12を含むことができるガスタービンシステム10の実施形態のブロック図が示されている。システム10は、圧縮機14(例えば1つ以上の圧縮段)と1つ以上のタービン燃焼器16とタービン18(例えば1つ以上のタービン段)とを含む。各タービン燃焼器16は、燃料22(例えば液体及び/又は気体燃料)と空気24との混合物をそれぞれのタービン燃焼器16内に噴射する1つ以上の燃料ノズル20(例えば入口板12を有する多管燃料ノズル)を含む。圧縮機14は
吸気口26を介して空気24を受けると共に、圧縮空気28を燃焼器16及び燃料ノズル20内へと送る。圧縮空気28の少なくとも一部は燃料ノズル20内において燃料22と混合されて、燃焼器16内で燃焼される燃料−空気混合物40が創出される。以下に更に詳細に述べるように、入口板12は燃料ノズル20内、例えば多管燃料ノズル20の各管内における燃料22と空気24との混合を促進させて、以って燃焼器16内での燃焼により適する燃料−空気混合物40を生成する。その後、燃焼された燃料−空気混合物が高温の加圧排ガス30を形成し、このガスがタービン18を通り抜けて、以ってタービン軸32を回転駆動した後に排気出口34を通って流出する。タービン軸32は、今度は圧縮機14と発電機等の負荷36とを回転駆動する。
【0015】
以下に詳細に述べるように、燃料ノズル20は、各管内において燃料22と空気24とを受け且つ混合する複数(例えば10〜1000本)の略平行な管を含む多管燃料ノズルであってよい。ある一定の実施形態において、各燃料ノズル20は缶形ノズル(例えば環状の外側本体)又は扇形ノズル(例えば楔形又は切頭パイ形の外側本体)であってよい。更に、各燃焼器16は、中央燃料ノズル20(例えば
図2〜4のノズル21)の周りに配置される複数の周辺燃料ノズル20を含んでよい。本開示の実施形態は、各管の上流側端部の入口機構等の混合誘導機構13を追加することにより、多管燃料ノズル20の各管内で起こる燃料−空気混合を促進させる。
図1の実施形態は、多管燃料ノズル20内の各々の管用に混合誘導機構13(例えば入口機構)を含む入口板12を含む。従って、空気24(例えば圧縮空気28)は、入口機構を有する
開口を通って流れた後に各々の管に流入し、以って管に流入する空気流が乱される。この流れの乱れが、
ひいては各管内における燃料−空気混合を向上させる。本開示の実施形態において、入口板12は、多管燃料ノズル20内の各管の上流側軸方向端部に直接配設され、例えば上流側軸方向端部に直接取り付けられるか又は当接する。多管燃料ノズル20の管内において燃料−空気混合が向上する結果として、燃料ノズル20により、複数の管間においてより制御された燃料−空気混合分布(例えば均一又は特定の分布形状)が得られて、以って燃焼効率及び出力の向上と汚染物質の排出量の削減と燃焼器16における望ましくない燃焼挙動の低減とが達成される。
【0016】
図2は、各々が混合誘導機構13を有する入口板12を含む複数の燃料ノズル20を有する
図1の燃焼器16の実施形態の側断面図である。燃焼器16は、外筒又はフロースリーブ50とフロースリーブ50内に同軸的に配設される内筒51とエンドカバー52とヘッドエンド53とヘッドエンド53の上流側端部54とヘッドエンド53の下流側端部56とを含む。複数の燃料ノズル20(例えば多管燃料ノズル)は燃焼器16内に取り付けられる。各燃料ノズル20は、上流側端部54から下流側端部56まで延在する燃料導管58と下流側端部56の燃料ノズルヘッド59とを含む。燃料ノズルヘッド59は、複数(例えば10〜1000本)の管62を収容する燃料チャンバ60を含み、管62はチャンバ60内の燃料入口と入口板12に沿ったチャンバ60の外側の空気入口とを含む。一部の実施形態では、各燃料ノズルヘッド59は燃料チャンバ60を取り巻くノズル壁61を含む。上述したように、各燃料ノズルヘッド59のノズル壁61は、環状ヘッド、楔形又は切頭パイ形ヘッド又は何らかのその他の形状をなしてよい。ヘッド59の形状に係わりなく、燃料22は燃焼器16の外側の燃料源から燃料導管58に流入すると共に、燃料ノズルヘッド59内の燃料チャンバ60へと流れる。一旦ヘッド59内に入ると、燃料は複数の管62に流入すると共に、管62を通過する空気流と混合される。
【0017】
圧縮空気28も入口板12を介して複数の管62と流体接続される。圧縮空気28は、一般に矢印64で示すように、1つ以上の空気入口66を経てフロースリーブ50を通って燃焼器16に流入する。フロースリーブ50を通過する圧縮空気28は内筒51の冷却を促進して、内筒51によって取り巻かれる燃焼室68内の燃焼による熱を除去する。圧縮空気28は、上流側空気流路70を軸方向72にエンドカバー52の方へと辿る。圧縮空気28は、その後、矢印76で示すように、内側流路74内に流入すると共に、下流側空気流路78に沿って軸方向80に進んで、入口板12を通って各燃料ノズル20の管束82(例えば管62)内に流入する。
【0018】
ある一定の実施形態では、各燃料ノズル20の管束82は、互いに略平行な偏移関係にある複数の管62を含み、これらの管62の少なくとも一部又は全部が圧縮空気28と燃料22とを混合して燃焼室68内に噴射される燃料−空気混合物40を創出するように構成される。燃料22は軸方向80に各燃料導管58を通って燃料流路84に沿って各燃料ノズル20の下流側端部56(例えば燃料ノズルヘッド59)の方へと流れる。燃料導管58は入口板12の中央部分を貫通してよい。燃料22は各燃料ノズルヘッド59の燃料チャンバ60に流入し、この燃料が複数の管62内へと向けられて、入口板12を通って各管62の上流側端部内に流入する圧縮空気28と混合される。図の実施形態において、燃料ノズル20の各管62は、燃料22の受入れより上流で圧縮空気を受け、以って燃料22を圧縮空気28の流れに添加する。例えば、各管62は空気28を管62の上流側端部(例えば上流側軸方向端部)において空気入口を介して受ける一方で、管62は燃料を更に下流(例えば管62の上流側軸方向端部から管62の長さの5〜50%下流)において燃料入口を介して受けてよい。更に、入口板12は、管62内への(例えば上流側端部における)空気流28の混入を誘導するように構成され、以って各管62内における空気28と燃料22との間の混合促進を助ける。
【0019】
入口板12(例えば混合誘導機構13)は、管62内に流入する空気の分配と、各管62内における乱流及び空気28と燃料22との混合と、各管62から流出する最終的な燃料−空気混合物40と、各燃料ノズル20の複数の管62間における燃料−空気混合物40の分布(例えば流量及び燃空比)との制御を助ける。空気流28が各燃料ノズル20及びヘッドエンド53内の各管62に均一には流れないとすると、入口板12は燃料ノズル20及び管62内に流入する空気流の調整を助ける。例えば、燃料導管58付近の管62は、これらの管62を介して、燃料導管58から更に離れたその他の管62とは異なる空気流を受けることがある。同様に、中央燃料ノズル20、21内の管52は、これらの管62を介して、中央燃料ノズル20、21を取り巻く周辺燃料ノズル20とは異なる空気流を受けることがある。入口板12は、管62に流入する共通の流れに対して一般的な流れ調整を行なうために、燃料ノズル20の管62から偏移距離だけ離れて配設されるが、入口板12を管62の上流側軸方向端部に直接隣接させて又は固着して配置することにより、個別の各管62内に流入する空気流に適用可能な固有の流れ調整を達成することができる。換言すれば、管62の上流側軸方向端部に直接隣接するか又は固着される入口板12は、各管62用の混合誘導機構13を用いて、各管62内における燃料−空気混合を独立的に制御することができる一方で、同時に全ての管62間における分布又は分散の制御を助ける。入口板12の配置及び作用については、以下に更に詳細に説明する。
【0020】
図3は、各燃料ノズルが管62用の混合誘導機構13を有する入口板12を持つ複数の燃料ノズル20(例えば多管燃料ノズル)を含む燃焼器16の実施形態の正面図である。燃焼器16は、複数の燃料ノズル20を支持するキャップ部材90を含む。図に示すように、燃焼器16は、キャップ部材90内において中央に配置されると共に燃焼器16の中心軸92と同軸をなす燃料ノズル20(例えば中央燃料ノズル21)を含む。燃焼器16は、更にまた、中央燃料ノズル21の周りに周方向に配設される複数の燃料ノズル20(例えば外側燃料ノズル94)を含む。図に示すように、6個の外側燃料ノズル20、94が中央燃料ノズル20、21を取り巻く。しかし、ある一定の実施形態では、燃料ノズル20の個数と燃料ノズル20の配置とは様々であってよい。各燃料ノズル20は複数の管62を含み、よって各燃料ノズル20は多管燃料ノズルである。図に示すように、各燃料ノズル20の複数の管62は、複数列96をなして(例えば管62が同心円をなして)配置される。列96は各燃料ノズル20の中心軸98の周りにおいて同心円状の配置を有すると共に、半径方向100に燃料ノズル周縁部102(例えば周辺壁)の方へと延在してよい。ある一定の実施形態において、列96の数、列96毎の管62の個数及び複数の管62の配置は様々であってよい。ある一定の実施形態において、各々の燃料ノズル20は、以下に詳細に説明する示差的な入口板12構成の少なくとも1つを含んでよい。ある一定の実施形態では、中央燃料ノズル20、21のみが示差的な入口板12を含んでよい。これに代わる方法として、ある一定の実施形態では、外側燃料ノズル20、94のみが示差的な入口板12を含んでよい。一部の実施形態においては、中央21及び外側94のいずれの燃料ノズルも示差的な入口板12を含んでよい。更に、一部の実施形態では、各入口板12はその他の入口板12から分離される。これに代わる方法として、1つ以上のノズル20が共通の入口板12を有してよい。以下に説明するように、入口板12は、各管62内における燃料−空気混合と様々な燃料ノズル20の複数の管62間における流れ分布とを制御するように構成される。
【0021】
図4は、各燃料ノズルが管62用の混合誘導機構13を有する入口板12を持つ複数の燃料ノズル20(例えば多管燃料ノズル)を含む燃焼器16のまた他の実施形態の正面図である。燃焼器16は、軸92の周りにおいて周方向104に燃料ノズル20の周りに周方向に延在する周辺支持部103を含む。図に示すように、燃焼器16は、中央燃料ノズル20、21と、中央燃料ノズル20、21の周りに周方向104に配置される複数の外側燃料ノズル20、106とを含む。図に示すように、6個の外側燃料ノズル106が中央燃料ノズル20、21を取り巻く。しかし、ある一定の実施形態では、燃料ノズル20の個数と燃料ノズル20の配置とは様々であってよい。例えば、外側燃料ノズル106の個数は、1〜20個、1〜10個又は何らかのその他の個数であってよい。燃料ノズル20は周辺支持部103の内側に密に配置される。その結果として、周辺支持部103の内側周縁部107は燃焼器16の円形ノズル領域108を画定する。燃料ノズル20のノズル壁61は円形ノズル領域108全体を包含する。各外側燃料ノズル106は非円形周縁部110を含む。図に示すように、周縁部110は、2つの略平行な側部112及び114を有する楔形又は切頭パイ形の形状を含む。側部112及び114は弓形である一方で、側部116及び118は直線状(例えば半径方向100に末広状)である。しかし、ある一定の実施形態では、外側燃料ノズル106の周縁部110はその他の形状、例えば3つの側部を有するパイ形を含んでよい。各外側燃料ノズル106の周縁部110は円形ノズル領域108を含む。中央燃料ノズル20、21は周縁部120(例えば円形周縁部)を含む。ある一定の実施形態において、周縁部120はその他の形状、例えば四角形、六角形、三角形又はその他の多角形を含んでよい。中央燃料ノズル21の周縁部120は、燃焼器16の中心軸92を中心とする円形ノズル領域108の中心部122に配置される。
【0022】
各燃料ノズル20(例えば21及び106)は複数の管62を含む。
図4では、わかりやすくするために、一部の燃料ノズル20の一部分のみに管62を示す。図に示すように、各燃料ノズル20の複数の管62は複数の列96をなして配置される。外側燃料ノズル106の管62の列96は燃焼器16の中心軸92の周りにおいて同心状の配置を有する。中央燃料ノズル20、21の管62の列96も燃焼器16の中心軸92の周りにおいて同心状の配置を有する。ある一定の実施形態では、列96の数、列96毎の管62の個数及び複数の管62の配置は様々であってよい。燃料ノズル20は以下に詳細に説明する示差的な入口板12構成の少なくとも1つを含んでよい。ある一定の実施形態では、中央燃料ノズル21のみが示差的な入口板12を含んでよい。これに代わる方法として、ある一定の実施形態では、外側燃料ノズル106のみが示差的な入口板12を含んでよい。一部の実施形態においては、中央21及び外側106のいずれの燃料ノズルも示差的な入口板12を含んでよい。以下に説明するように、入口板12は、各管62内における燃料−空気混合と様々な燃料ノズル20の複数の管62間における流れ分布とを制御するように構成される。
【0023】
圧縮空気28(例えば空気流132)は、管62の上流側軸方向入口130に流入した後に、上記の燃料ノズル20内において燃料22と混合される。
図5は、管62の上流側軸方向入口130に配設された混合誘導機構13を有する入口板12を示す、
図1〜4の燃料ノズル20に取り付けられるように構成された1つの管62の実施形態の図である。入口板12(混合誘導機構13を有する)は個別の管62の専用であってもよく、又は入口板12が複数の管62の一部又は全部に共通のものであってもよい。いずれの構成でも、入口板12は、管62の流路に入り込むように横方向に延在する少なくとも1つの混合誘導機構13(例えば突起、タブ、歯、流れ撹乱装置等)を含む。図の実施形態において、入口板12は、管62の周辺壁134(例えば環状側壁)の周りに配置される複数の混合誘導機構13を含み、これらの混合誘導機構13は管62の上流側軸方向入口130に直接配設される。しかし、混合誘導機構13を管62の何らかの上流部分129に配設して、空気流132が燃料22用の燃料入口131の上流において混合誘導機構13を通り抜けるようにしてもよい。その結果として、混合誘導機構13は、燃料−空気混合物40として排出される前に、管62内における空気流132(例えば圧縮空気28)と燃料22との混合促進を助ける。
【0024】
説明のために、入口板12とそれに付随する混合誘導機構13とがない場合には、管62内における燃料−空気混合は、多少制限されると共に、管62の幾つかの設計パラメータに基づくものになることがある。一般に、乱流は層流より高い混合作用をもたらす。入口板12を有さない管62に流入する流れの場合、管62の周辺壁134付近では、この領域で層流が優勢であることから拡散による緩やかな混合が起こる一方で、上流側軸方向入口130付近における大部分の混合は、噴出する入来流体の乱流によって引き起こされる管62の中心付近(例えばその長手軸136沿い)における噴流によってもたらされる混合である。入口板12がない場合には、噴流によってもたらされる混合は、直径140に対する長さ138(L/D)の比が約2〜10の間で優勢となるが、主に長手軸136の周りにおける管62の中央部分に限られる。入口板12がなければ、L/D比が約10を超える場合に拡散混合と、管62と流体との間の摩擦による長さ混合とが優勢となる。入口板12がなければ、約15〜20のL/Dの混合長さを用いて、管62の出口142までに十分な混合を達成することができる。例えば、入口板12がなければ、L/D比が20未満の場合は、圧縮空気28と燃料22とは部分的に混合されるだけとなり、中心部(例えば軸136沿い)から流出する燃料−空気混合物40は周辺壁134付近から流出する燃料−空気混合物40よりよく混合されたものとなる。しかし、入口板12がなければ、混合物40が燃料組成、温度及び圧力の変化に対応できる程度に十分に健全なものになるように所望の混合レベルを確保するためにL/D比を更に高くすることが必要になる場合がある。管62のL/D比は、各管62の直径140を減少させること及び/又は長さ138を増加させることによって増加するが、それでも直径140の減少及び長さ138の増加にはある一定の欠点がある。例えば、小さい直径140を有する管62は、摩擦による有意な圧力損失を有することがあり、より大きい直径140を有する管62と同じ流量を通すことはできない。加えて、多数の小直径管62は、嵩高く、高費用であり、且つ維持管理又は修理が複雑になりかねず、より少数のより大直径の管62より余分な加工処理と取扱いとを必要とする。より長尺の管62は高費用であり、且つ/又は、十分な混合のためには特定の用途に望ましい線形空間より大きい線形空間を占める。従って、L/D比を調節することによって達成されるいかなる混合促進も多少限定的且つ高費用となる。それでもやはり、完全に混合された燃料−空気混合物40は燃焼器16内において最適な燃焼を可能にする。
【0025】
本開示の実施形態において、混合誘導機構13を有する入口板12は、上述のパラメータ(例えばL/D比)を調節することによる混合促進の制限に対処する。入口板12の混合誘導機構13は、管62の入口130付近における流れを撹乱して、混合を促進し且つ/又はより短尺138の管62の場合と同様の混合を達成する。曲線144で示すように、入口板12の混合誘導機構13は、燃料入口131の上流において空気流132の中に大規模な渦及び/又は小規模な渦(例えば乱流又は渦流144)を生じさせ、以って燃料22が入口131を通って管62内に流入する時に燃料22の混合を実質的に高める。ある一定の実施形態において、入口板12の混合誘導機構13は、燃料入口131から軸方向偏移距離146に配設されてよく、この軸方向偏移距離146は管62の全長138の約0〜75、10〜50又は15〜25%である。軸方向入口130付近で発生した渦流144は軸方向入口130付近のあらゆる層流の全体又は一部分を撹乱して、よって管62全体にわたって混合を高める。渦流144は管62の全直径140を横切る方向の混合を促進させ、以って燃料−空気混合物40が管62から流出する時点でより均一になることを保証する。理解できるように、渦流144は、入口130から出口142へと管62を通る流れの方向132とは逆の回転流の領域である。渦流133は、上記に詳細に説明した噴流によってもたらされる混合、拡散、長さ混合を補足する混合促進要素である。更に、渦流144は、L/D比とは無関係の混合促進要素である。例えば、混合誘導機構13により発生する渦流144を有する短尺管62は、こうした付加的な混合誘導機構13を有さないより長尺138又はより小直径140の管62より良好な混合の質と健全性とを有する。更にまた、燃料−空気混合物40の健全性を高めることにより、燃料ノズル20を異なる燃料22で動作させること及び異なる温度及び圧力でより優れた特性を持たせて動作させることができる。更に、入口板12を備える燃料ノズル20は、より幅広い範囲の燃料−空気混合物40にわたって、より優れた混合性能を有して動作する。
【0026】
図6〜11は、混合誘導機構13の様々な実施形態を示す、入口板12の図である。図に示すように、各実施形態の入口板12は、少なくとも1つの横方向の流れ妨害部又は流れ撹乱装置160を有する混合誘導機構13を含む。各流れ撹乱装置160は、入口板12の
開口162に配設されて、管62内における混合を向上させる。
開口162は管62の軸方向入口130と略整合し(例えば同軸又は同心をなし)、管62と実質的に同じ直径140を有してよい。しかし、流れ撹乱装置160は、管62の周辺壁134の外側境界を超えて内方に、例えば半径方向165に管62の直径140の約1〜100、5〜75、10〜50又は15〜25%の距離だけ延在する。流れ撹乱装置160は、各管62に流入する空気流132の全体又は一部分を変化させる、
開口162の周縁部166から
開口162に入り込む入口板12の何らかの種類の
突出部164を含んでよい。例えば、流れ撹乱装置160は、ワイヤ、格子又は網目、歯、矩形タブ、三角タブ、表面の肌理又は溝、又はこれらの何らかの組合せを含んでよい。
【0027】
流れ撹乱装置160は、各管62内において渦流144(例えば大規模な渦及び/又は小規模な渦)を生じさせて、よって各管内における混合を促進させ且つ/又は空気流132にある一定の流れ特性を与える。入口板12を通過すると、空気流132は渦流144を伴って実質的に直ちに管62に流入し、この渦流144が、その後、燃料入口131(例えば1〜100個の入口)を通って流入する燃料22との燃料−空気混合を容易にする。一部の実施形態において、入口板12は、入口板12が各管62の上流側軸方向入口130に直接当接するように且つ/又は上流側軸方向入口130を取り巻くように、複数の管62と結合される。例えば、入口板12は、
開口160が管62の入口130内へと直接繋がるように正位置に溶接、ロウ付け又はボルト止めされてよい。1つの実施形態において、入口板12は、各管62の軸方向入口130を受け且つ密封する
陥凹溝167を含む。また他の実施形態では、各管62は入口板12に螺入されてよい。この場合も、各板12は単一の管62用の単一の
開口162と関連ある
突出部164とを含んでもよく、又は各板が複数の管62を収容するために複数の
開口162と関連ある
突出部164とを有してもよい。
【0028】
図6は、
開口162に入り込む楔形又は三角翼形
突出部168として整形された
突出部164を含む混合誘導機構13(例えば流れ撹乱装置160)を有する入口板2を持つ管62の実施形態の部分斜視図である。この楔形168は、軸方向入口130において管62内に流入する空気流132中に渦流144を発生させる。単一の楔形168は局所領域又は管62全体における混合に影響を与える一方で、
開口162を通る空気流132の一部分のみを妨害する。混合誘導機構13の下流において、燃料入口131は管62の周縁部134を貫通して延在すると共に、燃料22を空気流132中に噴射する。また他の実施形態では、流れ撹乱装置160は、
図7に示すように
開口162に入り込むように複数の楔形168を含んでよい。
【0029】
図7は、
開口162及び管62の軸136の周りにおいて離間する楔形又は三角翼形
突出部168として整形された複数の
突出部164を含む混合誘導機構13(例えば流れ撹乱装置160)を有する入口板12の実施形態の正面図である。複数の楔形168は、単一の楔形168を上回る渦流144を誘導することにより、管62内における混合を促進させる。この実施形態では、各楔形168は、軸136の方へと半径方向165内方に管62の直径140の約5〜40又は10〜25%の半径方向距離だけ延在してよい。
【0030】
図8は、
開口162及び管62の軸136へと収束する複数(例えば4つ)の
突出部164を含む混合誘導機構13(例えば流れ撹乱装置160)を有する入口板12の実施形態の正面図である。換言すれば、
突出部164は互いに横方向に延在する一方で、同時に互いに交差して格子又は網目170を形成する。例えば、網目170は、互いに垂直に又はその他の交差関係で交差して「X」形の網目170又は「+」形の網目を形成する第1の横
断部材172と第2の横
断部材174とを含んでよい。このような態様で、網目170は
開口162の4つの扇形又は四分円を形成し、これらの四分円は部材172及び174により分割される。
【0031】
図9は、管62の
開口162を横切る方向に互いに略平行をなす複数の
突出部164(例えば2つの
突出部178及び180)を含む混合誘導機構13(例えば流れ撹乱装置160)を有する入口板12の実施形態の正面図である。換言すれば、
突出部164は格子176を形成する。例えば、格子176は、
開口162を複数(例えば3つ)の平行な区画に分ける第1の平行部材178と第2の平行部材180とを含んでよい。その他の実施形態では、いかなる個数(例えば1、2、3、4、5、6、7,8、9、10個又は10個以上)の平行部材が
開口162を横切る方向に平行配置で配設されてもよい。その他の実施例において、
突出部164は
開口162を複数の非平行区画に分割してもよい。
【0032】
図10及び11は、管62内へと半径方向165と軸方向80との両方に延在する
突出部164を含む混合誘導機構13(例えば流れ撹乱装置160)を有する入口板12のまた他の実施形態の上面図及び側面図である。
図6の実施形態と同様に、
図10及び11の
突出部164は、屈曲部又は傾斜部184も含む単一の楔形
突出部182である。
図11の傾斜部184は板12の平面186から離れるように下流側軸方向に傾斜又は屈曲するが、その他の実施形態の傾斜部184は、板12の平面186から離れるように上流側軸方向186に傾斜又は屈曲してよい。この傾斜部は、
図1〜9を参照して上記に説明したいずれの実施形態にも適用可能である。例えば、
図5〜9の各々の混合誘導機構13(例えば流れ撹乱装置160)は、入口130における混合を促進するために上方傾斜部及び/又は下方傾斜部を含んでよい。
【0033】
ある一定の実施形態において、混合誘導機構13(例えば流れ撹乱装置160)は、入口板12と一体的に(例えば一体形に)形成されてよい一方で、その他の実施形態の混合誘導機構13(例えば流れ撹乱装置160)は入口板12とは別途であるが入口板12に取り付けられるものであってよい。一体構成の板12において、混合誘導機構13(例えば流れ撹乱装置160)は、打抜き、鋳造、機械加工又はその他の方法で板12から少なくとも一部の材料を除去して
開口162を形成する一方で、
開口162内に少なくとも一部の材料を残して
突出部164を形成することによって形成されてよい。一部の実施形態においては、直接金属レーザ焼結(DMLS)又はその他の付加的な加工技術を用いて流れ撹乱装置160を有する入口板12を形成することができる。更に、
突出部164の傾斜部184は、板12上に同時に又は別途に形成されてよい。例えば、1回の打抜き作業により、
開口162と
突出部164と
突出部164の傾斜部184とを同時に創出することができる。しかし、いかなる適切な技術を用いて
突出部164を創出してもよい。その他の実施形態では、
突出部は、溶接、ロウ付け、ボルト止め又はその他の締結装置により板12に取り付けられてよい。加えて、入口板12は、フロースリーブ50、燃料導管58又は燃料ノズル20に結合されてよい。
【0034】
一部の実施形態において、入口板12の各
開口162は管62に対応する。1つの実施例では、各
開口162は管束82の対応する管62と同心をなす。この管62と同心的な
開口162を有する入口板12を持つ実施形態において、流れ撹乱装置160は各管62に流入する空気流132を変化させる。これに代わる方法として、入口板12の各
開口12は管束82のそれぞれの各管62と同心をなさなくてもよく、寧ろ各
開口162の周縁部166が部分的に管62の軸方向入口130に被さるように延在してよい。例えば、各管軸136を
開口軸から偏移させて、周縁部166を軸方向入口130に被さるように延在させることができる。入口板12をこのように構成すると、各
開口162の流れ撹乱装置160と軸方向入口130に被さるように延在する周縁部166とのいずれもが管62に流入する空気流132を変化させる。
【0035】
示差的な構成の入口板12を用いて、異なる燃料ノズル20用に異なる質の燃料−空気混合物40を創出することができる。
図12に、入口板の下流において複数の管62間で示差的な構成の入口機構(例えば流れ撹乱装置160)を有する複数の
開口162を持つ入口板12の実施形態の部分図を示す。1つの実施形態では、第1列190の各
開口162は
開口162に入り込む単一の
突出部164(例えば
図6)を有してよく、第2列192の各
開口162は
開口162を横切る方向に網目170(例えば
図8)を有してよく、第3列194の各
開口162は
開口162の周りにおいて離間する複数の楔形
突出部182(例えば
図7)を有してよい。入口板12を横切る方向の示差的な構成の流れ撹乱装置160は、列(例えば190、192及び194)をなす
開口162に制限されるわけではない。例えば、入口板12の第1区画198の
開口162は第1の流れ撹乱装置160を有してよく、第2区画200の
開口162は第2の流れ撹乱装置160を有してよく、第3区画202の
開口162は第3の流れ撹乱装置160を有してよい。更にまた、同じ流れ撹乱装置160の配向が入口板12を横切る方向に異なってもよい。
【0036】
一部の流れ撹乱装置160は、その他のものより管62内における混合を促進することがある。一部の実施形態おいて、流れ撹乱装置160は、各ノズル20用に特定の燃料−空気混合物40を生成するために選択的に配置されてよい。一部の流れ撹乱装置160は、噴射される燃料−空気混合物40をある一定の条件のためにより健全なものにする特定の空気流特性(例えば渦流の方向、急速混合)を燃料−空気混合物40に与えることができる。一部の実施形態では、特定の流れ撹乱装置160を有する入口板12が、このような条件を呈する燃焼室68の領域内に燃料−空気混合物40を噴射するある一定の管62の入口に配設されてよい。例えば、中央燃料ノズル21に隣接する燃焼室68の領域で再循環が見られ、傾斜部184を有する楔形
突出部182は再循環を減少させる渦流を燃料−空気混合物40中に生じさせる場合には、
入口板12の中央燃料21用
の開口162は傾斜部184を有する楔形
突出部182を含んでよい。
【0037】
その他の実施形態において、各
開口162は、燃料ノズル20及び/又は燃焼器16内における管62の位置に基づいて、各管62用に
異なる種類の流れ撹乱装置160を含んでよい。このため、各燃料ノズル20は、全体としての流れ分布と複数の管62間における燃料−空気混合とを制御するために、いかなる個数(1〜100個又は100個以上)の
異なる種類の流れ撹乱装置164を含んでもよい。上述したように、管62内での混合は、燃料ノズル20内における管62の位置に影響される。例えば、噴流によってもたらされる混合は、ノズル20の周縁部102付近の管と比べると、各ノズル20の中心軸98付近の管62の入口において優勢である。これは燃料−空気混合物40の不完全な混合に繋がりかねない。同様に、噴流によってもたらされる混合は、燃焼器16の周縁部付近の管62と比べると、燃焼器16の中心軸92付近の管62において優勢である。この特性を呈する各管62の
開口162に特定の流れ撹乱装置160を含ませて、管62内において乱流を創出することにより、この特性を打ち消すと共にそれぞれの管62における混合を向上させることができる。
【0038】
図1〜10を参照して混合誘導機構13(例えば流れ撹乱装置160)の特定の実施形態を例証し且つ説明したが、流れ撹乱装置160は、回転対称(例えば
図7)及び非対称の
突出部(例えば
図6)、規則的及び不規則な形状、その他の混合機構と交差する混合機構(例えば
図9)及び
開口162の全部又は一部分を横切る混合機構(例えば
図9及び10)を含めて、
開口162に入り込むいかなる種類、形状又はパターンの
突出部164を含んでもよい。
【0039】
本明細書は、最良の形態を含めて、例を用いて本発明を開示するとともに、さらにまた、何らかの装置又はシステムの製作及び使用と本明細書に組み込まれた何らかの方法の実行とを含めて、あらゆる当業者が本発明を実施することを可能にするものである。本発明の特許可能範囲は、特許請求の範囲により定められるとともに、当業者が考えつくその他の例を含みうる。このようなその他の例は、特許請求の範囲の文言と相違しない構造要素を有する場合又は特許請求の範囲の文言と実質的に相違しない等価の構造要素を含む場合に、特許請求の範囲内に含まれることを意図している。