特許第6231776号(P6231776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6231776熱転写インクリボンによる被印字媒体の真贋判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231776
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】熱転写インクリボンによる被印字媒体の真贋判定方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/40 20060101AFI20171106BHJP
   B41J 31/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   B41M5/40 300
   B41J31/00 C
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-110641(P2013-110641)
(22)【出願日】2013年5月27日
(65)【公開番号】特開2014-226899(P2014-226899A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年3月4日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】京井 聡明
【審査官】 野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−113889(JP,A)
【文献】 特開2002−326466(JP,A)
【文献】 特開平01−263083(JP,A)
【文献】 特開平07−205460(JP,A)
【文献】 特開2011−251490(JP,A)
【文献】 特開平05−139095(JP,A)
【文献】 特開2001−030666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/382 − 5/52
B41J 2/325 − 2/34
B42D 15/00 − 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルム層と、
前記ベースフィルム層の表面側に積層したインク層と、を有し、
前記ベースフィルム層の裏面側からの加熱により前記イン層を被印字媒体に熱転写してバーコードを含む印字内容層を印字する熱転写インクリボンによる被印字媒体の真贋判定方法であって、
前記ベースフィルム層と前記インク層との間に真贋判定用デザインとして文字や図形による真贋判定用デザイン印刷層を形成しておくとともに、
前記インク層を前記被印字媒体へ熱転写する際には、前記真贋判定用デザイン印刷層を前記ベースフィルム層側に残存可能としておき、
前記インク層前記被印字媒体へ熱転写する際に、前記被印字媒体へ熱転写したバーコードを含む印字内容層に、前記真贋判定用デザインに対して反転した真贋判定用凹デザインを重ね合わせて形成し、
前記印字内容層の前記真贋判定用凹デザインの光沢と、前記印字内容層の前記真贋判定用凹デザイン以外の表面領域における光沢との相違から、前記真贋判定用凹デザインを前記印字内容層上で視認可能とすることにより、前記被印字媒体の真贋を判定することを特徴とする熱転写インクリボンによる被印字媒体の真贋判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱転写インクリボン、被印字媒体および熱転写インクリボンによる被印字媒体の真贋判定方法にかかるもので、とくに熱転写プリンターなどにおいて印字用に用いられる熱転写インクリボン、被印字媒体および熱転写インクリボンによる被印字媒体の真贋判定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、製品や部品その他各種の被貼付け体の品質保証、機密保持や安全管理のために用いられているセキュリティラベル(被印字媒体)は、被貼付け体に貼り付けている状態からこれをはがすと、はがした跡がはっきり残ったり、隠蔽されていた文字記号などが現れるなどの構成が採用されている。
しかしながら、このような構成は、その積層構造が複雑となり、コスト高であるという問題がある。
【0003】
また、セキュリティラベルの偽造防止や真贋判定のための他の手法として、紫外線、赤外線あるいは電子線などに反応するインキを用いて所定の管理情報を印刷することが行われている。
しかしながら、上記セキュリティラベルでは、たとえば熱転写インクリボンに真贋判定用の化合物を混練しておき、熱転写インクリボンにより印字された部分に紫外線を照射して発光の有無を偽造か否か(真贋)の判定の基準にするが、発光反応を確認するために特別な紫外線発生照射装置その他の器具を必要とするため、そのコストも考慮に入れなければならないという問題がある。なお、発光用化合物としての蛍光インクは、耐光性がないという問題がある。
【0004】
また、ホログラフィなどによるセキュリティラベルもあるが、ホログラフィは、図柄を構成するために高度な製版技術を必要とするため、コストが高いとともに、ホログラム用の特殊な印字面をバーコードその他の印字内容とは別に設けなければならない、などの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−105751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、ホログラムや紫外線照射など特別な手法を必要としない熱転写インクリボン、被印字媒体および熱転写インクリボンによる被印字媒体の真贋判定方法を提供することを課題とする。
【0007】
また本発明は、バーコードその他の印字内容に重ね合わせることも可能で、印字動作自体に支障を生ずることなく被印字媒体(セキュリティラベル)の偽造防止ないし真贋判定が可能な熱転写インクリボン、被印字媒体および熱転写インクリボンによる被印字媒体の真贋判定方法を提供することを課題とする。
【0008】
また本発明は、使い勝手がよく、かつ低コストで製造可能な熱転写インクリボン、被印字媒体および熱転写インクリボンによる被印字媒体の真贋判定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、インク層に真贋判定用デザインによる真贋判定用デザイン印刷を施すとともに、インク層の被印字媒体への熱転写により真贋判定用デザインをベースフィルム層側に残存させることに着目したもので、第一の発明は、ベースフィルム層と、このベースフィルム層の表面側に積層したインク層と、を有し、このベースフィルム層の裏面側からの加熱により上記インキ層を被印字媒体に熱転写させるようにする熱転写インクリボンであって、上記ベースフィルム層と上記インク層との間に真贋判定用デザインによる真贋判定用デザイン印刷層を形成するとともに、上記インク層の上記被印字媒体への熱転写により、上記真贋判定用デザイン印刷層を上記ベースフィルム層側に残存可能としてあることを特徴とする熱転写インクリボンである。
【0010】
第二の発明は、ベースフィルム層と、このベースフィルム層の表面側に積層したインク層と、を有する熱転写インクリボンにおけるこのベースフィルム層の裏面側からの加熱により上記インキ層を熱転写される被印字媒体であって、上記熱転写インクリボンには、上記ベースフィルム層と上記インク層との間に真贋判定用デザインによる真贋判定用デザイン印刷層を形成し、上記インク層の上記被印字媒体への熱転写により、上記真贋判定用デザイン印刷層を上記ベースフィルム層側に残存させることにより、上記真贋判定用デザインに対して反転した真贋判定用凹デザインを重ね合わせた印字内容層を形成してあることを特徴とする被印字媒体である。
【0011】
第三の発明は、ベースフィルム層と、このベースフィルム層の表面側に積層したインク層と、を有し、このベースフィルム層の裏面側からの加熱により上記インキ層を被印字媒体に熱転写させるようにする熱転写インクリボンによる被印字媒体の真贋判定方法であって、上記インク層に真贋判定用デザインによる真贋判定用デザイン印刷層を形成しておくとともに、上記インク層の上記被印字媒体への熱転写により、上記被印字媒体への印字内容層に上記真贋判定用デザインに対して反転して形成された真贋判定用凹デザインによって、上記被印字媒体の真贋を判定することを特徴とする熱転写インクリボンによる被印字媒体の真贋判定方法である。
【0012】
上記インク層の上記被印字媒体への熱転写により上記被印字媒体に形成された印字内容層に、上記真贋判定用デザインに対して反転した真贋判定用凹デザインを形成可能であることができる。
【0013】
上記インク層への上記真贋判定用デザイン印刷層の厚さは、これを上記インク層の厚さより薄くしていることができる。
【0014】
上記インク層への上記真贋判定用デザインによる上記真贋判定用デザイン印刷層は、これをグラビア印刷により形成することができる。
【0015】
上記真贋判定用デザイン印刷層は、これを上記ベースフィルム層とは識別可能としていることができる。
【0016】
上記印字内容層における上記真贋判定用凹デザインの光沢を、上記印字内容層における上記真贋判定用凹デザイン以外の他の表面領域における光沢とは異ならせることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による熱転写インクリボン、被印字媒体および熱転写インクリボンによる被印字媒体の真贋判定方法においては、インク層に施した真贋判定用デザイン(真贋判定用デザイン印刷層)をベースフィルム層側に残存するようにしたので、熱転写印字によるインク層の被印字媒体への転写にともなって、被印字媒体の表面における真贋判定用凹デザインをその光沢感の相違から視認可能とすることができ、この真贋判定用凹デザインの有無によって、熱転写インクリボンによる被印字媒体(たとえば、セキュリティラベル)への印字内容の真贋を判定可能とするとともに、セキュリティラベルの偽造防止に寄与することができる。
【0018】
とくに第一の発明の熱転写インクリボンによれば、インク層に真贋判定用デザインによる真贋判定用デザイン印刷層を形成するとともに、インク層の被印字媒体への熱転写により、真贋判定用デザインをベースフィルム層側に残存可能としたので、この真贋判定用デザインが反転した状態の真贋判定用凹デザインを確認することにより、真贋判定を容易に行うことができる。
【0019】
とくに第二の発明の被印字媒体によれば、ベースフィルム層とインク層との間に真贋判定用デザインによる真贋判定用デザイン印刷層を形成してある熱転写インクリボンにおけるインク層の被印字媒体への熱転写により、真贋判定用デザインに対して反転した真贋判定用凹デザインを重ね合わせた印字内容層を被印字媒体に形成するので、真贋判定用凹デザインにより被印字媒体自体の真贋を判定可能に表示しておくことができる。
【0020】
とくに第三の発明の熱転写インクリボンによる被印字媒体の真贋判定方法によれば、インク層に真贋判定用デザインによる真贋判定用デザイン印刷層を形成しておくとともに、インク層の被印字媒体への熱転写により、被印字媒体への印字内容層に真贋判定用デザインに対して反転して形成された真贋判定用凹デザインによって、印字された被印字媒体の真贋を判定するようにしたので、とくに高価なホログラムや紫外線ライトを使用することなく、簡単かつ低コストで被印字媒体の真贋判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例による熱転写インクリボン1の拡大断面図である。
図2】同、熱転写インクリボン1からラベル6(被印字媒体)に行われた印字の一例を示す拡大断面図である。
図3】同、熱転写インクリボン1における真贋判定用デザイン印刷層5(たとえば、正像「ABC」に対して反転している真贋判定用デザイン5A)、およびラベル6に印字したのちの印字内容層9(たとえば、バーコード)を重ね合わせて示し、インク層4側から見た説明図である。
図4】同、印字内容層9の転写とともにラベル6上に形成された真贋判定用凹デザイン5B、およびラベル6に印字したのちの印字内容層9(たとえば、バーコード)を重ね合わせて示し、ラベル6を上から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、インク層に真贋判定用デザインによる真贋判定用デザイン印刷層を形成するとともに、インク層の被印字媒体への熱転写により、真贋判定用デザインをベースフィルム層側に残存するようにしたので、セキュリティラベルなどの被印字媒体の偽造防止および真贋判定を、簡単な構成で、かつ低コストで実行可能な熱転写インクリボン、被印字媒体および熱転写インクリボンによる被印字媒体の真贋判定方法を実現した。
【実施例】
【0023】
つぎに本発明の実施例による熱転写インクリボン1、被印字媒体(たとえばラベル6などのセキュリティラベル)および熱転写インクリボン1による被印字媒体の真贋判定方法を図1ないし図4にもとづき説明する。
図1は、熱転写インクリボン1の拡大断面図であって、熱転写インクリボン1は、ベースフィルム層2と、このベースフィルム層2の裏面側に積層したバックコート層3と、ベースフィルム層2の表面側に積層したインク層4と、真贋判定用デザイン印刷層5と、を有する。
【0024】
熱転写インクリボン1は、これを被印字媒体(ラベル6)とともにサーマルヘッド7およびプラテンローラー8の間に所定印字圧で挟持し、サーマルヘッド7の発熱素子7Aによるバックコート層3側からの印字データにもとづく加熱とともに、プラテンローラー8の回転駆動による熱転写インクリボン1およびラベル6の移送により、上記印字データに応じてインキ層4をラベル6に熱転写させるようにする。
【0025】
真贋判定用デザイン印刷層5は、視認可能ないし識別可能な任意の真贋判定用デザイン5A(たとえば、「ABC」の反転像、図3および図4において後述)にもとづき、たとえば、グラビア印刷(凹版印刷)により任意のタイプのインクによってベースフィルム層2とインク層4との間にこれを形成してあるとともに、インク層4のラベル6への熱転写により、その真贋判定用デザイン5Aをベースフィルム層2側に残存可能としてある。
上記真贋判定用デザイン5Aとしては、規則性の有無にとらわれず、文字や図形その他任意のデザインを採用可能である。
なお、真贋判定用デザイン印刷層5の厚さは、これをインク層4の厚さより薄くしている。
また、真贋判定用デザイン印刷層5は、これをベースフィルム層2とは識別可能としていることが望ましい。
【0026】
図2は、熱転写インクリボン1からラベル6(被印字媒体)に行われた印字の一例を示す拡大断面図であって、インク層4のラベル6への熱転写により、ラベル6への印字内容層9に、真贋判定用デザイン5Aに対して反転した真贋判定用凹デザイン5Bを形成可能である。
【0027】
真贋判定用デザイン印刷層5の真贋判定用デザイン5Aおよび真贋判定用凹デザイン5Bについて、いずれか一方を正像とし、いずれか他方を反転像とすればよく、一般的には、真贋判定用凹デザイン5Bを正像とする方が、偽造された贋物の被印字媒体(ラベル)の発見がより容易と思われる。
【0028】
たとえば、図3は、熱転写インクリボン1における真贋判定用デザイン印刷層5(たとえば、正像「ABC」に対して反転している真贋判定用デザイン5A)、およびラベル6に印字したのちの印字内容層9(たとえば、バーコード)を重ね合わせて示し、インク層4側から見た説明図、図4は、印字内容層9の転写とともにラベル6上に形成された真贋判定用凹デザイン5B、およびラベル6に印字したのちの印字内容層9(たとえば、バーコード)を重ね合わせて示し、ラベル6を上から見た説明図である。
【0029】
図3および図4に示すように、インク層4から印字内容層9のラベル6への熱転写により、印字動作および印字内容層9自体の形成に支障を生ずることなく、ラベル6への印字内容層9に真贋判定用デザイン5Aに対して反転して形成された真贋判定用凹デザイン5B(図4)により、真贋判定用凹デザイン5Bが形成されていない被印字媒体(贋物)と識別可能で、ラベル6の真贋を判定することができる。
もちろん、バーコードなどの印字内容層9自体は、光沢感に相違があるが、バーコードスキャナー(図示せず)によりこれを光学的に読み取り可能である。
【0030】
すなわち、印字内容層9における真贋判定用凹デザイン5Bの光沢は、印字内容層9における真贋判定用凹デザイン5B以外の他の表面領域9Aが真贋判定用凹デザイン5Bとはそれぞれの深さないしは突出程度が異なるため、他の表面領域9Aにおける光沢とは異なっているため、ラベル6の見る角度を変えることによってラベル6上の真贋判定用凹デザイン5B(図4)を視認することができる。
ラベル6上に真贋判定用凹デザイン5Bを視認可能であれば、このラベル6は真正と判定し、ラベル6上に真贋判定用凹デザイン5Bを確認することができなければ、このラベルは、贋物であると判定することができる。
【0031】
なお、一般的にベースフィルム層2およびバックコート層3はそれぞれの厚さが、きわめて薄いため、既述のように、真贋判定用デザイン印刷層5をベースフィルム層2とは識別可能としてあれば、ベースフィルム層2およびバックコート層3を透過して真贋判定用デザイン印刷層5の存在を確認することもでき、ラベル6への印字を行った熱転写インクリボン1を入手確認可能であれば、この熱転写インクリボン1における真贋判定用デザイン印刷層5からもラベル6の真贋を判定することができる。
【0032】
かくして、ホログラムや紫外線ライトなど高価な手段を用いることなく、一般的なグラビア印刷による簡単な印刷手法によりラベル6その他の被印字媒体の偽造防止および真贋判定を行うことができる。
【符号の説明】
【0033】
1 熱転写インクリボン(実施例、図1
2 ベースフィルム層
3 バックコート層
4 インク層
5 真贋判定用デザイン印刷層
5A 真贋判定用デザイン印刷層5の真贋判定用デザイン(図3
5B 真贋判定用デザイン5Aに対して反転した真贋判定用凹デザイン(図4
6 ラベル(被印字媒体、実施例、図2図4
7 サーマルヘッド
7A サーマルヘッド7の発熱素子
8 プラテンローラー
9 印字内容層(図2図3図4
9A 印字内容層9における真贋判定用凹デザイン5B以外の他の表面領域
図1
図2
図3
図4