(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
例えば、従来から市販されている飲料用の酸素水などの場合には、容器を開栓後直ちに加圧溶解していた酸素が抜けてしまうのに対し、本発明の魚介類用酸素水は、水の中に高次元で酸素が練り込まれて混合されているため、解放された大気下において、溶存酸素濃度が25ppm以上の状態が35日以上持続するという全く異質な特徴を有している。ここで「解放」とは、例えば、魚介類用酸素水が大気に曝されている状態をいう。ただし、例えば、魚介類用酸素水が密閉容器などに封止された状態であれば、より長期に亘って高い溶存酸素量の状態が維持されることは言うまでもない。
【0014】
また、溶存酸素濃度は、例えば、隔膜電極法、ウインクラー法などの公知の方法で測定することができ、市販の溶存酸素計などを適宜使用することができる。さらに、本発明の魚介類用酸素水中の溶存酸素濃度は温度(水温)にも影響されるが、基準となる温度としては、例えば、0℃〜40℃程度の範囲が考慮され、このような温度では、解放された大気下において、溶存酸素濃度が25ppm以上の状態が35日以上持続し、好適な条件下では、溶存酸素濃度が25ppm以上の状態が少なくとも180日間持続する。
【0015】
さらに、本発明の魚介類用酸素水は、温度などの条件にもよるが、およそ20℃においては、比重が1.004〜1.007である。このことは、魚介類用酸素水の酸素と水が高次元の状態で練り合わされており、水素結合が破壊され、包接化が起こっていると推測される。
【0016】
したがって、魚介類用酸素水は、高次元に練り込まれた酸素が大気圧可下で溶存酸素濃度25ppm以上の状態が35日以上持続し、魚貝類へ確実に酸素を供給することができるため、魚介類の飼育または魚貝類の輸送に有効に利用することができる。
【0017】
本発明の対象となる魚貝類には、例えば、カキ、ホタテ、アサリなどの貝類、タイ、ヒラメ、マグロ、ハマチ、アジなどの海水魚、コイ、ニジマス、アユなどの淡水魚の他、ウナギ、エビ、カニ、イカ、タコなどが広く含まれる。さらに、これらの魚貝類は食用のものに限らず、例えば、金魚や熱帯魚などの観賞用の魚類なども含まれる。
【0018】
本発明の魚貝類の飼育方法では、本発明の魚貝類用酸素水が供給された水槽中で魚貝類を飼育する。これによって、酸素を魚貝類の体内へ確実に供給することができるため、魚貝類の状態が良好に維持され、生育を促進し、品質の向上を図ることができ、魚貝類の生存期間も延長することができる。本発明の魚貝類の飼育方法では、飼育のための条件(温度、水量、エサの量など)は、魚貝類の種類や数などに応じて適宜設定することができる。
【0019】
同様に、本発明の魚貝類の輸送方法では、例えば、本発明の魚貝類用酸素水を水槽や容器などに入れ、水揚げされた魚貝類などを酸素水中に保持した状態で輸送することができる。魚貝類用酸素水によって魚貝類の状態が良好に維持されて、魚貝類の生存期間も延長されるため、魚貝類の死滅や病変などが抑制され、鮮度を良好に維持したまま輸送することができる。本発明の魚貝類の輸送方法では、輸送の際の条件(温度、水量など)は、魚貝類の種類や数などに応じて適宜設定することができる。
【0020】
以下、本発明の魚貝類用酸素水の製造システムについて説明する。
【0021】
本発明の魚貝類用酸素水の製造システムは、酸素と水の混合部を備えた混合装置と加圧手段とを含む。
【0022】
本発明の魚貝類用酸素水の製造システムにおいて使用される水には、海水および淡水(真水)のいずれもが含まれ、飼育する魚貝類に種類に応じて、海水または淡水のいずれかを適宜選択することができる。
【0023】
混合装置の混合部は、供給孔と、排出孔と、供給孔と排出孔を連通する流路および流路から突出し、供給された水との接触に伴って超振動する複数のピンを有している。
【0024】
混合部の形状は特に限定されず、円盤状、円柱状、方形状、球状などの形状に適宜設計することができる。また、混合部を複数有するものとすることもできる。混合部を構成する材料としては、硬質系の金属・合金(例えば、鉄、鋼)、ダイヤモンドやセラミックスのようなシリコン系材料(ガラスやカーボン等も包含する)、樹脂材料等が選択可能である。ここで、樹脂材料(例えば、フッ素樹脂)は、有機性の柔軟な材料同士の混合や乳化のために適用するのであれば、十分な強度を有している。
【0025】
供給孔および排出孔の形状、配設位置、配設数も特に限定されず、混合部の全体形状や、加圧手段による圧力条件などを考慮して適宜設計することができる。供給孔からは、酸素を含む水が混合部内へ供給され、排出孔からは、混合された酸素水が排出される。
【0026】
流路は、例えば、直線状、曲線状などであってよく、その形状、長さ、幅などは特に限定されず、適宜設計することができる。また、例えば、混合部の全体形状が凹部を有する円盤状であり、混合部の中央と外周縁に供給孔と排出孔とがそれぞれ形成されている場合には、流路は、混合部の中央から外周縁へと広がる円形空間として形成することができる。
【0027】
ピンは、供給孔および排出孔の配設位置や流路の形状、水量、酸素の含有量などを考慮して、配設数、配設位置、隣接するピンとの間隔などを適宜設計することができる。また、ピンの形状は、円柱形、角柱形などの形状に適宜設計することができるが、流体(酸素を含む水)とピンの接触効率や流体(酸素を含む水)の流れなどの観点からは、円柱形とすることが好ましい。さらに、ピンの高さ、幅(径)なども流路の形状、水量、酸素の含有量などを考慮して適宜設計することができ、異なる幅(径)を有するピンを組み合わせて使用することもできる。
【0028】
さらに、ピンは、加圧供給された酸素を含む水との接触に伴って超振動することによって、酸素を含む水にキャビテーションを生じさせることができる。これによって、酸素と水とが均質に分散化されて、溶解する。ここで、「超振動」とは、超音波域(例えば、振動数が20kHz以上)での振動をいい、「キャビテーション」とは、水の流れの中で、短時間に酸素による微細な気泡の発生と消滅が起こる物理現象をいう。
【0029】
加圧手段は、酸素を含む水を混合部の供給孔から所定の圧力で供給可能なものであればよく、例えば、公知のポンプなどを例示することができる。例えば、加圧手段は、好ましくは0.1Mpa以上、実際的には0.1Mpa〜10Mpa程度の圧力で酸素を含む水を圧送できるものが好ましい。
【0030】
加圧手段によって所定の圧力で圧送された酸素と水が、混合装置の混合部の供給孔から圧入されてピンと接触することでピンの超振動が生じ、酸素を含む水にキャビテーションを生じさせることができる。このため、酸素と水とが均質に分散化されて溶解した魚介類用酸素水が生成される。
【0031】
本発明の魚貝類の飼育装置では、上記の魚貝類用酸素水の製造システムと、この製造システムによって製造された酸素水が供給される水槽とを含んでいる。
【0032】
水槽は、容量、形状、材料などは特に限定されず、飼育する魚貝類の種類や数などに応じて適宜選択することができる。例えば、魚貝類を飼育する場合の生簀や、観賞用のガラス製水槽などを例示することができる。また、例えば、混合装置と水槽とは、直接または間接的に接続することもできるし、離間した非接続状態であってもよい。
【0033】
本発明の魚介類用酸素水が供給された水槽中において所望の魚貝類を飼育することで、酸素を魚貝類の体内へ確実に供給することができるため、魚貝類の生育が促進され、品質が向上する。また、魚貝類の生存期間も長くなる。
【0034】
さらに、本発明の魚介類用酸素水の製造システムにおける混合装置の一実施形態について詳しく説明する。
【0035】
図1は、本発明の魚介類用酸素水の製造システムにおける混合装置の一実施形態を例示した斜視図である。
図2は、
図1に例示した混合装置の混合部を例示した斜視図である。
図3は、
図1、
図2に例示した混合装置の主体(混合部)を例示した断面図である。
【0036】
混合装置10は、多数の突起Pを有する混合部Gと、混合部Gに被覆する蓋部20を有している。
【0037】
混合装置10は、主体Mと、蓋部20とを有している。
【0038】
主体Mは略円盤状であり、略板状の中央部3と、この中央部3の表面側および裏面側に混合部Gとを有している。
【0039】
混合部Gは、主体Mの内側に形成された略円形の領域であり、半径方向外周縁部1よりも半径方向内方の領域において全体的に凹んでおり、凹部2が形成されている。その凹部2は、酸素を含む水の流路として機能する。また、この凹部2の内側に多数のピン(突起)Pが突出している。
【0040】
また、
図1では示されていないが、
図3に示したように、主体Mの裏面側にも同様の混合部Gが形成されている。すなわち、裏面側に形成された凹部2の内側に多数のピンPを有しており、この混合部Gの裏面側も
図1では図示しない蓋部20で被覆される。
【0041】
主体Mの表面側のピンPが形成されている領域と、裏面側の多数のピン(図示せず)が形成されている領域の間(円盤の厚み方向の中央)には、略板状の中央部3が設けられている。すなわち、中央部3からは、混合部の表面側および裏面側において多数のピンが突出している。
【0042】
図2に例示したように、中央部3の半径方向外縁部には、複数(第1実施形態では4個)の貫通孔4が形成されている。この貫通孔4は、表面側(
図3では上側)のピンPが形成されている領域と、裏面側(
図3では下側)のピンP(
図3では下側)が形成されている部分を連通している。
【0043】
蓋部20は、主体Mと略等しい外径を有する略円盤状であり、主体Mの表面側の混合部G、裏面側の混合部Gを覆うように嵌着可能に形成されている。
【0044】
また、蓋部20の中心には開口21が形成されており、蓋部20によって混合部Gの凹部2を被覆した際には、当該開口21と、凹部の中心O(
図2)とは、対応した位置となる。
【0045】
そして、蓋部20の開口21と、混合部Gの中央部4の半径方向外縁部に形成された貫通孔4は、酸素を含む水の排出孔または供給孔として機能する。具体的には、例えば、蓋部20の開口21からは、酸素を含む水を混合部Gへ供給することができる。したがって、この場合、蓋部20の開口21は、混合部Gへと酸素を含む水が供給されるための供給孔として機能する。そして、混合部Gへ供給された酸素を含む水は、蓋部20の開口21から混合部Gの貫通孔4を連通する流路(凹部2)上でピンPとの接触を繰り返しながら流路(凹部2)を通過し、半径方向外縁部に形成されている貫通孔4から裏面側へと排出されるとともに、裏面側の混合部Gへと供給される。したがって、この場合、貫通孔4は、酸素を含む水の排出孔および供給孔の両方として機能する。そして、裏面側の混合部Gへと供給された酸素を含む水は、再び流路(凹部2)上でピンPとの接触を繰り返しながら流路(凹部2)を通過し、蓋部20の中央に形成された開口21から排出される。この場合、裏面側に配設された蓋部20の開口21は、酸素を含む水の排出孔として機能する。
【0046】
なお、混合部Gを成形する方法としては、例えば、円板状の金属を切削して形成する方法(いわゆる「削り出し」)、円板状の金属を切削して凹部2を形成し、凹部2に多数(ピンと同数)の雌ネジを設け、この雌ネジに雄ネジを切ったピンを螺合させる方法、硬質セラミックの材料(粘土状の柔軟な材料)を型取りし、焼成して、硬質セラミック化する方法、 樹脂(例えば、フッ素樹脂)を切削する(削り出しを行なう)方法、樹脂(例えば、フッ素樹脂)を射出成形する方法などを例示することができる。
【0047】
図2に例示したように、多数のピンP1〜P8が形成されている凹部2の中心点が符号Oで示されている。
【0048】
ここで、ピンを表す記号Pは、多数のピンのうち、一部のピンを例示的に示しており、その他のピンの符号の図示は省略している。
【0049】
ここで、凹部2は平面形状が円形に形成されているが、正多角形などに形成しても良い。
【0050】
凹部2の中心から外周縁部1の内壁面まで距離、すなわち、混合部Gの凹部2の平面形状である円の半径は、
図2では符号Rで示されている。混合部の半径Rは、供給する流体の圧力やピンPの超振動などを考慮して、例えば、10mm〜100mm程度の範囲で適宜設計することができる。
【0051】
次に、凹部2に形成された多数のピンP1〜P8の配置の一例について、
図4、
図5を用いて説明する。
【0052】
図4(A)は、
図1、
図2に例示した混合装置の主体の混合部の形態を例示した正面図である。
図4(B)は、
図4(A)の部分拡大図である。
【0053】
多数のピンP1〜P8は、直径が異なる8つの同心の仮想円上に、均等のピッチ(円周方向間隔)で配置されている。
【0054】
混合部Gの凹部2では、同心の仮想円上に複数配置されたピンPによって形成される環状列S1〜S8(
図4(B)に図示)が、混合部Gの中央から外周縁(半径方向外方)へ向かって複数列配置されている。このため、ピンPが混合部Gの中央から外周縁へ向かって放射状に配置されている。
【0055】
詳細は後述するが、ピンP1は、最小径のピッチ円(中心点Oに最も接近しているピッチ円)上に10本形成されている。また、ピンP8は、最大径のピッチ円(中心点Oに最も離隔しているピッチ円)上に24本形成されている。
【0056】
多数のピンP1〜P8は、蓋部20の開口21から供給された酸素を含む水が、凹部2の中心Oから半径方向外方に進行する場合、あるいは、凹部2の外周縁部1の貫通孔4から半径方向内方へ中心Oに向って酸素を含む水が進行する場合において、酸素を含む水が、ピンP1〜P8と段階的に接触するように配置されている。
【0057】
具体的には、ピンP1〜P8の配置は、例えば、以下のような基準を考慮することができる。以下に例示する数値は、酸素を含む水をピンP1〜P8と確実に接触させ、効率的に酸素と水とを混合するための設計の一例であり、これに限定されるものではない。
図2において、当該多数のピンP1〜P8は、複数(図示では8つ)の同心円の円周上に配置されている。
【0058】
多数のピンP1〜P8の直径Dは、例えば、下式で示される。
【0059】
0.004R≦D≦0.089R
中心点Oに最も近接しているピンP1は、点Oを中心とするピッチ円の円周上に等間隔に10本配置されている。
【0060】
円周上に10本のピンP1を配置したピッチ円の半径寸法φ1は、下式で示される。
【0061】
0.13R≦φ1≦0.17R
例えば、R=45mmの場合、φ1=7mmである。そして、ピンP1の直径D1は、例えば2.0mmである。
【0062】
ピンP1の半径方向外方に隣接するピンP2は、下式で示される半径寸法φ2(>φ1)円(点Oを中心とする円)の円周上に、10本、等間隔で配置されている。
【0063】
0.17R≦φ2≦0.23R
例えば、R=45mmの場合、φ2=9mmである。そして、ピンP2の直径D2は、例えば2.5mmである。
【0064】
ピンP2の半径方向外方に隣接するピンP3は、点Oを中心として、半径寸法φ3(>φ2)の同心円の円周上に、等間隔で24本配置されている。半径寸法φ3は下式で示される。
【0065】
0.33R≦φ3≦0.38R
例えば、R=45mmの場合、φ3=16mmである。そして、ピンP3の直径D3は、例えば4.0mmである。
【0066】
第1実施形態では、ピンP3より半径方向外方の領域に位置するピンP4〜P8の直径は、ピンP3の直径D3と等しい。
【0067】
ピンP3の半径方向外方に隣接するピンP4は、点Oを中心として、半径寸法φ4(>φ3)の同心円の円周上に、等間隔で24本配置されている。半径寸法φ4は下式で示される。
【0068】
0.44R≦φ4≦0.49R
例えば、R=45mmの場合、φ4=21mmである。
【0069】
ピンP4の半径方向外方に隣接するピンP5は、点Oを中心として、半径寸法φ5(>φ4)の同心円の円周上に、等間隔で24本配置されている。半径寸法φ5は下式で示される。
【0070】
0.57R≦φ5≦0.63R
例えば、R=45mmの場合、φ5=27mmである。
【0071】
ピンP5の半径方向外方に隣接するピンP6は、点Oを中心として、半径寸法φ6(>φ5)の同心円の円周上に、等間隔で24本配置されている。半径寸法Rr6は下式で示される。
【0072】
0.66R≦φ6≦0.72R
例えば、R=45mmの場合、φ6=31mmである。
【0073】
ピンP6の半径方向外方に隣接するピンP7は、点Oを中心として、半径寸法φ7(>φ6)の同心円の円周上に、等間隔で24本配置されている。半径寸法φ7は下式で示される。
【0074】
0.8R≦φ7≦0.85R
例えば、R=45mmの場合、φ7=37mmである。
【0075】
半径方向外方に配置されているピンP8は、点Oを中心として、半径寸法φ8(>φ7)の同心円の円周上に、等間隔で24本配置されている。半径寸法φ8は下式で示される。
【0076】
0.91R≦φ8≦0.96R
例えば、R=45mmの場合、φ8=42mmである。
【0077】
そして、酸素を含む水がピンP1〜P8と段階的に接触を繰り返すためには、
図2、
図4(A)(B)に例示したように、ピンP1〜P8の中心と、凹部2の中心Oとを結ぶ直線(半径方向に延在する直線、或いは放射線状に延在する直線)は、ピンP1〜P8の半径方向内方に隣接するピンの中心と、凹部2の中心Oを結ぶ直線と一致しない様に配置することが好ましい。
【0078】
すなわち、ピンP1〜P8の中心と、当該ピンP1〜P8の半径方向内方に隣接するピンの中心とは、凹部2の円周方向について偏奇する(ずれている)様に配置することが好ましい。例えば、
図2、
図4(A)(B)において、ピンP5の中心と、ピンP5の半径方向内方に隣接するピンP4の中心とは、凹部2の円周方向について偏奇している(ずれている)。そのため、ピンP5の中心と中心Oを結ぶ直線と、ピンP4の中心と中心Oを結ぶ直線は、一致していない。
【0079】
さらに言い換えれば、
図4(B)に例示したように、例えば、環状列S6〜S8のピンを例にとると、環状列S7における複数のピンP7のうち、隣り合う2本のピンP7の中心と混合部Gの中心とを結ぶ2本の直線T1、T2に囲まれる領域に、混合部Gの半径方向に隣接する他の環状列S6、S8のピンP6、P8が少なくとも配置されていることが好ましい。流路(凹部2)では、このようなピンの配列が連続的に形成されている。
【0080】
例えばこのようなピンの配置によって、
図4(B)中の矢印に模式的に例示したように、加圧手段によって所定圧(例えば、0.1MPa)以上に加圧して供給された酸素を含む水は、ピンとの接触を伴って、環状列(例えばS6)において隣り合うピンの間を通過し、さらに、隣接する他の環状列(例えばS7)のピンと接触する。そして、再び、隣り合うピンの間を通過し、さらに、隣接する他の環状列(例えばS8)のピンと接触する。このように、酸素を含む水は、混合部の中央付近(供給孔付近)から外周縁付近(排出孔付近)の間の流路(凹部2)において、突出するピンとの接触を繰り返しながら流路を通過し、この際、複数のピンPは、酸素を含む水との衝突によって超音波域で振動する。このようなピンPの超振動は、酸素を含む水にキャビテーションを惹起させ、そのキャビテーションによって、酸素と水を効果的且つ均質に分散化させて混合を促進することができる。
【0081】
なお、
図1、
図2、
図3、
図4(A)(B)に例示したピンの配置は、「凹部2の中心Oから半径方向外方に酸素を含む水が進行する場合、或いは、凹部2の外周縁部1から半径方向内方へ中心Oに向って酸素を含む水が進行した場合において、酸素を含む水が段階的にピンPと接触し、酸素と水を効果的且つ均質に分散化させるための一例であり、この配置に特に限定されるものではない。
【0082】
図5は、混合装置を含む混合ユニットの一実施形態を例示した概要図である。
【0083】
図5で例示する混合ユニット100は、混合装置10(主体Mと蓋体20)をケーシング5(供給側のケーシング)、6(吐出側のケーシング)内に収容して構成されている。供給側のケーシング5と吐出側のケーシング6とは、公知の手段によって気密性を保つ様に接続されている。
【0084】
供給側のケーシング5には、供給管7が設けられ、吐出側のケーシング6には吐出管8が設けられている。
【0085】
供給管7は、第1の貫通部71を介して、供給側の蓋部20(
図5では上方の蓋部)の開口21と連通している。第1の貫通部71は、供給管7が設けられている供給側のケーシング5中にも形成されている。
【0086】
吐出管8は、第2の貫通部81を介して、排出側の蓋部20(
図5では下方の蓋部)の開口21と連通している。第2の貫通部81は、吐出管8が設けられている吐出側ケーシング6中にも形成されている。
【0087】
図5で示す混合ユニット100において、混合される酸素と水は、供給管7、第1の貫通部71、蓋部20の開口21(供給孔)を介して、
図1、
図2で示す表側の凹部2(
図3における上側の凹部2:
図5では符号Aで示す)の中心点O近傍の領域に流入する。
【0088】
流入した酸素を含む水は、凹部2の半径方向外側に向かって流れるが、その際に、多数のピンP1〜P8と接触することで、水に酸素が均質に分散し、混合が促進される。
【0089】
半径方向外方に流れた酸素を含む水は、
図2で例示した凹部2の貫通孔4(排出孔、供給孔)を介して、
図1、
図2では図示しない裏側の凹部2(
図3における下側の凹部2:
図5では符号Bで示す)の半径方向外方縁部に流入する。
【0090】
裏側の凹部2の外方縁部1側に流入した酸素を含む水は、中心Oに向かって凹部2の内を半径方向内方に流れる。その際にも、酸素を含む水は多数のピンP1〜P8と接触して効率的に混合される。
【0091】
裏側の凹部2の中心Oに到達した酸素を含む水は、酸素と水が高次元で練り合わされた混合状態となっており、裏側の凹部2を被覆する蓋部20の開口21(排出孔、供給孔)、第2の貫通部81を介して、吐出管8から吐出され、例えば、適宜な貯蔵ユニットなどを介して水槽(図示していない)に送られる。
【0092】
図5において、混合装置10は、主体Mの表裏面(上下両端面)には、蓋部20が密着する様に収容された状態となっている。
【0093】
図5は、1個の主体Mと2個の蓋部20からなる1モジュールの混合装置10が含まれるが、この1モジュールの混合装置10においても、酸素と水の接触と分散とが効率的に行われる。
【0094】
図6は、本発明の酸素水の製造システムにおける混合装置の一実施形態を例示した組立図である。
【0095】
図5は、単一の混合装置10をケーシング5、6内に収容しているが、
図6に例示した混合ユニット100Aでは、2つの混合装置10A、10Bをケーシング56内に収容している。
【0096】
図6では、酸素を含む水の流れを明確にするために、供給管7、吐出管8と、ケーシング56を別体に示している。
【0097】
供給管7は、第1の蓋部20Aにおける一方の面(図示の上面)の中央に第1の蓋部20Aと一体に接続している。
【0098】
供給管7の端部から第1の蓋部20Aにおける他方の面(図示の下面)を貫通する貫通孔(供給孔)7Aが設けられている。
【0099】
吐出管8は、第3の蓋部20Cにおける一方の面(図示の下面)の中央に第3の蓋部20Cと一体に接続している。
【0100】
吐出管8の端部から第3の蓋部20Cにおける他方の面(図示の上面)を貫通する貫通孔(吐出孔)8Aが設けられている。
【0101】
混合装置10A、10Bは、
図1、
図2で例示したように、中央部の表面側および裏面側に混合部を有している。
【0102】
図6に例示したように、酸素を含む水は、供給管7、第1の蓋部20Aの貫通孔(供給孔)7Aを通じて、混合装置10Aの表面側の混合部の凹部(図示を省略)の中央に流入する。そして、この凹部の中央から半径方向外方へ移動する際にピンP(図示を省略)に接触し、酸素と水の混合が促進される。混合された酸素と水は、凹部(図示を省略)の半径方向外方縁部に位置する貫通孔(図示を省略)から排出されるとともに、第1の混合装置10Aの裏面側(下側)の混合部(例えば、
図1、
図2で示されていない側の混合部)の凹部の外周縁部(図示を省略)に供給される。したがって、この場合、貫通孔は、酸素と水の排出孔として機能する一方で、酸素と水の供給孔としても機能する。そして、この凹部の半径方向内方へ流れ、ピンPと接触し、酸素と水の混合がさらに促進される。
【0103】
第1の混合装置10Aにおける裏面側(下側)の混合部の凹部(図示を省略)の中心部に到達した酸素を含む水は、第2の蓋部20Bの開口(供給孔)21Bを介して、第2の混合装置20Bの表面側(上側)の混合部の凹部(図示を省略)の中央に供給される。この凹部の中央から半径方向外方へ酸素と水が流れる際にピンP(
図6では図示せず)に接触し、酸素と水の混合が促進される。そして、混合された酸素と水は、凹部の半径方向外方縁部(図示を省略)から、第2の混合装置10Bの裏面側(下側)の混合部の凹部の外周縁部(図示を省略)に供給される。さらに、混合された酸素と水は、この凹部の半径方向内方へ流れ、再びピンPと接触し、酸素と水の混合がさらに促進される。
【0104】
第2の混合装置10Bにおける裏面側(下側)の混合部の凹部(図示を省略)の中心部に到達した酸素を含む水は、第3の蓋部20Cの貫通孔8Aを介して、吐出管8内を流過する。
【0105】
図7は、本発明の魚貝類酸素水の製造システムにおける混合装置の一実施形態を例示した組立図である。
【0106】
図7に例示した混合ユニット100Bは、さらに多数の段(4段)の混合装置10A〜10Dをケーシング内に収容している。
【0107】
図7において、供給管7を介して供給された酸素と水は、第1の蓋部20Dの開口12D、第1の混合装置10Aの表裏(
図1、
図2で示されている側と示されていない側)の混合部、第2の蓋部20Eの開口21E、第2の混合装置10Bにおける表裏の混合部、第3の蓋部20Fの開口21F、第3の混合装置10Cにおける表裏の混合部、第4の蓋部20Gの開口21G、第4の混合装置10Dにおける表裏の混合部、第5の蓋部20Hの開口21Hを経由して、吐出管8から吐出される。
【0108】
そして、酸素と水が、第1〜第4の混合装置10A〜10Dにおける表裏の混合部を通過する際に、その各々において酸素を含む水とピンPとが連続的に接触して、酸素と水の混合が確実かつ効率的に行われる。第1〜第4の混合装置10A〜10Dが連設されていることで、より効率的は混合を可能としている。
【0109】
図8は、本発明の魚貝類酸素水酸素水の製造システムの一実施形態を例示した概要図である。
【0110】
酸素水製造システム200は、混合装置(図示していない)を含む混合ユニット100(例えば
図6、
図7に例示した100A,100B)と、材料貯留槽110と、高圧ポンプ(加圧手段)120と、三方弁V3を介装した材料搬送ラインLとを有している。
【0111】
材料搬送ラインLは、ラインL1、ラインL2、ラインL3、ラインL4及び戻しラインLbを有している。
【0112】
ラインL1は、材料貯留槽110と高圧ポンプ120とを接続し、ラインL2は高圧ポンプ120と混合ユニット100とを接続し、ラインL3は混合ユニット100と三方弁V3とを接続している。また、ラインL3は三方弁V3でラインL4と戻しラインLbとに分岐させられている。
【0113】
三方弁V3は、混合ユニット100に含まれる混合装置(図示していない)で混合した酸素水を供給先(次工程)に供給する場合は、ラインL3とラインL4とを連通させる。一方、材料の供給を一時的に停止させたい場合は、ラインL3と戻しラインLbとを連通させ、混合ユニット100から吐出された酸素水を、材料貯留層110に戻して、循環させることが出来る。
【0114】
材料貯留層110には、例えば、混合する水(海水/淡水)、酸素を貯蔵することができる。材料貯留層110は、材料貯留層110で貯蔵されている段階では、水と酸素が完全に分離していてもかまわない。
【0115】
酸素水製造システム200においては、加圧手段としての高圧ポンプ120の吐出圧は、例えば0.1MPa以上に設定することができる。
【0116】
発明者の実験では、混合ユニット100の供給管7に0.1MPa以上の圧力で複合材料を供給すれば、十分に混合が行なわれることが確認されている。
【0117】
また、発明者の計測によれば、酸素水製造ユニット100の圧損は、高圧ポンプ120の吐出圧の約1割〜2割程度に抑制されることが判明している。
【0118】
酸素水製造システム200は、例えば冷却装置などを含むことができる。混合ユニット100の混合装置の混合部のピンは、高圧ポンプ120によって供給された酸素を含む水との接触に伴って超振動することによって、酸素を含む水にキャビテーションを生じさせることができる。これによって、酸素と水が均質に分散化されて、水中に酸素が溶解、分散等する。この際、キャビテーションにより酸素水が加熱されてしまう場合には、冷却装置による冷却処理を行なうことができる。冷却装置としては、例えば、混合ユニット100全体を水没させ(いわゆる「どぶ漬け」)て冷却するための、冷却槽などを例示することができる。
【0119】
このような魚貝類用酸素水の製造システム200によって製造された魚貝類用酸素水は、魚貝類の飼育や輸送に好適に利用することができる。また、この魚貝類用酸素水を凍らせることで、魚貝類輸送のための酸素氷として使用することができる。例えば、この魚貝類輸送用酸素氷を詰めた箱に魚貝類を入れて輸送することで、冷却が可能であるとともに、氷が溶解する際に大量の酸素が発生するため魚介類に酸素を供給することができるため、魚介類の鮮度を良好に維持した状態で輸送することができる。本発明の魚貝類輸送用酸素氷によれば、タコやイカなどの皮膚呼吸が促進することができるため、特に好ましく利用することができる。
【0120】
図9は、本発明の魚貝類用酸素水の製造システムの構成を例示した概略図である。
【0121】
図9の魚貝類用酸素水の製造システム202は、
図8の魚貝類用酸素水の製造システム200に対して、材料貯留槽110を、貯水タンク110Aに代え、ラインL1に気液混合装置130を配設し、ラインL2に気液混合率調整機構140を配設している。
【0122】
ここで、気液混合装置130は、ラインL1の負圧を用いて、酸素を吸い込むタイプのものが使用されている。ここで、酸素側の圧力を高くして、貯水タンクからの水と酸素とを混合すると、高圧ポンプを破損する場合がある。これに対して、発明者の実験では、負圧により酸素を吸い込むタイプ(
図9で示すタイプ)の気液混合装置130を用いれば、高圧ポンプ120を破損する可能性が極めて低くなることが確認されている。
【0123】
気液混合装置130は、酸素容器150と接続されて、ラインL1の負圧(高圧ポンプ120で水が吸引されるためラインL1には負圧が発生)によって、酸素容器150内の酸素をラインL1に吸引する。
【0124】
この魚貝類用酸素水の製造システム202では、酸素と水が混合ユニット100の混合装置(図示していない)内を流れることにより、酸素を含む水がピンPと衝突して、酸素が水中に均一に分散、可溶化する。その結果、水中の溶存酸素濃度が非常に高くなる。具体的には、溶存酸素濃度が25ppm以上、好ましくは35ppm以上の状態を長期(例えば、35日以上)維持可能な水を製造することができる。
【0125】
また、この魚貝類用酸素水の製造システム202において、ラインL4に例えば、図示しない冷却貯水タンクを接続すれば、混合ユニット100の混合装置によって生成された酸素水を冷却貯水タンク内に一旦貯留することもできる。また、ラインL4と魚貝類を飼育する水槽を直接接続して、水槽へ酸素水を供給することもできる。
【0126】
このような魚貝類用酸素水の製造システム202によって製造された魚貝類用酸素水は、魚貝類の飼育、魚貝類の輸送に好適に利用することができる。また、この魚貝類用酸素水を凍らせることで、魚貝類輸送のための酸素氷として使用することができる。例えば、この魚貝類輸送用酸素氷を詰めた箱に魚貝類を入れて輸送することで、冷却と同時に魚介類に酸素を供給することができるため、魚介類の鮮度を良好に維持した状態で輸送することができる。
【0127】
気液混合率調整機構140は、ラインL2以降の脈動を抑制するための機構であり、酸素含有率を調整する機構である。
【0128】
混合装置10に供給する直前の段階で、酸素含有率を一定にしておくことが、溶存酸素濃度の高い水を生成するためには望ましい。しかし、水循環系統に脈動が生じると、酸素含有率を一定にすることが困難になる。
【0129】
気液混合率調整機構140を設けることにより、
図9の混合ユニット100の水循環系統に脈動が生じたとしても、当該脈動を抑制して、酸素含有率を一定に維持できる。
【0130】
気液混合率調整機構140は、
図9は2個の容器が示されているが、1個でも良い。また、容器の形状は円筒状とは限らない。
【0131】
図示は省略するが、ラインL1への気液混合装置130の配設を省略して、酸素容器150を酸素供給ラインによってラインL2(高圧ポンプの吐出側)に接続することも可能である。
【0132】
その場合、酸素をラインL2に混入するためには、高圧ポンプ120の吐出圧以上の高圧が必要になる。
【0133】
図9の魚介類用酸素水の製造システム202は、三方弁V3を切り替えることにより、混合ユニット100から吐出された酸素水を、ラインLbによって貯水タンク110Aに戻して、循環させることができる。あるいは、魚介類用酸素水を循環させること無く、そのまま、次工程(例えば水槽)に供給することができる。
【0134】
例えば、このようにして製造された本発明の魚介類用酸素水は、水の中に高次元で酸素が練り込まれて混合されているため、解放された大気下で、高い溶存酸素濃度を有するとともに、溶存酸素濃度が25ppm以上の状態が35日以上持続する。このため、魚貝類へ確実に酸素を供給することができ、魚介類の飼育または魚貝類の輸送に有効に利用することができる。
【0135】
本発明の魚貝類用酸素水およびこの製造システム、魚貝類の飼育装置、魚貝類の飼育方法、魚貝類の輸送方法、魚貝類用酸素氷は、以上の形態に限定されることはない。例えば、混合装置に設けられたピンの半径、数、配置などは、所望の溶存酸素濃度に応じて適宜設定することができる。また、例えば、本発明の魚介類の飼育装置、飼育方法の形態には、魚介類の飼育において一般的に必要とされるエサの供給や、殺菌剤の投入、循環装置による水の循環などの作業や、これに関連する各種の装置などが含まれることは言うまでもない。
【実施例】
【0136】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0137】
<1>溶存酸素濃度の比較実験1
図9に概略を示した魚貝類用酸素水の製造システムによって製造された魚貝類用酸素水の特徴を確認するための実験を行った。
【0138】
具体的には、
図10〜
図13に示した混合装置を使用し、
図9に示した製造システムによって魚貝類用酸素水を製造した。
【0139】
この魚貝類用酸素水の製造システムにおける混合装置の基本的な構成は、
図1、
図2などに例示した混合装置の構成を踏まえているが、混合部GのピンPの本数、配置などは、本実施例に適した形態に設計されている。
【0140】
実施例1で使用した混合装置は、
図10、
図11に示したように、円盤状の主体Mの内径R1が28.0mm、外径R2が30.0mmに設計されている。また、主体Mの厚み(凹部以外の部分の厚み)W(
図12に図示)は5.0mmに設計されている。
【0141】
図10〜
図12に示したように、ピンPが凹部2(中央部3)の表裏面から突出し、混合部Gが形成されている(ピンPの符号は一部のみに付し、その他のピンの符号は便宜的に省略している)。具体的には、ピンPは円柱状であり、混合部Gの凹部2の中央から、仮想円上に、それぞれ12本のピンPが配置されて形成された環状例(符号は省略、
図4(B)など参照)が、混合部Gの外周縁方向に8列配置されている。混合部Gの凹部2の中央から外側の第1、第2の環状列のピンPの直径D1は、0.5mmに設計されている。その外側の第3の環状列のピンPの直径D2は1.0mmに設計されている。さらにその外側の第4の環状列のピンPの直径D3は1.5mmに設計されている。さらにその外側の第5〜8の環状列のピンの直径D4は2.0mmに設計されている。また、ピンPはいずれも高さH(
図12に図示)が1.0mmに設計されており、混合部Gの外周壁部11(
図12に図示)の高さと一致している。
【0142】
混合部Gの外周縁付近の4箇所に形成された貫通孔4(排出孔、供給孔)の直径d1は、1.0mmに設計されている。
【0143】
さらに、
図13は、主体Mの表裏面(上下)の混合部Gに蓋部20を嵌着させて形成した混合装置10を示した斜視図である。蓋部20は、混合部Gと同様に直径が30.0mmに設計されている。また、蓋部20の中央には円形の開口21(供給孔、排出孔)が形成されており、開口21の直径d2は4.0mmに設計されている。
【0144】
上記のように設計された混合装置を、
図7に例示したのと同様の方法で上下に2段重ねて配設し、加圧手段(高圧ポンプ)、気液混合装置などとともに、酸素水製造システム(
図9参照)を構成した。
【0145】
この魚貝類用酸素水の製造システムにおいて、約10Lの純水と、酸素(純酸素を1.0L/min程度)とを、圧力手段としての高圧ポンプによって0.3Mpaでの圧力で混合装置内へ供給し、およそ5分間循環処理させて(循環量10L/min)、魚貝類用酸素水を製造した。
【0146】
図14および
図15は、魚貝類用酸素水の溶存酸素濃度の経時変化示すグラフである。溶存酸素濃度の測定には、市販の溶存酸素測定計(セントラル科学社製:タフネスDO CGS5型)を使用した。
【0147】
図14および
図15の縦軸には溶存酸素濃度(単位は「ppm」)を目盛り、横軸には、魚貝類用酸素水の製造システムにおいて、混合装置10により酸素と水とを混合して、酸素を可溶化して吐出した後の経過時間(単位は「日」)を目盛っている。
【0148】
図14において、「黒三角」のプロットは20℃の水における飽和溶存酸素濃度の平均値である。
【0149】
「黒丸」のプロットの曲線は、本発明の魚貝類用酸素水の製造システムによって、溶存酸素濃度を35.62ppmとして製造した魚貝類用酸素水を、開放容器(例えば、ビーカー)に貯蔵した場合における溶存酸素濃度の経時変化を示す。
【0150】
「黒四角」のプロットの曲線は、本発明の魚貝類用酸素水の製造システムによって、溶存酸素濃度を35.63ppmとして製造した魚介類用酸素水を、開口部が蓋により閉鎖された容器(例えば、蓋で閉鎖されたビン)に貯蔵した場合における溶存酸素濃度の経時変化を示す。
【0151】
図15において、「黒三角」のプロットは、20℃の水における飽和溶存酸素濃度の平均値である。
【0152】
「黒丸」のプロットの曲線は、本発明の魚貝類用酸素水の製造システムによって、溶存酸素濃度を50.96ppmとして製造した魚貝類用酸素水を、開放容器(例えば、ビーカー)に貯蔵した場合における溶存酸素濃度の経時変化を示す。
【0153】
「黒四角」のプロットの曲線は、本発明の魚貝類用酸素水の製造システムによって、溶存酸素濃度を50.96ppmとして製造した魚介類用酸素水を、開口部が蓋により閉鎖された容器(例えば、蓋で閉鎖されたビン)に貯蔵した場合における溶存酸素濃度の経時変化を示す。
【0154】
「×」のプロットの曲線は、従来の加圧方法で製造された酸素水(表記されている溶存酸素濃度は40ppm)を、溶存酸素測定のため開封した際の溶存酸素濃度を示している。従来の加圧方法では、市販の高濃度酸素溶解装置(大栄株式会社:製品名「酵素ファイター、OD−110型」)を使用し、この装置のタンク内に純酸素を送り込み、タンク内の内圧を0.1〜0.5Mpaに設定して、酸素と水を圧力混合した。
【0155】
図14、
図15より、本発明の魚貝類用酸素水の製造システムで製造された魚貝類用酸素水は、溶存酸素濃度が高く、混合後、解放された大気下で長時間(35日以上)が経過したとしても、水の飽和溶存酸素濃度を遙かに上回る溶存酸素濃度(25ppm以上)となっていることが確認された。一方、従来の加圧方法により製造された製品(酸素水)では、加圧時の溶存酸素濃度が40ppmであっても、開封した時点で溶存酸素濃度は8ppm〜9ppmに激減して、通常の水の飽和溶存酸素濃度と変わらなくなった(
図15)。すなわち、本発明の魚貝類用酸素水の製造システムによれば、従来技術では実現できない様な、溶存酸素濃度が安定した維持された魚貝類用酸素水を生成することができることが確認された。
【0156】
<2>溶存酸素濃度の比較実験2
さらに、上記<1>と同様の方法で製造された本発明の魚貝類用酸素水(本発明の酸素水と記載する場合がある)と、市販品の酸素水との比較実験を行った。
【0157】
具体的には、上記<1>と同様の方法で製造された本発明の酸素水が封入された容器と、市販の酸素水(市販品1〜4)が封入された容器の蓋を開けて解放し、解放された大気下での溶存酸素濃度の変化を計測した。溶存酸素濃度の測定には、市販の溶存酸素測定計(セントラル科学社製:タフネスDO CGS5型)を使用した。
【0158】
なお、市販品1では、「溶存酸素量120ppm以上」との表示があり、市販品2では、「12倍酸素充填」との表示があり、市販品3、4では、「溶存酸素量40ppm」との表示があった。
【0159】
結果を表1に示す。
【0160】
【表1】
【0161】
市販品1〜4は、容器を解放したと同時に酸素が大気に放出され、溶存酸素濃度が激減することが確認された(0日)。その後、市販品2〜4では、解放後1〜3日で8ppm以下(飽和溶存酸素濃度)にまで減少した。また、市販品1も、解放後徐々に溶存酸素濃度は減少していき、解放後10日で7ppm以下(飽和溶存酸素濃度)にまで減少した。
【0162】
一方、本発明の魚貝類用酸素水は、解放直後の溶存酸素濃度はおよそ50ppmと高く、その後4日後においても48.1ppmの溶存酸素濃度が維持されていた。その後は徐々に溶存酸素濃度の減少傾向が見られるものの、解放後31日の段階においても溶存酸素濃度は34.5ppmの状態が維持されていることが確認された。
【0163】
したがって、本発明の魚貝類用酸素水は、酸素と水が高次元で練り合わされた混合状態となっており、従来の市販品とは全く異なる特徴を有し、解放された大気下で長期間に亘って溶存酸素濃度が高い状態が維持されることが確認された。
【0164】
なお、溶存酸素濃度について、
図14、
図15、表1において示した経時変化に若干の差があるのは、混合した酸素の量、水温、水量などの条件の違いによるものと考えられるが、本発明の魚介類用酸素水は、いずれの場合においても、解放された大気下、常温において、溶存酸素濃度が25ppm以上の状態が35日以上持続することが確認された。
【0165】
<3>魚介類への影響の確認実験1
(1)本発明の魚貝類用酸素水による魚介類の飼育への影響を検討した。
【0166】
実施例1:上記<1>と同様の方法で製造された魚貝類用酸素水を容量6tの水槽に入れ、この水槽内で50匹の鯛を適当な量のエサを与えながら42日間飼育し、生存率等を調査した。
【0167】
比較例1:テクノ高槻社製;HP-200を使用したコンプレッサーエアレーション法によって製造した酸素水(溶存酸素量:約9〜10ppm)を容量6tの水槽に入れ、この水槽内で50匹の鯛を適当な量のエサを与えながら42日間飼育し、生存率等を調査した。
(2)結果を表2、表3に示す。
【0168】
【表2】
【0169】
【表3】
【0170】
表2に示したように、本発明の魚貝類用酸素水を使用して鯛を飼育した場合には(実施例1)、飼育開始後42日の時点で、47匹/50匹が生存していることが確認された(生存率=94%)。
【0171】
一方、表3に示したように、比較例1の酸素水の場合には、飼育開始後42日の時点で生存していたのは、19匹/50匹であった(生存率=38%)。
【0172】
表2、表3の結果から、本発明の魚貝類用酸素水によれば、鯛の体内にまで確実に酸素が供給されることで鯛の状態が良好に維持され、生存期間が延長されることが確認された。
<4>魚介類への影響の確認実験2
(1)本発明の魚貝類用酸素水による魚介類の飼育への影響を検討した。
【0173】
実施例2:上記<1>と同様の方法で製造された酸素水を容量1tの水槽に入れ、この水槽内で130匹の赤貝に適当な量のエサを与えながら22日間飼育し、生存率等を調査した。
【0174】
比較例2:テクノ高槻社製;HP-200を使用したコンプレッサーエアレーション法によって製造した酸素水(溶存酸素量:約9〜10ppm)を容量1tの水槽に入れ、この水槽内で130匹の赤貝に適当な量のエサを与えながら22日間飼育し、生存率等を調査した。
【0175】
この水槽内で130匹の赤貝に適当な量のエサを与えながら22日間飼育し、生存率等を調査した。
(2)結果を表4、表5に示す。
【0176】
【表4】
【0177】
【表5】
【0178】
表4に示したように、本発明の魚貝類用酸素水を使用して赤貝を飼育した場合には(実施例2)、飼育開始後22日の時点で、118匹/130匹が生存していることが確認された(生存率=90.8%)。
【0179】
一方、表5に示したように、比較例2の酸素水の場合には、飼育開始後22日の時点で生存していたのは、69匹/130匹であった(生存率=53.1%)。
【0180】
表4、表5の結果から、本発明の酸素水によれば、赤貝の体内にまで確実に酸素が供給されることで赤貝の状態が良好に維持され、生存期間が延長されることが確認された。
【0181】
<5>魚介類への影響の確認実験3
(1)本発明の魚貝類用酸素水による魚介類の飼育への影響を検討した。
【0182】
実施例3:上記<1>と同様の方法で製造された魚貝類用酸素水を容量1tの水槽に入れ、この水槽内で300匹のあさりに適当な量のエサを与えながら7日間飼育し、生存率等を調査した。
【0183】
比較例3:テクノ高槻社製;HP-200を使用したコンプレッサーエアレーション法によって製造した酸素水(溶存酸素量:約9〜10ppm)を容量1tの水槽に入れ、この水槽内で300匹のあさりに適当な量のエサを与えながら7日間飼育し、生存率等を調査した。
(2)結果を表6、表7に示す。
【0184】
【表6】
【0185】
【表7】
【0186】
表6に示したように、本発明の魚貝類用酸素水を使用してあさりを飼育した場合には(実施例2)、飼育開始後7日の時点で、271匹/300匹が生存していることが確認された(生存率=90.3%)。
【0187】
一方、表7に示したように、比較例2の酸素水の場合には、飼育開始後7日の時点で生存していたのは、192匹/300匹であった(生存率=64.0%)。
【0188】
表6、表7の結果から、本発明の魚貝類用酸素水によれば、あさりの体内にまで確実に酸素が供給されることであさりの状態が良好に維持され、生存期間が延長されることが確認された。
<6>比重の測定
上記<1>と同様の方法で製造された本発明の魚貝類用酸素水について比重の測定を行った。
【0189】
具体的には、室温を20℃に保ち、上記<6>と同様の方法で製造された魚貝類用酸素水を約250mlをアクリル製の計量カップに取り、アルコール式温度計で温度が20℃であることを確認した後、この魚貝類用酸素水を浮標式比重計(東亜計器製)で比重を測定した。この測定方法によって、測定日を変えて計24回、魚貝類用酸素水の比重を測定した(試料No.1〜No.24)。
【0190】
試料No.1〜No.24の比重の測定結果を表8に示す。なお、比重は、4℃の水の密度(g/cm
3)を基準とし、例えば、20℃の水の比重は0.998230であることが知られている(化学便覧)。
【0191】
【表8】
【0192】
また、比較として、市販のミネラル水、市販の水素水、市販の酸素水およびRO水(逆浸透膜を通した純水)についても同様の条件で比重を測定した結果を表3に示す。
【0193】
【表9】
【0194】
表9に示したように、従来の気体を含む水(水素水、酸素水)は、比重が1.000を超えることはないが、表8に示したように、本発明の魚貝類用酸素水は、比重が1.004〜1.007に増加していることが確認された。
【0195】
このことは、本発明の魚貝類用酸素水は、製造の過程で使用される混合装置のピンの形状、ピンの直径などが特徴的に設計されていることで、様々なエネルギーが水と酸素に繰り返し何度も加わり、これによって、ピンの超振動によるキャビテーションが生じて、水と酸素とが効果的かつ均一に分散し、高次元の状態で練り合わされることで、水素結合が破壊され、包接化が起こっていることを示唆している。したがって、本発明の魚貝類用酸素水は、魚貝類へ確実に酸素を供給することができるため、魚介類の飼育または魚貝類の輸送に有効に利用することができる。