特許第6231794号(P6231794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231794
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】放射性物質収納容器管理方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/36 20060101AFI20171106BHJP
   G21F 5/14 20060101ALI20171106BHJP
   G21C 19/32 20060101ALI20171106BHJP
   G21F 5/002 20060101ALI20171106BHJP
   G21F 5/005 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G21F9/36 501H
   G21F5/00 T
   G21C19/32 W
   G21C19/32 R
   G21F5/00 W
   G21F9/36 501F
   G21F9/36 501G
   G21F9/36 541A
   G21F9/36 501J
   G21F9/36 501C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-144944(P2013-144944)
(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公開番号】特開2015-17880(P2015-17880A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 慶行
【審査官】 関根 裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−264486(JP,A)
【文献】 特開2006−275730(JP,A)
【文献】 特開2005−024514(JP,A)
【文献】 特開2001−337196(JP,A)
【文献】 特開昭62−273496(JP,A)
【文献】 特開昭63−159795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 1/00 − 9/36
G21C 19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方に開口部が形成されて他方に閉塞部が形成されて筒形状をなし、その内部に放射性物質収納部を有する胴部と、
前記開口部を閉塞するように前記胴部に対して着脱可能な蓋部と、
前記胴部の外周部に設けられて中性子遮蔽体を収容するとともに空隙を有する密閉空間を形成するケーシングと、
を備える放射性物質収納容器を管理するための放射性物質収納容器管理方法であって、
前記ケーシングに、前記空隙を前記ケーシングの外部に開通する開通穴、および前記開通穴を開閉可能に着脱される栓部材を設けておき、
放射性物質が収納された前記放射性物質収納容器を保管や貯蔵し終わって輸送する前、または放射性物質が収納された前記放射性物質収納容器を輸送した後であって貯蔵する前に、前記栓部材を取り外して前記開通穴を開放して前記ケーシング内の上昇した圧力を開放し、その後前記栓部材を取り付けることを特徴とする放射性物質収納容器管理方法。
【請求項2】
前記栓部材が、可溶栓を含むことを特徴とする請求項に記載の放射性物質収納容器管理方法。
【請求項3】
前記放射性物質収納容器を製造した際、前記胴部の内部にヒータを配置した伝熱試験時に前記栓部材を外しておき、前記試験終了後に温度が上昇した状態で前記栓部材を取り付けることを特徴とする請求項1または2に記載の放射性物質収納容器管理方法。
【請求項4】
前記放射性物質収納容器を製造した際、前記胴部の内部にヒータを配置した伝熱試験時に前記栓部材を取り付け、試験終了後に前記栓部材を取り外して前記開通穴を開放して前記ケーシング内の上昇した圧力を大気圧まで開放し、その後温度が上昇した状態で前記栓部材を取り付けることを特徴とする請求項1または2に記載の放射性物質収納容器管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性廃棄物を収納し、輸送、貯蔵する放射性物質収納容器を管理するための放射性物質収納容器管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントの原子炉などで発生した放射性廃棄物は、放射性物質収納容器に収納され、貯蔵施設や再処理施設などに輸送され、貯蔵または再処理される。このような放射性物質収納容器は、上部が開口した底付きの円筒形状をなす胴部と、複数の放射性廃棄物を個々に収納可能な複数のセルを有するバスケットと、胴部の上部に固定される蓋部とから構成されている。また、放射性物質収納容器は、胴部の外周に、胴部の外周面との間に密閉空間を形成するようにケーシングが配設されており、当該空間内に中性子遮蔽体が設けられている。また、ケーシングの空間は、中性子遮蔽体の膨張代を確保する空隙が設けられている。通常、空隙は、空気が大気圧で封入されている。
【0003】
このような放射性物質収納容器について、放射性物質を収納した後、放射性物質の発熱により、空隙の温度上昇や、中性子遮蔽体の熱膨張による空隙の体積減少や、中性子遮蔽体の経年熱劣化により発生する水蒸気またはガスの影響により、空隙の圧力が上昇する。従って、ケーシングの設計は、空隙の圧力や外力を考慮する必要がある。具体的には、ケーシングの板厚を考慮したり補強リブ設置したりすることで剛性を大きくすること、または強度の高い材料を選定することが一般的な設計対応である。しかし、この対応は、放射性物質収納容器の重量増加および製造コスト増加の一因となる。
【0004】
従来の放射性物質収納容器として、例えば、特許文献1に記載された放射性物質の輸送貯蔵キャスクは、空隙に対し、所定の圧力以上で外部に開放するリリーフ弁を設けている。
【0005】
また、従来の放射性物質収納容器として、例えば、特許文献2に記載された放射性物質の輸送兼貯蔵用容器は、ケーシングに圧力逃し弁と、一定温度で溶融することにより溶融部を開口させる溶融栓とを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−024514号公報
【特許文献2】特開昭63−159795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のリリーフ弁や特許文献2に記載の圧力逃し弁を適用することで、空隙の圧力が一定以上にならないようにすることが可能である。しかし、リリーフ弁や圧力逃し弁は、弁を開閉移動させる移動機構と、この移動機構を一定圧力以下の環境で閉止保持する保持機構(バネなど)を要するため、長期(例えば、60年)に亘り貯蔵される放射性物質を収納する容器に適用し、移動機構および保持機構を長期保証することは困難である。
【0008】
本発明は上述した課題を解決するものであり、中性子遮蔽体を配設した空間内の空隙における圧力上昇の抑制機能を長期に亘り保証することのできる放射性物質収納容器管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明の放射性物質収納容器管理方法は、一方に開口部が形成されて他方に閉塞部が形成されて筒形状をなし、その内部に放射性物質収納部を有する胴部と、前記開口部を閉塞するように前記胴部に対して着脱可能な蓋部と、前記胴部の外周部に設けられて中性子遮蔽体を収容するとともに空隙を有する密閉空間を形成するケーシングと、を備える放射性物質収納容器を管理するための放射性物質収納容器管理方法であって、前記ケーシングに、前記空隙を前記ケーシングの外部に開通する開通穴、および前記開通穴を開閉可能に着脱される栓部材を設けておき、前記栓部材を取り外して前記開通穴を開放して前記ケーシング内の上昇した圧力を開放し、その後前記栓部材を取り付けることを特徴とする。
【0010】
例えば、放射性物質を放射性物質収納容器に収納した後、放射性物質の発熱により放射性物質収納容器各部の温度が上昇し、空隙の内部圧力が上昇することになる。そこで、本放射性物質収納容器管理方法によれば、栓部材を取り外して開通穴を開放することで、空隙の内部圧力を大気圧まで降下させることができる。このため、空隙の内部圧力に耐え得る設計を低レベルとして放射性物質収納容器の重量増加および製造コスト増加の問題を解消することができ、かつ弁の移動機構および保持機構を要さないため、故障の要因がなく、圧力上昇の抑制機能を長期に亘り保証することができる。
【0011】
また、本発明の放射性物質収納容器管理方法では、射性物質が収納された前記放射性物質収納容器を輸送する前に、前記栓部材を取り外して前記開通穴を開放し、その後前記栓部材を取り付けることを特徴とする。
【0012】
放射性物質の発熱は、輸送時にも生じるため、輸送前に空隙の内部圧力を大気圧まで降下させることで、空隙の内部圧力の上昇をより抑制することができる。
【0013】
また、本発明の放射性物質収納容器管理方法では、射性物質が収納された前記放射性物質収納容器を輸送した後に、前記栓部材を取り外して前記開通穴を開放し、その後前記栓部材を取り付けることを特徴とする。
【0014】
放射性物質の発熱は、輸送時にも生じるため、輸送後に空隙の内部圧力を大気圧まで降下させることで、空隙の内部圧力の上昇をより抑制することができる。
【0015】
また、本発明の放射性物質収納容器管理方法では、射性物質が収納された前記放射性物質収納容器の貯蔵中に、前記栓部材を取り外して前記開通穴を開放し、その後前記栓部材を取り付けることを特徴とする。
【0016】
放射性物質の発熱は、貯蔵中にも生じるため、貯蔵中に空隙の内部圧力を大気圧まで降下させることで、空隙の内部圧力の上昇をより抑制することができる。
【0017】
また、本発明の放射性物質収納容器管理方法では、前記栓部材が、可溶栓を含むことを特徴とする。
【0018】
この放射性物質収納容器管理方法によれば、栓部材が可溶栓を含み構成されることで、栓部材と可溶栓とを別々に設ける必要がないため、放射性物質収納容器の重量増加および製造コスト増加を抑制する効果を顕著に得ることができる。なお、リリーフ弁や圧力逃し弁を設ける場合は、可溶栓を別途設ける必要がある。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、中性子遮蔽体を配設した空間内の空隙における圧力上昇の抑制機能を長期に亘り保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施形態に係る放射性物質収納容器としてのキャスクの側断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る放射性物質収納容器としてのキャスクの平断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る放射性物質収納容器における要部の拡大断面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る放射性物質収納容器における要部の拡大断面図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る放射性物質収納容器管理方法を示すタイムチャート図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る放射性物質収納容器管理方法と他の管理方法との空隙内圧力を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0022】
図1は、本実施形態に係る放射性物質収納容器としてのキャスクの側断面図であり、図2は、本実施形態に係る放射性物質収納容器としてのキャスクの平断面図である。
【0023】
放射性物質収納容器としてのキャスク11は、胴部12と蓋部13とバスケット14とから構成されている。胴部12は、胴本体21の一方、つまり、上部に開口部22が形成され、他方、つまり、下部に底部(閉塞部)23が形成された円筒形状をなしており、内部に放射性物質(例えば、使用済燃料集合体)を収納可能となっている。すなわち、胴本体21は、内部にキャビティ24が設けられ、このキャビティ24は、その内面がバスケット14の外周形状に合わせた形状となっている。バスケット14は、複数の放射性物質(図示略)を個々に収納するセル14Aを複数有して放射性物質収納部を構成している。そして、胴本体21は、下部に底部23が溶接により結合または一体成形されており、この胴本体21および底部23は、γ線遮蔽機能を有する炭素鋼製の鍛造品となっている。胴本体21および底部23は、炭素鋼の代わりにステンレス鋼を用いることもできる。また、胴本体21および底部23は、球状黒鉛鋳鉄や炭素鋼鋳鋼などの鋳造品を用いることもできる。
【0024】
胴部12は、胴本体21の外周側に所定の隙間を空けて密閉空間を形成するケーシングとしての外筒25が配設されている。また、胴部12は、胴本体21の外周面と外筒25の内周面との間に、熱伝達を行う銅や鋼製の伝熱フィン25aが周方向に等間隔で複数溶接されている。そして、胴部12は、胴本体21と外筒25との空間部に、水素を多く含有する高分子材料であって中性子遮蔽機能を有するボロンまたはボロン化合物を含有したレジン(中性子遮蔽体)26が流動状態で図示しないパイプなどを介して注入され、固化されている。
【0025】
また、胴部12は、底部23の下側に複数の連結板27により所定の隙間を空けて密閉空間を形成するケーシングとしての底板28が底部23と連結され、連結板27は無くてもよく、この連結板27と底板28との空間部にレジン(中性子遮蔽体)29が設けられている。さらに、胴部12は、外周部における所定の位置にトラニオン30が固定されている。
【0026】
胴部12における胴本体21の開口部22を閉塞する蓋部13は、一次蓋部31と二次蓋部32によって構成されている。一次蓋部31は、γ線を遮蔽するステンレス鋼または炭素鋼からなる円盤形状である。また、二次蓋部32も、ステンレス鋼製または炭素鋼製の円盤形状である。この一次蓋部31および二次蓋部32は、ステンレス鋼製または炭素鋼製のボルト(図示略)により胴本体21の上端部に着脱自在に取付けられている。この場合、一次蓋部31および二次蓋部32と胴本体21との間に、それぞれ図示しない金属ガスケットが介装され、内部の密封性を確保している。また、一次蓋部31は、その下面にレジン(中性子遮蔽体)33が封入されている。なお、レジン33は、二次蓋部32に設けられていてもよく、二次蓋部32にのみ設けられていてもよい。また、蓋部13の周囲には、レジンを封入した補助遮蔽体34が設けられる場合もある。
【0027】
図3および図4は、本実施形態に係る放射性物質収納容器における要部の拡大断面図である。図3は、図1におけるA部分の拡大図であり、図4は、図1におけるB部分の拡大図である。
【0028】
上述したように、キャスク11は、胴部12において、胴本体21の外周部にケーシングとしての外筒25が設けられ、胴本体21と外筒25との空間部に、レジン26が収容されている。そして、図3に示すように、キャスク11は、レジン26と外筒25の内周面との間に、空隙Dが形成されている。この空隙Dは、放射性物質を収納した後、すなわち、バスケット14のセル14Aに放射性物質を挿入し、蓋部13を取り付けて胴本体21の内部を密閉した後、放射性物質の発熱によるレジン26の膨張を許容する膨張代となる。また、外筒25は、その外部に空隙Dを開通する開通穴25Aが設けられている。本実施形態では、外筒25の下部に開通穴25Aが設けられている。また、外筒25は、開通穴25Aを開閉可能に着脱される栓部材25Bが設けられている。栓部材25Bは、開通穴25Aの内周面に形成された雌ネジ部25Aaに螺合する雄ネジ部25Baと、開通穴25Aの外側開口部に形成された段部25Abに没入されるフランジ部25Bbと、回転用工具(図示略)が係止可能な工具用係止穴25Bcとを有する。また、段部25Abとフランジ部25Bbとの間に、シール部材(図示略)が配置され、外筒25内側の空間を密閉空間とする。
【0029】
すなわち、回転用工具により栓部材25Bを回転させることにより、開通穴25Aの雌ネジ部25Aaに雄ネジ部25Baが螺合して栓部材25Bが開通穴25Aに取り付けられ、開通穴25Aが閉塞される。一方、回転用工具により栓部材25Bを逆に回転させることにより、開通穴25Aの雌ネジ部25Aaと雄ネジ部25Baとの螺合が離れて栓部材25Bが開通穴25Aから取り外され、開通穴25Aが開放される。
【0030】
また、栓部材25Bは、その中心部に空隙Dを開通する貫通穴25Bdが形成され、当該貫通穴25Bdに、可溶栓25Cが嵌入されている。可溶栓25Cは、所定温度で溶けることで貫通穴25Bdを開通させる。なお、可溶栓25Cは、栓部材25Bとは別に設けられていてもよい。
【0031】
また、上述したように、キャスク11は、胴部12において、底部23の下側にケーシングとしての底板28が設けられ、胴本体21と底板28との空間部に、レジン29が収容されている。そして、図4に示すように、キャスク11は、レジン29と底板28の内周面との間に、空隙Dが形成されている。この空隙Dは、放射性物質を収納した後、すなわち、バスケット14のセル14Aに放射性物質を挿入し、蓋部13を取り付けて胴本体21の内部を密閉した後、放射性物質の発熱によるレジン29の膨張を許容する膨張代となる。また、底板28は、その外部に空隙Dを開通する開通穴28Aが設けられている。また、底板28は、開通穴28Aを開閉可能に着脱される栓部材28Bが設けられている。栓部材28Bは、開通穴28Aの内周面に形成された雌ネジ部28Aaに螺合する雄ネジ部28Baと、開通穴28Aの外側開口部に形成された段部28Abに没入されるフランジ部28Bbと、回転用工具(図示略)が係止可能な工具用係止穴28Bcとを有する。また、段部28Abとフランジ部28Bbとの間に、シール部材(図示略)が配置され、底板28内側の空間を密閉空間とする。
【0032】
すなわち、回転用工具により栓部材28Bを回転させることにより、開通穴28Aの雌ネジ部28Aaに雄ネジ部28Baが螺合して栓部材28Bが開通穴28Aに取り付けられ、開通穴28Aが閉塞される。一方、回転用工具により栓部材28Bを逆に回転させることにより、開通穴28Aの雌ネジ部28Aaと雄ネジ部28Baとの螺合が離れて栓部材28Bが開通穴28Aから取り外され、開通穴28Aが開放される。
【0033】
また、栓部材28Bは、その中心部に空隙Dを開通する貫通穴28Bdが形成され、当該貫通穴28Bdに、可溶栓28Cが嵌入されている。可溶栓28Cは、所定温度で溶けることで貫通穴28Bdを開通させる。なお、可溶栓28Cは、栓部材28Bとは別に設けられていてもよい。
【0034】
以下、本実施形態の放射性物質収納容器管理方法について説明する。図5は、本実施形態に係る放射性物質収納容器管理方法を示すタイムチャート図であり、図6は、本実施形態に係る放射性物質収納容器管理方法と他の管理方法との空隙内圧力を比較するグラフである。
【0035】
図5において、S1は、原子炉建屋において放射性物質をキャスク11に収納したタイミングである。S1〜S2は、放射性物質の発熱によりキャスク11各部の温度が定常状態となるまで原子炉建屋にキャスク11を保管している。S2〜S3は、キャスク11を原子炉建屋から貯蔵建屋に輸送している。S3〜S4は、貯蔵建屋でキャスク11を貯蔵している。S4〜S5は、キャスク11を貯蔵建屋から再処理施設に輸送している。
【0036】
本実施形態の放射性物質収納容器管理方法は、S1にて放射性物質をキャスク11に収納する際、栓部材25B,28Bを取り付けた状態とする。そして、放射性物質をキャスク11に収納した後、S1〜S2において、放射性物質の発熱によりキャスク11各部の温度が上昇し、一定時間経過ののち定常状態となり、空隙Dの内部圧力が上がるため(図5中t1)、このタイミングで栓部材25B,28Bを取り外し、キャスク11を原子炉建屋から貯蔵建屋に輸送する前に空隙Dの内部圧力を大気圧と等しくしてから、栓部材25B,28Bを取り付ける。その後、S2〜S3において、キャスク11を原子炉建屋から貯蔵建屋に輸送した場合、放射性物質の発熱により空隙Dの内部圧力が上がるため(図5中t2)、このタイミングで栓部材25B,28Bを取り外し、キャスク11を貯蔵建屋で貯蔵する前に空隙Dの内部圧力を大気圧と等しくしてから、栓部材25B,28Bを取り付ける。その後、S3〜S4において、貯蔵建屋でキャスク11を貯蔵した場合、放射性物質の発熱により空隙Dの内部圧力が上がるため(図5中t3)、このタイミングで栓部材25B,28Bを取り外し、キャスク11を再処理施設に輸送する前に空隙Dの内部圧力を大気圧と等しくしてから、栓部材25B,28Bを取り付ける。S4〜S5において、キャスク11を貯蔵建屋から再処理施設に輸送した場合、放射性物質の発熱により空隙Dの内部圧力が上がるが、再処理施設でキャスク11から放射性物質を取り出すため、キャスク11は不要となる。
【0037】
なお、貯蔵建屋でキャスク11を貯蔵しているS3〜S4の途中で、栓部材25B,28Bを取り外し、空隙Dの内部圧力を大気圧と等しくしてから、栓部材25B,28Bを取り付けて貯蔵を継続してもよい。
【0038】
このように、本実施形態の放射性物質収納容器管理方法は、一方に開口部22が形成されて他方に閉塞部(底部23)が形成されて筒形状をなし、その内部に放射性物質収納部(バスケット14)を有する胴部12と、開口部22を閉塞するように胴部12に対して着脱可能な蓋部13と、胴部12の外周部に設けられて中性子遮蔽体(レジン26,29)を収容するとともに空隙Dを有する密閉空間を形成するケーシング(外筒25,底板28)と、を備える放射性物質収納容器(キャスク11)を管理するための放射性物質収納容器管理方法であって、ケーシング(外筒25,底板28)に、空隙Dをケーシング(外筒25,底板28)の外部に開通する開通穴25A,28A、および開通穴25A,28Aを開閉可能に着脱される栓部材25B,28Bを設けておき、放射性物質収納容器(キャスク11)に放射性物質を収納した後、栓部材25B,28Bを取り外して開通穴25A,28Aを開放してケーシング内の上昇した圧力を開放し、その後栓部材25B,28Bを取り付ける。
【0039】
例えば、放射性物質をキャスク11に収納した後、放射性物質の発熱によりキャスク11各部の温度が上昇し、空隙Dの内部圧力が上昇することになる。そこで、この放射性物質収納容器管理方法によれば、放射性物質をキャスク11に収納した後、栓部材25B,28Bを取り外して開通穴25A,28Aを開放することで、空隙Dの内部圧力を大気圧まで降下させることができる。
【0040】
具体的に、図6に示すように、本実施形態における放射性物質収納容器管理方法をC1とし、上述した特許文献1や特許文献2のようにリリーフ弁や圧力逃し弁を設けた場合をC2とし、本実施形態における栓部材25B,28B、および特許文献1や特許文献2のリリーフ弁や圧力逃し弁を設けない場合をC3とする。C3では、空隙Dの内部圧力を降下させることができないため、空隙Dの内部圧力に耐え得る設計をしなければならず、キャスク11の重量増加および製造コスト増加の問題がある。また、C2では、リリーフ弁や圧力逃し弁を設けたことで、空隙Dの内部圧力を一定以下に抑えることができるが、弁を開閉移動させる移動機構、および移動機構を一定圧力以下の環境で閉止保持する保持機構に対して、空隙Dの内部圧力が常に付与されるため、移動機構および保持機構を長期保証することができず弁の故障が懸念される。一方、本実施形態であるC1によれば、栓部材25B,28Bを取り外して開通穴25A,28Aを開放することで、空隙Dの内部圧力を大気圧まで降下させることから、空隙Dの内部圧力に耐え得る設計を低レベルとしてキャスク11の重量増加および製造コスト増加の問題を解消することができ、かつリリーフ弁や圧力逃し弁のような移動機構および保持機構を要さないため、故障の要因がなく、圧力上昇の抑制機能を長期に亘り保証することができる。
【0041】
また、本実施形態の放射性物質収納容器管理方法は、放射性物質が収納された放射性物質収納容器(キャスク11)を輸送する前に、栓部材25B,28Bを取り外して開通穴25A,28Aを開放し、その後栓部材25B,28Bを取り付けることが好ましい。
【0042】
放射性物質の発熱は、輸送時にも生じるため、輸送前に空隙Dの内部圧力を大気圧まで降下させることで、空隙Dの内部圧力の上昇をより抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態の放射性物質収納容器管理方法は、放射性物質が収納された放射性物質収納容器(キャスク11)を輸送した後に、栓部材25B,28Bを取り外して開通穴25A,28Aを開放し、その後栓部材25B,28Bを取り付けることが好ましい。
【0044】
放射性物質の発熱は、輸送時にも生じるため、輸送後に空隙Dの内部圧力を大気圧まで降下させることで、空隙Dの内部圧力の上昇をより抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態の放射性物質収納容器管理方法は、放射性物質が収納された放射性物質収納容器(キャスク11)の貯蔵中に、栓部材25B,28Bを取り外して開通穴25A,28Aを開放し、その後栓部材25B,28Bを取り付けることが好ましい。
【0046】
放射性物質の発熱は、貯蔵中にも生じるため、貯蔵中に空隙Dの内部圧力を大気圧まで降下させることで、空隙Dの内部圧力の上昇をより抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態の放射性物質収納容器管理方法は、栓部材25B,28Bが、可溶栓25C,28Cを含むことが好ましい。
【0048】
栓部材25B,28Bが可溶栓25C,28Cを含み構成されることで、栓部材25B,28Bと可溶栓25C,28Cとを別々に設ける必要がないため、キャスク11の重量増加および製造コスト増加を抑制する効果を顕著に得ることができる。特許文献1や特許文献2のようにリリーフ弁や圧力逃し弁を設ける場合は、可溶栓を別途設ける必要がある。
【0049】
なお、上述した実施形態において、キャスク11を製造した際、キャスク11の胴本体21の内部にヒータを配置して熱の伝熱試験を行う。この際、栓部材25B,28Bを外しておき、試験終了後、温度が上昇した状態(放射性物質を収納した場合の定常状態の温度以上)で栓部材25B,28Bを取り付けることが好ましい。このようにすると、その後の温度低下により、空隙Dの内部圧力が負圧となるため、放射性物質をキャスク11に収納した後の空隙Dの内部圧力の上昇レベルを低く抑え、空隙Dの内部圧力の上昇をより抑制することができる。また、上記伝熱試験の際、栓部材25B,28Bを取り付けている場合は、試験終了後、栓部材25B,28Bを取り外して開通穴25A,28Aを開放してケーシング内の上昇した圧力を開放し、その後栓部材25B,28Bを取り付ければ、空隙Dの内部圧力を大気圧まで降下させることで、キャスク11に放射性物質を収納した後の空隙Dの内部圧力の上昇を抑制することができる。
【符号の説明】
【0050】
11 キャスク(放射性物質収納容器)
12 胴部
13 蓋部
14 バスケット(放射性物質収納部)
22 開口部
23 底部(閉塞部)
25 外筒(ケーシング)
25A 開通穴
25B 栓部材
25C 可溶栓
26 レジン(中性子遮蔽体)
28 底板(ケーシング)
28A 開通穴
28B 栓部材
28C 可溶栓
29 レジン(中性子遮蔽体)
D 空隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6