(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1乃至5のいずれか一つの淡水化装置を用い、原水中の塩分を除去して淡水を得ると共に、淡水化処理後の塩分濃縮水から塩化ナトリウム及び有価物を得ることを特徴とする淡水、塩及び有価物の併産方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献2の提案において、塩分濃縮水を原水側に戻すようにする場合、電気透析部で1価の塩(Na塩)を除去した後に、原水側にそのまま戻すようにしているので、逆浸透膜装置への1価の塩(Na)の塩分濃度が低減し、逆浸透膜装置での低動力化が可能になる。しかしながら、電気透析部からの脱塩液には、2価イオン等の多価イオンが蓄積するため、逆浸透膜装置での膜へ例えば硫酸カルシウム(CaSO
4)等のスケール析出が発生する、という問題がある。
【0006】
電気透析部での脱塩水を、逆浸透膜装置の入口側に戻すことで、その後、さらに蒸発晶析、冷却晶析、反応晶析等の各種晶析手段で回収される有価物(例えば塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)等の純度が、循環された2価イオン由来の析出物により低下する、という問題がある。
【0007】
また、1価イオンが除去された脱塩水中にはホウ素が含まれているので、これを循環再利用する場合、生産水のホウ素濃度の増加が生じるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、電気透析部からの脱塩水中に含まれる多価イオンを除去すると共にホウ素を除去し、回収する有価物の純度を向上することができる淡水化装置及び淡水化方法、並びに淡水、塩及び有価物の併産方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決する第1の発明は、原水中の塩分が除去された淡水と原水中の塩分が濃縮された塩分濃縮水とを得る淡水化部と、前記塩分濃縮水を電気透析し、濃縮かん水と希釈かん水とを得る電気透析部と、前記希釈かん水中の残存イオンを有価物として回収し、塩分除去水とする反応晶析部と、前記塩分除去水中のホウ素を除去するホウ素除去部と、前記ホウ素が除去されたホウ素除去液を、前記淡水化部の入り口側の原水に循環水として循環する循環ラインと、前記濃縮かん水を蒸発晶析する蒸発晶析部と、前記蒸発晶析部からの濃縮された塩化ナトリウムスラリーから固体の塩化ナトリウムと脱塩化物スラリーとに固液分離する固液分離部と、前記脱塩化物スラリーから
カリウム塩を有価物として回収する冷却晶析部と、を備えることを特徴とする淡水化装置にある。
【0010】
本発明によれば、希釈かん水中に残存する多価のイオンを反応晶析部で除去した塩分除去水中に含まれるホウ素を、ホウ素除去部で除去するので、淡水化部に戻す循環水中のホウ素濃度を低下させ、再循環される循環水中には、多価のイオンの蓄積がなく、淡水化部の膜へのスケール析出が発生することが防止される。
また、ホウ素が除去されるので、淡水及び塩分濃縮水中へのホウ素の蓄積が防止される。また、除去されたホウ素を有価物として回収することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記ホウ素除去部でのホウ素除去において、アルカリ条件で行う際、前記ホウ素除去後の循環水に酸を供給する酸供給部を備えることを特徴とする淡水化装置にある。
【0012】
本発明によれば、アルカリ条件でホウ素を除去した後、淡水化部での淡水化に好適なpHに調整することができる。
【0013】
第3の発明は、第1の発明において
、前記固液分離部で分離された前記塩化ナトリウムを用い、水酸化ナトリウム水溶液及び塩酸を得る電気化学処理部と、前記塩酸を前記淡水化部の入り口側に供給する塩酸供給ラインとを備えることを特徴とする淡水化装置にある。
【0014】
本発明によれば、アルカリ条件でホウ素を除去した後、淡水化部での淡水化に好適なpHに塩酸により調整することができる。この際、淡水化装置内で塩酸を製造できるので、オンサイトで塩酸を供給することができる。これにより、外部からの薬剤の購入が不要となると共に、保管設備等も不要となり、淡水製造の生産効率の向上を図ることができる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明において、前記水酸化ナトリウム水溶液を前記反応晶析部に供給する水酸化ナトリウム水溶液供給ラインを備えることを特徴とする淡水化装置にある。
【0016】
本発明によれば、反応晶析部でアルカリ条件での薬剤として、水酸化ナトリウム水溶液をオンサイトで供給することができ、アルカリ条件の晶析反応によりマグネシウム塩を回収することができる。
また、多価のイオンを反応晶析部で分離するので、再循環される循環中には、多価のイオンの蓄積がなく、淡水化部の膜へのスケール析出が発生することが防止される。
また、有価物として塩を回収する場合、純度の高い塩を回収することができる。この結果、有価物の回収効率の向上を図ることができる。
【0017】
第5の発明は、第3又は4の発明において、前記塩酸を前記反応晶析部に供給する塩酸供給ラインを備えることを特徴とする淡水化装置にある。
【0018】
本発明によれば、反応晶析部で酸性条件での薬剤として、塩酸をオンサイトで供給することができ、酸性条件で炭酸成分を除去することで、炭酸カルシウムの析出を抑制し、水酸化マグネシウムを高純度で回収することができる。
【0019】
第6の発明は、第1乃至5のいずれか一つの発明の淡水化装置を用い、原水中の塩分を除去して淡水を得ると共に、淡水化処理後の塩分濃縮水から塩化ナトリウム及び有価物を得ることを特徴とする淡水、塩及び有価物の併産方法にある。
【0020】
本発明によれば、ホウ酸が除去された淡水を製造すると共に、淡水化装置内で発生した塩化ナトリウムの一部を用いて、塩酸と水酸化ナトリウムとの有価物を回収し、この得られた塩酸と水酸化ナトリウムとを用いて、淡水化処理をするので、外部からの薬剤の購入が不要となると共に、保管設備等も不要となり、淡水と塩化ナトリウムと有価物との製造の生産効率の向上を図ることができる。
【0021】
第7の発明は、原水中の塩分が除去された淡水と原水中の塩分が濃縮された塩分濃縮水とを得る淡水化工程と、前記塩分濃縮水を電気透析し、濃縮かん水と希釈かん水とを得る電気透析工程と、前記希釈かん水中の残存イオンを有価物として回収し、塩分除去水とする反応晶析工程と、前記塩分除去水中のホウ素を除去するホウ素除去工程と、前記ホウ素が除去されたホウ素除去液を、前記淡水化工程の入り口側の原水に循環水として循環する循環工程と、前記濃縮かん水を蒸発晶析する蒸発晶析工程と、前記蒸発晶析部からの濃縮された塩化ナトリウムスラリーから固体の塩化ナトリウムと脱塩化物スラリーとに固液分離する固液分離工程と、前記脱塩化物スラリーから
カリウム塩を有価物として回収する冷却晶析工程と、を有することを特徴とする淡水化方法にある。
【0022】
本発明によれば、希釈かん水中に残存する多価のイオンを反応晶析工程で除去した塩分除去水中に含まれるホウ素を、ホウ素除去部で除去するので、淡水化工程に戻す循環水W
21中のホウ素濃度を低下させ、再循環される循環水W
21中には、多価のイオンの蓄積がなく、淡水化工程の膜へのスケール析出が発生することが防止される。
また、ホウ素が除去されるので、淡水及び塩分濃縮水中へのホウ素の蓄積が防止される。また、除去されたホウ素を有価物として回収することができる。
【0023】
第8の発明は、第7の発明において、ホウ素除去工程でのホウ素除去において、アルカリ条件で行う際、前記ホウ素除去後の循環水に酸を供給する酸供給工程を有することを特徴とする淡水化方法にある。
【0024】
本発明によれば、アルカリ条件でホウ素を除去した後、淡水化工程での淡水化に好適なpHに調整することができる。
【0025】
第9の発明は、第7の発明において
、前記固液分離された前記塩化ナトリウムを用い、水酸化ナトリウム水溶液及び塩酸を得る電気化学処理工程と、前記塩酸を前記淡水化工程の入り口側に供給する塩酸供給工程とを有することを特徴とする淡水化方法にある。
【0026】
本発明によれば、アルカリ条件でホウ素を除去した後、淡水化工程での淡水化に好適なpHに塩酸により調整することができる。この際、淡水化装置内で塩酸を製造できるので、オンサイトで塩酸を供給することができる。これにより、外部からの薬剤の購入が不要となると共に、保管設備等も不要となり、淡水製造の生産効率の向上を図ることができる。
【0027】
第10の発明は、第9の発明において、前記水酸化ナトリウム水溶液を前記反応晶析工程に供給することを特徴とする淡水化方法にある。
【0028】
本発明によれば、反応晶析工程でアルカリ条件での薬剤として、水酸化ナトリウム水溶液をオンサイトで供給することができ、アルカリ条件の晶析反応によりマグネシウム塩を回収することができる。
また、多価のイオンを反応晶析工程で分離するので、再循環される循環中には、多価のイオンの蓄積がなく、淡水化工程の膜へのスケール析出が発生することが防止される。
また、有価物として塩を回収する場合、純度の高い塩を回収することができる。この結果、有価物の回収効率の向上を図ることができる。
【0029】
第11の発明は、第9又は10の発明において、前記塩酸を前記反応晶析工程に前記塩酸を供給することを特徴とする淡水化方法にある。
【0030】
本発明によれば、反応晶析工程で酸性条件での薬剤として、塩酸をオンサイトで供給することができ、酸性条件で炭酸成分を除去することで、炭酸カルシウムの析出を抑制し、水酸化マグネシウムを高純度で回収することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、電気透析による希釈かん水中に残存する多価のイオンを反応晶析部で除去した塩分除去水中に含まれるホウ素を、ホウ素除去部で除去するので、淡水化部に戻す循環水中のホウ素濃度を低下させ、再循環される循環水中には、多価のイオンの蓄積がなく、淡水化部の膜へのスケール析出が発生することが防止される。
また、ホウ素が除去されるので、淡水及び塩分濃縮水中へのホウ素の蓄積が防止される。また、除去されたホウ素を有価物として回収することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施の形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施可能である。また、各実施の形態に係る淡水化装置の構成は、適宜組み合わせて実施可能である。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る海水の淡水化装置の概略図であり、
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る他の海水の淡水化装置の概略図である。
図1に示すように、海水の淡水化装置10Aは、海水ラインL
11により供給される供給海水(原水)W中の塩分が除去された淡水W
11と供給海水(原水)W中の塩分が濃縮された塩分濃縮水W
12とを得る淡水化部12と、塩分濃縮水W
12を電気透析し、濃縮かん水W
13と希釈かん水W
14とを得る電気透析部13と、希釈かん水W
14中の残存イオンを有価物61として回収し、脱塩水W
20とする反応晶析部23と、脱塩水W
20中のホウ素を除去するホウ素除去部51と、ホウ素が除去されたホウ素除去液を、淡水化部12の入り口側の供給海水(原水)Wに循環水W
21として循環する循環ラインL
21とを備える。
【0035】
本発明によれば、希釈かん水W
14中に残存する多価のイオンを反応晶析部23で除去した脱塩水W
20中に含まれるホウ素60を、ホウ素除去部51で除去するので、淡水化部12に戻す循環水W
21中のホウ素濃度を低下させ、再循環される循環水W
21中には、多価のイオンの蓄積がなく、淡水化部12の膜へのスケール析出が発生することが防止される。
また、ホウ素が除去されるので、淡水及び塩分濃縮水中へのホウ素の蓄積が防止される。また、除去されたホウ素を有価物61として回収することができる。
【0036】
淡水化部12は、供給海水Wを蒸留し、供給海水W中の塩分が除去された淡水W
11を得ると共に、供給海水W中の塩分が濃縮された塩分濃縮水W
12を得る。淡水化部12としては、特に限定されるものではないが、蒸発法以外に、逆浸透膜装置を用いた膜分離法等を適用することができる。
【0037】
ここで、逆浸透膜装置としては、例えば、複数の逆浸透膜エレメント(逆浸透膜モジュール)を容器内に備えて構成され、各逆浸透膜エレメントで処理して得られた淡水W
11と塩分濃縮水W
12とをそれぞれ容器から導出(排出)させるための濃縮水管(濃縮水排出経路)と透過水管(淡水排出経路)を接続して配設されている。
【0038】
逆浸透膜装置の逆浸透膜としては、一般的な逆浸透(RO:Reverse Osmosis)膜(以下「RO膜」ともいう)や、NF(Nanofiltration)膜(以下「NF膜」ともいう)などを用いることができる。
【0039】
また、本実施の形態では、原水としての供給海水Wを淡水化部12で処理して淡水W
11と塩分濃縮水W
12とを得ているが、塩分を含むものであれば海水以外の水を原水として用いてもよい。また供給海水Wとしては、例えば、くみ上げた海水や、一度冷媒としてプラント内で使用された後の海水等を用いることもできる。
【0040】
電気透析部13は、電気透析膜(ED:Elecrodialysis膜)13aを有する。電気透析部13は、電気透析膜13aにより塩分濃縮水W
12を電気透析して塩分濃縮水W
12中の塩分が濃縮された濃縮かん水W
13と塩分濃縮水W
12中の塩分が除去された希釈かん水W
14とを得る。
電気透析手法としては、例えば、陽イオンのみを透過する陽イオン交換膜と陰イオンのみを透過する陰イオン交換膜を交互に配列し、これら陽イオン交換膜と陰イオン交換膜の両端から電圧を印加して直流電流を通電できるように構成されている。また、電気透析部13においては、塩分濃縮水W
12を処理して得られる濃縮かん水W
13と希釈かん水W
14は、それぞれ、排出ラインL
14、L
15により排出されている。
【0041】
ここで、淡水化部12からの塩分濃縮水W
12を供給する供給ラインL
13は、電気透析部13側に一部が分岐され、分岐されない塩分濃縮水W
12は、供給ラインL
13を介して外部に排水17として排出される。
【0042】
反応晶析部23は、反応晶析法により多価のイオンを晶析させる。
例えばカルシウム塩(Ca塩)を晶析させる場合には、アルカリ条件、酸性条件により有価物(硫酸カルシウム、炭酸カルシウム等)61として回収する。
【0043】
ここで、アルカリ条件での晶析反応は、水酸化カルシウムを用いる。酸性条件での晶析反応は、例えば硫酸、塩酸を用いる。
【0044】
反応晶析部23で、まずCa塩を反応晶析により、除去した後、アルカリ条件で有価物(Mg塩)61として回収する。
ここで、硫酸、塩酸を用いて、水酸化マグネシウム回収前に供給するのは、希釈かん水W
14のpHを下げ、下記反応式(1)、(2)により、同水中の炭酸成分を揮発・除去することで、炭酸カルシウムの析出を抑制するようにしている。これにより酸化マグネシウムを高純度で回収することができる。
Ca(HCO
3)
2+2HCl→CaCl
2+2H
2O+2CO
2↑・・・(1)
Ca(HCO
3)
2+H
2SO
4→CaSO
4+2H
2O+2CO
2↑・・・(2)
【0045】
ホウ素除去部51は、反応晶析部23で多価のイオンが除去され、循環ラインL
21により供給される脱塩水W
20から、ホウ素60を除去する。ホウ素の除去には、イオン交換樹脂、ホウ素吸着樹脂等を用いて除去することができる。
【0046】
ここで、イオン交換樹脂としては、例えばホウ素吸着樹脂としては、三菱化学社製の「ダイヤイオン(登録商標)CRB(商品名)、Rohm and Haam社製の「Amberlite IRA 743(商品名)」、Dow Dewschland GmbH & Co.、OHG社製の「Dow XUS43594(商品名)」を用いることができる。なお、ホウ素(ホウ酸イオンなど)との間で選択的にイオン交換が生じ、ホウ素を回収可能なイオン交換樹脂を用いるようにしてもよい。
【0047】
また、ホウ素を吸着法によって捕集・除去する場合には、例えば、セリウム系吸着剤、キレート系吸着剤等のホウ素を吸着回収可能な吸着剤を有するホウ素除去部としてもよい。
【0048】
また、ホウ素を吸着及び/又はイオン交換によって捕集する以外としては、例えば電気透析法により除去するようにしてもよい。
【0049】
ホウ素は、下記式(3)のように、ホウ酸としてイオン状態で解離している。脱塩水W
20は、Mg塩を除去する反応晶析によりアルカリ側(pH9〜11程度)になっているので、反応晶析前よりイオン状態のホウ酸濃度の割合が高く、アルカリ側でpHが高い方がイオン交換に有利となる。
B(OH)
3+ H
2O ⇔ B(OH)
4-+H
+・・・(3)
【0050】
循環ラインL
21は、ホウ素を除去したホウ素除去水を淡水化部12の入り口側の供給海水(原水)Wに循環水W
21として循環する。
【0051】
本実施形態によれば、希釈かん水W
14中に残存する多価のイオンを反応晶析部23で除去した脱塩水W
20中に含まれるホウ素(B)を、ホウ素除去部51で除去する。この結果、淡水化部12に戻す循環水W
21中のホウ素濃度を低下させ、再循環される循環水W
21中には、多価のイオンの蓄積がなく、淡水化部12の膜へのスケール析出が発生することが防止されると共に、ホウ素が除去されるので、淡水及び塩分濃縮水中へのホウ素の蓄積が防止される。また、除去されたホウ素を有価物として回収することができる。
【0052】
ホウ素除去部51の設置位置は、循環ラインL
21の脱塩水W
20を分岐ラインL
21Aで分岐する分岐部53の前後のいずれでも良い(
図2参照)。
【0053】
ここで、ホウ素を有価物として多く回収したい場合は、
図1に示すように、分岐部53と前流側である、反応晶析部23と分岐部53との間にホウ素除去部51を配置される。
【0054】
これに対し、
図2に示す淡水化装置10Bでは、分岐部53の後流側にホウ素除去部51が配置される。この配置とすることで、循環ラインL
21で循環する循環水W
21中のホウ素を除去するだけで良いので、ホウ素除去部51の容量を最小限にすることができる。
【0055】
このホウ素が除去された循環水W
21の循環再利用により、供給海水Wの供給量を低減することができるので、例えば前処理装置を淡水化部12の前流側に設置する場合には、その前処理装置の装置規模の小型化を図ることができる。
また、循環水W
21中には、電気透析部13で1価のイオンを除去し、さらに反応晶析部23で多価イオンの塩分濃度を低下させているので、総塩分濃度が低減され、例えば淡水化部12として逆浸透膜装置を用いた場合その原水を高圧にする際における動力の低減を図ることができる。
ここで、淡水化装置内で得られた塩化ナトリウムから得られた塩酸や水酸化ナトリウムは、ホウ素吸着樹脂の再生に使用することができる。
【0056】
次に、本実施の形態に係る淡水化装置10Aの全体動作について説明する。
淡水化部12に供給された供給海水Wは、淡水化処理により供給海水W中の塩分が除去された淡水W
11と供給海水W中の塩分が濃縮された塩分濃縮水W
12とになる。淡水W
11は、供給ラインL
12を介して排出され、製造水14として利用される。塩分濃縮水W
12は、供給ラインL
13を介して一部が電気透析部13に供給されると共に、一部が排水17として排出される。
【0057】
電気透析部13に供給された塩分濃縮水W
12は、電気透析膜13aによって塩分濃縮水W
12中の塩分が更に濃縮され濃縮かん水W
13と塩分濃縮水W
12中の塩分が除去された希釈かん水W
14となる。ここで、濃縮かん水W
13は、塩分濃縮水W
12に含まれる1価の塩(Na(ナトリウム)塩、K(カリウム)塩等)が多く含まれる。希釈かん水W
14は、塩分濃縮水W
12に含まれる多価の塩(Mg(マグネシウム)塩、Ca(カルシウム)塩等)が多く含まれる。
【0058】
電気透析部13からの希釈かん水W
14は、反応晶析部23に送られ、反応晶析法により多価のイオンを晶析させる。
この反応晶析により、多価のイオンである例えばカルシウム塩(Ca塩)と、マグネシウム塩が有価物61として回収される。
【0059】
反応晶析部23で多価のイオンが除去された脱塩水W
20は、ホウ素除去部51に送られ、ここでホウ素が、例えばイオン交換膜法、ホウ素吸着樹脂法等により除去される。
【0060】
酸供給部52は、循環水W
21のpHを淡水化部12の淡水化条件とするものであり、例えば硫酸、塩酸等の酸52aにより、pHが調整される。これにより、アルカリ条件でホウ素を除去した場合、淡水化部12での淡水化に好適なpHに調整することができる。
【0061】
ホウ素が除去されたホウ素除去水は、淡水化部12の入り口側の供給海水(原水)Wに循環水W
21として循環する。
【0062】
ここで、本実施形態に係る淡水化装置10Aにおいては、従来技術のように、電気透析部13からの希釈かん水W
14をそのまま循環ラインで、供給海水側へ循環せず、一度反応晶析部23で多価のイオンを有価物61として回収し、さらに脱塩水W
20のホウ素をホウ素除去部51で除去した後に、循環水W
21として再循環するようにしている。この結果、循環水として淡水化部12に戻す循環水W
21中の多価のイオンの塩分濃度が低下し、淡水化部12での動力の低減を図ることができると共に、ホウ素が除去されるので、ホウ素蓄積が防止される。
【0063】
また、多価のイオンを反応晶析部23で分離するので、再循環される循環水W
21中には、多価のイオンの蓄積がなく、例えば淡水化部12として逆浸透膜装置を用いる場合には、逆浸透膜膜へのスケール析出が発生することが防止される。
また、循環水として多価イオン及びホウ素の蓄積がないので、有価物として塩を回収する場合、純度の高い塩を回収することができる。この結果、有価物の回収効率の向上を図ることができる。
【0064】
また、本実施形態の淡水化方法においては、原水(供給海水)W中の塩分が除去された淡水W
11と原水中の塩分が濃縮された塩分濃縮水W
12とを得る淡水化工程と、前記塩分濃縮水W
12を電気透析し、濃縮かん水W
13と希釈かん水W
14とを得る電気透析工程と、前記希釈かん水W
14中の残存イオンを有価物61として回収し、脱塩水W
20とする反応晶析工程と、前記脱塩水W
20中のホウ素を除去するホウ素除去工程と、ホウ素が除去されたホウ素除去液を、前記淡水化部12の入り口側の原水に循環水W
21として循環する循環工程と、を有する。
【0065】
したがって、本実施形態の淡水化装置及び方法によれば、希釈かん水W
14中に残存する多価のイオンを反応晶析部23で除去した脱塩水W
20中に含まれるホウ素(B)を、ホウ素除去部51で除去するので、淡水化部12に戻す循環水W
21中のホウ素濃度を低下させ、再循環される循環水W
21中には、多価のイオンの蓄積がなく、淡水化部12の膜へのスケール析出が発生することが防止される。また、ホウ素が除去されるので、淡水及び塩分濃縮水中へのホウ素の蓄積が防止される。また、除去されたホウ素を有価物として回収することができる。
【0066】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る淡水化装置について説明する。以下においては、上記第1の実施の形態に係る淡水化装置との相違点を中心に説明する。なお、上記第1の実施の形態に係る淡水化装置と同一の構成要素については、同一の符号を付し、説明の重複を避ける。
【0067】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る淡水化装置の概略図である。
図3に示すように、本実施の形態に係る淡水化装置10Cは、第1の実施形態の淡水化装置10Aにおいて、さらに濃縮かん水W
13を蒸発晶析する蒸発晶析部21と、蒸発晶析部21からの濃縮された塩化ナトリウムスラリーを固液分離する固液分離部22と、固液分離された前記塩化ナトリウムを用い、塩酸32及び水酸化ナトリウム水溶液33を得る電気化学処理部30と、得られた塩酸32を淡水化部の入り口側に供給する塩酸供給ラインL25とを備える。なお、本実施形態では、前処理装置11を設置すると共に、淡水化部12として逆浸透膜装置12Aを用いる。
【0068】
本実施形態では、供給海水W中の不純物等を除去する前処理装置11を備えている。この前処理装置11は、海水中の微粒子やコロイドなどの懸濁物、藻類や貝類などの微生物を除去した前処理水W
10とし、逆浸透膜装置12Aの逆浸透膜12aの透水性能が低下する現象(ファウリング現象)を抑えるためのものである。そして、この前処理装置11は、例えば、供給海水W中に無機系や有機系の凝集剤、殺菌剤等の薬剤を添加し、濾過材としての砂を容器に充填してなる砂濾過器に通水して海水中の懸濁物や微生物を除去する。また、砂濾過器を逆洗して濾過性能を回復させるための逆洗ポンプ等を備えている。濾過器内の砂などの担体の表面に生物膜を形成し、濾過性能と生物膜によるBOD成分の分解性能を併用して海水の前処理を行うように構成してもよい。なお、例えば一度前処理された処理海水をプラント用の冷却水として用いた海水に対して淡水化するような場合には、この前処理装置は省略されるようにしてもよい。
【0069】
蒸発晶析部21は、電気透析部13から供給される濃縮かん水W
13を蒸発晶析させて塩(塩化ナトリウム(NaCl))を得ると共に、蒸発水W
15を得る。また、蒸発晶析部21からの蒸発水W
15は、供給ラインL
16及び供給ラインL
12を介して淡水W
11と合流し、製造水14として排出する。
【0070】
ここで、蒸発晶析部21は、例えば多重効用蒸発缶、薄膜蒸発乾燥器又はドラムドライヤー等を例示することができ、この蒸発処理によって得られた析出物の塩化ナトリウムスラリーS
1を排出する排出ラインL
17が、固液分離部22に接続されている。
【0071】
固液分離部22は、蒸発晶析部21からの濃縮された塩化ナトリウムスラリーS
1を固液分離するものであり、有価物としての塩化ナトリウム(固体)34を得る。
また、塩化ナトリウムを分離した脱塩化ナトリウムスラリーS
2は排出ラインL
18を介して排出される。
また、分離された塩化ナトリウムは、排出ラインL
21を介して排出され、その一部は溶解部29に導入される。また、残りの塩化ナトリウム(固体)34は、有価物として排出ラインL
22を介して排出される。
【0072】
溶解部29は、分離された塩化ナトリウムの一部を用いて、淡水W
11により溶解し、塩化ナトリウム水溶液を得る。この溶解には淡水化処理により得られた淡水W
11と、蒸発水W
15とが供給ラインL
31、L
32によりいずれか一方又は両方から供給されている。溶解された塩化ナトリウム水溶液は、供給ラインL
23を介して電気化学処理部30へ供給される。
【0073】
電気化学処理部30は、供給された塩化ナトリウム水溶液を用いて、例えば電気分解又は電気透析等の電気化学処理により、塩酸32及び水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液33を得る。
【0074】
本実施形態では、塩酸(HCl)32を供給する塩酸供給ラインL
25は、逆浸透膜装置12Aの入り口側に供給するように、海水ラインL
11に接続されている。
なお、pHを計測するpH計54が逆浸透膜装置12Aの入り口側に設置され、塩酸でのpH調整をしている。
【0075】
また、本実施形態では、淡水W
11を排出する供給ラインL
12に、塩酸32を供給する塩酸供給ラインL
25と、水酸化ナトリウム水溶液33を供給する水酸化ナトリウム水溶液供給ラインL
26とが接続されている。
【0076】
また、淡水化装置のプラント停止の際における逆浸透膜装置12及びホウ素除去部51の洗浄用として、塩酸32及び水酸化ナトリウム水溶液33を供給するために、塩酸32を供給する塩酸供給ラインL
25及び水酸化ナトリウム水溶液33を供給する水酸化ナトリウム水溶液供給ラインL
26とを所定の洗浄ラインに接続されるようにしても良い。
【0077】
次に、本実施の形態に係る淡水化装置10Cの全体動作について説明する。
【0078】
電気透析部13からの1価のイオンが濃縮された濃縮かん水W
13から蒸発晶析部21により蒸発水W
15を得ることで、さらに製造水14の製造量の増大を図ることができる。また、蒸発の結果、濃縮された塩化ナトリウムスラリーS
1を固液分離装置22で固液分離して、有価物の塩化ナトリウム(NaCl)34を得る。
【0079】
この得られた塩酸32は、淡水供給ラインL
33により供給される淡水W
11により適宜濃度調整される。
【0080】
本実施形態では、ホウ素除去後の循環水W
21のpH調整と、逆浸透膜装置12Aの濾過に好適なpHの調整のために、塩酸32によりオンサイトで行うことができる。従来においては、pHの調整のために、別途酸(硫酸、塩酸)を購入し、購入した薬剤を淡水化プラント内で保管していたが、これをオンサイトで塩酸32を供給することができ、外部からの薬剤の購入が不要となると共に、保管設備等も不要となり、淡水製造の生産効率の向上を図ることができる。
【0081】
また塩酸32と水酸化ナトリウム水溶液33を、逆浸透膜装置12Aの出口側の淡水W
11中に供給する塩酸供給ラインL
25と水酸化ナトリウム供給ラインL
26とを備えるので、得られた淡水W
11のpHを塩酸32又は水酸化ナトリウム水溶液33のいずれか一方又は両方により任意のpHの値に調整することができる。
【0082】
特に、淡水化処理の条件により、得られる淡水W
11のpHが所望のpHではない場合に、この調整が容易にできる。
【0083】
また、得られた塩酸32又は水酸化ナトリウム水溶液33のいずれか一方又は両方を用いて淡水W
11のpHを調整し、例えば飲料に適したpHに調整することができる。
【0084】
さらに本実施形態では、逆浸透膜装置12Aの入り口側の海水供給ラインL
11に前処理水W
10の温度を計測する温度計(図示せず)を備えるようにしても良い。
特に、供給海水Wの温度が高い場合には、塩酸32を用いてpHを下げる調整を行うことが好ましい。
【0085】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態に係る淡水化装置について説明する。以下においては、上記第1の実施の形態に係る淡水化装置との相違点を中心に説明する。なお、上記第1の実施の形態に係る淡水化装置と同一の構成要素については、同一の符号を付し、説明の重複を避ける。
【0086】
図4は、第3の実施の形態に係る他の淡水化装置の概略図である。
図4に示すように、本実施の形態に係る淡水化装置10Dは、得られた塩酸32及び水酸化ナトリウム水溶液33を、塩酸供給ラインL
25及び水酸化ナトリウム水溶液供給ラインL
26を介して、反応晶析部23に供給している。
【0087】
これにより、得られた塩酸32を反応晶析部23に供給して、酸性条件で炭酸成分を除去することで、炭酸カルシウムの析出を抑制し、水酸化マグネシウムを高純度で回収することができる。
【0088】
また、電気化学処理部30で得られた水酸化ナトリウム水溶液33を反応晶析部23に供給して、アルカリ条件でのMg塩の反応晶析を行うことができる。
【0089】
これにより、反応晶析部23での晶析の際、先ず、塩酸32を供給して、脱炭酸を行い、その後、水酸化ナトリウムを添加してアルカリ側の反応晶析を行うことができ、有価物61としてMg塩(Mg(OH)
2)を反応晶析させることができる。
【0090】
この結果、従来のように、別途酸やアルカリ剤を購入し、淡水化システム内で保管することが解消される。この結果、オンサイトで塩酸32及び水酸化ナトリウム水溶液33を供給することができ、外部からの薬剤の購入が不要となると共に、保管設備等も不要となり、淡水製造の生産効率の向上を図ることができる。
【0091】
このように、本実施の形態に係る淡水化装置10Dによれば、淡水の製造と共に、有価物を高純度で製造でき、その際、回収された塩化ナトリウムを用いて電気化学処理部30により水酸化ナトリウムを製造し、この製造された水酸化ナトリウムを用いて反応晶析部23としてアルカリ状態で反応晶析させることで、純度の高い水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)を得ることができる。
【0092】
さらに、本実施形態では、塩化ナトリウムが除去された脱塩化ナトリウムスラリーS
2から、冷却晶析部24での晶析により有価物(K塩等)62を得ることができる。
なお、蒸発晶析部21での有価物(K塩等)を含む上澄水W
17が排出ラインL
19を介して、冷却晶析部24に導入され、ここで晶析されている。
【0093】
したがって、本実施形態の淡水化装置及び方法によれば、ホウ素が除去された淡水を製造すると共に、電気透析部13からの希釈かん水W
14中に含まれる多価イオンを反応晶析により有価物(Mg塩、Ca塩等)61として反応晶析部23により回収することができる。また、塩化ナトリウムが除去された脱塩化ナトリウムスラリーS
2に含まれる有価物(K塩等)62を冷却晶析部24により回収することができる。なお、本実施形態では有価物の回収に晶析法を用いたが、本発明はこれに限定されず、吸着法により有価物を回収するようにしてもよい。
【0094】
また、この有価物を回収し、ホウ素除去部51でホウ素を除去したホウ素除去水を循環水W
21として循環する場合、多価イオンが除去されているので、ホウ素が除去された淡水を得ることができる。また、ホウ素を有価物として回収することができる。また、循環水W
21は,多価のイオンが除去されているので、逆浸透膜装置12Aに供給する高圧ポンプの動力の大幅な低減を図ることができる。また、多価のイオンを反応晶析部23で分離するので、再循環される循環水W
21中には、多価のイオン(例えばCa
2+)の蓄積がなく、逆浸透膜装置12の逆浸透膜12aでのスケール(例えばCaSO
4等)の析出が防止される。また、回収する有価物の純度を向上することができる。これにより、効率的な淡水、塩及び有価物の併産方法を実現できる。