特許第6231818号(P6231818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鹿島建設株式会社の特許一覧

特許6231818モルタル、モルタル硬化体及び粉体組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231818
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】モルタル、モルタル硬化体及び粉体組成物
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/04 20060101AFI20171106BHJP
   C04B 24/06 20060101ALI20171106BHJP
   C04B 24/38 20060101ALI20171106BHJP
   C04B 20/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   C04B28/04
   C04B24/06 A
   C04B24/38 Z
   C04B20/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-179668(P2013-179668)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-48264(P2015-48264A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】坂田 昇
(72)【発明者】
【氏名】佐野 忍
(72)【発明者】
【氏名】山田 徹
(72)【発明者】
【氏名】福永 義行
(72)【発明者】
【氏名】小林 聖
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−254996(JP,A)
【文献】 特開2008−162837(JP,A)
【文献】 特開2007−254183(JP,A)
【文献】 特開平05−294701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00−32/02
C04B 40/00−40/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、ポルトランドセメントと、微粒分量が1質量%以下である細骨材と、凝結遅延剤とを含有し、
JIS R 5201に準拠して測定されるフロー値が150〜200mmである、コンクリート打継部用モルタル。
【請求項2】
前記凝結遅延剤がオキシカルボン酸塩を含む、請求項1に記載のモルタル。
【請求項3】
前記ポルトランドセメントが、ビーライトを40質量%以上含む低熱ポルトランドセメントである、請求項1又は2に記載のモルタル。
【請求項4】
ポリサッカライド系増粘剤をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のモルタル。
【請求項5】
前記凝結遅延剤の配合量が、前記ポルトランドセメント100質量部に対して1.0〜4.0質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモルタル。
【請求項6】
打継されたコンクリート間に配置されたモルタル硬化体を備え、
前記モルタル硬化体が、水と、ポルトランドセメントと、微粒分量が1質量%以下である細骨材と、凝結遅延剤とを含有するモルタルが凝結してなるモルタル硬化体である、コンクリート打継部。
【請求項7】
前記モルタルが、請求項1〜5のいずれか一項に記載のモルタルである、請求項6に記載のコンクリート打継部。
【請求項8】
打継されるコンクリート間にモルタル層を設けることを特徴とし、
前記モルタル層が、水と、ポルトランドセメントと、微粒分量が1質量%以下である細骨材と、凝結遅延剤とを含有するモルタルから形成される層である、コンクリート打継部の形成方法。
【請求項9】
前記モルタルが、請求項1〜5のいずれか一項に記載のモルタルである、請求項8に記載の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モルタル、モルタル硬化体及び粉体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートの打継部には、コンクリートの初期収縮による応力を緩和するため、凝結までの時間を遅らせた遅延モルタルが用いられている。例えば、特許文献1には、高ビーライト系ポルトランドセメントと、凝結遅延剤と、分散剤とを含むセメント系グラウト組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−300003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のモルタルでは、必ずしも優れた凝結遅延効果が得られない場合や、優れた凝結遅延効果が発現しても、その配合毎に凝結までの期間にばらつきが生じやすい場合あった。
【0005】
本発明は、優れた凝結遅延効果を安定的に発揮することが可能なモルタル及びその硬化体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、水と、ポルトランドセメントと、微粒分量が1質量%以下である細骨材と、凝結遅延剤とを含有する、モルタルに関する。このようなモルタルによれば、凝結遅延剤による凝結遅延効果が顕著に得られるとともに、凝結期間のばらつきを十分に抑制することができる。
【0007】
一態様において、上記凝結遅延剤はオキシカルボン酸塩を含むことが好ましい。このような凝結遅延剤を用いたモルタルでは、細骨材の微粒分量を1質量%以下とすることによる凝結遅延効果及び凝結期間のばらつき抑制の効果を一層顕著に得ることができる。
【0008】
一態様において、上記ポルトランドセメントは、ビーライトを40質量%以上含む低熱ポルトランドセメントであることが好ましい。このようなポルトランドセメントを用いたモルタルでは、細骨材の微粒分量を1質量%以下とすることによる凝結遅延効果及び凝結期間のばらつき抑制の効果を一層顕著に得ることができる。
【0009】
一態様において、上記モルタルは、ポリサッカライド系増粘剤をさらに含有することが好ましい。本発明のモルタルにポリサッカライド系増粘剤をさらに配合することで、凝結遅延効果をさらに向上させることができる。
【0010】
本発明の他の側面は、上記モルタルが凝結してなる、モルタル硬化体に関する。
【0011】
また、本発明のさらに他の側面は、上記ポルトランドセメントと、上記細骨材と、上記凝結遅延剤とを含有する、上記モルタルを製造するための粉体組成物に関する。このような粉体組成物によれば、水と混練することで容易に上記モルタルを製造することができる。
【0012】
また、本発明のさらに他の側面は、上記粉体組成物と水とを混練する工程を有する、上記モルタルの製造方法に関する。このような製造方法によれば、例えば、作業現場等で容易に上記モルタルの調製を行うことができる。
【0013】
また、本発明のさらに他の側面は、水と、ポルトランドセメントと、細骨材と、凝結遅延剤とを含有するモルタルの凝結期間のばらつきを抑制する方法であって、上記細骨材の微粒分量を1質量%以下とする、方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、優れた凝結遅延効果を安定的に発揮することが可能なモルタル及びその硬化体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好適な実施形態について以下に説明する。
【0016】
本実施形態に係るモルタルは、水と、ポルトランドセメントと、微粒分量が1質量%以下の細骨材と、凝結遅延剤とを含有する。
【0017】
このようなモルタルでは、凝結遅延剤による凝結遅延効果が顕著に得られるとともに、凝結期間のばらつきが十分に抑制される。このような効果が奏される理由の一つは、上記モルタルにおいて細骨材の微粒分が多く存在すると、凝結遅延剤と微粒分とが反応することで凝結遅延剤による凝結遅延効果が阻害される場合があり、細骨材の微粒分量を1質量%以下とすることでこの凝結遅延効果の阻害が十分に抑制されるためと考えられる。
【0018】
ポルトランドセメントは、エーライト(3CaO・SiO)、ビーライト(2CaO・SiO)、アルミネート(3CaO・Al)、フェライト(4CaO・Al・Fe)等を主な構成成分とするセメントである。ポルトランドセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等が挙げられ、これらのうち、低熱ポルトランドセメントが好ましい。
【0019】
低熱ポルトランドセメントは、ビーライトを40質量%以上含むポルトランドセメントである。このような低熱ポルトランドセメントによれば、細骨材の微粒分量を1質量%以下とすることによる凝結遅延効果及び凝結期間のばらつき抑制の効果を、一層顕著に得ることができる。また、低熱ポルトランドセメントのアルミネート含有量は、6質量%以下であることが好ましい。
【0020】
本実施形態に係るモルタルにおいて、ポルトランドセメントの含有量(質量)に対する水の含有量(質量)の割合(W/C(%))は、30〜60%であることが好ましい。
【0021】
細骨材は、JIS A 5005で定義される、10mmふるいを全て通過し、5mmふるいを90質量%以上が通過する骨材である。細骨材としては、例えば、川砂、山砂、海砂等の天然骨材;砕石、砕砂、高炉スラグ細骨材等の人工骨材;コンクリート廃材から取り出した再生骨材が挙げられる。また、細骨材としては、珪砂を好適に用いることができる。
【0022】
細骨材の微粒分量は、JIS A 5005の規格では9質量%以下、JIS A 5308の規格では3質量%以下であるが、本実施形態では、当該微粒分量を1質量%以下とすることにより、上述の優れた効果が奏される。なお、本明細書中、細骨材の微粒分量は、75μmふるいを通過する微粒子の量であり、JIS A 1103(骨材の微粒分量試験方法)によって求められる。
【0023】
細骨材の密度は、好ましくは2.5g/cm以上であり、より好ましくは2.5〜3.0g/cmである。
【0024】
細骨材の配合量は、好ましくはポルトランドセメント100質量部に対して0〜300質量部であり、より好ましくは100〜200質量部である。このような配合量とすることで良好な施工性という効果が奏される。
【0025】
凝結遅延剤としては、例えば、オキシカルボン酸塩が挙げられる。凝結遅延剤がオキシカルボン酸塩であるとき、細骨材の微粒分量を1質量%以下とすることによる凝結遅延効果及び凝結期間のばらつき抑制の効果が一層顕著に奏される。
【0026】
オキシカルボン酸塩としては、例えば、グルコン酸,グルコヘプトン酸,クエン酸,酒石酸等を凝結遅延剤として好適に用いることができる。これらのオキシカルボン酸塩は、所望の凝結期間に応じて適宜選択することができる。
【0027】
凝結遅延剤の配合量は、所望の凝結期間に応じて適宜調整することができ、例えば、ポルトランドセメント100質量部に対して0.2〜4.0質量部であり、より好ましくは1.0〜2.0質量部である。凝結遅延剤の配合量を上記範囲とすることで、凝結期間のばらつきを一層顕著に抑制することができる。
【0028】
本実施形態に係るモルタルは、増粘剤をさらに含有していてもよい。増粘剤としては、モルタルに添加される増粘剤を特に制限無く適用できる。増粘剤としては、例えば、ポリサッカライド系増粘剤、セルロース系増粘剤、バイオポリマー系増粘剤、アクリル系増粘剤、アルキルアリルスルホン酸塩及びアルキルアンモニウム塩の二つの界面活性剤を主剤とした特殊増粘剤、フッ化カルシウム系増粘剤が挙げられる。
【0029】
凝結遅延効果が一層顕著に得られる観点からは、本実施形態に係るモルタルは、増粘剤としてポリサッカライド系増粘剤を含有することが好ましい。ポリサッカライド系増粘剤としては、増粘剤として用いられるポリサッカライドを特に制限無く適用できる。ポリサッカライド系増粘剤としては、例えば、ウェランガム、ダイユータンガム、キサンタンガム,ジェランガム等を好適に用いることができる。
【0030】
増粘剤の配合量は、所望の流動性に応じて適宜調整することができ、例えば、ポルトランドセメント100質量部に対して0.1〜1.0質量部であり、より好ましくは0.2〜0.5質量部である。増粘剤の配合量を上記範囲とすることで、凝結期間のばらつきを一層顕著に抑制することができる。
【0031】
本実施形態に係るモルタルは、上記以外の成分を更に含有していてもよい。上記以外の成分としては、例えば、リグニンスルホン酸、メラミンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ポリカルボン酸、アミノスルホン酸、およびそれらを含む材料が挙げられる。
【0032】
本実施形態に係るモルタルは、上述した各成分を混合することによって得ることができる。モルタルに配合する各成分は、一度にまとめて混合してもよいし、撹拌しながら各成分を適宜添加するなど別々に混合してもよい。
【0033】
また、本実施形態に係るモルタルは、水以外の成分を混合した粉体組成物を事前に調製し、この粉体組成物と水とを混練して得ることもできる。粉体組成物は、ポルトランドセメント、細骨材及び凝結遅延剤を少なくとも含有し、このような粉体組成物を事前に調製することで、例えば、作業現場への運搬及び作業現場でのモルタルの調製を容易に行うことができる。
【0034】
本実施形態に係るモルタルのフロー値は、施工性を考慮して適切な値に設定することができ、例えば、打撃が無い状態で100〜350mmであることが好ましく、より好ましくは150〜200mmである。ここで、モルタルのフロー値は、JIS R 5201に準拠して測定される値である。なお、モルタルのフロー値は、例えば水セメント比、単位水量、細骨材量、混和剤添加量を変更することで調整できる。
【0035】
本実施形態に係るモルタルは、上述の各成分を含むものであるため、凝結までの期間が十分に遅延されており、且つ凝結までの期間のばらつきが少ない。
【0036】
コンクリートの打継部に本実施形態に係るモルタルを適用することで、コンクリートの初期の収縮変形が生じている間、未硬化のモルタル層がそれによる応力を十分に緩和することができる。また、本実施形態に係るモルタルは、凝結までの期間のばらつきが少ないため、コンクリートの収縮変形が生じている間にモルタルが凝結してしまうことが避けられるとともに、モルタルの凝結が完了する時期を容易に予測することができるため作業効率の向上が期待できる。
【0037】
以上、本発明のモルタルの好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、上述した実施形態は、本発明のモルタルとしての側面に関するものであるが、本発明は他の側面から捉えることもできる。
【0038】
例えば、本発明の一側面は、上記ポルトランドセメントと、上記細骨材と、上記凝結遅延剤とを含有する、上記モルタルを製造するための粉体組成物に関するものである。このような粉体組成物によれば、水と混練することで容易に上記モルタルを製造することができる。
【0039】
また、本発明の他の側面は、上記粉体組成物と水とを混練する工程を有する、上記モルタルの製造方法に関する。このような製造方法によれば、例えば、作業現場等で容易に上記モルタルの調製を行うことができる。すなわち、本発明の一態様では、水以外の材料を工場で一定量を袋詰めしておき、使用する際に所定量の水と混合することでモルタルを製造することができる。
【0040】
さらに、本発明は、水と、ポルトランドセメントと、細骨材と、凝結遅延剤とを含有するモルタルの凝結期間のばらつきを抑制する方法であって、上記細骨材の微粒分量を1質量%以下とする方法であってもよい。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0042】
[実施例1〜3]
水、ポルトランドセメント、細骨材及び凝結遅延剤を混合してモルタルを調整した。用いた材料は、表1に記載のとおりであり、その配合量は、表2に記載のとおりとした。得られたモルタルについて、JIS R 5201のモルタルフロー試験によって打撃が無い状態でのフロー値を測定し、該フロー値が100〜300mm程度であることを確認した。
【0043】
次いで、得られたモルタルを、φ150×160mmの容器に高さ150mmの位置まで打ち込み、定期的に凝結試験を行い、終結(貫入抵抗値28N/mm)を超えた時を凝結遅延期間とした。なお、凝結試験はJIS A 1147に準じて行った。
【0044】
さらに同様のモルタル調製及び凝結試験を複数回行って、凝結遅延期間の平均及び凝結遅延期間のばらつきを測定した。測定の結果、実施例1(W/C:40%)では、凝結遅延期間の平均は21日であり、凝結までの期間のばらつきは±3日程度であった。また、実施例2(W/C:45%)では、凝結遅延期間の平均は22日であり、凝結までの期間のばらつきは±3日程度であった。また、実施例3(W/C:50%)では、凝結遅延期間の平均は24日であり、凝結までの期間のばらつきは±3日程度であった。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
[実施例4〜6]
セメントを低熱ポルトランドセメント(密度:3.22g/cm)に変更したこと以外は、実施例1〜3と同様にしてモルタルの調製を行い、得られたモルタルについて実施例1と同様にして凝結遅延期間の測定を行った。
【0048】
測定の結果、実施例4(W/C:40%)では、凝結遅延期間の平均は54日であり、凝結までの期間のばらつきは±1日程度であった。また、実施例5(W/C:45%)では、凝結遅延期間の平均は55日であり、凝結までの期間のばらつきは±1日程度であった。また、実施例6(W/C:50%)では、凝結遅延期間の平均は56日であり、凝結までの期間のばらつきは±1日程度であった。
【0049】
[比較例1〜3]
細骨材を、微粒分量が3質量%の砕砂に変更したこと以外は、実施例1〜3と同様にしてモルタルの調製を行い、得られたモルタルについて実施例1と同様にして凝結遅延期間の測定を行った。
【0050】
測定の結果、比較例1(W/C:40%)では,凝結遅延期間の平均は13日であり、凝結までの期間のばらつきは−5〜+13日程度であった。また、比較例2(W/C:45%)では、凝結遅延期間の平均は7日であり、凝結までの期間のばらつきは−2〜+5日程度であった。また、比較例3(W/C:50%)では、凝結遅延期間の平均は8日であり、凝結までの期間のばらつきは−3〜+7日程度であった。
【0051】
[実施例7]
セメントを低熱ポルトランドセメント(密度:3.22g/cm)に変更し、細骨材を微粒分量0質量%の砕砂に変更したこと以外は、実施例2(W/C:45%)と同様にしてモルタルの調製を行い、得られたモルタルについて実施例1と同様にして凝結遅延期間の測定を行った。
【0052】
測定の結果、凝結遅延期間の平均は60日であり、凝結までの期間のばらつきは±2日程度であった。
【0053】
[実施例8]
細骨材を、微粒分量1質量%の砕砂に変更したこと以外は、実施例7と同様にしてモルタルの調製を行い、得られたモルタルの評価を実施例1と同様にして行った。測定の結果、凝結遅延期間の平均は40日であり、凝結までの期間のばらつきは±5日程度であった。
【0054】
[比較例4]
細骨材を、微粒分量4質量%の砕砂に変更したこと以外は、実施例7と同様にしてモルタルの調製を行い、得られたモルタルの評価を実施例A−1と同様にして行った。凝結試験の結果、凝結遅延期間の平均は15日であり、凝結までの期間のばらつきは+10日〜−3日程度であった。
【0055】
[比較例5]
細骨材を、微粒分量6質量%の砕砂に変更したこと以外は、実施例7と同様にしてモルタルの調製を行い、得られたモルタルの評価を実施例1と同様にして行った。凝結試験の結果、凝結遅延期間の平均は7日であり、凝結までの期間のばらつきは+15日〜−2日程度であった。
【0056】
[比較例6]
細骨材を、微粒分量9質量%の砕砂に変更したこと以外は、実施例7と同様にしてモルタルの調製を行い、得られたモルタルの評価を実施例1と同様にして行った。凝結試験の結果、凝結遅延期間の平均は3日であり、凝結までの期間のばらつきは+25日〜−1日程度であった。
【0057】
[実施例9]
セメントを低熱ポルトランドセメント(密度:3.22g/cm)に変更し、細骨材を微粒分量0質量%の砕砂に変更し、増粘剤(ポリサッカライド系増粘剤)をセメント100質量部に対して0.2質量部加えたこと以外は、実施例2(W/C:45%)と同様にしてモルタルの調製を行い、得られたモルタルについて実施例1と同様にして凝結遅延期間の測定を行った。
【0058】
測定の結果、凝結遅延期間の平均は92日であり、凝結までの期間のばらつきは±1日程度であった。