特許第6231826号(P6231826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アマダマシンツールの特許一覧

<>
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000002
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000003
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000004
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000005
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000006
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000007
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000008
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000009
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000010
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000011
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000012
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000013
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000014
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000015
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000016
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000017
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000018
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000019
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000020
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000021
  • 特許6231826-研削加工機及びその方法 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231826
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】研削加工機及びその方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/404 20060101AFI20171106BHJP
   B23Q 15/24 20060101ALI20171106BHJP
   B23Q 15/26 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G05B19/404 H
   B23Q15/24
   B23Q15/26
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-187934(P2013-187934)
(22)【出願日】2013年9月11日
(65)【公開番号】特開2015-55954(P2015-55954A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】504279326
【氏名又は名称】株式会社アマダマシンツール
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】金山 正広
【審査官】 中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−241640(JP,A)
【文献】 特開2011−183535(JP,A)
【文献】 特開昭62−084954(JP,A)
【文献】 特開2007−010456(JP,A)
【文献】 特開平05−057564(JP,A)
【文献】 特開平07−124849(JP,A)
【文献】 特開昭64−083103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B19/18−19/416,19/42−19/46,
B23Q15/00−15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試加工済みのマスターワークと加工対象ワークとの相対的な取り付け位置を測定子で測定し補正する補正システムにおいて、
教示されたマスターワークの測定位置に応じて手動測定を行い、この手動測定された座標を記憶し、前記手動測定された座標に基づいて、前記マスターワークの測定位置に応じて自動測定を行い、この自動測定された座標を記憶する手段と、前記加工対象ワークの加工前に前記マスターワークと類似の自動測定を前記加工対象ワークに対し実施する手段と、前記自動測定に基づきマスターワークと加工対象ワークの取り付け位置の差分を求め、その差分を加工プログラム上で補正する手段とを備えていることを特徴とする補正システム。
【請求項2】
試加工済みのマスターワークと加工対象ワークとの相対的な取り付け位置を測定子で測定し複数の加工対象ワークの繰り返し加工を行う加工機において、
前記マスターワークにおける任意の2測定面の測定位置に係る、それぞれ2点を教示する手段と、
前記マスターワークにおける任意の2測定面ごとに、前記マスターワークの外側に離れた任意の位置の1点を教示する手段と、
教示された測定位置に向かい自動測定を行い自動測定された座標を記憶する手段と、
加工対象ワークの加工前にマスターワークと類似の自動測定を加工対象ワークにて実施する手段と、
マスターワークと加工対象ワークの取り付け位置の差分を求め、その差分を加工プログラム上の加工開始位置にてシフトする手段とを備えていることを特徴とする加工機。
【請求項3】
前記工作機械は研削加工機であり、前記加工対象ワークは交換式工具であることを特徴とする請求項2記載の加工機。
【請求項4】
試加工済みのマスターワークと加工対象ワークとの相対的な取り付け位置を測定子で測定し補正する補正方法において、
教示されたマスターワークの測定位置に応じて手動測定を行い、この手動測定された座標を記憶し、前記手動測定された座標に基づいて、前記マスターワークの測定位置に応じて自動測定を行い、この自動測定された座標を記憶する工程と、前記加工対象ワークの加工前に前記マスターワークと類似の自動測定を前記加工対象ワークに対し実施する工程と、前記自動測定に基づきマスターワークと加工対象ワークの取り付け位置の差分を求め、その差分を加工プログラム上で補正する工程とを有することを特徴とする補正方法。
【請求項5】
試加工済みのマスターワークと加工対象ワークとの相対的な取り付け位置を測定子で測定し複数の加工対象ワークの繰り返し加工を行う加工方法において、
前記マスターワークにおける任意の2測定面の測定位置に係る、それぞれ2点を教示する工程と、
前記マスターワークにおける任意の2測定面ごとに、前記マスターワークの外側に離れた任意の位置の1点を教示する工程と、
教示された測定位置に向かい自動測定を行い自動測定された座標を記憶する工程と、
加工対象ワークの加工前にマスターワークと類似の自動測定を加工対象ワークにて実施する工程と、
マスターワークと加工対象ワークの取り付け位置の差分を求め、その差分を加工プログラム上の加工開始位置にてシフトする工程とを有することを特徴とする加工方法。
【請求項6】
前記加工方法は研削加工方法であり、前記加工対象ワークは交換式工具であることを特徴とする請求項5記載の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研削加工機及びその方法に関し、詳細には複数の工具を研削するに、マスター工具を基準として加工誤差を低減させる研削加工機及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加工対象ワークWは、図14に示すように様々な交換式工具(W1〜W5)であり、刃先の成形研削加工を実施している。ここで、加工対象ワークWと砥石を相対移動することで加工を行う。そして、加工プログラムPG(NCプログラム等)を用い、加工が行われる。
【0003】
一般的に交換式工具は複数個の加工を行う頻度が高いので、初品加工のワークを試加工し、図面上で指示された公差内に納まるよう加工プログラムPG上の加工開始位置を微調整し、その後、複数個の加工対象ワークWの繰り返し加工を実施する。この初品加工ワークを「マスターワークMW」と呼ぶ。
【0004】
複数個の加工対象ワークWの取り付けは、テーブル上に設置された治具等に作業者が直接行ったり、ワーク自動交換装置等で自動供給したりするが、図15(a)(b)に示すように、取り付け誤差が生じる。すなわち、隙間DISが形成されたり、角度ANG分傾斜したりする場合がある。
【0005】
同様に、図16に示すように、テーブル上に設置された複数個のワークを割り出し可能なワークインデックス装置12を用いても取り付け誤差や旋回誤差が生じる。
【0006】
いずれにしても、一般的にはこのように複数個の加工対象ワークWを加工する際には、マスターワークMWとの取り付け位置に差が生じる。すなわち、図17(a)に示すように、隙間DISが形成されたり、また、図17(b)(c)に示すように角度ANG分傾斜したり、旋回による角度ANG分の誤差が生じる場合がある。
【0007】
そのため、複数個の加工対象ワークWを加工する際は、図18(a)(b)(c)に示す測定子11(タッチプローブ等)を用いて、図19(a)に示すマスターワークMWに対し、図19(b)に示す加工対象ワークWの取り付け位置誤差を測定することにより、加工プログラムPG上の加工開始位置PTを、図19(c)に示す矢印AR方向に誤差分シフトすることで、取り付け位置誤差を排除し、高精度な加工を実現する。
【0008】
一方、図20(a)(b)に示すように、実際の加工では、テーブル上の固定的な位置に設置されている基準ブロック14を測定した後、マスターワークMW、加工対象ワークWの測定を行う。これにより、測定子11の出し入れに伴う位置誤差が排除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭58−120109
【特許文献1】特開平1−83103
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術による、マスターワークMWに対する加工対象ワークWの取り付け位置誤差を測定する方法としては、マスターワークMW、加工対象ワークW上の測定箇所、測定方向等をワーク形状に適するように図面等の情報より決定し、測定用のプログラムPG(NCプログラム等)を作成する必要がある。
【0011】
しかし、図21(a)(b)(c)(d)に示す加工対象ワーク(Wa、Wb、WcおよびWd)のワーク形状は様々あり、且つ測定箇所も測定方向も様々なので、ワーク形状毎に測定用のプログラムPGを作成しなければならず、加工を簡単に行えない。
【0012】
本発明は、様々な加工対象ワーク形状の交換式工具の刃先の成形研削加工の実施において、複数個の加工を行う際に、加工対象ワーク形状毎に測定用のプログラムPGを作成することなく、加工対象ワークWの取り付け位置の測定およびその後の加工を簡単に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上述の問題を解決するためのものであり、請求項1に係る発明は、試加工済みのマスターワークと加工対象ワークとの相対的な取り付け位置を測定子で測定し補正する補正システムにおいて、教示されたマスターワークの測定位置に応じて手動測定を行い、この手動測定された座標を記憶し、前記手動測定された座標に基づいて、前記マスターワークの測定位置に応じて自動測定を行い、この自動測定された座標を記憶する手段と、前記加工対象ワークの加工前に前記マスターワークと類似の自動測定を前記加工対象ワークに対し実施する手段と、前記自動測定に基づきマスターワークと加工対象ワークの取り付け位置の差分を求め、その差分を加工プログラム上で補正する手段とを備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る発明は、試加工済みのマスターワークと加工対象ワークとの相対的な取り付け位置を測定子で測定し複数の加工対象ワークの繰り返し加工を行う加工機において、前記マスターワークにおける任意の2測定面の測定位置に係る、それぞれ2点を教示する手段と、前記マスターワークにおける任意の2測定面ごとに、前記マスターワークの外側に離れた任意の位置の1点を教示する手段と、教示された測定位置に向かい自動測定を行い自動測定された座標を記憶する手段と、加工対象ワークの加工前にマスターワークと類似の自動測定を加工対象ワークにて実施する手段と、マスターワークと加工対象ワークの取り付け位置の差分を求め、その差分を加工プログラム上の加工開始位置にてシフトする手段とを備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記工作機械は研削加工機であり、前記加工対象ワークWは交換式工具であることを特徴とする。
【0016】
請求項4に係る発明は、試加工済みのマスターワークと加工対象ワークとの相対的な取り付け位置を測定子で測定し補正する補正方法において、教示されたマスターワークの測定位置に応じて手動測定を行い、この手動測定された座標を記憶し、前記手動測定された座標に基づいて、前記マスターワークの測定位置に応じて自動測定を行い、この自動測定された座標を記憶する工程と、前記加工対象ワークの加工前に前記マスターワークと類似の自動測定を前記加工対象ワークに対し実施する工程と、前記自動測定に基づきマスターワークと加工対象ワークの取り付け位置の差分を求め、その差分を加工プログラム上で補正する工程とを有することを特徴とする。
【0017】
請求項5に係る発明は、試加工済みのマスターワークと加工対象ワークとの相対的な取り付け位置を測定子で測定し複数の加工対象ワークの繰り返し加工を行う加工方法において、前記マスターワークにおける任意の2測定面の測定位置に係る、それぞれ2点を教示する工程と、前記マスターワークにおける任意の2測定面ごとに、前記マスターワークの外側に離れた任意の位置の1点を教示する工程と、教示された測定位置に向かい自動測定を行い自動測定された座標を記憶する工程と、加工対象ワークの加工前にマスターワークと類似の自動測定を加工対象ワークにて実施する工程と、マスターワークと加工対象ワークの取り付け位置の差分を求め、その差分を加工プログラム上の加工開始位置にてシフトする工程とを有することを特徴とする。
【0018】
請求項6に係る発明は、前記加工方法は研削加工方法であり、前記加工対象ワークWは交換式工具であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
マスターワークMWにおける任意の2面の測定位置を、それぞれ2点を教示し、測定面に対して測定移動方向を特定するための1点を教示することで、加工対象ワークWの加工前には、マスターワークMWに対する加工対象ワークWの取り付け位置誤差を自動測定で求める。
【0020】
加工対象ワークWの形状毎に別々の測定用のプログラムを作成することもなく、加工対象ワークWの取り付け位置を簡単に自動で測定することができる。その測定結果を加工プログラムPG上の加工開始位置をシフトさせるよう反映し、高精度な加工を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】研削加工機の概略を示す概略図である。
図2】研削部を説明する説明図である。
図3】研削部を説明する説明図である。
図4】研削部を説明する説明図である。
図5】研削加工機の座標軸を説明する説明図である。
図6】砥石によるワークの加工を説明する説明図である。
図7】加工対象ワークの加工プログラムを説明する説明図である。
図8】制御部を説明する説明図である。
図9】測定位置の教示を説明する説明図である。
図10】マスターワークの測定方法を示すフローチャートである。
図11】マスターワークの測定方法を示すフローチャートである。
図12】加工対象ワークの測定方法を示すフローチャートである。
図13】加工対象ワークの測定方法を示すフローチャートである。
図14】工具の成形加工を説明する説明図である。
図15】(a)(b)はワークのワークホルダへの取り付を説明する説明図である。
図16】回転式のワークホルダを説明する説明図である。
図17】(a)(b)(c)は回転式のワークホルダを説明する説明図である。
図18】(a)(b)(c)は測定子による測定を説明する説明図である。
図19】(a)(b)(c)はマスターワークとワークの関係を説明する説明図である。
図20】(a)(b)は基準ブロックを説明する説明図である。
図21】(a)(b)(c)(d)は工具の形状を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1を参照する。研削加工機1の概略を示す。この研削加工機1は、工具等の研削を行う研削部2と、機械の制御を行う制御部3を備えている。前記制御部3は、情報の表示を行う表示部4と、操作を行う操作部5とを備えている。
【0024】
図2図3および図4を参照する。図2は研削加工機1をZ軸方向から見た図である。図3は研削加工機1をY軸方向から見た図である。図4は、研削加工機1をX軸方向から見た図である。
【0025】
前記研削部2は、砥石6、主軸7、テーブル8、ワークホルダ9、ワーククランプ装置10、測定子11(タッチプローブ等)、基準ブロック14(図20参照)等を備えている。
【0026】
砥石6は、加工対象ワークW(交換式工具等)の成形加工を実施するものである。
【0027】
主軸7は、先端に砥石6を装着するものである。
【0028】
テーブル8は、水平面内を直行制御軸XYとして移動する。この上にワークホルダ9が装着される。XY同時補間移動で加工対象ワークW(交換式工具等)の刃先を成形する。
【0029】
ワークホルダ9は、ワーククランプ装置10と協働し、マスターワークMW、加工対象ワークW(交換式工具等)を固定するものである。
【0030】
マスターワークMW(交換式工具等)は、精度確認のための試加工をするものである。複数個のワークが加工対象ワークWとなる。
【0031】
測定子11(タッチプローブ等)は、マスターワークMW、加工対象ワークW(交換式工具等)の側面に接触し水平面内の位置を得る。タッチした際の座標は、制御部3が読み取る。
【0032】
基準ブロック14(図20参照)は、測定子11(タッチプローブ等)の出し入れに伴う測定子11の位置変化を排除するために設置されたもので、マスターワークMWまたは加工対象ワークWの測定前にはこの基準ブロック14を測定し、マスターワークMWまたは加工対象ワークWの測定結果は基準ブロック14からの距離となる。
【0033】
図5を参照する。砥石6と、テーブル8の移動軸を示す。砥石6は、U軸、V軸、W軸に移動位置決め自在であると共に、前記各軸に対しA軸、B軸、C軸方向に回転位置決め自在に構成されている。テーブル8は、X軸、Y軸、Z軸方向に移動位置決め自在に構成されている。また、CCDカメラ12を備え、光軸13から照射した光で投影されたマスターワークMW、加工対象ワークWを撮像して表示部4に表示する。
【0034】
図6を参照する。砥石6は、上述の各軸に対して移動回転自在であり、例えば矢印ARの軌跡上を移動可能に構成されている。この移動の際は、砥石6は加工する部分以外は加工対象ワークWに接触しないように傾き等が調整される。
【0035】
図7を参照する。砥石6の動きを制御する加工プログラムPG(NCプログラム)を示す。この加工プログラムPGは制御部3に備えたメモリに記憶されるものであり、砥石6やテーブル8の動作等の制御を行う。
【0036】
図8は制御部3の詳細を示す。制御部3は、コンピュータからなり、ROMおよびRAM等が接続されたCPUを有している。制御部3は、さらに、補正システムとして機能する。
【0037】
そして、各制御軸の作動、加工プログラムPGの実行、モニター画面表示、キーボード入力、タッチセンサ信号入力、対話ソフトの実行、教示座標の記憶を行う。
【0038】
対話ソフトは、制御部3上で実行され、モニター画面上に対話形式で表示・実行を行うものであり、教示中の座標表示、教示中の教示位置をグラフィカル表示する。
【0039】
手動パルスハンドル3Bは、X軸とY軸を移動させ、マスターワークMW、加工対象ワークW等と測定子11(タッチプローブ等)を接触させる。
【0040】
ソフトキー4Aは、マスターワークMWと測定子11(タッチプローブ等)を接触後、このソフトキー4Aを押し位置を教示する。キーボード3Aは、対話ソフトの各種入力を行う。
【0041】
試加工を終えたマスターワークMWがワークホルダ9に取り付けられている状態にて、測定子11(タッチプローブ等)を下降させて測定可能な状態にする。
【0042】
教示結果4Bを参照する。手動パルスハンドル3Bを操作し、マスターワークMWの測定面1に接触させ、ソフトキー4Aの操作により対話ソフト上より2箇所教示する。
【0043】
続けて、測定面1から離れた位置にて1箇所教示する。これらの3点の教示座標を制御部3が記憶する。
【0044】
測定面2についても測定面1と同様に、接触点2箇所と非接触点1箇所を教示する。
【0045】
教示した接触点4箇所の教示座標は、手動操作による位置決め後に教示されたものなので、座標値の確からしさに欠けるため、対話ソフト上より自動運転によりXY軸を移動させ、測定子11(タッチプローブ等)からのスキップ信号による座標値を読み取り、これを接触点4箇所の教示座標として更新記憶する。以上でマスターワークMWの処理を終了する。
【0046】
以下に加工対象である複数個の加工対象ワークWの測定と加工工程を説明する。
【0047】
加工対象ワークWがワークホルダ9に取り付けられた後、対話ソフトにより測定子11(タッチプローブ等)を自動下降させ、測定面1の教示した接触点2箇所の内1箇所を自動測定する。この測定移動の方向は、教示された非接触点側から測定面の方向とする。測定面1同様に測定面2についても教示した接触点1箇所を自動測定する。
【0048】
自動測定した2点の座標より、マスターワークMWに対する加工対象ワークの取り付け位置誤差(ΔX,ΔY)を算出できるので、この誤差量分シフトした位置を、新しい加工プログラムPG上の加工開始位置として加工を開始する。
【0049】
図9を参照する。測定子11のマスターワークMWへの接触位置で測定位置を教示していることがわかる。
【0050】
図10図11を参照し、研削加工機1の制御部3の動作を詳細に説明する。ステップSA01〜ステップSA05の処理は手動の処理である。ステップSA06〜ステップSA09の処理は自動の処理である。
【0051】
ステップSA01では、マスターワークMWと測定子11を接触させ、1点を教示し点座標を記憶する。ステップSA02では、マスターワークMWと測定子11を接触させ、更に1点を教示し点座標を記憶する。
【0052】
ステップSA03では、測定子11がマスターワークMWから離れた位置、3点目を教示し点座標を記憶する。3点目はマスターワークMWの外側であることを意味する。
【0053】
ステップSA04では、同様に、マスターワークMWと測定子11を接触させ、2点を教示しそれぞれの点座標を記憶する。
【0054】
ステップSA05では、測定子11がマスターワークMWから離れた位置、6点目を教示し点座標を記憶する。6点目はマスターワークMWの外側であることを意味する。
【0055】
ステップSA06では、教示済みの点1から点2向かう測定面の直線1が求まる。
【0056】
a1x + b1y + c1 = 0 (直線1の式)
直線1から点3側に、任意の測定アプローチ量オフセットした直線1’が求まる。
【0057】
a1x + b1y + c1' = 0 (直線1’の式)
点1から直線1’に垂線を垂らし、その交点を点1’とする。
【0058】
点2から直線1’に垂線を垂らし、その交点を点2’とする。
【0059】
ステップSA07では、点1’より点1方向へ自動測定移動を行い、マスターワークMWに測定子が接触し、スキップ信号を入力した時点のXY座標で点1座標を更新する。
【0060】
同様に、点2’より点2方向へ自動測定移動を行い、点2座標を更新する。
【0061】
更新された点1と点2座標が、以降の加工対象ワークWの測定において比較対象となる。
【0062】
ステップSA08では、教示済みの点4から点5向かう測定面の直線2が求まる。
【0063】
a2x + b2y + c2 = 0 (直線2の式)
直線2から点6側に、任意の測定アプローチ量オフセットした直線2’が求まる。
【0064】
a2x + b2y + c2' = 0 (直線2’の式)
点4から直線2’に垂線を垂らし、その交点を点4’とする。
【0065】
点5から直線2’に垂線を垂らし、その交点を点5’とする。
【0066】
ステップSA09では、点4’より点4方向へ自動測定移動を行い、マスターワークMWに測定子が接触し、スキップ信号を入力した時点のXY座標で点4座標を更新する。
【0067】
同様に、点5’より点5方向へ自動測定移動を行い、点5座標を更新する。
【0068】
更新された点4と点5座標が、以降の加工対象ワークWの測定において比較対象となる。
【0069】
図12を参照する。ステップSB01では、加工対象ワークWをテーブル上の所定位置に取り付ける。この取り付けは、作業者が手動操作で行う方法でも、加工対象ワークWを自動ローディングする方法でも、テーブル上のワークインデックス装置12により加工対象ワークWを自動供給する方法でも構わない。
【0070】
ステップSB02では、マスターワークMWの点1の自動測定と同様に、加工対象ワークWについて測定を行う。
【0071】
加工対象ワークWに測定子11が接触しスキップ信号を入力した時点のXY座標を記憶する。
【0072】
ステップSB03では、マスターワークMWの点4の自動測定と同様に、加工対象ワークWについて測定を行う。
【0073】
加工対象ワークWに測定子が接触しスキップ信号を入力した時点のXY座標を記憶する。
【0074】
ステップSB04では、加工対象ワークWの測定で得られた点1を通り直線1と平行な直線1gと、点4を通り直線2と平行な直線2gの交点座標 (Xg , Yg)を求める。
【0075】
直線1と直線2の交点座標を (Xm , Ym)とすると、マスターワークMWに対する加工対象ワークWの取付け位置誤差は次のようになる。
【0076】
ΔX = Xg − Xm
ΔY = Yg − Ym
ステップSB05では、マスターワークMWに対して砥石の相対位置を (ΔX,ΔY)分シフトした位置を、新しい加工プログラムPG上の加工開始位置として加工を開始する。
【0077】
図13を参照する。以下の方法は、加工対象ワークWの種類により簡単に加工の補正が可能であるので、ここで、説明する。
【0078】
ステップSC01では、自動プログラミング装置等により、加工プログラムPGを作成し、機械本体加工プログラムメモリに格納する。
【0079】
ステップSC02では、単体機(非AWC仕様)時は、テーブル上へ加工対象ワークWを1個取り付ける。多関節ロボット(AWC仕様)時は、ストッカ内へ多数個の加工対象ワークWをセットする。
【0080】
ワークインデックス装置12(AWC仕様)時は、装置上に複数個の加工対象ワークWを取り付ける。
【0081】
ステップSC03では、メイン画面にて、必要事項の設定を行う。加工条件、砥石6と加工対象ワークWの位置関係を教示する。ワーク測定位置を教示する。
【0082】
ステップSC04では、固定サイクルモードより加工サイクルを起動する。
【0083】
ステップSC05では、多関節ロボット(AWC仕様)時は、加工対象ワークWを自動ローディングする。ワークインデックス装置12(AWC仕様)時には、加工対象ワークWを砥石対向位置へインデックスする。
【0084】
ステップSC06では、測定子11(タッチプローブ等)を用いて、基準ブロック14の測定後、加工対象ワークWの取り付姿勢の測定を行う。(2点の測定)
ステップSC07では、測定した角度に基づき、ワークインデックス装置12を微小回転させ取り付姿勢を修正する。
【0085】
ステップSC08では、測定子11(タッチプローブ等)を用いて、加工対象ワークWの上面と、側面(位置)を測定する。
【0086】
ステップSC09では、加工プログラムPGを呼び出し、仕上げ加工(ワーク測定結果より加工開始位置を補正する)。
【0087】
ステップSC10では、加工を終えたか否かを判断する。加工を終えたと判断した場合に処理は終了する。加工を終えてないと判断した場合に処理はステップSC11に進む。
【0088】
ステップSC11では、多関節ロボットAWC仕様時に、加工対象ワークWを自動アンローディングする。ワークインデックス装置12(AWC仕様)時には、次の加工対象ワークWを砥石対向位置へインデックスする。
【0089】
そして、処理をステップSC05に戻す。
【0090】
これは、垂直水平面内で旋回可能なワークインデックス装置12が装着されている場合に、加工対象ワークWの測定面を2箇所測定することで、マスターワークに対する姿勢変化を把握し、加工前に加工対象ワークWの姿勢を修正させるというものである。
【0091】
この発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【符号の説明】
【0092】
1 研削加工機
2 研削部
3 制御部
4 表示部
5 操作部
W ワーク
MW マスターワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21