特許第6231866号(P6231866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231866
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】鋼管矢板継手内の撮影装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/14 20060101AFI20171106BHJP
   G01N 21/954 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   E02D5/14
   G01N21/954 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-251613(P2013-251613)
(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公開番号】特開2015-108250(P2015-108250A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130362
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 嘉英
(72)【発明者】
【氏名】高森 清人
(72)【発明者】
【氏名】内田 治文
(72)【発明者】
【氏名】今井 寿
(72)【発明者】
【氏名】菅原 崇
【審査官】 岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−117105(JP,A)
【文献】 特開2005−201717(JP,A)
【文献】 実開平04−073859(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/00−5/20
G01N 21/84−21/958
G03B 17/04−17/17
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣合う鋼管矢板同士を連結する際に、一方の鋼管矢板の継手に防水部材を取り付け、他方の鋼管矢板の継手内に前記一方の鋼管矢板の継手を挿入し、前記一方の鋼管矢板の継手に取り付けた防水部材の状態を確認するための撮影装置であって、
少なくとも撮影方向に透光性を有する部材を配設し、内部にボアホールカメラを密閉して収容する筒状体と、
前記筒状体内に収納したボアホールカメラから延長した信号ケーブルと、
前記信号ケーブルを支持するためのロッドと、
を備え、
前記ロッドに、ボアホールカメラの撮影方向を示す撮影方向指示マークを設けたことを特徴とする鋼管矢板継手内の撮影装置。
【請求項2】
前記筒状体内に清水を充填したことを特徴とする請求項1に記載の鋼管矢板継手内の撮影装置。
【請求項3】
前記筒状体の下部に、緩衝部材を取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼管矢板継手内の撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管矢板継手内の撮影装置に関するものであり、特に、鋼管矢板継手内に配設した防水部材の状態(健全性)を確認するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼管矢板は、鋼管の外周部に継手を取り付け、隣合う鋼管矢板の継手同士を接続することにより、止水壁を構築する際に使用する部材である。具体的には、港湾や河川における岸壁、護岸、波除堤、都市土木における土留め、締切り、橋梁における鋼管矢板基礎等を構築する際に使用する。鋼管矢板の継手には、P型、T型、L型等、種々の形状のものがあり、例えば、L型とT型、P型とP型、P型とT型を組み合わせて隣合う鋼管矢板を接続することにより、土留めや締切り等の止水壁を構築する。
【0003】
このように、鋼管矢板は、隣合う鋼管の継手同士を接続して止水壁等を構築する際に、継手部分において止水性を確保する必要がある。例えば、P型継手とT型継手とを組み合わせる場合には、T型継手にゴム板等からなる防水部材を取り付け、P型継手の内面に防水部材を密着させるとともに、P型継手の内面と防水部材とで囲まれた空隙内にモルタルを注入して、止水性を確保している。
【0004】
しかし、P型継手の内面と防水部材との間に隙間が生じている場合には、完全な止水性を確保できないことがあり、モルタル注入前に継手内部に配設した防水部材の状態を確認する必要がある。この際、継手内には濁水(例えば、管内洗浄により除去しきれなかったベントナイト泥水や地盤中から浸入した濁水)が充満しているのが一般的であり、通常の撮影装置では、継手内の状況を撮影することはできない。そこで、濁水が充満している鋼管矢板の継手内を撮影するための装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1に記載された管内撮像装置は、管内を撮像するためのボアホールカメラと、当該ボアホールカメラを水密に内包し、撮像方向の面が透明なカプセルとを備えている。この管内撮像装置は、ボアホールカメラを水密に内包する透明なカプセルを所定の深度まで継手管内に挿入し、継手管内に充満した泥水(濁水)をカプセルの幅分だけ排除して、継手管内を撮像することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−201717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した特許文献1に記載された管内撮像装置は、ボアホールカメラ自体に電磁石を装着し、電磁石を作動して継手管内に吸着させるとしているが、撮影方向を正確に制御することについては何ら言及していない。したがって、濁水中における撮影方向を把握することはできない。
【0008】
また、カプセルは、ボアホールカメラを水密に内包しているため、カプセル内には空気が存在する。したがって、たとえ、カプセルの底部に錘を取り付けたとしても、継手内に充満した濁水中に、確実にカプセルを沈下させることができるとは言い難い。さらに、カプセル内に空気が存在した場合、浅い深度では影響がないものの、深い深度にまでカプセルを沈下させると、カプセルが水圧を受けて、カプセルにヒビが入ったり、カプセル内に濁水が浸入したりするおそれがある。
【0009】
また、ボアホールカメラは、ケーブルの先端部に接続されており、ケーブルを繰り出すことにより継手内に挿入しているが、一般的なケーブルは可撓性を有しており、挿入過程において屈曲することも考えられる。この場合には、ケーブルの繰り出し量だけで、ボアホールカメラの正確な位置(挿入深度)を測定することはできない。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、ボアホールカメラの挿入深度や撮影方向を正確に把握して、継手内に配設した防水部材の状態(健全性)を容易に確認することが可能な鋼管矢板継手内の撮影装置を提供することを目的とする。また、本発明は、鋼管矢板継手内の突起物等に接触した場合であっても、筐体及びボアホールカメラの損傷を防止することが可能な鋼管矢板継手内の撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の鋼管矢板継手内の撮影装置は、上述した目的を達成するため、以下の特徴を有している。すなわち、本発明の鋼管矢板継手内の撮影装置は、隣合う鋼管矢板同士を連結する際に、一方の鋼管矢板の継手に防水部材を取り付け、他方の鋼管矢板の継手内に一方の鋼管矢板継手を挿入し、一方の鋼管矢板の継手に取り付けた防水部材の状態を確認するための撮影装置に関するものである。
【0012】
この鋼管矢板継手内の撮影装置は、少なくとも撮影方向に透光性を有する部材を配設し、内部にボアホールカメラを密閉して収容する筒状体と、筒状体内に収納したボアホールカメラから延長した信号ケーブルと、信号ケーブルを支持するためのロッドとを備えている。そして、ロッドに、ボアホールカメラの撮影方向を示す撮影方向指示マークを設けたことを特徴としている。
【0013】
なお、防水部材の状態とは、例えば、防水部材が他方の鋼管矢板の継手内面に密着しているか否か等のことであるが、本発明において、防水部材の状態とは、これに限定されるものではなく、防水部材が他方の鋼管矢板の継手内面において、どのような状態となっているかを意味している。
【0014】
また、前記構成からなる鋼管矢板継手内の撮影装置は、筒状体内に清水を充填することが好ましい。
【0015】
また、前記構成からなる鋼管矢板継手内の撮影装置は、筒状体の下部に、緩衝部材を取り付けることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の鋼管矢板継手内の撮影装置によれば、防水部材に、継手の内面とコントラスト差を有す表示マークを設けているため、濁水中であっても、表示マークを識別して撮影することができる。したがって、ボアホールカメラにより撮影した映像から、防水部材の状態(防水部材が継手の内面に密着しているか否か等)を識別して、継手内に配設した防水部材の状態(健全性)を容易に確認することが可能となる。
【0017】
また、ボアホールカメラを収容した筒状体の下部に緩衝部材を取り付けることにより、継手内面に突起物等が存在した場合であっても、筒状体の損傷を防止することが可能となる。
【0018】
また、ロッドによりボアホールカメラの信号ケーブルを支持するとともに、ロッドにボアホールカメラの撮影方向を示す撮影方向指示マークを設けた場合には、ボアホールカメラの撮影方向を適切に制御することが可能となる。
【0019】
また、筒状体内に清水を充填することにより、水圧の影響を受ける深度にまで筒状体を挿入した場合であっても、水圧による筒状体の損傷を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る鋼管矢板継手内の撮影装置の斜視図。
図2】鋼管矢板の斜視図。
図3】継手内部の横断面図。
図4】防水部材の斜視図及び展開図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1図4は本発明の実施形態に係る鋼管矢板継手内の撮影装置(以下、撮影装置という)を説明するもので、図1は撮影装置の斜視図、図2は鋼管矢板の斜視図、図3は継手内部の横断面図、図4は防水部材の斜視図(a)及び展開図(b)である。
【0022】
<撮影装置の概要>
本発明の実施形態に係る撮影装置10は、図1に示すように、隣合う鋼管矢板同士を連結する際に、継手内の状態を確認するために使用する装置であり、主要な構成部材として、ボアホールカメラ20と、ボアホールカメラ20を収容する筒状体30と、ボアホールカメラ20に接続して映像信号等を送信する信号ケーブル40とを備えている。
【0023】
この撮影装置10は、特に、一方の鋼管矢板の継手(T型継手110)に防水部材120を取り付け、他方の鋼管矢板の継手(P型継手100)内に一方の鋼管矢板の継手(T型継手110)を挿入し、一方の鋼管矢板の継手(T型継手110)に取り付けた防水部材120が他方の鋼管矢板の継手(P型継手100)内でどのような状態となっているかを確認するために使用する。具体的には、例えば、図3に示すように、鋼管矢板の継手としてP型継手100とT型継手110を組合せて使用する際に、T型継手110にゴム板等からなる防水部材120を取り付け、P型継手100の内部にT型継手110を挿入し、防水部材120をP型継手100内でどのような状態となっているかを確認するために使用する。
【0024】
図2に示すように、一般的に、鋼管矢板は止水壁等を構築する際に使用する部材であり、鋼管本体200の外周部に鋼管本体200の長さ方向に沿って継手(P型継手100、T型継手110)が取り付けられている。鋼管矢板を地盤中に施工するには、油圧による静荷重により鋼管矢板を地盤中に圧入したり、鋼管本体200内にオーガースクリューを挿入し、鋼管本体200内の土砂を掘削排土しながら鋼管矢板を地盤中に圧入したり、予め削孔を行って孔内に鋼管矢板を挿入したり等、種々の施工方法が存在する。
【0025】
この際、鋼管本体200に取り付けられた継手(P型継手100、T型継手110)も、鋼管本体200と一緒に地盤中に施工される。鋼管矢板の施工に際しては、継手(P型継手100)内にベントナイト泥水を充填して継手同士の貫入抵抗を防止しつつ、既設の鋼管矢板に隣接して他の鋼管矢板を地盤中に貫入させ、その後、継手(P型継手100)内に洗浄管を挿入してベントナイト泥水等を洗い出す。しかし、このような洗浄を行ったとしても継手(P型継手100)内に除去しきれなかったベントナイト泥水や地盤中から浸入した濁水が存在するため視界が遮られてしまい、一般的なボアホールカメラ20では、継手(P型継手100)の内部を撮影することは困難であった。
【0026】
上述したように、隣合う鋼管矢板同士を連結する際には、例えば、図3に示すように、T型継手110にゴム板等からなる防水部材120を取り付け、P型継手100の内部にT型継手110を挿入し、防水部材120をP型継手100の内面に密着させるが、さらに止水性を完全なものとするため、P型継手100の内部にモルタルを充填する(図示せず)。そこで、本発明の撮影装置10を用いて、鋼管矢板の施工時に継手(P型継手100)の内部と防水部材120の状態を確認することにより、特に、濁水が充満した継手(P型継手100)の内部であっても、継手(P型継手100)内に配設した防水部材120の状態を確実に確認することができる。
【0027】
<鋼管矢板>
本発明において、防水部材120の状態の確認対象となる鋼管矢板は、図2に示すように、鋼管本体200の外周の長手方向に沿って、継手(P型継手100及びT型継手110)が取り付けられている。なお、本発明を適用する鋼管矢板の直径、長さ、鋼管の厚さ、一単位の鋼管矢板の接続方法等は、特に限定されるものではない。
【0028】
<継手>
上述したように、鋼管矢板は一般的に使用されているものであり、図2に示すように、その外周面の長手方向に沿って継手(P型継手100及びT型継手110)が取り付けられている。特に、本発明を有効に利用できる継手は、図3に示すように、P型継手100とT型継手110の組合せであり、T型継手110にはP型継手100の内面に密着させる防水部材120が取り付けられている。なお、少なくとも一方の継手に防水部材120が取り付けられ、当該防水部材120が他方の継手の内面に密着する構造であれば、P型継手100とT型継手110との組合せに限定されるものではなく、他の形状の継手の組合せであってもよい。
【0029】
<防水部材>
防水部材120は、図3に示すように、T型継手110の表面に取り付けたゴム板等からなり、T型継手110をP型継手100内に挿入した際に、折れ曲がってP型継手100の内面に密着する形状となっている。防水部材120は、可撓性及び弾性を有することが必要であるが、連結する継手(P型継手100)の内面に閉塞空間を形成することができれば、材料、大きさ、形状等、特に限定されるものではない。
【0030】
また、防水部材120は、図4(a)、(b)に示すように、長さ方向に沿った端縁部に、P型継手100の内面とのコントラスト差を有する表示マーク121を設けてある。この表示マーク121は、例えば、P型継手100の内面が褐色又は黒色等の明度が低い色彩である場合には、白色等の明度が高い色彩として、コントラスト差を出すようになっている。
【0031】
本実施形態では、防水部材120の長手方向の端縁部に、白色ペンキを用いてマーキングを行っている。なお、表示マーク121の色彩等は適宜変更して実施することができる。また、表示マーク121は、所定間隔毎に設けた棒線(白線)等であってもよい。このように、表示マーク121を所定間隔(例えば、50cm毎)に設けることにより、ボアホールカメラ20で撮像した際に、継手の深度を把握することができる。この際、棒線(白線)とともに、数字を描いて深度(継手底部からの位置)を表示してもよい。
【0032】
<筒状体>
筒状体30は、ボアホールカメラ20を収容する部材で、例えば、透光性を有するアクリル製のパイプからなる。なお、筒状体30は、全方向にわたって透光性を有する必要はなく、ボアホールカメラ20の撮影方向が透光性を有していればよい。なお、透光性を有する部材とは、ボアホールカメラ20を用いて継手(P型継手100)の内部を撮影する際に、撮影対象からの像光を透過させて観察に必要な映像を得ることができる部材のことであり、無色透明だけではなく、特定の波長光を遮断または透過させるフィルター効果を有する部材であってもよい。
【0033】
筒状体30は、図1に示すように、底部を閉塞するとともに、上部に信号ケーブル40を挿通して、内部が密閉状態となっている必要がある。そこで、底部が閉塞したアクリル製パイプを使用し、上部に信号ケーブル40の挿通孔51を有するゴム栓50を挿入し、ゴム栓50と筒状体30の間及び挿通孔51と信号ケーブル40の間を密閉状態とするため、必要に応じてシール材等を使用することが好ましい。また、上下に貫通したパイプの場合には、底部にもゴム栓(図1に示す例では緩衝部材60)を挿入し、必要に応じてシール材等を使用する。
【0034】
また、筒状体30の底部には、緩衝部材60を取り付けることが好ましい。この緩衝部材60は、例えば、ゴム製のキャップ等からなり、上述したように、上下に貫通したパイプの底部に取り付けたゴム栓も緩衝部材60となり得る。筒状体30の底部に緩衝部材60を取り付けた場合には、ボアホールカメラ20による撮影方向は、継手内面に対して横方向となる。すなわち、筒状体30の底部には緩衝部材60が存在するため、一般的には、ボアホールカメラ20により下方向を撮影することはできないが、緩衝部材60として透光性を有する部材を使用すれば、下方向についても撮影が可能となる。
【0035】
筒状体30の内部には、ボアホールカメラ20を収納するとともに、清水を充填することが好ましい。なお、後に詳述するが、ボアホールカメラ20は、ミラー23及び撮像レンズ系21、撮像素子22、その他の部品が円筒状のケース24内に密閉状態で収納されており、ボアホールカメラ20内には清水が浸入することはない。このように、筒状体30の内部に清水を充填することにより、筒状体30を継手の下部付近にまで挿入したとしても、濁水の水圧により筒状体30が破損したり、濁水が筒状体30内に浸入したりするおそれがなく、ボアホールカメラ20による撮影に悪影響を与えることがない。
【0036】
<ボアホールカメラ>
ボアホールカメラ20は、ボーリング孔や中空の杭等の内部映像を撮影するためのカメラであり、一般に市販されているものを使用することができる。ボアホールカメラ20は、図1に示すように、基本的な構成として、撮像レンズ系21、撮像素子22、照明装置25を備えている。さらに、図1に示すように、横方向の撮影を行うために、撮像対象物からの撮像光を屈曲させるためのミラー23を備えていてもよく、ミラー23はカメラ本体に対する着脱可能なアタッチメント部材としてもよい。さらに、ズーミング機構、フォーカス機構、パン・チルト機構等を備えていてもよい。
【0037】
撮像レンズ系21に入光した撮像光は撮像素子22上で結像し、撮影対象物の映像信号として、信号ケーブル40を介してパーソナルコンピュータ(図示せず)等に取り込まれる。そして、図示しないが、撮像対象物(本発明では継手の内面)の映像は、パーソナルコンピュータに接続したモニタ画面上に表示し、あるいは、プリンタにより印刷することができる。
【0038】
本実施形態では、ボアホールカメラ20により撮影した映像に基づいて、T型継手110に取り付けた防水部材120がP型継手100の内面に密着しているか否かを観察することができる。
【0039】
<信号ケーブル>
信号ケーブル40は、継手の内部にボアホールカメラ20を挿入する際に、ボアホールカメラ20の送り出しに使用するとともに、ボアホールカメラ20からの映像信号を地上に設置したパーソナルコンピュータ等に送信するための部材である。信号ケーブル40の長さは、鋼管矢板の長さ及びパーソナルコンピュータを設置する現場の状況等に応じて、適宜設定することができる。
【0040】
<ロッド>
ロッド70は、継手の内部にボアホールカメラ20を挿入する際に、信号ケーブル40を支持して、ボアホールカメラ20の送り出しを補助するための部材であり、継手内を洗浄するための洗浄管を流用してもよい。また、図1に示すように、ロッド70に、ボアホールカメラ20の撮影方向を示す撮影方向指示マーク71を設けることが好ましい。
【0041】
撮影方向指示マーク71は、ボアホールカメラ20の撮影方向(撮像光を結像させるレンズの向き)を指し示すためのもので、所定間隔でロッド70にマーキングを行ってもよいし、ロッド70の全長にわたってマーキングをおこなってもよい。さらに、撮影方向指示マーク71とともに、ボアホールカメラ20の挿入深度を表示するための深度情報を表示してもよい。深度情報は、例えば、撮影方向指示マーク71を50cm間隔で設け、その横に深度を数値表示すればよい。これにより、撮影方向だけはなく、撮影深度も正確に把握することができる。
【0042】
<他の実施形態>
上述した実施形態では、P型継手100とT型継手110を用いた場合を説明したが、本発明は、継手における止水性を確保するために、継手に防水部材120を取り付けて使用する構成であれば、P型継手100とT型継手110の組合せ以外にも適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 撮影装置
20 ボアホールカメラ
21 撮像レンズ系
22 撮像素子
23 ミラー
24 ケース
25 照明装置
30 筒状体
40 信号ケーブル
50 ゴム栓
51 挿通孔
60 緩衝部材
70 ロッド
71 撮影方向指示マーク
100 P型継手
110 T型継手
120 防水部材
121 深度表示マーク
200 鋼管本体
図1
図2
図3
図4