特許第6231873号(P6231873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231873
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】光走査装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20171106BHJP
   G02B 26/12 20060101ALI20171106BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20171106BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G02B26/10 F
   G02B26/12
   B41J2/47 101D
   H04N1/04 104A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-265845(P2013-265845)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2015-121701(P2015-121701A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 亮介
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−304717(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0170262(US,A1)
【文献】 特開平08−292389(JP,A)
【文献】 特開2008−003570(JP,A)
【文献】 特開2002−040348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10 − 26/12
B41J 2/47
H04N 1/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査ユニットと、ミラーユニットと、を備え、像担持体の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する光走査装置であって、
前記光走査ユニットは、
レーザ光を出射する光源と、
前記光源から出射されたレーザ光を反射偏向させる回転多面鏡と、
前記回転多面鏡で反射偏向されたレーザ光を前記像担持体へ導くように反射する1以上の反射ミラーと、
前記光源、前記回転多面鏡、及び前記反射ミラーを内蔵する筐体と、を備え、
前記筐体は、前記反射ミラーで反射されたレーザ光を出射させる出射口を有し、
前記ミラーユニットは、前記出射口から出射されたレーザ光を前記像担持体へ向けて反射する最終出射ミラーを有し、前記出射口に着脱自在に装着され、かつ前記最終出射ミラーを複数有し、前記筐体に互いに異なる向きで装着自在であり、
複数の前記最終出射ミラーは、前記ミラーユニットが前記筐体にそれぞれの向きで装着された状態で、前記出射口を通して、直前にレーザ光を反射した直前反射ミラーに対向し、かつ前記直前反射ミラーからの光路長が互いに異なるように配置される、光走査装置。
【請求項2】
前記筐体は複数の前記出射口を有し、
前記複数の前記出射口のそれぞれに対応するように前記反射ミラーの配置パターンを変更自在な反射ミラー保持部を有する、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記複数の前記出射口は、前記筐体の互いに異なる面に設けられる、請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記複数の前記出射口のうち第1出射口からレーザ光を出射させる配置パターンにおいて前記回転多面鏡によって反射偏向されたレーザ光を最初に受ける第1反射ミラーは、前記複数の前記出射口のうち第2出射口からレーザ光を出射させる配置パターンにおいて前記回転多面鏡によって反射偏向されたレーザ光を最初に受ける第2反射ミラーよりも、レーザ光の光路の上流側の位置に着脱自在に保持される、請求項2又は3に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記複数の前記出射口のうちの特定の出射口から出射されたレーザ光を前記像担持体へ向けて反射する最終出射ミラーを有するミラーユニットであって前記最終出射ミラーの直前にレーザ光を反射した反射ミラーから前記最終出射ミラーまでの光路長が互いに異なるように構成された互いに異なる種類のミラーユニットを、前記特定の出射口に着脱自在であるように構成される、請求項2から4のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の光走査装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、像担持体の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する光走査ユニット、光走査装置、及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、光導電性を有する像担持体、この像担持体の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する光走査ユニット、静電潜像をトナー像に顕像化する現像ユニット、トナー像を用紙に転写する転写ユニット、及びトナー像を用紙に固着させる定着ユニットを備える(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような画像形成装置では、光走査ユニットが出射したレーザ光を、像担持体の表面に対して所定の好ましい入射角度で入射させることが、画像の高精細度化のために好ましい。
【0004】
従来の光走査ユニットは、光源、回転多面鏡、及び反射ミラーが1個の筐体内に固定され、所定の一方向にレーザ光を出射するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−277797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、画像形成装置の設計変更があった場合の新型と旧型との間や当初から異機種として設計された機種間など異なる機種の画像形成装置間において、像担持体のサイズ変更や取り付け位置変更によって、像担持体の表面と光走査ユニットとの位置関係が異なる場合、異なる機種に同一の従来の光走査ユニットを搭載すると、像担持体の表面に対する入射角度が好ましくない角度となってしまい、精細度が低下してしまう。このため、異なる機種に同一の光走査ユニットを共通使用することができない。よって、機種毎に光走査ユニットも設計し直す必要が生じ、コスト低下の障害となっていた。
【0007】
この発明の目的は、画像の精細度の低下を防止しつつ異なる機種の画像形成装置に共通使用できる光走査ユニット、光走査装置、及びこれを備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の光走査ユニットは、像担持体の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。光走査ユニットは、光源、回転多面鏡、1以上の反射ミラー、及び筐体を備える。光源は、レーザ光を出射する。回転多面鏡は、光源から出射されたレーザ光を反射偏向させる。反射ミラーは、回転多面鏡で反射偏向されたレーザ光を像担持体へ導くように反射する。筐体は、光源、回転多面鏡、及び反射ミラーを内蔵する。筐体は、反射ミラーで反射されたレーザ光を出射させる複数の出射口と、複数の出射口のそれぞれに対応するように反射ミラーの配置パターンを変更自在な反射ミラー保持部と、を有する。
【0009】
この構成では、複数の出射口のうち所望の出射口からレーザ光を出射させるように、反射ミラーの配置パターンを変更することができる。このため、レーザ光の出射光軸を、出射口の数に応じて段階的に変化させることができる。よって、光走査ユニットに対する像担持体の表面の位置が変更された場合でも、像担持体の表面に対してレーザ光を所定の入射角度で照射することができる。
【0010】
上述の構成において、複数の出射口は、筐体の互いに異なる面に設けられることが好ましい。
【0011】
この構成では、筐体の1つの面に設けられる出射口は1個だけなので、外から内への迷光及び内から外への迷光を防止することができる。
【0012】
また、複数の出射口のうち第1出射口からレーザ光を出射させる配置パターンにおいて回転多面鏡によって反射偏向されたレーザ光を最初に受ける第1反射ミラーは、複数の出射口のうち第2出射口からレーザ光を出射させる配置パターンにおいて回転多面鏡によって反射偏向されたレーザ光を最初に受ける第2反射ミラーよりも、レーザ光の光路の上流側の位置に着脱自在に保持されるように構成することができる。
【0013】
この構成では、第1反射ミラーを装着するか取り外すかという簡単な作業で、レーザ光の出射光軸を変化させることができる。また、反射ミラーの取り付け角度を変更するわけではないので、微妙な調整が不要であり、かつ反射ミラーを所定角度に確実に保持することができる。
【0014】
さらに、筐体は、複数の出射口のうちの特定の出射口から出射されたレーザ光を像担持体へ向けて反射する最終出射ミラーを有するミラーユニットであって最終出射ミラーの直前にレーザ光を反射した反射ミラーから最終出射ミラーまでの光路長が互いに異なるように構成された互いに異なる種類のミラーユニットを、特定の出射口に着脱自在であるように構成することができる。
【0015】
この構成では、光走査ユニットに対する像担持体の表面の位置が変更された場合でも、光走査ユニットは共通使用し、ミラーユニットのみを再設計して出射口に装着することで、像担持体の表面に対してレーザ光を所定の入射角度で照射することができる。
【0016】
この発明の光走査装置は、上述のいずれかに記載の光走査ユニットと、複数の出射口のうちの特定の出射口から出射されたレーザ光を像担持体へ向けて反射する最終出射ミラーを有するミラーユニットであって特定の出射口に着脱自在に装着されるミラーユニットと、を備える。
【0017】
この構成では、ミラーユニットを装着するか取り外すかによって、レーザ光の最終出射光軸を変化させることができる。また、光走査ユニットに対する像担持体の表面の位置が変更された場合でも、光走査ユニットは共通使用し、ミラーユニットのみを再設計して出射口に装着することで、像担持体の表面に対してレーザ光を所定の入射角度で照射することができる。
【0018】
上述の光走査装置の構成において、ミラーユニットは、最終出射ミラーを複数有し、筐体に互いに異なる向きで装着自在であり、複数の最終出射ミラーは、ミラーユニットが筐体にそれぞれの向きで装着された状態で、特定の出射口を通して、直前にレーザ光を反射した直前反射ミラーに対向し、かつ直前反射ミラーからの光路長が互いに異なるように配置されるように構成することができる。
【0019】
この構成では、ミラーユニットを異なる種類のものに交換することなく、ミラーユニットの装着の向きを変えることで、レーザ光の最終出射光軸を変化させることができる。このため、光走査ユニットに対する像担持体の表面の位置が変更された場合でも、光走査ユニット及びミラーユニットを共通使用し、像担持体の表面に対してレーザ光を所定の入射角度で照射することができる。
【0020】
この発明の画像形成装置は、上述のいずれかに記載の光走査装置を備える。
【0021】
この構成では、ミラーユニットを装着するか取り外すかによって、レーザ光の最終出射光軸を変化させることができる。また、光走査ユニットに対する像担持体の表面の位置が変更された場合でも、光走査ユニットを共通使用し、必要に応じてミラーユニットのみを再設計することで、像担持体の表面に対してレーザ光を所定の入射角度で照射することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、画像の精細度の低下を防止しつつ異なる機種の画像形成装置に共通使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の第1実施形態に係る光走査ユニットを備えた画像形成装置の概略の構成を示す図である。
図2】光走査ユニットの概略構成を示す斜視図である。
図3】(A)は第1出射口から出射させる場合の光走査ユニットの構成を示す正面断面図であり、(B)は第2出射口から出射させる場合の光走査ユニットの構成を示す正面断面図である。
図4】(A)は第2実施形態に係る光走査ユニットに第1ミラーユニットが装着された状態の光走査装置の正面断面図であり、(B)は光走査ユニットに第2ミラーユニットが装着された状態の光走査装置の正面断面図である。
図5】(A)は第2実施形態に係る光走査ユニット及び第1ミラーユニットを備える光走査装置の底面側からの分解斜視図であり、(B)は光走査装置の一部の拡大図である。
図6】第2実施形態に係る光走査ユニット及び第2ミラーユニットを備える光走査装置の底面側からの分解斜視図である。
図7】第3実施形態に係る光走査ユニット及び第3ミラーユニットを備える光走査装置の正面断面図であって、(A)は光走査ユニットに第3ミラーユニットを第1の向きに装着した状態を示し、(B)は第2の向きに装着した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示すように、この発明の第1実施形態に係る光走査ユニットを備えた画像形成装置10は、画像読取部20、画像形成部30、及び給紙部40をさらに備えている。
【0025】
画像読取部20は、自動原稿搬送装置(ADF:Automatic DocumentFeeder)21及びスキャナ部22を備えている。
【0026】
スキャナ部22は、一例として、原稿台に沿って往復移動するCIS(ContactImage Sensor)221を有している。なお、スキャナ部22は、光源及びミラーを搭載した第1走査ユニット、他の同様のミラーを搭載した第2走査ユニット、並びに結像レンズ及びCCD(Charge Coupled Device)センサを有するように構成することもできる。
【0027】
スキャナ部22は、ADF21によって原稿台上を経由するように搬送される原稿、又は手動操作によって原稿台上に載置された原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取処理を実行する。
【0028】
画像形成部30は、感光体ドラム31、帯電装置32、光走査ユニット50、現像装置34、転写装置35、及び定着装置36を備え、用紙に対して電子写真方式の画像形成処理を実行する。
【0029】
感光体ドラム31は、像担持体の一例であり、図示しない駆動源から駆動力を供給されることで、一方向へ回転する。帯電装置32、光走査ユニット50、現像装置34、及び転写装置35は、感光体ドラム31の周囲に、感光体ドラム31の回転方向に沿ってこの順序で配置されている。
【0030】
帯電装置32は、感光体ドラム31の周面を所定電位に帯電させる。光走査ユニット50は、感光体ドラム31の周面に、画像データに基づいてレーザ光を照射しつつ走査することで静電潜像を形成する。現像装置34は、感光体ドラム31の周面にトナー(現像剤)を供給することで、静電潜像を現像してトナー像にする。
【0031】
給紙部40は、用紙を収容し、感光体ドラム31と転写装置35との間の転写位置へ、用紙を1枚ずつ供給する。用紙として、普通紙、印画紙、OHPフィルム等の記録媒体が挙げられる。
【0032】
転写装置35は、トナー像を用紙に転写する。用紙は、用紙搬送路41に沿って定着装置36へ搬送される。定着装置36は、トナー像を担持した用紙を加熱及び加圧することで、トナー像を用紙に堅牢に固着させる。このようにして画像を形成された用紙は、用紙搬送路41をさらに搬送されて、画像が形成された面を下側にして用紙排紙トレイ37へ排出される。
【0033】
図2図3(A)及び図3(B)に示すように、光走査ユニット50は、筐体60、光源70、回転多面鏡であるポリゴンミラー80、及び複数の反射ミラー91,92,93を備えている。光源70、ポリゴンミラー80、及び複数の反射ミラー91,92,93は、筐体60内に保持されている。
【0034】
光源70は、例えばレーザダイオードで構成され、レーザ光を出射する。光源70から出射されたレーザ光は、図示しないコリメートレンズ及びシリンドリカルレンズを経て、ポリゴンミラー80に照射される。
【0035】
ポリゴンミラー80は、側面に複数の反射面を有する正多角形柱状を呈し、所定方向に等速回転する。ポリゴンミラー80は、照射されたレーザ光を、反射偏向する。
【0036】
ポリゴンミラー80によって反射偏向されたレーザ光は、図示しない第1fθレンズ及び第2fθレンズを経て、反射ミラー91又は反射ミラー92に照射される。
【0037】
筐体60は、複数の反射ミラー91,92,93のそれぞれを保持する反射ミラー保持部61,62,63、及び複数の出射口64,65を有している。なお、図2では、説明の便宜上、反射ミラー91〜93の記載が省略されている。
【0038】
一例として、筐体60は、下面に設けられた第1出射口64、及び光源70に対してポリゴンミラー80とは反対側の側面に設けられた第2出射口65の、2個の出射口64,65を有している。出射口64,65は、それぞれスリット状を呈している。
【0039】
反射ミラー91は、照射されたレーザ光を第1出射口64から出射させる角度に、反射ミラー保持部61に保持されている。反射ミラー92は、照射されたレーザ光を反射ミラー93へ照射させる角度に、反射ミラー保持部62に保持されている。反射ミラー93は、照射されたレーザ光を第2出射口65から出射させる角度に、反射ミラー保持部63に保持されている。反射ミラー91〜93のうち、少なくとも反射ミラー91は、筐体60に着脱自在に保持されている。
【0040】
ポリゴンミラー80によって反射偏向されたレーザ光の光路上において、反射ミラー91は、反射ミラー92よりも上流側に配置されている。
【0041】
このため、ポリゴンミラー80によって反射偏向されたレーザ光は、反射ミラー91が筐体60に装着されている状態では反射ミラー91に照射され、反射ミラー91が筐体60から取り外された状態では反射ミラー92に照射される。
【0042】
図3(A)に示すように、第1出射口64からレーザ光を出射させる配置パターンにおいては、反射ミラー91〜93の全てが筐体60のそれぞれの所定位置に保持され、ポリゴンミラー80によって反射偏向されたレーザ光を、反射ミラー91〜93のうち反射ミラー(第1反射ミラー)91が最初に受ける。反射ミラー91は、レーザ光を第1出射口64から出射させる。
【0043】
図3(B)に示すように、第2出射口65からレーザ光を出射させる配置パターンにおいては、反射ミラー91は筐体60から取り外され、反射ミラー92,93は筐体60のそれぞれの所定位置に保持され、ポリゴンミラー80によって反射偏向されたレーザ光を、反射ミラー92,93のうち反射ミラー(第2反射ミラー)92が最初に受ける。反射ミラー92は、レーザ光を反射ミラー93へ向けて反射し、反射ミラー93は、レーザ光を第2出射口65から出射させる。
【0044】
このように、光走査ユニット50によれば、複数の出射口64,65のうち所望の出射口からレーザ光を出射させるように、反射ミラー91〜93の配置パターンを変更することができる。このため、レーザ光の出射光軸を、出射口64,65の数に応じて段階的に変化させることができる。これによって、感光体ドラム31の径のサイズ変更や取り付け位置変更によって光走査ユニット50に対する感光体ドラム31の周面の位置が変更された場合でも、感光体ドラム31の周面に対してレーザ光を所定の入射角度で照射することができる。したがって、画像の精細度の低下を防止しつつ、異なる機種の画像形成装置に光走査ユニット50を共通使用することができる。このため、コスト低下を図ることができる。
【0045】
光走査ユニット50に対する感光体ドラム31の周面の位置変更は、レーザ光の焦点距離が変わらないような範囲内での位置変更であることが好ましい。
【0046】
複数の出射口64,65は、筐体60の互いに異なる面に設けられ、筐体60の1つの面に設けられる出射口は1個だけなので、外から内への迷光及び内から外への迷光を防止することができる。
【0047】
反射ミラー91を装着するか取り外すかという簡単な作業で、レーザ光の出射光軸を変化させることができる。また、反射ミラー91の取り付け角度を変更するわけではないので、微妙な調整が不要であり、かつ反射ミラー91を所定角度に確実に保持することができる。
【0048】
次に、第2実施形態に係る光走査ユニット50Aについて説明する。なお、説明の便宜上、光走査ユニット50と同様の構成については同じ符号を使用する。また、図4(A)以降の図においても、コリメートレンズや第1fθレンズ等の記載は省略している。
【0049】
図4(A)及び図4(B)に示すように、光走査ユニット50Aは、互いに異なる種類のミラーユニット110,120を、筐体60Aの複数の出射口64,65のうちの特定の出射口64に着脱自在であるように構成されていることを除いて、光走査ユニット50と同様に構成されている。
【0050】
ミラーユニット110は、出射口64から出射されたレーザ光を感光体ドラム31へ向けて反射する最終出射ミラー111を有する。ミラーユニット120は、出射口64から出射されたレーザ光を感光体ドラム31へ向けて反射する最終出射ミラー121を有する。
【0051】
ミラーユニット110とミラーユニット120とは、最終出射ミラー111の直前にレーザ光を反射した反射ミラー91から最終出射ミラー111までの光路長L1と、最終出射ミラー121の直前にレーザ光を反射した反射ミラー91から最終出射ミラー121までの光路長L2とが、互いに異なるように構成されている。
【0052】
ミラーユニット110は、光走査ユニット50Aに装着時に出射口64から出射されたレーザ光が入射する入射口112、及び最終出射ミラー111で反射したレーザ光を出射する出射口113を有している。
【0053】
同様に、ミラーユニット120は、光走査ユニット50Aに装着時に出射口64から出射されたレーザ光が入射する入射口122、及び最終出射ミラー121で反射したレーザ光を出射する出射口123を有している。
【0054】
図5(A)に示すように、光走査ユニット50Aの筐体60Aは、下面の外側面であって出射口64の周囲に、複数の凹部66A,67A,68A,69Aを有している。
【0055】
ミラーユニット110は、上面に、凹部66A〜69Aのそれぞれに嵌合自在な複数の突起部114,115,116,117(但し、突起部117は図示されていない。)を有している。図5(A)及び図5(B)に示すように、凹部66A〜69Aと複数の突起部114〜117とを嵌合させることで、ミラーユニット110は光走査ユニット50Aの所定位置に位置決めされた状態で装着される。
【0056】
図6に示すように、ミラーユニット110と同様に、ミラーユニット120は、上面に、凹部66A〜69Aのそれぞれに嵌合自在な複数の突起部124,125,126,127(但し、突起部127は図示されていない。)を有している。凹部66A〜69Aと複数の突起部124〜127とを嵌合させることで、ミラーユニット120は光走査ユニット50Aの所定位置に位置決めされた状態で装着される。
【0057】
画像形成装置10の装置本体には、光走査ユニット50Aにミラーユニット110が装着された状態の光走査装置131、又は光走査ユニット50Aにミラーユニット120が装着された状態の光走査装置132として搭載される。
【0058】
光走査ユニット50Aによれば、光走査ユニット50Aに対する感光体ドラム31の周面の位置が変更された場合でも、光走査ユニット50Aは共通使用し、ミラーユニット110,120のみを再設計して出射口64に装着することで、感光体ドラム31の周面に対してレーザ光を所定の入射角度で照射することができる。
【0059】
したがって、画像の精細度の低下を防止しつつ、異なる機種の画像形成装置に光走査ユニット50Aを共通使用することができる。このため、コスト低下を図ることができる。
【0060】
次に、第3実施形態に係る光走査ユニット50Bについて説明する。なお、説明の便宜上、光走査ユニット50と同様の構成については同じ符号を使用する。
【0061】
図7(A)及び図7(B)に示すように、光走査ユニット50Bは、複数の最終出射ミラー141,142を有するミラーユニット140が筐体60Bに互いに異なる向きで装着自在であるように構成されていることを除いて、光走査ユニット50Aと同様に構成されている。
【0062】
最終出射ミラー141,142は、それぞれの長手方向が互いに平行になるように配置されている。最終出射ミラー141,142は、ミラーユニット140の筐体143の、最終出射ミラー141の長手方向に直交する水平方向及び高さ方向の両方において異なる位置に、それぞれの背面を互いに対向させるように配置されている。
【0063】
筐体143は、最終出射ミラー141,142の表面がそれぞれ対向する側面に、最終出射ミラー141によって反射されたレーザ光が出射する出射口144、及び最終出射ミラー142によって反射されたレーザ光が出射する出射口145を有する。
【0064】
また、筐体143は、最終出射ミラー141,142のそれぞれの上方に入射口146,147を有している。
【0065】
ミラーユニット140は、図7(A)に示すように、出射口64と入射口146とが連通して反射ミラー91と最終出射ミラー141とが対向する第1姿勢と、図7(B)に示すように、出射口64と入射口147とが連通して反射ミラー91と最終出射ミラー142とが対向する第2姿勢とに、光走査ユニット50Bの筐体60Bに装着自在に構成されている。
【0066】
第2姿勢は、第1姿勢からミラーユニット140を筐体60Bの下面に沿って180度回転させるように向きを変えた状態である。
【0067】
一例として、ポリゴンミラー80に反射偏向されたレーザ光の光軸方向において、出射口64よりも下流側の複数の凹部66B,67Bと上流側の複数の凹部68B,69Bとは、筐体60Bの下面の外側面において点対称な位置に配置されている。なお、図7(A)及び図7(B)では、凹部67B,69Bの符号は図示されていないが、紙面における凹部66Bの奥側に凹部67Bが配置され、凹部68Bの奥側に凹部69Bが配置されている。
【0068】
ミラーユニット140が筐体60Bに第1姿勢で装着された状態において、最終出射ミラー141と反射ミラー91とは、出射口64及び入射口146を通して互いに対向する。ミラーユニット140が筐体60Bに第2姿勢で装着された状態において、最終出射ミラー142と反射ミラー91とは、出射口64及び入射口147を通して互いに対向する。
【0069】
ミラーユニット140が筐体60Bに第1姿勢で装着された状態における反射ミラー91から最終出射ミラー141までの光路長が、ミラーユニット140が筐体60Bに第2姿勢で装着された状態における反射ミラー91から最終出射ミラー142までの光路長よりも長くなるように、最終出射ミラー141,142は配置されている。反射ミラー91は、最終出射ミラー141,142のそれぞれの直前にレーザ光を反射した直前反射ミラーである。
【0070】
画像形成装置10の装置本体には、光走査ユニット50Bにミラーユニット140が第1姿勢で装着された状態、又は光走査ユニット50Bにミラーユニット140が第2姿勢で装着された状態の光走査装置133として搭載される。
【0071】
光走査ユニット50Bによれば、ミラーユニット140を異なる種類のものに交換することなく、ミラーユニット140の装着の向きを変えることで、レーザ光の最終出射光軸を段階的に変化させることができる。このため、光走査ユニット50Bに対する感光体ドラム31の周面の位置が変更された場合でも、光走査ユニット50B及びミラーユニット140を共通使用し、感光体ドラム31の周面に対してレーザ光を所定の入射角度で照射することができる。
【0072】
したがって、画像の精細度の低下を防止しつつ、異なる機種の画像形成装置に光走査ユニット50Bを共通使用することができる。このため、コスト低下を図ることができる。
【0073】
上述の実施形態のそれぞれの技術的特徴を互いに組み合わせることで、新たな実施形態を構成することが考えられる。
【0074】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
10 画像形成装置
50,50A,50B 光走査ユニット
60,60A,60B 筐体
61,62,63 反射ミラー保持部
64,65 出射口
70 光源
80 ポリゴンミラー(回転多面鏡)
91,92,93 反射ミラー
110,120,140 ミラーユニット
131,132,133 光走査装置
111,121,141,142 最終出射ミラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7