(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無負荷時加圧力計算部は、前記複数の移動速度と前記複数の加圧力との関係を多項近似することによって、前記無負荷時加圧力を前記スライドテーブルの移動速度を変数とした関数として求めることを特徴とする請求項1記載のプレスブレーキ。
前記無負荷時加圧力計算部は、前記スライドテーブルが第1の位置から第2の位置まで移動する移動範囲を複数の領域に分割したそれぞれの領域における移動速度と加圧力との関係に基づいて、前記無負荷時加圧力を求めることを特徴とする請求項1または2に記載のプレスブレーキ。
前記加圧力補正部は、前記加圧力計算部によって計算された加圧力から前記無負荷時加圧力計算部によって求められた前記所定の移動速度に対応した無負荷時加圧力を減算することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレスブレーキ。
板材を加工する金型を保持するスライドテーブルが、前記金型が前記板材に負荷をかけていない無負荷の状態で移動しているときに、前記スライドテーブルの複数の移動速度と複数の加圧力とを求め、
前記複数の移動速度と前記複数の加圧力との関係に基づいて、前記スライドテーブルの移動速度に応じた無負荷時加圧力を求め、
前記金型を前記板材に接触させて、前記スライドテーブルを所定の移動速度で移動させることによって前記板材を加工し、
前記板材を加工しているときの前記スライドテーブルの加圧力を求め、
前記板材を加工しているときに求めた前記スライドテーブルの加圧力を、前記所定の移動速度に対応した無負荷時加圧力を用いて補正する
ことを特徴とするプレスブレーキに用いる加圧力補正方法。
前記複数の移動速度と前記複数の加圧力との関係を多項近似することによって、前記無負荷時加圧力を前記スライドテーブルの移動速度を変数とした関数として求めることを特徴とする請求項5記載のプレスブレーキに用いる加圧力補正方法。
前記板材を加工しているときに求めた前記スライドテーブルの加圧力から前記所定の移動速度に対応した無負荷時加圧力を減算することを特徴とする請求項5または6に記載のプレスブレーキに用いる加圧力補正方法。
前記スライドテーブルの移動速度に応じた無負荷時加圧力を、前記プレスブレーキの起動の最初の加工時、所定の時間が経過したごと、前記プレスブレーキによって板材を加工した所定の加工回数ごとのうちのいずれかで求めることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のプレスブレーキに用いる加圧力補正方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、上部テーブルが停止状態のときに加圧力が0となるようにパラメータを調整しても、従来のプレスブレーキは以下のような問題点を有する。
【0007】
上部テーブルが動作中はシリンダの摩擦等が抵抗となって、見かけ上、加圧力が上昇する。機械の状態が時間によって変化することによって摩擦の程度が変化するため、見かけ上、加圧力が変化する。上部テーブルの動作速度によって油圧機構の圧力損失が変化するため、見かけ上の加圧力が変化する。
【0008】
これらの要因によって、上部テーブルが動作中に検出される加圧力にはかなりの誤差が含まれる。上部テーブルをスライドテーブルとする代わりに、下部テーブルをスライドテーブルとして上昇させる場合も同様である。
【0009】
従来のプレスブレーキは、スライドテーブルが動作中の加圧力を正確に取得することができないため、プレスブレーキの動作を精度よく制御することが難しいという問題点を有する
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑み、スライドテーブルが動作中の加圧力を正確に取得することができ、プレスブレーキの動作を精度よく制御することができるプレスブレーキ及びこれに用いる加圧力補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、板材を加工する金型を保持するための移動自在のスライドテーブルと、前記スライドテーブルを移動させる移動機構と、前記スライドテーブルが移動しているときの移動速度を検出する速度検出部と、前記スライドテーブルが移動しているときの前記スライドテーブルの加圧力を計算する加圧力計算部と、前記移動機構によって前記スライドテーブルを移動させており、前記金型が前記板材に負荷をかけていない無負荷の状態で、前記速度検出部によって検出された複数の移動速度と、前記加圧力計算部によって計算された複数の加圧力との関係に基づいて、前記スライドテーブルの移動速度に応じた無負荷時加圧力を求める無負荷時加圧力計算部と、前記スライドテーブルを所定の移動速度で移動させて前記金型によって前記板材を加工しているときに、前記加圧力計算部によって計算された加圧力を、前記無負荷時加圧力計算部によって求められた前記所定の移動速度に対応した無負荷時加圧力を用いて補正する加圧力補正部とを備えることを特徴とするプレスブレーキを提供する。
【0012】
上記のプレスブレーキにおいて、前記無負荷時加圧力計算部は、前記複数の移動速度と前記複数の加圧力との関係を多項近似することによって、前記無負荷時加圧力を前記スライドテーブルの移動速度を変数とした関数として求めることが好ましい。
【0013】
上記のプレスブレーキにおいて、前記無負荷時加圧力計算部は、前記スライドテーブルが第1の位置から第2の位置まで移動する移動範囲を複数の領域に分割したそれぞれの領域における移動速度と加圧力との関係に基づいて、前記無負荷時加圧力を求めることが好ましい。
【0014】
上記のプレスブレーキにおいて、前記加圧力補正部は、前記加圧力計算部によって計算された加圧力から前記無負荷時加圧力計算部によって求められた前記所定の移動速度に対応した無負荷時加圧力を減算することが好ましい。
【0015】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、板材を加工する金型を保持するスライドテーブルが、前記金型が前記板材に負荷をかけていない無負荷の状態で移動しているときに、前記スライドテーブルの複数の移動速度と複数の加圧力とを求め、前記複数の移動速度と前記複数の加圧力との関係に基づいて、前記スライドテーブルの移動速度に応じた無負荷時加圧力を求め、前記金型を前記板材に接触させて、前記スライドテーブルを所定の移動速度で移動させることによって前記板材を加工し、前記板材を加工しているときの前記スライドテーブルの加圧力を求め、前記板材を加工しているときに求めた前記スライドテーブルの加圧力を、前記所定の移動速度に対応した無負荷時加圧力を用いて補正することを特徴とするプレスブレーキに用いる加圧力補正方法を提供する。
【0016】
上記のプレスブレーキに用いる加圧力補正方法において、前記複数の移動速度と前記複数の加圧力との関係を多項近似することによって、前記無負荷時加圧力を前記スライドテーブルの移動速度を変数とした関数として求めることが好ましい。
【0017】
上記のプレスブレーキに用いる加圧力補正方法において、前記板材を加工しているときに求めた前記スライドテーブルの加圧力から前記所定の移動速度に対応した無負荷時加圧力を減算することが好ましい。
【0018】
上記のプレスブレーキに用いる加圧力補正方法において、前記スライドテーブルの移動速度に応じた無負荷時加圧力を、前記プレスブレーキの起動の最初の加工時、所定の時間が経過したごと、前記プレスブレーキによって板材を加工した所定の加工回数ごとのうちのいずれかで求めることが好ましい。
【0019】
上記のプレスブレーキに用いる加圧力補正方法において、前記スライドテーブルの移動速度に応じた無負荷時加圧力を所定の頻度で求め、前記所定の頻度で求めた無負荷時加圧力の変化の程度を監視し、前記無負荷時加圧力の変化が所定の変化量よりも大きくなったら、前記所定の頻度を増やすことが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のプレスブレーキ及びこれに用いる加圧力補正方法によれば、スライドテーブルが動作中の加圧力を正確に取得することができ、スライドテーブルの動作を精度よく制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、一実施形態のプレスブレーキ及びこれに用いる加圧力補正方法について、添付図面を参照して説明する。
【0023】
図1に示す一実施形態のプレスブレーキは、概略的には、プレスブレーキ制御装置20と、移動自在の上部テーブル30と、下部テーブル40とを備える。プレスブレーキ制御装置20は、NC装置によって構成することができる。一実施形態のプレスブレーキにおいては、上部テーブル30がスライドテーブルである。
【0024】
上部テーブル30は、左右に設けたメインシリンダ35L,35Rによって、上下動される。上部テーブル30は、下部テーブル40に近付く方向及び下部テーブル40から離れる方向に位置制御される。メインシリンダ35L,35Rは、上部テーブル30を移動させる移動機構である。
【0025】
下部テーブル40は、左右に設けたクラウニングシリンダ45L,45Rによって、上部テーブル30方向へのクラウニングが制御される。クラウニングシリンダ45L,45Rによるクラウニングの制御動作については説明を省略する。
【0026】
図1においては、上部テーブル30と下部テーブル40それぞれを駆動するシリンダの数を2個ずつとしているが、これに限定されるものではない。
【0027】
上部テーブル30には図示していない上部金型ホルダが取り付けられ、下部テーブル40には図示していない下部金型ホルダが取り付けられている。上部金型ホルダにはパンチ金型31が装着され、下部金型ホルダにはダイ金型41が装着されている。
【0028】
パンチ金型31とダイ金型41は、それぞれ、直接的または間接的に上部テーブル30と下部テーブル40に保持されていればよい。加工(折り曲げ)の対象である板材Wは、パンチ金型31とダイ金型41とによって挟まれて折り曲げられる。
【0029】
図1においては、パンチ金型31とダイ金型41として幅の広い金型を例示している。パンチ金型31及びダイ金型41は種々の幅が存在する。
【0030】
オペレータが板材Wの加工の開始を指示すると、プレスブレーキ制御装置20は、加工開始の指示に応答して、メインシリンダ35L,35Rを制御する。
【0031】
プレスブレーキ制御装置20は、機能的な構成として、スライド制御部21と加圧力計算部22とを有する。また、プレスブレーキ制御装置20は、カウンタ入力部24L,24Rと、D/A変換器25L,25Rと、A/D変換器26とを有する。
【0032】
D/A変換器25L,25Rと及びA/D変換器26を、プレスブレーキ制御装置20の外部に設けてもよい。
【0033】
図1においては、プレスブレーキ制御装置20の概略的な内部構成を示している。プレスブレーキ制御装置20のより具体的な内部構成については後述する。
【0034】
プレスブレーキ制御装置20は、上部テーブル30を下降または上昇させる際の位置を制御するためのデジタル値よりなる制御データを生成する。D/A変換器25L,25Rは、制御データをアナログ値よりなる制御値に変換する。制御値は、増幅器32L,32Rに入力される。
【0035】
増幅器32L,32Rは、制御値を増幅してモータ33L,33Rに供給する。モータ33L,33Rは、双方向回転ポンプ34L,34Rを正転または逆転させる。
【0036】
双方向回転ポンプ34L,34Rを正転させることによって、メインシリンダ35L,35Rを下降させることができる。双方向回転ポンプ34L,34Rを逆転させることによって、メインシリンダ35L,35Rを上昇させることができる。
【0037】
メインシリンダ35L,35Rの上側の油圧室には圧力センサ36L,36Rが接続されている。圧力センサ36L,36Rは、メインシリンダ35L,35Rのヘッド35h側の圧力(以下、ヘッド圧力)を検出する。
【0038】
メインシリンダ35L,35Rの下側の油圧室には圧力センサ37L,37Rが接続されている。圧力センサ37L,37Rは、メインシリンダ35L,35Rのロッド35r側の圧力(以下、ロッド圧力)を検出する。
【0039】
圧力センサ36L,36R,37L,37Rは、単位面積当たりの圧力の検出値をA/D変換器26へと供給する。A/D変換器26は、圧力センサ36L,36R,37L,37Rそれぞれの検出値をデジタル値に変換して、加圧力計算部22に供給する。
【0040】
加圧力計算部22は、上部テーブル30による加圧力を、以下の式(1)に基づいて求める。加圧力計算部22は、パンチ金型31が板材Wに接触する以前の上部テーブル30の下降時、及び、パンチ金型31を板材Wに接触させて板材Wを加工している加工時の双方で、加圧力を求める。
【0041】
加圧力=ヘッド圧力×ヘッド面積−ロッド圧力×ロッド面積−上部テーブル30の自重 …(1)
【0042】
ヘッド面積とはメインシリンダ35L,35Rのヘッド35hの上面の面積を合計した面積である。ロッド面積とは、メインシリンダ35L,35Rそれぞれ、ヘッド35hの下面の面積から、ロッド35rの上端面の面積を除いた面積を合計した面積である。即ち、ロッド面積とは、メインシリンダ35L,35Rのヘッド35hの下面におけるロッド35rの周囲の面積を合計した面積である。
【0043】
プレスブレーキ制御装置20は、上部テーブル30の自重を示す値を予め保持している。上部テーブル30の自重は、上部テーブル30にパンチ金型31を装着した状態の自重とするのがよい。
【0044】
位置検出器38L,38Rは、上部テーブル30の上下方向の位置を検出する。位置検出器38L,38Rは、上部テーブル30の位置をカウンタの値として検出することができる。位置検出器38L,38Rは、位置検出値(カウント値)をカウンタ入力部24L,24Rへと供給する。これによって、プレスブレーキ制御装置20は、上部テーブル30の上下方向の位置を知ることができる。
【0045】
図2を用いて、プレスブレーキ制御装置20のより具体的な内部構成について説明する。スライド制御部21は、カウンタ入力部24L,24Rからの位置検出値が入力される速度検出部211を有する。速度検出部211は、スライド制御部21の外部に設けられていてもよい。
【0046】
速度検出部211は、位置検出値の変化に基づいて、上部テーブル30の移動速度を検出する。速度検出部211が検出した移動速度をSとする。
【0047】
プレスブレーキ制御装置20は、
図1では図示が省略されている無負荷時加圧力計算部27と加圧力補正部28とを有する。無負荷時加圧力計算部27には、移動速度Sと、加圧力計算部22によって求められた加圧力Pとが入力される。
【0048】
無負荷時加圧力計算部27は、後述する方法によって、上部テーブル30が板材Wに負荷をかけていない状態の加圧力(無負荷時加圧力)Pcを計算する。前述のように、上部テーブル30が動作中は、無負荷の状態であっても、メインシリンダ35L,35Rの摩擦等に起因して、見かけ上の無負荷時加圧力が発生する。
【0049】
加圧力補正部28には、加圧力Pと無負荷時加圧力Pcと移動速度Sが入力される。加圧力補正部28は、後述のように加圧力Pを補正して、補正加圧力P’を出力する。プレスブレーキ制御装置20は、補正加圧力P’を用いてプレスブレーキの動作を制御する。プレスブレーキ制御装置20が補正加圧力P’を用いてプレスブレーキの動作をどのように制御するかは、特に限定されない。
【0050】
一例として、プレスブレーキ制御装置20は、予め規定した耐圧を超える加圧力がパンチ金型31またはダイ金型41にかかっていないかを判定するために、補正加圧力P’の値を監視する。プレスブレーキ制御装置20は、予め規定した耐圧を超える加圧力がかかっていると判定したとき、プレスブレーキの動作を停止させることができる。
【0051】
本実施形態のプレスブレーキは、板材Wを加工する加工工程の最中に、以下のようにして無負荷時加圧力Pcを求める。
【0052】
図3に示すように、上部テーブル30は、最上端の位置SL0から下方側の位置SLnまで下降するとする。位置SLnは、パンチ金型31が板材Wに当たる位置よりも上方の位置とする。スライド制御部21は、上部テーブル30の位置SL0から位置SLnまでの下降範囲をn分割して、速度S1〜Snで上部テーブル30を下降させる。速度S1〜Snは、移動速度Sの具体的な値である。
【0053】
速度S1が最も高速で、速度Snが最も低速である。スライド制御部21は、速度S1から速度Snまで速度を順次小さくするよう、上部テーブル30を下降させる。
図3に示す例では、上部テーブル30を所定の距離だけ下降させたら、速度を次の速度へと下げている。スライド制御部21は、上部テーブル30の速度を連続的に変化させてもよい。
【0054】
ここでは、最上端の位置SL0と下方側の位置SLnとの間の下降範囲をn分割しているが、上方側の位置は最上端の位置SL0でなくてもよい。上部テーブル30が上方側の第1の位置から下方側の第2の位置まで移動する移動範囲を複数の領域に分割すればよい。
【0055】
上部テーブル30を
図3に示すように下降させると、
図4に示すような、上部テーブル30の移動速度Sと加圧力Pとの関係が得られる。加圧力P1〜Pnは、加圧力Pの具体的な値である。
【0056】
図4においては、簡略化のため、移動速度Sと加圧力Pとの関係を直線的な比例関係としているが、所定の曲線的な関係となることもある。
図4では、速度S2と速度Snとの間で5つの加圧力Pを示しているが、これは単なる例である。
【0057】
無負荷時加圧力計算部27は、入力される速度S1〜Snと加圧力P1〜Pnとに基づいて、
図4に示すような上部テーブル30の速度Sと加圧力Pとの関係を求めることができる。
【0058】
無負荷時加圧力計算部27は、
図4に示すような関係を多項近似することによって、無負荷時加圧力Pcと移動速度Sとの関係を求める。無負荷時加圧力Pcは、式(2)に示すように、移動速度Sを変数とする関数で表すことができる。
【0060】
図2において、式(2)で表される無負荷時加圧力Pcは、加圧力補正部28に入力される。加圧力補正部28は、加圧力Pより移動速度Sに応じた無負荷時加圧力Pcを減算することにより、補正加圧力P’を生成する。即ち、加圧力補正部28は、式(3)によって補正加圧力P’を求める。
【0062】
図5に示すフローチャートを用いて、プレスブレーキ制御装置20で実行される処理を改めて説明する。
【0063】
図5において、プレスブレーキ制御装置20は、ステップS101にて、ポイント数nを設定する。プレスブレーキ制御装置20は、ステップS102にて、上部テーブル30をスライド動作させる。
【0064】
プレスブレーキ制御装置20は、ステップS103にて、移動速度Sと加圧力Pとを計測する。プレスブレーキ制御装置20は、ステップS104にて、nポイントの計測が完了したか否かを判定する。
【0065】
nポイントの計測が完了していなければ(NO)、プレスブレーキ制御装置20は、処理をステップS102に戻して、ステップS102〜S104を繰り返す。nポイントの計測が完了していれば(YES)、プレスブレーキ制御装置20は、ステップS105にて、式(2)に基づき、無負荷時加圧力Pcを計算する。
【0066】
プレスブレーキ制御装置20は、ステップS106にて、式(3)に基づき、加圧力Pを補正して補正加圧力P’とし、処理を終了させる。
【0067】
図6を用いて、板材Wの加工時に加圧力計算部22によって計算される加圧力Pがどのように補正されるかについて説明する。
【0068】
図6において、横軸は上部テーブル30の位置、縦軸は加圧力を示している。横軸の右方向が下方である。上部テーブル30が、板材Wがパンチ金型31とダイ金型41とによって挟まれるピンチング位置より上方に位置しているとき、上部テーブル30が板材Wに負荷をかけていない無負荷の状態である。ピンチング位置までは無負荷領域であり、ピンチング位置以降、上部テーブル30が板材Wに負荷をかけている領域となる。
【0069】
無負荷時加圧力計算部27は、無負荷領域において、無負荷時加圧力Pcを求める。無負荷時加圧力Pcは移動速度Sを変数とする関数であるため、厳密には、無負荷領域における上部テーブル30の移動速度Sに応じた値となる。
図6では、簡略化のため、無負荷時加圧力Pcと一定値としている。
【0070】
ピンチング位置以降、プレスブレーキ制御装置20は、板材Wに、板材Wを所定の形状に加工するために予め設定した加圧力をかけるように、上部テーブル30をさらに下降させる。スライド制御部21は、上部テーブル30を所定の移動速度Sで移動させることによって板材Wを加工する。
【0071】
このとき、加圧力計算部22によって計算される加圧力Pが
図6に一点鎖線で示す曲線状の特性を示すとする。ピンチング位置以降も、上部テーブル30が動作中は、メインシリンダ35L,35Rの摩擦等に起因した加圧力の誤差が発生する。よって、加圧力計算部22によって計算される一点鎖線で示す加圧力Pは、実際に板材Wにかけている正確な加圧力を示さない。
【0072】
上部テーブル30を所定の移動速度Sで移動させて板材Wを加工しているとき、加圧力補正部28は加圧力Pを補正する。具体的には、加圧力補正部28は、加圧力Pより、上部テーブル30の所定の移動速度Sに対応した無負荷時加圧力Pcを減算することにより、補正加圧力P’を求める。
図6に実線で補正加圧力P’を示している。
【0073】
ピンチング位置以降の上部テーブル30の移動速度Sは、必ずしも一定ではない。上部テーブル30の所定の移動速度Sとは、ピンチング位置以降のそれぞれの位置における移動速度Sである。
【0074】
図6では、簡略化のため、ピンチング位置以降の上部テーブル30の移動速度Sを一定として、加圧力Pより一定値の無負荷時加圧力Pcを減算した特性を、補正加圧力P’として示している。
【0075】
補正加圧力P’は、メインシリンダ35L,35Rの摩擦等に起因した加圧力の誤差を補正した加圧力である。よって、補正加圧力P’は、実際に板材Wにかけているほぼ正確な加圧力を示す。
【0076】
図7は、以上説明した本実施形態のプレスブレーキによる1つの加工工程を概念的に示している。
図7に示すように、1加工工程は、上部テーブル30の下降動作OP1と、下降動作OP1に続く板材Wの加工動作OP2と、板材Wの加工完了後の上部テーブル30の上昇動作OP3とよりなる。
【0077】
下降動作OP1の期間内で、無負荷時加圧力計算部27による無負荷時加圧力計算動作OP10によって、無負荷時加圧力Pcが計算される。板材Wの加工動作OP2の期間内で、加圧力補正部28は、加圧力補正動作OP20によって、無負荷時加圧力Pcに基づいて加圧力Pを補正して補正加圧力P’とする。
【0078】
このように、本実施形態のプレスブレーキ及び加圧力補正方法によれば、通常の板材Wの加工工程内で、無負荷時加圧力Pcが計算されて補正加圧力P’が生成される。よって、オペレータは、加圧力Pの補正動作を全く意識することなく、通常のように板材Wを加工すればよい。
【0079】
図8を用いて、無負荷時加圧力Pcを求める頻度の例を説明する。
図8の(a)〜(c)に示す加工B1〜B6,B11〜B18は、それぞれ、1つの加工工程を示している。
【0080】
ハッチングを付した加工B1,B11,B14,B17,B18は、
図7で説明した無負荷時加圧力計算動作OP10及び加圧力補正動作OP20を含む加工工程を示している。ハッチングを付していない残りの加工は、
図7における無負荷時加圧力計算動作OP10を含まず、加圧力補正動作OP20を含む加工工程を示している。
【0081】
図8の(a)は、プレスブレーキの起動後の最初の加工B1のみ、無負荷時加圧力計算動作OP10を実行させる例を示している。加工B1〜B6及びそれ以降、プレスブレーキ制御装置20は、最初の加工B1における無負荷時加圧力計算動作OP10で計算した無負荷時加圧力Pcを用いて、加圧力補正動作OP20を実行させる。
【0082】
図8の(b)は、所定の時間Tpreが経過したごとに、無負荷時加圧力計算動作OP10を実行させる例を示している。加工B14の時点では、その時点より前で最後に無負荷時加圧力計算動作OP10を実行させた加工B11より時間Tpreが経過している。よって、プレスブレーキ制御装置20は、加工B14において無負荷時加圧力計算動作OP10を実行させ、無負荷時加圧力Pcを更新する。
【0083】
時間Tpreが経過すると、メインシリンダ35L,35Rの油温が変化する可能性が高い。油温が変化すると摩擦の程度が変化するため、無負荷時加圧力Pcが変化する。
図8の(b)の例では、無負荷時加圧力Pcが変化しても、時間Tpreが経過すると無負荷時加圧力Pcが更新されるので、
図8の(a)よりも誤差の少ない補正加圧力P’を得ることができる。
【0084】
プレスブレーキ制御装置20は、無負荷時加圧力計算動作OP10を実行させた加工の後、時間Tpreを計測することによって、プレスブレーキを
図8の(b)のように動作させることができる。
【0085】
図8の(c)は、プレスブレーキによって板材Wを加工した所定の加工回数ごとに、無負荷時加圧力計算動作OP10を実行させる例を示している。
図8の(c)では、3回の加工ごとに無負荷時加圧力計算動作OP10を実行させているが、加工回数は適宜設定すればよい。
図8の(c)の例でも
図8の(b)の例と同様、無負荷時加圧力Pcが所定の加工回数ごとに更新されるので、
図8の(a)よりも誤差の少ない補正加圧力P’を得ることができる。
【0086】
板材Wの加工回数を重ねることによって、メインシリンダ35L,35Rの油温が上昇する。よって、板材Wを加工した所定の加工回数ごとに無負荷時加圧力Pcを更新すれば、誤差の少ない補正加圧力P’を得ることができる。
【0087】
プレスブレーキ制御装置20は、無負荷時加圧力計算動作OP10を実行させた加工以降の加工の回数をカウントすることによって、プレスブレーキを
図8の(c)のように動作させることができる。
【0088】
図9は、無負荷時加圧力Pcを求める頻度を変化させる例を示している。
図9は、
図8の(c)と同様に、プレスブレーキによって板材Wを加工した所定の加工回数ごとに、無負荷時加圧力計算動作OP10を実行させる例を示している。
【0089】
プレスブレーキ制御装置20は、加工B0,B10,B20で示すように、10回の加工ごとに無負荷時加圧力計算動作OP10を実行させている。プレスブレーキ制御装置20は、無負荷時加圧力Pcの変化の程度を監視する。
【0090】
図9において、加工B20で実行させた無負荷時加圧力計算動作OP10で求められた無負荷時加圧力Pcが、加工B10で実行させた無負荷時加圧力計算動作OP10で求められた無負荷時加圧力Pcと比較して、所定の変化量よりも大きくなったとする。
【0091】
そこで、プレスブレーキ制御装置20は、無負荷時加圧力計算動作OP10を実行させる頻度を増やす。プレスブレーキ制御装置20は、例えば、5回の加工ごとに無負荷時加圧力計算動作OP10を実行させる。これにより、加工B25,B30で無負荷時加圧力計算動作OP10が実行される。
【0092】
図8の(b)と同様に、所定の時間Tpreが経過したごとに無負荷時加圧力計算動作OP10を実行させる場合には、無負荷時加圧力Pcの変化の程度が所定の変化量よりも大きくなったら、時間Tpreを短くすればよい。
【0093】
プレスブレーキ制御装置20は、無負荷時加圧力Pcを所定の頻度で求め、無負荷時加圧力Pcの変化の程度を監視する。プレスブレーキ制御装置20は、変化が所定の変化量よりも大きくなったら、無負荷時加圧力Pcを求める頻度を増やせばよい。
【0094】
以上のように、本実施形態のプレスブレーキ及び加圧力補正方法によれば、スライドテーブル(上部テーブル30)が動作中の加圧力を正確に取得することができる。よって、プレスブレーキの動作を精度よく制御することが可能となる。
【0095】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。