特許第6231908号(P6231908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231908
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】目封止ハニカム構造体
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/20 20060101AFI20171106BHJP
   B01D 46/00 20060101ALI20171106BHJP
   C04B 35/10 20060101ALI20171106BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20171106BHJP
   C04B 35/478 20060101ALI20171106BHJP
   F01N 3/022 20060101ALI20171106BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   B01D39/20 D
   B01D46/00 302
   C04B35/10
   C04B38/00 303Z
   C04B35/478
   F01N3/022 C
   B01J35/04 301P
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-52418(P2014-52418)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2015-174036(P2015-174036A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100089347
【弁理士】
【氏名又は名称】木川 幸治
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】菊池 芳郎
(72)【発明者】
【氏名】木俣 貴文
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−036364(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/063997(WO,A1)
【文献】 特表2011−523616(JP,A)
【文献】 特開2005−087797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/20
B01D 46/00
B01J 35/04
C04B 35/10
C04B 35/478
C04B 38/00
F01N 3/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路となる第一端面から第二端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有する柱状のハニカム構造部と、
前記第一端面における所定のセルの開口部、及び前記第二端面における残余のセルの開口部に配設された目封止部と、を備え、
前記隔壁が、主相として40質量%以上のα−Alを含み、更にチタン酸アルミニウムとガラスを含む多孔体からなり、
前記多孔体の前記α−Alと前記チタン酸アルミニウムとの質量比率が、60/40〜90/10であり、
前記多孔体が、前記α−Alと前記チタン酸アルミニウムと前記ガラスの合計100質量%に対して、前記ガラスを5〜15質量%含む、目封止ハニカム構造体。
【請求項2】
前記多孔体は、前記チタン酸アルミニウムにFe、Mg、及びSiからなる第一群より選択される少なくとも1種の成分が固溶したものである、請求項1に記載の目封止ハニカム構造体。
【請求項3】
前記チタン酸アルミニウムに含まれるAl及びTiを酸化物換算したAl及びTiOの質量と当該チタン酸アルミニウムに含まれる固溶成分を酸化物換算した質量の合計質量に対する、当該チタン酸アルミニウムに含まれる前記固溶成分のうちのFe、Mg、及びSiを酸化物換算したFe、MgO、及びSiOの各質量の比率が、0.1〜10.0質量%である、請求項に記載の目封止ハニカム構造体。
【請求項4】
前記ガラスが、SiO、及びAlを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の目封止ハニカム構造体。
【請求項5】
前記ガラスが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Ti、及びFeからなる群より選択される少なくとも1種の成分からなる酸化物を更に含む、請求項に記載の目封止ハニカム構造体。
【請求項6】
前記多孔体を構成する材料の真密度が、3.65〜3.85g/cmである、請求項1〜のいずれか一項に記載の目封止ハニカム構造体。
【請求項7】
前記多孔体を構成する材料の600℃における熱容量が、4.25〜4.50J/K/cmである、請求項1〜のいずれか一項に記載の目封止ハニカム構造体。
【請求項8】
前記多孔体の40〜800℃における平均熱膨張係数が、2.5〜6.0ppm/Kである、請求項1〜のいずれか一項に記載の目封止ハニカム構造体。
【請求項9】
前記多孔体が、下記式(1)の関係を満たす、請求項1〜のいずれか一項に記載の目封止ハニカム構造体。
C−0.007×α ≧ 4.20 ・・・ (1)
(但し、上記式(1)において、Cは、前記多孔体を構成する材料の600℃における熱容量(J/K/cm)を示し、αは、前記多孔体の40〜800℃における平均熱膨張係数(ppm/K)を示す。)
【請求項10】
前記多孔体の気孔率が、20〜50%である、請求項1〜のいずれか一項に記載の目封止ハニカム構造体。
【請求項11】
前記多孔体の平均細孔径が、5〜20μmである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の目封止ハニカム構造体。
【請求項12】
前記ハニカム構造部が、前記隔壁を有する柱状のハニカムセグメントを、複数個有し、複数個の前記ハニカムセグメントの互いの側面同士が対向するように隣接して配置された状態で接合されたセグメント構造である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の目封止ハニカム構造体。
【請求項13】
前記ハニカム構造部の前記隔壁の表面及び前記隔壁の細孔のうちの少なくとも一方に、排ガス浄化用の触媒が担持されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の目封止ハニカム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目封止ハニカム構造体に関する。さらに詳しくは、高温での使用に際して温度上昇を抑制することができ、耐熱衝撃性に優れた目封止ハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の内燃機関や各種の燃焼装置等から排出される排ガスには、煤を主体とする粒子状物質(以下、「パティキュレートマター」或いは「PM」ともいう)が、多量に含まれている。このPMがそのまま大気中に放出されると、環境汚染を引き起こすため、排ガスの排気系には、PMを捕集するためのパティキュレートフィルタが搭載されている。例えば、パティキュレートフィルタとしては、ディーゼルエンジンから排出される排ガスの浄化に用いられるディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)等を挙げることができる。
【0003】
このようなDPFには、例えば、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有するハニカム構造体が用いられている。このハニカム構造体は、流体の流出側の端面における所定のセルの開口部と、流体の流入側端面における残余のセルの開口部とに、セルの開口部を封止するための目封止部が配設され、目封止ハニカム構造体として利用される。以下、目封止ハニカム構造体を用いたDPF等のパティキュレートフィルタを総称して、「ハニカムフィルタ」ということがある。
【0004】
DPF等に用いられるハニカム構造体としては、例えば、隔壁が、MgO及びSiOを固溶したチタン酸アルミニウムの主結晶からなるセラミックハニカム構造体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、ハニカム構造体としては、例えば、比熱c(kJ/kg・K)と比重ρ(kg/m)の積で表される熱容量Cが400.0〜2000.0(kJ/m・K)であり、かつ熱伝導率κが1.0〜30.0(W/m・K)であるハニカム構造体も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
DPF等のハニカムフィルタにおいては、フィルタ内部に経時的に堆積したPMによって圧力損失が徐々に増大するため、定期的な間隔で、ハニカムフィルタの内部に堆積したPMを燃焼させて除去する再生を行うことがある。例えば、DPFを再生する方法としては、エンジンから排出される排ガスの温度を上昇させ、その高温の排ガスを利用してDPFを加熱する再生方法が知られている。排ガスの温度を上昇させる方法として、例えば、爆発行程後半又は排気行程において燃料を一時的に過剰に噴射するポスト噴射により、当該過剰燃料を燃焼させて排ガスの温度を上昇させる方法を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2009/63997号
【特許文献2】特開2008−136981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、地球環境保護、資源節約の観点から自動車の燃費向上が求められている。上述したポスト噴射によるDPFの再生は、その再生時に、エンジン出力とは関わりのない燃料を消費するため、再生の頻度が多いほど、自動車の燃費は悪くなる。このため、自動車用のディーゼルエンジンの燃費向上を目的として、上述したDPF(別言すれば、目封止ハニカム構造体)の再生回数の低減について検討されている。すなわち、DPFの再生回数を減じた分、再生に必要とされた燃料の消費が抑制され、エンジンの燃費向上を図ることができる。
【0008】
しかしながら、DPFの再生回数を少なくすると、再生が行われるまでの間隔(別言すれば、再生周期)が長くなるため、再生時において、従来よりも多くの量の煤が隔壁の表面に堆積した状態となる。そして、隔壁の表面に堆積した煤の量が多くなると、当該煤の燃焼に伴う温度上昇が大きくなり、それに伴って、DPFに生じる熱衝撃も大きくなる。したがって、DPFの再生回数を少なくすると、DPFの熱衝撃による破損の可能性が増大する。
【0009】
DPFの再生回数の減少に伴う、上述した熱衝撃による破損を防止するためには、DPFに用いられる目封止ハニカム構造体の隔壁の熱容量を高くする方法が考えられる。例えば、隔壁の熱容量を高くするためには、当該隔壁の気孔率を低下させる方法がある。しかしながら、隔壁の気孔率を低下させると、DPFの圧力損失が増加してしまうという別の問題を生じてしまう。
【0010】
隔壁の熱容量を高くする別の方法として、隔壁を構成する材料として、従来の目封止ハニカム構造体の隔壁に用いられる材料よりも、その熱容量が高い材料を用いる方法が考えられる。しかしながら、目封止ハニカム構造体の隔壁の材料として開示されている、従来公知の材料は、いずれも、DPFの再生回数の減少に伴う熱衝撃による破損を抑制できるような、十分に高い熱容量を有していない。このため、目封止ハニカム構造体の隔壁として使用可能で、且つ、DPFの再生回数の減少に伴う熱衝撃による破損を有効に抑制できるような、高い熱容量を有する新たな材料からなる目封止ハニカム構造体の開発が要望されている。
【0011】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものである。本発明は、高温での使用に際して温度上昇を抑制することができ、耐熱衝撃性に優れた目封止ハニカム構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下の目封止ハニカム構造体を提供するものである。
【0013】
[1] 流体の流路となる第一端面から第二端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有する柱状のハニカム構造部と、前記第一端面における所定のセルの開口部、及び前記第二端面における残余のセルの開口部に配設された目封止部と、を備え、前記隔壁が、主相として40質量%以上のα−Alを含み、更にチタン酸アルミニウムとガラスを含む多孔体からなり、前記多孔体の前記α−Alと前記チタン酸アルミニウムとの質量比率が、60/40〜90/10であり、前記多孔体が、前記α−Alと前記チタン酸アルミニウムと前記ガラスの合計100質量%に対して、前記ガラスを5〜15質量%含む、目封止ハニカム構造体。
【0015】
] 前記多孔体は、前記チタン酸アルミニウムにFe、Mg、及びSiからなる第一群より選択される少なくとも1種の成分が固溶したものである、前記[1]に記載の目封止ハニカム構造体。
【0016】
] 前記チタン酸アルミニウムに含まれるAl及びTiを酸化物換算したAl及びTiOの質量と当該チタン酸アルミニウムに含まれる固溶成分を酸化物換算した質量の合計質量に対する、当該チタン酸アルミニウムに含まれる前記固溶成分のうちのFe、Mg、及びSiを酸化物換算したFe、MgO、及びSiOの各質量の比率が、0.1〜10.0質量%である、前記[]に記載の目封止ハニカム構造体。
【0018】
] 前記ガラスが、SiO、及びAlを含む、前記[1]〜[]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体。
【0019】
] 前記ガラスが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Ti、及びFeからなる群より選択される少なくとも1種の成分からなる酸化物を更に含む、前記[]に記載の目封止ハニカム構造体。
【0020】
] 前記多孔体を構成する材料の真密度が、3.65〜3.85g/cmである、前記[1]〜[]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体。
【0021】
] 前記多孔体を構成する材料の600℃における熱容量が、4.25〜4.50J/K/cmである、前記[1]〜[]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体。
【0022】
] 前記多孔体の40〜800℃における平均熱膨張係数が、2.5〜6.0ppm/Kである、前記[1]〜[]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体。
【0023】
] 前記多孔体が、下記式(1)の関係を満たす、前記[1]〜[]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体。
C−0.007×α ≧ 4.20 ・・・ (1)
(但し、上記式(1)において、Cは、前記多孔体を構成する材料の600℃における熱容量(J/K/cm)を示し、αは、前記多孔体の40〜800℃における平均熱膨張係数(ppm/K)を示す。)
【0024】
10] 前記多孔体の気孔率が、20〜50%である、前記[1]〜[]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体。
【0025】
11] 前記多孔体の平均細孔径が、5〜20μmである、前記[1]〜[10]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体。
【0026】
12] 前記ハニカム構造部が、前記隔壁を有する柱状のハニカムセグメントを、複数個有し、複数個の前記ハニカムセグメントの互いの側面同士が対向するように隣接して配置された状態で接合されたセグメント構造である、前記[1]〜[11]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体。
【0027】
13] 前記ハニカム構造部の前記隔壁の表面及び前記隔壁の細孔のうちの少なくとも一方に、排ガス浄化用の触媒が担持されている、前記[1]〜[12]のいずれかに記載の目封止ハニカム構造体。
【発明の効果】
【0028】
本発明の目封止ハニカム構造体は、主相としてα−Alを含み、更にチタン酸アルミニウムとガラスを含む多孔体からなる隔壁を有している。この隔壁を構成する多孔体は、従来公知の目封止ハニカム構造体に用いられる隔壁の材料に比して、多孔体を構成する材料の単位体積当たりの熱容量が高いものである。本発明の目封止ハニカム構造体においては、多孔体を構成する材料の単位体積当たりの熱容量が高いため、高温での使用に際して温度上昇を抑制することができ、耐熱衝撃性に優れるという顕著な効果を奏する。したがって、本発明の目封止ハニカム構造体を、DPFとして用いた場合に、当該DPFの再生時における温度上昇を抑制することができ、例えば、DPFの再生回数を減少させたとしても、熱衝撃による破損が生じ難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の目封止ハニカム構造体の一の実施形態を流入端面側からみた模式的な斜視図である。
図2図1に示す目封止ハニカム構造体を流出端面側からみた模式的な斜視図である。
図3図1に示す目封止ハニカム構造体を流入端面側からみた模式的な平面図である。
図4図1に示す目封止ハニカム構造体を流出端面側からみた模式的な平面図である。
図5図1に示す目封止ハニカム構造体の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式的な断面図である。
図6】本発明の目封止ハニカム構造体の他の実施形態を流入端面側からみた模式的な斜視図である。
図7】本発明の目封止ハニカム構造体の一の実施形態における多孔体のSEM写真の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0031】
本発明の目封止ハニカム構造体の一の実施形態は、図1図5に示すような、柱状のハニカム構造部4と、セル2の開口部に配設された目封止部5と、を備えた目封止ハニカム構造体100である。ハニカム構造部4は、流体の流路となる第一端面11から第二端面12まで延びる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1を有する柱状のものである。目封止部5は、複数のセル2のいずれか一方の開口部に配設され、当該セル2の開口部を封止するものである。図1図5においては、目封止部5が、第一端面11における所定のセル2b(以下、単に「セル2b」ともいう)の開口部、及び第二端面12における残余のセル2a(以下、単に「セル2a」ともいう)の開口部に配設されている。このように構成された目封止ハニカム構造体100は、内燃機関、又は各種燃焼装置から排出される排ガスを浄化するパティキュレートフィルタとして用いることができる。図1図5に示す目封止ハニカム構造体100は、ハニカム構造部4の最外周に位置する外周壁3を更に有している。
【0032】
ここで、図1は、本発明の目封止ハニカム構造体の一の実施形態を流入端面側からみた模式的な斜視図である。図2は、図1に示す目封止ハニカム構造体を流出端面側からみた模式的な斜視図である。図3は、図1に示す目封止ハニカム構造体を流入端面側からみた模式的な平面図である。図4は、図1に示す目封止ハニカム構造体を流出端面側からみた模式的な平面図である。図5は、図1に示す目封止ハニカム構造体の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式的な断面図である。図5において、符号Gは、セル内を通過する流体(例えば、排ガス)を示し、符号Gに示す矢印の方向に流体が移動する。
【0033】
目封止ハニカム構造体100は、隔壁1が、主相としてα−Alを含み、更にチタン酸アルミニウムとガラスを含む多孔体からなる。このような多孔体は、従来公知の目封止ハニカム構造体に用いられる隔壁の材料に比して、多孔体を構成する材料の単位体積当たりの熱容量が高いものである。目封止ハニカム構造体100においては、多孔体を構成する材料の単位体積当たりの熱容量が高いため、高温での使用に際して温度上昇を抑制することができ、耐熱衝撃性に優れるという顕著な効果を奏する。したがって、本実施形態の目封止ハニカム構造体100を、DPFとして用いた場合、当該DPFの再生時における温度上昇を抑制することができ、例えば、DPFの再生回数を減少させたとしても、熱衝撃による破損が生じ難くなる。
【0034】
ここで、「材料の単位体積当たりの熱容量」とは、気孔等が形成されていない密実な材料において計測された熱容量のことを意味する。例えば、多孔体においては、当該多孔体に形成された気孔を考慮せず、多孔体を構成する材料自体の熱容量ということになる。以下、本明細書において、多孔体に形成された気孔を考慮した熱容量については、「多孔体の単位体積当たりの熱容量」と記し、上述した「材料の単位体積当たりの熱容量」とは区別するものとする。「材料の単位体積当たりの熱容量」を、単に「材料の熱容量」ということがある。「多孔体の単位体積当たりの熱容量」を、単に「多孔体の熱容量」ということがある。本明細書において、特に断りのない限り、「熱容量」とは、600℃における熱容量のことである。本明細書において、特に断りのない限り、「熱容量」及び「単位体積当たりの熱容量」の値は、1cm当たりの熱容量(J/K/cm)として示す。
【0035】
隔壁1を構成する多孔体における「主相」とは、質量割合において40質量%以上の物質をいう。一方、質量割合において20質量%未満の物質で、上述した主相に該当せず、且つX線回折法で同定された物質を、「副相」ということがある。本実施形態の目封止ハニカム構造体においては、多孔体に含まれるガラスなどが、副相に該当する。なお、多孔体における「主相」は、1種類に限られず、上記の条件を満たす物質が2種類存在する場合には、その2種類の物質が、共に「主相」となる。本明細書において、「物質」とは、化学的に見て一定の組成を持ち、物理的操作によって2種以上の物質に分離できないもの(物質)のことを意味する。
【0036】
また、本明細書において、「チタン酸アルミニウム」を「AlTiO」と表記することがある。また、本明細書において、「AlTiO」や「α−Al」と記載した場合は、その化学式にて記載された成分以外に、その他の成分が固溶している場合も含む。例えば、固溶しているその他の成分としては、Fe、Mg、Si等を挙げることができる。
【0037】
多孔体のα−Alとチタン酸アルミニウムとの質量比率(α−Al/AlTiO、60/40〜90/10であ、70/30〜90/10であることが好ましく、80/20〜90/10であることが特に好ましい。例えば、多孔体に含まれるチタン酸アルミニウムの比率が相対的に多すぎる(別言すれば、α−Alの比率が相対的に少なすぎる)と、多孔体を構成する材料の単位体積当たりの熱容量が十分に向上しないことがある。一方、多孔体に含まれるチタン酸アルミニウムの比率が相対的に少なすぎる(別言すれば、α−Alの比率が相対的に多すぎる)と、多孔体の40〜800℃における平均熱膨張係数が大きくなってしまう。本実施形態の目封止ハニカム構造体においては、下記式(2)に示す「F」の値が、4.20以上であることが好ましく、熱容量が低い、又は平均熱膨張係数が大きくなると、この「F」の値が、4.20未満になってしまうことがある。
【0038】
F=C−0.007×α ・・・ (2)
(但し、上記式(2)において、Cは、多孔体を構成する材料の600℃における熱容量(J/K/cm)を示し、αは、多孔体の40〜800℃における平均熱膨張係数(ppm/K)を示す。)
【0039】
多孔体のα−Alとチタン酸アルミニウムとの質量比率は、以下の方法により求めることができる。まず、目封止ハニカム構造体の隔壁を構成する多孔体を用いて、質量比率を求めるための試験片を作製する。試験片は、多孔体から、所定の大きさの試験片を切り出すことによって作製することができる。次に、得られた試験片を粉砕し、粉末状とする。試験片を粉末状にした後、その質量を測定しておく。得られた粉末を、ふっ酸を含む液体に投入する。ふっ酸を含む液体とは、ふっ酸(含有量46%)、硫酸(含有量97%)、塩酸(含有量36%)及び蒸留水を、10:2:3:25の容積比で混合したものである。ふっ酸を含む液体に粉末を投入した後、液体を0℃、30分間保持して、粉末中のガラスを溶解させる。その後、液体中の各溶質成分量を測定し、その各溶質成分を酸化物換算し、その総和をガラス量とする。例えば、Alは、Alとして酸化物換算する。このようにして、試験片に含まれるガラスの質量比率を求めることができる。その後、残渣中のα−Al量を、X線回折(XRD)の内部標準法にて定量する。そして、残渣中の残りをAlTiOとする。このようにして測定されたα−Al及びAlTiOの質量から、上記質量比率を求めることができる。ここで、「残渣」とは、粉末中のガラスを溶解させた後の粉末のことを意味する。また、「残渣中の残り」とは、残渣から、α−Al量を差し引いたもののことを意味する。また、「X線回折(XRD)の内部標準法」とは、内部標準物質と試料を一定の割合で混合し、物質濃度と回折線強度比との間には直線関係が得られることを利用して、濃度が既知の標準試料で検量線を作成し分析する方法である。
【0040】
多孔体は、チタン酸アルミニウムにFe、Mg、及びSiからなる第一群より選択される少なくとも1種の成分が固溶したものであることが好ましい。多孔体に含まれるチタン酸アルミニウムに、上記第一群より選択される少なくとも1種の成分が固溶していると、多孔体によって構成される隔壁の耐熱分解性が向上する。
【0041】
チタン酸アルミニウムに固溶した成分については、以下の方法によって分析することができる。まず、目封止ハニカム構造体の隔壁を切断し、当該隔壁を構成する多孔体の切断面を樹脂に埋設する。その後、多孔体の切断面を研磨し、当該切断面を走査電子顕微鏡(以下、「SEM」ともいう)にて観察する。観察したSEM像(5000倍)において、AlTiO(チタン酸アルミニウム)、α−Al、ガラスのそれぞれ部分の化学組成を、エネルギー分散型X線分析(以下、「EDS」ともいう)にて分析する。このような方法によって、チタン酸アルミニウム、α−Al、ガラスのそれぞれ部分の化学組成を分析することができる。
【0042】
隔壁を構成する多孔体を観察したSEM像(SEM写真)は、例えば、図7に示すようなものである。図7は、本発明の目封止ハニカム構造体の一の実施形態における多孔体のSEM写真の一例を示す模式図である。SEM写真とは、走査電子顕微鏡によって撮像された写真のことである。図7に示すように、多孔体は、符号6に示される「α−Al」と、符号7に示される「チタン酸アルミニウム」と、符号8に示される「ガラス」とを含むものである。そして、多孔体には、符号9に示される「気孔(細孔ともいう)」が複数形成されている。
【0043】
チタン酸アルミニウムに固溶した上記第一群に含まれる成分の固溶量が、0.1〜10.0質量%であることが好ましく、0.1〜5.0質量%であることが更に好ましく、0.5〜3.0質量%であることが特に好ましい。「第一群に含まれる成分の固溶量(質量%)」とは、以下の質量比率(質量%)のことを意味する。まず、固溶量にて示される質量比率(質量%)の分母は、チタン酸アルミニウムに含まれるAl及びTiを酸化物換算したAl及びTiOの質量と当該チタン酸アルミニウムに含まれる固溶成分を酸化物換算した質量の合計質量である。そして、「第一群に含まれる成分の固溶量(質量%)」とは、上記合計質量に対する、チタン酸アルミニウムに含まれる固溶成分のうちのFe、Mg、及びSiを酸化物換算したFe、MgO、及びSiOの各質量の比率(質量%)のことである。すなわち、本明細書において、「固溶量(質量%)」とは、固溶成分の酸化物置換における質量比率(質量%)のことを意味する。上記固溶成分とは、チタン酸アルミニウムに固溶した全ての成分のことであり、第一群に含まれる成分以外の成分も含む。上記第一群に含まれる成分の固溶量が、0.1質量%未満であると、この固溶した成分による好適な効果が十分に発揮されないことがある。上記第一群に含まれる成分の固溶量が、10.0質量%を超えると、平均熱膨張係数が大きくなることがある。上記第一群に含まれる成分の固溶量は、上述したチタン酸アルミニウムの化学組成を分析するEDSにおいて、チタン酸アルミニウムの部分を任意に各10点測定し、その成分比率について平均値を算出する。得られた成分比率から、上記固溶量を求めることができる。
【0044】
隔壁を構成する多孔体は、α−Alとチタン酸アルミニウムとガラスの合計100質量%に対して、ガラスを、5〜15質量%含むことが必要であり、5〜12質量%含むことが好ましく、7〜12質量%含むことが特に好ましい。α−Alとチタン酸アルミニウムとガラスの合計100質量%に対して、ガラスの含有量が5質量%未満であると、隔壁(別言すれば、多孔体)の気孔率が高くなり、目封止ハニカム構造体の強度が低下することがある。α−Alとチタン酸アルミニウムとガラスの合計100質量%に対して、ガラスの含有量が15質量%超であると、多孔体を構成する材料の単位体積当たりの熱容量が十分に向上しないことがある。多孔体中のガラスの含有量は、上述したα−Alとチタン酸アルミニウムとの質量比率を求める際に、酸溶液に溶解したガラスの質量から求めることができる。なお、本明細書において、ガラスとはXRDにて特定の回折パターンを持たない酸化物のことをいう。
【0045】
多孔体に含まれるガラスが、SiO、及びAlを含んでいてもよい。ガラスが、SiO、及びAlを含んでいると、多孔体によって構成される隔壁の強度が向上する。また、当該ガラスが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Ti、及びFeからなる群より選択される少なくとも1種の成分からなる酸化物を更に含んでいてもよい。上記群より選択される少なくとも1種を更に含んでいると、隔壁の強度がより向上する点で更に好ましい。ガラスに含まれる各成分については、チタン酸アルミニウムに固溶した成分を分析する方法と同様の方法によって分析することができる。すなわち、チタン酸アルミニウムに固溶した成分を分析する際のSEM像において、ガラス部分の化学組成を、EDSにて分析し、各成分を定性することができる。
【0046】
多孔体を構成する材料の真密度が、3.65〜3.85g/cmであることが好ましく、3.70〜3.85g/cmであることが更に好ましく、3.75〜3.85g/cmであることが特に好ましい。多孔体を構成する材料の真密度が、上述数値範囲であると、多孔体中のガラスが少ないという点で好ましい。例えば、多孔体を構成する材料の真密度が、3.65g/cm未満であると、熱容量が小さすぎることとなることがあり、3.85g/cm超であると、低強度となり過ぎたり、平均熱膨張係数が大き過ぎたりすることがある。多孔体を構成する材料の真密度は、JIS R 1634に準拠して、アルキメデス法により測定することができる。
【0047】
多孔体を構成する材料の600℃における熱容量が、4.25〜4.50J/K/cmであることが好ましく、4.30〜4.50J/K/cmであることが更に好ましく、4.35〜4.50J/K/cmであることが特に好ましい。多孔体を構成する材料の600℃における熱容量が、4.50J/K/cmを超えると、平均熱膨張係数とのバランスが悪くなる点であまり好ましくない。一方、多孔体を構成する材料の600℃における熱容量が、4.25J/K/cm未満であると、温度上昇の抑制効果が小さくなることがある。
【0048】
多孔体を構成する材料の600℃における熱容量は、以下の方法によって求めることができる。まず、アルバック理工社製の断熱型比熱測定装置を用いて、多孔体を構成する材料の600℃における単位質量あたりの熱容量(J/K/g)を測定する。得られた単位質量あたりの熱容量(J/K/g)に、室温においてアルキメデス法で測定した多孔体を構成する材料の真密度(g/cm)を乗算することで、多孔体を構成する材料の単位体積あたりの熱容量(J/K/cm)を算出する。熱容量の測定は、隔壁を構成する多孔体から所定の大きさの試験片(サンプル)を切り出して作製し、当該試験片を用いて行うことができる。
【0049】
多孔体の40〜800℃における平均熱膨張係数が、2.5〜6.0ppm/Kであることが好ましく、3.0〜5.0ppm/Kであることが更に好ましく、4.0〜5.0ppm/Kであることが特に好ましい。多孔体の40〜800℃における平均熱膨張係数が、上記数値範囲であると、目封止ハニカム構造体の耐熱衝撃性が優れたものとなる。平均熱膨張係数が、2.5ppm/K未満であると、熱容量が小さくなり過ぎることがあるのであまり好ましくない。平均熱膨張係数が、6.0ppm/K超であると、耐熱衝撃性が低くなり過ぎることがあるのであまり好ましくない。平均熱膨張係数は、示差検出型の熱膨張計にて測定することができる。
【0050】
多孔体が、下記式(3)の関係を満たすことが好ましい。
C−0.007×α ≧ 4.20 ・・・ (3)
(但し、上記式(3)において、Cは、多孔体を構成する材料の600℃における熱容量(J/K/cm)を示し、αは、多孔体の40〜800℃における平均熱膨張係数(ppm/K)を示す。)
【0051】
多孔体が、上記式(3)の関係を満たすと、本実施形態の目封止ハニカム構造体において、多孔体を構成する材料の600℃における熱容量(J/K/cm)、及び多孔体の40〜800℃における平均熱膨張係数(ppm/K)の双方が好適な値となる。すなわち、熱容量(J/K/cm)は、目封止ハニカム構造体の温度上昇の抑制に有効なパラメータであり、平均熱膨張係数(ppm/K)は、目封止ハニカム構造体の耐熱衝撃性の向上に有効なパラメータである。そして、多孔体が、上記式(3)の関係を満たす場合には、温度上昇の抑制効果と耐熱衝撃性の向上効果のバランスを図ることができる。
【0052】
多孔体の気孔率が、20〜50%であることが好ましく、20〜45%であることが更に好ましく、25〜45%であることが特に好ましい。多孔体の気孔率が、20%未満であると、目封止ハニカム構造体の圧力損失が増大することがある。多孔体の気孔率が、50%超であると、目封止ハニカム構造体の隔壁が脆くなり欠落し易くなることがある。また、多孔体の気孔率が高すぎると、多孔体の熱容量が小さくなるため、目封止ハニカム構造体が温度上昇しやすくなることがある。多孔体の気孔率とは、目封止ハニカム構造体の隔壁の気孔率のことである。多孔体の気孔率は、JIS R 1634に準拠して、アルキメデス法により測定することができる。
【0053】
多孔体の平均細孔径が、5〜20μmであることが好ましく、8〜15μmであることが更に好ましく、8〜12μmであることが特に好ましい。多孔体の平均細孔径が、5μm未満であると、目封止ハニカム構造体の圧力損失が大きくなることがある。多孔体の平均細孔径が、20μm超であると、目封止ハニカム構造体をDPF等のフィルタとして用いた際に、排ガス中のPMの一部が隔壁を通過することがあり、当該フィルタの捕集効率が低くなることがある。多孔体の平均細孔径は、JIS R 1655に準拠して、水銀圧入法により測定することができる。
【0054】
また、目封止ハニカム構造体のハニカム構造部が、隔壁を有する柱状のハニカムセグメントを、複数個有し、複数個のハニカムセグメントの互いの側面同士が対向するように隣接して配置された状態で接合されたセグメント構造であってもよい。セグメント構造のハニカム構造部を備えた目封止ハニカム構造体としては、例えば、図6に示すような目封止ハニカム構造体200を挙げることができる。図6に示す目封止ハニカム構造体200は、複数個のハニカムセグメント36が、互いの側面同士が対向するように隣接して配置された状態で、接合層37によって接合されたハニカム構造部34を備えたものである。ハニカムセグメント36は、第一端面41から第二端面42まで延びる流体の流路となる複数のセル32(セル32a,セル32b)を区画形成する多孔質の隔壁31及び隔壁31を取り囲むように配設された外壁38を有するものである。接合層37は、隣接して配置されるハニカムセグメント36の外壁38同士を接合するためのものである。この接合層37は、ハニカム構造部34に生じる熱応力を緩衝するための緩衝材としての機能を有していてもよい。図6に示す目封止ハニカム構造体200では、複数個のハニカムセグメント36が接合された接合体の最外周に、外周壁33が配置されている。
【0055】
セグメント構造のハニカム構造部においては、複数のハニカムセグメントのうち、少なくとも1つのハニカムセグメントの隔壁が、主相としてα−Alを含み、更にチタン酸アルミニウムとガラスを含む多孔体からなることが好ましい。セグメント構造のハニカム構造部においては、全てのハニカムセグメントの隔壁が、主相としてα−Alを含み、更にチタン酸アルミニウムとガラスを含む多孔体からなるものであってよい。接合層については、従来公知のセグメント構造のハニカム構造部における接合層と同様に構成されたものを用いることができる。
【0056】
図6に示すような目封止ハニカム構造体200は、複数個のハニカムセグメント36を接合した接合体を得、得られた接合体の外周部を研削等によって加工したものであってもよい。接合体の外周部を加工することにより、当該接合体のセル32の延びる方向に直交する断面の形状を、円形等の所望の形状にすることができる。接合体の外周部を加工した後、最外周にセラミック材料を塗工することによって外周壁33を配置してもよい。図6は、本発明の目封止ハニカム構造体の他の実施形態を流入端面側からみた模式的な斜視図である。図6において、符号35は、セル32の開口部に配設された「目封止部」を示す。このような、所謂、セグメント構造の目封止ハニカム構造体であっても、図1図5に示すような、所謂、一体型の目封止ハニカム構造体と同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
ハニカム構造部の隔壁の厚さについては特に制限はないが、100〜500μmであることが好ましく、150〜400μmであることが更に好ましく、150〜300μmであることが特に好ましい。隔壁の厚さをこのような範囲にすることにより、目封止ハニカム構造体の隔壁の強度を保ちつつ、圧力損失の上昇を抑制することができる。
【0058】
ハニカム構造部のセル密度については特に制限はないが、15〜100セル/cmであることが好ましく、30〜65セル/cmであることが更に好ましく、30〜50セル/cmであることが特に好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、目封止ハニカム構造体をDPF等に用いた場合には、圧力損失を抑制しつつ、捕集効率を向上させることができる。
【0059】
ハニカム構造部に形成されるセルの形状については特に制限はない。ここで、「セルの形状」とは、ハニカム構造部のセルの延びる方向に直交する断面における、セルの形状のことである。セルの形状としては、例えば、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0060】
ハニカム構造部の形状は、特に限定されず、例えば、底面が円形の柱状(円柱形状)、底面がオーバル形状の柱状、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状とすることができる。
【0061】
ハニカム構造部の第一端面から第二端面までの長さ、及びハニカム構造部のセルの延びる方向に直交する断面の大きさは、本実施形態の目封止ハニカム構造体を排ガス浄化のフィルタとして用いた際に、最適な浄化性能を得るように適宜選択すればよい。例えば、ハニカム構造部の第一端面から第二端面までの長さは、100〜500mmであることが好ましく、100〜300mmであることが更に好ましい。ハニカム構造部のセルの延びる方向に直交する断面の面積は、7000〜70000mmであることが好ましく、7000〜30000mmであることが更に好ましい。
【0062】
ハニカム構造部の隔壁の表面及び隔壁の細孔のうちの少なくとも一方に、排ガス浄化用の触媒が担持されていてもよい。触媒としては、例えば、多孔質なγ−Alに白金族金属を担持したものを挙げることができる。なお、ハニカム構造部の隔壁に担持された触媒は、隔壁(別言すれば、多孔体)とは異なる構成要素であるため、これまでに説明した「多孔体を構成する材料」には、当該触媒は含まないものとする。
【0063】
次に、本実施形態の目封止ハニカム構造体の製造方法について説明する。目封止ハニカム構造体の製造する際には、まず、チタン酸アルミニウム、α−Al、及びガラスを含む多孔体を作製するための成形原料を調製する。成形原料としては、成形原料を焼成することにより得られる焼成体(多孔体)中に、上記3物質が含まれ得るものであれば、特に制限はない。例えば、成形原料としては、所望量の、Al、TiO、タルク、マイカ、粘土等を配合して調製することができる。また、成形原料として、Al(OH)、フォルステライト、長石、カオリン、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、Fe、Y、La、Ga、ZrO、CeO、SiO、CuO、NiO、これらの炭酸化物、水酸化物、塩化物、及び所望の組成に調整されたガラス等を用いることもできる。上述した原料の配合量を調節することにより、得られる多孔体に含まれる物質及びその比率を調整することができる。なお、成形原料の配合量については、得られる焼成体中において、少なくともα−Alが主相(すなわち、質量割合において40質量%以上)となるように、その配合量を調節する。また、成形原料には、上述した原料に加えて、分散媒や添加剤を更に加えてもよい。
【0064】
添加剤としては、バインダー、造孔材等を挙げることができる。分散媒としては、水等を挙げることができる。
【0065】
バインダーとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。
【0066】
上述した原料粉末の粒子径及び配合量、並びに添加する造孔材粉末の粒子径及び配合量を調整することにより、所望の気孔率、平均細孔径の多孔体を得ることができる。
【0067】
次に、得られた成形原料を混練して坏土を形成する。坏土を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
【0068】
次に、得られた坏土を押出成形して、ハニカム成形体を作製する。押出成形は、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて行うことができる。次に、得られたハニカム成形体を乾燥させて、当該ハニカム成形体を乾燥させたハニカム乾燥体を得てもよい。乾燥方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等を挙げることができ、これらの中でも、誘電乾燥、マイクロ波乾燥又は熱風乾燥を単独で又は組合せて行うことが好ましい。また、乾燥条件としては、乾燥温度30〜150℃、乾燥時間1分〜2時間とすることが好ましい。
【0069】
次に、得られたハニカム成形体又は当該ハニカム成形体を乾燥したハニカム乾燥体のセルの開口部を、目封止材によって目封止する。セルの開口部を目封止する方法としては、セルの開口部に目封止材を充填する方法を挙げることができる。目封止材を充填する方法としては、従来公知の目封止ハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができる。目封止材を形成するためのセラミック原料は、従来公知の目封止ハニカム構造体の製造方法において用いられるセラミック原料を用いることができるが、ハニカム成形体(或いは、ハニカム乾燥体)と同じセラミック原料を用いることが好ましい。なお、目封止材によって形成される目封止部の気孔率や細孔径などを調節するために、セラミック原料粉末の粒子径及び配合量、並びに添加する造孔材粉末の粒子径及び配合量について適宜変更してもよい。
【0070】
次に、目封止材をセルの開口部に充填したハニカム成形体(或いは、ハニカム乾燥体)を焼成する。得られたハニカム焼成体が、本実施形態の目封止ハニカム構造体となる。焼成温度は、1400〜1600℃が好ましく、1400〜1500℃が更に好ましい。また、焼成時間は、1〜10時間程度とすることが好ましい。焼成は、例えば、大気中、水蒸気雰囲気中、炭化水素ガス燃焼雰囲気中にて行うことができる。
【0071】
ハニカム成形体に目封止部を形成する前に、ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を得、得られたハニカム焼成体のセルの開口部に目封止部を形成した後、更に焼成することによって目封止ハニカム構造体を得ることもできる。以上のようにして、本実施形態の目封止ハニカム構造体を製造することができる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0073】
以下に示す実施例においては、表1に示すような、α−Al粉末、TiO粉末、タルク粉末、マイカ粉末、及び粘土を原料とする原料粉末を用いて、成形原料を調製した。表1に、成形原料に用いられる原料粉末の種類、化学組成(質量%)、及び平均粒子径(μm)を示す。表1に示す原料粉末の化学組成は、蛍光X線分析法にて求めた。表1に示す原料粉末の平均粒子径は、レーザー回折法にて求めた。表1において、α−Alの(1)〜(4)は、化学組成及び平均粒子径が異なるα−Al原料粉末である。表1において、タルクの(1),(2)は、化学組成及び平均粒子径が異なるタルク原料粉末である。α−Alの(1)に比して、α−Alの(2)は、アルミナ(Al)の純度が低い。α−Alの(1)に比して、α−Alの(3)は、平均粒子径が小さい。α−Alの(1)に比して、α−Alの(4)は、平均粒子径が大きい。タルクの(1)に比して、タルクの(2)は、酸化鉄(Fe)が多く、且つ平均粒子径が大きい。
【0074】
【表1】
【0075】
(実施例1)
実施例1においては、表1に示す、α−Alの(1)、TiO、タルクの(1)、及びマイカを用いて、成形原料を調製した。表2に、実施例1の成形原料の配合処方(単位:g)を示す。また、表2の「Al/TiO」の欄に、実施例1の成形原料に用いられるα−Alの粉末に含まれる「Al」と、TiOの粉末に含まれる「TiO」とのモル比(Al/TiO)を示す。
【0076】
実施例1においては、表2の配合処方に示す原料の他に、造孔材として澱粉を50g、バインダーとしてメチルセルロースを200g、及び適量の水を添加した。
【0077】
【表2】
【0078】
次に、得られた成形原料をニーダーで混練し、次に、真空土練機で土練して、坏土を形成した。次に、得られた坏土を押出成形して、ハニカム成形体を作製した。ハニカム成形体は、焼成後において、隔壁の厚さが300μmとなり、セル密度が46.5セル/cmとなるものとした。ハニカム成形体のセルの形状は、焼成後において、正方形となるものとした。次に、ハニカム成形体を乾燥させて、ハニカム乾燥体を得た。乾燥は、まず、マイクロ波乾燥を行い、その後、熱風乾燥を行った。次に、得られたハニカム乾燥体のセルの開口部に目封止部を配設した。次に、得られたハニカム乾燥体を脱脂した。脱脂は、大気中、450℃で5時間行った。次に、脱脂したハニカム乾燥体を焼成して、目封止ハニカム構造体を得た。焼成は、大気中、1500℃で4時間行った。
【0079】
実施例1の目封止ハニカム構造体を構成する隔壁(多孔体)の組成を、以下の方法で定性、定量した。表3に、実施例1の目封止ハニカム構造体を構成する隔壁(多孔体)の組成を示す。なお、表3の「α−Al/AlTiO」の欄は、α−AlとAlTiOとの質量比率(α−Al/AlTiO)の値を示す。隔壁(多孔体)の組成の定性、定量に際し、まず、ガラスの量は、得られた目封止ハニカム構造体を構成する隔壁を、酸に浸漬し、当該隔壁中のガラスを溶解させ、ガラス量を定量した。その後、残渣中のα−Al量をXRDにて定量し、残りをAlTiOとした。真密度(g/cm)、及び気孔率(%)は、アルキメデス法(JIS R 1634)により測定した。平均細孔径(μm)は、水銀圧入法(JIS R 1655)により測定した。
【0080】
熱容量(J/K/cm)は、以下の方法で測定した。まず、アルバック理工社製の断熱型比熱測定装置を用いて、多孔体を構成する材料の600℃における単位質量あたりの熱容量(J/K/g)を測定した。次に、得られた単位質量あたりの熱容量(J/K/g)に、アルキメデス法で測定した室温における多孔体を構成する材料の真密度(g/cm)を乗算することで、多孔体を構成する材料の単位体積あたりの熱容量(J/K/cm)を算出した。
【0081】
表3の「CTE(ppm/K)」は、平均熱膨張係数(ppm/K)のことである。多孔体の平均熱膨張係数は、示差検出型の熱膨張計にて、40〜800℃の平均熱膨張係数を測定することにより求めた。
【0082】
表3の「F」は、「C−0.007×α」の値を示す。ここで、Cは、多孔体を構成する材料の600℃における熱容量(J/K/cm)を示し、αは、多孔体の40〜800℃における平均熱膨張係数(ppm/K)を示す。
【0083】
【表3】
【0084】
実施例1の目封止ハニカム構造体を構成する隔壁(多孔体)は、主相としてα−Alを含み、更にAlTiOとガラスを含む多孔体からなるものであった。多孔体における、AlTiOの部分、α−Alの部分、及びガラスの部分について、各部分の化学組成(質量%)を測定した。表4に、実施例の目封止ハニカム構造体を構成する隔壁(多孔体)の「α−Al」、「AlTiO」、及び「ガラス」の各部分の化学組成(質量%)の測定結果を示す。表4に示す化学組成は、以下の方法で分析した。まず、目封止ハニカム構造体の隔壁を切断し、当該隔壁を構成する多孔体の切断面を樹脂に埋設した。その後、多孔体の切断面を研磨し、当該切断面を走査電子顕微鏡(SEM)にて観察した。観察したSEM像(5000倍)において、α−Al、AlTiO(チタン酸アルミニウム)、ガラスのそれぞれ部分の化学組成を、エネルギー分散型X線分析(EDS)にて分析した。
【0085】
【表4】
【0086】
(実施例2〜12及び参考例1〜3
表2に示すような配合処方にて、実施例1と同様の方法で、目封止ハニカム構造体を作製した。実施例12においては、造孔材として添加する澱粉の量を500gとした。実施例2〜12及び参考例1〜3の目封止ハニカム構造体を構成する隔壁(多孔体)の組成を、実施例1と同様の方法で定性、定量した。表3に、実施例2〜12及び参考例1〜3の目封止ハニカム構造体を構成する隔壁(多孔体)の組成を示す。また、真密度(g/cm)、気孔率(%)、平均細孔径(μm)、熱容量(J/K/cm)、及びCTE(ppm/K)を、実施例1と同様の方法で測定した。測定結果を表3に示す。また、「C−0.007×α」の値である「F」についても算出した。「F」の値を表3に示す。
【0087】
実施例2〜12及び参考例1〜3の目封止ハニカム構造体を構成する隔壁(多孔体)は、主相としてα−Alを含み、更にAlTiOとガラスを含む多孔体からなるものであった。多孔体における、α−Alの部分、AlTiOの部分、及びガラスの部分について、各部分の化学組成(質量%)を測定した。表4に、実施例2,1011の目封止ハニカム構造体を構成する隔壁(多孔体)の「α−Al」、「AlTiO」、及び「ガラス」の各部分の化学組成(質量%)の測定結果を示す。
【0088】
(比較例1)
表1のα−Alの(1)、TiO、タルク(1)、及びマイカを用いて、実施例1と同様の方法で、目封止ハニカム構造体を作製した。比較例1における成形原料の配合処方は、α−Alの(1)を2550g、TiOを1950g、タルクの(1)を350g、マイカを150gとした。造孔材、バインダー、及び水の添加量は、実施例1と同じにした。
【0089】
(比較例2)
比較例2においては、平均粒子径12μmのα−SiC粉末と、平均粒子径2μmのα−SiC粉末とを用いて、成形原料を調製した。上記各粉末の使用量は、平均粒子径12μmのα−SiC粉末が3000g、平均粒子径2μmのα−SiC粉末の量が2000gである。また、成形原料には、バインダーとしてのメチルセルロースを300g、適量の水を添加した。比較例2においては、上記のように成形原料を調製し、且つ、ハニカム乾燥体の焼成を、アルゴン雰囲気中、2200℃で2時間としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、目封止ハニカム構造体を作製した。
【0090】
(比較例3)
比較例3においては、平均粒子径3μmのカオリン粉末と、平均粒子径24μmのタルク粉末と、平均粒子径6μmのアルミナ粉末と、平均粒子径21μmのシリカ粉末とを用いて、成形原料を調製した。上記各粉末の使用量は、カオリン粉末が1110g、タルク粉末が2135g、アルミナ粉末が1210g、シリカ粉末が540gである。造孔材、バインダー、及び水の添加量は、実施例1と同じにした。上記のように成形原料を調製し、且つ、ハニカム乾燥体の焼成を、1420℃で4時間としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、目封止ハニカム構造体を作製した。
【0091】
比較例1〜3の目封止ハニカム構造体を構成する隔壁(多孔体)について、実施例1と同様の方法で、真密度(g/cm)、気孔率(%)、平均細孔径(μm)、熱容量(J/K/cm)、及びCTE(ppm/K)を測定した。測定結果を表5に示す。また、「C−0.007×α」の値である「F」についても算出した。「F」の値を表5に示す。
【0092】
【表5】
【0093】
(結果)
実施例1の目封止ハニカム構造体は、比較例1〜3の目封止ハニカム構造体に比して、熱容量(J/K/cm)が大きなものであった。α−AlとAlTiOとの質量比率を変えることにより、熱容量(J/K/cm)が変化し、実施例2〜4の目封止ハニカム構造体は、実施例1の目封止ハニカム構造体よりも熱容量(J/K/cm)が大きなものであった。参考例1は、α−Alの質量比が60質量%を下回っていた。そのため、実施例1よりも熱容量が小さかった。参考例2は、α−Alの質量比が90質量%を上回っていた。そのため、実施例4よりもCTEが大きかった。参考例3実施例5の目封止ハニカム構造体においては、ガラスの質量比率が、実施例3の目封止ハニカム構造体に比して少なくなっていた。ガラスの質量比率が少なくなると、気孔率が大きくなる傾向が確認された。目封止ハニカム構造体の隔壁の気孔率が大きくなると、強度が低下することがある。実施例の目封止ハニカム構造体においては、ガラスの質量比率が、実施例1の目封止ハニカム構造体に比して多くなっていた。実施例の目封止ハニカム構造体は、実施例1の目封止ハニカム構造体よりも熱容量(J/K/cm)が小さなものであった。
【0094】
実施例の目封止ハニカム構造体は、成形原料に、比較的に純度の低いアルミナ(α−Alの(2))を用いた。実施例の目封止ハニカム構造体は、比較例1〜3の目封止ハニカム構造体に比して、熱容量(J/K/cm)が大きなものであった。実施例の目封止ハニカム構造体は、実施例1の目封止ハニカム構造体に比して、平均細孔径が小さなものであった。このような実施例の目封止ハニカム構造体も、比較例1〜3の目封止ハニカム構造体に比して、熱容量(J/K/cm)が大きなものであった。実施例12においては、隔壁が、主相としてα−Alを含み、更にチタン酸アルミニウムとガラスを含む多孔体となる範囲において、隔壁(多孔体)の組成を表3に示すように変化させた。このような実施例12の目封止ハニカム構造体も、比較例1〜3の目封止ハニカム構造体に比して、熱容量(J/K/cm)が大きなものであった。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の目封止ハニカム構造体は、排ガスを浄化する排ガス浄化用のフィルタとして利用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1,31:隔壁、2,32:セル、2a,32a:セル、2b,32b:セル、3,33:外周壁、4,34:ハニカム構造部、5,35:目封止部、6:α−Al、7:チタン酸アルミニウム、8:ガラス、9:気孔、11,41:第一端面(端面)、12,42:第二端面(端面)、36:ハニカムセグメント、37:接合層、38:外壁(ハニカムセグメントの外壁)、100,200:目封止ハニカム構造体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7