(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体の流路となる第一端面から第二端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁母材と、前記隔壁母材の表面に配設された多孔質の捕集層とを含む隔壁を有する柱状のハニカム構造部と、
前記第一端面における所定のセルの開口部、及び前記第二端面における残余のセルの開口部に配設された目封止部と、を備え、
前記隔壁母材が、主相として40質量%以上のα−Al2O3を含み、更にチタン酸アルミニウムとガラスを含む多孔体からなり、
前記隔壁母材を構成する前記多孔体の前記α−Al2O3と前記チタン酸アルミニウムとの質量比率が、60/40〜90/10であり、
前記隔壁母材を構成する前記多孔体が、前記α−Al2O3と前記チタン酸アルミニウムと前記ガラスの合計100質量%に対して、前記ガラスを5〜15質量%含み、
前記隔壁母材の気孔率が、20〜50%である、目封止ハニカム構造体。
前記隔壁母材に形成された細孔の内部に、前記捕集層の一部が浸入しており、前記隔壁母材に形成された前記細孔の内部に浸入している前記捕集層の厚さが、0.1〜20μmである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の目封止ハニカム構造体。
前記ハニカム構造部の前記第一端面を、前記セルを流通する流体の入口側の端面とし、前記ハニカム構造部の前記第二端面を、前記セルを流通する流体の出口側の端面とした場合に、前記捕集層が、前記ハニカム構造部の前記第一端面から前記第二端面に向かう長手方向において、前記第二端面から当該長手方向の20〜80%の範囲に配設されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の目封止ハニカム構造体。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0035】
(1)目封止ハニカム構造体:
本発明の目封止ハニカム構造体の一の実施形態は、
図1〜
図5に示すような、柱状のハニカム構造部4と、セル2の開口部に配設された目封止部5とを備えた目封止ハニカム構造体100である。ハニカム構造部4は、流体の流路となる第一端面11から第二端面12まで延びる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁母材1、隔壁母材1の表面に配設された多孔質の捕集層6とを含む隔壁10を有する柱状のものである。捕集層6は、ハニカム構造部4の隔壁母材1の表面に配設された多孔質のものである。目封止部5は、複数のセル2のいずれか一方の開口部に配設され、当該セル2の開口部を封止するものである。
図1〜
図5においては、目封止部5が、第一端面11における所定のセル2b(以下、単に「セル2b」ともいう)の開口部、及び第二端面12における残余のセル2a(以下、単に「セル2a」ともいう)の開口部に配設されている。このように構成された目封止ハニカム構造体100は、内燃機関、又は各種燃焼装置から排出される排ガスを浄化するパティキュレートフィルタとして用いることができる。
図1〜
図5に示す目封止ハニカム構造体100は、ハニカム構造部4の最外周に位置する外周壁3を更に有している。
【0036】
ここで、
図1は、本発明の目封止ハニカム構造体の一の実施形態を流入端面側からみた模式的な斜視図である。
図2は、
図1に示す目封止ハニカム構造体を流出端面側からみた模式的な斜視図である。
図3は、
図1に示す目封止ハニカム構造体を流入端面側からみた模式的な平面図である。
図4は、
図1に示す目封止ハニカム構造体を流出端面側からみた模式的な平面図である。
図5は、
図1に示す目封止ハニカム構造体の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式的な断面図である。
図5において、符号Gは、セル内を通過する流体(例えば、排ガス)を示し、符号Gに示す矢印の方向に流体が移動する。
【0037】
目封止ハニカム構造体100は、隔壁母材1が、主相としてα−Al
2O
3を含み、更にチタン酸アルミニウムとガラスを含む多孔体からなる。このような多孔体は、従来公知の目封止ハニカム構造体に用いられる隔壁母材の材料に比して、多孔体を構成する材料の単位体積当たりの熱容量が高いものである。目封止ハニカム構造体100においては、多孔体を構成する材料の単位体積当たりの熱容量が高いため、高温での使用に際して温度上昇を抑制することができる。したがって、隔壁10が隔壁母材1と捕集層6とによって構成されている目封止ハニカム構造体100において、過剰な温度上昇に伴う、捕集層6の性能低下を有効に抑制することができるという顕著な効果を奏する。また、本実施形態の目封止ハニカム構造体100は、多孔体を構成する材料の単位体積当たりの熱容量が高いため、耐熱衝撃性に優れるという顕著な効果も奏する。したがって、本実施形態の目封止ハニカム構造体100を、DPFとして用いた場合に、当該DPFの再生時における温度上昇を抑制することができ、例えば、DPFの再生回数を減少させたとしても、熱衝撃による破損が生じ難くなる。
【0038】
更に、目封止ハニカム構造体100は、DPF等のフィルタとして用いた場合に、隔壁10上にPM(粒子状物質)が堆積することにより生じる圧力損失の上昇を有効に抑制することもできる。
【0039】
ここで、「材料の単位体積当たりの熱容量」とは、気孔等が形成されていない密実な材料において計測された熱容量のことを意味する。例えば、多孔体においては、当該多孔体に形成された気孔を考慮せず、多孔体を構成する材料自体の熱容量ということになる。以下、本明細書において、多孔体に形成された気孔を考慮した熱容量については、「多孔体の単位体積当たりの熱容量」と記し、上述した「材料の単位体積当たりの熱容量」とは区別するものとする。「材料の単位体積当たりの熱容量」を、単に「材料の熱容量」ということがある。「多孔体の単位体積当たりの熱容量」を、単に「多孔体の熱容量」ということがある。本明細書において、特に断りのない限り、「熱容量」とは、600℃における熱容量のことである。本明細書において、特に断りのない限り、「熱容量」及び「単位体積当たりの熱容量」の値は、1cm
3当たりの熱容量(J/K/cm
3)として示す。また、「多孔体を構成する材料」のことを、「隔壁母材を構成する材料」ということがある。また、本明細書において、「隔壁母材の熱容量」という場合は、「隔壁母材を構成する多孔体の熱容量」のことを意味する。
【0040】
隔壁母材1を構成する多孔体における「主相」とは、質量割合において40質量%以上の物質をいう。一方、質量割合において20質量%未満の物質で、上述した主相に該当せず、且つX線回折法で同定された物質を、「副相」ということがある。本実施形態の目封止ハニカム構造体においては、多孔体に含まれるガラスなどが、副相に該当する。なお、多孔体における「主相」は、1種類に限られず、上記の条件を満たす物質が2種類存在する場合には、その2種類の物質が、共に「主相」となる。本明細書において、「物質」とは、化学的に見て一定の組成を持ち、物理的操作によって2種以上の物質に分離できないもの(物質)のことを意味する。
【0041】
また、本明細書において、「チタン酸アルミニウム」を「Al
2TiO
5」と表記することがある。また、本明細書において、「Al
2TiO
5」や「α−Al
2O
3」と記載した場合は、その化学式にて記載された成分以外に、その他の成分が固溶している場合も含む。例えば、固溶しているその他の成分としては、Fe、Mg、Si等を挙げることができる。また、以下に説明する隔壁母材の特性は、隔壁母材と捕集層とを含む隔壁から、捕集層が配設された部分を研削した後、捕集層が取り除かれた隔壁母材のみについて測定されたものである。また、以下に説明する隔壁母材の各種特性については、特に断りのない限り、隔壁母材と捕集層とを含む隔壁から、捕集層が配設された部分を研削した後、捕集層が取り除かれた隔壁母材のみを対象として測定されたものである。
【0042】
隔壁母材を構成する多孔体のα−Al
2O
3とチタン酸アルミニウムとの質量比率(α−Al
2O
3/Al
2TiO
5)
は、60/40〜90/10であ
り、70/30〜90/10であること
が好ましく、80/20〜90/10であることが特に好ましい。例えば、多孔体に含まれるチタン酸アルミニウムの比率が相対的に多すぎる(別言すれば、α−Al
2O
3の比率が相対的に少なすぎる)と、多孔体を構成する材料の単位体積当たりの熱容量が十分に向上しないことがある。一方、多孔体に含まれるチタン酸アルミニウムの比率が相対的に少なすぎる(別言すれば、α−Al
2O
3の比率が相対的に多すぎる)と、多孔体の40〜800℃における平均熱膨張係数が大きくなってしまう。多孔体の平均熱膨張係数は、示差検出型の熱膨張計にて、40〜800℃の平均熱膨張係数を測定することにより求めることができる。
【0043】
隔壁母材を構成する多孔体のα−Al
2O
3とチタン酸アルミニウムとの質量比率は、以下の方法により求めることができる。まず、目封止ハニカム構造体の隔壁母材を構成する多孔体を用いて、質量比率を求めるための試験片を作製する。この試験片は、隔壁母材と捕集層とを含む隔壁から、捕集層が配設された部分を研削した後、捕集層が取り除かれた隔壁母材(別言すれば、多孔体)のみから、所定の大きさの試験片を切り出すことによって作製することができる。次に、得られた試験片を粉砕し、粉末状とする。試験片を粉末状にした後、その質量を測定しておく。得られた粉末を、ふっ酸を含む液体に投入する。ふっ酸を含む液体とは、ふっ酸(含有量46%)、硫酸(含有量97%)、塩酸(含有量36%)及び蒸留水を、10:2:3:25の容積比で混合したものである。ふっ酸を含む液体に粉末を投入した後、液体を0℃、30分間保持して、粉末中のガラスを溶解させる。その後、液体中の各溶質成分量を測定し、その各溶質成分を酸化物換算し、その総和をガラス量とする。例えば、Alは、Al
2O
3として酸化物換算する。このようにして、試験片に含まれるガラスの質量比率を求めることができる。その後、残渣中のα−Al
2O
3量を、X線回折(XRD)の内部標準法にて定量する。そして、残渣中の残りをAl
2TiO
5とする。このようにして測定されたα−Al
2O
3及びAl
2TiO
5の質量から、上記質量比率を求めることができる。ここで、「残渣」とは、粉末中のガラスを溶解させた後の粉末のことを意味する。また、「残渣中の残り」とは、残渣から、α−Al
2O
3量を差し引いたもののことを意味する。また、「X線回折(XRD)の内部標準法」とは、内部標準物質と試料を一定の割合で混合し、物質濃度と回折線強度比との間には直線関係が得られることを利用して、濃度が既知の標準試料で検量線を作成し分析する方法である。
【0044】
隔壁母材を構成する多孔体は、α−Al
2O
3、チタン酸アルミニウム及びガラスの合計100質量%に対して、ガラスを、5〜15質量%含むことが
必要であり、5〜12質量%含むこと
が好ましく、7〜12質量%含むことが特に好ましい。α−Al
2O
3、チタン酸アルミニウム及びガラスの合計100質量%に対して、ガラスの含有量が5質量%未満であると、隔壁母材(別言すれば、多孔体)の気孔率が高くなり、目封止ハニカム構造体の強度が低下することがある。α−Al
2O
3、チタン酸アルミニウム及びガラスの合計100質量%に対して、ガラスの含有量が15質量%超であると、多孔体を構成する材料の単位体積当たりの熱容量が十分に向上しないことがある。多孔体中のガラスの含有量は、上述したα−Al
2O
3とチタン酸アルミニウムとの質量比率を求める際に、酸溶液に溶解したガラスの質量から求めることができる。なお、本明細書において、ガラスとはXRDにて特定の回折パターンを持たない酸化物のことをいう。以下、本明細書において、特に断りのない限り、単に「多孔体」という場合には、「隔壁母材を構成する多孔体」のことを意味する。
【0045】
隔壁母材を構成する多孔体を観察したSEM像(SEM写真)は、例えば、
図7に示すようなものである。
図7は、本発明の目封止ハニカム構造体の一の実施形態における隔壁母材を構成する多孔体のSEM写真の一例を示す模式図である。SEM写真とは、走査型電子顕微鏡によって撮像された写真のことである。
図7に示すように、多孔体は、符号56に示される「α−Al
2O
3」と、符号57に示される「チタン酸アルミニウム」と、符号58に示される「ガラス」とを含むものである。そして、多孔体には、符号59に示される「気孔(細孔ともいう)」が複数形成されている。
【0046】
隔壁母材(別言すれば、隔壁母材を構成する多孔体)の気孔率
は、20〜50%であ
り、20〜45%であること
が好ましく、25〜40%であることが特に好ましい。隔壁母材の気孔率が低いほど、フィルタとして用いた際の再生時の最高温度が低減できる。ただし、その一方で、隔壁母材の気孔率が低くなると、隔壁上にPMが堆積した時の圧力損失が高くなる傾向がある。捕集層は、PMが堆積した時の圧力損失を低減できる効果があるため、低気孔率の隔壁母材と捕集層とを組み合わせて用いることにより、再生時の最高温度を低減しつつ、隔壁上にPMが堆積することにより生じる圧力損失の上昇を有効に抑制することができる。特に、上述した隔壁母材の好ましい気孔率の数値範囲において、低気孔率の隔壁母材と捕集層の組み合わせがより好適な実施態様となる。隔壁母材の気孔率は、JIS R 1634に準拠して、アルキメデス法により測定することができる。
【0047】
隔壁母材(別言すれば、隔壁母材を構成する多孔体)の平均細孔径が、5〜50μmであることが好ましく、8〜30μmであることが更に好ましく、10〜25μmであることが特に好ましい。隔壁母材の平均細孔径を大きくすると、初期の圧力損失を低減できるが、排ガス中に含まれるPMが隔壁母材の細孔を通過して、目封止ハニカム構造体の外部に漏れ出してしまうことがある。捕集層は、PMの隔壁からの漏れ出しを抑制することができるため、平均細孔径が大きい隔壁母材と捕集層との組合せは好適である。しかし、成形原料を焼成することによって作製された隔壁母材(別言すれば、隔壁母材を構成する多孔体)に対して、捕集層を形成させると、隔壁母材の気孔内に捕集層が浸入し、目封止ハニカム構造体の初期の圧力損失が高くなってしまうことがある。一方、気孔が形成されていない未焼成体(別言すれば、隔壁母材の前駆体)に捕集層を形成させると、気孔内に捕集層が浸入することが抑制されるため、圧力損失の上昇を有効に抑制することができる。よって、平均細孔径が大きい隔壁母材と、未焼成体に捕集層を形成させる方法の組合せは特に好適である。隔壁母材の平均細孔径は、JIS R 1655に準拠して、水銀圧入法により測定することができる。
【0048】
隔壁母材(別言すれば、多孔体)を構成する材料の真密度が、3.65〜3.85g/cm
3であることが好ましく、3.70〜3.85g/cm
3であることが更に好ましく、3.75〜3.85g/cm
3であることが特に好ましい。隔壁母材を構成する材料の真密度が、上述数値範囲であると、多孔体中のガラスが少ないという点で好ましい。例えば、隔壁母材を構成する材料の真密度が、3.65g/cm
3未満であると、熱容量が小さすぎることがあり、3.85g/cm
3超であると、低強度となり過ぎたり、平均熱膨張係数が大き過ぎたりすることがある。隔壁母材を構成する材料の真密度は、JIS R 1634に準拠して、アルキメデス法により測定することができる。
【0049】
隔壁母材(別言すれば、多孔体)を構成する材料の600℃における熱容量が、4.25〜4.50J/K/cm
3であることが好ましく、4.30〜4.50J/K/cm
3であることが更に好ましく、4.35〜4.50J/K/cm
3であることが特に好ましい。隔壁母材を構成する材料の熱容量が大きいほど、フィルタを再生する際の最高温度を低減することができる。その結果、捕集層と、その他(例えば、捕集層に担持された触媒や、エンジンから排出されるアッシュ)とが反応して、当該捕集層が変化することを有効に抑制することができる。
【0050】
隔壁母材(別言すれば、多孔体)を構成する材料の600℃における熱容量は、以下の方法によって求めることができる。まず、アルバック理工社製の断熱型比熱測定装置を用いて、隔壁母材を構成する材料の600℃における単位質量あたりの熱容量(J/K/g)を測定する。得られた単位質量あたりの熱容量(J/K/g)に、室温においてアルキメデス法で測定した隔壁母材を構成する材料の真密度(g/cm
3)を乗算することで、隔壁母材を構成する材料の単位体積あたりの熱容量(J/K/cm
3)を算出する。熱容量の測定は、隔壁母材を構成する多孔体から所定の大きさの試験片(サンプル)を切り出して作製し、当該試験片を用いて行うことができる。
【0051】
隔壁の40〜800℃における平均熱膨張係数が、2.5〜6.0ppm/Kであることが好ましく、3.0〜5.0ppm/Kであることが更に好ましく、4.0〜5.0ppm/Kであることが特に好ましい。隔壁の40〜800℃における平均熱膨張係数が、上記数値範囲であると、目封止ハニカム構造体の耐熱衝撃性が優れたものとなる。「隔壁の平均熱膨張係数」とは、隔壁母材及び隔壁母材の表面に配設された捕集層を含めた構成要素(すなわち、隔壁)について測定された平均熱膨張係数のことである。隔壁の平均熱膨張係数は、示差検出型の熱膨張計にて、40〜800℃の平均熱膨張係数を測定することにより求めることができる。
【0052】
また、目封止ハニカム構造体のハニカム構造部が、隔壁母材及び捕集層を含む隔壁を有する柱状のハニカムセグメントを、複数個有し、複数個のハニカムセグメントの互いの側面同士が対向するように隣接して配置された状態で接合されたセグメント構造であってもよい。セグメント構造のハニカム構造部を備えた目封止ハニカム構造体としては、例えば、
図6に示すような目封止ハニカム構造体200を挙げることができる。
図6に示す目封止ハニカム構造体200は、複数個のハニカムセグメント39が、互いの側面同士が対向するように隣接して配置された状態で、接合層37によって接合されたハニカム構造部34を備えたものである。ハニカムセグメント39は、隔壁母材31、及び隔壁母材31の表面に配設された捕集層36を含む隔壁40と、隔壁40を取り囲むように配設された外壁38と、を有するものである。隔壁母材31は、第一端面41から第二端面42まで延びる流体の流路となる複数のセル32(セル32a,セル32b)を区画形成する多孔質のものである。接合層37は、隣接して配置されるハニカムセグメント39の外壁38同士を接合するためのものである。この接合層37は、ハニカム構造部34に生じる熱応力を緩衝するための緩衝材としての機能を有していてもよい。
図6に示す目封止ハニカム構造体200では、複数個のハニカムセグメント39が接合された接合体の最外周に、外周壁33が配置されている。
【0053】
セグメント構造のハニカム構造部においては、複数のハニカムセグメントのうち、少なくとも1つのハニカムセグメントの隔壁母材が、主相としてα−Al
2O
3を含み、更にチタン酸アルミニウムとガラスを含む多孔体からなることが好ましい。セグメント構造のハニカム構造部においては、全てのハニカムセグメントの隔壁母材が、主相としてα−Al
2O
3を含み、更にチタン酸アルミニウムとガラスを含む多孔体からなるものであってもよい。接合層については、従来公知のセグメント構造のハニカム構造部における接合層と同様に構成されたものを用いることができる。
【0054】
図6に示すような目封止ハニカム構造体200は、複数個のハニカムセグメント39を接合した接合体を得、得られた接合体の外周部を研削等によって加工したものであってもよい。接合体の外周部を加工することにより、当該接合体のセル32の延びる方向に直交する断面の形状を、円形等の所望の形状にすることができる。接合体の外周部を加工した後、最外周にセラミック材料を塗工することによって外周壁33を配置してもよい。
図6は、本発明の目封止ハニカム構造体の他の実施形態を流入端面側からみた模式的な斜視図である。
図6において、符号35は、セル32の開口部に配設された「目封止部」を示す。このような、所謂、セグメント構造の目封止ハニカム構造体であっても、
図1〜
図5に示すような、所謂、一体型の目封止ハニカム構造体と同様の作用効果を得ることができる。
【0055】
ハニカム構造部の隔壁母材の厚さについては特に制限はないが、100〜500μmであることが好ましく、150〜400μmであることが更に好ましく、150〜300μmであることが特に好ましい。隔壁母材の厚さをこのような範囲にすることにより、目封止ハニカム構造体の隔壁母材の強度を保ちつつ、圧力損失の上昇を抑制することができる。
【0056】
ハニカム構造部のセル密度については特に制限はないが、15〜100セル/cm
2であることが好ましく、30〜65セル/cm
2であることが更に好ましく、30〜50セル/cm
2であることが特に好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、目封止ハニカム構造体をDPF等に用いた場合には、圧力損失を抑制しつつ、捕集効率を向上させることができる。
【0057】
ハニカム構造部に形成されるセルの形状については特に制限はない。ここで、「セルの形状」とは、ハニカム構造部のセルの延びる方向に直交する断面における、セルの形状のことである。セルの形状としては、例えば、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0058】
ハニカム構造部の形状は、特に限定されず、例えば、底面が円形の柱状(円柱形状)、底面がオーバル形状の柱状、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状とすることができる。
【0059】
ハニカム構造部の第一端面から第二端面までの長さ、及びハニカム構造部のセルの延びる方向に直交する断面の大きさは、本実施形態の目封止ハニカム構造体を排ガス浄化のフィルタとして用いた際に、最適な浄化性能を得るように適宜選択すればよい。例えば、ハニカム構造部の第一端面から第二端面までの長さは、100〜500mmであることが好ましく、100〜300mmであることが更に好ましい。ハニカム構造部のセルの延びる方向に直交する断面の面積は、7000〜70000mm
2であることが好ましく、7000〜30000mm
2であることが更に好ましい。
【0060】
捕集層については、従来公知の目封止ハニカム構造体に用いられる捕集層の構成を採用することができる。ただし、本実施形態の目封止ハニカム構造体においては、捕集層が、SiC、シリカ、ムライト、スピネル、及びアルミナからなる群から少なくとも1つ以上を含むことが好ましい。捕集層を構成する材料については、以下の方法で分析することができる。まず、隔壁を粉砕して得られた第一粉末と、隔壁から捕集層の部分を研削し、隔壁母材のみにした多孔体を粉砕して得られた第二粉末と、を用意する。第一粉末と、第二粉末とを、それぞれX線回折(XRD)を用いて定性し、且つX線回折(XRD)の内部標準法にて定量する。第一粉末の定性結果及び定量結果と、第二粉末の定性結果及び定量結果とを比較することで、捕集層を構成する材料を分析することができる。
【0061】
捕集層の気孔率が、50〜80%であることが好ましく、60〜80%であることが更に好ましく、65〜80%であることが特に好ましい。捕集層の気孔率が、50%未満であると、目封止ハニカム構造体の圧力損失が高くなることがある。一方、捕集層の気孔率が、80%超であると、目封止ハニカム構造体をフィルタとして用いた場合に、排ガス中に含まれるPMが、隔壁の細孔を通過して、目封止ハニカム構造体の外部に漏れ出してしまうことがある。捕集層の気孔率は、以下の方法で測定することができる。まず、隔壁母材の表面に捕集層が配設されたハニカム構造部を樹脂に埋設する。次に、この樹脂に埋設したハニカム構造部を、セルの延びる方向に垂直に切断する。切断したハニカム構造部の切断面を研磨し、当該切断面中の捕集層を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察する。観察したSEM像(5000倍)を用いて、画像処理ソフト(日本ビジュアルサイエンス社製 Image−Pro Plus 7.0(商品名))によって、捕集層に形成された気孔の比率を計測する。このようにして計測された「気孔の比率」が、捕集層の気孔率となる。
【0062】
捕集層の平均細孔径が、1〜10μmであることが好ましく、1〜8μmであることが更に好ましく、1〜5μmであることが特に好ましい。捕集層の平均細孔径が、1μm未満であると、目封止ハニカム構造体の初期の圧力損失が高くなることがある。一方、捕集層の平均細孔径が、10μm超であると、目封止ハニカム構造体をフィルタとして用いた場合に、排ガス中に含まれるPMが、隔壁の細孔を通過して、目封止ハニカム構造体の外部に漏れ出してしまうことがある。捕集層の平均細孔径は、以下の方法で測定することができる。まず、捕集層の気孔率の測定方法と同様にして、切断面中の捕集層を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察する。ここで、
図8は、捕集層の平均細孔径の測定方法を説明するための模式図である。
図8は、ハニカム構造部を、セルの延びる方向に垂直に切断した切断面における、当該切断面中の捕集層及び隔壁母材を拡大して示す拡大模式図である。
図8において、符号1は、隔壁母材を示し、符号1aは、隔壁母材1を構成する粒子(隔壁母材1を構成する粒子1a)を示す。
図8において、符号6は、捕集層を示し、符号6aは、捕集層6を構成する粒子(捕集層6を構成する粒子6a)を示す。上述したSEMにて観察した画像が、
図8に示すような状態である場合、捕集層6を構成する2つの粒子6a間の距離Lを、画像処理ソフト(日本ビジュアルサイエンス社製 Image−Pro Plus 7.0(商品名))によって計測する。なお、捕集層6を構成する2つの粒子6a間の距離Lは、当該画像処理ソフトによって得られる画像中に、
図8において符号Pで示すような直線を引き、この直線P上における「粒子6a間の距離L」を計測する。直線Pは、上記画像処理ソフトによって得られる画像中に、任意に10本の直線Pを引き、得られた値の平均値を、「捕集層の平均細孔径」とする。
【0063】
捕集層の膜厚が、5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることが更に好ましく、10〜30μmであることが特に好ましい。捕集層の膜厚が、5μm未満であると、目封止ハニカム構造体をフィルタとして用いた場合に、排ガス中に含まれるPMが、隔壁の細孔を通過して、目封止ハニカム構造体の外部に漏れ出してしまうことがある。一方、捕集層の膜厚が、50μm超であると、目封止ハニカム構造体の初期の圧力損失が高くなることがある。
【0064】
捕集層6は、
図9に示されるように、隔壁母材1の表面より外側に位置する表層6xと、隔壁母材1の表面より内側(細孔内)に位置する深層6yとから構成されていることがある。以下、隔壁母材1及び隔壁母材1の表面に配設された捕集層6を総称して、「隔壁10」ということがある。
図9は、本発明の目封止ハニカム構造体の一実施形態の、隔壁母材及び捕集層の断面を拡大して示す模式図である。
図9において、隔壁母材1の横(紙面左側)に記載されているグラフは、縦軸に「細孔表面積」、横軸に「隔壁の表面(捕集層のセル側に露出する表面)からの深さ」をそれぞれとったときのグラフ(深さ−細孔表面積グラフ)を示す。
図9に示される「深さ−細孔表面積グラフ」は、捕集層6の表層6xの細孔表面積が最も大きく、隔壁母材1のみが存在する領域の細孔表面積が最も小さいことを示している。また、当該「深さ−細孔表面積グラフ」は、捕集層6の深層6yが存在する部分(深層6yと隔壁母材1とが混在する部分)が表層6xと接する位置から、隔壁母材1のみが存在する領域(位置)にかけて細孔表面積が漸次小さくなっていることも示している。尚、
図9に示される細孔表面積は、単位体積当たりの細孔表面積である。ここで、「細孔表面積」とは、細孔内の壁面(細孔内に露出する隔壁母材又は捕集層の表面)の面積を意味する。また、「単位体積当たりの細孔表面積」とは、隔壁を構成する材料の単位体積中に存在する全ての細孔の「細孔表面積」の合計値を意味する。「単位体積当たりの細孔表面積」を測定する方法は、以下の通りである。まず、捕集層の気孔率の測定方法と同様にして、切断面中の隔壁母材及び捕集層を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察する。観察したSEM像における隔壁母材及び捕集層を、画像上において(画像解析によって)、隔壁母材中央部(厚さ方向における中央部)から表層にかけて5μm幅で分割し、各「分割部分(分割領域)」毎に、以下の処理を行う。画像解析ソフトを用いて、各分割部分の隔壁を構成する材料における、周囲長と面積を測定する。「周囲長/面積」をその分割部分の単位体積当たりの細孔表面積とする。ここで、「周囲長」とは、各「分割部分」において、材料が存在する部分と、材料が存在しない部分(細孔)とを識別し、材料が存在する部分と細孔との境界線の長さを全て足し合わせた長さである。最も表面に近い分割部分の単位体積当たりの細孔表面積を、捕集層6の単位体積当たりの細孔表面積とし、隔壁母材中央部の分割部分の単位体積当たりの細孔表面積を、隔壁母材1の単位体積当たりの細孔表面積とする。画像解析ソフトは、捕集層の気孔率を測定する際に用いた画像解析ソフトと同じものを用いることができる。
【0065】
ここで、「捕集層6の表層6xと、捕集層6の深層6yとの境界部分」、及び「捕集層6の深層6yと隔壁母材1とが混在する領域と、隔壁母材1のみが存在する領域との境界部分」を特定する方法は、以下の通りである。隔壁母材1の中央部(厚さ方向における中央部)から捕集層表面までの間を5μm幅で分割し、各「分割部分(分割領域)」毎に、単位体積当たりの細孔表面積を測定する。隔壁10の「分割」は、画像解析によって行うことが好ましい。この場合、細孔表面積は、SEM像により求めることが好ましい。捕集層6の表層6x(隔壁母材1が存在しない領域)の最も表面に近い分割部分の細孔表面積を表層6xの細孔表面積とする。隔壁母材1の中央部に最も近い分割部分の細孔表面積を、隔壁母材1のみが存在する領域の細孔表面積(隔壁母材1の細孔表面積)とする。そして、
図9に示すような「深さ−細孔表面積」座標において、「深さ」軸(x軸)に平行に、以下の「直線α」及び「直線β」を引く。直線αとは、「細孔表面積」軸(y軸)の値が「表層6xの細孔表面積」の値である直線である。直線βとは、「細孔表面積」軸(y軸)の値が「隔壁母材1のみが存在する領域の細孔表面積」の値である直線である。また、
図9に示すグラフに、以下の「直線γ」を引く。直線γとは、深層6yと隔壁母材1とが混在する領域における複数の「分割部分」のそれぞれの「細孔表面積の測定値」を直線近似(最小二乗法)した直線である。
【0066】
そして、上記直線αと上記直線γとの交点における深さ軸(x軸)の値を、「深さD1」とする。「深さD1」は、捕集層6の表層6xと、捕集層6の深層6yとの境界部分の深さである。上記直線βと上記直線γとの交点における深さ軸(x軸)の値を、「深さD2」とする。「深さD2」は、捕集層6の深層6yと隔壁母材1とが混在する領域と、隔壁母材1のみが存在する領域との境界部分の深さである。
【0067】
従って、「深さD2」の値から、「深さD1」の値を差し引くと、捕集層6の深層6yの厚さとなる。また、「捕集層6の深層6yと隔壁母材1とが混在する領域と、隔壁母材1のみが存在する領域との境界部分」の「深さD2」の値は、捕集層6の厚さと同じである。また、「捕集層6の表層6xと捕集層6の深層6yとの境界部分」の深さD1は、捕集層6の表層6xの厚さと同じである。以下、本明細書において、「捕集層6の厚さ」という場合は、上述した「深さD2の値」のことをいう。また、「隔壁母材に形成された細孔の内部に浸入している捕集層の厚さ」という場合には、「深さD2−深さD1の値」のことをいう。
【0068】
隔壁母材に形成された細孔の内部に、捕集層の一部が浸入しており、隔壁母材に形成された細孔の内部に浸入している捕集層の厚さが、0.1〜20μmであることが好ましい。隔壁母材に形成された細孔の内部に浸入している捕集層の厚さが、0.1〜15μmであることが更に好ましく、0.1〜10μmであることが特に好ましい。隔壁母材に形成された細孔の内部に浸入している捕集層の厚さが、20μm超であると、目封止ハニカム構造体の初期の圧力損失が高くなることがある。
【0069】
目封止ハニカム構造体は、以下のような構成を採用してもよい。ここで、
図10は、本発明の目封止ハニカム構造体の他の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式的な断面図である。
図10に示す目封止ハニカム構造体300は、柱状のハニカム構造部4と、セル2の開口部に配設された目封止部5と、を備えた目封止ハニカム構造体300である。柱状のハニカム構造部4は、多孔質の隔壁母材1と、隔壁母材1の表面に配設された多孔質の捕集層46とを含む隔壁50を有する。ハニカム構造部4の隔壁母材1及び目封止部5は、
図1〜
図5に示す目封止ハニカム構造体100のハニカム構造部4の隔壁母材1及び目封止部5と同様に構成されている。ここで、
図10に示すハニカム構造部4の第一端面11を、セル2を流通する流体の入口側の端面とし、当該ハニカム構造部4の第二端面12を、セル2を流通する流体の出口側の端面とする。
図10に示す目封止ハニカム構造体300においては、捕集層46が、ハニカム構造部4の第一端面11から第二端面12に向かう長手方向において、第二端面12から当該長手方向の20〜80%の範囲に配設されている。すなわち、
図10に示す目封止ハニカム構造体300においては、ハニカム構造部4の第一端面11から上記長手方向の20%の範囲については、隔壁母材1の表面に捕集層46が配設されていない。このように構成することによって、目封止ハニカム構造体の初期の圧力損失と、PMが堆積した時の圧力損失とのバランスが良好に保たれる。なお、捕集層を備えた目封止ハニカム構造体においては、
図1〜
図5に示すように、捕集層6が、ハニカム構造部4の第一端面11から第二端面12に向かう長手方向の全域に配設されていてもよい。
図1〜
図5に示すように構成された目封止ハニカム構造体100では、排ガス中に含まれるPMが、目封止ハニカム構造体100の外部に漏れ出してしまうことを有効に抑制することができる。したがって、
図10に示すように、ハニカム構造部4の長手方向の一部に捕集層46が配設される場合でも、PMの漏れ出し抑制の観点から、第二端面12の近傍には少なくとも捕集層46が配設されていることが好ましい。特に、捕集層46が、第二端面12から長手方向の60〜80%の範囲に配設されることがより好ましい。
【0070】
捕集層の、セルの角部に位置する部分の厚さが、当該捕集層の、セルの辺の中央部に位置する部分の厚さの1〜3倍であることが好ましい。このように構成することで、目封止ハニカム構造体の初期の圧力損失の上昇を抑制することができる。特に、上述した構成を採用することで、捕集層の厚さが、上記角部と中央部とでより均一な厚さとなり、捕集層の一部だけをガスが通過するということが防止され、捕集層全体をガスが通過するようになる。ここで、
図11A及び
図11Bを参照しつつ、「捕集層の、セルの角部に位置する部分の厚さ」及び「捕集層の、セルの辺の中央部に位置する部分の厚さ」について説明する。
図11Aは、本発明のハニカムフィルタの一実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面の一部を示す模式図である。
図11Bは、本発明のハニカムフィルタの一実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面の一部を示す模式図である。
図11Bは、
図11Aに示す断面の一部拡大図である。捕集層の「セルの角部に位置する部分の厚さ」とは、
図11A及び
図11Bに示すように、捕集層6に内接する「正方形X」の、一辺の長さT1のことである。この「正方形X」は、その各辺(すなわち、正方形Xの各辺)が、セル2の各辺に平行な状態で、当該セル2の角部に位置する、仮想的な正方形である。捕集層の「セルの角部に位置する部分の厚さ」は、通常、捕集層6の最も厚い部分の厚さである。また、捕集層の「セルの辺の中央部に位置する部分の厚さ」とは、
図11Bに示すように、セル2の一辺Yの中央部Cにおける捕集層6の厚さT2のことである。捕集層の「セルの辺の中央部に位置する部分の厚さ」は、通常、捕集層6の最も薄い部分の厚さである。以下、『捕集層の「セルの角部に位置する部分の厚さ(膜厚)」』を、単に、「捕集層の角部の厚さ」ということがある。また、『捕集層の「セルの辺の中央部に位置する部分の厚さ(膜厚)」』を、単に、「捕集層の中央部の厚さ」ということがある。
図11A及び
図11Bにおいて、
図1に示すハニカム構造体100と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0071】
セルの延びる方向に直交する断面において、捕集層の角部の厚さが、捕集層の中央部の厚さの1.0〜2.3倍が更に好ましく、1.0〜2.0倍が更により好ましく、1.0〜1.6倍が特に好ましい。捕集層の角部の厚さが、捕集層の中央部の厚さの3倍より厚いと、捕集層の厚さが不均一であるということができ、捕集層の薄い部分に集中的にガスが流れることがある。つまり、捕集層の薄い部分に集中的にガスが流れることにより、当該薄い部分のガスの流速が局所的に大きくなり、その結果、圧力損失が大きくなることがある。更に、ガスの流速が局所的に大きくなることにより、排ガス中に含まれるPMが、隔壁の細孔を通過して、目封止ハニカム構造体の外部に漏れ出してしまう(別言すれば、捕集効率が低下する)ことがある。捕集層の厚さは、セルの延びる方向に直交する断面を、SEM像を用いて測定した値である。
【0072】
また、ハニカム構造部の隔壁の表面及び隔壁の細孔のうちの少なくとも一方に、排ガス浄化用の触媒が担持されていてもよい。触媒としては、例えば、多孔質なγ−Al
2O
3に白金族金属を担持したものを挙げることができる。なお、ハニカム構造部の隔壁に担持された触媒は、隔壁(別言すれば、隔壁母材及び捕集層)とは異なる構成要素であるため、これまでに説明した「多孔体を構成する材料」には、当該触媒は含まないものとする。
【0073】
(2)目封止ハニカム構造体の製造方法(一の実施形態):
次に、本発明の目封止ハニカム構造体の製造方法の一の実施形態について説明する。本実施形態の目封止ハニカム構造体の製造方法は、これまでに説明した本発明の目封止ハニカム構造体を製造する方法に関するものである。本実施形態の目封止ハニカム構造体の製造方法は、焼成前のハニカム構造部における隔壁母材(すなわち、焼成前の隔壁母材)の表面に、捕集層形成セラミック原料及び可燃性微粒子を水に分散させたスラリーを塗工する工程を備えたものである。以下、「焼成前のハニカム構造部における隔壁母材の表面に、捕集層形成セラミック原料及び可燃性微粒子を水に分散させたスラリーを塗工する工程」を、「捕集層形成スラリー塗工工程」ということがある。このような目封止ハニカム構造体の製造方法によれば、ハニカム構造部のセルの延びる方向に垂直な断面において、捕集層の厚さの均一性が向上する。また、上述した可燃性微粒子は、捕集層に細孔を形成するための造孔材としても機能する。更に、上述したスラリーを塗工する工程を備えることにより、隔壁母材の細孔内に浸入する捕集層の浸入部分を少なくすることができる。
【0074】
本実施形態の目封止ハニカム構造体の製造方法においては、まず、ハニカム構造部を作製するための、ハニカム成形体を作製する。このハニカム成形体、又は当該ハニカム成形体を乾燥させたハニカム乾燥体が、上述した焼成前のハニカム構造部である。すなわち、本実施形態の目封止ハニカム構造体の製造方法においては、ハニカム成形体又はハニカム乾燥体を焼成する前に、上述した捕集層形成スラリー塗工工程を行うことが特徴といえる。以下、本実施形態の目封止ハニカム構造体の製造方法について更に詳細に説明する。
【0075】
(2−1)成形工程:
目封止ハニカム構造体の製造方法においては、成形工程において、セラミック原料を含有するセラミック成形原料を成形して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する未焼成隔壁母材を備えるハニカム成形体(ハニカム構造部の成形体)を形成する。具体的には、まず、α−Al
2O
3、チタン酸アルミニウム、及びガラスを含む多孔体を作製するための成形原料を調製する。成形原料としては、成形原料を焼成することにより得られる焼成体中に、上記3物質が含まれ得るものであれば、特に制限はない。例えば、成形原料としては、所望量の、Al
2O
3、TiO
2、タルク、マイカ、粘土等を配合して調製することができる。また、成形原料として、Al(OH)
3、フォルステライト、長石、カオリン、Na
2O、K
2O、MgO、CaO、SrO、Fe
2O
3、Y
2O
3、La
2O
3、Ga
2O
3、ZrO
2、CeO
2、SiO
2、CuO、NiO、これらの炭酸化物、水酸化物、塩化物、所望の組成に調整されたガラス等を用いることもできる。上述した原料の配合量を調節することにより、得られる多孔体に含まれる物質及びその比率を調整することができる。成形原料の配合量については、得られる焼成体中において、少なくともα−Al
2O
3が主相(すなわち、質量割合において40質量%以上)となるように、その配合量を調節する。また、成形原料には、上述した原料に加えて、分散媒や添加剤を更に加えてもよい。
【0076】
添加剤としては、バインダー、造孔材等を挙げることができる。分散媒としては、水等を挙げることができる。
【0077】
バインダーとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。
【0078】
上述した原料粉末の粒子径及び配合量、並びに添加する造孔材粉末の粒子径及び配合量を調整することにより、所望の気孔率、平均細孔径の多孔体を得ることができる。
【0079】
次に、得られた成形原料を混練して坏土を形成する。坏土を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
【0080】
次に、得られた坏土を押出成形して、ハニカム成形体を作製する。押出成形は、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて行うことができる。次に、得られたハニカム成形体を乾燥させて、当該ハニカム成形体を乾燥させたハニカム乾燥体を得てもよい。乾燥方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等を挙げることができ、これらの中でも、誘電乾燥、マイクロ波乾燥又は熱風乾燥を単独で又は組合せて行うことが好ましい。また、乾燥条件としては、乾燥温度30〜150℃、乾燥時間1分〜2時間とすることが好ましい。
【0081】
(2−2)第1目封止工程:
本実施形態の目封止ハニカム構造体の製造方法においては、成形工程の後に、第1目封止工程において、ハニカム成形体(又はハニカム乾燥体)の第一端面及び第二端面のうちのいずれか一方の端面のみに対して、セルの開口部を目封止することが好ましい。第1目封止工程は、例えば、ハニカム成形体のセルの開口部に、目封止材を充填することによって行うことができる。
【0082】
第1目封止工程は、例えば、マスキング工程及び圧入工程によって構成される。マスキング工程は、ハニカム成形体の一方の端面(例えば、第一端面)にシートを貼り付け、シートにおける、「目封止部を形成しようとするセル」と重なる位置に孔を開ける工程である。圧入工程は、「ハニカム成形体の、シートが貼り付けられた側の端部」を、目封止材が貯留された容器内に圧入して、目封止材をハニカム成形体のセル内に圧入する工程である。目封止材料をハニカム成形体のセル内に圧入する際には、目封止材料は、シートに形成された孔を通過し、シートに形成された孔と連通するセルのみに充填される。目封止材を充填する方法としては、従来公知の目封止ハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができる。セルの開口部に目封止材を充填した後、ハニカム成形体(又はハニカム乾燥体)を再度乾燥させてもよい。
【0083】
(2−3)捕集層形成スラリー塗工工程:
捕集層形成スラリー塗工工程は、焼成前のハニカム構造部における隔壁母材の表面に、捕集層形成セラミック原料及び可燃性微粒子を水に分散させたスラリーを塗工する工程である。焼成前のハニカム構造部としては、ハニカム成形体、又はハニカム乾燥体を挙げることができ、特に、上述した第1目封止工程を経て得られたハニカム成形体、又はハニカム乾燥体であることが好ましい。
【0084】
捕集層形成セラミック原料としては、ムライト、アルミナ、スピネル、Al(OH)
3、チタン酸アルミニウム、チタニア、及びMgOからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。これらの中でも、ムライト、アルミナ及びスピネルからなる群から選択される少なくとも1種が更に好ましい。
【0085】
可燃性微粒子としては、例えば、カーボンブラック、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。特に、可燃性微粒子としては、カーボンブラックが好ましい。
【0086】
可燃性微粒子の平均粒子径が0.05〜0.5μmであることが好ましく、0.05〜0.3μmであることが更に好ましく、0.05〜0.2μmであることが特に好ましい。可燃性微粒子の平均粒子径が大きいと、ハニカム構造部のセルの延びる方向に垂直な断面において、捕集層の厚さの均一性が悪化する。一方で、可燃性微粒子の平均粒子径の下限値については特に制限はないが、現実的に入手可能な可燃性微粒子は、その平均粒子径の下限値が、0.05μm程度である。可燃性微粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱法で測定した値である。
【0087】
捕集層形成セラミック原料と可燃性微粒子の体積比が、20/80〜80/20であることが好ましく、30/70〜70/30であることが更に好ましく、30/70〜60/40であることが特に好ましい。可燃性微粒子の比率が大きすぎると、捕集層の気孔率が高くなりすぎることがある。一方、可燃性微粒子の比率が少なすぎると、ハニカム構造部のセルの延びる方向に垂直な断面において、捕集層の厚さの均一性が悪化する。
【0088】
捕集層形成セラミック原料には、可燃性微粒子のほかに、造孔材を加えてもよい。造孔材としては、グラファイト、澱粉、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、ウレタン樹脂などを用いることができる。造孔材の平均粒子径は、0.5〜50μmであることが好ましく、5〜30μmであることが更に好ましく、5〜20μmであることが特に好ましい。造孔材の平均粒子径が50μmより大きいと、捕集効率が低下することがある。造孔材の平均粒子径が0.5μmより小さいと、初期圧損が高くなる(別言すれば、十分に気孔率が高くならない)ことがある。造孔材の平均粒子径は、レーザー回折散乱法で測定した値である。
【0089】
第1目封止工程を経て得られたハニカム成形体(又はハニカム乾燥体)を用いて捕集層形成スラリー塗工工程を行う場合には、ハニカム成形体(又はハニカム乾燥体)の目封止が施された側の端面が、鉛直上方に位置するように、ハニカム成形体(又はハニカム乾燥体)を縦に配置した状態で行うことが好ましい。この際、鉛直下方に位置するハニカム成形体(又はハニカム乾燥体)のもう一方の端面には、第1目封止工程で目封止材を充填したセル以外のセルの開口部に孔の開いた、フィルムを張り付けた状態にて、捕集層形成スラリー塗工工程を行うことがより好ましい。このような状態のハニカム成形体(又はハニカム乾燥体)の、鉛直下方に位置する端面から、捕集層形成セラミック原料及び可燃性微粒子を水に分散させたスラリーを充填する。そして、スラリーを充填後、所定時間経過した後、充填したスラリーを排出する。このように構成することによって、ハニカム成形体(又はハニカム乾燥体)の隔壁母材の前駆体の表面に、上記スラリーが塗工される。スラリーの濃度や、充填時の保持時間を調節することで、最終的に得られる捕集層の厚さ等を調整することができる。また、上述した方法にてスラリーを塗工することにより、例えば、ハニカム構造部の第一端面から第二端面に向かう長手方向において、第二端面から当該長手方向の所定の範囲にのみ、捕集層を配設することができる。すなわち、鉛直下方に位置する端面を、ハニカム構造部における第二端面とすることで、当該スラリーの充填高さを調整することで、捕集層を配設する範囲を変化させることができる。
【0090】
(2−4)第2目封止工程:
捕集層形成スラリー塗工工程の後に、第2目封止工程において、ハニカム成形体(又はハニカム乾燥体)の第一端面及び第二端面のうちの少なくとも一方の端面に対して、セルの開口部を目封止することが好ましい。第1目封止工程が行われている場合には、ハニカム成形体(又はハニカム乾燥体)の第一端面及び第二端面のうちの、第1目封止工程にて目封止材が充填された端面以外の端面について、第2目封止工程を行う。第1目封止工程を行わずに、捕集層形成スラリー塗工工程を行った場合には、ハニカム成形体(又はハニカム乾燥体)の第一端面及び第二端面の両方の端面に対して、セルの開口部を目封止する。目封止材を充填する方法としては、従来公知の目封止ハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができる。セルの開口部に目封止材を充填した後、ハニカム成形体(又はハニカム乾燥体)を再度乾燥させてもよい。
【0091】
(2−5)焼成工程:
次に、目封止材をセルの開口部に充填したハニカム成形体(或いは、ハニカム乾燥体)を焼成する。得られたハニカム焼成体が、本実施形態の目封止ハニカム構造体となる。焼成温度は、1400〜1600℃が好ましく、1400〜1500℃が更に好ましい。焼成時間は、1〜10時間程度とすることが好ましい。焼成は、例えば、大気中、水蒸気雰囲気中、炭化水素ガス燃焼雰囲気中にて行うことができる。
【0092】
本実施形態の目封止ハニカム構造体の製造方法によれば、本発明の目封止ハニカム構造体を簡便に製造することができる。ただし、本実施形態の目封止ハニカム構造体の製造方法は、焼成前のハニカム構造部に対して、これまでに説明した「捕集層形成スラリー塗工工程」を行うものであれば、その他の製造工程については、当業者の通常の知識に基づいて、適宜変更可能である。例えば、ハニカム成形体の作製方法(成形工程)や、目封止材を充填する方法(第1目封止工程及び第2目封止工程)については、上述した製造工程に限定されることはない。また、各製造工程の順番も、焼成工程の前に、捕集層形成スラリー塗工工程が行われるのであれば、当業者の通常の知識に基づいて、適宜変更可能である。
【0093】
(3)目封止ハニカム構造体の製造方法(他の実施形態):
次に、目封止ハニカム構造体の製造方法の他の実施形態について説明する。以下に説明する製造方法においては、上述した一の実施形態の製造方法のような、焼成前の隔壁母材の表面にスラリーを塗工して捕集層を形成するのではなく、ハニカム成形体を焼成した焼成体に対して、捕集層を形成するものである。すなわち、この他の実施形態の目封止ハニカム構造体の製造方法は、ハニカム成形体を焼成したハニカム焼成体のセル内に、捕集層形成セラミック原料を流入させて、当該捕集層形成セラミック原料を隔壁母材の表面に付着させる工程を備える。ハニカム焼成体のセル内に、捕集層形成セラミック原料を流入させる方法は、特に限定されないが、捕集層形成セラミック原料を気体中に分散させてエアロゾル(aerosol)を形成し、当該エアロゾルをセル内に流入させる方法を挙げることができる。
【0094】
他の実施形態における捕集層形成セラミック原料としては、ムライト、アルミナ、スピネル、Al(OH)
3、チタン酸アルミニウム、チタニア、MgO、SiC、Si
3N
4、シリカ、珪酸ジルコニウム、及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。これらの中でも、ムライト、アルミナ、スピネル、シリカ、及びSiCからなる群から選択される少なくとも1種が更に好ましい。
【実施例】
【0095】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0096】
(実施例1)
実施例1においては、まず、ハニカム構造部を作製するための成形原料を調製した。成形原料は、α−Al
2O
3粉末を3900g、TiO
2粉末を750g、タルク粉末を300g、マイカ粉末を50g、澱粉を50g、メチルセルロースを200g、を混合した粉末に水を適量添加して調製した。α−Al
2O
3粉末の平均粒子径は42μmであった。TiO
2粉末の平均粒子径は0.4μmであった。タルク粉末の平均粒子径は11μmであった。マイカ粉末の平均粒子径は42μmであった。
【0097】
次に、得られた成形原料をニーダーで混練し、次に、真空土練機で土練して、坏土を形成した。次に、得られた坏土を押出成形して、ハニカム成形体を作製した。ハニカム成形体は、焼成後において、隔壁母材の厚さが300μmとなり、セル密度が46.5セル/cm
2となるものとした。ハニカム成形体のセルの形状は、焼成後において、正方形となるものとした。ハニカム成形体は、正方形の端面を有する四角柱形状のものとした。四角柱形状のハニカム成形体のそれぞれの端面の一辺の長さは、焼成後において、35mmとなるものとした。
【0098】
次に、ハニカム成形体を乾燥させて、ハニカム乾燥体を得た。乾燥は、まず、マイクロ波乾燥を行い、その後、熱風乾燥を行った。次に、ハニカム乾燥体を、当該ハニカム乾燥体のセルの延びる方向の長さが所定の長さとなるように切断した。
【0099】
次に、得られたハニカム乾燥体の所定のセルの第一端面側の開口部と残余のセルの第二端面側の開口部とに目封止材を充填した後、再度、熱風乾燥を行って、全てのセルの第一端面側又は第二端面側のいずれか一方の開口部に目封止部を形成した。目封止材は、α−Al
2O
3粉末を3900g、TiO
2粉末を750g、タルク粉末を300g、マイカ粉末を50g、澱粉を500g、メチルセルロースを10g、を混合した粉末に水を適量添加して調製した。α−Al
2O
3粉末、TiO
2粉末、タルク粉末、及びマイカ粉末は、ハニカム構造部を作製するための成形原料に用いたものと同じ平均粒子径のものとした。
【0100】
次に、得られたハニカム乾燥体を脱脂した。脱脂は、450℃で5時間行った。次に、脱脂したハニカム乾燥体を焼成して、ハニカム焼成体を得た。焼成は、大気中、1500℃で4時間行った。このハニカム焼成体が、流体の流路となる第一端面から第二端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁母材を有するハニカム構造部となる。
【0101】
次に、得られたハニカム焼成体に、エアロゾル化したSiC粉末を流通させ、ハニカム焼成体の隔壁母材の表面にSiC粒子を堆積させた。SiC粉末の平均粒子径は2μmとした。その後、隔壁母材の表面にSiC粒子を堆積させたハニカム焼成体を、大気中で、1200℃で5時間の熱処理を行った。隔壁母材の表面に堆積させたSiC粒子が、捕集層となる。このようにして、実施例1の目封止ハニカム構造体を作製した。
【0102】
実施例1の目封止ハニカム構造体を構成する隔壁母材は、主相としてα−Al
2O
3を含み、更にチタン酸アルミニウムとガラスを含む多孔体からなるものであった。α−Al
2O
3とチタン酸アルミニウムの質量比は、85/15であった。α−Al
2O
3とチタン酸アルミニウムとガラスの合計に対して、ガラスは7質量%であった。隔壁母材(多孔体)の組成の定性、及び定量は、以下の方法によって行った。まず、目封止ハニカム構造体を構成する隔壁について、当該隔壁の捕集層が配設された部分を研削し、捕集層が取り除かれた隔壁母材を得た。ガラスの量は、捕集層が取り除かれた隔壁母材を、酸に浸漬し、当該隔壁母材中のガラスを溶解させ、ガラス量を定量した。その後、残渣中のα−Al
2O
3量をXRDにて定量し、残りをAl
2TiO
5とした。実施例1の目封止ハニカム構造体のように、隔壁母材が、主相としてα−Al
2O
3を含み、更にチタン酸アルミニウムとガラスを含む多孔体からなるものを、表1の「隔壁母材」の欄に、「Al
2O
3/Al
2TiO
5」と記す。また、実施例1の目封止ハニカム構造体のように、捕集層が、SiC粒子から形成されたものを、表1の「捕集層」の欄に、「SiC」と記す。
【0103】
実施例1の目封止ハニカム構造体を構成するハニカム構造部の隔壁母材について、気孔率(%)、平均細孔径(μm)、真密度(g/cm
3)、及び多孔体を構成する材料の熱容量(J/K/cm
3)を測定した。測定結果を表1に示す。なお、表1の「熱容量(J/K/cm
3)」の欄には、上述した「多孔体を構成する材料の熱容量(J/K/cm
3)」の値を示す。真密度(g/cm
3)、及び気孔率(%)は、アルキメデス法(JIS R 1634)により測定した。平均細孔径(μm)は、水銀圧入法(JIS R 1655)により測定した。熱容量(J/K/cm
3)は、以下の方法で測定した。まず、アルバック理工社製の断熱型比熱測定装置を用いて、多孔体を構成する材料の600℃における単位質量あたりの熱容量(J/K/g)を測定した。次に、得られた単位質量あたりの熱容量(J/K/g)に、アルキメデス法で測定した室温における多孔体を構成する材料の真密度(g/cm
3)を乗算することで、多孔体を構成する材料の単位体積あたりの熱容量(J/K/cm
3)を算出した。
【0104】
【表1】
【0105】
実施例1の目封止ハニカム構造体を構成する捕集層について、以下の方法で、気孔率(%)、平均細孔径(μm)、膜厚(μm)、浸入厚み(μm)、及び断面均一性を測定した。測定結果を表2に示す。なお、上記した測定においては、目封止ハニカム構造体を、セルの延びる方向に当該長さが5等分となるように切断し、セルを流通する流体の出口側となる端面に最も近い切断面に対して、各測定を行った。また、実施例1の目封止ハニカム構造体を構成する捕集層について、以下の方法で、製膜長さの比率、熱膨張係数(ppm/K)を測定した。測定結果を表2に示す。捕集層を構成する材料については、以下の方法で分析した。まず、隔壁母材の表面に捕集層が配設された隔壁を粉砕して得られた第一粉末と、隔壁から捕集層の部分を研削し、隔壁母材のみにした多孔体を粉砕して得られた第二粉末と、を用意した。次に、第一粉末と、第二粉末とを、それぞれX線回折(XRD)を用いて定性した。また、第一粉末と、第二粉末とを、それぞれX線回折(XRD)の内部標準法にて定量した。そして、第一粉末の定性結果及び定量結果と、第二粉末の定性結果及び定量結果とを比較することで、捕集層を構成する材料を分析した。
【0106】
[捕集層の気孔率(%)]
まず、5等分したうちの流体の出口側となる端面に最も近いハニカム構造体を樹脂に埋設し、切断したハニカム構造部の切断面(出口側となる端面に最も近い切断面)を研磨し、当該切断面中の捕集層を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。観察したSEM像(5000倍)を用いて、画像処理ソフト(日本ビジュアルサイエンス社製 Image−Pro Plus 7.0(商品名))によって、捕集層に形成された気孔の比率を計測した。このようにして計測された「気孔の比率」を、捕集層の気孔率(%)とした。
【0107】
[捕集層の平均細孔径(μm)]
捕集層の気孔率(%)の測定方法と同様にして、切断面中の捕集層を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、
図8に示すような、捕集層6を構成する2つの粒子6a間の距離Lを、画像処理ソフトによって計測した。画像処理ソフトは、捕集層の気孔率(%)の測定に用いたものと同じものを用いた。捕集層6を構成する2つの粒子6a間の距離Lは、当該画像処理ソフトによって得られる画像中に、
図8において符号Pで示すような直線を引き、この直線P上における「粒子6a間の距離L」を計測した。直線Pは、上記画像処理ソフトによって得られる画像中に、任意に10本の直線Pを引き、得られた値の平均値を、「捕集層の平均細孔径(μm)」とした。
【0108】
[膜厚(μm)]
捕集層の気孔率(%)の測定方法と同様にして、切断面中の捕集層及び隔壁母材を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、
図9に示されるような「深さ−細孔表面積グラフ」を作製した。当該「深さ−細孔表面積グラフ」における「深さD2」の値を、「捕集層の膜厚(μm)」とした。捕集層の膜厚(μm)は、捕集層の厚さ(μm)のことである。
【0109】
[捕集層の浸入厚み(μm)]
捕集層の浸入厚み(μm)は、
図9に示されるように、捕集層6が、表層6xと深層6yとによって構成される場合、この捕集層6の深層6yの厚さのことを意味する。すなわち、深層6yの「深さD2」の値から、表層6xの「深さD1」の値を差し引いた値が、「捕集層の浸入厚み(μm)」である。捕集層の浸入厚み(μm)の測定では、まず、捕集層の気孔率(%)の測定方法と同様にして、切断面中の捕集層及び隔壁母材を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、
図9に示されるような「深さ−細孔表面積グラフ」を作製した。当該「深さ−細孔表面積グラフ」から、「深さD2−深さD1の値」を求め、当該値を、「捕集層の浸入厚み(μm)」とした。
【0110】
[捕集層の製膜長さの比率]
製膜長さの比率は、ハニカム構造部のセルの延びる方向の長さに対する、捕集層の配設された範囲の長さの比率(%)のことである。したがって、捕集層の製膜長さの比率が100%の場合は、ハニカム構造部のセルの延びる方向の全域に捕集層が配設されていることとなる。捕集層の製膜長さの比率が20%の場合は、ハニカム構造部の流体の出口側の端面から、ハニカム構造部の長さの20%の範囲に捕集層が配設されていることとなる。製膜長さの測定方法は、以下の通りである。まず、目封止ハニカム構造体をセルに延びる方向に平行に切断した。次に、切断面を光学顕微鏡で観察した。例えば、この観察により、
図10に示すような切断面を観察することができる。次に、その切断面の任意の部分において、当該切断面をSEMにて観察した。例えば、この観察により、
図9に示すような拡大した切断面を観察することができる。このようにして観察したSEM像から、捕集層の有無を確認し、製膜長さを測定した。
【0111】
[断面均一性]
断面均一性は、捕集層の「セルの辺の中央部に位置する部分の厚さ」に対する、捕集層の「セルの角部に位置する部分の厚さ」の倍率(倍)のことである。断面均一性を測定する際には、まず、捕集層の気孔率(%)の測定方法と同様にして、切断面中の捕集層を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、
図11Bに示されるような画像を得た。捕集層6の「セル2の角部に位置する部分の厚さ」を、捕集層6に内接する「正方形X」の、一辺の「長さT1」として求めた。上記「正方形X」は、その各辺(すなわち、正方形Xの各辺)が、セル2の各辺に平行な状態で、当該セル2の角部に位置する、仮想的な正方形である。また、捕集層6の「セル2の辺の中央部に位置する部分の厚さ」を、セル2の一辺Yの中央部Cにおける捕集層6の「厚さT2」として求めた。そして、「厚さT2」に対する「長さT1」の倍率を、「断面均一性」とした。
【0112】
[熱膨張係数(ppm/K)]
熱膨張係数(ppm/K)は、隔壁(すなわち、捕集層が配設された隔壁母材)の40〜800℃の平均熱膨張係数(ppm/K)を、示差検出型の熱膨張計にて測定した。すなわち、表2の「熱膨張係数(ppm/K)」の欄に示される値は、隔壁母材及び隔壁母材の表面に配設された捕集層を含めた構成要素について測定された平均熱膨張係数の値である。
【0113】
【表2】
【0114】
実施例1の目封止ハニカム構造体について、以下の方法で、「初期の圧力損失の評価」、「PM堆積時の圧力損失の評価」、「PM漏れ数の評価」、及び「最高温度の評価」を行った。評価結果を表3に示す。上述した評価は、全て比較例1の目封止ハニカム構造体を基準とし、その変化率(%)を求めたものである。例えば、実施例1の目封止ハニカム構造体の評価結果は、下記式(1)によって算出された値(変化率(%))である。
変化率(%)=(実施例1の目封止ハニカム構造体において測定された値−比較例1の目封止ハニカム構造体において測定された値)÷(比較例1の目封止ハニカム構造体において測定された値)×100 ・・・ (1)
【0115】
[初期の圧力損失の評価]
目封止ハニカム構造体に一定流量の空気(室温)を流通させたときの、目封止ハニカム構造体の出口側と入口側の空気の圧力差を測定した。測定された圧力差を、初期の圧力損失とした。上記式(1)に従い、初期の圧力損失の変化率(%)を求めた。
【0116】
[PM堆積時の圧力損失の評価]
一定量のPM(煤)を目封止ハニカム構造体に堆積させた後、一定流量の空気(室温)を流通させたときの、出口側と入口側の空気の圧力差を測定した。測定された圧力差を、PM堆積時の圧力損失とした。上記式(1)に従い、PM堆積時の圧力損失の変化率(%)を求めた。
【0117】
[PM漏れ数の評価]
一定量のPM(煤)を目封止ハニカム構造体に流通させた際の、目封止ハニカム構造体の出口側の端面から流出したPMの個数を測定した。測定されたPMの個数を、PM漏れ数とした。上記式(1)に従い、PM漏れ数の変化率(%)を求めた。
【0118】
[最高温度の評価]
一定量のPM(煤)を目封止ハニカム構造体に堆積させ、PMを燃焼除去する再生を行った際の、目封止ハニカム構造体の内部の最高温度(℃)を測定した。上記式(1)に従い、最高温度の変化率(%)を求めた。
【0119】
【表3】
【0120】
(実施例2)
実施例2においては、まず、実施例1と同様の方法で、ハニカム乾燥体を作製した。そして、実施例1と同法の方法で、得られたハニカム乾燥体を、当該ハニカム乾燥体のセルの延びる方向の長さが所定の長さとなるように切断した。
【0121】
次に、ハニカム乾燥体の第一端面及び第二端面のうちの第一端面のみに対して、セルの開口部に目封止材を充填した。
【0122】
次に、ハニカム乾燥体の第二端面にフィルムを張り付けてマスクを施し、このマスクの、第一端面に目封止材を充填したセル以外のセルの配置されている箇所に、孔を開けた。これにより、第一端面にて目封止材を充填したセルは、第一端面及び第二端面が、目封止材とマスクとにより塞がれた状態となり、それ以外のセルは、第一端面から第二端面まで連通した状態となった。次に、別途、捕集層形成原料を含むスラリーを以下の方法で調製した。次に、マスクを施したハニカム乾燥体を、第一端面(目封止材を充填した側の端面)が、鉛直上方に位置するように縦に配置し、鉛直下方に位置する第二端面(マスクを施した端面)側から、捕集層形成原料を含むスラリーを充填した。このようにして、捕集層形成原料を含むスラリーを、所定のセルを区画する隔壁母材の前駆体の表面のみに塗工した。捕集層形成原料を含むスラリーは、以下のように調製した。α−Al
2O
3粉末を200g、カーボンブラック粉末を90g、グラファイト粉末を10g、分散剤を30g、水を420g混合して、捕集層形成原料を含むスラリーを調製した。α−Al
2O
3粉末の平均粒子径は3μmであり、α−Al
2O
3粉末の密度は3.95g/cm
3であった。カーボンブラック粉末の平均粒子径は0.2μmであり、カーボンブラック粉末の密度は1.8g/cm
3であった。カーボンブラック粉末として、三菱化学社製の「MA−100(商品名)」を用いた。グラファイト粉末の平均粒子径は17μmであった。分散剤として、東邦化学社製の「ペグノール(商品名)」を用いた。α−Al
2O
3とカーボンブラックの体積比は50/50であった。以下、実施例2において用いたスラリーを、「スラリー1」とする。実施例2において用いたスラリーについて、表2の「スラリーNo.」の欄に、「スラリー1」と記す。
【0123】
次に、スラリーを塗工したハニカム乾燥体を、再度乾燥した。次に、先に目封止材を充填した端面とは反対側の端面に対して、セルの開口部に目封止材を充填した。
【0124】
次に、ハニカム乾燥体を脱脂した。脱脂は、450℃で5時間行った。次に、脱脂したハニカム乾燥体を焼成して、ハニカム焼成体を得た。焼成は、大気中、1500℃で4時間行った。このハニカム焼成体が、実施例2の目封止ハニカム構造体である。実施例2の目封止ハニカム構造体のように、捕集層が、α−Al
2O
3粒子から形成されたものを、表1の「捕集層」の欄に、「Al
2O
3」と記す。
【0125】
(実施例3)
表2に示すように、捕集層の製膜長さの比率を80%としたこと以外は、実施例2と同様の方法で目封止ハニカム構造体を作製した。具体的には、実施例3では、マスクを施したハニカム乾燥体を、第一端面が鉛直上方に位置するように縦に配置し、鉛直下方に位置する第二端面(マスクを施した端面)側から、セルの延びる方向の80%の範囲まで捕集層形成原料を含むスラリーを充填した。このような方法により、実施例3では、ハニカム構造部の出口側の端面から、セルの延びる方向の80%の範囲に捕集層を形成した。
【0126】
(実施例4)
表2に示すように、捕集層の製膜長さの比率を40%としたこと以外は、実施例2と同様の方法で目封止ハニカム構造体を作製した。具体的には、実施例4では、マスクを施したハニカム乾燥体を、第一端面が鉛直上方に位置するように縦に配置し、鉛直下方に位置する第二端面(マスクを施した端面)側から、セルの延びる方向の40%の範囲まで捕集層形成原料を含むスラリーを充填した。このような方法により、実施例4では、ハニカム構造部の出口側の端面から、セルの延びる方向の40%の範囲に捕集層を形成した。
【0127】
(実施例5)
表2に示すように、捕集層の製膜長さの比率を20%としたこと以外は、実施例2と同様の方法で目封止ハニカム構造体を作製した。具体的には、実施例5では、マスクを施したハニカム乾燥体を、第一端面が鉛直上方に位置するように縦に配置し、鉛直下方に位置する第二端面(マスクを施した端面)側から、セルの延びる方向の20%の範囲まで捕集層形成原料を含むスラリーを充填した。このような方法により、実施例5では、ハニカム構造部の出口側の端面から、セルの延びる方向の20%の範囲に捕集層を形成した。
【0128】
(実施例6)
捕集層形成原料を含むスラリーとして、以下の方法で調製した「スラリー2」を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で目封止ハニカム構造体を作製した。α−Al
2O
3粉末を160g、スチレン樹脂粉末を115g、グラファイト粉末を10g、分散剤を20g、水を360g混合して、捕集層形成原料を含むスラリー(スラリー2)を調製した。α−Al
2O
3粉末の平均粒子径は3μmであり、α−Al
2O
3粉末の密度は3.95g/cm
3であった。スチレン樹脂粉末の平均粒子径は0.3μmであり、スチレン樹脂粉末の密度1.2g/cm
3であった。スチレン樹脂粉末として、日本ゼオン社製の「Nipol(商品名);(固形分52質量%)」を用いた。グラファイト粉末の平均粒子径は17μmであった。分散剤として、東邦化学社製の「ペグノール(商品名)」を用いた。α−Al
2O
3とスチレン樹脂の体積比は45/55であった。実施例6において用いたスラリーについて、表2の「スラリーNo.」の欄に、「スラリー2」と記す。
【0129】
(実施例7)
捕集層形成原料を含むスラリーとして、以下の方法で調製した「スラリー3」を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で目封止ハニカム構造体を作製した。α−Al
2O
3粉末を120g、カーボンブラック粉末を130g、グラファイト粉末を10g、分散剤を25g、水を420g混合して、捕集層形成原料を含むスラリー(スラリー3)を調製した。α−Al
2O
3粉末の平均粒子径は3μmであり、α−Al
2O
3粉末の密度は3.95g/cm
3であった。カーボンブラック粉末の平均粒子径は0.2μmであり、カーボンブラック粉末の密度は1.8g/cm
3であった。カーボンブラック粉末として、三菱化学社製の「MA−100(商品名)」を用いた。グラファイト粉末の平均粒子径は17μmであった。分散剤として、東邦化学社製の「ペグノール」を用いた。α−Al
2O
3とカーボンブラックの体積比は30/70であった。実施例7において用いたスラリーについて、表2の「スラリーNo.」の欄に、「スラリー3」と記す。
【0130】
(実施例8)
捕集層形成原料を含むスラリーとして、以下の方法で調製した「スラリー4」を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で目封止ハニカム構造体を作製した。α−Al
2O
3粉末を280g、カーボンブラック粉末を55g、グラファイト粉末を10g、分散剤を30g、水を420g混合して、捕集層形成原料を含むスラリー(スラリー4)を調製した。α−Al
2O
3粉末の平均粒子径は3μmであり、α−Al
2O
3粉末の密度は3.95g/cm
3であった。カーボンブラック粉末の平均粒子径は0.2μmであり、カーボンブラック粉末の密度は1.8g/cm
3であった。カーボンブラック粉末として、三菱化学社製の「MA−100(商品名)」を用いた。グラファイト粉末の平均粒子径は17μmであった。分散剤として、東邦化学社製の「ペグノール(商品名)」を用いた。α−Al
2O
3とカーボンブラックの体積比は70/30であった。実施例8において用いたスラリーについて、表2の「スラリーNo.」の欄に、「スラリー4」と記す。
【0131】
(比較例1)
ハニカム焼成体に、エアロゾル化したSiC粉末を流通させて捕集層を形成する工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で目封止ハニカム構造体を作製した。すなわち、比較例1の目封止ハニカム構造体は、隔壁母材の表面に捕集層が形成されていないものである。
【0132】
(比較例2)
ハニカム構造部を作製するための成形原料及び目封止材として、以下の方法で調製されたものを用い、焼成を、Ar雰囲気中、1450℃で2時間行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で目封止ハニカム構造体を作製した。成形原料は、α−SiC粉末を3250g、Si粉末を1750g、タルク粉末を107g、カオリン粉末を180g、α−Al
2O
3粉末を83g、粘土を50g、澱粉を200g、メチルセルロースを300g、を混合した粉末に水を適量添加して調製した。目封止材は、α−SiC粉末を3250g、Si粉末を1750g、タルク粉末を107g、カオリン粉末を180g、α−Al
2O
3粉末を83g、粘土を50g、澱粉を500g、メチルセルロースを10g、を混合した粉末に水を適量添加して調製した。成形原料及び目封止材に用いた各原料粉末の平均粒子径は以下の通りである。α−SiC粉末の平均粒子径は56μmであった。Si粉末の平均粒子径は5μmであった。タルク粉末の平均粒子径は11μmであった。カオリン粉末の平均粒子径は7μmであった。α−Al
2O
3粉末の平均粒子径は5μmであった。
【0133】
(比較例3)
比較例3においては、まず、比較例2と同様の方法で、ハニカム乾燥体を作製した。その後、捕集層形成原料を含むスラリーとして、以下の方法で調製した「スラリー5」を用い、且つ、脱脂を、600℃で1時間行ったこと以外は、実施例2と同様の方法で目封止ハニカム構造体を作製した。α−SiC粉末を160g、カーボンブラック粉末を465g、水を20g混合して、捕集層形成原料を含むスラリー(スラリー5)を調製した。α−SiC粉末の平均粒子径は2μmであり、α−SiC粉末の密度は3.22g/cm
3であった。カーボンブラック粉末の平均粒子径は0.2μmであり、カーボンブラック粉末の密度1.8g/cm
3であった。カーボンブラック粉末として、東海カーボン社製の「AquaBlack分散液(商品名);(固形分19質量%)」を用いた。α−
SiCとカーボンブラックの体積比は45/55であった。比較例3において用いたスラリーについて、表2の「スラリーNo.」の欄に、「スラリー5」と記す。
【0134】
実施例2〜8及び比較例2,3の目封止ハニカム構造体の捕集層について、実施例1と同様の方法で、気孔率(%)、平均細孔径(μm)、膜厚(μm)、浸入厚み(μm)、製膜長さの比率、及び断面均一性を測定した。また、実施例2〜8及び比較例1〜3の目封止ハニカム構造体の隔壁について、実施例1と同様の方法で、熱膨張係数(ppm/K)を測定した。それぞれの測定結果を表2に示す。また、実施例2〜8及び比較例1〜3の目封止ハニカム構造体について、実施例1と同様の方法で、「初期の圧力損失の評価」、「PM堆積時の圧力損失の評価」、「PM漏れ数の評価」、及び「最高温度の評価」を行った。評価結果を表3に示す。
【0135】
(結果)
実施例1〜8の目封止ハニカム構造体は、比較例2,3の目封止ハニカム構造体に比して、最高温度の評価において、良好な結果を得ることができた。すなわち、比較例2,3の目封止ハニカム構造体は、捕集層を配設していない比較例1の目封止ハニカム構造体と比較した場合、再生時の最高温度が20%程度上昇することが確認された。一方、実施例1〜8の目封止ハニカム構造体は、比較例1の目封止ハニカム構造体と比較しても、再生時の最高温度の上昇が確認されなかった。
【0136】
また、実施例1〜8の目封止ハニカム構造体は、捕集層を配設していない比較例1の目封止ハニカム構造体と比較した場合、初期の圧力損失が増加するものの、PM堆積時の圧力損失の評価において、良好な結果を得ることができた。すなわち、実施例1〜8の目封止ハニカム構造体は、捕集層を配設していない比較例1の目封止ハニカム構造体と比較した場合、PMの堆積に伴う初期値(初期の圧力損失)からの圧力損失の上昇が抑制されることが確認された。
【0137】
実施例1では、実施例2と比較して捕集層の気孔率が高いが、浸入厚さが大きいため、初期圧損が高くなる傾向が確認された。実施例2では、製膜長さの比率が100%であるため、実施例3〜5と比較して、初期の圧損損失が高いものであった。ここで、実施例2〜5、及び比較例1について、製膜長さの比率と、初期の圧力損失の評価及びPM堆積時の圧力損失の評価との関係を、グラフ化した。
図12は、製膜長さの比率と、初期の圧力損失の評価及びPM堆積時の圧力損失の評価との関係を示すグラフである。
図12に示すグラフにおいて、横軸は、製膜長さの比率(%)を示す。比較例1は、製膜長さの比率が0%のものに該当する。実施例2〜5は、製膜長さの比率が100%、80%,40%,20%のものにそれぞれ該当する。
図12に示すグラフにおいて、左側の縦軸は、初期の圧力損失の評価(%)を示し、右側の縦軸は、PM堆積時の圧力損失の評価(%)を示す。
図12において、黒塗りの菱形で示す系列が、初期の圧力損失の評価結果の値を示し、黒塗りの三角で示す系列が、PM堆積時の圧力損失の評価結果の値を示す。また、実施例2〜5、及び比較例1について、製膜長さの比率と、PM漏れ数の評価との関係を、グラフ化した。
図13は、製膜長さの比率と、PM漏れ数の評価との関係を示すグラフである。
図13に示すグラフにおいて、横軸は、製膜長さの比率(%)を示す。
図13に示すグラフにおいて、縦軸は、PM漏れ数の評価(%)を示す。
【0138】
実施例3では、製膜長さの比率が80%であった。実施例4では、製膜長さの比率が40%であった。実施例5では、製膜長さの比率が20%であった。
図12に示すグラフより、実施例3〜5は、初期の圧力損失と、PM堆積時の圧力損失とのバランスがよいことが分かる。
【0139】
実施例6では、捕集層の気孔率が比較的低く、断面均一性が大きな値を示すものであった。このため、実施例6は、実施例2と比較して、初期の圧損損失が高いものであった。実施例7では、捕集層の気孔率が比較的高いものであった。このため、実施例7は、実施例2と比較して、初期の圧損損失が低いものであった。実施例8では、実施例2と比較して、断面均一性が大きな値を示すものであった。このため、実施例8は、実施例2と比較して、初期の圧損損失が高いものであった。