特許第6231919号(P6231919)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6231919カバーテープ用シーラントフィルム及びカバーテープ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231919
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】カバーテープ用シーラントフィルム及びカバーテープ
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/28 20060101AFI20171106BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20171106BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   B32B27/28 101
   B32B27/32 103
   B65D85/38 N
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-61525(P2014-61525)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-182342(P2015-182342A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220099
【氏名又は名称】三井化学東セロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮島 紀幸
(72)【発明者】
【氏名】田口 栄一
(72)【発明者】
【氏名】武石 一路
【審査官】 飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−63662(JP,A)
【文献】 特開2012−188509(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/158550(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0089746(US,A1)
【文献】 特開2012−012033(JP,A)
【文献】 特開2012−126784(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/018791(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B65D 85/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸ビニル含有量が3〜20質量%の範囲にあるエチレン・酢酸ビニル共重合体(s1)を42〜75質量%、密度が0.865〜0.910g/cmの範囲にあるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(s2)を15〜40質量%、及び粘着付与剤(s3)を6〜18質量%(但し、s1+s2+s3=100質量%とする。)含み、s1+s2+s3=100質量部に対して、ブロッキング防止剤を0.1〜10質量部及び滑剤を0.1〜5質量部含む組成物(S)からなるシール層、酢酸ビニル含有量が15〜28質量%の範囲にあるエチレン・酢酸ビニル共重合体(c1)を85〜97質量%、及び粘着付与剤(c3)を3〜15質量%(但し、c1+c3=100質量%とする。)含む組成物(C)からなる中間層、及び密度が910〜945g/cmの範囲にあるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)からなるラミネート層からなることを特徴とするカバーテープ用シーラントフィルム。
【請求項2】
請求項1に記載のカバーテープ用シーラントフィルムのラミネート層に基材層が積層されてなるカバーテープ。
【請求項3】
請求項2に記載のカバーテープで、電子部品が収納された電子部品搬送用エンボスキャリアテープが熱融着されてなる包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に実装されるIC等の電子部品の搬送に使用される電子部品搬送体のカバーテープ用シーラントフィルム、及びカバーテープに関する。
【背景技術】
【0002】
IC等の各種の小型の電子部品は、ポケットが連続的に形成された合成樹脂製エンボスキャリアテープ(以下、「キャリアテープ」と略称する場合がある。)に収納され、ヒートシール性を有するカバーテープで封入された状態で搬送される所謂テーピング方式が多用されている。このカバーテープは、少なくともテープ基材層とシール層を有するテープで、該シール層は、キャリアテープに対しては良好なヒートシール性を有し、一方で内容物である電子部品に対しては、通常非接着性であることが要求される。そのために、シール層としては、主にエチレン・酢酸ビニル共重合体系樹脂(以下、「EVA」と略称する場合がある。)が用いられる。
【0003】
一方、EVA単独では低温ヒートシール性などが不十分であることから、ヒートシール性を改良する方法として、例えば、EVAにエチレン・α−オレフィン共重合体及び粘着付与剤を混合してなる組成物を用いる方法(特許文献1:特開平10−17015号公報、特許文献2:特開2012−188509号公報)、あるいは、酢酸ビニル含有量が異なる二種以上のEVAを含む組成物を用いる方法(特許文献3:特開2002−337975号公報)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、かかる方法などを用いても、カバーテープ用シーラントフィルムとして、フィルム成形性、離ロール性、成形機のロール汚れ問題、フィルム滑り性、押出しラミネートやドライラミネートなど加工適性、また、カバーテープとして、キャリアテープとのヒートシール強度、滑らかなソフトピール性、ヒートシール強度の温度依存性例えば60℃×90%RHに保管した場合のヒートシール強度変化や剥離状態の変化、カバーテープをキャリアテープにヒートシールした後のカバーテープのキャリアテープからの自然剥離問題、未シール部分とキャリアテープが接している面とのブロッキング問題、カバーテープとキャリアテープによって封入された電子部品などの視認性、納期対応性、カバーテープロールの長尺化、カバーテープロールのブロッキング性、各種材質のキャリアテープへの対応性など、必ずしも全ての面で満足できてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−17015号公報
【特許文献2】特開2012−188509号公報
【特許文献3】特開2002−337975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、カバーテープとしてヒートシール強度の温度依存性が少なく、高温・高湿度下で保管された場合でもヒートシール強度の変化が少なく、カバーテープのキャリアテープからの自然剥離や、未シール部分とキャリアテープが接している面とのブロッキングが改善され、カバーテープを製造する上でラミネート加工法も限定されないカバーテープ用シーラントフィルム及びカバーテープを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、酢酸ビニル含有量が3〜20質量%の範囲にあるエチレン・酢酸ビニル共重合体(s1)を42〜75質量%、密度が0.865〜0.910g/cmの範囲にあるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(s2)を15〜40質量%、及び粘着付与剤(s3)を6〜18質量%(但し、s1+s2+s3=100質量%とする。)含み、s1+s2+s3=100質量部に対して、ブロッキング防止剤を0.1〜10質量部及び滑剤を0.1〜5質量部含む組成物(S)からなるシール層、酢酸ビニル含有量が15〜28質量%の範囲にあるエチレン・酢酸ビニル共重合体(c1)を85〜97質量%、及び粘着付与剤(c3)を3〜15質量%(但し、c1+c3=100質量%とする。)含む組成物(C)からなる中間層、及び密度が910〜945g/cmの範囲にあるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)からなるラミネート層からなることを特徴とするカバーテープ用シーラントフィルム及びその用途に係る。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカバーテープ用シーラントフィルムを用いてなるカバーテープは、エンボスキャリアテープとのヒートシール強度の温度依存性が少なく、且つ、高温・高湿度下で保管された場合でもヒートシール強度の変化が少なく、カバーテープのキャリアテープからの自然剥離がなく、また、未シール部分とキャリアテープが接している面とのブロッキングも改善されている。また、シーラントフィルムを用いたカバーテープ製造におけるラミネート方法は限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<シール層>
《エチレン・酢酸ビニル共重合体(s1)》
本発明のカバーテープ用シーラントフィルムのシール層を形成する組成物(S)に含まれる成分の一つであるエチレン・酢酸ビニル共重合体(s1)は、酢酸ビニル含有量を3〜20質量%、好ましくは4〜17質量%含むエチレンと酢酸ビニルとの共重合体である。
本発明に係るエチレン・酢酸ビニル共重合体(s1)は、酢酸ビニル含有量が前記範囲にあることにより、カバーテープ用シーラントフィルムのシール層に用いた場合、適度なヒートシール強度のカバーテープ用シーラントフィルムが得られる。
本発明に係るエチレン・酢酸ビニル共重合体(s1)は、少なくともエチレンと酢酸ビニルとが共重合した共重合体であり、場合により他のモノマーが更に重合されてもよい。
本発明に係るエチレン・酢酸ビニル共重合体(s1)は、通常、ASTM D 1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が1〜15g/10分、好ましくは1〜10g/10分である。
本発明に係るエチレン・酢酸ビニル共重合体(s1)は、酢酸ビニル含有量、あるいはMFRなどが異なる2種以上のエチレン・酢酸ビニル共重合体の混合物であってもよい。
【0010】
《エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(s2)》
本発明に係るシール層を形成する組成物(S)に含まれる成分の一つであるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(s2)は、密度が0.865〜0.910g/cm、好ましくは0.875〜0.900g/cmの範囲にあるエチレンと炭素数3以上、好ましくは4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体である。
本発明に係るエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(s2)は、密度が前記範囲にある限り特に限定はされないが、好ましくはエチレン含有量が70〜95モル%、更に好ましくは80〜93モル%、好ましくはX線による結晶化度が5〜40%、更に好ましくは7〜30%の範囲にある。
本発明に係るエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(s2)は、好ましくはGPCで測定した分子量分布(Mw/Mn)が3以下、更に好ましくは2.5以下であり、好ましくはDSCによる昇温速度10℃/分での吸熱曲線から求めた融点が40〜100℃、更に好ましくは60〜90℃であり、メルトフローレート(190℃、荷重2160g)が好ましくは0.01〜20g/10分、更には0.1〜5g/10分の範囲にある。
【0011】
《粘着付与剤(s3)》
本発明に係るシール層を形成する組成物(S)に含まれる成分の一つである粘着付与剤(s3)は、粘着付与剤として製造・販売されている粘着性を付与する性質を有する重合体であり、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂、ロジン類、スチレン系樹脂、クマロン・インデン樹脂などを挙げることができる。
【0012】
前記脂肪族系炭化水素樹脂としては、例えば、1−ブテン、イソブテン、ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレンなどの炭素数4〜5のものまたはジオレフィンの少なくとも一種以上を含む留分を重合して得られる樹脂を挙げることができる。
前記脂環族系炭化水素樹脂としては、例えば、スペントC4〜C5留分中のジエン成分を環化二量化後、重合させて得られる樹脂、シクロペンタジエンなどの環状モノマーを重合させた樹脂、芳香族系炭化水素樹脂を核内水添した樹脂(例えば、水素化石油樹脂等)などが挙げられる。
前記芳香族系炭化水素樹脂としては、例えば、ビニルトルエン、インデン、α−メチルスチレンなどの炭素数8〜10のビニル芳香族炭化水素を少なくとも一種含有する留分を重合して得られる樹脂、該留分と前記脂肪族炭化水素留分を共重合して得られる樹脂などを挙げることができる。
【0013】
前記ポリテルペン系樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体、テルペン・フェノール共重合体、α−ピネン・フェノール共重合体、これらの水素添加物などを挙げることができる。
前記ロジン類としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油などのロジン及びその変性物などであり、変性物としては水素添加、不均化、二量化、エステル化などの変性を施したものを例示できる。
前記スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、イソプロピルトルエンなどのスチレン系単量体を重合して得られる分子量の低い樹脂状重合体を挙げることができる。
本発明に係る粘着付与剤(s3)としては、軟化点が85〜130℃の樹脂が好ましい傾向がある。軟化点は、一般的に85℃以上であると耐熱性に優れた効果を発揮する傾向があり、130℃以下であると粘着性に優れた効果を発揮する傾向がある
【0014】
《ブロッキング防止剤》
本発明に係るシール層を形成する組成物(S)に含まれる成分の一つであるブロッキング防止剤は、通常フィルムなどに添加してブロッキングを防止する添加剤であれば、特に限定はなく、種々公知のブロッキング防止剤を用い得る。
本発明に係るブロッキング防止剤としては、具体的には、例えば、タルク、珪藻土、炭酸カルシウム、長石類、石英類、シリカ、アルミノ珪酸塩などが挙げられる。
【0015】
《滑剤》
本発明に係るシール層を形成する組成物(S)に含まれる成分の一つである滑剤は、熱可塑性樹脂を用いてフィルムを成形する際に、押出加工等の加工性、離ロール性、フィルム滑り性などを改良するために用いる添加剤であり、種々公知の滑剤を用い得る。
本発明に係る滑剤は、具体的には、例えば、パルチミン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイルパルミドアミド、ステアリルパルミドアミド、メチレンビスステアリルアミド、メチレンビスオレイルアミド、エチレンビスオレイルアミド、エチレンビスエルカ酸アミドなどの各種アミド類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、水添ひまし油、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス等などが挙げられる。
【0016】
〈組成物(S)〉
本発明のカバーテープ用シーラントフィルムのシール層を形成する組成物(S)は、前記エチレン・酢酸ビニル共重合体(s1)を42〜75質量%、好ましくは45〜70質量%、前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(s2)を15〜40質量%、好ましくは20〜40質量%、前記粘着付与剤(s3)を6〜18質量%、好ましくは7〜15質量%〔但し、(s1)+(s2)+(s3)=100質量%とする。〕含み、(s1)+(s2)+(s3)=100質量部に対して、前記ブロッキング防止剤を0.1〜10質量部、好ましくは3〜7質量部及び前記滑剤を0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜1質量部含む組成物である。
エチレン・酢酸ビニル共重合体(s1)の量が42質量%未満の組成物を用いた場合は、キャリアテープとのヒートシール性が低下する虞があり、一方、エチレン・酢酸ビニル共重合体(s1)の量が75質量%を超える組成物を用いた場合は、高温・高湿下(例えば60℃×90%RH)で保管された場合に、キャリアテープとのヒートシール強度が低下し、ヒートシール部の自然剥離が発生する虞がある。
ブロッキング防止剤及び滑剤の含有量が前記範囲にある組成物(S)を用いることにより、未シール部分とキャリアテープが接している面とのブロッキングが減少し、且つ視認性が良好なカバーテープ用シーラントフィルムとなる。
ブロッキング防止剤が10質量部を超えると、視認性が悪化する虞がある。また、カバーテープ用シーラントフィルム成形時に、目脂の原因となる凝集物になりやすく、成形機のロールの汚れの原因となったり、カバーテープ用シーラントフィルム上に目脂筋ムラが発生し、該カバーテープ用シーラントフィルムを用いて作成したカバーテープとキャリアテープとのヒートシール性が阻害されたりする虞がある。一方、滑剤が5質量部を超えると、カバーテープ用シーラントフィルム表面にブリードアウトすることによる成形機のロールの汚れ、滑りすぎによるフィルムの巻きズレ、キャリアテープとのヒートシール性への阻害、カバーテープとキャリアテープによって封入された電子部品などへの付着など、フィルム成形性やカバーテープとしての性能に影響を及ぼす虞がある。
本発明に係る組成物(S)には、本発明のカバーテープ用シーラントフィルム及びカバーテープとしての特性を損なわない範囲で各種添加剤を配合することができる。
かかる添加剤として、酸化防止剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、防曇剤、塩酸吸収剤、顔料、染料等を挙げることができる。
【0017】
<中間層>
《エチレン・酢酸ビニル共重合体(c1)》
本発明のカバーテープ用シーラントフィルムの中間層を形成する組成物(C)に含まれる成分の一つであるエチレン・酢酸ビニル共重合体(c1)は、酢酸ビニル含有量が15〜28質量%、好ましくは18〜25質量%の範囲にあるエチレン・酢酸ビニル共重合体である。
酢酸ビニル含有量が15質量%未満のエチレン・酢酸ビニル共重合体を中間層に用いた場合、得られるカバーテープ用シーラントフィルムを用いて作成したカバーテープは、キャリアテープとのヒートシール強度が低下する虞がある。一方、酢酸ビニル含有量が28質量%を超えるエチレン・酢酸ビニル共重合体を中間層に用いた場合は、得られるカバーテープ用シーラントフィルムを用いて作成したカバーテープは高温・高湿下(例えば60℃×90%RH)で保管された場合に、キャリアテープとのヒートシール強度が低下する虞がある。
本発明に係るエチレン・酢酸ビニル共重合体(c1)は、少なくともエチレンと酢酸ビニルとが共重合した共重合体であり、場合により他のモノマーが更に重合されてもよい。
本発明に係るエチレン・酢酸ビニル共重合体(c1)は、通常、ASTM D 1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が、0.5〜35g/10分、好ましくは1〜20g/10分の範囲にある。
【0018】
《粘着付与剤(c3)》
本発明のカバーテープ用シーラントフィルムの中間層を形成する組成物(C)に含まれる成分の一つである粘着付与剤(c3)は、前記本発明に係るシール層を形成する組成物(S)に含まれる成分の一つである粘着付与剤(s3)と同じ範疇の粘着付与剤である。粘着付与剤(c3)と粘着付与剤(s3)は同一の粘着付与剤であっても、異なる粘着付与剤であってもよい。
【0019】
〈組成物(C)〉
本発明のカバーテープ用シーラントフィルムの中間層を形成する組成物(C)は、前記エチレン・酢酸ビニル共重合体(c1)を85〜97質量%、好ましくは86〜95質量%、及び前記粘着付与剤(c3)を3〜15質量%、好ましくは5〜14質量%〔但し、(c1)+(c3)=100質量%とする。〕の範囲で含む組成物である。
本発明に係る組成物(C)は、前記エチレン・酢酸ビニル共重合体(c1)などが前記範囲にあることにより、本発明に係る組成物(C)を中間層に用いてなるカバーテープ用シーラントフィルムは、高温・高湿下(例えば60℃×90%RH)で保管された場合においても、キャリアテープとの十分なヒートシール強度が得られ、自然剥離しにくく、ヒートシール強度の変化も少ないカバーテープ用シーラントフィルムが得られる。
【0020】
本発明に係る組成物(C)は、前記エチレン・酢酸ビニル共重合体(c1)及び前記粘着付与剤(c3)に加え、前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(s2)を15質量%以下の範囲で含んでいてもよい。
本発明に係る組成物(C)には、前記滑剤を組成物(C):100質量部に対して、0.1〜1質量部の範囲で含有させておいてもよい。滑剤の量が前記範囲にあると、シール層に含有されている滑剤の中間層側への移行を抑制することができ、カバーテープ用シーラントフィルム表面側にブリードアウトしやすくすることにより、適度なフィルム滑り性が得られ、カバーテープ用シーラントフィルムの成形時の生産効率をあげることができる。
本発明に係る組成物(C)は、本発明のカバーテープ用シーラントフィルム及びカバーテープとしての特性を損なわない範囲で各種添加剤を配合することができる。
かかる添加剤として、前記ブロッキング防止剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、防曇剤、塩酸吸収剤、顔料、染料等を挙げることができる。
【0021】
<ラミネート層>
《エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)》
本発明のカバーテープ用シーラントフィルムのラミネート層を構成するエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)は、密度が910〜945g/cm、好ましくは930〜940g/cmの範囲にあるエチレンと炭素数3以上、好ましくは4〜10のα−オレフィンとの共重合体であり、通常、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び中密度ポリエチレン(MDPE)として製造販売されているエチレン系重合体である。
本発明に係るエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)としては、例えば、エチレン・1−ブテンランダム共重合体、エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体、エチレン・1−オクテンランダム共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体などが挙げられる。
【0022】
本発明に係るエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)のMFR〔ASTM D 1238、温度:190℃、荷重:2.16kg〕は、フィルム形成能がある限り特に限定はされないが、通常、1〜10g/10分、好ましくは1〜5g/10分の範囲にある。
本発明に係るエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)には、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L):100質量部に対して、前記ブロッキング防止剤を0.1〜1質量部及び前記滑剤を0.1〜0.5質量部の範囲で含有させておいてもよい。ブロッキング防止剤及び滑剤の含有量が前記範囲にあると、得られるカバーテープ用シーラントフィルムは、ブロッキングの発生防止効果が高くなるので、高速フィルム成形における生産効率をあげることができる。
本発明に係るエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)は、本発明のカバーテープ用シーラントフィルム及びカバーテープとしての特性を損なわない範囲で各種添加剤を配合することができる。
かかる添加剤として、前記滑剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、防曇剤、塩酸吸収剤、顔料、染料等を挙げることができる。
【0023】
<カバーテープ用シーラントフィルム>
本発明のカバーテープ用シーラントフィルムは、前記組成物(S)からなるシール層、前記組成物(C)からなる中間層、及び前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)からなるラミネート層からなる、シール層、中間層及びラミネート層が順次積層されてなる多層構造を有する。
本発明のカバーテープ用シーラントフィルムは、中間層に、酢酸ビニル含有量が15〜25質量%のエチレン・酢酸ビニル共重合体(c1)を含む層を有するので、カバーテープ用シーラントフィルムのラミネート層に基材層が積層されてなるカバーテープを作成し、キャリアテープとヒートシールした際、キャリアテープとの十分なヒートシール強度が得られ、ヒートシール強度の温度依存性に優れる。また、高温・高湿下(例えば60℃×90%RH)で保管された場合においても、自然剥離しにくく、ヒートシール強度の変化も少ないカバーテープ用シーラントフィルムが得られる。
【0024】
本発明のカバーテープ用シーラントフィルムは、ラミネート層の表面にコロナ処理、火炎処理等の表面処理を施してもよい。表面処理を施すことにより、本発明のカバーテープ用シーラントフィルムと他の層とのラミネート強度を向上させることができる。ドライラミネートを行う場合は、表面処理を施すことがより好ましい。
本発明のカバーテープ用シーラントフィルムのラミネート層はエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)からなるので、表面処理を施した場合、一般にドライラミネート強度を安定して保持できる濡れ張力(36mN/m以上)を保持することができるため、カバーテープを構成する基材層と、押出ラミネート法だけでなくドライラミネート法も可能なカバーテープ用シーラントフィルムが得られる。
本発明のカバーテープ用シーラントフィルムは、シール層の厚さが、通常、1〜10μm、好ましくは3〜10μm、中間層の厚さが、通常、8〜80μm、好ましくは14〜80μm、及びラミネート層の厚さが、通常、1〜10μm、好ましくは3〜10μmの範囲にあり、全体の厚さが通常10〜100μm、好ましくは20〜50μmの範囲にある。
【0025】
<カバーテープ用シーラントフィルムの製造方法>
本発明のカバーテープ用シーラントフィルムは、種々公知のフィルム成形方法を採用し得る。その際、前記組成物(S)を用いてシール層となるフィルム、前記組成物(C)を用いて中間層となるフィルム、及び前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)を用いてラミネート層となるフィルムを予め成形した後、中間層を介して、シール層とラミネート層を貼り合わせる方法、前記組成物(S)を用いてシール層となるフィルムを形成した後、当該シール層上に、前記組成物(C)及び前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)を順次押出ラミネートする方法、あるいは、三層構造を有する多層ダイを備えたフィルム成形装置を用いて、前記組成物(S)、前記組成物(C)及び前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)を共押出して組成物(S)/組成物/エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)からなる多層フィルムからなるカバーテープ用シーラントフィルムを得る方法を得る方法などを例示できる。これら製造方法の中でも、生産性の観点から共押出成形が好ましい。また、共押出成形の中でも、厚薄精度の観点からT−ダイを使用した成形がより好ましい。
【0026】
<カバーテープ>
本発明のカバーテープは、前記カバーテープ用シーラントフィルムのラミネート層に基材層が積層されてなる。
本発明のカバーテープを構成する基材層としては、カバーテープとして使用可能なものであれば特に制限されない。
使用可能な基材層の例としては、熱可塑性樹脂からなるシート状またはフィルム状のもの、紙、アルミニウム箔等からなる。熱可塑性樹脂としては、種々公知の熱可塑性樹脂、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル・1−ペンテン、ポリブテン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、あるいはこれらの混合物などを例示することができる。
【0027】
基材層は、無延伸フィルムであってもよいし、一軸または二軸方向に延伸されたフィルムであってもよい。さらに、熱可塑性樹脂フィルムは、それにアルミニウムや亜鉛等の金属、シリカや酸化アルミニウムのような酸化物あるいは無機物を蒸着したフィルムであってもよい。さらに、それらを組み合わせた複合体や積層体であってもよい。
これら基材層の中でも、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートが透明性、耐熱性に優れるので好ましい。また、ナイロンは柔軟性があり、細いカバーテープをキャリアテープから剥離した際に、カバーテープが切れにくいので好ましい。
本発明のカバーテープ用シーラントフィルムと基材層とを積層する方法としては、カバーテープ用シーラントフィルムと基材層の間に溶融した低密度ポリエチレン(LDPE)などの樹脂を流し込んで積層する押出ラミネート法、基材層に接着剤を均一に塗布し、乾燥させた後、カバーテープ用シーラントフィルムを張り合わせるドライラミネート法があり、どちらの方法でもラミネート加工ができる。また、基材層とカバーテープ用シーラントフィルムを直接押出し、ラミネート加工してもよい。
【0028】
<包装体>
本発明の包装体は、電子部品が収納された電子部品搬送用エンボスキャリアテープが、前記本発明のカバーテープでヒートシールされてなる。
本発明に係るエンボスキャリアテープは、例えば、ポリスチレンやポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの材質、厚み、エンボスの形状、大きさ、ヒートシールする巾等、特に制限されるものではなく、電子部品が収納された電子部品搬送用エンボスキャリアテープと前記本発明のカバーテープでヒートシールされてなる包装体であればよい。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
本発明の実施例及び比較例で使用する重合体等を以下に示す。
(1)エチレン・酢酸ビニル共重合体(s1)
酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量:
6質量%、MFR:7.5g/10分(s1−1)。
酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量:
16質量%、MFR:2.7g/10分(s1−2)。
(2)エチレン・酢酸ビニル共重合体(c1)
酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量:
19質量%、MFR:15g/10分(c1−1)。
(3)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(s2)
エチレン・1−ブテンランダム共重合体(EBR):
エチレン含有量;89.1モル%、結晶化度:10%、密度:886kg/m、MFR:4.0g/10分(s2−1)。
(4)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L)
エチレン・4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体(L−LDPE):
密度;935kg/m、MFR;2.3g/10分、融点;124℃(L−1)。
【0030】
(5)粘着付与剤(s3、c3)
水素化芳香族炭化水素樹脂(荒川化学工業(株)製、商品名:
アルコンP115、環球法軟化点115℃)(s3−1、c3−1)。
(6)ブロッキング防止剤(AB剤):
アルミノ珪酸塩(水澤化学工業(株)製、商品名:シルトンJC−50)
(7)滑剤
(7−1):エルカ酸アミド(滑剤−1)
(7−2):ポリエチレングリコール(PEG4000、日油(株)製)(滑剤−2)
(7−3):エチレンビスオレイン酸アミド(滑剤−3)
本発明の実施例及び比較例で得られたカバーテープ用シーラントフィルムの物性は、以下の方法で測定及び評価した。
【0031】
<カバーテープ用シーラントフィルムの製造>
シール層組成物(S)、中間層組成物(C)、ラミネート層組成物(L)を夫々別々の押出機に供給し、Tダイ法によってシール層/中間層/ラミネート層=3.9μm/22.2μm/3.9μmの3層構成で、総厚30μmの共押出フィルムを得た。次いで、3層共押出フィルムのラミネート層に、製膜直後43mN/m以上の濡れ張力となるようにコロナ処理を施して、カバーテープ用シーラントフィルムを得た。
【0032】
<カバーテープの製造>
カバーテープ用シーラントフィルムのヒートシール強度を評価するために、ドライラミネート法により、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)のコロナ処理を施した面にウレタン系接着剤をコートし、ウレタン系接着剤面と前記で得られたカバーテープ用シーラントフィルムのコロナ処理を施したラミネート層を貼り合わせて積層したカバーテープを得た。
【0033】
<カバーテープ用シーラントフィルムの評価>
得られたカバーテープ用シーラントフィルムをA4の大きさにカットして40℃の恒温槽内に静置し、20日経過後に取り出し、ラミネート層の濡れ張力の経時変化を確認した。また、一部のカバーテープ用シーラントフィルムについては、1日経過後からの経時変化も確認した。
40℃の環境下において、20日経過後もドライラミネート強度を安定して保持できる36mN/m以上の濡れ張力を保持しているものを○、35mN/m以下に低下したものを×とした。
【0034】
<カバーテープとキャリアテープとのヒートシール性能評価>
キャリアテープとして、厚さ300μmのポリスチレンキャリアテープ(電気化学工業(株)製、銘柄名:CST−2401)を用いた。
【0035】
ついで、前記のカバーテープのシール層(カバーテープ用シーラントフィルムのシール層)とキャリアテープを重ね合わせ、120℃、140℃、160℃の温度で、長さ32mm×幅0.5mm×2本のシールバーを用い、2kgfの圧力で1回ヒートシールした後、該キャリアテープ及びカバーテープを電子部品が収容される方向に16mmずらしながら、各温度にて約40cmずつ連続的にシールしたヒートシールサンプルを2部作成した。即ち、ヒートシール末端部以外、同箇所に2回ヒートシールを行ったことになる。
【0036】
キャリアテープに電子部品などを収納し、カバーテープでヒートシールされたサンプルは、実用上はリール状で巻かれて搬送されるので、1部ずつ3インチ紙管に巻きつけることによりカバーテープにテンションをかけた状態で、粘着テープで必要箇所を留めた。
その後、2部作成したヒートシールサンプルの1部を23℃×50%RHの室内に1日間静置:(条件a)、残りの1部を60℃×90%RHの恒温恒湿槽内に7日間静置(エージング):(条件b)した。
【0037】
(1)ヒートシール強度(条件a)
(条件a)にて静置した、各ヒートシール温度あたり約40cmのヒートシールサンプルを3等分に切ることによりn=3のヒートシール強度測定用サンプルを得た。剥離速度300mm/min、剥離角度170°にて、長手方向にヒートシール部を剥離した。ヒートシール端部から剥離する際、剥離開始直後はヒートシール強度が不安定であるため、剥離開始直後4秒間はヒートシール強度として考慮せず、剥離開始後4秒後以降から10秒間剥離したヒートシール強度の平均値をn=1の平均値とした。得られたn=3の平均値から、さらに平均値を算出し、剥離強度(ヒートシール強度)(N/(0.5mm×2))とした。
ヒートシール温度120℃、140℃、160℃の全ての温度にてヒートシール強度が0.3〜0.9N/(0.5mm×2)の範囲にあるものを○とした。ヒートシール温度120℃、140℃、160℃の全ての温度にてヒートシール強度が0.2〜1.0N/(0.5mm×2)の範囲にあるものを△とした。ヒートシール温度120℃、140℃、160℃のいずれかのヒートシール温度にて0.2N/(0.5mm×2)未満または1.0N/(0.5mm×2)より高いヒートシール強度を示すものを×とした。
(2)高温・高湿度下保管後のヒートシール強度(条件b)
(条件b)にて静置したヒートシールサンプルを取り出し、23℃×50%RHの室内に10分〜30分放置後、前記(条件a)と同様にヒートシール強度を測定し、評価した。
(3)(条件a)と(条件b)のヒートシール強度差Δ
(条件a)と(条件b)のヒートシール強度を比較し±0.1N/(0.5mm×2)以内の強度差を○、±0.3N/(0.5mm×2)以内の強度差を△、±0.3N/(0.5mm×2)より大きな強度差があるものを×とした。
【0038】
(4)高温・高湿度下保管後のヒートシール部の自然剥離
(条件b)にて静置したサンプルにて、ヒートシール端部での自然剥離の発生の有無を確認した。ヒートシール端部で自然剥離が無いまたは10mm以内の自然剥離があるがカバーテープとして支障が無く使用できると判断できるものを○、ヒートシール端部で10mmより自然剥離があるものを×とした。
(5)未シール部分のブロッキング
(条件b)にて静置したサンプルにて、剥離したカバーテープのシール層面の外観を観察し、未シール部分のブロッキング状態を確認した。未シール部分とエンボスキャリアテープが接している面とのブロッキングがなく、ヒートシール強度に影響がないものを○とした。部分的に点状にブロッキングがあるが、ヒートシール強度に影響が少ないものを△とした。全面状にブロッキングがあり、ヒートシール強度に影響するものを×とした。
【0039】
(7)総合評価
総合的な評価としては、(条件a)におけるヒートシール強度、高温・高湿度下におけるヒートシール強度変化、ヒートシール部分の自然剥離やキャリアテープと未シール部分とのブロッキング状態、ドライラミネート強度を安定して保持できる濡れ張力などの性能を判断し、全ての性能においてカバーテープとして適切なものを○、個々の性能において、劣ってはいるがカバーテープとして実用上使用可能範囲にあるものを△とした。また、個々の性能においてカバーテープとして欠点があり、実用上使用不可能なものを×とした。
【0040】
〔実施例1〕
<カバーテープ用シーラントフィルムの作成>
シール層用組成物として、予め前記s1−1、s1−2、s2−1、s3−1、ブロッキング防止剤(AB剤)、及び滑剤(滑剤−1、滑剤−2、滑剤−3)を表1に記載の配合量で混練したシール層用組成物(S−1)を、中間層用組成物として、予め前記c1−1、c3−1、AB剤及び滑剤を表1に記載の配合量で混練した中間層用組成物(C−1)を、ラミネート層用組成物として、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(L−1)を用意し、当該組成物などを、夫々別々の押出機に供給し、Tダイ法によってシール層/中間層/ラミネート層となる構成の3層共押出フィルムを得た。次いで、3層共押出フィルムのラミネート層に、製膜直後に43mN/m以上の濡れ張力となるようにコロナ処理を施して、カバーテープ用シーラントフィルムを得た。
得られたカバーテープ用シーラントフィルムの総厚は30μmで、各層の厚みはシール層/中間層/ラミネート層=3.9μm/22.2μm/3.9μmであった。
得られたカバーテープ用シーラントフィルムとカバーテープの物性を前記方法で測定した。結果を表1に示す。
【0041】
〔実施例2〕
中間層用組成物として、予め前記c1−1、c3−1、AB剤及び滑剤を表1に記載の配合量で混練した中間層用組成物C−2を用いた以外、実施例1と同様の製造方法によりカバーテープ用シーラントフィルムを作成した。
得られたカバーテープ用シーラントフィルムとカバーテープの物性を前記方法で測定した。結果を表1に示す。
【0042】
〔実施例3〕
シール層用組成物として、予め前記s1−1、s1−2、s2−1、s3−1、AB剤、及び滑剤を表1に記載の配合量で混練したシール層用組成物S−2を用い、中間層用組成物として、実施例2で用いた組成物C−2を用いた以外、実施例1と同様の製造方法によりカバーテープ用シーラントフィルムを作成した。
得られたカバーテープ用シーラントフィルムとカバーテープの物性を前記方法で測定した。その結果を表1と表5に示す。
【0043】
〔実施例4〕
シール層用組成物として、予め前記s1−1、s1−2、s2−1、s3−1、AB剤、及び滑剤を表1に記載の配合量で混練したシール層用組成物S−3を用い、中間層用組成物として、実施例2で用いた組成物C−2を用いた以外、実施例1と同様の製造方法によりカバーテープ用シーラントフィルムを作成した。
得られたカバーテープ用シーラントフィルムとカバーテープの物性を前記方法で測定した。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
〔実施例5〕
シール層用組成物として、予め前記s1−1、s1−2、s2−1、s3−1、AB剤、及び滑剤を表2に記載の配合量で混練したシール層用組成物S−4を用い、中間層用組成物として、実施例2で用いた組成物C−2を用いた以外、実施例1と同様の製造方法によりカバーテープ用シーラントフィルムを作成した。
得られたカバーテープ用シーラントフィルムとカバーテープの物性を前記方法で測定した。結果を表2に示す。
【0046】
〔実施例6〕
シール層用組成物として、実施例5で用いた組成物S−4を用い、中間層用組成物として、実施例2で用いた組成物C−2を用い、ラミネート層用組成物として、予め前記L−1とAB剤を表2に記載の配合量で混練したラミネート層用組成物を用いた以外、実施例1と同様の製造方法によりカバーテープ用シーラントフィルムを作成した。
得られたカバーテープ用シーラントフィルムとカバーテープの物性を前記方法で測定した。結果を表2と表5に示す。
【0047】
〔実施例7〕
シール層用組成物として、実施例5で用いた組成物S−4を用い、中間層用組成物として、予め前記c1−1、c3−1、AB剤及び滑剤を表2に記載の配合量で混練したC−3を用い、ラミネート層用組成物として、実施例6で用いた組成物を用いた以外、実施例1と同様の製造方法によりカバーテープ用シーラントフィルムを作成した。
得られたカバーテープ用シーラントフィルムとカバーテープの物性を前記方法で測定した。結果を表2に示す。
【0048】
〔実施例8〕
シール層用組成物として、実施例5で用いた組成物S−4を用い、中間層用組成物として、予め前記c1−1、c3−1、AB剤及び滑剤を表2に記載の配合量で混練したC−4を用い、ラミネート層用組成物として、実施例6で用いた組成物を用いた以外、実施例1と同様の製造方法によりカバーテープ用シーラントフィルムを作成した。
得られたカバーテープ用シーラントフィルムとカバーテープの物性を前記方法で測定した。結果を表2に示す。
【0049】
〔実施例9〕
シール層用組成物として、実施例5で用いた組成物S−4を用い、中間層用組成物として、予め前記c1−1、c3−1、AB剤及び滑剤を表2に記載の配合量で混練したC−5を用い、ラミネート層用組成物として、実施例6で用いた組成物を用いた以外、実施例1と同様の製造方法によりカバーテープ用シーラントフィルムを作成した。
得られたカバーテープ用シーラントフィルムとカバーテープの物性を前記方法で測定した。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
〔比較例1〕
シール層用組成物、中間層用組成物及びラミネート層用組成物として、予め前記s1−1、s1−2、s2−1、s3−1、AB剤、及び滑剤を表3に記載の配合量で混練した組成物S−1(実施例1で用いた、表1に記載の配合量で混練した組成物S−1)を用いた以外、実施例1と同様の製造方法によりカバーテープ用シーラントフィルムを作成した。
得られたカバーテープ用シーラントフィルムとカバーテープの物性を前記方法で測定した。結果を表4と表5に示す。
【0052】
〔比較例2〕
シール層用組成物及び中間層用組成物として、比較例1で用いた組成物S−1を用い、ラミネート層用組成物として、前記c1−1を用いた以外、実施例1と同様の製造方法によりカバーテープ用シーラントフィルムを作成した。
得られたカバーテープ用シーラントフィルムとカバーテープの物性を前記方法で測定した。結果を表4に示す。
【0053】
〔比較例3〕
シール層用組成物として、比較例1で用いた組成物S−1を用い、中間層用組成物として、前記c1−1を用いた以外、実施例1と同様の製造方法によりカバーテープ用シーラントフィルムを作成した。
得られたカバーテープ用シーラントフィルムとカバーテープの物性を前記方法で測定した。結果を表4に示す。
【0054】
〔比較例4〕
シール層用組成物として、比較例1で用いた組成物S−1を用い、中間層用組成物として、予め前記c1−1、c3−1、AB剤及び滑剤を表3に記載の配合量で混練した中間層用組成物C−6を用いた以外、実施例1と同様の製造方法によりカバーテープ用シーラントフィルムを作成した。
得られたカバーテープ用シーラントフィルムとカバーテープの物性を前記方法で測定した。結果を表4に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】

【0057】
【表5】
【0058】
表1及び表2に示すように、実施例1〜9で得られたカバーテープ用シーラントフィルムは、シール層組成物(S)に加えて中間層組成物(C)を用いることによって、カバーテープとして、キャリアテープとのヒートシール強度の温度依存性が少なく、高温・高湿度下でもヒートシール強度変化の少ないものが得られた。また、高温・高湿度下におけるヒートシール部分の自然剥離や、未シール部分とキャリアテープが接している面のブロッキングも改善できた。更に、表5に示すように、ラミネート層組成物(L)を用いることによって、実施例3及び6でラミネート層の濡れ張力は36mN/m以上を保ち、カバーテープを製造する上で、押出ラミネートやドライラミネートなど加工適正を選ばないカバーテープ用シーラントフィルムを得ることができた。
【0059】
一方、比較例1〜4で得られたカバーテープ用シーラントフィルムは、表4から明らかなように、全ての評価結果を満足するものは得られなかった。さらに表5に示すように比較例1ではラミネート層の濡れ張力の低下が大きいことがわかった。