特許第6231921号(P6231921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231921
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両のフロントカウル構造
(51)【国際特許分類】
   B62J 17/00 20060101AFI20171106BHJP
   B62J 6/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   B62J17/00 A
   B62J6/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-64737(P2014-64737)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-186953(P2015-186953A)
(43)【公開日】2015年10月29日
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089509
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 清光
(72)【発明者】
【氏名】金井 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩平
(72)【発明者】
【氏名】井崎 剛至
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−51576(JP,A)
【文献】 特開2002−79966(JP,A)
【文献】 特開2014−12523(JP,A)
【文献】 特開2013−75590(JP,A)
【文献】 特開2012−71700(JP,A)
【文献】 特開2011−189797(JP,A)
【文献】 特開平6−298144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 17/00
B62J 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に設けられてヘッドライト(16)を支持するフロントカウル(15)と、このフロントカウルの側面に固定されるフロントウインカ(17)とを備え、フロントウインカ(17)がフロントカウル(15)の側面から車幅方向外方へ延出する支持腕部(37)の外方端部に支持されている鞍乗り型車両において、
前記フロントカウル(15)の側面の一部に、車幅方向外側へ突出するウインカ取付突部(35)を一体に設け、
このウインカ取付突部(35)へ前記支持腕部(37)の内方端部を結合するとともに、
前記フロントカウル(15)と別体に形成され、このフロントカウル(15)の側面を覆うガーニッシュ(31)を備え、
このガーニッシュ(31)に貫通穴(36)を設けて、この貫通穴(36)から前記ウインカ取付突部(35)を外側へ突出させ、
前記フロントカウル(15)と前記支持腕部(37)を同色としたことを特徴とする鞍乗り型車両のフロントカウル構造。
【請求項2】
前記ウインカ取付突部(35)は筒状をなし、その内側にウインカ締結部材(38)が収容され、
前記ウインカ取付突部(35)のフロントカウル(15)側面からの最大突出量(H1)は、前記ウインカ締結部材(38)の締結軸方向の高さ(H2)と同等であり、内径は前記ウインカ締結部材(38)の外径と同等以上であることを特徴とする請求項1に記載した鞍乗り型車両のフロントカウル構造。
【請求項3】
前記支持腕部(37)は筒状をなし、その車幅方向内方端部の外径が、前記ウインカ取付突部(35)の外方端部における外径と同等であることを特徴とする請求項2に記載した鞍乗り型車両のフロントカウル構造。
【請求項4】
車両の前部に設けられてヘッドライト(16)を支持するフロントカウル(15)と、このフロントカウルの側面に固定されるフロントウインカ(17)とを備え、フロントウインカ(17)がフロントカウル(15)の側面から車幅方向外方へ延出する支持腕部(37)の外方端部に支持されている鞍乗り型車両において、
前記フロントカウル(15)の側面の一部に、車幅方向外側へ突出するウインカ取付突部(35)を一体に設け、
このウインカ取付突部(35)へ前記支持腕部(37)の内方端部を結合するとともに、
前記ウインカ取付突部(35)は筒状をなし、その内側にウインカ締結部材(38)が収容され、
前記ウインカ取付突部(35)のフロントカウル(15)側面からの最大突出量(H1)は、前記ウインカ締結部材(38)の締結軸方向の高さ(H2)と同等であり、内径は前記ウインカ締結部材(38)の外径と同等以上であることを特徴とする鞍乗り型車両のフロントカウル構造。
【請求項5】
前記支持腕部(37)は筒状をなし、その車幅方向内方端部の外径が、前記ウインカ取付突部(35)の外方端部における外径と同等であることを特徴とする請求項に記載した鞍乗り型車両のフロントカウル構造。
【請求項6】
前記ウインカ取付突部(35)の後方となる前記フロントカウル(15)の側面には、ウインカ後方整流面(31a)が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載した鞍乗り型車両のフロントカウル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鞍乗り型車両のフロントカウル構造に係り、特に、フロントカウルの側面にフロントウインカを支持するものに関する。
【背景技術】
【0002】
車両前部のフロントフォーク前方にヘッドライトを支持したフロントカウルを配置し、その左右にフロントウインカを配置するとともに、フロントカウル及びフロントウインカをフロントフォークに固定されたステイに支持させ、さらにフロントカウルの平坦な側面のうちフロントウインカより後方部分に、フロントウインカの支持部を内外へ通すため前方へ大きく湾入させて切り欠き状に形成したウインカ逃げ凹部(一例を本願の図2中に符号50で示す)を設けたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−108972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フロントカウルの側面に上記のようなウインカ逃げ凹部を設けると、フロントウインカ後方の整流面が無くなるため、整流効果が低下する。このような整流面積の減少を防ぐためには、フロントウインカをステイでなく、フロントカウルの側面へ直接支持させてウインカ逃げ凹部を設けないようにすることが考えられる。
しかし、特許文献1のようなフロントカウルの平板な側面へフロントウインカを直接支持させるとすれば、フロントカウルにウインカ逃げ凹部が無くなって整流効果が向上するが、フロントカウルが樹脂製であるため、フロントウインカを取付ける部分の剛性を高くするためには部分的に肉厚を上げたり、金属製の補強板を追加する等、重量及びコストの上がる対応が必要になった。
そこで、このような重量及びコスト増を招かないフロントウインカの支持構造が望まれており、本願はこの要請を実現するものである。

【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため請求項1に記載した発明は、
車両の前部に設けられてヘッドライト(16)を支持するフロントカウル(15)と、このフロントカウルの側面に固定されるフロントウインカ(17)とを備え、フロントウインカ(17)がフロントカウル(15)の側面から車幅方向外方へ延出する支持腕部(37)の外方端部に支持されている鞍乗り型車両において、
前記フロントカウル(15)の側面の一部に、車幅方向外側へ突出するウインカ取付突部(35)を一体に設け、
このウインカ取付突部(35)へ前記支持腕部(37)の内方端部を結合したことを特徴とする。
【0006】
さらに、前記フロントカウル(15)と別体に形成され、このフロントカウル(15)の側面を覆うガーニッシュ(31)を備え、
このガーニッシュ(31)に貫通穴(36)を設けて、この貫通穴(36)から前記ウインカ取付突部(35)を外側へ突出させるとともに、
前記フロントカウル(15)と前記支持腕部(37)を同色としたことを特徴とする。
【0007】
請求項に記載した発明は、上記請求項において、前記ウインカ取付突部(35)は筒状をなし、その内側にウインカ締結部材(38)が収容され、
前記ウインカ取付突部(35)のフロントカウル(15)側面からの最大突出量(H1)は、前記ウインカ締結部材(38)の締結軸方向の高さ(H2)と同等であり、内径は前記ウインカ締結部材(38)の外径と同等以上であることを特徴とする。
【0008】
請求項に記載した発明は、上記請求項において、前記支持腕部(37)は筒状をなし、その車幅方向内方端部の外径が、前記ウインカ取付突部(35)の外方端部における外径と同等であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した発明は、車両の前部に設けられてヘッドライト(16)を支持するフロントカウル(15)と、このフロントカウルの側面に固定されるフロントウインカ(17)とを備え、フロントウインカ(17)がフロントカウル(15)の側面から車幅方向外方へ延出する支持腕部(37)の外方端部に支持されている鞍乗り型車両において、
前記フロントカウル(15)の側面の一部に、車幅方向外側へ突出するウインカ取付突部(35)を一体に設け、
このウインカ取付突部(35)へ前記支持腕部(37)の内方端部を結合するとともに、
前記支持腕部(37)は筒状をなし、その車幅方向内方端部の外径が、前記ウインカ取付突部(35)の外方端部における外径と同等であることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、上記請求項4項において、前記支持腕部(37)は筒状をなし、その車幅方向内方端部の外径が、前記ウインカ取付突部(35)の外方端部における外径と同等であることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、上記請求項4において、前記支持腕部(37)は筒状をなし、その車幅方向内方端部の外径が、前記ウインカ取付突部(35)の外方端部における外径と同等であることを特徴とする。
請求項に記載した発明は、上記請求項1〜のいずれか1項において、前記ウインカ取付突部(35)の後方となる前記フロントカウル(15)の側面には、ウインカ後方整流面(31a)が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、フロントウインカは、車幅方向内方へ延びる支持腕部の内方端部を、フロントカウルの側面に設けられたウインカ取付突部へ結合することにより、フロントカウル側面へ固定されるので、従来のようなウインカ逃げ凹部が不要になり、少なくともウインカ逃げ凹部に相当する分だけ整流面積が大きくなって整流効果が向上する。
また、ウインカ取付突部は、フロントカウルの側面の一部を車幅方向外側へ一体に突出させたものであるため、この突出形状により剛性が上がる。その結果、肉厚を増大させたり、金属板で補強すること等を不要とするので、重量及びコスト増を抑制できる。
また、フロントカウルとフロントウインカの支持腕部が直接結合しているため、フロントカウルとフロントウインカの一体感が得られる。
そのうえ、ウインカ取付突部が車幅方向外側へ突出する分だけ、フロントウインカを車幅方向外方へ出すことができるので、フロントウインカに対する視認性が向上する。
【0011】
また、フロントカウルと別体に形成されてその側面に重なるガーニッシュを設け、このガーニッシュの貫通穴からウインカ取付突部を外側へ突出させたので、ガーニッシュを外観部材とし、かつ整流面とすることができる。しかもガーニッシュにはフロントウインカの荷重がかからないので、薄肉に成形可能となる。
また、フロントウインカの支持腕部とフロントカウルを同色(例えば、黒色)とし、その周りをガーニッシュで覆ったので、フロントウインカの支持腕部とフロントカウル各結合部との一体感を出して違和感を減少させることができるとともに、ガーニッシュによりツートンカラーなどの意匠的演出が容易になり、外観性を良好にすることができる。
【0012】
請求項2及び請求項4の発明によれば、ウインカ取付突部が筒状をなし、その内側にウインカ締結部材を収容するとともに、ウインカ取付突部の最大突出量をウインカ締結部材の締結軸方向の高さと同等とし、内径をウインカ締結部材の外径と同等以上としたので、ウインカ取付突部の筒状部内へウインカ締結部材全体を収容できる。このため、ウインカ締結部材がフロントカウル内へ突出しないので、ウインカ取付突部近傍のフロントカウル内における配線等の邪魔にならず、配線等の他部品の配置自由度が上がる。
【0013】
請求項3及び請求項5の発明によれば、筒状をなす支持腕部の車幅方向内方端部の外径と、同じく筒状をなすウインカ取付突部の外方端部における外径とが同じため、支持腕部とウインカ取付突部との結合部に段差が生じず、結合部の違和感が減少する。しかも、この結合部近傍における走行風の乱れを少なくすることができる。
【0014】
請求項の発明によれば、フロントカウルの側面において、ウインカ取付突部の後方となる部分にウインカ後方整流面を設けたので、フロントウインカ後方にフロントカウルの整流面積を拡大し、フロントカウルによる整流効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る自動2輪車の左側面図
図2図1のフロントカウル近傍部を拡大した図
図3】フロントカウル部分の正面図
図4】フロントカウル部分の平面図
図5図2の5−5線断面図
図6】フロントウインカの固定部を簡略断面にした組付図
図7図2の7−7線断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下一実施形態を図面に基づいて説明する。本願において、前後・左右の各方向は適用する車両を規準とし、図中に、前方をFr、左側をLH、右側をRH、内方をIN、外方をOUTとして矢示する
図1は本実施形態に係る自動2輪車の左側面図であり、車体フレーム10の前端部に設けられたヘッドパイプ11へ回動自在に支持されたフロントフォーク12の下端に前輪13が支持されている。前輪13はハンドル14により操舵される。フロントフォーク12の上部は、トップブリッジ40及びボトムブリッジ41(図2)を介してヘッドパイプ11へ回動自在に取付けられている。
【0017】
ヘッドパイプ11の前方にはフロントカウル15が支持され、このフロントカウル15の前面に形成された開口にヘッドライト16が臨んでいる。
ヘッドライト16の後方にはメータ18が配置され、ヘッドパイプ11側へ支持されている。メータ18の前方はスクリーン19で覆われている。スクリーン19はフロントカウル15の一部を構成する。
【0018】
車体フレーム10にはエンジン20が支持され、その上方には燃料タンク21が支持され、その後方にシート22が支持されている。
車体フレーム10の後部には、リヤスイングアーム23の前端が揺動自在に支持され、リヤスイングアーム23の後端には後輪24が支持されている。
【0019】
以下、フロントカウル15及びフロントウインカ17の取付構造について説明する。
図2〜5に示すように、フロントカウル15は、ヘッドライト16を囲むカウル本体部30と、その左右へ取付けられるガーニッシュ31と、ヘッドライト16の上部へ取付けられるスクリーン19と、これらが取付けられたカウル本体部30を支持するヘッドライトステイ32を備える。
【0020】
ヘッドライトステイ32は上部32aがトップブリッジ40へボルト42で取付けられ、下端部32bがボトムブリッジ41へボルト43で取付けられている(図2図5参照)。
ヘッドライト16、ガーニッシュ31及びスクリーン19の取付けられたカウル本体部30は、メータ18を支持しているヘッドライトステイ32に支持されている。ヘッドライトステイ32は上端部のメーターパネル33(図2図4参照)にてメータ18を収容して支持する。メーターパネル33はフロントカウル15の後側を覆うカウルリアカバーをなしている。
【0021】
スクリーン19は斜め上がり後方へ延出する整流面を有し、下端部はカウル本体部30の前面上部に重なって、ここで支持されている。
なお、フロントカウル15を構成する、スクリーン19、カウル本体部30、ガーニッシュ31及びヘッドライトステイ32並びにメーターパネル33は、いずれも樹脂製である。
【0022】
カウル本体部30は、ヘッドライト16を囲む枠形状をなし、ヘッドライトステイ32へ取付けられる。したがって、カウル本体部30はヘッドライトステイ32を介してフロントフォーク12へ支持され、フロントフォーク12と一体に回動する。
【0023】
カウル本体部30の左右両側部には、外方へ突出するウインカ取付ボス35が一体に形成されている。このウインカ取付ボス35は本願のウインカ取付突部に相当し、ガーニッシュ31に形成されたボス通し穴36を貫通して外方へ突出し、ここにフロントウインカ17の支持腕部37の車体内方端部が取付けられる。したがって、フロントウインカ17は、支持腕部37を介してフロントカウル15の側面へ直接取付けられて、フロントカウル15により支持される。
【0024】
このように、フロントカウル15の側面へウインカ取付ボス35を一体に突出形成することにより、フロントカウル15のウインカ取付ボス35近傍部における剛性を高くすることができ、フロントウインカ17をフロントカウル15の側面へ直接取付けることが可能になる。このため、フロントウインカ17の固定部となる部分の肉厚を増大させたり、金属板で補強すること等を不要にするので、重量及びコスト増を抑制できる。
しかも、ウインカ取付ボス35を外方へ突出させることにより、従来と同じ長さの支持腕部37であっても、フロントウインカ17は、より外側方へ配置されるから、視認性が向上する。
【0025】
図6に示すように、ウインカ取付ボス35は、中空の筒状をなし、その肉厚は連続する一般部の肉厚と同じである。ウインカ取付ボス35の中空部内にフロントウインカ17の支持腕部37を固定するための六角ナット38が収容されている。六角ナット38は本願のウインカ締結部材である。この六角ナット38には、フロントウインカ17の支持腕部37先端に設けられた植込ボルト39が締結される。
【0026】
ウインカ取付ボス35の最大突出量(ウインカ取付ボス35の基部となるフロントカウル15の内面からウインカ取付ボス35の突出端間の距離)H1は、六角ナット38の軸方向高さH2と同等以上である。
また、筒状をなす支持腕部37の車幅方向内方端部の外径R1と、同じく筒状をなすウインカ取付ボス35の外方端部における外径R2とがほぼ同径になっている。
【0027】
このように、支持腕部37とウインカ取付ボス35の結合部における各外径を同じにすると、支持腕部37とウインカ取付ボス35との結合部に段差が生じず、結合部の違和感が減少する。しかも、この結合部近傍における走行風の乱れを少なくすることができる。
【0028】
六角ナット38を収容する空間の幅であるウインカ取付ボス35の内径は、六角ナット38の外径と同等以上であり、六角ナット38の出し入れを容易にしている。このように、ウインカ取付ボス35の内部を六角ナット38と同等以上の大きさにすることで、六角ナット38はほぼ全体がウインカ取付ボス35内へ収容され、フロントカウル15の内面側へ突出していない。
【0029】
なお、図6は、ウインカ取付ボス35が円筒形をなすものとして模式的に示す断面であり、実際は図5に示すように、ウインカ取付ボス35が完全な円筒形でなく、周壁の突出高さが周方向に変化する不規則形状であり、かつ周壁が突出方向へ先細り状に若干傾斜している。しかし、図5もしくは図6及び図7のいずれにおいても明らかなように、ウインカ取付ボス35の内径が六角ナット38の外径よりも大きくなっており、ウインカ取付ボス35に対して六角ナット38の出し入れが容易な構造になっている。
【0030】
六角ナット38へ取付けられる植込ボルト39の先端も、フロントカウル15の内側へ突出しないように設定されている。植込ボルト39及び支持腕部37は中空にされ、この中空部内にフロントウインカ17から延出するウインカ用配線44が通っている。ウインカ用配線44は、ウインカ取付ボス35の内側開口35aからカウル本体部30の内側、すなわちフロントカウル15の内側空間へ入っている。
【0031】
フロントカウル15内側には各種のハーネスや電装部品等の多くの他部品が配置されている。図5中の符号45はメータ18等へ接続するハーネス、46は配線ジョイント部の防水ブーツである。
このように、六角ナット38や植込ボルト39をカウル本体部30の内側へ突出させないようにすると、ウインカ取付ボス35の近傍となるフロントカウル15の内側空間に配置されているウインカ用配線44等の配線や他部品と干渉しないので、フロントカウル15内側における配線が容易であり、配線や他部品の配置自由度が上がる。
【0032】
ガーニッシュ31は、カウル本体部30の側面を覆う化粧部材であり、かつ走行風を整流する部材でもあり、表面を整流面とする滑らかな曲面を有する。ガーニッシュ31はウインカ取付ボス35よりも後方へ延出し、整流面の面積を大きくして整流効果を上げている(図2)。
また、ガーニッシュ31は、フロントウインカ17を支持しないので、特別に高剛性にする必要がなく、比較的薄い部材で足り、車両の軽量化に貢献できる。
【0033】
さらに、ガーニッシュ31は化粧部材であるため、任意に着色して外観性を高めることができる。例えば、フロントウインカ17は支持腕部37を含めて車体色である黒色とし、外観部材でないカウル本体部30も同じ黒色にする。これにより、フロントウインカ17をフロントカウル15へ取付けると、支持腕部37とウインカ取付ボス35が同色で連結し、一体感を高めることができる。しかも、ウインカ取付ボス35とその近傍となる支持腕部37の基部も外径が一致するので、さらに一体感のある結合をさせることができる。
【0034】
一方、ガーニッシュ31は黒色と異なる任意の色にすることにより、フロントカウル15をツートンカラー等にして意匠的演出が容易になり、意匠効果を高めることができ、外観性を良好にすることができる。
また、支持腕部37とウインカ取付ボス35を同径にすることで、外周部に凹凸を無くすことができ、これによりウインカ取付ボス35回りの整流効果を維持しやすくする。また、支持腕部37とウインカ取付ボス35との結合部における一体感が得られるため、結合部における違和感を解消する。
【0035】
さらに、ウインカ取付ボス35はガーニッシュ31に形成したボス通し穴36を貫通するので、ガーニッシュ31はボス通し穴36より後方へ延出している。したがって、従来のように、支持腕部37を逃げるため、支持腕部37の基部前方まで凹入する逃げ凹部(図2の符号50で示す部分)を形成する必要がないから、ウインカ取付ボス35より後方の整流面を大きくすることができる。
【0036】
図2において仮想線で示す符号50は、従来形成されていたウインカ逃げ凹部である。
本願発明は、このウインカ逃げ凹部50に相当する部分がなく、カウル本体部30の側面のうちウインカ取付ボス35より後方部分は、ウインカ後方部30aとして後方へ延出している。さらに、このウインカ後方部30aをガーニッシュ31で覆っている。
ガーニッシュ31のウインカ取付ボス35より後方部分はウインカ後方整流面31aをなし、フロントウインカ17の後方を広く整流できる。
ウインカ後方整流面31aは、図2及び図7に示すように、ウインカ後方部30aの後端縁30bよりも後方へ長く延出し、広い整流面積を形成している。
【0037】
なお、本願発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の原理内において種々に変形や応用が可能である。例えば、六角ナット38は、六角に限らず種々な形状をしたナット等の締結部材が可能である。また、ヘッドライトステイ32は、フロントフォーク12側へ取付けてあるが、これをヘッドパイプ11側へ直接取付けてもよい。
さらに、ウインカ後方整流面31aはガーニッシュ31に設けられるが、ガーニッシュ31に代えてカウル本体部30の側面におけるウインカ後方部30aを露出させて、ここをウインカ後方整流面としてもよい。
【符号の説明】
【0038】
11:ヘッドパイプ、15:フロントカウル、16:ヘッドライト、17:フロントウインカ、30:カウル本体部、31:ガーニッシュ、35:ウインカ取付ボス(ウインカ取付突部)、36:ボス通し穴、37:支持腕部、38:六角ナット(ウインカ締結部材)、39:植込ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7