(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シートに着座した着座者の腰部に左右に架け渡して装着される腰部シートベルトを有するシートベルト装置の前記腰部シートベルトによって前記着座者に付与される衝撃度を算出する衝撃度の算出装置であって、
前記シートベルト装置は、前記腰部シートベルトに設けられ、前記装着状態における前記着座者から付与される荷重を前記腰部シートベルトの左右の架け渡し方向の所定領域で検知するセンサを有し、
該センサにより検知された前記荷重の前記腰部シートベルトの左右架け渡し方向の荷重分布を算出する荷重分布算出手段と、
該荷重分布算出手段によって得られた荷重分布に基づいて、前記腰部シートベルトが前記着座者の腰骨位置にあるか否かを判定する腰部シートベルト位置判定手段と、
前記荷重分布算出手段によって得られた荷重分布の情報及び前記腰部シートベルト位置判定手段による前記判定結果に基づいて、前記腰部シートベルトによって前記着座者に付与される衝撃度を算出する衝撃度算出手段と、
を有する制御装置を備えることを特徴とする衝撃度の算出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、シートベルト装置で検知した、シートベルトによって着座者に付与される荷重に基づいて、荷重により着座者に作用する力学量、すなわち着座者に付与される衝撃度を適切に算出することができれば、例えば、車両衝突等に遭遇することによって着座者が受傷した際に、算出した衝撃度に基づいて、着座者の治療に関する対策を適切に講じることができる。
【0007】
特に、腰部シートベルトは、着座者の腰部からずれると、比較的柔らかな身体の部位である着座者の腹部に亘って架け渡されることになることから、着座者の腹部に付与される衝撃度が、より適切に算出されることが要求されるところである。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、腰部シートベルトによって着座者に付与される衝撃度を適切に算出することができる衝撃度の算出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明による衝撃度の算出装置は、シートに着座した着座者の腰部に左右に架け渡して装着される腰部シートベルトを有するシートベルト装置の前記腰部シートベルトによって前記着座者に付与される衝撃度を算出する衝撃度の算出装置であって、前記シートベルト装置は、前記腰部シートベルトに設けられ、前記装着状態における前記着座者から付与される荷重を前記腰部シートベルトの左右の架け渡し方向の所定領域で検知するセンサを有し、該センサにより検知された前記荷重の前記腰部シートベルトの左右架け渡し方向の荷重分布を算出する荷重分布算出手段と、該荷重分布算出手段によって得られた荷重分布に基づいて、前記腰部シートベルトが前記着座者の腰骨位置にあるか否かを判定する腰部シートベルト位置判定手段と、前記荷重分布算出手段によって得られた荷重分布の情報及び前記腰部シートベルト位置判定手段による前記判定結果に基づいて、前記腰部シートベルトによって前記着座者に付与される衝撃度を算出する衝撃度算出手段と、を有する制御装置を備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、腰部シートベルトに付与される荷重をセンサが検知し、このセンサが検知した荷重を、荷重分布算出手段が腰部シートベルトの左右の架け渡し方向の荷重分布として算出することから、衝撃度算出手段において、荷重分布算出手段が算出した荷重分布の情報に基づいて、着座者に付与される衝撃度を算出することができる。
【0011】
この衝撃度は、荷重分布算出手段が算出した荷重分布の情報、及び腰部シートベルト位置判定手段が判定した、腰部シートベルトが着座者の腰骨位置にあるか否かの判定結果に基づいて算出されることから、精度の高い適切な衝撃度を得ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衝撃度の算出装置において、前記荷重分布の情報は、前記腰部シートベルトの前記架け渡し方向の所定領域における所定時間内の荷重の積分値であることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、衝撃度は、腰部シートベルトの架け渡し方向の所定領域における荷重分布の所定時間内の荷重の積分値に基づいて算出されることから、着座者に作用する力学量としての衝撃度を、良好に算出することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の衝撃度の算出装置において、前記荷重分布の情報は、前記腰部シートベルトの前記架け渡し方向の所定領域における最大荷重値であることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、衝撃度は、腰部シートベルトの架け渡し方向の所定領域における最大荷重値であることから、着座者に作用する力学量としての衝撃度を、簡易な演算手法によって良好に算出することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、腰部シートベルトに付与される荷重をセンサが検知し、検知した荷重に基づいて荷重分布を算出することから、この荷重分布に基づいて、着座者に付与される衝撃度を算出することができる。
【0017】
しかも、衝撃度は、荷重分布の情報に加えて、腰部シートベルトが着座者の腰骨位置にあるか否かの判定結果に基づいて算出されることから、精度の高い適切な衝撃度を得ることができる。
【0018】
車両衝突等によって着座者が受傷した際には、このようにして得られた衝撃度に基づいて、着座者の治療に関する対策を適切に講じることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施の形態)
次に、本発明の第1実施の形態について、
図1〜
図8に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る衝撃度の算出装置の概略を説明する概念図であり、
図2は、本実施の形態に係るシートベルト装置の概略を説明する正面図である。
図1で示すように、算出装置10は、シートベルト装置20及びシートベルト装置20と連携する制御装置30を主要構成として備える。
【0022】
シートベルト装置20は、
図2で示すように、車両に配置されるシート1に着座する着座者Mを、シートベルト21によってシート1に拘束する装置である。
【0023】
シートベルト21は、その一端21aが、車両のBピラー2に設けられてシートベルト21を巻き取る方向に常時付勢するリトラクタ22に取り付けられ、他端21bがリトラクタ22の下方においてBピラー2に取り付けられる。
【0024】
このシートベルト21は、Bピラー2の上部のスルーリング23に挿通され、スルーリング23に挿通された後に、係合用金具24aが設けられたタングプレート24が挿通される。
【0025】
タングプレート24は、その係合用金具24aにおいて、シート1の側部1aに設けられたシートベルトアンカ25に取り付けられたバックル26に係合可能に形成される。
【0026】
着座者Mがシート1に着座した状態で、シートベルト21が着座者Mの身体に架け渡され、タングプレート24をバックル26に係合させることにより、シートベルト21が着座者Mに装着される。
【0027】
この状態において、シートベルト21上に、スルーリング23とタングプレート24との間で肩部シートベルト21Aが構成され、この肩部シートベルト21Aが着座者Mの肩部及び胸部をシート1に拘束する。
【0028】
一方、シートベルト21が着座者Mに装着された状態で、シートベルト21上に、タングプレート24とシートベルト21の他端21bとの間で腰部シートベルト21Bが構成され、この腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰部及び腹部をシート1に拘束する。
【0029】
この腰部シートベルト21Bには、センサ27が設けられている。センサ27は、本実施の形態では、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰部及び腹部を拘束した状態で、着座者M側から腰部シートベルト21Bに対して付与される荷重を検知するとともに、腰部シートベルト21Bが着座者M側を圧迫することで生じる作用力を荷重として検知する荷重検知センサとして構成される。
【0030】
このセンサ27は、本実施の形態では、シートベルト21を構成する2枚のウェビングに挟み込まれ、矢線Wで示す腰部シートベルト21Bの左右の架け渡し方向に亘って内蔵される。
【0031】
従って、腰部シートベルト21Bにセンサ27が内蔵された領域に対応して、着座者M側から付与される荷重が検知されるとともに、腰部シートベルト21Bが着座者M側を圧迫することで生じる作用力が荷重として検知される。
【0032】
制御装置30は、このようなシートベルト装置20と連携して衝撃度を算出する装置である。この制御装置30は、
図1で示すように、荷重分布算出手段31、腰部シートベルト位置判定手段32、及び衝撃度算出手段33を備える。
【0033】
荷重分布算出手段31は、センサ27で検知された腰部シートベルト21Bに対して付与される荷重Pの分布を算出する。
【0034】
具体的には、
図3の作動説明図で示すように、腰部シートベルト21Bにセンサ27が内蔵された領域に着座者Mの腰部及び腹部から付与される荷重Pを、着座者Mの左側部から付与される腰骨領域Rl、着座者Mの右側部から付与される腰骨領域Rr、及び着座者Mの中央部から付与される腹部領域Rcに分布する荷重Pとして算出する。
【0035】
荷重分布算出手段31は、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰部及び腹部の適正な位置に装着されている場合においては、
図3で示すように、着座者Mの左側腰骨Phから付与される、高荷重Plを含む荷重Pの荷重分布Lを腰骨領域Rl上に算出し、着座者Mの右側腰骨Phから付与される、高荷重Prを含む荷重Pの荷重分布Lを腰骨領域Rr上に算出する。さらに、着座者Mの腹部から付与される荷重Pの荷重分布Lを腹部領域Rc上に算出する。
【0036】
一方、荷重分布算出手段31は、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰部から上方にずれて腹部のみに架け渡されて装着されている場合においては、
図4で示すように、着座者Mの左腹部から付与される荷重Pの荷重分布Lを腰骨領域Rl上に算出し、着座者Mの右腹部から付与される荷重Pの荷重分布Lを腰骨領域Rr上に算出する。さらに、着座者Mの腹部から付与される、高荷重Pcを含む荷重Pの荷重分布Lを腹部領域Rc上に算出する。
【0037】
図5の作動説明図で示すように、荷重分布算出手段31は、荷重分布Lに基づいて、腰部シートベルト21Bの架け渡し方向Wの所定の領域、例えば着座者Mの腹部から付与される荷重Pの荷重分布Lが算出される腹部領域Rcにおける、所定の時間内の荷重Pを積分する。
【0038】
積分値は、本実施の形態では、得られた積分値に応じて、例えば、積分値が比較的小さい場合が係数Aとして把握され、積分値が大きい場合が係数Cとして把握され、かつ係数Aと係数Cとの間の積分値が係数Bとして把握される。
【0039】
腰部シートベルト位置判定手段32は、荷重分布算出手段31によって得られた荷重分布Lに基づいて、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にあるか否かを判定する。
【0040】
具体的には、
図6の作動説明図で示すように、腰部シートベルト位置判定手段32には、腰部シートベルト21Bが着座者の腰骨位置に適正に架け渡されている場合における理論的な荷重分布パターンlが予め格納されており、荷重分布算出手段31で算出された荷重分布Lと荷重分布パターンlとが一致するか否か、あるいは荷重分布Lの分布状態と荷重分布パターンlの分布状態とが近似するか否かが対比される。
【0041】
図6(a)で示すように、荷重分布算出手段31で算出された荷重分布Lが、予め格納された荷重分布パターンlとほぼ一致する場合は、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にあると判定し、この場合の判定結果を係数1として把握する。
【0042】
一方、
図6(b)で示すように、荷重分布算出手段31で算出された荷重分布Lが、予め格納された荷重分布パターンlと一致しない場合は、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にないと判定し、この場合の判定結果を係数2として把握する。
【0043】
衝撃度算出手段33は、荷重分布算出手段31によって得られた荷重分布Lの架け渡し方向Wの所定の領域における所定の時間内の荷重Pが積分された積分値、及び腰部シートベルト位置判定手段32による判定結果に基づいて、腰部シートベルト21Bによって着座者Mの腹部に付与される衝撃度を算出する。
【0044】
図7の作動説明図で示すように、荷重分布算出手段31で積分された積分値の係数と、腰部シートベルト位置判定手段32で判定された判定結果の係数とが、衝撃度算出手段33によって乗算されて、衝撃度が算出される。
【0045】
積分値の係数がAの場合において、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にあると判定された場合(係数1)は、衝撃度は「A」であると算出される。一方、積分値の係数がAの場合において、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にないと判定された場合(係数2)は、衝撃度は「2A」であると算出される。
【0046】
積分値の係数がBの場合において、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にあると判定された場合(係数1)は、衝撃度は「B」であると算出される。一方、積分値の係数がBの場合において、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にないと判定された場合(係数2)は、衝撃度は「2B」であると算出される。
【0047】
同様に、積分値の係数がCの場合において、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にあると判定された場合(係数1)は、衝撃度は「C」であると算出される。一方、積分値の係数がCの場合において、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にないと判定された場合(係数2)は、衝撃度は「2C」であると算出される。
【0048】
次に、算出装置10による衝撃度の算出手順について説明する。
【0049】
図8は、算出装置10による車両衝突時の衝撃度の算出手順を示したフローチャートである。
【0050】
例えば、平坦な舗装路をほぼ一定の速度で走行するような通常走行時においては、センサ27が検知する荷重Pは極めて小さいことから、荷重分布算出手段31が算出する荷重分布Lに基づいて衝撃度算出手段33が算出する衝撃度も、無視できる程度に小さいものとなる。
【0051】
従って、この場合は、腰部シートベルト位置判定手段32によって腰部シートベルト21Bが腰骨位置にないと判断されても、算出される衝撃度に実質的な影響が及ぼされることはない。
【0052】
一方、
図8で示すように、ステップS1において車両が衝突することによって、着座者M側から腰部シートベルト21Bに荷重Pが付与されると、ステップS2において、センサ27が荷重Pを検知する。
【0053】
ステップS3において、荷重分布算出手段31は、センサ27が検知した着座者Mの腰部及び腹部から付与された荷重Pを、着座者Mの左側部から付与される腰骨領域Rl、着座者Mの右側部から付与される腰骨領域Rr、及び着座者Mの中央部から付与される腹部領域Rcに分布する荷重分布Lとして算出する。
【0054】
さらに、荷重分布算出手段31は、ステップS3において、荷重分布Lに基づいて、例えば着座者Mの腹部から付与される荷重Pの荷重分布Lが算出される腹部領域Rcにおける、所定の時間内の荷重Pを積分する。この積分値の係数は、本実施の形態では例えば、Bであると算出される。
【0055】
その後、ステップS4において、荷重分布算出手段31において得られた荷重分布Lに基づいて、腰部シートベルト位置検出手段32によって、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にあるか否かが判定される。
【0056】
このステップS4において、荷重分布Lが、予め格納された荷重分布パターンlとほぼ一致する場合は、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にあると判定される(係数1)。
【0057】
この場合、ステップS5において、荷重分布算出手段31で積分された積分値の係数Bと、腰部シートベルト位置判定手段32における腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にあるとの判定結果の係数1とが、衝撃度算出手段33によって乗算される。
【0058】
この乗算によって、ステップS6において、衝撃度が算出される。本実施の形態では、積分値の係数がBであって、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にあるとの判定結果(係数1)であることから、衝撃度は「B」であると算出される。
【0059】
一方、ステップS4において、荷重分布Lが、予め格納された荷重分布パターンlと一致しない場合は、腰部シートベルト位置検出手段32によって、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にないと判定される(係数2)。
【0060】
この場合、ステップS7において、荷重分布算出手段31で積分された積分値の係数Bと、腰部シートベルト位置判定手段32における腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にないとの判定結果の係数2とが、衝撃度算出手段33によって乗算される。
【0061】
この乗算によって、ステップS6において、衝撃度が算出される。本実施の形態では、積分値の係数がBであって、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にないとの判定結果(係数2)であることから、衝撃度は「2B」であると算出される。
【0062】
上記構成の算出装置10では、車両の衝突によって腰部シートベルト21Bに付与される荷重Pをセンサ27が検知し、センサ27が検知した着座者Mの腰部及び腹部から付与された荷重Pを、着座者Mの左側部から付与される腰骨領域Rl、着座者Mの右側部から付与される腰骨領域Rr、及び着座者Mの中央部から付与される腹部領域Rcに分布する荷重分布Lとして算出する。
【0063】
この荷重分布Lに基づいて、衝撃度算出手段33が、着座者Mに付与される衝撃度を算出することができる。
【0064】
この衝撃度は、本実施の形態では、腰部シートベルト位置判定手段32における、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にあるか否かの判定結果が、荷重分布Lに乗算されて算出されることから、精度の高い適切な衝撃度を得ることができる。
【0065】
しかも、衝撃度は、荷重分布算出手段31によって算出される、着座者Mの腹部から付与される荷重Pの荷重分布Lが算出される腹部領域Rcにおける所定の時間内の荷重Pの積分値に基づいて算出されることから、着座者に作用する力学量としての衝撃度を、良好に算出することができる。
【0066】
(第2実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態について、
図9及び
図10に基づいて説明する。
【0067】
なお、本実施の形態において、第1実施の形態と異なる荷重分布算出手段の一部の構成、及び衝撃度算出手段の一部の構成のみを説明することとし、その余の構成は第1実施の形態と同様であることから、その詳細な説明を省略する。
【0068】
本実施の形態において、荷重分布算出手段31は、センサ27で検知された腰部シートベルト21Bに対して付与される荷重Pの分布を、荷重分布Lとして算出するものである。
【0069】
図9は、荷重分布算出手段31の作動説明図である。図示のように、荷重分布算出手段31は、荷重分布Lに基づいて、腰部シートベルト21Bの架け渡し方向Wの所定の領域、例えば着座者Mの腹部から付与される荷重Pの荷重分布Lが算出される腹部領域Rcにおける、最大荷重値Xを検出する。
【0070】
この荷重分布検出手段31には、腰部シートベルト21Bが着座者の腰骨位置に適正に架け渡されている場合における理論的な荷重値が、閾値Tとして予め格納されており、検出した最大荷重値Xから閾値Tが減算されて差分値Δが算出される。
【0071】
差分値Δは、本実施の形態では、得られた差分値に応じて、例えば、差分値Δが負になる場合が係数Aとして把握され、差分値Δが0となる場合が係数Bとして把握され、かつ差分値Δが正となる場合が係数Cとして把握される。
【0072】
図10は、衝撃度算出手段33の作動説明図である。
【0073】
図示のように、衝撃度算出手段33は、荷重分布算出手段31によって得られた荷重分布Lの架け渡し方向Wの所定の領域における最大荷重値Xから閾値Tが減算されて算出された差分値Δの係数と、及び腰部シートベルト位置判定手段32による判定結果の係数とが乗算されて、腰部シートベルト21Bによって着座者Mの腹部に付与される衝撃度を算出する。
【0074】
差分値Δの係数がAの場合において、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にあると判定された場合(係数1)は、衝撃度は「A」であると算出される。一方、差分値Δの係数がAの場合において、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にないと判定された場合(係数2)は、衝撃度は「2A」であると算出される。
【0075】
差分値Δの係数がBの場合において、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にあると判定された場合(係数1)は、衝撃度は「B」であると算出される。一方、差分値Δの係数がBの場合において、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にないと判定された場合(係数2)は、衝撃度は「2B」であると算出される。
【0076】
同様に、差分値Δの係数がCの場合において、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にあると判定された場合(係数1)は、衝撃度は「C」であると算出される。一方、差分値Δの係数がCの場合において、腰部シートベルト21Bが着座者Mの腰骨位置にないと判定された場合(係数2)は、衝撃度は「2C」であると算出される。
【0077】
上記構成の算出装置10では、衝撃度は、荷重分布算出手段31によって得られた荷重分布Lの架け渡し方向Wの所定の領域における最大荷重値Xから閾値Tが減算されて算出された差分値Δに基づいて算出されることから、着座者に作用する力学量としての衝撃度を、簡易な演算手法によって良好に算出することができる。
【0078】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。上記各実施の形態では、算出装置10が車両に設けられた場合を説明したが、例えば、鉄道車両、航空機あるいは船舶等のシートに設けられていてもよい。