(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231948
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】非接触給電装置におけるコイルユニット及びコイルユニットにおける電線のアース接続方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/10 20160101AFI20171106BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20171106BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20171106BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
H02J50/10
H02J7/00 301B
H02J7/00 301D
H05K9/00 L
H01F38/14
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-127631(P2014-127631)
(22)【出願日】2014年6月20日
(65)【公開番号】特開2016-10175(P2016-10175A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100192474
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 健次
(72)【発明者】
【氏名】澤田 敦
(72)【発明者】
【氏名】山田 矩久
(72)【発明者】
【氏名】小松 大樹
【審査官】
永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−185930(JP,A)
【文献】
特開平10−94181(JP,A)
【文献】
特開2013−138071(JP,A)
【文献】
特開2002−190418(JP,A)
【文献】
実開昭60−92467(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F38/14
38/18
H02J7/00−7/12
7/34−7/36
50/00−50/90
H05K9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した収容空間を有する樹脂ケース本体と、前記樹脂ケース本体の上面の開口を塞ぐように前記樹脂ケース本体に固定される金属カバーとで構成される筐体と、
前記筐体の内部の前記収容空間に収容されるコイルユニット本体と、
前記樹脂ケース本体の内部に配設され、前記樹脂ケース本体の外部から内部に引き込まれた電線のシールド導体の処理部が載置される台座部材と、
前記台座部材に対応するよう前記金属カバーの内面に形成されたアース用接続部と、
前記樹脂ケース本体に前記金属カバーを固定した状態で、前記金属カバーから該金属カバーのボルト通し孔を通して前記台座部材のネジ孔に先端がねじ込まれるアース接続用ボルトと、
を備え、
前記アース接続用ボルトを前記台座部材にねじ込むことによって前記台座部材を前記アース用接続部に対して締結し、それにより、前記シールド導体の処理部が、前記アース用接続部と前記台座部材の間に挟持される、
ことを特徴とする非接触給電装置におけるコイルユニット。
【請求項2】
上面が開口した収容空間にコイルユニット本体が収容された樹脂ケース本体の内部に該樹脂ケース本体の外部から電線を引き込んで、その電線のシールド導体の処理部を前記樹脂ケース本体の内部に配設された台座部材に載せる工程と、
金属カバーの内面に形成したアース用接続部を前記台座部材に対向させた状態で、前記樹脂ケース本体に前記金属カバーを被せて、前記樹脂ケース本体に金属カバーを固定する工程と、
前記金属カバーからアース接続用ボルトの先端を、該金属カバーのボルト通し孔を通して前記台座部材のネジ孔にねじ込むことにより、前記台座部材を引き上げて該台座部材を前記アース用接続部に対して締結し、それにより、前記電線のシールド導体の処理部を、前記アース用接続部と前記台座部材の間に挟持する工程と、
を備えることを特徴とするコイルユニットにおける電線のアース接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車などの移動体に固定体から非接触で給電する非接触給電装置において給電側ユニットや受電側ユニットとして利用されるコイルユニットに関し、特に、そのコイルユニットにおける電線のアース接続構造及び接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車などの移動体側に搭載した充電池に、固定体側からワイヤレスで給電する非接触給電装置が開発され実用化されている。非接触給電装置は、例えば、移動体である車両に搭載された受電側ユニットと、車両が駐車する駐車スペース等の固定体に設置された給電側ユニットと、から構成されている。給電側ユニットと受電側ユニットは、共にコイルを中心に構成されているので、以下、区別しない場合は、コイルユニットと呼ぶこともある。
【0003】
この非接触給電装置によれば、駐車スペースに車両を駐車し、受電側ユニットと給電側ユニットとを互いに間隔をあけて対向させた状態で、給電側ユニットのコイルに交流電力を供給することにより、当該交流電力を、非接触で受電側ユニットのコイルに受電させることができる。
【0004】
この種の非接触給電装置の有力な方式として、磁気共鳴方式と電磁誘導方式の2方式が広く知られている。このうち磁気共鳴方式は、コイルやコンデンサを使って共鳴(共振)回路を作り、磁界を共鳴させることで、送信側(給電側)から受信側へ電力を送る方式である。この方式を用いた非接触給電装置の例は、特許文献1などにおいて知られている。
【0005】
磁気共鳴方式の非接触給電装置においては、一般に、給電側ユニット及び受電側ユニットは、それぞれ、導体をループ状に曲げたコイルと、該コイルに電磁結合され、導体を螺線状に曲げた共鳴コイルとを備えている。磁気共鳴方式の非接触給電装置では、給電側ユニットのコイルに交流電力が供給されると、その電力が電磁誘導により共鳴コイルに送られ、共鳴コイルに送られた電力が磁界の共鳴によって受電側の共鳴コイルにワイヤレスで送られ、さらに受電側の共鳴コイルに送られた電力が、電磁誘導によって受電側のコイルに送られて、このコイルに接続された負荷に供給される。
【0006】
また、もう一方の電磁誘導方式は、2つのコイルを近接させて置き、一方のコイルに電流を流すことで発生する磁束を他方のコイルに結合させることで電力を送る方式である。この方式を用いた非接触給電装置の例は、特許文献2などにおいて知られている。
【0007】
電磁誘導方式の非接触給電装置では、給電側ユニットのコイル(給電側コイル:一次コイル)と受電側ユニットのコイル(受電側コイル:二次コイル)との間の電磁誘導を利用して、給電側コイルから受電側コイルに電力を供給する。
【0008】
図4は、特許文献2に開示された給電システムの例を示している。この給電システムでは、電磁誘導方式の非接触給電装置Mが採用されている。
【0009】
エンジン502と共にモータ503を駆動源として搭載するハイブリッド式の車両(移動体)501は、モータ503用の電源である二次電池504と、二次電池504の直流を交流に変換してモータ503に供給するインバータ505と、二次電池504の充電回路506と、受電側アルミ板507を介して車体の床面の外側(床下)に固定された受電側ユニット508と、を備えている。
【0010】
また、給電ステーション側(固定体側)は、商用周波数の交流電源510と、この交流が直流に変換され、この直流から、さらに高周波交流を生成するインバータ511と、給電側アルミ板512を介して給電ステーションに固定された給電側ユニット513と、を備えている。
【0011】
給電側ユニット513及び受電側ユニット508は、それぞれに、
図5に示すように、平板状のフェライトコア520にコイル線521を巻回して構成したコイルを主要素として含んでいる。ここでは、給電側ユニット513のコイルを給電側コイル513と言い、受電側ユニット508のコイルを受電側コイル508と言い、同じ符号で説明する。
【0012】
給電側コイル513の平板状のフェライトコア520と、受電側コイル508の平板状のフェライトコア520は、板面を互いに対向させる関係に配置されている。この場合の給電コイル513及び受電コイル508は、平板状のフェライトコアの片側表面に螺線状のコイルを形成したもの(片側巻コイル)ではなく、平板状のフェライトコア520の外周にコイル線521を螺線状に巻回したもの(両側巻コイル)である。
【0013】
従って、主磁束530は、
図5に点線で示すように、給電側コイル513のフェライトコア520の一方の磁極から受電側コイル508のフェライトコア520の一方の磁極に進入し、受電側コイル508のフェライトコア520の内部を通り、受電側コイル520のフェライトコア520の他方の磁極から給電側コイル513のフェライトコア520の他方の磁極に進入し、給電側コイル513のフェライトコア520の内部を通って一方の磁極に達するように巡回する。そして、次の瞬間には逆ルートで巡回し、これを交互に繰り返す。
【0014】
このような両側巻コイルを給電側ユニット513及び受電側ユニット508に使用した非接触給電装置では、給電側コイル513及び受電側コイル508の非対向面側に迂回する漏洩磁束532が生じる。この漏洩磁束532が車体の床の鉄板に侵入すると、誘導電流が流れて鉄板が加熱され、給電効率が大幅に低下する。そのため、両側巻コイルを用いたこの種の非接触給電装置では、給電側コイル513及び受電側コイル508の背面に、非磁性良導電体であるアルミ板512、507を配置して、漏洩磁束532を磁気遮蔽している。
【0015】
図4及び
図5に示した例では、アルミ板512、507を給電側ユニット513及び受電側ユニット508とは別に設ける場合を示したが、
図6に示す受電側ユニット600のように、受電側ユニット600自体にアルミ板を一体化させたものも開発されている。即ち、この受電側ユニット600では、筐体603を、箱型の樹脂ケース本体601と平板状のアルミカバー602とで構成し、樹脂ケース本体601の収容空間604に、フェライトコア611にボビン613を介してコイル線612を巻いた受電側コイル610を収容し、その上で、アルミカバー602を樹脂ケース本体601に被せて固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2013−172116号公報
【特許文献2】特開2012−204469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、この種の受電側ユニット610では、樹脂ケース本体601の内部に外部から電線を引き込んで、その電線を、樹脂ケース本体601内に収容した受電側コイル610に接続している。その際、電線の中のシールド導体(例えば編組)をアース接続する必要があるが、樹脂ケース本体601には直接アース接続できない。そこで、別途にアース接続用端子を樹脂ケース本体601の内部に用意して、それに電線のシールド導体を接続している。
【0018】
具体的には、
図7に示すように、電線12は、シールド導体(編組)12aの内側に絶縁体12bを介して中心導体12cを有し、シート導体12aの外側に外被12dを有しており、外被12dを必要量だけ皮むきしてシールド導体12aを外部に露出させ、その露出させたシールド導体12aに端子701を加締めて、その端子701を、別に用意したアース接続用端子に接続している。
【0019】
しかし、このように電線12のシールド導体12aに端子701を加締めて、その端子701を、別に用意したアース接続用端子に接続する方法は、アース接続に要する作業工数が多くなる上、接続のための余分なスペースを用意する必要があり、効率的でない。
【0020】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電線のアース接続を特別なスペースを必要とせずに簡単に行うことのできる非接触給電装置におけるコイルユニット及びコイルユニットにおける電線のアース接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述した目的を達成するために、本発明に係る非接触給電装置におけるコイルユニットは、下記(1)を特徴としている。
(1) 上面が開口した収容空間を有する樹脂ケース本体と、前記樹脂ケース本体の上面の開口を塞ぐように前記樹脂ケース本体に固定される金属カバーとで構成される筐体と、
前記筐体の内部の前記収容空間に収容されるコイルユニット本体と、
前記樹脂ケース本体の内部に配設され、前記樹脂ケース本体の外部から内部に引き込まれた電線のシールド導体の処理部が載置される台座部材と、
前記台座部材に対応するよう前記金属カバーの内面に形成されたアース用接続部と、
前記樹脂ケース本体に前記金属カバーを固定した状態で、前記金属カバーから該金属カバーのボルト通し孔を通して前記台座部材のネジ孔に先端がねじ込まれるアース接続用ボルトと、
を備え、
前記アース接続用ボルトを前記台座部材にねじ込むことによって前記台座部材を前記アース用接続部に対して締結し、それにより、前記シールド導体の処理部が、前記アース用接続部と前記台座部材の間に挟持される、
ことを特徴とする非接触給電装置におけるコイルユニット。
【0022】
上記(1)の構成の電線のアース接続構造によれば、樹脂ケース本体の内部に配した台座部材の上に電線のシールド導体の処理部を載せ、台座部材のネジ孔に、アルミカバーの上からアルミカバーを通してアース接続用ボルトの先端をねじ込むことにより、電線のシールド導体の処理部を、アース用接続部と台座部材の間に挟持固定することができる。従って、余計なスペースを必要とせずに、作業性良く電線のアース接続を行うことができる。
【0023】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコイルユニットにおける電線のアース接続方法は、下記(2)を特徴としている。
(2) 上面が開口した収容空間にコイルユニット本体が収容された樹脂ケース本体の内部に該樹脂ケース本体の外部から電線を引き込んで、その電線のシールド導体の処理部を前記樹脂ケース本体の内部に配設された台座部材に載せる工程と、
金属カバーの内面に形成したアース用接続部を前記台座部材に対向させた状態で、前記樹脂ケース本体に前記金属カバーを被せて、前記樹脂ケース本体に金属カバーを固定する工程と、
前記金属カバーからアース接続用ボルトの先端を、該金属カバーのボルト通し孔を通して前記台座部材のネジ孔にねじ込むことにより、前記台座部材を引き上げて該台座部材を前記アース用接続部に対して締結し、それにより、前記電線のシールド導体の処理部を、前記アース用接続部と前記台座部材の間に挟持する工程と、
を備えることを特徴とするコイルユニットにおける電線のアース接続方法。
【0024】
上記(2)の構成の電線のアース接続方法によれば、樹脂ケース本体の内部に配した台座部材の上に電線のシールド導体の処理部を載せ、台座部材のネジ孔に、アルミカバーの上からアルミカバーを通してアース接続用ボルトの先端をねじ込むことにより、台座部材を引き上げながらアース用接続部に締結することができるので、電線のシールド導体の処理部を、アース用接続部と台座部材の間に挟持固定することができ、余計なスペースを必要とせずに、作業性良く電線のアース接続を行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、余計なスペースを必要とせずに、作業性良く電線のアース接続を行うことができる。
【0026】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態の要部分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態の説明図で、アース接続用ボルトを台座部材にねじ込む前の状態を示す要部断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態の説明図で、アース接続用ボルトを台座部材にねじ込んでアルミカバーの内面のアース接続部と台座部材とを締結した状態を示す要部断面図である。
【
図4】
図4は、一般的な車両用の非接触給電システムの模式図である。
【
図5】
図5は、同給電システムに使用される電磁誘導方式の非接触給電装置の例を示す側面図である。
【
図6】
図6は、従来の受電側ユニットの一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、従来の電線のシールド導体をアース接続する場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の要部分解斜視図、
図2は、アース接続用ボルトを台座部材にねじ込む前の状態を示す要部断面図、
図3は、アース接続用ボルトを台座部材にねじ込んでアルミカバーの内面のアース接続部と台座部材とを締結した状態を示す要部断面図である。
【0029】
図1に示す非接触給電装置における受電側のコイルユニット1は、車両(移動体)の床下に設置されて、図示しない固定体側(駐車スペース等)に設置された給電側のコイルユニットから非接触で給電されるものである。本実施形態のコイルユニット1は、受電側(移動体側)に設置される受電側のコイルユニットとして説明するが、給電側のコイルユニットとしても利用可能なものである。
【0030】
このコイルユニット1は、
図1に示すように、筐体23の内部に確保された収容空間に、コイルユニット本体10を収容したものである。コイルユニット本体10は、平面視矩形の平板状のフェライトコアの外周に、コイルボビン等の絶縁体を介して帯板状のコイル線を巻回したものである。
【0031】
このコイルユニット本体10を収容する筐体23は、下側(地面側)の平面視矩形状の箱型の樹脂ケース本体21と、樹脂ケース本体21の上面を覆う上側(車両側)の矩形平板状のアルミカバー22と、から構成されている。
【0032】
平面視矩形状の樹脂ケース本体21の外周部の4つの角部のうちの1つの角部には、樹脂ケース本体21の外部から内部に、コイルユニット本体10に接続される2本の電線12が引き込まれている。これら樹脂ケース本体21の内部に引き込まれた電線12は、必要範囲の外被の皮むきがなされて、中のシールド導体(編組など)12aが露出させられている。そして、露出したシールド導体12aは、外被の上に折り返して被せる等の所定の処理が施されて、シールド導体の処理部12eとして形成されている。
【0033】
これら2本の電線12のシールド導体12aは、
図1〜
図3に示すように、樹脂ケース本体21の内部に配設された台座部材30と、台座部材30に対応するようアルミカバー22の内面に形成されたアース用接続部22bと、2本のアース用接続用ボルト40とによって、後述するように、アルミカバー22側にアース接続されている。
【0034】
樹脂ケース本体21の内部に配設された台座部材30は、アルミカバー22と同じアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成されているが、その他の金属、あるいは、樹脂で構成されていてもよい。この台座部材30には、2本の電線12の各シールド導体の処理部12eを載せる半円状断面の2つの溝32と、2つの溝32の外側に設けられた2つのネジ孔31とを有している。
【0035】
また、樹脂ケース本体21の内底面21aには、台座部材30を仮位置決めする位置決め部21bが設けられている。本例では、台座部材30が樹脂ケース本体21の内部に配されたとき、ネジ孔31の下端に嵌まることで、台座部材30を位置決めする2つの位置決め突起21bが設けられている。
【0036】
アルミカバー22の内面に形成されたアース用接続部22bには、台座部材30の2つの溝32と2つネジ孔31にそれぞれ対応させて、2つの半円状断面の溝22cと、アルミカバー22を上下方向に貫通する2つのボルト通し孔22aとが設けられている。ボルト通し孔22aの上部には、ザグリ穴22dが設けられており、ザグリ穴22dには座金41、42が配されている。
【0037】
アース接続用ボルト40は、アルミカバー22の上側からアルミカバー22に形成したボルト通し孔22aに通されることで、先端が、台座部材30のネジ孔31にねじ込まれるものである。
【0038】
次にアース接続する場合の手順について述べる。
まず、コイルユニット本体10を樹脂ケース本体21の収容空間に収容すると共に、樹脂ケース本体21の内部に、コイルユニット本体10のコイルに外部から接続される2本の電線12を引き込んで、それら電線12のシールド導体12aの各処理部12eを、樹脂ケース本体21の内部に配置した台座部材30の2つの溝32の上にそれぞれ載せる。
【0039】
次に、アルミカバー22の内面に形成したアース用接続部22bを台座部材30に対向させた状態で、樹脂ケース本体21の上にアルミカバー22を被せて、樹脂ケース本体21にアルミカバー22を固定する。
【0040】
その工程を完了したら、次に
図2に示すように、アルミカバー22の上側からアース接続用ボルト40の先端を、アルミカバー22のボルト通し孔22aに通す。そして、ボルト40の先端を台座部材30のネジ孔31にねじ込む。そうすると、
図3に示すように、ボルト40をねじ込むに従い、台座部材30が引き上げられて、台座部材30がアース用接続部22bに対して締結される。
【0041】
それにより、電線12のシールド導体12aの処理部12eが、アルミカバー22のアース用接続部22bと台座部材30の間に挟持固定され、電線12のシールド導体12aがアルミカバー22に導通される。このアルミカバー22は車体に固定されるものであるから、アルミカバー22を介して電線12のアースが成立することになる。
【0042】
上記のように、本実施形態によれば、樹脂ケース本体21の内部に配した台座部材30の上に電線12のシールド導体12aの処理部12eを載せ、台座部材30のネジ孔31に、アルミカバー22の上からアルミカバー22を通してアース接続用ボルト40の先端をねじ込むことにより、電線12のシールド導体12aの処理部12eを、アース用接続部22bと台座部材30の間に挟持固定することができる。従って、余計なスペースを必要とせずに、作業性良く電線12のアース接続を行うことができる。
【0043】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0044】
ここで、上述した本発明に係る非接触給電装置におけるコイルユニット及びコイルユニットにおける電線のアース接続方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下(1)、(2)に簡潔に纏めて列記する。
(1) 上面が開口した収容空間を有する樹脂ケース本体(21)と、前記樹脂ケース本体の上面の開口を塞ぐように前記樹脂ケース本体に固定される金属カバー(アルミカバー22)とで構成される筐体(23)と、
前記筐体の内部の前記収容空間に収容されるコイルユニット本体(10)と、
前記樹脂ケース本体の内部に配設され、前記樹脂ケース本体の外部から内部に引き込まれた電線(12)のシールド導体(12a)の処理部(12e)が載置される台座部材(30)と、
前記台座部材に対応するよう前記金属カバーの内面に形成されたアース用接続部(22b)と、
前記樹脂ケース本体に前記金属カバーを固定した状態で、前記金属カバーから該金属カバーのボルト通し孔(22a)を通して前記台座部材のネジ孔(31)に先端がねじ込まれるアース接続用ボルト(40)と、
を備え、
前記アース接続用ボルトを前記台座部材にねじ込むことによって前記台座部材を前記アース用接続部に対して締結し、それにより、前記シールド導体の処理部が、前記アース用接続部と前記台座部材の間に挟持される、
ことを特徴とする非接触給電装置におけるコイルユニット。
(2) 上面が開口した収容空間にコイルユニット本体(10)が収容された樹脂ケース本体(21)の内部に該樹脂ケース本体の外部から電線(12)を引き込んで、その電線のシールド導体(12a)の処理部(12e)を前記樹脂ケース本体の内部に配設された台座部材(30)に載せる工程と、
金属カバー(アルミカバー22)の内面に形成したアース用接続部(22b)を前記台座部材に対向させた状態で、前記樹脂ケース本体に前記金属カバーを被せて、前記樹脂ケース本体に金属カバーを固定する工程と、
前記金属カバーからアース接続用ボルト(40)の先端を、該金属カバーのボルト通し孔(22a)を通して前記台座部材のネジ孔にねじ込むことにより、前記台座部材を引き上げて該台座部材を前記アース用接続部に対して締結し、それにより、前記電線のシールド導体の処理部を、前記アース用接続部と前記台座部材の間に挟持する工程と、
を備えることを特徴とするコイルユニットにおける電線のアース接続方法。
【符号の説明】
【0045】
1 コイルユニット
10 コイルユニット本体
12 電線
12a シールド導体
12e 処理部
21 樹脂ケース本体
22 アルミカバー
22a ボルト通し孔
22b アース用接続部
23 筐体
30 台座部材
31 ネジ孔
40 アース接続用ボルト