特許第6231969号(P6231969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6231969
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】電圧均等化装置及び電圧均等化方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20171106BHJP
【FI】
   H02J7/02 H
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-215507(P2014-215507)
(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公開番号】特開2016-82849(P2016-82849A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢部 弘男
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−210109(JP,A)
【文献】 特開2016−025782(JP,A)
【文献】 特開2011−223722(JP,A)
【文献】 特開2012−253951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数の電池セルのうちいずれか一の前記電池セルの電荷を、他の一の前記電池セルへ転送する処理を繰り返して前記複数の電池セルの電圧均等化を行わせる電圧均等化装置であって、
前記電池セルの容量よりも小さな容量を有する第1のコンデンサと、
前記第1のコンデンサに並列接続可能とされ、前記第1のコンデンサの容量よりも大きな容量を有する第2のコンデンサと、
転送元の前記電池セルの電荷を前記第2のコンデンサを介して転送先の前記電池セルに転送するのに先立って、前記第2のコンデンサの蓄電電圧が前記転送元の前記電池セルの電圧となるまで、前記転送元の前記電池セルの電荷を前記第1のコンデンサを介して前記第2のコンデンサに転送する処理を繰り返させる切替制御部と、
を備えた電圧均等化装置。
【請求項2】
前記切替制御部は、前記複数の電池セルのうちいずれか一つの電池セル、前記第1のコンデンサあるいは前記第2のコンデンサのうち、いずれか二つを選択的に同時接続可能な複数のスイッチを備えた接続切替部と、
前記接続切替部を制御する制御部と、
を備えた請求項1記載の電圧均等化装置。
【請求項3】
前記接続切替部は、前記複数の電池セルを第1の電池ブロックとし、当該第1の電池ブロックの高電位側に他の電圧均等化装置の電圧均等化対象の複数の電池セルにより構成された第2の電池ブロックが接続された場合に、前記第2の電池ブロックを構成する電池セルのうち、最も低電位側の電池セルも選択可能とされている、
請求項2記載の電圧均等化装置。
【請求項4】
前記電池セルの電圧を測定可能な電圧測定部を備え、
前記第1のコンデンサは、前記複数の電池セルのそれぞれの電圧を測定する際に、各電池セルの電荷が転送されて、前記電圧測定部による各電池セルの電圧測定に用いられる、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電圧均等化装置。
【請求項5】
直列接続された複数の電池セルのうちいずれか一の前記電池セルの電荷を、他の一の前記電池セルへ転送する処理を繰り返して前記複数の電池セルの電圧均等化を行わせる電圧均等化装置で実行される電圧均等化方法であって、
前記電圧均等化装置は、前記電池セルの容量よりも小さな容量を有する第1のコンデンサと、前記第1のコンデンサに並列接続可能とされ、前記第1のコンデンサの容量よりも大きな容量を有する第2のコンデンサと、を備え、
前記第2のコンデンサの蓄電電圧が転送元の前記電池セルの電圧となるまで、前記転送元の前記電池セルの電荷を前記第1のコンデンサを介して前記第2のコンデンサに転送する処理を繰り返す過程と、
転送先の前記電池セルの電圧が転送元の前記電池セルの電圧となるまで、前記転送元の前記電池セルの電荷を、前記第2のコンデンサを介して前記転送先の前記電池セルに転送する処理を繰り返す過程と、
を備えた電圧均等化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電圧均等化装置及び電圧均等化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)及び電気自動車(EV:Electric Vehicle)には、電源としてリチウムイオン二次電池が搭載されているが、1個のリチウムイオン二次電池の出力電圧は、例えば、3.6Vであるため、駆動用モータに必要な電圧を得るためには、数十個を直列接続して組電池として用いる必要がある。
【0003】
ところで、初期状態においては、組電池を構成している二次電池の電圧特性が揃えられているが、使用中の充放電の繰り返しにより各セルの充電状態(電圧)が異なるような状態となる。
この場合には、充電時には過充電を避けるため、最も電圧が高くなった二次電池に合わせて充電を止める必要があるため、他の二次電池は、いまだ充電可能であるにもかかわらず、充電が停止される。
【0004】
また、放電時においても過放電を避けるために、最も電圧が低くなった二次電池に合わせて放電を止める必要があるため、他の二次電池は、いまだ放電可能であるにもかかわらず、放電が停止される。
これらの結果、実効的に利用可能な蓄電電力が減少してしまうという不具合が生じる。
【0005】
このため、従来の組電池においては、キャパシタを設けるとともに、組電池を構成する二次電池とキャパシタとの間にスイッチ群を設け、このスイッチ群を制御することで、より電圧の高い二次電池の電荷をキャパシタを介して電圧の低い他の二次電池に転送する操作を繰り返すことで電圧の均等化を行う電圧均等化装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−050269号公報
【特許文献2】特開平10−225005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、均等化の開始時には、キャパシタには電荷が蓄えられていない状態であり、このような状態でスイッチ群を制御してキャパシタを二次電池に接続して充電電流を流すと大きな突入電流が生じることとなる。
これに対応するためには、スイッチ群を構成しているスイッチや配線の電流容量を大きくする必要があり、装置が大型化してしまうという虞があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型化を図ることが可能な電圧均等化装置及び電圧均等化方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の電圧均等化装置は、直列接続された複数の電池セルのうちいずれか一の電池セルの電荷を、他の一の電池セルへ転送する処理を繰り返して複数の電池セルの電圧均等化を行わせる電圧均等化装置であって、電池セルの容量よりも小さな容量を有する第1のコンデンサと、第1のコンデンサに並列接続可能とされ、第1のコンデンサの容量よりも大きな容量を有する第2のコンデンサと、転送元の電池セルの電荷を第2のコンデンサを介して転送先の電池セルに転送するのに先立って、第2のコンデンサの蓄電電圧が転送元の電池セルの電圧となるまで、転送元の電池セルの電荷を第1のコンデンサを介して第2のコンデンサに転送する処理を繰り返させる切替制御部と、を備えている。
【0010】
この場合において、切替制御部は、複数の電池セルのうちいずれか一つの電池セル、第1のコンデンサあるいは第2のコンデンサのうち、いずれか二つを選択的に同時接続可能な複数のスイッチを備えた接続切替部と、接続切替部を制御する制御部と、を備えるようにしてもよい。
【0011】
また、接続切替部は、複数の電池セルを第1の電池ブロックとし、当該第1の電池ブロックの高電位側に他の電圧均等化装置の電圧均等化対象の複数の電池セルにより構成された第2の電池ブロックが接続された場合に、第2の電池ブロックを構成する電池セルのうち、最も低電位側の電池セルも選択可能とされている、ようにしてもよい。
【0012】
また、電池セルの電圧を測定可能な電圧測定部を備え、第1のコンデンサは、複数の電池セルのそれぞれの電圧を測定する際に、各電池セルの電荷が転送されて、電圧測定部による各電池セルの電圧測定に用いられる、ようにしてもよい。
【0013】
また、実施形態の電圧均等化方法は、直列接続された複数の電池セルのうちいずれか一の電池セルの電荷を、他の一の前記電池セルへ転送する処理を繰り返して前記複数の電池セルの電圧均等化を行わせる電圧均等化装置で実行される電圧均等化方法であって、電圧均等化装置は、電池セルの容量よりも小さな容量を有する第1のコンデンサと、第1のコンデンサに並列接続可能とされ、第1のコンデンサの容量よりも大きな容量を有する第2のコンデンサと、を備え、第2のコンデンサの蓄電電圧が転送元の電池セルの電圧となるまで、転送元の電池セルの電荷を第1のコンデンサを介して第2のコンデンサに転送する処理を繰り返す過程と、転送先の電池セルの電圧が転送元の電池セルの電圧となるまで、転送元の電池セルの電荷を、第2のコンデンサを介して転送先の電池セルに転送する処理を繰り返す過程と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
実施形態の電圧均等化装置及び電圧均等化方法によれば、電圧均等化装置ひいては電池システムの小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態の電池システムの概要構成ブロック図である。
図2図2は、第1実施形態の組電池システムの概要構成図である。
図3図3は、実施形態のセル電圧検知/バランス回路の処理フローチャートである。
図4図4は、セル電圧測定処理の処理フローチャートである。
図5図5は、セルバランス処理の処理フローチャートである。
図6図6は、第2実施形態の電池システムの概要構成ブロック図である。
図7図7は、第2実施形態の組電池システムの概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に図面を参照して実施形態について説明する。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態の電池システムの概要構成ブロック図である。
電池システム10は、充電器等の外部装置11から高電位側端子TH及び低電位側端子TLを介して電力の供給を受けて充電がなされるとともに、負荷等の外部装置11に蓄えた電力を高電位側端子TH及び低電位側端子TLを介して供給する組電池システム12と、を備えている。
【0017】
組電池システム12は、複数の電池セルを備えた電池ブロック21と、電池ブロック21を構成している電池セルの電圧を検知し、電池セルの蓄電容量(蓄電残量)の偏りを解消するセルバランス処理を行うセル電圧検知/バランス回路22と、セル電圧検知/バランス回路22に外付けされ、電池ブロック21を構成している電池セルの容量よりも小さな容量を有し、電池セルの電圧検出に用いるコンデンサC1と、コンデンサC1よりも大容量のコンデンサC2と、を備えている。
【0018】
ここで、コンデンサC1において、電池ブロック21を構成している電池セルの容量よりも小さな容量とは、空の状態のコンデンサC1を、電池ブロック21を構成している満充電状態の電池セルに接続したとしても、接続配線に突入電流と呼ばれる大電流が流れ込むことがない程度の容量をいい、適宜設定される。
【0019】
上記構成において、セル電圧/バランス回路22、後述の接続切替部31、後述のコントローラ39、第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2は、電圧均等化装置を構成している。
【0020】
図2は、第1実施形態の組電池システムの概要構成図である。
組電池システム12の電池ブロック21は、例えば、図2に示すように、低電位側端子TLと高電位側端子THとの間に、低電位側から高電位側に向かって電池セルCL1〜CL5が直列に接続されている。
【0021】
低電位側端子TLと電池セルCL1の負極端子との接続点は、セル電圧検知/バランス回路22のVSS端子TVSSを介して接地されている。
電池セルCL1の正極端子と電池セルCL2の負極端子との接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路22の第1入力端子VIN1に接続されている。
電池セルCL2の正極端子と電池セルCL3の負極端子との接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路22の第2入力端子VIN2に接続されている。
【0022】
電池セルCL3の正極端子と電池セルCL4の負極端子との接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路22の第3入力端子VIN3に接続されている。
電池セルCL4の正極端子と電池セルCL5の負極端子との接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路22の第4入力端子VIN4に接続されている。
電池セルCL5の正極端子と高電位側端子THとの接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路22の第5入力端子VIN5に接続されている。さらに電池セルCL5の正極端子と高電位側端子THとの接続点は、電流制限抵抗Rと並列な配線を介してセル電圧検知/バランス回路22の電源端子VCCに接続されている。
【0023】
セル電圧検知/バランス回路22は、大別すると、電圧測定対象、充電対象あるいは放電対象の電池セルを選択的に切り替えて接続する接続切替部31と、電池ブロック21の温度に応じた信号を出力する温度センサ32と、温度センサ32の出力信号に基づいて電池ブロック21の温度を検知する温度検知回路33と、供給された電源VCCの電圧を昇圧して各部に出力する昇圧回路34と、電源電圧VCCを安定化して安定化電源VDDとして各部に出力するVDDレギュレータ35と、コンデンサC1の蓄電電圧に相当する電圧を出力するバッファアンプ36と、電源電圧VCCから内部基準電圧を生成して出力する内部基準電圧源37と、内部基準電圧源37の出力した内部基準電圧に基づいてバッファアンプ36の出力電圧のアナログ/ディジタル変換を行って電圧データとして出力するADコンバータ38と、ADコンバータ38の出力に基づいて接続切替部31の制御を含むセル電圧検知/バランス回路22全体の制御を行うコントローラ39と、外部との間で通信を行う第1通信インタフェース40及び第2通信インタフェース41と、を備えている。
上記構成において、バッファアンプ36、内部基準電圧源37及びADコンバータ38は、電圧測定部を構成している。
【0024】
上記構成において、接続切替部31は、第1高電位側スイッチSH1〜第5高電位側スイッチSH5、第1低電位側スイッチSL1〜第4低電位側スイッチSL4、接地スイッチSL0、電流制限抵抗R1、電圧検出スイッチSAD及びセルバランススイッチSCBを備えている。
【0025】
また、コンデンサC1は、コンデンサ接続端子HCPとコンデンサ接続端子HCNとの間に接続されている。
同様にコンデンサC2は、コンデンサ接続端子HCNとコンデンサ接続端子BCとの間に接続され、結果としてコンデンサC1と、コンデンサC2とは、並列に接続されている。
さらにコントローラ39は、接続切替部31を制御する制御部として機能し、ロジック回路として構成されている。
【0026】
次に実施形態の動作について説明する。
図3は、実施形態のセル電圧検知/バランス回路の処理フローチャートである。
初期状態において、第1高電位側スイッチSH1〜第5高電位側スイッチSH5、第1低電位側スイッチSL1〜第5低電位側スイッチSL5、接地スイッチSL0、電圧検出スイッチSAD及びセルバランススイッチSCBは、全て開状態(オフ状態)にあるものとする。
【0027】
また、コンデンサC1及びコンデンサC2は、非蓄電状態(電荷=0の状態)にあるものとする。
まず、セル電圧検知/バランス回路22のコントローラ39は、セル電圧測定処理を行う(ステップS11)。
【0028】
図4は、セル電圧測定処理の処理フローチャートである。
まず、コントローラ39は、電圧測定対象の電池セルCL1〜CL5のいずれかを特定するためのパラメータn=1とする(ステップS21)。
次にコントローラ39は、低電位側から第n番目、すなわち、第1番目の電池セルCL1を、図4中で小容量コンデンサと表記するコンデンサC1に接続する(ステップS22)。
具体的には、コントローラ39は、第1高電位側スイッチSH1及び接地スイッチSL0を閉状態(オン状態)とする。
【0029】
続いて、コントローラ39は、コンデンサC1が電池セルCL1により充電されるのに十分なセトリング時間が経過したか否かを判別する(ステップS23)。
ステップS23の判別において、コンデンサC1が電池セルCL1により充電されるのに十分なセトリング時間が経過していない場合には(ステップS23;No)、待機状態となる。
【0030】
ステップS23の判別において、コンデンサC1が電池セルCL1により充電されるのに十分なセトリング時間が経過した場合には(ステップS23;Yes)、コントローラ39は、電池セルCL1からコンデンサC1を切り離す(ステップS24)。
具体的には、コントローラ39は、第1高電位側スイッチSH1及び接地スイッチSL0を開状態(オフ状態)とする。
【0031】
続いて、コントローラ39は、コンデンサC1をバッファアンプ36に接続し、電池セルCL1の電圧に相当する電圧を測定する(ステップS25)。
具体的には、コントローラ39は、電圧検出スイッチSAD及び接地スイッチSL0を閉状態(オン状態)とする。これにより、バッファアンプ36の非反転入力端子の電圧は、コンデンサC1の蓄電電圧、すなわち、電池セルCL1の電圧と等しくなる。このとき、バッファアンプ36の入力抵抗は高く設定されているので、誤差を生じることなく、入力電圧に相当する出力電圧がADコンバータ38に出力される。これにより、ADコンバータ38は、内部基準電圧源37の出力した内部基準電圧に基づいて電池セルCL1の電圧のアナログ/ディジタル変換を行いディジタル電圧データ(電圧測定データ)としてコントローラ39に出力する。
【0032】
これによりコントローラ39は、ディジタル電圧データを図示しない内蔵メモリに記憶する(ステップS26)。
続いてコントローラ39は、パラメータnに1を加算し(ステップS27)、パラメータnの値が、電池セル数を超えているか否かを判別する(ステップS28)。
【0033】
この場合においては、パラメータn=2であり、電池セル数=5を超えていないので(ステップS28;No)、コントローラ39は、電圧検出スイッチSAD及び接地スイッチSL0を開状態(オフ状態)とし、処理を再びステップS22に移行する。
すなわち、コントローラ39は、第2番目の電池セルCL2を、第2高電位側スイッチSH2及び接地スイッチSL0を閉状態(オン状態)としてコンデンサC1に接続する(ステップS22)。
【0034】
ところで、この場合においては、コンデンサC1は、電池セルCL1の電圧に相当する電圧となっている。しかしながら、電池セルCL2の容量は、コンデンサC1の容量と比較して、十分に大きいので(電池セルCL2の容量>>コンデンサC1の容量)、もし仮に電池セルCL2の電圧が電池セルCL1の電圧よりも低い場合でも、電池セルCL2の電圧測定におけるコンデンサC1による充電電力の影響を無視可能な程度となっている(以下、同様)。
【0035】
そして、コントローラ39は、コンデンサC1が電池セルCL2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過したか否かを判別し(ステップS23)、コンデンサC1が電池セルCL2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過した場合には(ステップS23;Yes)、コントローラ39は、第2高電位側スイッチSH2及び接地スイッチSL0を開状態(オフ状態)として、電池セルCL2からコンデンサC1を切り離す(ステップS24)。
【0036】
続いて、コントローラ39は、電圧検出スイッチSAD及び接地スイッチSL0を閉状態(オン状態)としてコンデンサC1をバッファアンプ36に接続し、電池セルCL1の電圧に相当する電圧を測定し(ステップS25)、ディジタル電圧データを図示しない内蔵メモリに記憶する(ステップS26)。
【0037】
続いてコントローラ39は、パラメータnに1を加算し(ステップS27)、パラメータnの値が、電池セル数(本実施形態では、5個)を超えているか否かを判別し(ステップS28)、電池セル数=5を超えていないので(ステップS28;No)、コントローラ39は、電圧検出スイッチSAD及び接地スイッチSL0を開状態(オフ状態)とし、処理を再びステップS22に移行する。
【0038】
以下、同様にして、第3高電位側スイッチSH3、接地スイッチSL0及び電圧検出スイッチSADを順次制御して、第3番目の電池セルである電池セルCL3の電圧を測定し、ディジタル電圧データを記憶し、第4高電位側スイッチSH4、接地スイッチSL0及び電圧検出スイッチSADを順次制御して、第4番目の電池セルである電池セルCL4の電圧を測定し、ディジタル電圧データを記憶し、第5高電位側スイッチSH5、接地スイッチSL0及び電圧検出スイッチSADを順次制御して、第5番目の電池セルである電池セルCL5の電圧を測定し、ディジタル電圧データを記憶する(ステップS26)。
【0039】
続いてコントローラ39は、パラメータnに1を加算し(ステップS27)、パラメータnの値が、電池セル数を超えているか否かを判別する(ステップS28)。
この場合においては、パラメータn=6となっており、電池セル数=5を超えているので(ステップS28;Yes)、コントローラ39は、電圧検出スイッチSAD及び接地スイッチSL0を開状態(オフ状態)としてセル電圧測定処理を終了し、セルバランス処理が完了したか否かを判別する(ステップS12)。
この場合には、未だセルバランス処理が完了していないため(ステップS12;No)、コントローラ39は、処理をセルバランス処理(ステップS13)に移行する。
【0040】
図5は、セルバランス処理の処理フローチャートである。
ここで、図5に示すセルバランス処理は、電圧均等化方法に相当している。
まず、コントローラ39は、記憶したディジタル電圧データに基づいて、全電池セルCL1〜CL5のうち、最も電圧が高い電池セルを電荷転送元電池セルとし、最も電圧が低い電池セルを電荷転送先電池セルとする(ステップS31)。
【0041】
以下の説明においては、最も電圧が高い電池セルが電池セルCL2であり、最も電圧が低い電池セルが電池セルCL4であったものとする。
したがって、電池セルCL2が電荷転送元電池セルであり、電池セルCL4が電荷転送先電池セルであったものとする。
【0042】
まず、コントローラ39は、電荷転送元電池セルである電池セルCL2を小容量コンデンサであるコンデンサC1に接続する(ステップS32)。
具体的には、第2高電位側スイッチSH2及び接地スイッチSL0を閉状態(オン状態)としてコンデンサC1に接続する。
続いて、コントローラ39は、コンデンサC1が電池セルCL2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過したか否かを判別する(ステップS33)。
【0043】
ステップS33の判別において、コンデンサC1が電池セルCL2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過していない場合には(ステップS33;No)、待機状態となる。
ステップS33の判別において、コンデンサC1が電池セルCL2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過した場合には(ステップS33;Yes)、コントローラ39は、全スイッチを開状態(オフ状態)とし、電池セルCL2からコンデンサC1を切り離す(ステップS34)。
【0044】
続いてコントローラ39は、大容量コンデンサであるコンデンサC2と小容量コンデンサであるコンデンサC1とを接続する(ステップS35)。これによりコンデンサC2は、突入電流を抑制した初期充電が行われることとなる。
次にコントローラ39は、大容量コンデンサであるコンデンサC2をバッファアンプ36に接続し電圧測定を行う(ステップS36)。
具体的には、コントローラ39は、電圧検出スイッチSAD及び接地スイッチSL0を閉状態(オン状態)としてコンデンサC2をバッファアンプ36に接続し、コンデンサC2の電圧を測定する。
【0045】
続いてコントローラ39は、大容量コンデンサであるコンデンサC2のコンデンサC1による充電が完了したか否か、すなわち、コンデンサC2の電圧が、セル電圧測定処理S11で測定した電池セルCL2の電圧に等しくなっているか否かを判別する(ステップS37)。すなわち、コンデンサC2の初期充電が完了したか否かを判別することとなる。
ステップS37の判別において、未だ大容量コンデンサであるコンデンサC2のコンデンサC1による充電(初期充電)が完了していない場合には(ステップS37;No)、コントローラ39は、処理を再びステップS32に移行し、充電(初期充電)を継続する。
【0046】
ステップS37の判別において、大容量コンデンサであるコンデンサC2のコンデンサC1による充電(初期充電)が完了した場合には(ステップS37;Yes)、コントローラ39は、電荷転送先電池セルである電池セルCL4を大容量コンデンサであるコンデンサC2に接続する(ステップS38)。
【0047】
具体的には、コントローラ39は、全スイッチを開状態(オフ状態)とし、第3低電位側スイッチSL3、第4高電位側スイッチSH4及びセルバランススイッチSCBを閉状態(オン状態)とする。これにより、コンデンサC2の電荷は、電荷転送先電池セルである電池セルCL4に転送され、電池セルCL4とコンデンサC2の容量差及び電圧差に応じて電池セルCL4の電圧が上昇する。
【0048】
続いてコントローラ39は、電池セルCL4がコンデンサC2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過したか否かを判別する(ステップS39)。
ステップS39の判別において、電池セルCL4がコンデンサC2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過していない場合には(ステップS39;No)、コントローラ39は、待機状態となる。
【0049】
ステップS39の判別において、電池セルCL4がコンデンサC2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過した場合には(ステップS39;Yes)、コントローラ39は、全スイッチを開状態(オフ状態)とし、電荷転送元電池セルである電池セルCL2及び電荷転送先電池セルである電池セルCL4の電圧測定を行う(ステップS40)。
【0050】
具体的には、図4のステップS22〜ステップS25の処理を電池セルCL2及び電池セルCL4のそれぞれについて行う。
続いて、コントローラ39は、電荷転送元電池セルである電池セルCL2及び電荷転送先電池セルである電池セルCL4に対応するディジタル電圧データを測定結果として図示しない内蔵メモリにそれぞれ記憶する(ステップS41)。
【0051】
続いてコントローラ39は、電荷転送元電池セルである電池セルCL2の電圧と、電荷転送先電池セルである電池セルCL4の電圧と、を比較し、電圧差が既定値以下であるか否かを判別する(ステップS42)。
ステップS42の判別において、電荷転送元電池セルである電池セルCL2の電圧と、電荷転送先電池セルである電池セルCL4の電圧との電圧差が既定値を超えている場合には(ステップS42;No)、電荷の転送が完了していないので、コントローラ39は、
コンデンサC2を電荷転送元電池セルである電池セルCL2に接続する(ステップS43)。
【0052】
具体的には、コントローラ39は、全スイッチを開状態(オフ状態)とし、第1低電位側スイッチSL1、第2高電位側スイッチSH2及びセルバランススイッチSCBを閉状態(オン状態)とする。
したがって、これ以降は、コンデンサC2の充電は、コンデンサC1を介することなく、電池セルCL2により直接充電がなされる。この場合において、コンデンサC2の初期電圧は、電池セルCL4の電圧と同じとなっているため、コンデンサC2が空の初期状態とは異なり、突入電流が発生する虞はない。
【0053】
続いてコントローラ39は、大容量コンデンサであるコンデンサC2が電荷転送元セルである電池セルCL2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過したか否かを判別する(ステップS44)。
ステップS44の判別において、コンデンサC2が電池セルCL2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過していない場合には(ステップS44;No)、コントローラ39は、待機状態となる。
【0054】
ステップS44の判別において、コンデンサC2が電池セルCL2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過した場合には(ステップS44;Yes)、コントローラ39は、再び大容量コンデンサであるコンデンサC2により電荷転送先セルである電池セルCL4を充電するために、電荷転送先電池セルである電池セルCL4を大容量コンデンサであるコンデンサC2に接続する(ステップS38)。
【0055】
これにより、再びコンデンサC2の電荷は、電荷転送先電池セルである電池セルCL4に転送され、電池セルCL4とコンデンサC2の容量差及び電圧差に応じて電池セルCL4の電圧が上昇する。
【0056】
続いてコントローラ39は、電池セルCL4がコンデンサC2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過したか否かを判別する(ステップS39)。
ステップS39の判別において、電池セルCL4がコンデンサC2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過していない場合には(ステップS39;No)、コントローラ39は、待機状態となる。
【0057】
ステップS39の判別において、電池セルCL4がコンデンサC2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過した場合には(ステップS39;Yes)、コントローラ39は、全スイッチを開状態(オフ状態)とし、電荷転送元電池セルである電池セルCL2及び電荷転送先電池セルである電池セルCL4の電圧測定を行う(ステップS40)。
【0058】
続いて、コントローラ39は、電荷転送元電池セルである電池セルCL2及び電荷転送先電池セルである電池セルCL4に対応するディジタル電圧データを測定結果として図示しない内蔵メモリにそれぞれ記憶する(ステップS41)。
【0059】
次にコントローラ39は、電荷転送元電池セルである電池セルCL2の電圧と、電荷転送先電池セルである電池セルCL4の電圧と、を比較し、電圧差が既定値以下であるか否かを判別する(ステップS42)。
ステップS42の判別において、電荷転送元電池セルである電池セルCL2の電圧と、電荷転送先電池セルである電池セルCL4の電圧との電圧差が既定値を超えている場合には、再び処理をステップS43に移行し、以下、同様の処理(ステップS43、ステップS44、ステップS38〜ステップS42)を繰り返すこととなる。
【0060】
一方、ステップS42の判別において、電荷転送元電池セルである電池セルCL2の電圧と、電荷転送先電池セルである電池セルCL4の電圧との電圧差が既定値以下である場合には(ステップS42;Yes)、電荷転送元電池セルである電池セルCL2と、電荷転送先電池セルである電池セルCL4との間でのセルバランス処理は完了したので、処理を再びステップS11に移行する。
【0061】
そして、以下同様の処理(ステップS11〜ステップS13)を繰り返し、全ての電池セルCL1〜CL5の電圧差が、規定値以下となるセルバランス処理終了条件を満たすと(ステップS12;Yes)、処理を終了する。
【0062】
以上の説明のように、第1実施形態によれば、初期状態であるコンデンサC2が空の状態においては、コンデンサC1を介して電荷転送元電池セルによる充電(初期充電)を行い、一旦コンデンサC2が充電された後は、電荷転送元電池セルによりコンデンサC2に直接充電がなされるように構成しているので、突入電流が発生することがないため、第1高電位側スイッチSH1〜第5高電位側スイッチSH5、第1低電位側スイッチSL1〜第5低電位側スイッチSL5、接地スイッチSL0、電圧検出スイッチSAD及びセルバランススイッチSCB等や、配線として電流容量の大きなものを用いる必要がなく、セル電圧検知/バランス回路22の小型化、ひいては、組電池システム12全体の小型化を図ることが可能となる。
さらに大容量のコンデンサC2の初期充電を行うためのコンデンサと、電池セルの電圧測定に用いるコンデンサと、を小容量のコンデンサC1で兼用しているため、装置の小型化が図れるとともに、セルバランス処理の処理時間を短縮することができる。
【0063】
[2]第2実施形態
上記第1実施形態においては、一つの電池ブロック21を有する電池システム10について説明したが、より高い電圧が必要とされる場合には、複数の電池ブロックを直列に接続して電池システムを構築することが考えられる。
【0064】
この場合には、使用するスイッチの耐電圧の関係から電池ブロック毎にセルバランス処理を行うこととなる。
しかし、単純にこのような構成を採った場合には、電池ブロック間では、電圧バランスが図れなくなり、電池システム全体の電圧バランスを取るためには、高い電圧値を有するブロックについて、放電を行えるように別途、パッシブなブロックバランス回路を設ける必要が生じ、装置コストの増大を招くとともに、省エネルギーの観点からも望ましくない。
【0065】
そこで、本第2実施形態は、電池ブロック間でもセルバランスをアクティブに行うことが可能な実施形態である。
図6は、第2実施形態の電池システムの概要構成ブロック図である。
電池システム50は、充電器等の外部装置11から高電位側端子TH及び低電位側端子TLを介して電力の供給を受けて充電がなされるとともに、負荷等の外部装置11に蓄えた電力を高電位側端子TH及び低電位側端子TLを介して供給する組電池システム55を備えている。
【0066】
組電池システム55は、複数の電池セルを備えた複数の電池ブロック51−1、51−2と、電池ブロック51−1、51−2を構成している電池セルの電圧を検知し、電池セルの蓄電容量(蓄電残量)の偏りを解消するセルバランス処理を行う複数のセル電圧検知/バランス回路52−1、52−2と、複数のセル電圧検知/バランス回路52−1、52−2のそれぞれに外付けされ、各電池ブロック51−1、51−2を構成している電池セルの容量と比較して、比較的小容量で電池セルの電圧検出に用いるコンデンサC1と、コンデンサC1より大容量のコンデンサC2と、を備えている。
【0067】
ここで、第1の電池ブロックである電池ブロック51−1と第2の電池ブロックである電池ブロック51−2とは、直列に接続されている。
上記構成において、セル電圧検知/バランス回路52−1、接続切替部61、コントローラ69、セル電圧検知/バランス回路52−1に接続された第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2は、電圧均等化装置を構成している。
【0068】
また、セル電圧検知/バランス回路52−2、接続切替部81、コントローラ89、セル電圧検知/バランス回路52−1に接続された第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2は、高電位側の他の電圧均等化装置を構成している。
【0069】
図7は、第2実施形態の組電池システムの概要構成図である。
組電池システム55の電池ブロック51−1は、例えば、図7に示すように、低電位側端子TLと高電位側端子THとの間に、低電位側から高電位側に向かって電池セルCL1〜CL5が直列に接続されている。
【0070】
低電位側端子TLと電池セルCL1の負極端子との接続点は、セル電圧検知/バランス回路52−1のVSS端子VSSaを介して接地されている。
電池セルCL1の正極端子と電池セルCL2の負極端子との接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路52−1の第1入力端子VIN1aに接続されている。
【0071】
電池セルCL2の正極端子と電池セルCL3の負極端子との接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路52−1の第2入力端子VIN2aに接続されている。
電池セルCL3の正極端子と電池セルCL4の負極端子との接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路52−1の第3入力端子VIN3aに接続されている。
【0072】
電池セルCL4の正極端子と電池セルCL5の負極端子との接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路52−1の第4入力端子VIN4aに接続されている。
【0073】
電池セルCL5の正極端子と電池セルCL6の負極端子との接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路22の第5入力端子VIN5aに接続されている。さらに電池セルCL5の正極端子と高電位側端子THとの接続点は、電流制限抵抗Rと並列な配線を介してセル電圧検知/バランス回路52−1の電源端子VCCaに接続されている。
【0074】
同様に、組電池システム55の電池ブロック51−2は、例えば、図7に示すように、低電位側端子TLと高電位側端子THとの間に、低電位側から高電位側に向かって電池セルCL6〜CL10が直列に接続されている。また、電池セルCL6の負極端子は、電池ブロック51−1の電池セルCL5の正極端子に接続されている。
【0075】
電池セルCL6の負極端子と電池セルCL5正極端子の接続点は、セル電圧検知/バランス回路52−2のVSS端子VSSbを介して接地されている。
電池セルCL6の正極端子と電池セルCL7の負極端子との接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路52−2の第1入力端子VIN1bに接続されている。
【0076】
電池セルCL7の正極端子と電池セルCL8の負極端子との接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路52−2の第2入力端子VIN2bに接続されている。
電池セルCL8の正極端子と電池セルCL9の負極端子との接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路52−2の第3入力端子VIN3bに接続されている。
【0077】
電池セルCL9の正極端子と電池セルCL10の負極端子との接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路52−2の第4入力端子VIN4bに接続されている。
【0078】
電池セルCL10の正極端子と高電位側端子THとの接続点は、電流制限抵抗Rを介してセル電圧検知/バランス回路52−2の第5入力端子VIN5bに接続されている。さらに電池セルCL5の正極端子と高電位側端子THとの接続点は、電流制限抵抗Rと並列な配線を介してセル電圧検知/バランス回路52−2の電源端子VCCbに接続されている。
【0079】
セル電圧検知/バランス回路52−1は、大別すると、電圧測定対象、充電対象あるいは放電対象の電池セルを選択的に切り替えて接続する接続切替部61と、電池ブロック51−1の温度に応じた信号を出力する温度センサ62と、温度センサ62の出力信号に基づいて電池ブロック51−1の温度を検知する温度検知回路63と、供給された電源電圧VCCaを昇圧して各部に出力する昇圧回路64と、電源電圧VCCaを安定化して安定化電源VDDaとして各部に出力するVDDレギュレータ65と、コンデンサC1の蓄電電圧に相当する電圧を出力するバッファアンプ66と、電源電圧VCCaから内部基準電圧を生成して出力する内部基準電圧源67と、内部基準電圧源67の出力した内部基準電圧に基づいてバッファアンプ66の出力電圧のアナログ/ディジタル変換を行って電圧データとして出力するADコンバータ68と、ADコンバータ68の出力に基づいて接続切替部31の制御を含むセル電圧検知/バランス回路52−1全体の制御を行うコントローラ69と、外部との間で通信を行う第1通信インタフェース70及び第2通信インタフェース71と、を備えている。
【0080】
上記構成において、接続切替部61は、第1高電位側スイッチSH1a〜第6高電位側スイッチSH6a、第1低電位側スイッチSL1a〜第5低電位側スイッチSL5a、接地スイッチSL0a、電流制限抵抗R1a、電圧検出スイッチSADa及びセルバランススイッチSCBaを備えている。
また、バッファアンプ66、内部基準電圧源67及びADコンバータ68は、電圧測定部を構成している。
また、コンデンサC1は、コンデンサ接続端子HCPaとコンデンサ接続端子HCNaとの間に接続され、コンデンサC2は、コンデンサ接続端子HCNaとコンデンサ接続端子BCaとの間に接続され、結果としてコンデンサC1と、コンデンサC2とは、並列に接続されている。
【0081】
同様に、セル電圧検知/バランス回路52−2は、大別すると、電圧測定対象、充電対象あるいは放電対象の電池セルを選択的に切り替えて接続する接続切替部81と、電池ブロック51−2の温度に応じた信号を出力する温度センサ82と、温度センサ82の出力信号に基づいて電池ブロック51−2の温度を検知する温度検知回路83と、供給された電源VCCbの電圧を昇圧して各部に出力する昇圧回路84と、電源電圧VCCbを安定化して安定化電源VDDbとして各部に出力するVDDレギュレータ85と、コンデンサC1の蓄電電圧に相当する電圧を出力するバッファアンプ86と、電源電圧VCCbから内部基準電圧を生成して出力する内部基準電圧源87と、内部基準電圧源87の出力した内部基準電圧に基づいてバッファアンプ86の出力電圧のアナログ/ディジタル変換を行って電圧データとして出力するADコンバータ88と、ADコンバータ88の出力に基づいて接続切替部81の制御を含むセル電圧検知/バランス回路52−2全体の制御を行うコントローラ89と、外部との間で通信を行う第1通信インタフェース90及び第2通信インタフェース91と、を備えている。
【0082】
上記構成において、接続切替部81は、第1高電位側スイッチSH1b〜第6高電位側スイッチSH6b、第1低電位側スイッチSL1b〜第5低電位側スイッチSL5b、接地スイッチSL0b、電流制限抵抗R1b、電圧検出スイッチSADb及びセルバランススイッチSCBbを備えている。
また、バッファアンプ86、内部基準電圧源87及びADコンバータ88は、電圧測定部を構成している。
また、コンデンサC1は、コンデンサ接続端子HCPbとコンデンサ接続端子HCNbとの間に接続され、コンデンサC2は、コンデンサ接続端子HCNbとコンデンサ接続端子BCbとの間に接続され、結果としてコンデンサC1と、コンデンサC2とは、並列に接続されている。
【0083】
次に第2実施形態の動作について説明する。
第2実施形態の動作は、基本的には、第1実施形態の動作と同様であるので、再び図4及び図5を参照して、主要な動作部分についてのみ説明する。
セル電圧検知/バランス回路52−1は、図4に示した処理手順に従い、第1実施形態と同様に、電池セルCL1〜CL5の電圧を測定し、ディジタル電圧データを記憶する。
【0084】
さらにセル電圧検知/バランス回路52−1は、第6高電位側スイッチSH6a、接地スイッチSL0a及び電圧検出スイッチSADaを順次制御して、電池ブロック51−2の第1番目の電池セルである電池セルCL6の電圧を測定し、ディジタル電圧データを記憶する。
【0085】
一方、セル電圧検知/バランス回路52−2は、図4に示した処理手順に従い、第1実施形態と同様に、電池セルCL6〜CL10の電圧を測定し、ディジタル電圧データを記憶する。
そして、セル電圧検知/バランス回路52−1及びセル電圧検知/バランス回路52−2は、未だセルバランス処理が完了していないためセルバランス処理(ステップS13)に移行する。
【0086】
次に再び図5を参照してセルバランス処理について説明する。
以下の説明においては、主として、セル電圧検知/バランス回路52−1の動作についてのみ説明する。
まず、セル電圧検知/バランス回路52−1のコントローラ69は、記憶したディジタル電圧データに基づいて、全電池セルCL1〜CL5及び電池ブロック51−2の電池セルCL6のうち、最も電圧が高い電池セルを電荷転送元電池セルとし、最も電圧が低い電池セルを電荷転送先電池セルとする(ステップS31)。
【0087】
以下の説明においては、最も電圧が高い電池セルが電池セルCL2であり、最も電圧が低い電池セルが電池セルCL6であったものとする。
したがって、電池セルCL2が電荷転送元電池セルであり、電池セルCL6が電荷転送先セルであったものとする。
【0088】
まず、セル電圧検知/バランス回路52−1のコントローラ69は、電荷転送元電池セルである電池セルCL2を小容量コンデンサであるコンデンサC1に接続する(ステップS32)。
【0089】
続いて、コントローラ69は、ステップS32〜ステップS37の処理を行い、大容量コンデンサであるコンデンサC2のコンデンサC1による充電が完了した場合には(ステップS37;Yes)、コントローラ69は、電荷転送先電池セルである電池ブロック51−2の電池セルCL6を大容量コンデンサであるコンデンサC2に接続する(ステップS38)。
【0090】
具体的には、コントローラ69は、全スイッチを開状態(オフ状態)とし、第5低電位側スイッチSL5a、第6高電位側スイッチSH6a及びセルバランススイッチSCBaを閉状態(オン状態)とする。これにより、コンデンサC2の電荷は、電荷転送先電池セルである電池セルCL6に転送され、電池セルCL6とコンデンサC2の容量差及び電圧差に応じて電池セルCL6の電圧が上昇する。
【0091】
続いてコントローラ69は、電池セルCL6がコンデンサC2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過したか否かを判別し(ステップS39)、電池セルCL6がコンデンサC2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過した場合には(ステップS39;Yes)、コントローラ69は、全スイッチを開状態(オフ状態)とし、電荷転送元電池セルである電池セルCL2及び電荷転送先電池セルである電池セルCL6の電圧測定を行う(ステップS40)。
【0092】
続いて、コントローラ69は、電荷転送元電池セルである電池セルCL2及び電荷転送先電池セルである電池セルCL6に対応するディジタル電圧データを測定結果として図示しない内蔵メモリにそれぞれ記憶する(ステップS41)。
続いてコントローラ69は、電荷転送元電池セルである電池セルCL2の電圧と、電荷転送先電池セルである電池セルCL6の電圧と、を比較し、電圧差が既定値以下であるか否かを判別する(ステップS42)。
【0093】
ステップS42の判別において、電荷転送元電池セルである電池セルCL2の電圧と、電荷転送先電池セルである電池セルCL6の電圧との電圧差が既定値を超えている場合には(ステップS42;No)、電荷の転送が完了していないので、コントローラ69は、
コンデンサC2を電荷転送元電池セルである電池セルCL2に接続する(ステップS43)。
【0094】
次にコントローラ69は、処理を再びステップS36に移行し、大容量コンデンサであるコンデンサC2をバッファアンプ36に接続し電圧測定を行う(ステップS36)。
続いてコントローラ69は、大容量コンデンサであるコンデンサC2のコンデンサC1による充電が完了したか否か、すなわち、コンデンサC2の電圧が、ステップS40で測定した電池セルCL2の電圧に等しくなっているか否かを判別する(ステップS37)。
【0095】
ステップS37の判別において、未だ大容量コンデンサであるコンデンサC2の電池セルCL2による充電が完了していない場合には、コントローラ69は、待機状態となる。
ステップS37の判別において、大容量コンデンサであるコンデンサC2の電池セルCL2による充電が完了した場合には(ステップS37;Yes)、コントローラ69は、電荷転送先電池セルである電池セルCL6を大容量コンデンサであるコンデンサC2に接続する(ステップS38)。
【0096】
これにより、コンデンサC2の電荷は、転送先セルである電池セルCL6に転送され、電池セルCL6とコンデンサC2の容量差及び電圧差に応じて電池セルCL6の電圧が上昇する。
続いてコントローラ69は、電池セルCL6がコンデンサC2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過したか否かを判別し(ステップS39)、電池セルCL6がコンデンサC2により充電されるのに十分なセトリング時間が経過した場合には(ステップS39;Yes)、コントローラ69は、全スイッチを開状態(オフ状態)とし、電荷転送元電池セルである電池セルCL2及び電荷転送先電池セルである電池セルCL6の電圧測定を行う(ステップS40)。
【0097】
続いて、コントローラ69は、電荷転送元電池セルである電池セルCL2及び電荷転送先電池セルである電池セルCL6に対応するディジタル電圧データを測定結果として図示しない内蔵メモリにそれぞれ記憶する(ステップS41)。
【0098】
続いてコントローラ69は、電荷転送元電池セルである電池セルCL2の電圧と、電荷転送先電池セルである電池セルCL6の電圧と、を比較し、電圧差が既定値以下であるか否かを判別する(ステップS42)。
ステップS42の判別において、電荷転送元電池セルである電池セルCL2の電圧と、電荷転送先電池セルである電池セルCL6の電圧との電圧差が既定値を超えている場合には、ステップS43、ステップS44の処理を経て、コンデンサC2が電池セルCL2により直接充電がなされた後、再び処理をステップS38に移行し、以下、同様の処理を繰り返すこととなる。
【0099】
一方、ステップS42の判別において、電荷転送元電池セルである電池セルCL2の電圧と、電荷転送先電池セルである電池セルCL6の電圧との電圧差が既定値以下である場合には(ステップS42;Yes)、電荷転送元電池セルである電池セルCL2と、電荷転送先電池セルである電池セルCL6との間でのセルバランス処理は完了したので、処理を再びステップS11に移行する。
【0100】
そして、以下同様の処理(ステップS11〜ステップS13)を繰り返し、全ての電池セルCL1〜CL5及び電池ブロック51−2の電池セルCL6の電圧差が、規定値以下となるセルバランス処理終了条件を満たすと(ステップS12;Yes)、処理を終了することとなる。
【0101】
しかしながら、これと並行して電池ブロック51−2においても、独自にセルバランス処理が行われているので、再び電池ブロック51−2の電池セルCL6の電圧差が生じた場合には、セルバランス処理を継続することとなる。
すなわち、電池ブロック51−1及び電池ブロック51−2の間でもブロックを超えてセルバランス処理が働くこととなる。
【0102】
これらの結果、セルバランス処理が進行し、電池ブロック51−1を構成している電池セルCL1〜CL5及び電池ブロック51−2を構成している電池セルCL6〜CL10の電圧差が、規定値以下となるセルバランス処理終了条件を満たすと(ステップS12;Yes)、処理を終了する。
【0103】
以上の説明のように、第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、複数の電池ブロックを有する場合でも、電池ブロック全体のセルバランスを図ることが可能となる。
【0104】
以上、本発明を実施形態をもとに説明したが、これらの実施形態は例示であり、それらの各構成要素及びその組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0105】
以上の説明においては、小容量のコンデンサとしてのコンデンサC1を用いてコンデンサC2の初期充電を行う場合に、電荷転送元電池セルとしての高電圧側の電池セルによりコンデンサC1を充電して、コンデンサC2の初期充電を行う構成としていたが、電荷転送先の低電圧側の電池セルによりコンデンサC1を充電して、コンデンサC2の初期充電を行う構成とすることも可能である。
【0106】
以上の説明においては、最も電圧が高い電池セルと最も電圧が低い電池セルをコンデンサC2を介して接続してセルバランスをとる構成を採っていたが、従来と同様に低電位側の電池セルから順番にコンデンサC2を介してセルバランスをとる構成を採ったり、最大電圧の電池セル→最小電圧の電池セル、第2番目に電圧が高い電池セル→第2番目に電圧が低い電池セル、…という風に予め所定の順番を決めてコンデンサC2を介してセルバランスをとったりするように構成することも可能である。
【0107】
以上の説明においては、コントローラ39、69、89は、ロジック回路として構成していたが、CPU、ROM、RAM、通信インタフェース、入出力ポート等を搭載したマイクロプロセッサユニット(MPU)として構成し、制御プログラムにより動作させるように構成することも可能である。
【0108】
以上の説明においては、接続切替部31、61、81を構成している複数のスイッチ、すなわち、複数の電池セルのうちいずれか一つの電池セル、コンデンサC1(第1のコンデンサ)あるいはコンデンサC2(第2のコンデンサ)のうち、いずれか二つを選択的に同時接続可能な複数のスイッチのそれぞれの構成については、詳細に述べなかったが、MOSFETのように半導体スイッチを用いるように構成することも可能である。この構成によれば、一層の装置の小型化が図れる。
さらにセル電圧検知/バランス回路22、52−1、52−2全体(=接続切替部及び制御部に相当)を半導体ICとして構成することも可能である。この構成によれば、より一層の装置の小型化が図れる。
【符号の説明】
【0109】
10、50 電池システム
11 外部装置
12、55 組電池システム
21 電池ブロック
22、52−1、52−2 セル電圧検知/バランス回路(電圧均等化装置)
31、61、81 接続切替部(切替制御部、電圧均等化装置)
32、62、82 温度センサ
36、66、86 バッファアンプ(電圧測定部)
37、67、87 内部基準電圧源(電圧測定部)
38、68、88 ADコンバータ(電圧測定部)
39、69、89 コントローラ(制御部、切替制御部、電圧均等化装置)
51−1 電池ブロック(第1の電池ブロック)
51−2 電池ブロック(第2の電池ブロック)
C1 コンデンサ(第1のコンデンサ[小容量コンデンサ]、電圧均等化装置)
C2 コンデンサ(第2のコンデンサ[大容量コンデンサ]、電圧均等化装置)
CL1〜CL10 電池セル
SH1〜SH5 第1高電位側スイッチ〜第5高電位側スイッチ
SH1a〜SH6a 第1高電位側スイッチ〜第6高電位側スイッチ
SH1b〜SH6b 第1高電位側スイッチ〜第6高電位側スイッチ
SL1〜SL4 第1低電位側スイッチ〜第4低電位側スイッチ
SL1a〜SL5a 第1低電位側スイッチ〜第5低電位側スイッチ
SL1b〜SL5b 第1低電位側スイッチ〜第5低電位側スイッチ
SL0、SL0a、SL0b 接地スイッチ
SAD、SADa、SADb 電圧検出スイッチ
SCB、SCBa、SCBb セルバランススイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7