前記多官能エポキシ樹脂が、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂およびナフタレン型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の加熱硬化型導電性ペースト。
前記1官能エポキシ樹脂が、アルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステルおよびフェニルグリシジルエステルからなる群から選択される1種または2種以上を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の加熱硬化型導電性ペースト。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、電子機器等では小型化、高密度化および高速化等といった高性能化が進行し、これに伴って電極や配線パターンの更なる薄膜化や細線化が求められている。一般に電気抵抗は導電性被膜の断面積に反比例して上昇する。このため、かかる薄膜化や細線化にあたっては更なる電気伝導性の向上(低抵抗化)が殊に望まれている。
【0005】
また、導電性ペーストは多様な手法で基板上に付与される。例えばディップコート法を考慮すると、導電性ペーストは低粘度に調製する必要がある。ペーストの粘度調整は、例えは、導電性ペースト中の樹脂成分(加熱硬化性樹脂や硬化剤)の含有割合を高めたり、導電性ペーストに希釈溶媒を添加したりすることで行い得る。しかしながら、加熱硬化型導電性ペーストを用いる場合は加熱乾燥温度が低いため、樹脂成分が燃え抜けない。つまり、樹脂成分が導電性被膜中に残存する。このため、一般にはペースト中の樹脂成分が多くなると(換言すればペースト中の導電性粉末が少なくなると)、導電性被膜の抵抗が高くなる傾向にある。また、導電性ペーストに希釈溶媒を添加し過ぎると、加熱乾燥時にアウトガスが多く発生したり、導電性被膜の接着性や緻密性が低下したりすることがある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、作業性やハンドリング性に優れ、且つ、電気伝導性の高い導電性被膜を形成することのできる加熱硬化型導電性ペーストを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、様々な角度から検討を重ねた結果、導電性ペースト中の樹脂成分を最適化することに想到した。そして、更なる鋭意検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
本発明によって、導電性被膜を形成するために用いられる加熱硬化型導電性ペーストが提供される。かかるペーストは、導電性粉末と、熱硬化性のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含んでいる。上記エポキシ樹脂は、2官能以上の多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂とを含む混合物である。上記多官能エポキシ樹脂と上記1官能エポキシ樹脂との質量比率は、7:93〜45:55である。上記導電性粉末を100質量部としたときに、上記エポキシ樹脂および上記硬化剤の合計は20〜40質量部である。
【0008】
上記ペーストでは全エポキシ樹脂の半分以上を1官能エポキシ樹脂とする。また、ペースト中の樹脂成分(エポキシ樹脂および硬化剤)の含有割合を導電性粉末100質量部に対して20〜40質量部と従来に比べて高くする。これにより、ペーストの粘度を下げて、作業性やハンドリング性を向上することができる。また、本発明者らの検討によれば、上記樹脂成分の範囲内では、樹脂成分の含有割合が増えても導電性被膜の抵抗が顕著に低く抑えられる。このため、電気伝導性に優れた導電性被膜を実現することができる。
すなわち、ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストによれば、優れた作業性やハンドリング性と、電気伝導性の高い導電性被膜の形成とを高度に両立することができる。
【0009】
ここで開示される好ましい一態様では、上記多官能エポキシ樹脂と上記1官能エポキシ樹脂との質量比率が、20:80〜45:55である。これにより、電気伝導性の向上をより高いレベルで実現することができる。例えば、加熱乾燥条件を120℃・30分とした場合に、比抵抗が80μΩ・cm未満の導電性被膜を実現することができる。したがって、本願発明の効果をより高いレベルで奏することができる。
【0010】
ここで開示される好ましい一態様では、上記導電性粉末を100質量部としたときに、上記エポキシ樹脂の割合が16〜35質量部である。加熱硬化型導電性ペーストに含まれる樹脂成分は、加熱乾燥後も該被膜中に残存する。エポキシ樹脂の含有割合を上記範囲とすることで、優れた作業性やハンドリング性を維持すると共に、接着性や電子伝導性が一層高い導電性被膜を安定的に形成することができる。
また、ここで開示される他の好ましい一態様では、上記導電性粉末を100質量部としたときに、上記硬化剤の割合が3〜6質量部である。上記含有割合とすることで、作業性や硬化速度(速硬化性)をより高めることができる。
【0011】
ここで開示される好ましい一態様では、上記導電性粉末を構成する導電性粒子が、その表面に脂肪族多価カルボン酸を備える。表面に脂肪族多価カルボン酸を備えることにより、導電性粒子の親水性が高まる。エポキシ樹脂は疎水性のため、これによって導電性粒子の表面でエポキシ樹脂がはじかれることとなる。つまり、導電性粒子の表面にエポキシ樹脂がまとわりつきにくくなる。その結果、導電性粉末の粒子間に介在するエポキシ樹脂の量が減り、該粒子同士が接点を形成し易くなる。したがって、導電性の一層向上した導電性被膜を実現することができる。
【0012】
ここで開示される好ましい一態様では、上記球状銀粉末のレーザー回折・光散乱法に基づく平均粒子径が0.5〜3μmである。かかる平均粒子径の範囲とすることで、ペースト中の凝集を抑制することができる。このため、均質な導電性被膜をより安定的に形成することができる。
【0013】
上記多官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等が好ましい。
また、上記1官能エポキシ樹脂としては、例えば、アルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、フェニルグリシジルエステル等が好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、加熱硬化型導電性ペーストの組成)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、加熱硬化型導電性ペーストの調製方法や導電性被膜の形成方法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0016】
<加熱硬化型導電性ペースト>
ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストは、必須構成成分として、導電性粉末と、熱硬化性のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含んでいる。そして、上記エポキシ樹脂が2官能以上の多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂とを所定の質量比率で含み、且つ、エポキシ樹脂と硬化剤の合計割合が所定の範囲にあることで特徴づけられる。したがって、その他については特に限定されず、種々の基準に照らして任意に決定し得る。例えば、その他の種々の成分を配合したり、その組成比を変更したりすることができる。
【0017】
ここに開示される技術では、導電性粉末を100質量部としたときに、エポキシ樹脂および硬化剤の合計が20〜40質量部である。エポキシ樹脂や硬化剤のような樹脂成分は導電性粉末に比べて電気伝導性が低い。このため、一般には樹脂成分の含有割合が増えるにつれて導電性被膜の比抵抗が指数関数的に上昇する。しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記樹脂成分の含有割合の範囲では、樹脂成分の割合と比抵抗とが上記指数関数的な関係とはならない。このため、樹脂成分の含有量を従来に比べて高めることができる。つまり、導電性粉末を100質量部としたときに、エポキシ樹脂および硬化剤の合計を20質量部以上40質量部以下とすることができる。その結果、例えば希釈溶媒を過剰に添加しなくてもペーストの粘度を低く抑えることができ、作業性や取扱性に優れたペーストを実現することができる。さらには、電気伝導性の良好な導電性被膜を形成することができる。
以下、ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストの構成成分等について説明する。
【0018】
<導電性粉末>
導電性粉末は、導電性被膜に電気伝導性を付与するための導電性物質である。導電性粉末としては、用途等に応じて所望の導電性およびその他の物性等を備える各種の金属やその合金等を適宜用いることができる。一例として、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)等の金属、およびそれらの合金等が例示される。なかでも、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の貴金属の単体、およびそれらの合金(銀−パラジウム(Ag−Pd)、銀−白金(Ag−Pt)、銀−銅(Ag−Cu)等)が好ましい。特には、比較的コストが安く電気伝導性にも優れること等から、銀およびその合金からなる金属粒子が好ましい。
【0019】
導電性粉末の形状は特に限定されず、球状、フレーク状、鱗片状、針状等、種々のものを考慮することができる。なかでも、略球状の導電性粒子が好ましい。これにより、ペーストの粘度をより低くすることができ、作業性、取扱い性を向上することができる。また、ペーストの安定性をも向上することができる。また一般に、球状の導電性粒子(例えば球状銀粒子)を用いる場合、粒子間の接触が「点」接触になり、例えばフレーク状や鱗片状等の導電性粒子を用いる場合に比べて、粒子間の接触面積が小さくなりがちである。その結果、相対的に導電性被膜の比抵抗が高くなる傾向にある。したがって、導電性被膜の比抵抗を大きく低減することのできる本発明の適用が特に効果を奏する。
【0020】
なお、本明細書において「略球状」とは、球状、ラグビーボール状、多角体状等をも包含する用語であり、例えば、平均アスペクト比(長径/短径比)が、1〜2(典型的には1〜1.5、例えば1〜1.2)のものをいう。「平均アスペクト比」は、例えば電子顕微鏡観察によって把握することができる。具体的には、先ず、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて少なくとも30個(例えば30〜100個)の金属粒子(銀粒子)を観察する。次に、各々の粒子画像について外接する最小の長方形を描き、かかる長方形の短辺の長さ(例えば厚み)Bに対する長辺の長さAの比(A/B)をアスペクト比として算出する。そして、所定個数の粒子のアスペクト比を算術平均することにより、平均アスペクト比を求めることができる。
【0021】
導電性粉末の平均粒子径は特に限定されないが、通常0.1μm以上(典型的には0.5μm以上、例えば0.8μm以上)であって、5μm以下(典型的には3μm以下、例えば2μm以下)であるとよい。平均粒子径を0.1μm以上とすることで、ペースト中で凝集が生じることを抑制し、ペースト中での分散性を向上することができる。さらに、緻密性の高い導電性被膜を薄膜状にあるいは細線状に安定的に形成することができる。また、平均粒子径を5μm以下とすることで、導電性被膜の電気伝導性をより一層向上することができる。
なお、「平均粒子径」としては、従来公知のレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定により測定した体積基準の粒度分布において、粒子径の小さな微粒子側から累積50%に相当する粒子径D
50値(メジアン径ともいう。)を採用することができる。
【0022】
好適な一態様では、導電性粉末を構成する導電性粒子が、その表面にカルボン酸を備える。換言すれば、導電性粉末は、コアとなる金属粒子の表面の少なくとも一部にカルボン酸を備えた導電性粒子からなることが好ましい。カルボン酸を備える導電性粒子は、粒子表面の水酸基(ヒドロキシル基)の量が増加し、親水性が高まる。その結果、疎水性のエポキシ樹脂が導電性粒子の表面ではじかれることとなる。つまり、導電性粒子とエポキシ樹脂の濡れ性が低下して、導電性粒子の表面にエポキシ樹脂がまとわりつきにくくなる。したがって、導電性粉末の粒子間に介在する(粒子間の接触を阻害する)エポキシ樹脂の量が減り、該粒子同士が接点を形成し易くなる。このため、電気伝導性の一層向上した導電性被膜を実現することができる。
【0023】
カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、オクタン酸、デカン酸(カプリン酸)、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸(飽和脂肪酸);シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸(不飽和脂肪酸);フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ダイマー酸、トリマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フェニル酪酸、フェノキシ酢酸、アスコルビン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;およびこれらのアルキル置換体やアルケニル置換体、酸無水物、塩等が例示される。これらの化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0024】
なかでも、導電性粉末の分散安定性をより高める点等から、比較的長鎖状のもの(例えば炭素数が5以上のもの)が好ましい。一例として、アルキルコハク酸やアルケニルコハク酸が挙げられる。これにより、ペースト中における凝集をより高度に抑制することができる。
【0025】
好適な一態様では、カルボン酸が、飽和脂肪族ジカルボン酸や不飽和脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸である。多価カルボン酸は1分子中に2つ以上の吸着点(カルボニル基)を有するため、金属粒子への吸着性(付着性)が高い。つまり、例えば片方の吸着点が金属粒子の表面から外れても、もう一方の吸着点が吸着していれば金属粒子の表面に留まることができる。このため、金属粒子の表面に吸着し易く好適である。
【0026】
なお、カルボン酸は、構造安定性の観点等から一部または全部が変質していてもよい。例えば、カルボン酸塩(アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩やカリウム塩)やアルカリ土類金属塩(例えばマグネシウム塩やカルシウム塩))の状態であってもよく、カルボン酸の一部構造から水素が脱離してカルボニル基(−C(=O)
−)の状態となっていてもよい。
【0027】
カルボン酸を備える導電性粉末は、従来公知の手法によって作製することができる。例えば、コアとなる金属粉末とカルボン酸とを液相で反応させることによって作製することができる。金属表面の親水性を高めて上述の効果を高いレベルで発揮する観点からは、コアとなる金属粉末100質量部に対してカルボン酸の含有割合を0.01〜3質量部(例えば0.01〜1質量部)程度とするとよい。
【0028】
加熱硬化型導電性ペーストの固形分全体に占める導電性粉末の割合は、通常50質量%以上、典型的には60〜90質量%、例えば70〜85質量%、好ましくは70〜80質量%程度とするとよい。上記範囲を満たすことで、優れた作業性やハンドリング性と、電気伝導性の高い導電性被膜の形成とをより高いレベルで兼ね備えることができる。
【0029】
<熱硬化性のエポキシ樹脂(混合物)>
エポキシ樹脂は、良好な接着性や耐久性を実現するための成分である。また、上述の通り、加熱硬化型導電性ペーストを用いてなる導電性被膜中には、加熱乾燥後もエポキシ樹脂が残存する。このため、比抵抗の低減には、導電性粉末に対するエポキシ樹脂の配置が重要になる。
ここで開示される技術において、エポキシ樹脂は、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂と、分子内に1つのエポキシ基を有する1官能エポキシ樹脂と、を含む混合物である。そしてエポキシ樹脂全体の半分以上を1官能エポキシ樹脂が占めている。
【0030】
多官能エポキシ樹脂を用いることで、機械的強度や耐久性、耐薬品性に優れた導電性被膜を形成することができる。しかしながら、多官能エポキシ樹脂が半分以上を占めるエポキシ樹脂は、ガラス転移点Tgが高くなりがちである。つまり、硬質性が高くなる。そのため、加熱乾燥中にエポキシ樹脂が流動し難い。したがって、導電性粒子同士の接点にエポキシ樹脂が多く存在し、導電性粒子同士の接触が起きづらい。つまり、該粒子同士の接触点(接触面積)が少なくなり、比抵抗が高くなりがちである。本発明者らの検討によれば、このような傾向は特に略球状の導電性粉末を用いた場合に顕著である。
そこで、ここで開示される技術では、
図1に模式的に示すようにエポキシ樹脂4全体の半分以上を1官能エポキシ樹脂が占める。これにより、エポキシ樹脂4の架橋点を減らして、ガラス転移点Tgを低くする。つまり、エポキシ樹脂4の柔軟性や軟質性を高める。その結果、200℃以下(典型的には150℃以下)の低温で加熱乾燥を行った場合でも、加熱乾燥中にエポキシ樹脂4が流動し易くなる。したがって、導電性粒子2同士の接点に介在するエポキシ樹脂4をはじく(排除する)効果が得られる。つまり、導電性粒子2同士の接触点(接触面積)が増加する。したがって、比抵抗を低く抑えることができる。
【0031】
多官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、およびこれらの変性型等が例示される。これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
なかでも、接着性や疎水性、入手容易性の観点等から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂が好ましい。特には、比抵抗をより高いレベルで低減する観点等から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
【0032】
多官能エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に限定されないが、良好な接着性と本発明の効果を高いレベルで得る目的から、概ね100〜3000g/eq(典型的には100〜1000g/eq、例えば150〜500g/eq)程度であるとよい。なお、エポキシ当量は、JIS K7236(2009)に従って求めることができる。また、同様の理由から、多官能エポキシ樹脂の重量平均分子量Mwは、100〜5000(典型的には200〜4000、例えば300〜1500)程度であるとよい。なお、重量平均分子量Mwは、一般的なゲルクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)によって測定することができる。
【0033】
1官能エポキシ樹脂(単官能エポキシ樹脂)としては、例えば、炭素数が6〜36(典型的には6〜26、例えば6〜18)のアルキルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル、アルキニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;炭素数が6〜36(典型的には6〜26、例えば6〜18)のアルキルグリシジルエステル、アルケニルグリシジルエステル、フェニルグリシジルエステル等のグリシジルエステル系エポキシ樹脂;等が例示される。これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
なかでもアルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、フェニルグリシジルエステルが好ましい。特には、フェニルグリシジルエーテルが好ましい。
1官能エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に限定されないが、例えば100〜500g/eq程度であり得る。また、1官能エポキシ樹脂の重量平均分子量Mwは、100〜500程度であり得る。
【0034】
ここで開示される技術において、多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂との質量比率は、7:93〜45:55である。
換言すれば、エポキシ樹脂全体に占める多官能エポキシ樹脂の割合が7質量%以上(好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、特には30質量%以上)であって、45質量%以下(好ましくは40質量%以下)である。これにより、ガラス転移点Tgが低くなりすぎることを防ぎ、エポキシ樹脂の流動性を制御することができる。したがって、例えば導電性粉末が凝集したりエポキシ樹脂が偏在化(浮き)したりすることを高度に防止することができる。その結果、信頼性の高い導電性被膜を安定的に実現することができる。
また、エポキシ樹脂全体に占める1官能エポキシ樹脂の割合が55質量%以上(好ましくは60質量%以上)であって、93質量%以下(好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、特には70質量%以下)である。上述の通り、これによってエポキシ樹脂の柔軟性や軟質性を高め、比抵抗の低い(電気伝導性に優れた)導電性被膜を実現することができる。
【0035】
多官能エポキシ樹脂と1官能エポキシ樹脂は、典型的には混合比によらず完全相溶性である。ここで開示される技術では、エポキシ樹脂(混合物)のガラス転移点Tgが、概ね50〜200℃であり得る。例えば加熱乾燥時の温度を凡そ100〜150℃に設定する場合、エポキシ樹脂のガラス転移点Tgは、流動性を高める観点から50℃以上、典型的には80℃以上、例えば90℃以上であるとよい。一方で、ガラス転移点Tgが高すぎると十分に硬化しなかったり、本発明の効果が小さくなったりすることがある。このため、ガラス転移点Tgの上限は150℃以下、典型的には120℃以下、例えば100℃以下であるとよい。なお、ガラス転移点Tgは、一般的な示差走査熱量分析(Differential Scanning Calorimetry:DSC)によって測定することができる。
【0036】
導電性粉末を100質量部としたときに、エポキシ樹脂(混合物)の占める割合は、例えば10質量部以上、好ましくは15質量部以上、より好ましくは16質量部以上であって、例えば40質量部以下、好ましくは35質量部以下である。これにより、接着性や耐久性、電気伝導性に一層優れた導電性被膜を実現することができる。
加熱硬化型導電性ペーストの固形分全体に占めるエポキシ樹脂(混合物)の割合は、通常10質量%以上、好ましくは13質量%以上、例えば14質量%以上であって、典型的には30質量%以下、好ましくは25質量%以下、例えば20質量%以下)である。上記範囲を満たすことで、本発明の効果をより高いレベルで奏することができる。
【0037】
<硬化剤>
硬化剤としては特に限定されず、加熱硬化型導電性ペーストに使用し得ることが知られているものを適宜用いることができる。典型的には、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応して架橋構造を形成する官能基を有する化合物を用いることができる。一例として、イミダゾール系硬化剤およびその誘導体、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、芳香族アミン等のアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、有機ホスフィン類等が例示される。これらの化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0038】
導電性粉末を100質量部としたときに、硬化剤の占める割合は、通常1質量部以上、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上であって、典型的には10質量部以下、好ましくは6質量部以下、例えば5質量部以下である。これにより、硬化不良が生じることを高度に防止して硬化反応をスムーズに進行させることができる。また、未反応の硬化剤が残留することを防止して、比抵抗をより低く抑えることができる。
加熱硬化型導電性ペーストの固形分全体に占める硬化剤の割合は、通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であって、典型的には10質量%以下、好ましくは6質量%以下、例えば5質量%以下である。上記範囲を満たすことで、比抵抗の低減された導電性被膜を精確且つ安定的に形成することができる。
【0039】
好適な一態様では、エポキシ樹脂を100質量部としたときに、硬化剤の占める割合が15質量部以上20質量部以下である。換言すれば、硬化剤の含有割合に対するエポキシ樹脂の含有割合の比(エポキシ樹脂の含有割合/硬化剤の含有割合)が概ね5〜7であるとよい。上記比の値を5以上とすることで、反応性を高めて短時間で硬化を完了することができる。また、上記比の値を7以下とすることで、ポットライフ(可使時間)を長くすることができる。
【0040】
<その他の成分>
加熱硬化型導電性ペーストは、上記成分(すなわち、導電性粉末、エポキシ樹脂、硬化剤)の他に、必要に応じて種々の添加成分を含有し得る。かかる成分の一例としては、希釈溶媒(典型的には有機溶剤)、無機フィラー、反応促進剤(助触媒)、界面活性剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、顔料等が例示される。これら成分としては、加熱硬化型導電性ペーストに使用し得ることが知られているものを適宜用いることができる。
【0041】
希釈溶媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール等のグリコールエーテル系溶剤;1,7,7−トリメチル−2−アセトキシ−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等のエステル系溶剤;ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルプロピオネート、ベンジルアルコール等のアルコール系溶剤;トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;その他ミネラルスピリット等の高沸点を有する有機溶剤等が例示される。
【0042】
導電性粉末を100質量部としたときに、添加成分の割合は、例えば5質量部以下(好ましくは3質量部以下、より好ましくは1質量部以下)とするとよい。これにより、本発明の効果をより高いレベルで奏することができる。
【0043】
<ペーストの粘度>
ペーストの粘度は、例えば導電性被膜の形成方法(ペーストの付与方法)や付与厚み等によって異なるため特に限定されない。一好適例では、ブルックフィールド型粘度計により、SC−4−14番のスピンドルを用いて回転速度100rpmの条件で測定した粘度が概ね0.01〜10Pa・s(例えば0.05〜1Pa・s程度)となるよう調整するとよい。これにより、導電性被膜を安定的に形成することができる。
【0044】
<ペーストの調製>
このような加熱硬化型導電性ペーストは、上述した材料を所定の含有率(質量比率)となるよう秤量し、均質に撹拌混合することで調製することができる。材料の撹拌混合は、従来公知の種々の攪拌混合装置、例えば三本ロールミル、マグネチックスターラー、プラネタリーミキサー、ディスパー、自転公転攪拌機等を用いて行うことができる。
【0045】
<導電性被膜の形成>
ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストは、導電性被膜を形成するために用いられる。導電性被膜は、例えば以下の手順で形成することができる。
先ず、ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストと所望の基板とを準備する。基板としては、高温に曝されると性能が低下してしまうような基板、例えばアモルファスシリコン基板やプラスチック基板を考慮し得る。
次に、この基板に、所定厚み(例えば1〜50μm)になるようペーストを付与(塗工)する。付与厚みは、付与の回数やペーストの粘度等によって変更することができる。また、ペーストの付与は、例えばスクリーン印刷、バーコーター、スリットコーター、グラビアコーター、ディップコーター、スプレーコーター等によって行うことができる。ここに開示される技術では低粘度のペーストを調製できることから、上記のなかでも特にディップコートの手法を好ましく採用することができる。
次に、基板上に付与したペーストを、例えば乾燥機等の適当な乾燥手法を用いて所定の温度条件下で、所定時間加熱乾燥する。加熱乾燥温度は、典型的には200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは100〜150℃、特には100〜120℃とするとよい。また、加熱乾燥時間は、典型的には1〜60分、例えば10〜30分とするとよい。これによって、ペーストを硬化させ、基板上に膜状の導電体(導電性被膜)を形成することができる。
【0046】
ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストを、典型的には200℃以下(好ましくは150℃以下、特には120℃以下)で加熱乾燥することにより、接着性や電気伝導性に優れた導電性被膜を形成することができる。例えば、120℃で30分焼成した後の電気抵抗率が100μΩ・cm以下、好ましくは85μΩ・cm以下、より好ましくは60μΩ・cm以下、特には50μΩ・cm以下であり得る。
したがって、ここで開示される加熱硬化型導電性ペーストは、耐熱性の低い材質からなる基板上に電極や配線パターンを形成するために好ましく用いることができる。代表的な一使用例として、ITO膜(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ膜)付きのガラスや、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂フィルムを基板とするタッチパネルの導体回路の形成が挙げられる。
【0047】
換言すれば、本発明の一態様として、上記基板と、上記加熱硬化型導電性ペーストを加熱硬化してなる導電性被膜とを備えた構造物が提供される。かかる構造物としては、例えば、タッチパネル、液晶ディスプレイ、電子ペーパー等のフレキシブルデバイスや、各種電子部品が例示される。
【0048】
以下本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明を係る実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0049】
先ず、加熱硬化型導電性ペーストの構成成分として、以下の材料を準備した。
≪導電性粉末≫
・導電性粉末A:市販の球状銀粉末(DOWAエレクトロニクス株式会社製、D
50=1.1μm、アスペクト比1.2、表面にステアリン酸が付着しているもの)をさらに脂肪族ジカルボン酸(オクタデカニルコハク酸)で表面処理したもの。
・導電性粉末B:市販の球状銀粉末(DOWAエレクトロニクス株式会社製、D
50=1.1μm、アスペクト比1.2、表面にステアリン酸が付着しているもの)。
・導電性粉末C:市販の球状銀粉末(DOWAエレクトロニクス株式会社製、D
50=1.3μm、表面にステアリン酸が付着しているもの)をさらに脂肪族ジカルボン酸(オクタデカニルコハク酸)で表面処理したもの。
・導電性粉末D:市販の球状銀粉末(DOWAエレクトロニクス株式会社製、D
50=2.0μm、表面にステアリン酸が付着しているもの)をさらに脂肪族ジカルボン酸(オクタデカニルコハク酸)で表面処理したもの。
≪多官能エポキシ樹脂≫
・多官能エポキシ樹脂A:ノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、エポキシ当量193g/eq、重量平均分子量Mw1100)
・多官能エポキシ樹脂B:ビスフェノール変性型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、エポキシ当量400g/eq、重量平均分子量Mw800)
・多官能エポキシ樹脂C:ビスフェノール型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製、エポキシ当量170g/eq、重量平均分子量Mw340)
・多官能エポキシ樹脂D:ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、エポキシ当量172g/eq、重量平均分子量Mw550)
≪1官能エポキシ樹脂≫
・フェニルグリシジルエーテル(株式会社ADEKA製、エポキシ当量206g/eq、重量平均分子量Mw210)
≪硬化剤≫
・イミダゾール系硬化剤(味の素ファインテクノ株式会社製)
【0050】
<I.エポキシ樹脂の構成に関する検討>
樹脂が固形のものについては適宜、有機系分散媒(ここでは、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを用いた。)に溶かした後、上記材料を表1に示す組成比になるよう混合した。この混合物をロールミルで撹拌し、加熱硬化型導電性ペースト(例1〜6,参考例1,2)を調製した。
【0051】
上記調製したペーストを用いて、JIS K5400(1990)に従って付着性(クロスカット法)を評価した。結果を表1の「クロスカット試験」の欄に示す。なお、当該欄において「○」は剥離がなかったことを、「×」は1マス以上剥離したことを、それぞれ表している。
【0052】
また、上記調製したペーストをスクリーン印刷の手法によってガラス基板(日本電気硝子株式会社製のITO膜付き)の表面に10μm程度の厚みで2cm×2cmの正方形状のパターンに付与(塗工)し、120℃・30分間の加熱乾燥をした。これにより、ガラス基板上に導電性被膜を形成した。
上記形成した導電性被膜の比抵抗(体積抵抗率)を、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、型式:ロレスタGP MCP−T610)を用いて4端子4探針法で測定した。結果を表1の「比抵抗」の欄に示す。また、
図2にエポキシ樹脂中の多官能エポキシ樹脂の質量比率と比抵抗との関係を表す。
【0054】
表1に示すように、クロスカット試験の結果はいずれのペーストを用いた場合も良好だった。
また、表1および
図2に示すように、エポキシ樹脂の混合比率を多官能エポキシ樹脂:1官能エポキシ樹脂=7:93〜45:55とすることで、加熱乾燥条件を120℃・30分としたときの比抵抗を100μΩ・cm以下と低く抑えることができた。特には、エポキシ樹脂の混合比率を多官能エポキシ樹脂:1官能エポキシ樹脂=20:80〜45:55とすることで、比抵抗を80μΩ・cm未満と一層低く抑えることができた。
【0055】
<II.導電性粉末に関する検討>
導電性粉末Aにかえて導電性粉末B〜Dを用いたこと以外は上記例3と同様にして、加熱硬化型導電性ペースト(例7,9,10)を調製した。また、導電性粉末Aにかえて導電性粉末Bを用い、さらに上記材料の混合時に、脂肪族多価カルボン酸(ここではオクタデカニルコハク酸を用いた。)を、導電性粉末100質量部に対して0.2質量部の割合で直接添加したこと以外は上記例3と同様にして、加熱硬化型導電性ペースト(例8)を調製した。そして、上記調製したペーストを用いて導電性被膜を形成し、上記I.と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0057】
表2に示すように、クロスカット試験の結果はいずれのペーストを用いた場合も良好だった。
また、例3,9,10の比抵抗の測定結果から、導電性粉末の粒子径が異なる場合(ここでは、0.9〜2μmの間)でも、100μΩ・cm以下を達成することができた。なかでも、平均粒子径が小さい場合(例えば1μm以下の場合)に最も比抵抗が低く抑えられた。
また、例3,7,8の比抵抗の測定結果から、導電性粒子の表面に脂肪族多価カルボン酸を備えることで一層の低抵抗化を実現できた。この理由としては、導電性粒子の親水性が高まったことで、導電性粉末の粒子間に介在するエポキシ樹脂の量が減り、導電性粒子同士が接点を形成し易くなったこと等が考えられる。
【0058】
<III.樹脂成分に関する検討>
エポキシ樹脂と硬化剤の含有割合を表3に示すように異ならせたこと以外は上記例2と同様にして、加熱硬化型導電性ペースト(例11,12、参考例3〜5)を調製した。また、多官能エポキシ樹脂Aにかえて多官能エポキシ樹脂B〜Dを用いたこと以外は上記例2と同様にして、加熱硬化型導電性ペースト(例13〜15)を調製した。そして、上記調製したペーストを用いて被膜を形成し、上記I.と同様に評価を行った。結果を表3に示す。また、
図3に樹脂成分(エポキシ樹脂と硬化剤)の合計割合と比抵抗との関係を表す。
【0060】
表3に示すように、クロスカット試験の結果はいずれのペーストを用いた場合も良好だった。
また、例2,11,12、参考例3〜5の比抵抗の測定結果から、樹脂成分(エポキシ樹脂と硬化剤)の合計割合を20〜40質量部とすることで、特異的に比抵抗を低く抑えることができた。つまり、加熱乾燥条件を120℃・30分としたときの比抵抗を100μΩ・cm以下と顕著に低く抑えることができた(
図3参照)。なかでも、樹脂成分の合計割合を30質量部以下(例えば25質量部以下)とすることで、比抵抗を一層低く抑えることができた。
また、例2,13〜15の比抵抗の測定結果から、多官能エポキシ樹脂としてビスフェノール型エポキシ樹脂やナフタレン型エポキシ樹脂を用いた場合でも、100μΩ・cm以下を達成することができた。なかでもビスフェノール型エポキシ樹脂を用いた場合に比抵抗を一層低く抑えることができた。この理由は明らかではないが、例えば(ビスフェノール型エポキシ樹脂の水酸基と導電性粉末表面のカルボン酸とが何らかの相互作用を生じたこと)等が考えられる。
【0061】
以上、本発明を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明はその主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。