(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カバー体内部に、さらに、足を上側から押圧可能な、膨張および収縮する上部エアバッグが設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の足用マッサージ機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、足の疲れの原因を探求した結果、中足靭帯の機能が弱まっていることに原因があることに気づいた。生まれた時から、日常的に、靴下を履いたり、畳・じゅうたん・アスファルト道路・床など平らで安全な平面を靴で歩くため、足指が力不足になり、中足靱帯が、十分に発達しない。そして、成人後も、日常的に足を鍛錬する機会が無いため、足の靱帯が弱化していき、特に、中足靭帯は、ヒールや細い幅の靴を着用すると負荷が集中し、その機能が、顕著に低下する。中足靱帯の機能が低下すると、靱帯が弱くなって、伸び、緩みが生じ、その結果、足裏全体が衰えて行くことになる。中足靭帯が伸びたり緩んだ状態は、拇指に力が入らなくなるため、ヒールやパンプスなどを履くとき、靴が脱げないように指を上げたり、縮ませたりする結果、次第に先細の靴形状に合わせられて、外反して行く原因にもなる。さらに、窮屈な靴に合わせ続けていると、中足靱帯は、固定された状態のままになって、こわばりも発生し、柔軟性も失われる。さらに、踵部についても、疲労が蓄積する。
本発明は、このような足に発生している障害の原因を解明したことに基づき、中足靱帯の機能を回復させるマッサージ器具を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の足用マッサージ機は、足載せ台と、足載せ台の上部に足を挿入するカバー体とが設けられており、足載せ台上面に、足を裏側から押圧可能な、凸状部材または膨張・収縮する底部エアバッグが設けられ、カバー体内部に、足を内側および外側から押圧可能な、膨張・収縮する側部エアバッグが設けられている。本発明は、例えば、足載せ台の長手方向に凸状部材を設け、両側から押圧するエアバッグを設けて、中足靱帯をアーチ状に屈曲する機構を備えた足用マッサージ機である。本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)足載せ台と、足載せ台の上部に足を挿入する
側部及び甲側を被覆するカバー体とが設けられており、
足載せ台上面に、足を裏側から押圧可能な、凸状部材または収縮および凸状に膨張する底部エアバッグが設けられ、
カバー体内部に、
足甲の中央部から拇指側までを内側から押圧可能な、膨張および収縮する内側部エアバッグと、足甲の中央部から小趾側までを外側から押圧可能な、膨張および収縮する外側部エアバッグが設けられ、
内外の側部エアバッグを膨張/収縮して中足靱帯を屈曲及び伸展させる足用マッサージ機であって、
側部エアバッグを膨張させて、凸状部材または凸状に膨張させた底部エアバッグ上に載せた足を、内側および外側から押圧して足裏側を横方向に屈曲させ、
側部エアバッグを収縮させて、横方向の屈曲を開放する動作を行うことを特徴とする足用マッサージ機。
(2)凸状部材または底部エアバッグの長さが、少なくとも足の前方部分を載せることができる長さであることを特徴とする(1)記載の足用マッサージ機。
(3)側部エアバッグが、足を内側から押圧可能な内側部エアバッグと、足を外側から押圧可能な外側部エアバッグとに分かれていることを特徴とする(1)
または(2)記載の足用マッサージ機。
(4)内側部エアバッグが、
足甲の中央部から拇指側までの前方部分を内側から押圧可能な前内側部エアバッグと、
足の踵部分を内側から押圧可能な後内側部エアバッグとに分かれており、
外側部エアバッグが、
足甲の中央部から小趾側までの前方部分を外側から押圧可能な前外側部エアバッグと、
足の踵部分を外側から押圧可能な後外側部エアバッグとに分かれていることを特徴とする(3)記載の足用マッサージ機。
(5)各エアバッグが、1または複数の内部エアバッグを内包していることを特徴とする(1)
〜(4)のいずれかに記載の足用マッサージ機。
(6)カバー体内部に、さらに、足を上側から押圧可能な、膨張および収縮する上部エアバッグが設けられたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の足用マッサージ機。
(7)底面に、折り畳み可能なスタンドが設けられたことを特徴とする
(1)〜(6)のいずれかに記載の足用マッサージ機。
(
8)足載せ台の踵部材が傾動可能に取り付けられたことを特徴とする
(1)〜(7)のいずれかに記載の足用マッサージ機。
(
9)側部エアバッグおよび底部エアバッグを膨張させて、底部エアバッグ上に載せた足を内側および外側から押圧して、甲側を横方向に伸展させ、
底部エアバッグを収縮させ、側部エアバッグおよび上部エアバッグを膨張させて、足裏側を横方向に伸展させる動作を行うことを特徴とする(6)
〜(8)のいずれかに記載の足用マッサージ機。
(
10)側部エアバッグを膨張させた状態で、上部エアバッグを膨張させて、足を下方に押圧して踵を下方に押し下げることにより、足裏側を縦方向に屈曲させ、
上部エアバッグを収縮することにより、縦方向の屈曲を開放する動作
を行うことを特徴とする(6)
〜(9)のいずれかに記載の足用マッサージ機。
【発明の効果】
【0006】
本発明の足用マッサージ機は、足の左右方向から、屈曲(湾曲)作用および伸展作用を与えることにより、中足靭帯の全体をほぐし、横アーチの復元を促すことができる。本発明は、例えば、足に左右方向(内側および外側)、上方(甲側)あるいは底部側(裏側)から屈曲作用あるいは伸展作用を与えることにより、中足靱帯部(中足靭帯および中足関節)全体をほぐし、足の横アーチの復元、縦方向の筋靱(筋肉および靭帯)の引き伸ばしを促すことができるマッサージ機を実現した。また、足の踵部を側面から押圧して刺激し、疲労回復できるマッサージ機である。そして、踵から指先まで足全体のマッサージを実施することができ(マッサージ効果)、疲労を回復でき、筋靱や骨を整えることができる(整体効果)。
本発明の足用マッサージ機は、足裏側のエアバッグの配置および数、または凸状部材の配置を設定することにより、マッサージ動作をきめ細やかにコントロールでき、マッサージ効果、整体効果(矯正効果)を高めることができる。エアバッグは、例えば、足の側部、甲部、足裏部、踵部を押圧するように設定され、エアバッグを、内袋(内部エアバッグ)を二重三重に重ねて形成し、それぞれの内袋にエアを充填してもよい。このようなエアバッグを用いると、1つの袋からなるエアバッグよりも、エア圧の調整、部分的な作用圧を設定しやすいので、マッサージのコントロール性が向上する。
各エアバッグをコントロールすることにより、複雑なマッサージを施すことが可能になり、多様なマッサージプログラムを提供できる。
例えば、踵を下げる機構を備えることにより、足に縦方向の屈伸(屈曲および伸展)を与えて縦方向の筋靱を刺激し、中足関節を縦方向に引き延ばすことにより、縦アーチ機能を回復できる。また、さらに、微小突起を加えて、中足靭帯や縦方向の筋靭に局所刺激を与えることができる。
また、本発明の足用マッサージ機は、その底面に、折り畳み可能なスタンドが設けられてもよい。この場合、スタンドを立てると、踵側が高くなるように設置できるため、足を深く挿入でき、足のマッサージ位置を変更できる。また、この状態ではふくらはぎの筋肉が緩んで、リラックスした状態となり、さらに疲労回復効果が向上する。
本発明の足用マッサージ機は、左右片足ずつ別体に構成されていてもよいし、一体に構成されていてもよい。また、イス型マッサージ機と併用することもできる。
本発明の足用マッサージ機は、中足靱帯を中心とする屈曲および伸展刺激によって、靱帯のこわばりをほぐし、足骨の関節の変形を復元する効果(整体効果)がある。具体的には、中足靱帯を中心として足全体をほぐして筋靱および骨の並びを復元させることにより、中足関節が変形したことによる外反母趾の痛みを軽減でき、足全体の疲れを軽減できる。このように、足の不調を改善することにより、睡眠の質が向上し、不眠症の治療や、疲労回復や、肩等の凝りの改善にも効果がある。
ほぐした後に、凸状部材または底部エアバッグと、内外両側に設けられたエアバッグとによって、中足靱帯部をアーチ状にしばらく押さえることにより、テーピングと同様に伸展状態での固定作用を施し、矯正効果(整体効果)を奏することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の足用マッサージ機は、足載せ台と、足載せ台の上部に足を挿入するカバー体とが設けられており、足載せ台上面に、足を裏側から押圧可能な、凸状部材または膨張・収縮する底部エアバッグが設けられ、カバー体内部に、足を内側および外側から押圧可能な、膨張・収縮する側部エアバッグが設けられている。本発明の足用マッサージ機は、例えば、足載せ台の凸状部材を設け、両側から押圧するエアバッグを設けて、中足靱帯部をアーチ状に屈曲する機構を備えた足用マッサージ機である。凸状部材または底部エアバッグは、足の前方部分を少なくとも載せることができる長さを備えている。凸状部材は、例えば、足載せ台上面の載せる足の幅方向中央の長手方向(縦方向)に、半円形状で細長く設けられており、その垂直方向の断面は、半円形状であってもよい。本発明の足用マッサージ機は、凸状部材または膨張させた底部エアバッグに足を載せた状態で、内外両側に設けられた側部エアバッグを膨張させて、足を押圧して、足の前方部分をアーチ状に屈曲させ、エアバッグを収縮することにより、足に加わる押圧を開放する動作をすることを基本とする。この動作の繰り返しおよび間隔を調整する足用マッサージ機である。本発明において、足の前方部分とは、中足関節から土踏まずの手前までを含み、さらに、足先を含んでもよいし、土踏まずを一部または全部含んでもよい。さらに、足の甲側から押圧するエアバッグや足の後方部分を内外側から押圧する後部エアバッグを設けることができる。
また、本発明の足用マッサージ機は、足の裏側から押圧する底部エアバッグを備えていてもよい。この場合、底部エアバッグを膨張させることにより、足裏側から足を押圧することができ、足の甲側を伸ばす作用、さらに反り作用を施すことができる。すなわち、中足靭帯が弛緩するように、足裏側を屈曲させる作用(屈曲作用)に加えて、中足靭帯が伸展するように、足裏側を伸展させる作用(伸展作用)を施すことができる。そして、後部エアバッグは、踵部を押圧し、指圧作用を与えることができる。複数のエアバッグの膨張・収縮のコントロールにより、足の前後押圧、前屈姿勢、反り姿勢、足裏押圧、全体押圧、これらの組み合わせによる多様なマッサージができる機器である。
本発明の足用マッサージ機の基本構成は、足載せ台と、足載せ台の上方に設けた足を挿入するカバー体と、足載せ台上面に設けられた凸状部材または底部エアバッグと、カバー体の内側面に設けられた膨張・収縮する側部エアバッグから構成される。
【0010】
本発明の足用マッサージ機は、使用者の足を載置する足載せ台と、各足の甲側を覆うカバー体と、各足を裏側から押圧可能な凸状部材または底部エアバッグと、各足の内外側から押圧可能な側部エアバッグとが備えられている。凸状部材または底部エアバッグは、足載せ台上に備えられている。
凸状部材は、足載せ台の使用者の足裏と対向する面に、長尺方向が使用者の足の長さ方向と平行になるように設けられている。カバー体には、使用者の足前方部分の内側および外側と対向する面に、膨張および収縮するエアバッグが設けられている。カバー体には、例えば、使用者の足甲側と対向する面に、膨張および収縮するエアバッグが少なくとも2つ設けられている。例えば、2つのエアバッグのうち、一方は、使用者の足甲の内側と対向するように配置され、他方は、使用者の足甲の外側と対向するように配置されている。本発明の足用マッサージ機において、エアバッグは、3つ以上であってもよい。例えば、前述の2つのエアバッグに、踵部の左右をそれぞれ押圧する足の後方部分押圧エアバッグ(2つの後部エアバッグ)と、足の上面側を押圧する上部エアバッグを加えた、計5個のエアバッグを設けることもできる。上部エアバッグは、使用者の足甲や、足甲の足首つけ根付近(例えば、舟状骨や距骨)や、足首の足甲側末端付近(例えば、脛骨の足甲側末端)に対向するように配置されてもよい。
なお、本発明において、足甲は、中足関節部を含み、さらに足先の甲側を含んでもよい。本発明において、足甲の内側とは、足甲の中央から拇指側をいい、足甲の外側とは、足甲の中央から小趾側をいう。
【0011】
足の内外側用に配置される2つの側部エアバッグのうち、例えば、一方は、使用者の足甲の内側縁(拇指側の側縁)に対向するように配置されてもよいが、足甲の中央部と内側縁との間に対向するように配置されるのが好ましい。また、他方のエアバッグは、例えば、使用者の足甲の外側縁(小趾側の側縁)に対向するように配置されてもよいが、足甲の中央部と外側縁との間に対向するように配置されるのが好ましい。2つのエアバッグが、足甲の中央部と内側縁または外側縁との間にそれぞれ対向するように配置された状態で膨張すると、足甲の中央と各側縁との間に圧力がかかるため、中足靭帯の凸状部材への密着性が高まり、その結果、中足靭帯の屈曲(弛緩)効果が向上する。
エアバッグは、1つの袋から形成されてもよいし、エアバッグの内側に二重、三重にエアが入る袋(内部エアバッグ)を設けた構造としてもよい。エアバッグは、1つの袋から形成された場合は、例えば、空気圧が全体に均一に加わり、足の形状に沿って膨張して、圧迫することができる。エアバッグの内側に内部エアバッグを設けた構造の場合は、例えば、エアバッグの膨張形状のコントロール、圧力調整が容易である。エアバッグの数、外形状、内層構成を設定することにより、足に加えるエア圧を適切にコントロールできる。例えば、上部エアバッグは、二重の袋体(1つの内部エアバッグを内包したエアバッグ)を、側部エアバッグは三重の袋体(2つの内部エアバッグを内包したエアバッグ)に形成してもよい。
【0012】
本発明は、足の前方部分を、足裏側に丸めるように内外側から押圧できるほか、甲側を伸ばすように、足裏側から押圧できる。また、例えば、甲側を反らせるように、甲側を押圧してもよい。これによって、足は強制的に屈伸動作を施し、中足靱帯をほぐし、筋靱や骨を正常な状態に復帰する整体作用を施すことができる。
また、ヒールや堅い路面によって踵部には疲れが蓄積する。本発明の足用マッサージ機は、例えば、さらに、後部エアバッグを、土踏まずから踵部を包むように膨張する様に配置してもよい。後部エアバッグが踵部の内外側面を押圧することにより、踵部の緊張をほぐすことができる。さらに、足の前方のマッサージ効果と共同して足全体のマッサージ効果が向上する。
足の各部の押圧と解放、足全体の押圧と解放がなされるように、エアバッグを組み合わせることによって、足への各部・全体の押圧、屈曲、伸展などを実現でき、多様なマッサージプログラムを提供する。
【0013】
凸状部材の形状は、エアバッグを膨張させて足を甲側から押圧した際に、中足靭帯周辺を、その形状に沿って足の横幅方向に屈曲可能であれば、特に制限されない。凸状部材の垂直方向の断面形状は、例えば、半円形でもよいし、台形でもよい。また、凸状部材の水平方向の断面形状は、例えば、長方形、楕円形が挙げられる。
【0014】
カバー体は、足の甲側の全てを覆ってもよいし、一部を覆ってもよい。
カバー体は、甲側の一部を覆う場合は、少なくとも足甲の内側の一部と足甲の外側の一部とを覆うのが好ましい。カバー体は、さらに、足先部分を覆ってもよいし、踵部を覆ってもよい。
本発明の足用マッサージ機において、カバー体は、使用者の足の甲側を覆うことができるように足載せ台に装着されていればよく、足載せ台に、直接装着されていてもよいし、連結部材を介して装着されていてもよい。
【0015】
本発明の足用マッサージ機において、足載せ台は、片足ずつ載置できるように2つ備えられてもよいし、両足を載置できるように1つでもよい。また、足載せ台において、使用者の足裏に対向する面は、例えば、本機の設置面に対して平行でもよいし、傾斜していてもよい。
さらに、例えば、マッサージ機の踵側底面にスタンドを設けて、踵側を上げることにより足を奥まで挿入しやすくすることができる。この状態は、エアバッグの作用を足指側まで及ぼすことができ、縦アーチに対する刺激を増強することができる。また、踵側を上げることによってふくらはぎの筋肉をリラックスする効果もある。
また、イス式マッサージ機の足部マッサージ機としても適用することができる。本発明の足用マッサージ機は、足を縦方向に屈曲する機構、微小刺激を付与する機構を付加するなどの態様がある。
【0016】
本発明の足用マッサージ機は、足の前方部分に作用する機能があり、足の中足靱帯および中足関節(中足靭帯部)ならびにその周辺を、曲げたり反らせたりして動かせたり、一定時間固定できる。さらに、例えば、足全体あるいは足裏、踵部に作用する機能があり、踵部の緊張をほぐしてもよい。例えば、足の裏に、凸状部材を配置し、足の甲側に配置した複数のエアバッグあるいは足裏側に配置したエアバッグの作動を組み合わせて足を刺激する事により、中足靱帯部およびその周辺を大きく曲げたり伸ばしたり、緩めたり、又、一定時間その状態を保持して、足をマッサージする。
本発明は、中足靱帯および中足関節を大きく動かして、こわばりを解き、中足関節を正常な状態に復帰させることを促す作用を施し、中足靱帯による横アーチ形成能を補助する。この結果、足の疲労回復のほか、外反母趾を回復し、外反母趾による痛みを軽減し、さらに不眠症の改善に効果がある。また、さらに、足の縦方向の屈伸、踵部のマッサージもすることにより、足全体の筋靱、骨格トータルバランスの回復に有効である。
【0017】
<実施態様1>
次に、主な実施態様について説明する。左右各足用の足載せ台を各々別体として設けた足用マッサージ機1の態様を
図1に示す。
図1に、左足用マッサージ機1L、右足用マッサージ機1Rから構成される足用マッサージ機1の斜視図を示す。各足用マッサージ機の本体10は、足載せ台12と、足の甲部を覆うカバー体11と、踵が外れるのを防止する踵規制部材13から構成される。踵規制部材13の自由端側は、面ファスナーなどを設けて足の大きさに合わせて調整できるように設計するのが好ましい。同図では、止めピンに係合する調整穴13a、13b、13cが例示されている。カバー体11は、足の甲部を覆うように配置され、内側にエアバッグが取り付けられる。
足載せ台12の足先側上面に、垂直断面が半円形の凸状部材21が設置され、カバー体11の内面には、足の拇指側に対向するように配置された内側部エアバッグ31と、足の小趾側に対向するように配置された外側部エアバッグ32と、甲側の足首部に対向するように配置された甲側エアバッグ33(上部エアバッグ)が設けられている。
図示は省略するが、本実施態様のマッサージ機には、エアバッグが膨張および収縮する機構および制御機構が、取り付けられている。
【0018】
このマッサージ機1の作用について、
図2、
図3の記載に基づいて説明する。
図2は、足101(右足)を挿入した状態を示しており、
図3は左右(内外側)のエアバッグが作用した状態を示している。
図2(a)は側面の透視図、(b)はつま先側からみた透視図である。足101の土踏まず104より前方の足裏を、凸状部材21に載せた状態となっている。第3趾113を凸状部材21の頂部に沿わせて、足裏のつま先から土踏まずまでを凸状部材21に載置したときに、指102の拇指111と小趾115とが足載せ台12に着地しない程の高さを、凸状部材21は備えている。内側部エアバッグ31は、カバー体11内面の頂部から左側部にかけて、拇指111側の甲部を押圧するように配置され、外側部エアバッグ32は、カバー体11内面の頂部から右側部にかけて、小趾115側の甲部を押圧するように配置されている。上部エアバッグ33は、カバー体11の頂部付近で足首部106を押圧するように配置されている。
【0019】
図3は、左右のエアバッグを膨張させた状態を示している。
図3(a)は側面の透視図、(b)はつま先側からみた透視図である。内側部エアバッグ31と外側部エアバッグ32とが膨張して、凸状部材21に載った足の甲105を押圧して、足を横幅方向に屈曲させた状態となる。中足靱帯部が屈曲して、横アーチが助勢される。
【0020】
図4は、エアバッグの膨張に伴う足の屈曲作用状態を示している。同図において、(a)(b)(c)はつま先側から見た状態の透視図であり、(d)(e)(f)は側面から見た状態の透視図である。中足靱帯部が形成する横アーチの状態が模式的にR1、R2で示され、縦アーチの状態が模式的にR3で示されている。
図4(a)、(d)は、エアバッグが膨張しない状態で足が挿入された状態を示している。
図2(a)、(b)と同様の状態である。凸状部材21に載置された足101は、自然な水平状態にあり、中足靱帯の横アーチは、直線状態となっている(直線状横アーチR1)。
図4(b)、(e)は、左右(内外側)のエアバッグが膨張した状態を示している。
図3(a)、(b)と同様の状態である。外側部エアバッグ32が膨張して生ずる外側圧力F2が第4趾と小趾側に圧力をかけ、内側部エアバッグ31が膨張して生ずる内側圧力F1が第2趾と拇指側に圧力をかけて、中足靱帯は、屈曲したアーチ状に左右に引き延ばされながら曲げられる(屈曲横アーチR2)。この引き延ばしによって、中足関節も横に広げられて趾骨の間隔も広げられる。
図4(c)、(f)は、甲側エアバッグ(上部エアバッグ)33が膨張した状態を示している。甲側エアバッグ(上部エアバッグ)33が、足首部106を押圧して垂下圧力F3が生じ、踵110を下方にΔh分押し下げる。踵110が下方に下がることにより縦アーチR3が助勢される。その結果、趾骨部分にも縦方向に引き伸ばし力が働くこととなる。
3つのエアバッグの膨張と収縮とをコントロールして、足の屈曲と開放を繰り返す操作を行う。エアバッグの膨張の強さと、膨張および収縮の繰り返しの周期とをコントロールして、利用者の状況に応じたマッサージを施す。
【0021】
本実施態様は、足裏に、足の長手方向に沿って伸びる凸状部材と、足の甲の左右斜め上方に配置した2つのエアバッグにより、中足関節および中足靱帯に刺激を与えたり、一定時間その状態を保持するという動きにより、中足靭帯部に適度な刺激を与えることができるマッサージ機器である。
本実施態様のマッサージ機は、足の趾骨、関節や筋靱全体に屈曲および伸展刺激を与え、可動域全体を解きほぐし、引き伸ばし作用を施すマッサージ機である。この大きな動作によって、外反母趾などに代表される趾骨の変形が矯正される。機能が低下している横アーチを、正常なアーチ形状に復元するように、中足靱帯を刺激する。
これらの作用により、足の疲労回復および外反母趾などの痛みの軽減、正常な横アーチの形成に寄与し、不眠症の改善に効果がある。足に対して最初は弱い曲げから始め、徐々に曲げを大きくする膨張とし、足が十分にほぐれた後に膨張時間を長くして、足を屈曲した固定姿勢をとり、テーピングのような矯正効果を与えることができる。
【0022】
この実施態様では、甲側エアバッグ(上部エアバッグ)33を使用せずに、内側部エアバッグ31と外側部エアバッグ32の2つのエアバッグを備えた形態と、甲側エアバッグ(上部エアバッグ)33と内側部エアバッグ31と外側部エアバッグ32の3つのエアバッグを備えた形態の2形態をとることができる。
【0023】
<実施態様2>
この実施態様は、傾動する踵支持板を設けた例である。
図5に傾動する踵支持板41を設けた例を示す。基本構造は、実施態様1と同様であり、符号は共通である。
図5(a)は、踵支持板41の下方に弾性体44を配置した例である。弾性体44は、ゴム体、圧縮抵抗バネ等である。
図5(b)は、踵支持板41の先端部に引っ張り抵抗機能であるバネ43を配置した例である。
【0024】
前述の実施態様1では、凸状部材21に載った足の踵110は支えのない状態である。本実施態様では、踵110を載せる支持板41を設けて、踵110を安定させる。
具体的には、凸状部材21の後端部に設けた軸42に踵支持板41を取付け、踵支持板41を水平に保つ弾性抵抗体を設け、踵110に押し下げ力が加わった場合に、踵110が下方に移動することを許容する構造となっている。
図5(a)には、踵支持板41の下方に弾性体44を配置して直接支える機構を示す。
図5(b)に、軸の前方に設けた踵支持板先端部41aに引っ張り方向に抵抗するバネ43が設けた機構を示す。
これによって、
図5(a)に示されるように、甲側エアバッグ(上部エアバッグ)33が膨張して生ずる垂下圧力F3によって踵110が押し下げられ、脚fが脚f1に変化して、踵110がΔh分下がることが許容される。
【0025】
<実施態様3>
この実施態様は、微小突起による指圧刺激を付加した形態である。
図6に、振動突起を踵と凸状部材に設けたマッサージ機の全体図を示し、
図7に、凸状部材に設けた振動突起の構造を図示する。基本構造は、実施態様1と同様であり、符号は共通である。
この実施態様は、足載せ台上面の前方と踵部に、踵と足裏に局所刺激を与える微小突起を設けた例である。この微小突起は、固定タイプあるいは振動タイプとすることができる。図示の例は、ソレノイド機構を利用した上下振動するタイプである。
本実施態様のマッサージ機は、足載せ台12上面の踵部に、踵部突起24が設けられ、凸状部材21の頂部に微小突起22が複数設けられている。これらの突起は、下方に配置されたソレノイド機構50によって、上下に駆動される。踵部突起用にはソレノイド機構51が設けられている。微小突起22用にはソレノイド機構52が設けられている。この実施態様は、これらの上下振動刺激によって、踵や足前方の足裏に、マッサージ刺激を与える機器である。
【0026】
複数の微小突起22を操作する機構を、
図7の図示に基づいて説明する。
本実施態様のマッサージ機は、凸状部材21に穴を上下方向に3個設け、この穴に微小突起を挿通し、その微小突起のロッド54a、54b、54cを介して下方に設けたソレノイド機構に接続する機構である。なお、微小突起22の数は、任意の設計的事項である。
微小突起22は、中央突起22aを中央にして土踏まず側に後部突起22b、つま先側に先端側突起22cが配置され、それぞれが穴23a、23b、23cに挿入されている。各微小突起の下部にはロッド54a、54b、54cが設けられており、これらのロッドは、一本の横杆53に、軸56a、56b、56cによって、回動可能に軸着している。横杆53の中央部に配置された軸56aは、ソレノイドロッド55によって下方から支持されている。ソレノイドロッド55は、ソレノイド機構52に接続されている。これらの機構によるソレノイドの上下動が、微小突起22a、22b、22cが凸状部材21から出没する振動源となる。
この機構では、横杆53の中央に設けられている軸56aを支点として、左右にシーソー運動することができるので、足裏の起伏に適合する。
【0027】
この実施態様は、実施態様1や2の作用効果に加えて、微小突起の振動刺激によって、さらに、血行促進による効果を高めることができる。シーソー機構を介在させたので、前後方向に長い凸状部材に複数設置した微小突起を1つのソレノイド機構で作動させても、刺激の強さに差が出ない構造である。この微小突起は、図示の踵部、足裏部のほかに、足指部にも配置して、足指を積極的に刺激する機構を付加することもできる。
【0028】
<実施態様4>
実施態様4を
図8〜10に示す。この実施態様は、左右の足を挿入してマッサージする左足用マッサージ部201Lと、右足用マッサージ部201Rとを1つの機体に設けたマッサージ機200である。
図8は足用マッサージ機200の外観斜視図である。底部カバー215の上に、左右の足に共通の一枚の足載せ台212が配置され、上部に左右の足101を挿入する部分を設けたカバー体210を設けている。足載せ台212には、左右に凸状部材221を設けられている。カバー体210にはマッサージ機の操作用のスイッチ216が設けられている。
【0029】
図9に実施態様4の足用マッサージ機200の分解図を示す。底部カバー215の下面には、折りたたみ式のスタンド240が設けられている。底部カバー215の上面側にはエアバッグを作動させる機器類が配置されている。同図では、踵側にエアポンプ250が配置され、中間にエアタンク251、先端側には電磁バルブ252が配置されている。これらの機器は、チューブ(図示省略)によってエアバッグと連結されている。これらの機器の上に左右の足を載せる足載せ台212が配置され、土踏まずから前方の足裏部に当接する凸状部材221が左右に配置されている。この凸状部材221は、足載せ台212に取り付けるか、底部カバー215に取り付けるかは任意である。
カバー体210は、上部カバー211、カバーパネル213、先端カバー214から構成されている。上部カバー211は、上部構造の骨格を形成している。カバー体210は、足の挿入用の空所を左右に2箇所形成し、上面側は一体に形成されている。カバーパネル213は上部カバー211の上面を覆うように配置されている。このカバーパネル213には、この足用マッサージ機200を操作するスイッチ216が取り付けられている。先端カバー214はこのマッサージ機200の先端部分に、意匠用として設けられている。この先端カバー214は、任意である。
【0030】
図10に、足用マッサージ機200内部の足載せ台212に、エアバッグを取り付けた状態を示す。同図において、可視化するため、カバー体210は取り外して示している。実施態様4では、各足に5個ずつ、計10個のエアバッグが取り付けられている。これらのエアバッグは、上部カバー211によって形成されている足挿入用の空所の内面に配置されているが、複雑になるので上部カバー211は図示を省略している。
足の内外側に対向するように4個のエアバッグ(側部エアバッグ)が配置され、足の甲側に対向するように1個のエアバッグ(上部エアバッグ)が配置されている。側部エアバッグは、足の土踏まずから前方側で側面から甲面の一部を覆うように配置されている、内外側に配置されたエアバッグと、土踏まずから踵部にかけて押圧する内外側に配置された踵部エアバッグ(後部エアバッグ)である。同図では、左前内側エアバッグ231L、右前内側エアバッグ231R、左前外側エアバッグ232L、右前外側エアバッグ232R、左外側踵部エアバッグ234L、右外側踵部エアバッグ234R、左内側踵部エアバッグ235L、右内側踵部エアバッグ235Rである。
足101の上方には、甲側に対向するように上部エアバッグ233L・233Rが設けられている。上部エアバッグ233L・233Rは、足首から指先までの範囲で任意に配置することができる。本実施態様では、甲の頂部から指側まで覆うように配置されている。同図では、さらに、上部エアバッグ233aの足先端側が、弾性体233b等を介して上部カバー211に取り付けられている。
エアバッグ233は、1つ以上の内部エアバッグを内包させて、多層に構成することができる。多層にすることによって、1層にくらべてエアバッグの形状を保つことができ、押圧力をコントロールし易い。例えば、側部エアバッグは3層構造、上部エアバッグは2層構造に形成してもよい。
【0031】
本実施態様の足用マッサージ機200は、左右の足を押圧する5対のエアバッグを備えている。5対のエアバッグは、足の前後の内外側に対向するようにそれぞれ配置された4対の側部エアバッグと、甲側に対向するように配置された1対の上部エアバッグである。足裏側に配置された凸状部材とこれらのエアバッグを操作することにより、中足靱帯部の揉み解し、横アーチ刺激、縦アーチ刺激、踵部の押圧を複雑に組み合わせることができる。
例えば、前方の側部エアバッグを作動させることにより、凸状部材に載せられた足の前方部分側の中足靱帯部が、横方向のアーチ状に屈曲するように押圧を受ける。これによって、通常は平に引き延ばされている筋靱が弛緩され、緊張がほぐされる。上部エアバッグを作動することにより、凸状部に載せられた足が、指側に屈曲するように押圧されて、縦側の筋靱の緊張が解きほぐされる。後方の側部エアバッグを作動させることにより、踵の緊張、疲れをほぐすことができる。
これらの基本作動の組み合わせ、順番および強弱をプログラムすることによって、異常状態に固まった中足靱帯部をマッサージして解きほぐし、足の横アーチと縦アーチを正常に回復させることができる。また、踵部の押圧によって、足全体の疲れや異常を回復させることができる。例えば、側部エアバッグを作動させた状態で、さらに上部エアバッグを作動させると、横アーチ状になっている足を甲側から足指側が下方になるように押圧して足裏側に丸めるように締め込みができ、中足靱帯部全体を解きほぐすことができる。中足靱帯部の回復に伴い、足関節の異常も矯正できる。
この実施態様では、さらに、踵側を持ち上げるようにスタンドを立ち上げることができる。これによって、足先を伸ばした姿勢でマッサージ機に足を挿入することが容易にできる。この結果、奥まで足を挿入し、足先から踵まで足全体をより効果的にマッサージすることができる。この姿勢は、ふくらはぎの筋肉が弛緩した状態になり、ふくらはぎ部のリラックスにも効果的である。
細身の靴や高いヒールの靴を履くことによって無理な姿勢に強いられて疲れや異常が蓄積され、固定化された足を、正常に回復させることができる。
【0032】
<実施態様5>
この実施態様は、足載せ台上面に、凸状部材に代えて、膨張・収縮する底部エアバッグを設けた形態である。基本構造は、各側部エアバッグ(231L、231R、232Lおよび232R)が、足の側面から甲面および裏面の一部を覆うように配置され、さらに、凸状部材221に代えて、底部エアバッグが配置された以外は、実施形態4と同様である。底部エアバッグは、足載せ台上面の、土踏まずから足前方の足裏部に当接する位置に配置されている。
【0033】
この足用マッサージ機は、カバー体内部に、各足を押圧する左右6対のエアバッグを備えている。6対のエアバッグは、すなわち、足の前後の内外側に対向するように配置された4対の側面エアバッグ(前内側部エアバッグ・前外側部エアバッグ・後内側部エアバッグ・後外側部エアバッグ)と、甲側に対向するように配置された1対のエアバッグ(上部エアバッグ)と、前方部分の足裏側に対向するように配置された1対のエアバッグ(底部エアバッグ)である。これらのエアバッグを操作することにより、実施態様4のマッサージ機に比べて、中足靭帯の揉み解し、横アーチ刺激を、より効果的に実施できる。
【0034】
例えば、上部エアバッグを収縮させ、かつ底部エアバッグを膨張させた状態で、前内側部エアバッグおよび前外側部エアバッグを膨張させることにより、底部エアバッグ上の中足関節および中足靱帯を含む部分(中足靭帯部)が、山型のアーチ状に屈曲するように押圧を受ける。また、底部エアバッグを若干または完全に収縮させ、かつ、上部エアバッグを膨張させた状態で、前内側部エアバッグおよび前外側部エアバッグを膨張させることにより、底部エアバッグ上の中足靱帯部が、谷型のアーチ状に屈曲するように伸展する。これによって、中足靭帯部の筋靱、骨および関節が弛緩および伸展され、緊張がほぐされる。中足靭帯部の弛緩および伸展により、ふくらはぎの筋肉が刺激され、ふくらはぎ部のリラックスにも効果的である。
【0035】
本実施形態において、前内側部エアバッグおよび前外側部エアバッグは、それぞれ、さらに、上下のエアバッグに分かれていてもよい。この場合、例えば、上部エアバッグを収縮させ、かつ底部エアバッグを膨張させた状態で、それぞれ上側に配置された、前内側部エアバッグと前外側部エアバッグとを膨張させることにより、底部エアバッグ上の中足靱帯部が山型の横アーチ状に屈曲するように押圧を受ける。また、底部エアバッグを若干または完全に収縮させ、かつ、上部エアバッグを膨張させた状態で、下側に配置された、前内側部エアバッグと前外側部エアバッグとを膨張させることにより、底部エアバッグ上の中足靱帯部が谷型のアーチ状に屈曲するように伸展する。前内側部エアバッグおよび前外側部エアバッグが、それぞれ上下に分かれて配置されることにより、中足靭帯部を大きく弛緩・伸展でき、中足靭帯部およびふくらはぎ部の緊張をより効果的にほぐすことができる。