(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、被覆無機粒子の製造方法であり、無機粒子の表面の少なくとも一部にシリコーン化合物を被覆する。
無機粒子としては、種々の物質を用いることができる。例えば、体質顔料として、マイカ、セリサイト、タルク、クレー、カオリン、合成マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸カルシウム、無水ケイ酸、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、窒化ホウ素、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー等を挙げることができる。また、白色顔料としては、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム等を挙げることができる。着色顔料としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、カーボンブラック、低次酸化チタン、マンゴバイオレット、亜酸化銅、黒鉛、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、コバルトブルー、モリブデートオレンジ等を挙げることができる。蛍光顔料としては、硫化亜鉛、珪酸亜鉛、硫酸亜鉛カドミウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、タングステン酸カルシウム等を挙げることができる。パール顔料としては、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、魚鱗箔等を挙げることができる。微粒子粉体としては、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄、微粒子酸化セリウム等を挙げることができる。金属光沢顔料としては、アルミニウムパウダー、亜鉛粉、金粉、銀粉、スズ粉、ステンレスパウダー、ダイヤモンドパウダー、銅粉、ニッケルパウダー、ブロンズパウダー等を挙げることができる。蛍光顔料としては硫化亜鉛、タングステン酸カルシウム等を挙げることができる。その他の粉体としては、酸化錫、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、Alドープ酸化亜鉛等をそれぞれ挙げることができる。
これらのなかでも微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化亜鉛等が最適であり、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛は紫外線遮蔽剤に用いられ、二酸化チタン、酸化亜鉛は白色顔料や各種フィラー等に用いられる。
また、必要に応じてこれらの無機粒子を複合化したもの又は無機化合物で被覆したものを用いることができる。例えば、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄、微粒子酸化セリウム等の微粒子粉体をアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、セリウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、亜鉛、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル及びスズの少なくとも1種の酸化物又は含水酸化物で被覆した粉体、ベンガラ等の無機着色顔料を無水ケイ酸で被覆した粉体、体質顔料を微粒子白色顔料で被覆した粉体等を挙げることができる。
【0010】
このような無機粒子は粉体の状態(ある程度の水分を含んだ湿潤状態を含む)で用いることも、スラリー(懸濁液)の状態で用いることもできるが、スラリーの状態で用いるのが好ましい。
粉体の状態で用いる場合、通常の粉砕機で粉砕しておくのが好ましく、例えば、乾式粉砕機、クラッシャー等を用いることができる。乾式粉砕機としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、コロイドミル、コニカルミル、ディスクミル、エッジミル、製粉ミル、ハンマーミル、乳鉢、ペレットミル、縦軸インパクタ(VSI)ミル、ウィリーミル、ローラーミル、ジェットミル、クロスジェットミル、セレンミラー、高圧粉砕ロール、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウタミキサー等が挙げられる。また、クラッシャーとしては、ジョークラッシャー、バケットクラッシャー、ジャイレトリクラッシャー、コーンクラッシャー、シングルロールクラッシャー、ダブルロールクラッシャー、インパクトクラッシャーなどが挙げられる。
無機粒子の大きさは、粒径D50で表して0.01〜10μmの範囲に調整するのが好ましく、0.01〜4.0μmの範囲にするのがより好ましい。
本明細書において粒径D50は、累積50%粒径(メジアン径)のことであり、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製 LA−950)を用いて測定する。
【0011】
スラリーの状態で用いる場合、溶媒は、水を主成分とするのが好ましく、水が80質量%程度以上含有されているのがより好ましい。水以外の他の成分としては、エタノール、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、塩酸、硫酸及びこれらの混合物等を含んでもよい。
無機粒子スラリーのpHはアルカリや酸を加えて適宜設定することができる。
無機粒子スラリーを調製するには、公知の方法を用いることができる。例えば、ニーダー混練、ヘンシル混練、ロール混練、エクストルーダー混練等の混練混合機、プロペラミキサー、ハイスピードミキサー、ディゾルバー、ホモジナイザー、アルテマイザー、湿式ジェットミル、コロイドミル、マスコロイダー、ビーズミル、サンドミル、ボールミル、サンドグラインダー、インラインミル、メディアレス型高速撹拌分散機等の湿式混合分散機を使用して無機粒子を溶媒に分散することができる。
スラリー中の無機粒子の大きさは、粒径D50で表して0.01〜4.0μmの範囲に調整するのが好ましく、0.01〜0.2μmの範囲にするのがより好ましい。
【0012】
無機粒子スラリーとしては、無機粒子を湿式で製造した状態のスラリー、あるいは、そのスラリーを必要に応じて分別し洗浄した後、乾燥を行わずに、再分散したスラリーを用いるのが好ましい。具体的には、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄、微粒子酸化セリウム等の無機粒子を例えば、チタン、亜鉛、鉄、セリウム等の硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、塩化物の溶液を加水分解又は中和して、各金属の酸化物、水酸化物又は含水酸化物を製造したスラリーが好ましく、そのスラリーを必要に応じて分別し洗浄した後、乾燥を行わずに、溶媒に再分散したスラリーがより好ましい。
【0013】
次に、無機粒子(粉体又はスラリー)のシリコーン化合物被覆処理について詳述する。
【0014】
アルカリを添加したシリコーン化合物を含む液の調製
本発明の方法では、シリコーン化合物に予めアルカリを添加した液を調製する。
アルカリを添加するとシリコーン化合物が改質され、無機粒子の表面に被覆されやすくなる。例えば、シリコーン化合物がSi−H基を有する場合、アルカリによりSi−OH基又はSi−OA基(ここで、Aはアルカリ金属又はアルカリ土類金属等を示す)となり、無機粒子の表面にあるOH基と反応してシリコーン化合物が被覆される。
アルカリはどのようなものでも用いることができ、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属化合物、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム等のアンモニウム化合物などを用いることができる。アルカリの添加量はシリコーン化合物を改質できる程度であればよく、具体的にシリコーン化合物に対して0.5〜20質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。シリコーン化合物はコロイド等の固体の状態であってもよく、必要に応じて溶媒に溶解していてもよい。溶媒としては、エタノール、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、エーテル類等の有機溶媒、水溶媒又はそれらの混合溶媒を用いることができ、シリコーン化合物を溶解できるアルコール類等の有機溶媒がより好ましい。シリコーン化合物を必要に応じて溶媒で希釈した後に撹拌下アルカリを添加して、アルカリを添加したシリコーン化合物を含む液を調製する。調製の際の液温度は、適宜設定することができ、例えば0〜100℃程度の範囲が適当である。
【0015】
シリコーン化合物はポリシロキサンとも言われ、ジクロロジメチルシラン等のシラン類を加水分解し、生成したシラノールが脱水縮合したオリゴマー又はポリマーである。具体的には例えば、ジメチルポリシロキサン、ジメトキシポリシロキサン、変性オルガノポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体等のシロキサンコポリマー、シリコーンポリマー、トリオルガノシロキシケイ酸などのシラノールが脱水縮合したオリゴマー又はポリマーが挙げられる。このようなシリコーン化合物から選ばれる少なくとも一種を用いることができ、本発明の方法、特に(1)〜(6)の方法においてSi−H基を有するシリコーン化合物を用いるのが好ましく、ジメチコン/メチコンコポリマーがより好ましい。また、Si−H基を有するシリコーン化合物とSi−H基を有しないシリコーン化合物とを併用してもよく、また、Si−H基を有しないシリコーン化合物とジメチコン/メチコンコポリマーを併用してもよい。
具体的には、オルガノポリシロキサンとしては、たとえばジメチルポリシロキサン(ジメチコンとも呼ばれる)が挙げられ、その基本化学構造は、次の一般式(I)で表される。一般式(I)におけるnが、n=1〜400のものが好ましく、動粘度は25℃で概ね1〜1000センチストークスのものが好ましい。
【0017】
また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられ、重合度nが3〜7の整数であることがより好ましい。
シロキサンコポリマーとしては、たとえばメチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(ジメチコン/メチコンコポリマーとも呼ばれる)が挙げられ、その基本化学構造は、次の一般式(II)で表され、本発明においては、一般式(II)におけるm、nが、m=7〜14、n=3〜8であり、m+n=10〜22のものが好ましい。
【0019】
(1)アルカリを添加したシリコーン化合物を含む液と無機粒子(粉体又はスラリー)とを混合して、無機粒子の表面にシリコーン化合物を被覆する。
方法(1)では、前記のアルカリを添加したシリコーン化合物を含む液と無機粒子(粉体又はスラリー)とを混合し、無機粒子の表面をシリコーン化合物を被覆処理する。
混合は、どのような方法でもよいが、撹拌機、混合機、粉砕機等を用いるのが好ましい。無機粒子粉体を用いる場合は、乾式粉砕機や乾式混合機内でシリコーン化合物液と混合するのが好ましく、例えば、ボールミル、ビーズミル、コロイドミル、コニカルミル、ディスクミル、エッジミル、製粉ミル、ハンマーミル、乳鉢、ペレットミル、縦軸インパクタ(VSI)ミル、ウィリーミル、ローラーミル、ジェットミル、クロスジェットミル、セレンミラー、高圧粉砕ロール、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プラネタリーミキサー、ナウタミキサー等が挙げられる。乾式粉砕機等の運転条件等は適宜設定することができる。シリコーン化合物液を混合するには、スプレー器、噴霧器、アトマイザー等を用いて少量ずつ添加するのが好ましい。無機粒子スラリーを用いる場合は、湿式混合機や湿式粉砕機内でシリコーン化合物液と混合するのが好ましく、例えば、プロペラミキサー、ハイスピードミキサー、ディゾルバー、ホモジナイザー、アルテマイザー、湿式ジェットミル、コロイドミル、マスコロイダー、ビーズミル、サンドミル、ボールミル、サンドグラインダー、インラインミル、メディアレス型高速撹拌分散機等が挙げられる。湿式粉砕機等の運転条件等は適宜設定することができる。シリコーン化合物液を混合するには、ノズルから少量ずつ添加するのが好ましい。混合条件は適宜設定することができ、例えば、混合温度は室温が好ましく、混合雰囲気は酸素ガス、大気中等の酸化性雰囲気、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気、水素ガス等の還元性ガス雰囲気のいずれでもよい。特に酸化され易い無機粒子、例えば、銀、銅等の無機粒子であれば、不活性ガス雰囲気が好ましく、酸化され難い無機粒子、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機粒子であれば、大気中で行うのが経済的に好ましい。混合時間は適宜設定することができ、例えば0.1〜10時間程度の範囲が適当である。また、混合のスラリー温度も適宜設定することができ、例えば0〜100℃程度の範囲が適当である。混合の順序はいずれでもよく、無機粒子(粉体又はスラリー)にアルカリを添加したシリコーン化合物を含む液を添加し、混合するのが好ましい。各液を混合した後、スラリーpHをアルカリ又は酸で適宜調整してもよい。シリコーン化合物の被覆量は、適宜設定することができ、例えば無機粒子に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%が更に好ましい。
【0020】
(2)アルカリを添加したシリコーン化合物を含む液と無機化合物と無機粒子(粉体又はスラリー)とを混合して、無機粒子の表面にシリコーン化合物と無機化合物とを被覆する。
方法(2)では、シリコーン化合物の他に無機化合物を無機粒子の表面に被覆処理する。
無機化合物としては、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、セリウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、亜鉛、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル、スズ等の金属化合物あるいは非金属化合物が挙げられ、このような無機化合物の少なくとも1種を用いることができる。無機化合物は必要に応じて溶媒に溶解する。溶媒としては、水溶媒、有機溶媒、それらの混合溶媒を用いることができ、無機化合物を溶解できる水溶媒が好ましく用いられる。また、無機化合物はシリコーン化合物液に添加しておいてもよい。
無機化合物と、前記のアルカリを添加したシリコーン化合物を含む液と無機粒子(粉体又はスラリー)とを混合して、無機粒子の表面にシリコーン化合物と無機化合物を被覆処理することができる。
混合の順序はいずれでもよく、無機粒子(粉体又はスラリー)に無機化合物を添加し、次に、アルカリを添加したシリコーン化合物を含む液を添加し、混合してもよく、別の順序として、無機粒子(粉体又はスラリー)にアルカリを添加したシリコーン化合物を含む液を添加し、次に、無機化合物を添加し混合してもよい。更には、無機粒子(粉体又はスラリー)にアルカリを添加したシリコーン化合物と無機化合物の混合液を添加し、混合してもよい。混合方法、混合時間、混合温度等の条件は前記の(1)と同様にすることができ、各液を混合した後、スラリーpHをアルカリ又は酸で適宜調整してもよい。無機化合物の被覆は、使用した無機化合物、あるいは無機化合物の酸化物、水酸化物、含水酸化物又は塩の状態であってもよい。無機化合物の被覆量は、適宜設定することができ、例えば無機粒子に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%が更に好ましい。
【0021】
(3)アルカリを添加したシリコーン化合物を含む液と脂肪酸化合物と無機粒子(粉体又はスラリー)とを混合して、無機粒子の表面にシリコーン化合物と脂肪酸化合物を被覆する。
方法(3)では、シリコーン化合物の他に脂肪酸化合物を無機粒子の表面に被覆処理する。
脂肪酸化合物としては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ミリストレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、樹脂酸(アビエチン酸)、それらの塩、それらの金属塩等を挙げることができ、このような脂肪酸化合物の少なくとも1種を用いることができる。例えば、N−アシル体を構成する脂肪酸は、長鎖脂肪酸が好ましく、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ミリストレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、樹脂酸(アビエチン酸)等を挙げることができる。塩の形態としてはNa、K、Ba、Zn、Ca、Mg、Fe、Zr、Co、Al、Zr、Ti等の金属塩や、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリイソプロパノールアミン等の各種アルカノールアミン塩等を挙げることができる。また、デキストリン脂肪酸エステルとしては、デキストリンと脂肪酸とで構成されるエステルあるいはその誘導体から選択することができる。好ましくは、デキストリン1分子に対し、その水酸基の1つに炭素数8〜24の脂肪酸の1分子がエステル化した部分構造を少なくとも有するエステル体あるいはその誘導体、例えばデキストリン1分子に対し炭素数8〜24の脂肪酸が1個又は複数個、その水酸基の1個又は複数個にエステル結合した構造を有するエステル体や当該エステル体において水酸基が更に別種の脂肪酸でエステル化された誘導体等を挙げることができる。
脂肪酸化合物は必要に応じて溶媒に溶解又は乳化する。溶媒としては、水溶媒、有機溶媒、それらの混合溶媒を用いることができ、水溶媒が好ましく用いられる。また、脂肪酸化合物はシリコーン化合物液に添加しておいてもよい。
脂肪酸化合物と、前記のアルカリを添加したシリコーン化合物を含む液と無機粒子(粉体又はスラリー)とを混合して、無機粒子の表面にシリコーン化合物と脂肪酸化合物を被覆処理することができる。混合の順序はいずれでもよく、無機粒子(粉体又はスラリー)に脂肪酸化合物を添加し、次に、アルカリを添加したシリコーン化合物を含む液を添加し、混合してもよく、別の順序として、無機粒子(粉体又はスラリー)にアルカリを添加したシリコーン化合物を含む液を添加し、次に、脂肪酸化合物を添加し混合してもよい。更には、無機粒子(粉体又はスラリー)にアルカリを添加したシリコーン化合物と脂肪酸化合物の混合液を添加し、混合してもよい。混合方法、混合時間、混合温度等の条件は前記の(1)と同様にすることができ、各溶液を混合した後、スラリーpHをアルカリ又は酸で適宜調整してもよい。脂肪酸化合物の被覆量は、適宜設定することができ、例えば無機粒子に対して、1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。
【0022】
(4)アルカリを添加したシリコーン化合物を含む液と脂肪酸化合物と無機化合物と無機粒子(粉体又はスラリー)とを混合して、無機粒子の表面にシリコーン化合物と脂肪酸化合物と無機化合物を被覆する。
方法(4)では、シリコーン化合物の他に脂肪酸化合物と無機化合物を無機粒子の表面に被覆処理する。この方法等は前記の(1)、(2)、(3)に準じて行うことができる。
【0023】
(5)無機粒子(粉体又はスラリー)と無機化合物とを混合して、無機粒子の表面を無機化合物を被覆し、次いで、前記無機粒子(粉体又はスラリー)とアルカリを添加したシリコーン化合物を含む液とを混合して、無機粒子の表面に無機化合物とシリコーン化合物を被覆する。
方法(5)では、無機粒子の表面に無機化合物を被覆した後、シリコーン化合物を被覆処理する。この方法等は前記の(1)、(2)に準じて行うことができる。
まず、無機粒子(粉体又はスラリー)と無機化合物とを混合し、必要に応じて加水分解又は中和して、無機粒子の表面に無機化合物を被覆処理(1段目)する。その後、この無機化合物を被覆処理した無機粒子(粉体又はスラリー)を必要に応じて分別、洗浄し、再分散してスラリーにした後に、アルカリを添加したシリコーン化合物を含む液を混合してシリコーン化合物を被覆処理(2段目)する。
前記の1段目に無機粒子スラリーを用い、2段目に無機粒子粉体を用いるなど、1段目と2段目に用いる無機粒子は粉体又はスラリーの同じ状態でもよく、異なっていてもよい。
無機粒子は、粒子表面全体が無機化合物で被覆され、無機化合物を介して、シリコーン化合物で被覆されていてもよく、粒子表面の一部が無機化合物で被覆され、無機化合物を介さず、シリコーン化合物が被覆されている部分を含んでいてもよい。
【0024】
(6)無機粒子(粉体又はスラリー)と無機化合物とを混合して、無機粒子の表面に無機化合物を被覆し、次いで、前記無機粒子(粉体又はスラリー)と、アルカリを添加したシリコーン化合物を含む液と脂肪酸化合物とを混合して、無機粒子の表面に無機化合物とシリコーン化合物と脂肪酸化合物を被覆する。
方法(6)では、無機粒子の表面に無機化合物を被覆した後、シリコーン化合物と脂肪酸化合物を被覆処理する。この方法等は前記の(1)〜(4)に準じて行うことができる。
まず、無機粒子(粉体又はスラリー)と無機化合物とを混合し、必要に応じて加水分解又は中和して、無機粒子の表面に無機化合物を被覆処理(1段目)する。その後、この無機化合物を被覆処理した無機粒子(粉体又はスラリー)を必要に応じて分別、洗浄し、再分散してスラリーにした後に、アルカリを添加したシリコーン化合物を含む液と脂肪酸化合物を混合して、シリコーン化合物と脂肪酸化合物を被覆処理(2段目)する。
前記の1段目に無機粒子スラリーを用い、2段目に無機粒子粉体を用いるなど、1段目と2段目に用いる無機粒子は粉体又はスラリーの同じ状態でもよく、異なっていてもよい。
無機粒子は、粒子表面全体が無機化合物で被覆され、無機化合物を介して、シリコーン化合物で被覆されていてもよく、粒子表面の一部が無機化合物で被覆され、無機化合物を介さず、シリコーン化合物が被覆されている部分を含んでいてもよい。
【0025】
方法(1)〜(6)に記載したシリコーン化合物や脂肪酸化合物以外にも、さらにアルコキシシラン、アルキルシラン、トリメチルシロキシケイ酸等の有機ケイ素化合物、ポリオレフィン、水添レシチン、N−アシルアミノ酸等の有機化合物を被覆してもよい。アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。アルキルシランとしては、メチルシラン、エチルシラン、オクチルシラン等が挙げられる。また、トリメチルシロキシケイ酸は、水ガラスのナトリウムをトリメチルシリル基で置換して得られたものを溶媒に溶解したものである。また、ポリオレフィンとしてはポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができ、例えば、分子量500〜20000で融点が40℃以上の低分子ポリエチレンや、ポリプロピレンを酸化して得られる酸化ポリエチレン、マレイン化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン等の市販品を使用することができる。また、水添レシチンとしては、卵黄、大豆、コーン、菜種等から抽出された天然のレシチンや合成レシチンを水素添加したもので、ヨウ素価が好ましくは30以下、より好ましくは15以下の水添レシチンであり、リン酸基を有するグリセライドである。塩の形態にあるものとしては、Al、Mg、Ca、Zn、Zr、Ti等の水不溶性水添レシチン金属塩が好ましい。また、N−アシルアミノ酸は、アミノ酸のアミノ基及び/又はイミノ基がアシル化されたものである。アミノ酸の種類としては、グリシン、アラニン、β−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、スレオニン、セリン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、チロシン、メチオニン、シスチン、システイン等を挙げることができる。
【0026】
前記の(1)〜(6)で被覆処理して得られた乾燥粉や湿潤粉は、必要に応じて、乾式粉砕機や乾式混合機等を用いて粉砕して乾式粉砕粉としてもよい。乾式粉砕機等としては前記の粉砕機、混合機を用いることができ、気流粉砕機が好ましい。気流粉砕機は、高速でアルゴンガスや窒素ガス等をノズルから噴出させ、このガス流によって粉末粒子を加速、互いに衝突させて粉砕する機械であり、ジェットミル、クロスジェットミル、セレンミラー等を用いることができる。また、ヘンシルミキサーやスーパーミキサー等の混合機、ボールミルやサンドグラインダー等のミルで粉砕するのが好ましい。粉砕条件は適宜設定することができ、例えば、粉砕温度は室温が好ましく、混合雰囲気は酸素ガス、大気中等の酸化性雰囲気、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気、水素ガス等の還元性ガス雰囲気のいずれでもよい。特に酸化され易い無機粒子、例えば、銀、銅等の無機粒子であれば、不活性ガス雰囲気が好ましく、酸化され難い無機粒子、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機粒子であれば、大気中で行うのが経済的に好ましい。
【0027】
前記の(1)〜(6)で被覆処理した後の乾燥粉や湿潤粉あるいは前記の乾式粉砕粉は、必要に応じて、乾燥あるいは焼成を行ってもよい。他方、前記の(1)〜(6)で被覆処理した後の無機粒子スラリーは、必要に応じて、分別し、洗浄した後に、乾燥あるいは焼成を行ってもよい。乾燥温度は50〜200℃程度の範囲であり、焼成温度は200〜500℃程度の範囲が好ましく、乾燥、焼成の雰囲気は大気、酸素ガス等の酸素含有雰囲気、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で行うことができる。乾燥又は焼成した被覆無機粒子は使用用途に応じて、乾式粉砕機や乾式混合機等を用いて粉砕してもよい。乾式粉砕機等としては前記の粉砕機、混合機を用いることができ、ジェットミル、クロスジェットミル、セレンミラー等の気流粉砕機が好ましい。また、ヘンシルミキサーやスーパーミキサー等の混合機、ボールミルやサンドグラインダー等のミルで粉砕するのが好ましい。粉砕条件は適宜設定することができ、例えば、粉砕温度は室温が好ましく、混合雰囲気は酸素ガス、大気中等の酸化性雰囲気、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気、水素ガス等の還元性ガス雰囲気のいずれでもよい。特に酸化され易い無機粒子、例えば、銀、銅等の無機粒子であれば、不活性ガス雰囲気が好ましく、酸化され難い無機粒子、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機粒子であれば、大気中で行うのが経済的に好ましい。
【0028】
次に、本発明の被覆無機粒子は、必要に応じて分散媒に分散して分散体としてもよい。被覆無機粒子の濃度は適宜調整することができるが、より高い濃度が好ましい。具体的には、10〜75質量%が好ましく、10〜65質量%がより好ましく、30〜60質量%が更に好ましい。分散媒としては、特に限定されず、適宜種々のもの用いることができ、親油性分散媒を好適に用いることができる。
具体的には、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール等の一価アルコール系溶剤類、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソヘキサン、イソオクタン、ガソリン、ミネラルスピリット等の石油系炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、エチルベンゼン、アミルベンゼン等の芳香属炭化水素系溶剤類、ジペンテン、テレビン油等の植物系炭化水素系溶剤類、ニトロパラフィン、ニトロベンゼン等のニトロ炭化水素系溶剤類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、パークロルエチレン、モノクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤類、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、プロピレンオキシド、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤類、ぎ酸メチル、ぎ酸エチル、ぎ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸アミル等のエステル系溶剤類、サフラワー油、大豆油、月見草油、ブドウ種子油、ローズヒップ油、ククイナッツ油、アルモンド油、ゴマ油、コムギ胚芽油、トウモロコシ油、綿実油、アボガド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ヒマシ油、ラッカセイ油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、カカオ脂、シア脂、木ロウ、ヤシ油、パーム油、パーム核油、牛脂、馬脂、ミンク油、乳脂、卵黄油、タートル油等の油脂類、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン、ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素油類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、ウンデシレン酸、ヒドロキシステアリン酸、ラノリン脂肪酸等の脂肪酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、ホホバアルコール、バチルアルコール、コレステロール、フィトステロール、ラノリンアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、イソステアリン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソイソプロピル、オクタン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリカプリル酸グリセリル、イソノナン酸イソオクチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸ミリスチル、ジイソノナン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン等のエステル油類、ミツロウ、カンデリラロウ、鯨ロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、ヌカロウ、イボタロウ、オレンジラッフィー油、モンタンロウ、サトウキビロウ、セラックロウ、ラノリン、ホホバオイル、等のロウ類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロテトラシロキサン、アルキル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、オレフィン変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、リン酸変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロメチルシクロペンタン、パーフルオロジメチルシクロヘキサン、パーフルオロジメチルシクロブタン、メトキシノナフルオロブタン、エトキシノナフルオロブタン、ドデカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサン、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、4−トリトリフルオロメチルパーフルオロモルホリン、4−ペンタフルオロエチルパーフルオロモルホリン等のフッ素系油剤、UV吸収剤としてパラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、N,N−ジメチルパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジエトキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジプロポキシパラアミノ安息香酸エチルエステル等の安息香酸類、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸類、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート等のサリチル酸類、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート等の桂皮酸類、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、シリコーン変性紫外線吸収剤、フッ素変性紫外線吸収剤等が挙げられる。これらのうち1種又は2種以上を本発明において親油性溶媒として使用できる。
【0029】
また、本発明の分散体には、顔料分散剤、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、皮膜形成剤、保湿剤、増粘剤、染料、顔料、香料等を適宜配合することができる。
例えばPOEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、脂肪酸セッケン、スルホコハク酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、POEアルキルエーテルカルボン酸、POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジエタノールアミン、カゼインナトリウム等のアニオン系界面活性剤、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩や、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム塩、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム塩等のアルキル四級アンモニウム塩や、アルキルピリジニウム塩、アルキルアミン塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POEアルキルアミン、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン系界面活性剤、2−ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤、アルキルベタイン、アミドベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のベタイン系両性界面活性剤、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル、ポリリシノール酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEソルビタンモノオレート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル、POEモノオレート、POEジステアレート等のPOE脂肪酸エステル、POEラウリルエーテル、POEステアリルエーテル等のPOEアルキルエーテル、POE・POP水添ラノリン等のPOE・POPアルキルエーテル、硬化ひまし油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、アルカノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、でんぷん脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸等のノニオン系界面活性剤、その他レシチン等のリン脂質類、トレハロースリピド等の糖脂質類、パーフルオロアルキルリン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素系界面活性剤等、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ベントナイト、スメクタイト、カオリン等の天然又は合成の粘土鉱物、有機アミンカチオン変性ベントナイト等の有機変性粘土鉱物、アエロゾル等を挙げることができる。
【0030】
被覆無機粒子を分散媒に混練又は混合分散させる方法は、公知の方法を採用すればよく特に限定されない。例えば、ニーダー混練、ヘンシル混練、ロール混練、エクストルーダー混練等の混練混合機、プロペラミキサー、ハイスピードミキサー、ディゾルバー、ホモジナイザー、アルテマイザー、湿式ジェットミル、コロイドミル、マスコロイダー、ビーズミル、サンドミル、ボールミル、サンドグラインダー、インラインミル、メディアレス型高速撹拌分散機等の湿式混合分散機、湿式粉砕機を使用して分散体を製造することができる。
【0031】
また、本発明の被覆無機粒子を配合して化粧料としたり、前記の分散体を用いて液体化粧料としたりしてもよい。例えば、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、スティックファンデーション、プレストパウダー、フェイスパウダー、口紅、リップグロス、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ、アイライナー、マスカラ、水性ネイルエナメル、油性ネイルエナメル、乳化型ネイルエナメル、エナメルトップコート、エナメルベースコート等の仕上用化粧品、エモリエントクリーム、コールドクリーム、美白クリーム、乳液、化粧水、美容液、カーマインローション、液状洗顔料、洗顔フォーム、洗顔クリーム、洗顔パウダー、メイククレンジング、ボディグロス等の皮膚用化粧品、ヘアーグロス、ヘアクリーム、ヘアーシャンプー、ヘアリンス、ヘアカラー、ヘアブラッシング剤等の頭髪用化粧品、その他として日焼け止め又は日焼け用クリームや乳液、石鹸、浴用剤、香水等を挙げることができる。
【0032】
被覆無機粒子の配合量は、化粧料の形態に応じて適宜配合することができ、例えば、液体化粧料には、1〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。化粧料には、通常配合されるものを用いることができ、例えば、顔料分散剤、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、皮膜形成剤、保湿剤、増粘剤、染料、顔料、香料等を適宜配合することができる。
【0033】
本発明の被覆無機粒子は、分散体、化粧料以外の用途にも好適に用いることができ、プラスチックの添加剤、インク、塗料、トナー(磁性粉、外添剤)、化学繊維、包装材料、電子材料等の各種分野で広く使用される。
【実施例】
【0034】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0035】
実施例1
四塩化チタン水溶液を加水分解して、微粒子酸化チタンを得た。この酸化チタン水性スラリーをろ過し、洗浄し、再分散して酸化チタン水性スラリーを調製した。
スラリーは水を90質量%含み、スラリー中の無機粒子の大きさは粒径D50で表して0.3〜1.5μmの範囲にあった。
この酸化チタン水性スラリーにアルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、pHを6.5に調整して酸化チタンに対して23質量%の水酸化アルミニウムの被覆処理を行った。
一方、予めジメチコン/メチコンコポリマーをその質量の4倍量のエタノールに希釈した溶液に20%水酸化ナトリウム水溶液を0.05ml/g添加し15分間撹拌して、ジメチコン/メチコンコポリマーを部分的に加水分解した。ジメチコン/メチコンコポリマーに添加した水酸化ナトリウムは1質量%であった。これをアルカリ添加シリコーン化合物液とした。
前記の水酸化アルミニウム被覆酸化チタン水性スラリーに、前記のアルカリ添加シリコーン化合物液を添加し(TiO
2換算の酸化チタンに対して15質量%)、70℃にて2時間、ホモジナイザーにて撹拌して混合した。得られたスラリーをろ過し洗浄して水酸化アルミニウムとシリコーン化合物を被覆した微粒子酸化チタンのケーキを得た。次に、このケーキを乾燥機にて150℃にて4時間加熱乾燥した後、気流粉砕機(ジェットミル)により仕上げ粉砕を行って、本発明の被覆無機粒子(試料A)を得た。
【0036】
実施例2
実施例1において、酸化チタンに対して15質量%のアルカリ添加シリコーン化合物液を添加する代わりに、酸化チタンに対して10質量%のアルカリ添加シリコーン化合物液及び酸化チタンに対して5質量%のステアリン酸ナトリウムを添加し、水酸化アルミニウムとシリコーン化合物及びステアリン酸を複合被覆した微粒子酸化チタンのケーキを得ること以外は、実施例1と同様にして、本発明の被覆無機粒子(試料B)を得た。
【0037】
実施例3
実施例1において、予めジメチコン/メチコンコポリマーを4倍量のエタノールに希釈した溶液に20%水酸化ナトリウム水溶液を0.05ml/g添加する代わりに、1ml/gを添加してアルカリ添加シリコーン化合物液としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の被覆無機粒子(試料C)を得た。ジメチコン/メチコンコポリマーに添加した水酸化ナトリウムは20質量%であった。
【0038】
実施例4
実施例1において、予めジメチコン/メチコンコポリマーを4倍量のエタノールに希釈した溶液に20%水酸化ナトリウム水溶液を0.05ml/g添加し15分間撹拌する代わりに、2%水酸化ナトリウム水溶液を0.05ml/g添加し1分間撹拌してアルカリ添加シリコーン化合物液としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の被覆無機粒子(試料D)を得た。ジメチコン/メチコンコポリマーに添加した水酸化ナトリウムは0.1質量%であった。
【0039】
実施例5
実施例1の水酸化アルミニウム被覆酸化チタン水性スラリーを乾燥させ、それを気流粉砕機(ジェットミル)で予め強粉砕したものをヘンシェルミキサーに所定量仕込み、実施例1のアルカリ添加シリコーン化合物液を水酸化アルミニウム被覆酸化チタンの質量に対して6質量%、スプレー噴霧によって添加し、撹拌・混合した後、気流粉砕機(ジェットミル)で再度粉砕した。粉砕後の粉体を乾燥機にて、140℃で30分間加熱処理を行い、被覆無機粒子(試料E)を得た。
【0040】
実施例6
実施例5において、水酸化アルミニウム被覆酸化チタン水性スラリーを乾燥させ、それを気流粉砕機で粉砕する代わりにハンマーミルで予め粉砕すること以外は、実施例5と同様に処理を行って、被覆無機粒子(試料F)を得た。
【0041】
実施例7
実施例5において、スプレー噴霧の代わりに液滴添加したこと以外は、実施例5と同様に処理を行って、被覆無機粒子(試料G)を得た。
【0042】
実施例8
実施例5において、スプレー噴霧後の再度の粉砕をハンマーミルで行うこと以外は、実施例5と同様に処理を行って、被覆無機粒子(試料H)を得た。
【0043】
実施例9
実施例1の水酸化アルミニウム被覆酸化チタン水性スラリーに、実施例1のアルカリ添加シリコーン化合物液(酸化チタンに対して6質量%)を添加して、室温にて30分間撹拌を行った後、ビーズミルにて所定の粒子径になるまで、湿式粉砕した。得られたスラリーを濾過洗浄し、水酸化アルミニウムとシリコーン化合物を被覆した微粒子酸化チタンのケーキを得た。次にこのケーキを乾燥機にて90℃で4時間加熱乾燥し、更に140℃で30分間の熱処理を行い、気流粉砕機(ジェットミル)にて仕上げ粉砕を行い、被覆無機粒子(試料I)を得た。
【0044】
比較例1
実施例1において、酸化チタンに対して15質量%のアルカリ添加シリコーン化合物液を添加する代わりに、ジメチコン/メチコンコポリマーを4倍量のエタノールに希釈したシリコーン化合物液(水酸化ナトリウムを添加しない)を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、被覆無機粒子(試料J)を得た。
【0045】
比較例2
実施例1で水酸化アルミニウム処理した微粒子酸化チタンを濾過・洗浄・乾燥した後、ハンマーミルを用いて粉砕した。この粉体に7.5質量%のジメチコン/メチコンコポリマーを加え、ヘンシェルミキサーを用いて撹拌混合し、150℃で20分の熱処理を実施した後、気流粉砕機(ジェットミル)により仕上げ粉砕を行って、被覆無機粒子(試料K)を得た。
【0046】
評価方法
(水素発生量評価)
50mlの三角フラスコに実施例1〜9、比較例1、2で得られた試料各4gとエタノール40mlを入れ撹拌した。閉鎖系にて10%水酸化ナトリウム水溶液を5ml滴下し水素ガスを発生させ、シリンダー捕集によりガス発生量を測定した。
*水素発生量(ml/g)=(10%水酸化ナトリウム添加時の全ガス発生量(ml)−エタノール添加時のガス発生量(ml))/試料質量(g)
【0047】
(疎水性評価)
下記の水/メタノール法にて評価した。
(1)各試料をメタノール/水の質量比で0/100〜100/0の範囲で種々変えた水溶液に浮かべ、軽く振とうした後、静置した。
(2)試料が該水溶液に対し、疎水性を保つことができるメタノールの最大配合量をもって、疎水化度とした。
【0048】
評価結果を表1に示す。実施例1〜9は、ジメチコン/メチコンコポリマーに水酸化ナトリウムを添加したものを用いたことから、比較例2に比べて水素ガス発生量を抑えることができた。一方、疎水化度は比較例1に比べて高くなっていることから、シリコーン化合物がより均一に被覆されていることがわかった。
【0049】
【表1】