特許第6232006号(P6232006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232006
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】包装材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20171106BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   B65D65/40 D
   B32B27/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-39705(P2015-39705)
(22)【出願日】2015年2月28日
(65)【公開番号】特開2016-159948(P2016-159948A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2017年8月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399054321
【氏名又は名称】東洋アルミニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105821
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 淳
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 侑哉
(72)【発明者】
【氏名】麻植 啓司
(72)【発明者】
【氏名】西川 浩之
(72)【発明者】
【氏名】関口 朋伸
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和也
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−208816(JP,A)
【文献】 特開2013−159344(JP,A)
【文献】 特開2013−071779(JP,A)
【文献】 特開2004−001876(JP,A)
【文献】 特開2004−026299(JP,A)
【文献】 特開2014−024188(JP,A)
【文献】 特開2014−213937(JP,A)
【文献】 特開2003−267433(JP,A)
【文献】 特開2015−034038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00−65/46
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともa)基材層、b)ヒートシール層及びc)付着防止層を順に含む包装材料であって、
(1)前記ヒートシール層は、充填粒子を含み、充填粒子が密集した密集領域と充填粒子が疎らに分散した過疎領域とを有し、
(2)前記密集領域及び前記過疎領域は、それぞれ略帯状の平面形状を有し、
(3)前記密集領域及び前記過疎領域は、ヒートシール層全体としてストライプ状となるように交互かつ連続的に配置されている、
ことを特徴とする包装材料。
【請求項2】
ヒートシール層は、基材層全体を覆うように形成されている、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
付着防止層が、ヒートシール層における密集領域及び過疎領域の略全体を覆うように形成されている、請求項1に記載の包装材料。
【請求項4】
付着防止層が疎水性微粒子からなる、請求項1に記載の包装材料。
【請求項5】
充填粒子の平均粒径が0.1〜50μmである、請求項1に記載の包装材料。
【請求項6】
充填粒子の含有量がヒートシール層中1〜80重量%である、請求項1に記載の包装材料。
【請求項7】
請求項1に記載の包装材料を製造する方法であって、
(1)基材層の一方面に、斜線版を用いたグラビア印刷法に用いてヒートシール成分及び充填粒子を含むインキを塗工することよってヒートシール層を形成する工程、
(2)得られたヒートシール層の表面上に、溶媒中に疎水性粒子が分散した分散液を塗布することにより付着防止層を形成する工程、
を含む、包装材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料及び包装材料の製造方法に関する。より詳しくは、食品、飲料品、化粧品、医薬品等を包装するための包装材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品、飲料品、医薬品、化粧品、化学品等の分野において、その内容物を包装するために包装材料が用いられる。これらの包装材料においては、密封性のほか、熱接着性、遮光性、耐熱性、耐久性等が要求される。
【0003】
最近では、内容物が付着しにくい特性(非付着性)を有する包装材料が開発され、実用化されるに至っている。例えば、接着層を介して一体化された基材層とヒートシール層とを備えた蓋材において、ヒートシール層が、付着防止効果を有する非イオン界面活性剤又は疎水性添加物の少なくとも1種を含むポリオレフィンからなり、その厚さが10μmよりも厚く、接着層と該ヒートシール層との間にポリオレフィンからなる中間層が設けられていることを特徴とする充填物付着防止蓋材等が知られている(特許文献1)。
【0004】
これに対し、本発明者らは、非付着性をより高めるために、ヒートシール層上に付着防止層を形成された包装材料を開発しており(特許文献2〜4)、これらの包装材料は既に市場に流通し、各方面で使用されている。
【0005】
ところで、非付着性を有する包装材料で包装される内容物としては、例えばヨーグルトを代表例として挙げることができる。我が国におけるヨーグルト等の醗酵乳の国内生産量は年間100万キロリットルを超え、ヨーグルト工場ではほぼ365日生産ラインが稼動している。市場に流通する製品の多くは、ヨーグルトがプラスチック製又は紙ポリ製の容器に充填されたものであり、開口部はヒートシール蓋で密閉されている。このような製品は、1日に数十万パック以上生産されるため、1つの製品当たりに要するヒートシール時間も制約され、通常は数秒間以内でヒートシールを完了させなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−37310
【特許文献2】特開2010−184454
【特許文献3】特開2011−73219
【特許文献4】特開2011−93315
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ヒートシール層の表面に付着防止層を有する包装材料では、ヒートシール層上に付着防止層が形成されていることに起因して、数秒間程度という短時間で確実にヒートシールすることが難しい場合がある。
【0008】
ヒートシールが不完全になっている場合、内容物を密封するという包装材料本来の機能が果たされず、製品として致命的な欠陥となるため、不完全なヒートシールは確実に避けなければならない。他方、より確実にヒートシールを行うためにヒートシール時間を長くすることも考えられるが、生産効率上ヒートシール時間を長くするにも限界があり、やはり数秒以内でヒートシールを完了させる必要がある。すなわち、数秒(好ましくは2秒以内)でヒートシールを完了できるホットタック性を向上させることが要求されている。
【0009】
本発明の主な目的は、ヒートシール層の表面に付着防止層が積層されている包装材料において、より優れたホットタック性を発揮できる包装材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の層構成を採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、下記の包装材料及びその製造方法に係る。
1. 少なくともa)基材層、b)ヒートシール層及びc)付着防止層を順に含む包装材料であって、
(1)前記ヒートシール層は、充填粒子を含み、充填粒子が密集した密集領域と充填粒子が疎らに分散した過疎領域とを有し、
(2)前記密集領域及び前記過疎領域は、それぞれ略帯状の平面形状を有し、
(3)前記密集領域及び前記過疎領域は、ヒートシール層全体としてストライプ状となるように交互かつ連続的に配置されている、
ことを特徴とする包装材料。
2. ヒートシール層は、基材層全体を覆うように形成されている、前記項1に記載の包装材料。
3. 付着防止層が、ヒートシール層における密集領域及び過疎領域の略全体を覆うように形成されている、前記項1に記載の包装材料。
4. 付着防止層が疎水性微粒子からなる、前記項1に記載の包装材料。
5. 充填粒子の平均粒径が0.1〜50μmである、前記項1に記載の包装材料。
6. 充填粒子の含有量がヒートシール層中1〜80重量%である、前記項1に記載の包装材料。
7. 前記項1に記載の包装材料を製造する方法であって、
(1)基材層の一方面に、斜線版を用いたグラビア印刷法に用いてヒートシール成分及び充填粒子を含むインキを塗工することよってヒートシール層を形成する工程、
(2)得られたヒートシール層の表面上に、溶媒中に疎水性粒子が分散した分散液を塗布することにより付着防止層を形成する工程、
を含む、包装材料の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装材料によれば、ヒートシール層の表面に付着防止層が積層されているにもかかわらず、優れたホットタック性を発揮することができる。より具体的には、本発明の包装材料では特定の構造のヒートシール層が形成されていることから、数秒以内(好ましくは2秒以内、より好ましくは1.5秒以内)で所望のヒートシール効果を得ることができる。その結果として、優れた非付着性(撥水性、撥ヨーグルト性等)とともに、優れたホットタック性をも達成することができる。
【0013】
また、本発明の包装材料では、水分と脂肪分とを含む液状食品又は飲料(例えばヨーグルト)を内容物とする場合にも、より優れた付着防止効果を達成することができる。すなわち、ヨーグルト等において、脂肪分(乳脂肪分)が比較的多量に含まれる場合にも、優れた付着防止効果を達成することができる。従前の包装材料では、例えばヨーグルトの中でも乳脂肪分が比較的多量(特に乳脂肪分3%以上)に含まれるタイプのヨーグルトを内容物とする場合はその撥水性が大きく低下するという問題がある。これに対し、本発明の包装材料では、脂肪分(乳脂肪分)が3%以上(特に3〜10%、さらには3〜8%)である液状食品又は飲料(例えばヨーグルト)を内容物とする場合にも、所望の付着防止効果(撥水性、撥ヨーグルト性)を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の包装材料の断面構造を示す模式図である。
図2】本発明の包装材料の平面構造を示す模式図である。
図3】本発明の包装材料を容器の蓋材として用いて作製された包装体の断面構造の模式図を示す。
図4】試験例1においてホットタックテスターを用いてシールの剥離距離を調べた結果を示す。
図5】試験例1で用いたホットタックテスターの概略図を示す。
図6】実施例1で得られた包装材料サンプルのヒートシール層(付着防止層)側表面を光学顕微鏡により観察した結果を示す図である。
図7】比較例1で得られた包装材料サンプルのヒートシール層(付着防止層)側表面を光学顕微鏡により観察した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.包装材料
本発明の包装材料は、少なくともa)基材層、b)ヒートシール層及びc)付着防止層を順に含む包装材料であって、
(1)前記ヒートシール層は、充填粒子を含み、充填粒子が密集した密集領域と充填粒子が疎らに分散した過疎領域とを有し、
(2)前記密集領域及び前記過疎領域は、それぞれ略帯状の平面形状を有し、
(3)前記密集領域及び前記過疎領域は、ヒートシール層全体としてストライプ状となるように交互かつ連続的に配置されている、
ことを特徴とする。
【0016】
1)包装材料の構造
図1には、本発明に係るシート状の包装材料の断面の模式図を示す。図1に示すように、本発明の包装材料30は、基材層1、ヒートシール層2及び付着防止層3を基本構成とする。図1のように、基材層1、ヒートシール層2及び付着防止層3が互いに直接的に接するように積層されていても良いが、本発明の効果を妨げない限り、これらの層間に他の層が1層又は2層以上介在していても良い。なお、ヒートシール層2中には、充填粒子6が含まれている。
【0017】
前記ヒートシール層においては、充填粒子が密集した密集領域と、充填粒子が疎らに分散した過疎領域を有する。すなわち、本発明では、(密集領域における充填粒子の密度)>(過疎領域における充填粒子の密度)となれば良く、各密度は充填粒子の粒径のほか、グラビア印刷で用いる斜線版のセルの形状・サイズによって適宜調整することができる。密集領域及び過疎領域は、後記の実施例にも示すように、光学顕微鏡による観察にて識別・判定することができる。なお、本発明では、過疎領域に充填粒子がほとんど存在しない場合も包含する。
【0018】
密集領域と過疎領域の平面状態(両領域の配置構成)は、個々の領域は略帯状(略長方形状、線条)をなしており、これらが互いに交互に連続的に隣接することにより、全体として両領域によってストライプ状模様が形成されるように配置すれば良く、限定的ではない。例えば、図2(a)に示すように、密集領域2aと過疎領域2bからなる縦方向のストライプ状模様が形成された態様であっても良い。あるいは、密集領域2aと過疎領域2bからなる図2(b)のように、斜め方向のストライプ状模様が形成された態様であっても良い。勿論、横方向のストライプ状模様が形成された態様であっても良い。また、個々の帯状領域は、図2のような直線状であっても良いが、略曲線状、略蛇行状等になっていても良い。
【0019】
平面方向において、密集領域2aの幅Waと過疎領域2bの幅Wbは特に制限されず、通常はそれぞれ0.05〜5mm程度、特にそれぞれ0.1〜0.8mmの範囲内で適宜設定することができる。また、両領域の幅は同じであっても良いし、互いに異なっていても良い。前記幅Waは、光学顕微鏡による観察において、任意の密集領域の幅を10個選出し、個々の幅Wa、Wa、・・・Wa10を算術平均して得られる値を示す。前記幅Wbは、光学顕微鏡による観察において、任意の過疎領域の幅を10個選出し、個々の幅Wb、Wb、・・・Wb10を算術平均して得られる値を示す。
【0020】
また、複数の密集領域における各幅は、同じであっても良いし、互いに異なっていても良いが、通常は互いに略同一となるように形成されていることが望ましい。複数の過疎領域における各幅も、同じであっても良いし、互いに異なっていても良いが、通常は互いに略同一となるように形成されていることが望ましい。
【0021】
本発明において、ヒートシール層は、図1にも示すように、基材層全体を覆うように形成されていることが好ましい。これによって、包装材料の任意の箇所においてヒートシールを行うことが可能となる。
【0022】
付着防止層3は、基材層1及びヒートシール層2を含む積層体の最外層としてのヒートシール層2の最表面(基材層と接着していない方の(基材層と反対側の)表面)の略全体に形成されている。
【0023】
付着防止層3は、好ましくは疎水性粒子(図1中では個々の粒子の表記は省略する。)から構成されている。すなわち、疎水性粒子は、ヒートシール層2に付着し、固定されている。疎水性粒子は、一次粒子が含まれていても良いが、その凝集体(二次粒子)が多く含まれていることが望ましい。特に、疎水性粒子が三次元網目状構造からなる多孔質層を形成していることがより好ましい。すなわち、ヒートシール層2の表面には、疎水性粒子により形成された三次元網目状構造からなる多孔質層が積層されていることが好ましい。このように三次元網目状構造を有する多孔質層が形成されている場合は、前記多孔質層が包装材料における最外層となる。
【0024】
また、付着防止層は、図1に示すように、ヒートシール層における密集領域及び過疎領域の両方の領域に連続的に形成されていることが好ましい。これによって、付着防止層の表面(露出面)において、密集領域による良好な付着防止効果と、過疎領域による高いホットタック性とを同時により確実に得ることができると考えられる。
【0025】
本発明においては、この付着防止層によって良好な非付着性が長期間維持される。この理由としては、特にヒートシール層2の密集領域に疎水性粒子が固定されることによると考えられる。すなわち、包装材料が、内容物あるいは工程中の機器又は装置と接触しても、当該密集領域の充填粒子間の隙間(谷間)に固定された疎水性粒子は内容物等との接触が起こりにくくなることから、疎水性粒子の脱落を効果的に抑制ないしは防止できる。その結果、優れた非付着性を持続的に発揮することができると考えられる。換言すれば、良好な非付着性を比較的長期にわたり発揮することができると言える。
【0026】
また、図1に示すように、充填粒子6を用いることにより、ヒートシール面の耐摩耗性をよりいっそう向上させ、さらに疎水性粒子の脱落をより効果的に抑制ないしは防止することができる。これは、特にヒートシール層2中の充填粒子が密集領域に偏在することによるものと考えられる。
【0027】
本発明の包装材料は、使用時に少なくともその一部がヒートシールされる。つまり、ヒートシール層2を介して包装材料の一部又は全部がヒートシールされる。例えば、後記の実施例に示すように、本発明の包装材料を蓋材として使用する場合、蓋材全面にヒートシール層を形成し、容器とヒートシールされる部分(例えば容器の開口部のフランジ)においてヒートシールされることになる。本発明の包装材料がヒートシールされる相手部材(被着体)としては限定されず、上記のように他の包装材料(前記の場合は容器)とヒートシールする場合のほか、本発明の包装材料どうしをヒートシールすることにより袋体等を製造する場合等も包含される。本発明の包装材料を用いてヒートシールする場合、ヒートシール層上に付着している疎水性粒子は使用時にヒートシール層中に埋め込まれることになるので、ヒートシールを実質的に阻害することなく、ヒートシールされる部材(被着体)と確実にヒートシールを行うことができる。すなわち、ヒートシール層と被着体との間に疎水性粒子が介在しているにもかかわらず、良好なヒートシール性能を発揮することができる。
【0028】
図3には、本発明の包装材料を容器の蓋材として用いて作製された包装体の断面構造の模式図を示す。なお、図3では、疎水性粒子3及び充填粒子6の表記は省略されている。容器4に内容物5が充填され、その開口部のフランジと包装材料(積層体)のヒートシール層2とが接するような状態で密封される。つまり、ヒートシール層2に付着している疎水性粒子が内容物5と接触可能な状態で本発明の包装材料が使用されることになる。このような場合であっても、ヒートシール層2は疎水性粒子によって保護され、優れた非付着性を有するので、たとえ内容物5がヒートシール層2近傍に接触しても、内容物5のヒートシール層2への付着が疎水性粒子3(又は疎水性粒子からなる多孔質層)によって遮られ、なおかつ、はじかれる。このため、内容物がヒートシール層近傍に付着したままの状態とならずに、疎水性粒子(又は疎水性粒子からなる多孔質層)にはじかれて内容物が容器内に戻る。さらに、疎水性粒子3(又は疎水性粒子からなる多孔質層)の一部は、充填粒子によって形成された凹部又は間隙に入り込んだ状態なので、内容物との物理的な接触、輸送中の振動等による疎水性粒子3(又は疎水性粒子からなる多孔質層)の剥離・脱落を効果的に防止できる結果、優れた非付着性を長期間持続的に発揮することができる。なお、容器4の材質としては、例えば金属、合成樹脂、ガラス、紙、それらの複合材料等から適宜選択でき、その材質に応じてヒートシール層の種類、成分等を適宜調整することができる。
【0029】
2)各層の構成・組成
2−1)基材層
基材層としては、公知の材料を採用することができる。例えば、紙、合成紙、樹脂フィルム、蒸着層付き樹脂フィルム、アルミニウム箔、その他の金属箔等の単体又はこれらの複合材料・積層材料を好適に用いることができる。
【0030】
基材層の積層方法、基材層とヒートシール層等との積層方法も限定的でなく、例えばドライラミネート法、押し出しラミネート法、ウエットラミネート法、ヒートラミネート法等の公知の方法を採用することができる。
【0031】
基材層の厚みは特に制限されるものではないが、公知の包装材料で使用されている範囲を設定することができ、例えば通常1〜500μm程度とすることが好ましい。
【0032】
2−2)ヒートシール層
ヒートシール層は、積層体の最外層(最表面)に配置される。ヒートシール層には、充填粒子を含んでおり、充填粒子以外の成分(主成分ともいう)は、公知のヒートシール成分を採用することができる。例えば、公知のシーラントフィルムの成分ほか、ラッカータイプ接着剤、イージーピール接着剤、ホットメルト接着剤等の接着剤に用いられる成分を採用することができる。
【0033】
ヒートシール層の主成分としては限定的でなく、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他の熱接着性樹脂のほか、これらのブレンド樹脂、これらを構成するモノマーの組合せを含む共重合体、変性樹脂等を用いることができる。ヒートシール層の構成として、単層のシーラントフィルムを使用できるほか、共押出しあるいは押出しラミネートした2層以上のシーラントフィルムを使用することもできる。
【0034】
ヒートシール層の厚みは特に限定的ではないが、密集領域において生産性、コスト等の観点より5〜100μm程度とすることが好ましく、10〜50μm程度とすることがさらに好ましい。過疎領域においては、1〜50μm程度とすることが好ましく、1〜30μm程度とするのがさらに好ましい。また、本発明では(密集領域の厚み)>(過疎領域の厚み)であることが好ましい。
【0035】
本発明の包装材料では、熱接着するに際して、熱接着される領域上に存在する疎水性粒子がヒートシール層中に埋め込まれ、ヒートシール層の樹脂成分が最表面となることにより熱接着を行うことができる。このため、上記厚みの範囲内において、疎水性粒子をヒートシール層にできるだけ多く埋め込むことができる厚みに設定することが望ましい。
【0036】
また、本発明においては、ヒートシール層が帯状の密集領域と帯状の過疎領域とが交互に並ぶように設けられている。帯状の密集領域と帯状の過疎領域とが100〜400μmのピッチで交互に並ぶように設けられているのが好ましく、特に200〜300μmのピッチで交互に並ぶように設けられていることが好ましい。本発明において「ピッチ」とは、帯方向に垂直な方向における密集領域の幅Waと過疎領域の幅Wbの平面視合計を意味する。
【0037】
基材層は、他の層を含んでいても良い。すなわち、本発明の効果を妨げない限り、必要に応じて各種の特性(耐水分透過性、耐酸素透過性、遮光性、断熱性、耐衝撃性等)を付与する目的で、公知の包装材料で採用されている各層が任意の位置に積層されていても良い。例えば、印刷層、印刷保護層(いわゆるOP層)、着色層、接着剤層、接着強化層、プライマーコート層、アンカーコート層、防滑剤層、滑剤層、防曇剤層等が挙げられる。
【0038】
2−3)付着防止層
本発明の包装材料では、ヒートシール層に接するように付着防止層が形成されている。付着防止層としては、疎水性粒子から構成される層を好適に採用することができる。
【0039】
疎水性粒子
疎水性粒子としては、疎水性を有するものであれば特に限定されず、具体的には疎水性を有する酸化物微粒子等を用いることができる。また、表面処理により疎水化されたものであっても良い。例えば、親水性酸化物微粒子をシランカップリング剤等で表面処理を施し、表面状態を疎水性とした微粒子を用いることもできる。
【0040】
酸化物微粒子としては、より具体的にはシリカ(二酸化ケイ素)、アルミナ、チタニア等の少なくとも1種を好適に用いることができる。これらは公知又は市販のものを採用することができる。例えば、シリカとしては、製品名「AEROSIL R972」、「AEROSIL R972V」、「AEROSIL R972CF」、「AEROSIL R974」、「AEROSIL RX200」、「AEROSIL RY200」(以上、日本アエロジル株式会社製)、「AEROSIL R202」、「AEROSIL R805」、「AEROSIL R812」、「AEROSIL R812S」、(以上、エボニック デグサ社製)、「サイロホービック100」「サイロホービック200」「サイロホービック603」(以上、富士シリシア化学株式会社製)等が挙げられる。チタニアとしては、製品名「AEROXIDE TiO T805」(エボニック デグサ社製)等が例示できる。アルミナとしては、製品名「AEROXIDE Alu C」(エボニック デグサ社製)等をシランカップリング剤で処理して粒子表面を疎水性とした微粒子が例示できる。
【0041】
この中でも、疎水性シリカ微粒子を好適に用いることができる。とりわけ、より優れた非付着性が得られるという点において、表面にトリメチルシリル基を有する疎水性シリカ微粒子が好ましい。これに対応する市販品としては、例えば前記「AEROSIL R812」、「AEROSIL R812S」(いずれもエボニック デグサ社製)等が挙げられる。
【0042】
包装材料の表面に付着させる疎水性粒子の付着量(乾燥後重量)は限定的ではないが、通常0.01〜10g/mとするのが好ましく、0.2〜1.5g/mとするのがより好ましく、0.2〜1g/mとするのが最も好ましい。上記範囲内に設定することによって、より優れた非付着性が長期にわたって得ることができる上、疎水性粒子の脱落抑制、コスト等の点でもいっそう有利となる。
【0043】
包装材料の表面に付着した疎水性粒子は、三次元網目状構造を有する多孔質層を形成していることが好ましく、その厚みは0.1〜5μm程度が好ましく、0.2〜2.5μm程度がさらに好ましい。このようなポーラスな層状態で付着することにより、当該層に空気を多く含むことができ、より優れた非付着性を発揮することができる。
【0044】
疎水性粒子の一次粒子平均径は3nm〜20μm程度が好ましく、3〜100nmがより好ましく、5〜50nmが最も好ましい。本発明において、一次粒子平均径の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM、FE−SEM)で実施することができ、走査型電子顕微鏡の分解能が低い場合には透過型電子顕微鏡等の他の電子顕微鏡を併用して実施しても良い。具体的には、粒子形状が球状の場合はその直径、非球状の場合はその最長径と最短径との平均値を直径とみなし、走査型電子顕微鏡等による観察により任意に選んだ50個分の粒子の直径の平均を一次粒子平均径とする。
【0045】
また、疎水性粒子は、ヒートシール層側の全面(基材層側と反対側の面の全面)に付着していても良いし、ヒートシール層が熱接着される領域(いわゆる接着しろ)を除いた領域に付着していても良い。
【0046】
本発明では、ヒートシール層側の全面に付着している場合でも、熱接着される領域上に存在する疎水性粒子のほとんど又は全部が当該ヒートシール層中に埋没するので熱接着が大きく阻害されることはなく、工業的生産上でもヒートシール層の全面に付着している方が望ましい。
【0047】
充填粒子
また、本発明では、ヒートシール層中に充填粒子が含有されている。充填粒子をヒートシール層内に含むことにより、より優れた耐摩耗性等を包装材料に付与することができるうえ、耐摩耗性を長時間持続させることができる結果、付着防止効果(例えば、撥水性撥ヨーグルト性)をさらに持続させることができる。
【0048】
充填粒子としては、有機成分及び無機成分の少なくとも1種を含む充填粒子を採用することができる。無機成分としては、例えば1)アルミニウム、銅、鉄、チタン、銀、カルシウム等の金属又はこれらを含む合金又は金属間化合物、2)酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄等の酸化物、3)リン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム等の無機酸塩又は有機酸塩、4)ガラス、5)窒化アルミニウム、窒化硼素、炭化珪素、窒化珪素等のセラミック等を好適に用いることができる。
【0049】
有機成分としては、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等の有機高分子成分(又は樹脂成分)を好適に用いることができる。
【0050】
本発明では、これらの中でも、有機成分を含む粒子が好ましく、特に樹脂ビーズを採用するのがさらに好ましい。
【0051】
充填粒子の形状は限定的でなく、例えば球状、回転楕円体状、不定形状、涙滴状、扁平状、中空状、多孔質状等のいずれであっても良い。
【0052】
充填粒子の平均粒径は、特に限定されず、例えば0.1〜50μm、好ましくは1〜30μmの範囲内で適宜設定することができる。ただし、充填粒子どうしの間隙を積極的に利用する関係上、充填粒子の平均粒径を疎水性粒子の一次粒子平均径より大きくすることが好ましい。
【0053】
樹脂ビーズを採用した場合、樹脂ビーズの融点は、ヒートシール層の融点より低くすることが望ましく、通常は160℃以下とするのがより好ましい。このような融点の樹脂ビーズを採用することにより、ヒートシール層と樹脂ビーズの密着性が良くなり、耐摩耗性及び非付着性をより効果的に持続させることができる。かかる見地より、樹脂ビーズの材質はポリオレフィン系樹脂が好ましく、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂等の少なくとも1種を好適に用いることができる。
【0054】
樹脂ビーズの融点がヒートシール層の融点より高い場合であっても、融点が低いヒートシール層を採用すれば、樹脂ビーズとヒートシール層の密着性は良くなり、上記同様耐摩耗性及び非付着性を効果的に持続させることができる。すなわち、樹脂ビーズとヒートシール層の成分が溶着することにより、樹脂ビーズがヒートシール層内に強固に固定され、その間隙や表面に付着した疎水性粒子との相乗作用により耐摩耗性及び非付着性をより効果的に持続させることができる。
【0055】
なお、充填粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計によって測定すれば良いが、レーザー回折式粒度分布計による測定が困難な場合は、顕微鏡での観察、例えば走査型電子顕微鏡等で観察(あるいは写真撮影)し、粒子形状が球状の場合はその直径、非球状の場合はその最長径と最短径との平均値を直径とみなし、走査型電子顕微鏡等による観察により任意に選んだ50個分の粒子の直径の平均を平均粒径とすれば良い。
【0056】
本発明のヒートシール層中の充填粒子の含有量は、充填粒子の種類、平均粒径等に応じて適宜変更できるが、固形分重量基準で通常1〜80%とすれば良く、5〜50%程度とすることがより好ましく、さらに10〜30%とすることが最も好ましい。
【0057】
2.包装材料の製造方法
本発明の包装材料は、例えば次の方法により好適に製造することができる。すなわち、少なくともa)基材層、b)ヒートシール層及びc)付着防止層を順に含む包装材料を製造する方法であって、
(1)基材層の一方面に、斜線版を用いたグラビア印刷法に従ってヒートシール成分及び充填粒子を含むインキを塗工することよってヒートシール層を形成する工程(ヒートシール層形成工程)、
(2)得られたヒートシール層の表面上に、溶媒中に疎水性粒子が分散した分散液を塗布することにより付着防止層(塗膜)を形成する工程(付着防止層形成工程)、
を含む製造方法によって、本発明の包装材料を好適に製造することができる。
【0058】
ヒートシール層形成工程
ヒートシール層形成工程では、基材層の一方面に、斜線版を用いたグラビア印刷法に従ってヒートシール成分及び充填粒子を含むインキを塗工することよってヒートシール層を形成する。
【0059】
一般的に用いられているグラビア版は、セルと呼ばれる小穴状の窪みが彫刻されており、そのセルにインキが一時的に保持され、被印刷面(本発明においては基材層の一方面)へそのインキが転写されることにより、グラビア印刷が実施される。
【0060】
これに対し、本発明において用いる斜線版は、各セルが一方向に長細く延びた形状を有する。すなわち、本発明では、ロール(シリンダ)に複数の線状の溝部(凹部)が形成されてなるグラビア版を用いる。これを用いてグラビア印刷を行った場合、グラビア版の線状の溝部にインキが保持された状態となるが、インキ中の充填粒子は当該溝部(セル)に偏って集まることになる。このような状態で被印刷面にインキが転写されると、前記溝部に対応する領域によって帯状の密集領域が形成されるとともに、前記溝部以外の部分に対応する領域によって帯状の過疎領域が形成される。より具体的には、転写時点では前記溝部に対応する部分にインキが転写されるが、そのインキの一部は転写直後から流動して広がる。その結果、前記溝部に対応する部分を中心とする密集領域と、インキの流動によりつくられる過疎領域とが交互に並んだヒートシール層を効果的に形成することができる。
【0061】
このため、本発明では、概ね、密集領域は斜線版の線状の溝部の領域に対応する形状をとり、過疎領域は前記溝部以外の領域に対応する形状をとる。また、密集領域及び過疎領域における充填粒子の密度も、特に用いる斜線版の溝部(セル)の形状、幅・深度に応じた範囲とすることができる。例えば、斜線版のセルの深度が深いほど密集領域の充填粒子の密度を高めることができる。また例えば、斜線版のセルの幅が狭いほど密集領域の充填粒子の密度を高めることができる。
【0062】
斜線版の仕様は特に限定されないが、優れたホットタック性と付着防止効果をより確実に得るという見地より、次のように設定されることが望ましい。斜線版の斜線の角度は、印刷方向に対して10〜80度が好ましく、30〜60度とするのがより好ましい。斜線の数(溝数)は、50〜200本/インチとするのが好ましく、100〜150本/インチとするのがさらに好ましい。なお、本発明においては、斜線版は、平面状の平版のみでなく、ロール状のロール版も含む。
【0063】
グラビア印刷で使用されるインキとして、ヒートシール成分及び充填粒子を含むインキを用いる。この場合、ヒートシール成分が溶媒に分散した分散液、ヒートシール成分が溶媒に溶解した溶液等のいずれも使用することができる。溶媒としては、通常のグラビア印刷で使用されるインキに含まれる溶媒と同様のものを使用できるほか、後記の付着防止層形成工程の分散液で使用される溶媒と同様のものも使用することができる。また、ヒートシール層中に充填粒子を含有させる方法としては、前記インキに充填粒子を混合分散すれば良い。
【0064】
グラビア印刷の方法は、特に限定されず、例えばダイレクトグラビア、オフセットグラビア、マイクログラビア、リバースグラビア、リバースコーター等のいずれも採用することができる。これらは、公知又は市販の装置を用いて実施することができる。なお、グラビア印刷を実施した後は、必要に応じてインキ中の溶媒の蒸発を促進するために乾燥工程を実施しても良い。
【0065】
付着防止層形成工程
付着防止層形成工程では、得られたヒートシール層の表面上に、溶媒中に疎水性粒子が分散した分散液を塗布することにより塗膜(付着防止層としての塗膜)を形成する。すなわち、ヒートシール層が最外層として配置された積層体におけるヒートシール層の最外面の一部又は全部に、溶媒中に疎水性粒子が分散した分散液を塗布することにより付着防止層を形成することが望ましい。
【0066】
積層体としては、前記1.で説明したものを使用することができる。すなわち、基材層、ヒートシール層、その他の層は前記1.と同様のものを採用することができる。
【0067】
分散液としては、溶媒中に疎水性粒子を分散させたものを使用すれば良い。この場合の疎水性粒子は、前記1.で述べたものをそれぞれ使用することができる。
【0068】
溶媒としては、特に限定されず、例えばアルコール(エタノール)、シクロヘキサン、トルエン、アセトン、IPA、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチルジグリコール、ペンタメチレングリコール、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ヘキシルアルコール等の有機溶剤の中から適宜選択することができる。溶媒に対する疎水性粒子の分散量は、通常10〜100g/L程度とすることが好ましい。また、本発明では、分散液には、本発明の効果を妨げない範囲内で、必要に応じて他の添加剤を適宜配合することができる。例えば、分散剤、着色剤、沈降防止剤、粘度調整剤等を配合することができる。
【0069】
分散液を塗布する場合の塗布方法としては、例えばロールコーティング、グラビアコーティング、バーコート、ドクターブレードコーティング、コンマコーター、刷毛塗り等の公知の方法をいずれも採用することができる。例えば、ロールコーティング等を採用する場合は、疎水性粒子を溶媒に分散させてなる分散液を用いてヒートシール層上に塗膜を形成することにより付着防止層形成工程を実施することができる。
【0070】
なお、付着防止層形成工程の後において、乾燥する工程を実施しても良い。乾燥方法は、自然乾燥又は強制(加熱)乾燥のいずれであっても良い。
【0071】
このようにして得られた包装材料は、そのままで又は加工を施して用いることができる。加工方法は、公知の包装材料の場合と同様の方法を採用することができる。例えば、エンボス加工、ハーフカット加工、ノッチ加工等を施しても差し支えない。本発明の包装材料は、蓋材をはじめ、例えば成形容器、包み紙、トレー、チューブ、並びにピロー袋、ガゼット袋、パウチ等の袋体にも好適に用いることができる。より具体的には、本発明の包装材料どうしを互いのヒートシール層が対向した状態でその周辺にヒートシールを行うことにより袋体を好適に製造することができる。このような袋体はレトルトパック等に使用することができる。
【実施例】
【0072】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0073】
実施例1
下記(1)〜(3)の手順に従って包装材料サンプルを作製した。
(1)基材層の準備
坪量55gの紙の片面にポリウレタン系ドライラミネート接着剤(乾燥後重量5.0g/m;Dと略称)を用いて、アルミニウムを片面に蒸着した厚み16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(VM−PETと略称)のアルミニウム蒸着層と貼り合わせ、紙/D/VM−PETの積層体を作製した。さらにこの積層体の紙面にOP(主成分:ニトロセルロース 乾燥後塗布量1g/m;OPと略記)処理を施した。これによって、「OP/55g紙/D/16VM−PET」なる構成の基材層としての積層体を得た。
(2)ヒートシール剤(層)の準備及び塗布
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系のヒートシール剤中に固形分基準で、平均粒子径20μm、比重1.2のアクリル樹脂ビーズ10重量%及び平均粒子径12μm、比重0.91のポリエチレン樹脂ビーズ15重量%を混合分散し、樹脂ビーズ入りのヒートシール剤を準備した。準備したヒートシール剤を前記基材のPET面に斜線版(線数100本/インチ、深度60μm、角度:45°)胴(ロール)を用いてダイレクトグラビア方式で塗布し、基材層とヒートシール層の積層体を得た。なお、樹脂ビーズ入りヒートシール剤の目標塗布量は乾燥後重量で3.5g/mとした。ヒートシール層の密集領域と過疎領域のピッチは250μmであった。
(3)疎水性酸化物微粒子の付着
疎水性酸化物微粒子(製品名「AEROSIL R812S」エボニック デグサ社製、BET比表面積:220m/g、一次粒子平均径:7nm)2gをエタノール100mLに分散させてコート液を調製した。このコート液を前記(2)で作製された積層体のヒートシール層の面に乾燥後重量で0.3g/mとなるようにグラビアコート方式で付与した後、100℃で10秒程度をかけて乾燥させてエタノールを蒸発させることにより塗膜(付着防止層)を形成し、包装材料サンプルを得た。
【0074】
実施例2
前記(3)の疎水性酸化物微粒子のエタノール中の分散量を3gとし、塗布量を乾燥後重量で0.5g/mに変更したほかは、実施例1と同様にして包装材料サンプルを作製した。
【0075】
実施例3
前記(3)の疎水性酸化物微粒子のエタノール中の分散量を4gとし、塗布量を乾燥後重量で0.8g/mに変更したほかは、実施例1と同様にして包装材料サンプルを作製した。
【0076】
比較例1
前記(2)の斜線版胴をグラビアセル版胴(縦横#100メッシュ、深度60μm)に変更したほかは、実施例1と同様にして包装材料サンプルを作製した。
【0077】
比較例2
前記(2)の斜線版胴をグラビアセル版胴(縦横#100メッシュ、深度60μm)に変更したほかは、実施例2と同様にして包装材料サンプルを作製した。
【0078】
比較例3
前記(2)の斜線版胴をグラビアセル版胴(縦横#100メッシュ、深度60μm)に変更したほかは、実施例3と同様にして包装材料サンプルを作製した。
【0079】
試験例1
ホットタックテスター(テスター産業株式会社製「TP−701S」)によって、次の条件により上記実施例及び比較例で作製した包装材料サンプルのホットタック性を測定した。具体的には各包装材料サンプルから(縦700mm×横35mm)に切り抜いて試験サンプルを作製し、被着体としてサンプルと同様の大きさの耐衝撃性ポリスチレンシート(HIPS、厚み:0.5mm)を用意して、試験サンプルのヒートシール層(付着防止層)側の面と重ね合わせた。試験サンプル及びHIPSの同片側末端に45g分銅を取り付け、ヒートシールテスター(シールバー:幅5mm、長さ300mm)を用いて各温度T℃及び圧力3.0kg/cmにて1.2秒間でシールし、直後に手を離すことで分銅自重によるシールの剥離距離を調べた。その結果を図4に示す。
【0080】
また、試験例1で使用したホットタックテスターの概略図を図5に示す。図5中、符号10、11、12、13はガイドロール、符号1は試験サンプル、符号20は被着体、符号21、22はそれぞれヒートシール用上部バー、下部バーであってシールする材料1、20を図のようにセットし、各々の試料の端に分銅(各45g)を負荷させ、上部バー21と下部バー22で試料1と20をシールした直後(1.2秒後)に両バー21と22を離間させ、瞬間的にシールが剥がれた距離を測定する。
【0081】
試験例2
各包装材料サンプルから蓋材の形状(タブ付きの縦62mm×横67mmの矩形)に切り抜いた蓋材を用いて包装体を作製した。具体的には、フランジ付きポリスチレン製容器(フランジ幅4mm、フランジ外径60mm×65mm□、高さ約48mm、内容積約100cmになるように成形したもの)中に市販のヨーグルト2種類((a)製品名「ビヒダス アロエヨーグルト」森永乳業株式会社製(無脂乳固形分8.2% 乳脂肪分0.1%)、(b)製品名「明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーンおいしい生乳100(無脂乳固形分8.3% 乳脂肪分3.5%)」株式会社明治製))85gをそれぞれ充填した後、フランジ上に前記蓋材をヒートシールすることによって包装体をそれぞれ作製した。ヒートシール条件は、温度225℃及び圧力3kgf/cmにて1.2秒間で2mm幅のリング(凹状)シールとした。
【0082】
作成した各包装体を振動試験機(アイデックス株式会社製 TRANSPORTATION TESTER BF−30U)を用いて1分40秒間(10Hz−10秒・15Hz−10秒・20Hz−10秒・25Hz−10秒・30Hz−10秒を2回繰り返して上下往復振動)、2.2mm振幅(上下方向)、加速度約2Gの条件にて振動させた後、蓋材を手指で開封し、各蓋材に付着したヨーグルトの量(付着面積)を目視で判定した。判定基準は、接触面積における付着面積の割合とした。その結果を表1に示す。
【0083】
試験例3
各実施例及び比較例で得られた包装材料サンプルについてシール強度を調べた。各包装材料サンプルから蓋材の形状(タブ付きの縦62mm×横67mmの矩形)に切り抜いた蓋材を用いて包装体を作製した。具体的には、フランジ付きポリスチレン製容器(フランジ幅4mm、フランジ外径60mm×65mm□、高さ約48mm、内容積約100cmになるように成形したもの)のフランジ上に前記蓋材をヒートシールすることによって包装体をそれぞれ作製した。前記ヒートシール条件は、温度210℃及び圧力2kg/cmにて1秒間で1mm幅のリング(凹状)シールとした。各包装体上の蓋材のタブを開封始点からみて仰角45度の方向に100mm/分の速度で引っ張り、開封時の最大荷重をシール強度(N)とし、各包装体についてn=6点測定し、その平均値を求めた。その結果を表1に示す。
【0084】
試験例4
試験例2と同様にして作製した包装体を試験サンプルとし、{乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和54年4月16日厚生省令第17号)}の封緘強度試験法に準じて封緘強度試験を行った。但し、容器内に空気を流入し続け、空気漏れする時点の内圧(mmHg)を測定した。各包装体についてn=3点測定し、その平均値を求めた。(但し、測定上限は300mmHg)その結果をパンク強度として表1に示す。
【0085】
試験例5
各包装材料サンプルのヒートシール層(付着防止層)側を試験面とし、接触角測定装置(固液界面解析装置「DropMaster300」協和界面科学株式会社製)を用いて純水の接触角を測定した。その結果を表1に示す。
【0086】
試験例6
各包装材料サンプルのヒートシール層(付着防止層)側を試験面とし、この面を上面として水平な平台にクリップで固定し、市販のヨーグルト(製品名「ビヒダス アロエヨーグルト」ソフトヨーグルト、森永乳業株式会社製1滴:約0.4g)を至近距離から垂らし、水平な平台を傾け、ヨーグルト液滴が転げ落ちたときの角度を求めた。その結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
表1の結果からも明らかなように、比較例1〜3のサンプルは付着面積が60%以上であるのに対し、実施例1〜3のサンプルはいずれも付着面積が30%以下であり、特に実施例2及び3においては実用的には付着が認められないものであることから、高い非付着性(撥ヨーグルト性)を発揮できることがわかる。
【0089】
また、比較例1〜3のサンプルは乳脂肪分3.5%のヨーグルトではほとんど撥ヨーグルト性が発揮されていないのに対し、実施例1〜3のサンプルでは乳脂肪分3.5%のヨーグルトであっても所望の撥ヨーグルト性が達成されていることがわかる。
【0090】
試験例7
包装材料サンプルのヒートシール層(付着防止層)側表面の観察を行った。実施例1及び比較例1の包装材料サンプルのヒートシール層(付着防止層)側表面を光学顕微鏡により観察した。図6及び図7にそれらの写真を示す。写真より実施例1の方が一方向ではあるが、より充填粒子が分散されて塗布されている様子がわかる。比較例1においては、充填粒子が分散していない箇所が多くなり、この差がホットタック性等の評価値に差を及ぼしているのではないかと推測される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7