(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する検出装置、受信装置および検出方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下では、本発明に係る検出方法の概要について
図1を用いて説明した後に、本発明に係る検出方法を適用した検出装置、受信装置についての実施形態を
図2〜
図8を用いて説明することとする。
【0010】
<1.検出方法の概要>
まず、本発明に係る検出方法の概要について
図1を用いて説明する。
図1は、本発明に係る検出方法の概要を示す図である。
図1に示す検出方法は、基底周波数が異なる信号群がそれぞれ重畳されたデータから、かかる信号群に含まれる各信号を検出するものである。
【0011】
なお、
図1では、移動体Mが自動車である場合を例にとって示しているが、移動体Mは自動車に限られない。たとえば、移動体Mは、電車や船舶、航空機などの、利用者が乗車、搭乗または操縦等するものであってもよい。
【0012】
また、以下では、説明の便宜上、基底周波数が異なる信号群の各信号をノイズとして説明するが、かかる信号はノイズに限られない。信号群は、或る信号に重畳された他の信号群であったり、或る信号の一部であったりしてもよい。また、以下では、基底周波数が異なる2つの信号が重畳している場合を例にとって説明するが、かかる信号の数を限定するものではない。また、以下に述べる「周波数スペクトラム」とは、データやデータに含まれる信号について周波数に対する強度(レベル)を示すグラフのことを指す。
【0013】
図1に示すように、アンテナ11は、移動体Mに設けられる。アンテナ11は、たとえば到来するラジオ放送等の放送電波や、その他の方式で送信される各種無線電波を受信する。
【0014】
ところで、アンテナ11が受信した受信電波には、ノイズが重畳されて受信品質の低下がもたらされることがある。かかるノイズとしては、基底周波数の基本波と基底周波数の2以上の整数倍の周波数の高調波とが複合されたいわゆる「周期性ノイズ」がある。そして、かかる周期性ノイズとしては、たとえば移動体Mがハイブリッド自動車の場合、インバータやDC−DCコンバータといった電力変換装置からのスイッチングノイズなどが挙げられる。
【0015】
ここで、従来は、複数のノイズ信号を含むデータにフーリエ変換の処理を施し、得られた周波数スペクトラムにおけるピーク強度を所定の閾値と比較することによって、ノイズ信号それぞれを検出する手法が一般的であった。
【0016】
しかしながら、このような従来の手法では、周波数スペクトラムにおけるノイズ信号とその他の信号とのピーク強度の差が小さい場合、適切な閾値を設定することが難しく、ノイズの検出精度が低下するおそれがあった。また、かかる閾値の設定における困難性は、データが複数のノイズ信号を含む場合にさらに大きなものとなる。また、従来の手法では、周波数スペクトラムにおけるピーク強度を比較しているため、さまざまな強度の周波数成分を含む周期性ノイズを精度よく検出することが難しかった。
【0017】
そこで、本発明に係る検出方法では、データにおける周期性ノイズの基底周波数を算出し、算出した基底周波数に基づいて各周期性ノイズを検出することとした。これにより、データが複数の周期性ノイズを含む場合であっても、かかる周期性ノイズの検出精度を向上させることができる。
【0018】
以下では、本発明に係る検出方法を実行する手順について説明する。本発明に係る検出方法では、移動体Mに設けられたアンテナ11を介して基底周波数が異なる周期性ノイズ(信号群)がそれぞれ重畳されたデータを取得する(ステップS1)。
【0019】
つづいて、本発明に係る検出方法では、データをフーリエ変換して得られた周波数スペクトラムに基づいて、それぞれの周期性ノイズの基底周波数(
図1の「基底周波数BaおよびBb」参照)を算出する(ステップS2)。なお、ここに示した基底周波数の検出方法の詳細については、
図4および
図5を用いて後述する。
【0020】
そして、本発明に係る検出方法では、算出した基底周波数BaおよびBbに基づいて複数の周期性ノイズそれぞれを検出する(ステップS3)。なお、
図1には、基底周波数Baの周期性ノイズを信号群Saとして示し、基底周波数Bbの周期性ノイズを信号群Sbとして示している。また、ここに示した周期性ノイズの検出方法の詳細については、
図6等を用いて後述する。
【0021】
このように、本発明に係る検出方法は、基底周波数が異なる信号群がそれぞれ重畳されたデータから周期性ノイズの基底周波数を算出し、算出した基底周波数に基づいて各周期性ノイズを検出する。したがって、本発明に係る検出方法によれば、データに重畳されたノイズ信号などの信号を精度よく検出することができる。
【0022】
以下では、
図1を用いて説明した検出方法の詳細、および、かかる検出方法を適用した検出装置および受信装置についての実施形態を詳細に説明する。なお、以下では、受信装置が、
図1を用いて説明した、いわゆる自動車に設けられたノイズ検出装置を含む場合を例にとって説明する。
【0023】
<2.受信装置の構成>
図2は、本実施形態に係る受信装置1の内部構成を示すブロック図である。なお、同図では、受信装置1の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0024】
図2に示す受信装置1は、たとえばラジオ放送やテレビ放送等の放送電波を受信するAM放送受信機やFM放送受信機等の受信装置に相当し、アンテナ11およびスピーカ18に接続される。受信装置1は、検出装置2、IFノイズ処理部14、IF処理部15、オーディオ周波数変換部16およびオーディオ処理部17を備える。検出装置2は、取得部21および信号検出部22を備える。取得部21は、フロントエンド部12およびA/D変換部13を備える。
【0025】
取得部21は、基底周波数が異なる周期性ノイズがそれぞれ重畳されたデータを、アンテナ11を介して取得する。具体的には、フロントエンド部12は、アンテナ11で受信した放送電波を中間周波数信号(以下、単に「IF信号」と称する)に変換する。A/D変換部13は、かかるIF信号をデジタル変換する。なお、ここではA/D変換部13が
IF信号をデジタル変換することとしたが、これに限らず、A/D変換部13は、IF変換前のRF信号をデジタル変換することとしてもよい。
【0026】
また、信号検出部22は、A/D変換部13経由で順次取得するIF信号(すなわちデータ)のうち周期性ノイズを検出する。そして、信号検出部22は、周期性ノイズの基底周波数を含む信号をIFノイズ処理部14へ出力する。なお、信号検出部22が実行する処理の詳細については
図3〜
図6を用いて後述する。
【0027】
IFノイズ処理部14は、信号検出部22からの信号に基づいて、デジタル化されたIF信号のノイズ成分を除去するブランク処理を実行する。なお、ブランク処理とは、IF信号の連続する信号区間のうち、ノイズ成分を含む除去対象区間を除去し、かかる除去した区間を信号補間する補間処理に相当する。
【0028】
IF処理部15は、デジタル化されたIF信号に対してデジタルフィルタ処理を実行する。なお、デジタルフィルタ処理は、到来する放送電波の放送周波数と隣接する隣接放送周波数のIF信号を妨害信号として除去するフィルタ処理に相当する。
【0029】
オーディオ周波数変換部16は、デジタルフィルタを施したIF信号をオーディオ周波数信号(以下、単に「オーディオ信号」と称する)に変換する。オーディオ処理部17は、オーディオ信号に対してオーディオ処理を実行する。なお、オーディオ処理とは、音声ミュート処理や高周波成分を除去するハイカット処理等に相当する。スピーカ18は、オーディオ処理を施したオーディオ信号を音響出力する。なお、A/D変換部13から後段のオーディオ処理部17までの各種部位は、たとえばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)で構成するが、DSPに限定するものではない。
【0030】
なお、上述したIF変換は必ずしも必要ではなくフロントエンド部で必要な周波数を取り出す処理を行うこととしても良い。この場合の必要周波数はAM帯やFM帯、テレビ帯全体といったある程度広い周波数範囲に相当する。
【0031】
<3.信号検出部の構成および検出処理の具体的動作>
以下では、信号検出部22の構成および信号検出部22が実行する処理の詳細について
図3〜
図6を用いて説明する。
図3は、信号検出部22の内部構成を示すブロック図である。
図4および
図5は、各信号の検出方法を説明するための説明図(その1)および(その2)である。
図6は、検出部が検出する信号群の一例を示す図である。なお、以下に述べるフーリエ変換には、離散化された情報を取り扱うDFT(Discrete Fourier Transform)も含まれるものとする。また、以下では、データに2つの周期性ノイズが重畳されている場合を例にとって説明するが、データに重畳される周期性ノイズが3つ以上であってもよい。
【0032】
図3に示す信号検出部22は、算出部30および検出部40を備える。算出部30は、FFT(Fast Fourier Transform)部30a、対数変換部30b、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部30cおよび基底周波数算出部30dを備える。
【0033】
算出部30は、デジタル化されたIF信号のうち、たとえば放送電波における搬送波の周波数成分を除いた信号に、いわゆる「ケプストラム演算処理」を施す。ここで、ケプストラム演算とは、複数の信号が重畳された信号に対して、各信号を分離させる解析を実行する信号処理演算のことを指す。算出部30は、IF信号に、フーリエ変換、対数変換および逆フーリエ変換の処理を順次施すことによって、ケプストラム演算処理を実行する。
【0034】
具体的には、FFT部30aは、
図4に示すように、IF信号のうち搬送波の周波数成分を除いた信号にフーリエ変換の処理を施して周波数スペクトラムを算出し、対数変換部30bへ出力する。なお、
図4における周波数スペクトラムの縦軸は「スペクトラムの強度(レベル)」(以下、「強度」と称する)を示し、横軸は周波数を示している。なお、
図4には、基底周波数がそれぞれΔIおよびΔD(>ΔI)である2つの周期性ノイズが重畳している場合を例にとって示している。
【0035】
ここで、周期性ノイズにおける高調波成分の各周波数は基底周波数の2以上の整数倍になる。したがって、周期性ノイズは、周波数スペクトラムにおいて周波数の間隔がそれぞれ基底周波数に等しいピーク群として示される。また、各周期性ノイズのそれぞれのピーク強度は、周波数の増加とともに順次減少する。
【0036】
具体的には、
図4に示すように、基底周波数ΔIから周波数の間隔がΔIで並びつつ周波数の増加とともに強度が順次減少するピーク群と、基底周波数ΔDから周波数の間隔がΔDで並びつつ周波数の増加とともに強度が順次減少するピーク群とが重畳する。
【0037】
対数変換部30bは、周波数スペクトラムに、2乗処理や絶対値化の処理の後に対数変換の処理を施して「対数振幅スペクトラム」を算出し、IFFT部30cへ出力する。IFFT部30cは、対数振幅スペクトラムに逆フーリエ変換の処理を施して「ケプストラムの値」(以下、「C値」と称する)を算出し、基底周波数算出部30dへ出力する。なお、以下の説明において「ケプストラム」とは、
図5に示すように、上記のC値を時間の次元を有する変数(すなわちケフレンシ)に対して示したグラフのことを指す。すなわち、
図5に示すケプストラムの縦軸はC値を示し、横軸はケフレンシを示している。
【0038】
そして、ケプストラムにおいて、周期性の信号は、かかる周期性の信号における基底周波数の逆数のケフレンシから等間隔に並びつつ、ケフレンシの増加とともにC値が順次減少するピーク群に変換される。また、かかるピークどうしの間隔は、周期性の信号における基底周波数の逆数に等しい。
【0039】
具体的には、
図5に示すように、周波数スペクトラムにおいて基底周波数がΔIの周期性ノイズは、ケフレンシ1/ΔIから間隔が1/ΔIで並びつつ、ケフレンシの増加とともにC値が順次減少するピーク群に変換される。また、周波数スペクトラムにおいて基底周波数がΔDの周期性ノイズは、ケフレンシ1/ΔDから間隔が1/ΔDで並びつつ、ケフレンシの増加とともにC値が順次減少するピーク群に変換される。すなわち、ケプストラム演算処理によれば、基底周波数が異なる周期性ノイズのピーク群を、それぞれケフレンシが離れた位置へ分離することができる。
図5には、このように分離された2つの周期性ノイズをそれぞれ信号グループA1およびA2として示している。
【0040】
また、上述したように、ケプストラム演算処理によれば、ケフレンシが1/ΔIおよび1/ΔDのピークは、それぞれが属するピーク群においてC値が最も大きいピークとなる。そこで、基底周波数算出部30dは、信号グループA1およびA2の各信号のうちC値が最も大きいピーク(
図5の「ピークP11およびP21」参照)のケフレンシから基底周波数を算出することとした。これにより、各周期性ノイズの基底周波数を精度よく算出することができる。
【0041】
なお、各信号グループA1およびA2からC値が最も大きいピークを検出する方法としては、たとえばケフレンシの小さい方から順にピークのC値を比較していく方法が挙げられる。具体的には、隣接する二つのピークを比較し、ケフレンシが大きいピークのC値がケフレンシの小さいピークのC値より所定値以上大きい場合に、ケフレンシが大きいピークを信号グループA1およびA2の最大ピークとする。
【0042】
また、ケフレンシから周波数への変換は、ケフレンシの逆数をとってもよいし、ケプストラムの一部にフーリエ変換を含む処理を施して対数振幅スペクトラムや周波数スペクトラムへ逆変換することとしてもよい。
【0043】
このように、実施形態に係る検出装置2では、移動体Mに設けられたアンテナ11を介して取得したデータにケプストラム演算処理を施す。これにより、複雑でなく処理能力を要しない演算によって複数の周期性ノイズをそれぞれ分離することが可能となる。すなわち、簡便な処理で各周期性ノイズの検出精度を向上させることができる。
【0044】
また、実施形態に係る検出装置2は、周期性ノイズの基底周波数を最初に検出する。これにより、周期性ノイズの周波数が変動しても、かかる変動に追従しつつ各周期性ノイズを検出することが可能となる。したがって、周期性ノイズの周波数が、たとえばハイブリッド自動車における電力変換装置のスイッチングノイズのように動作状態等により変動しても、かかる変動に追従しつつ周期性ノイズを精度よく検出することができる。
【0045】
なお、かかる電力変換装置としては、たとえば電力を直流−交流の間で変換するインバータや、入力された直流電力を、所定の電圧に昇降圧された直流電力に変換するDC−DCコンバータなどが挙げられる。
【0046】
また、実施形態に係る検出装置2によれば、ノイズ源を問わない。したがって、上記したスイッチングノイズに限らず、たとえば電気回路のフロアノイズやエンジンからのノイズなどに含まれる周期性ノイズを検出することができる。また、移動体Mの外部にあるノイズ源からの周期性ノイズも検出することができる。
【0047】
次に、検出部40が実行する処理について説明する。
図3に示す検出部40は、基底周波数算出部30dで算出された基底周波数に対して逓倍処理を施し、基底周波数を含む信号とともにIFノイズ処理部14(
図2参照)へ出力する。ここで、逓倍処理とは、基底周波数を2以上の整数倍する処理のことを指す。かかる逓倍処理は、検出部40の逓倍部40Aによって実行される。
【0048】
逓倍部40Aは、基底周波数算出部30dで算出された基底周波数ΔIおよびΔDをそれぞれ2以上の整数倍して、逓倍後の周波数2ΔI、3ΔI・・・および2ΔD、3ΔD・・・を算出する。すなわち、基底周波数ΔIおよびΔDの基本波に対する高調波成分の周波数を算出する。そして、検出部40は、基底周波数ΔIおよびΔDとともに基底周波数ΔIおよびΔDの高調波成分の周波数(すなわち逓倍後の周波数2ΔI、3ΔI・・・および2ΔD、3ΔD・・・)をIFノイズ処理部14へ出力する。
【0049】
IFノイズ処理部14は、検出部40で検出された周波数成分をIF信号から除去し、ブランク処理を実行する。なお、IFノイズ処理部14は、たとえばノッチフィルタを含んで構成することができる。
【0050】
このように、実施形態に係る検出装置2では、各信号の基底周波数へ逓倍処理を施す。これにより、簡便な処理で周波数の帯域全体における信号の周波数を検出することが可能となる。したがって、周波数帯域の全体を走査して信号の周波数を検出する場合と比較して装置や回路を簡素化することができる。
【0051】
なお、上記した例では、基底周波数算出部30dが周期性ノイズの基底周波数を算出する場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限らず、基底周波数算出部30dは、算出された基底周波数の強度をさらに算出することとしてもよい。かかる強度の算出は、たとえば、
図5に示したピークP11およびP21のC値を強度(
図4の縦軸参照)へ変換することで行われる。
【0052】
この場合、検出部40は、上記した逓倍処理によって得られた各周波数に対応する強度を、基底周波数算出部30dと同様の手順で検出する。そして、検出部40は、基底周波数算出部30dで算出された基底周波数および強度の組とともに、各周波数および強度の組をIFノイズ処理部14へ出力する。
【0053】
IFノイズ処理部14は、たとえば、受け取った周波数における強度をIF信号から差し引くことによって周期性ノイズを除去する。これにより、IF信号から効率よく周期性ノイズを除去することができる。なお、上記したC値から強度への変換は、ケプストラムにフーリエ変換の処理を施すことによって実行することができる。
【0054】
図6には、信号検出部22が信号グループA2の周波数および強度を検出した場合の周波数スペクトラムを、ピークF21、H22、H23・・・として示している。なお、
図6に示す信号群は、
図4に示した周波数スペクトラムから基底周波数ΔIの周期性ノイズを抽出したものに相当する。
【0055】
次に、本実施形態に係る検出装置2が実行する処理手順について
図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態に係る検出装置2が実行する処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、取得部21が、移動体Mに設けられたアンテナ11を介して基底周波数が異なる信号群がそれぞれ重畳されたデータを取得する(ステップS201)。
【0056】
そして、算出部30は、取得部21が取得したデータに対してケプストラム演算処理を施し(ステップS202)、各信号に対応するピーク群のそれぞれからC値(ケプストラム値)が最も大きいピークの周波数を検出する(ステップS203)。つづいて、検出部40は、算出部30で算出されたC値が最も大きいピークの周波数のそれぞれに逓倍処理を施し(ステップS204)、処理を終了する。
【0057】
なお、上述した処理例では、搬送波の周波数成分を除いたIF信号にケプストラム演算処理を施す場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限らず、IF信号に対して搬送波の周波数成分を除かずにケプストラム演算処理を施し、ケプストラムにおいて搬送波を無視してピークを検出することとしてもよい。具体的には、たとえば日本国内におけるAM帯の搬送波は9K(Hz)間隔であるので、ケプストラムにおけるケフレンシの間隔が1/9K(1/Hz)のピーク群を無視してピークの検出を行うこととすればよい。これにより、搬送波の周波数成分を除くためのフィルタ処理を省略することができ、算出部30の回路を簡素化することができる。
【0058】
<4.変形例に係る受信装置の構成>
ところで、上述してきた実施形態では、受信装置1が、受信したデータから周期性ノイズを除去する場合の例について例示したが、受信装置1は、受信したデータから周期性ノイズを抽出することとしてもよい。そこで、以下では受信装置1の変形例について
図8を用いて説明する。
【0059】
なお、本変形例は、たとえば
図2に示した受信装置1の変形例であって、
図2等に示した受信装置1と同一の要素には同一の符号を付し、重複する記載を省略する。
図8は、変形例に係る受信装置1aの内部構成を示すブロック図である。
【0060】
図8に示すように、変形例に係る受信装置1aは、検出装置2および信号抽出部19を備える。信号抽出部19は、信号検出部22で検出された周期性ノイズの周波数を含む信号に基づいて、周期性ノイズのそれぞれをIF信号から抽出して外部装置へ出力する。なお、外部装置は、たとえば、信号の電気信号を表示するオシロスコープ等である。また、信号抽出部19としては、たとえばLMS(Least Mean Square)アルゴリズムの最適化アルゴリズムを用いた適応フィルタなどを用いることができる。
【0061】
なお、
図6を用いて既に説明したように、変形例に係る受信装置1aにおいても検出装置2は、周期性ノイズの周波数とともに強度を検出することができる。この場合、受信装置1aは、IF信号から各周期性ノイズの周波数とともに強度を抽出することができる。
【0062】
このように変形例に係る受信装置1aでは、検出装置2が検出した信号を、データから抽出することとした。これにより、信号群に含まれる信号をそれぞれ精度よく抽出することができる。
【0063】
上述してきたように、実施形態に係る検出装置は、取得部と、算出部と、検出部とを備える。取得部は、基底周波数が異なる信号群がそれぞれ重畳されたデータを移動体に設けられたアンテナを介して取得する。算出部は、取得部によって取得されたデータの周波数スペクトラムに基づいて信号群それぞれの基底周波数を算出する。検出部は、算出部によって算出された基底周波数に基づいて信号群に含まれる各信号をそれぞれ検出する。
【0064】
このように、実施形態に係る検出装置は、信号群それぞれの基底周波数に基づいて信号群に含まれる各信号を検出する。したがって、実施形態に係る検出装置によれば、信号群に含まれる各信号の検出精度を向上させることができる。
【0065】
また、上記した実施形態では、IF信号のノイズ成分を除去する際にブランク処理を採用したが、ノイズ成分を除去する他の処理方法を採用したとしても同様の効果が得られることは言うまでもない。また、上記した実施形態では、ラジオ受信機を例に挙げて説明したが、テレビ受信機やビーコン受信機などに採用してもよい。
【0066】
また、上記した実施形態では、基底周波数が異なる信号群の各信号をノイズとして説明した。しかしながら、これに限らず、信号群は、或る信号に重畳された他の信号群であったり、或る信号の一部であったりしてもよい。また、データに含まれる基底周波数が異なる信号の数は3つ以上であってもよい。
【0067】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示のごとく構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0068】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。