特許第6232013号(P6232013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232013
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 13/04 20060101AFI20171106BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20171106BHJP
   G09F 9/46 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G01D13/04 Z
   B60K35/00 Z
   G09F9/46 Z
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-111245(P2015-111245)
(22)【出願日】2015年6月1日
(65)【公開番号】特開2016-223936(P2016-223936A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 順雄
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−319138(JP,A)
【文献】 特開2013−137440(JP,A)
【文献】 特開2006−184881(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0259485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/28,13/04
B60K 35/00
G09F 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射し車両情報に関する画像を表示する第1表示面と、
前記第1表示面に重ねて設けられ前記第1表示面から出射された光を透過すると共に図柄を構成する溝が形成された第2表示面とを備え、
前記第1表示面と前記第2表示面への光の入射面と前記第2表示面からの光の出射面とは、互いに平行であり、
前記溝は、水平方向に延在し、溝ピッチが0より大きく0.5μm以下とされることで、前記第1表示面と当該第1表示面の法線との交点を基準として、鉛直方向に当該第1表示面の法線を中心とした20度の角度範囲内に、前記第1表示面から出射され当該溝で回折した可視光域成分の回折光を結像させないことを特徴とする、
表示装置。
【請求項2】
前記溝ピッチは、前記第1表示面から出射され前記溝で回折した可視光域成分の回折光が予め設定される所定の領域内で結像しない範囲で最大とされる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1表示面は、一方向に偏光された光によって前記車両情報を表示し、
前記溝は、前記偏向された光の偏光方向と交差する方向に延在する、
請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載される従来の表示装置として、例えば、特許文献1には、車両の計器を表示する第1表示部と、付加的情報を表示する第2表示部とを備える表示装置が開示されている。当該表示装置の第2表示部は、第1表示部の目盛盤の表側に重ねて複数枚の無色透明の導光板が配置され、当該導光板に溝によって図柄が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−32286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような表示装置は、例えば、より多様な表示を実現するべく、上述の特許文献1に記載の第1表示部にかえて、液晶ディスプレイ等によって当該第1表示部で行っている表示と同様の表示を行う場合がある。このような場合に、表示装置は、液晶ディスプレイ等からの光が導光板上で図柄を構成する溝にて回折することで、当該液晶ディスプレイで表示されている画像の虚像が発生するおそれがあり、これにより、視認性が悪化するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適正な視認性を確保することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る表示装置は、光を出射し車両情報を表示する第1表示面と、前記第1表示面に重ねて設けられ前記第1表示面から出射された光を透過すると共に図柄を構成する溝が形成された第2表示面とを備え、前記溝は、前記第1表示面から出射され当該溝で回折した可視光域成分の回折光が車両に応じて予め定まるアイレンジ内で結像しない溝ピッチで複数形成されることを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る表示装置は、光を出射し車両情報に関する画像を表示する第1表示面と、前記第1表示面に重ねて設けられ前記第1表示面から出射された光を透過すると共に図柄を構成する溝が形成された第2表示面とを備え、前記第1表示面と前記第2表示面への光の入射面と前記第2表示面からの光の出射面とは、互いに平行であり、前記溝は、水平方向に延在し、溝ピッチが0より大きく0.5μm以下とされることで、前記第1表示面と当該第1表示面の法線との交点を基準として、鉛直方向に当該第1表示面の法線を中心とした20度の角度範囲内に、前記第1表示面から出射され当該溝で回折した可視光域成分の回折光を結像させないことを特徴とする。
【0008】
また、上記表示装置では、前記溝ピッチは、前記第1表示面から出射され前記溝で回折した可視光域成分の回折光が予め設定される所定の領域内で結像しない範囲で最大とされるものとすることができる。
【0009】
また、上記表示装置では、前記第1表示面は、一方向に偏光された光によって前記車両情報を表示し、前記溝は、前記偏向された光の偏光方向と交差する方向に延在するものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る表示装置は、第1表示面に表示される車両情報に関する画像と、第1表示面に重ねて設けられ第1表示面から出射された光を透過する第2表示面に形成された図柄とを組み合わせた表示を行うことができる。この場合、表示装置は、第2表示面の図柄を構成する溝が所定の溝ピッチで複数形成されるので、第1表示面から出射され当該溝で回折した可視光域成分の回折光が車両に応じて予め定まるアイレンジ内で結像しないようにすることができる。この結果、表示装置は、アイレンジ内の目視位置にて、当該第1表示面で表示されている画像の虚像が視認されることを抑制することができるので、適正な視認性を確保することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る表示装置の重畳表示装置の概略構成を示す模式的な斜視図である。
図3図3は、図2中のA−Aの模式的な断面図である。
図4図4は、図3中の囲み線B内の部分的な断面図である。
図5図5は、表示装置の輝度実測試験の前提条件について説明する模式図である。
図6図6は、表示装置の輝度実測試験の前提条件について説明する模式図である。
図7図7は、表示装置の輝度実測試験の前提条件について説明する模式図である。
図8図8は、表示装置の輝度実測試験の結果を表す線図である。
図9図9は、比較例に係る表示装置において虚像が発生する原理について説明する模式図である。
図10図10は、実施形態に係る表示装置における溝ピッチについて説明する模式図である。
図11図11は、実施形態に係る表示装置においてアイレンジ内の目視位置にて虚像が抑制される原理について説明するための模式図である。
図12図12は、実施形態に係る表示装置のディスプレイの輝度分布を表す線図である。
図13図13は、溝ピッチが1μmである場合のアイレンジER内での結像の有無を評価するための線図である。
図14図14は、溝ピッチが0.5μmである場合のアイレンジER内での結像の有無を評価するための線図である。
図15図15は、溝ピッチが0.4μmである場合のアイレンジER内での結像の有無を評価するための線図である。
図16図16は、変形例に係る表示装置の概略構成を表す模式的な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。図2は、実施形態に係る表示装置の重畳表示装置の概略構成を示す模式的な斜視図である。図3は、図2中のA−Aの模式的な断面図である。図4は、図3中の囲み線B内の部分的な断面図である。図5図6図7は、表示装置の輝度実測試験の前提条件について説明する模式図である。図8は、表示装置の輝度実測試験の結果を表す線図である。図9は、比較例に係る表示装置において虚像が発生する原理について説明する模式図である。図10は、実施形態に係る表示装置における溝ピッチについて説明する模式図である。図11は、実施形態に係る表示装置においてアイレンジ内の目視位置にて虚像が抑制される原理について説明するための模式図である。図12は、実施形態に係る表示装置のディスプレイの輝度分布を表す線図である。図13は、溝ピッチが1μmである場合のアイレンジ内での結像の有無を評価するための線図である。図14は、溝ピッチが0.5μmである場合のアイレンジ内での結像の有無を評価するための線図である。図15は、溝ピッチが0.4μmである場合のアイレンジ内での結像の有無を評価するための線図である。
【0014】
本実施形態に係る表示装置1は、図1に示すように、いわゆるメータを構成するものであり、例えば、自動車等の車両のダッシュボードに設けられたインストルメントパネルに搭載され、車両の運転に供される種々の情報を表示する。なお、図1に示す表示装置1の幅方向とは、典型的には、この表示装置1が適用される車両の車幅方向に相当する。表示装置1の幅方向において、表示装置1の前面に向かって一方側(図1中向かって手前側)が車両の運転席側に相当し、表示装置1の前面に向かって他方側(図1中向かって奥側)が車両の助手席側に相当するがこの逆でもよい。また、図1に示す表示装置1の奥行き方向とは、典型的には、この表示装置1が適用される車両の前後方向(言い換えれば、車両進行方向)に相当する。また、表示装置1の前面側とは、車両の運転席と対面する側であり、典型的には、当該運転席に座った運転者によって視認される側である。一方、表示装置1の背面側とは、奥行き方向において前面側とは反対側であり、典型的には、インストルメントパネルの内部に収容される側である。
【0015】
具体的には、表示装置1は、筐体2と、画像表示装置としてのディスプレイ3と、文字板4と、重畳表示装置5と、見返し板6とを備える。表示装置1は、奥行き方向の背面側から前面側に向かって、筐体2、ディスプレイ3、文字板4、重畳表示装置5、見返し板6の順で積層された構造となっている。
【0016】
筐体2は、表示装置1を構成する種々の部品が組み付けられこれらを収容するケースを構成するものである。
【0017】
ディスプレイ3は、制御装置等を介して駆動制御され、画像表示面3aに種々の画像を表示するものである。ディスプレイ3は、例えば、薄型の液晶ディスプレイを用いることができるが、これに限らず、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いることもできる。画像表示面3aに表示される画像としては、例えば、車両の速度やエコ走行等に関する情報の他、積算走行距離、冷却水温、走行用動力源の出力回転数、燃料残量、バッテリ蓄電量等、車両の運転に際して時々刻々と変化する様々な運転に関する運転情報が含まれてもよい。
【0018】
文字板4は、各種の警告灯(ウォーニングランプ、いわゆるテルテール)、シフトポジションインジケータ、方向指示記号等に応じた種々の記号、文字、図形等が描かれた板状の部材である。文字板4は、背面側から光が照射され、記号、文字、図形等が描かれた部分において当該照射された光が透過されることで、当該記号、文字、図形等が点灯表示される。
【0019】
上述のディスプレイ3は、前面側の表面が文字板4から露出しており、このディスプレイ3の前面側の表面が画像表示面3aを構成する。当該画像表示面3aは、車両情報に関する実像画像(画像)51aを表示する第1表示面51を構成する。ここで、車両情報は、表示装置1が搭載される車両の車両状態及び走行状況等、上述の様々な運転に関する運転情報を含み、第1表示面51は、これらの情報を実像画像51aとして表示することで運転者等に提示する。第1表示面51は、オン状態で実像画像51aを表示可能な状態となり、オフ状態で当該実像画像51aが非表示となる。
【0020】
重畳表示装置5は、図1図2図3図4に示すように、透明導光板5aと、光源5bとを有する。透明導光板5aは、画像表示面3aの前面側に重ねて設けられる。透明導光板5aは、ディスプレイ3から照射された光を透過する透過性を有する透明部材(透明媒体)によって形成される。透明導光板5aは、図柄(表示意匠)5cを構成する微細な溝5dが形成される。図柄5cを構成する溝5dは、例えば、当該溝5dに相当する凸形状を設けた金型を用いて透明導光板5aを樹脂成形することによって、透明導光板5aの主面上、ここでは、当該透明導光板5aの背面側の主面上に凹形状となるように形成されてもよい。また、図柄5cを構成する溝5dは、例えば、レーザー加工等の種々の手法による掘り込みによって、透明導光板5aの主面上、ここでは、当該透明導光板5aの背面側の主面上に凹形状となるように形成されてもよい。透明導光板5aに溝5dによって形成される図柄5cとしては、例えば、ディスプレイ3で表示される運転情報と関連するような種々の図柄が含まれてもよい。図1の例では、図柄5cは、例えば、「車両を模した車体記号(アイコン)」であり、図2等の例では、図柄5cは、例えば、数字の「2」であるがこれらに限らない。光源5bは、透明導光板5aの端面に光を照射する。光源5bは、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子等によって構成されるが、これに限らない。光源5bは、その光軸方向が透明導光板5aの端面と直交し、かつ、照射された光が透明導光板5aの端面から入射するように設けられている。なお、溝5dの延在方向や光源5bによる光の照射方向等については、後で詳細に説明する。
【0021】
重畳表示装置5は、光源5bが制御装置等を介して駆動制御されることで、光源5bの点灯、消灯に基づいて、図柄5cの表示、非表示が切り替えられる。重畳表示装置5は、光源5bが点灯すると図柄5cが表示された状態となり、すなわち、光源5bから照射された光が透明導光板5aの端面に入射して当該透明導光板5a内を伝播し、少なくとも当該入射光の一部の成分が図柄5cを構成する溝5dで前面側に反射し、この結果、運転者等が当該図柄5cを視認可能な状態となる(図3図4等参照)。この場合、重畳表示装置5は、運転者が前面側(運転席側)から視たときに、透明導光板5a上に表示される図柄5cを、当該透明導光板5aの背面側に位置するディスプレイ3の画像表示面3a上の画像に重畳させて表示して所定の意匠を形成し、これにより、多様な表示を可能とすることができる。一方、重畳表示装置5は、光源5bが消灯すると図柄5cが非表示の状態となり、ディスプレイ3から照射され透明導光板5aを透過した光によって、運転者等が画像表示面3aに表示された種々の画像を視認しやすい状態となる。
【0022】
上記のように溝5dが形成された透明導光板5aの背面側の主面は、第1表示面51に重ねて設けられ光を透過すると共に、第1表示面51が実像画像51aを表示可能であるオン状態である状態で、表示状態と非表示状態とを切り替え可能である第2表示面52を構成する。ここで、第2表示面52の表示状態とは、光源5bから照射される光によって実像図柄52aを表示する状態である。実像図柄52aとは、上述した図柄5cであり、ここでは、例えば、上述した「車両を模した車体記号(アイコン)」、すなわち、車両のシンボル等である。一方、第2表示面52の非表示状態とは、光源5bが消灯することで当該実像図柄52aを非表示とする状態である。
【0023】
上述の第1表示面51と第2表示面52とは、奥行き方向、言い換えれば、車両進行方向に、重ねられた複数の表示面を構成し、第1表示面51が当該複数の表示面の車両進行方向奥側の表示面を構成し、第2表示面52が当該複数の表示面の車両進行方向手前側(運転者等の目視者の目視位置側)の表示面を構成する。
【0024】
見返し板6は、文字板4、透明導光板5a等の周囲を囲って当該文字板4、透明導光板5a等を押える枠状の部材である。
【0025】
そして、本実施形態の表示装置1は、ディスプレイ3の偏光方向と図柄5c(実像図柄52a)を構成する溝5dの延在方向とが所定の角度範囲で交差するように構成することで、ディスプレイ3と重畳表示装置5とを組み合わせて多様な表示を実現した上で、適正な視認性を確保することができるようにしている。ここで、ディスプレイ3の偏光方向とは、典型的には、ディスプレイ3における最終的な透過軸方向に相当し、溝5dの延在方向とは、典型的には、当該溝5dが延びる方向に相当する。
【0026】
ここで、本実施形態のディスプレイ3は、一方向に偏光された光を照射し実像画像51a(画像)を表示する構成となっている。すなわち、ディスプレイ3は、バックライトから発せられた光が、偏光板等を介して偏光方向L1(図2等参照)を透過軸方向として揃えられ、当該偏光方向L1(透過軸方向)に沿った振動方向の光を出射することで一方向に偏光された光を出射する。ディスプレイ3は、典型的には、最終的な偏光板の前面が上述の画像表示面3aの表面を構成し、当該偏光板の前面側に透明導光板5aが配置され、偏光方向L1(透過軸方向)に沿った振動方向の光が透明導光板5aに入射する。ここでは、偏光方向L1は、鉛直方向に沿った方向とされている。以下、このディスプレイ3の最終的な偏光方向を「偏光方向L1」という場合がある。
【0027】
一方、図柄(表示意匠)5cを構成する複数の微細な溝5dは、例えば、図4等に示すように、略V字状の断面形状で、ピッチが1μm以下(下限値は例えば製造上可能な寸法)で形成されることが好ましい。また、各溝5dは、一方向に延在する直線溝として形成される。また、透明導光板5aは、透明導光板5aにおける図柄5cの領域の材質の透過率と透明導光板5aにおける図柄5cの周囲の領域の材質の透過率とが同等となるように構成される。このような微細な溝5dによって構成される回折格子では、光の振動方向が溝5dの延在方向(図2中の矢印L2等参照)に対して垂直(直交)である場合と、平行である場合とで回折効率が異なる傾向にある。すなわち、このような微細な溝5dによって構成される回折格子は、典型的には、振動方向が溝5dの延在方向L2に対して垂直である光を透過する一方、振動方向が溝5dの延在方向L2に対して平行である光を遮断する傾向にある。つまり、透明導光板5a上に形成された微細な溝5dは、偏光板と類似する作用を示し、溝5dの延在方向L2と直交する方向を透過軸方向とし、当該透過軸方向に振動する光を透過する一方、当該透過軸方向と直交する吸収軸方向(溝5dの延在方向L2)に振動する光の大部分を遮断する。
【0028】
そして、本実施形態の表示装置1は、ディスプレイ3の偏光方向L1と図柄5cを構成する溝5dの延在方向L2とが75°以上105°以下の角度範囲で交差するように構成される。ディスプレイ3の偏光方向(透過軸方向)L1と図柄5cを構成する溝5dの延在方向L2とがなす角度を角度θ(図2参照)とした場合、溝5dは、角度θが[75°≦θ≦105°]の条件式を満たすように透明導光板5a上に形成される。つまり、偏光方向L1と延在方向L2とは、75°以上105°以下の範囲内の所定の角度θを有して交差する。より好ましくは、偏光方向L1と延在方向L2とは、85°以上95°以下の範囲内の所定の角度θを有して交差する。最も好ましくは、ディスプレイ3の偏光方向L1と図柄5cを構成する溝5dの延在方向L2とは直交する。ここでは、溝5dは、溝5dの延在方向L2がディスプレイ3の偏光方向L1と直交し、当該微細な溝5dによって構成される回折格子の透過軸方向が偏光方向L1と平行となるように透明導光板5a上に形成される。なお、ディスプレイ3の偏光方向L1と溝5dの延在方向L2とが直交するという場合、θ=90°である場合に加え、例えば、表示装置1の製造上許容される公差に応じた許容誤差角度αの範囲内での誤差が許容される。
【0029】
上記のように構成される表示装置1は、ディスプレイ3の偏光方向L1と溝5dの延在方向L2とが直交するように構成され(θ=90°)、言い換えれば、ディスプレイ3の偏光方向L1と溝5dの透過軸方向とが平行となるように構成される。これにより、表示装置1は、光源5bが消灯している非表示状態において、図柄5c内部の領域では、図柄5c外部の領域と同様に、ディスプレイ3からの光をほぼ全て透過する。この結果、表示装置1は、光源5bが消灯している状態において、透明導光板5aにおける図柄5cの周囲の領域の輝度に対する図柄5cの領域の輝度の比率を表す輝度比(以下、単に「図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比」という場合がある。)が最大となるので、図柄5cの周囲の領域に対して図柄5cの領域が目立ちにくくなり、図柄5cを視認しにくくすることができる。ここで、図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比は、典型的には、「図柄5cの領域の輝度/図柄5cの周囲の領域の輝度×100[%]」で表すことができ、当該輝度比が小さくなるほど図柄5cの周囲の領域と図柄5cの領域との輝度差が相対的に大きいことを表す。
【0030】
なお、表示装置1は、偏光方向L1と延在方向L2とが直交する状態(θ=90°)に限らず、上述した[75°≦θ≦105°]、より好ましくは[85°≦θ≦95°]の範囲であれば、図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比が所定の輝度比範囲内に収まるので、図柄5cを視認しにくい状態で維持することができる。ここで、所定の輝度比範囲とは、例えば、90%以上100%以下の範囲、より好ましくは92.5%以上100%以下の範囲である。表示装置1は、上述のように、ディスプレイ3の偏光方向L1と溝5dの延在方向L2とが上記のような角度範囲で交差するように構成されることで、偏光方向L1と延在方向L2とが、図柄5cの周囲の領域の輝度に対する図柄5cの領域の輝度の輝度比が90%以上100%以下となる角度範囲で交差するように構成することができる。
【0031】
ここで、図5図8を参照して表示装置1に関する輝度実測試験について説明する。ここでは、以上で説明した実施形態に係る表示装置1を用いて透明導光板5aにおける輝度を、輝度測定用カメラによって実測する輝度実測試験を実施した。ここで、表示装置1では、図5に示すような配置となるように、ディスプレイ3、透明導光板5a等を配置すると共に、図6に示すような形状となるように、溝5dを形成した。すなわち、当該表示装置1では、透明導光板5aの奥行き方向の厚さを2mmとし、ディスプレイ3の画像表示面(表面)3aと当該透明導光板5aの裏面(背面)との奥行き方向の間隔を4.5mmとした。そして、当該表示装置1では、透明導光板5aの背面に、図柄5cを構成する溝5dを形成した。本輝度実測試験におけるZ方向(奥行き方向)に対する輝度測定位置は、当該透明導光板5aの溝5dが形成された面上の位置であり、輝度測定用カメラの焦点位置に相当する。そして、当該表示装置1では、溝5dを略V字状の断面形状で、かつ、0.5μmピッチで形成し、各溝5dの奥行き方向の深さを0.25μmとし、底部がなす角度をほぼ90°(deg)とした。また、当該表示装置1では、各溝5dを一方向に延在する直線溝として形成した。本輝度実測試験におけるX方向(幅方向)及びY方向(鉛直方向)に対する輝度測定位置は、図7に示すように、図柄5cの領域と図柄5cの周囲の領域とでそれぞれ複数の位置を選定しこれらの平均値を用いた。また、ディスプレイ3の光源色の点灯条件としては、色度図におけるX=0.63、Y=0.35の赤色の光、X=0.31、Y=0.58の緑色の光、X=0.14、Y=0.05の青色の光を用いてそれぞれ輝度実測試験を実施した。本輝度実測試験では、光源5bを消灯した状態で、画像表示面3aに対して透明導光板5aを相対回転させ偏光方向L1と延在方向L2とがなす角度θを変更させながら、上述した輝度測定位置で輝度測定用カメラを用いて輝度を実測した。
【0032】
図8は、上記の輝度実測試験の結果を表している。図8は、横軸を偏光方向L1と延在方向L2とがなす角度θ[deg]とし、縦軸を図柄5cの周囲の領域の輝度に対する図柄5cの領域の輝度の輝度比[%]としている。図8からも明らかなように、表示装置1は、偏光方向L1と延在方向L2とがなす角度θが[75°≦θ≦105°]の範囲内にある場合、赤(線R参照)、緑(線G参照)、青(線B参照)の3色すべてにおいて、図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比が90%以上100%以下となり、図柄5cを非表示とした場合に、透明導光板5a上の図柄5cを構成する溝5dを視認されにくくすることができることが明らかである。さらには、表示装置1は、角度θが[85°≦θ≦95°]の範囲内にある場合、赤、緑、青の3色すべてにおいて、図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比が92.5%以上100%以下となり、溝5dをさらに視認されにくくすることができることが明らかである。そして、表示装置1は、角度θが[θ=90°]である場合、すなわち、偏光方向L1と延在方向L2とが直交する場合に、赤、緑、青の3色すべてにおいて、図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比が最大となり、溝5dを最も視認されにくくすることができることが明らかである。ここでは、表示装置1は、角度θが[θ=90°]である場合、赤色の光を照射した場合の輝度比が97.4%、緑色の光を照射した場合の輝度比が97.6%、青色の光を照射した場合の輝度比が94%となった。
【0033】
ここでさらに、本実施形態の表示装置1は、図2等に示すように、溝5dの延在方向L2と重畳表示装置5の光源5bによる光の照射方向L3とが直交するように構成される。つまりここでは、ディスプレイ3の偏光方向L1、及び、光源5bによる光の照射方向L3は、鉛直方向に沿った方向であり、溝5dの延在方向L2は、水平方向に沿った方向である。したがって、表示装置1は、光源5bからの光を、図柄5cを構成する溝5dに対してほぼ垂直に入射するようにすることができるので、透明導光板5a上に図柄5cを表示する場合に、溝5dで前面側(運転席側)に反射される光の量を相対的に増加させることができ、当該図柄5cを鮮明に表示することができる。そして、本実施形態の透明導光板5aは、水平方向の長さが鉛直方向の長さより長く形成され、光源5bは、透明導光板5aの鉛直方向下側又は鉛直方向上側に配置される。本実施形態の光源5bは、図柄5cが形成された領域の鉛直方向下側であって透明導光板5aの鉛直方向下側の端面と対向する位置に、幅方向(水平方向)に沿って等間隔で3つが設けられ、鉛直方向上側に向けて光を照射する。各光源5bは、例えば、前面側から視て見返し板6によって隠れる位置に配置される。
【0034】
第2表示面52は、図3図4等に示すように、透明導光板5aの背面側の主面に、偏光方向L1、延在方向L2、照射方向L3等が上記のような位置関係となるように複数の微細な溝5dが形成されることで、実像図柄52a(図柄5c)の表示構造53、及び、非表示構造54が構成される。
【0035】
ここで、第2表示面52の表示構造53とは、第2表示面52の表示状態にて光源5bから照射される光によって実像図柄52a(図柄5c)を形成するための構造である。ここでは、表示構造53は、第2表示面52の表示状態にて、光源5bから照射された光を、第2表示面52を構成する部材である透明導光板5aの表面に形成された複数の微細な溝5dで反射させることで実像図柄52aを形成する構造である。これにより、表示構造53は、運転者等が第2表示面52上の実像図柄52aを視認可能な状態とすることができる。
【0036】
一方、第2表示面52の非表示構造54とは、第2表示面52の非表示状態にて表示状態と比較して実像図柄52aを視認し難くするための構造である。さらに言えば、第2表示面52の非表示構造54とは、第2表示面52の非表示状態にて、表示状態と比較して複数の微細な溝5dを視認し難くするための構造である。ここでは、非表示構造54は、光源5bが消灯することで実像図柄52aを視認し難くすると共に、さらに、ディスプレイ3の偏光方向L1と実像図柄52a(図柄5c)を構成する溝5dの延在方向L2とが所定の角度範囲、典型的には、上記のように75°以上105°以下の角度範囲で交差するように溝5dを形成することで、溝5d自体も視認し難くする構造である。これにより、非表示構造54は、第2表示面52上の実像図柄52aの領域と実像図柄52aの周囲の領域とで透過光の振幅がほぼ同等となるようにし、実像図柄52aの領域と実像図柄52aの周囲の領域との輝度に差がほぼない状態とすることができ、これにより、非表示状態にて、実像図柄52a、及び、これを構成する複数の微細な溝5dを視認し難くすることができる。
【0037】
ここで、以上で説明した表示装置1は、ディスプレイ3の第1表示面51からの出射光が第2表示面52上で実像図柄52aを構成する複数の微細な溝5dで回折することで、第1表示面51で表示されている画像の虚像が発生するおそれがある。
【0038】
例えば、図9の比較例に係る表示装置に示すように、第1表示面51から出射され実像図柄52aを構成する複数の微細な溝5dで回折した可視光域成分の回折光が車両に応じて予め定まるアイレンジER内で結像することで、アイレンジER内の目視位置にて、第1表示面51で表示されている画像の虚像が視認されることとなる。ここで、アイレンジERとは、「自動車の運転者アイレンジ」であり、車両に応じて予め定まる運転者DRの視点が位置する領域に相当する。アイレンジERは、典型的には、車両において運転者DRの目の位置の分布を統計的に表したものであり、例えば、運転者DRが運転席に座った状態で所定割合(例えば、95%)の運転者DRの目の位置が含まれる領域に相当する。第1表示面51で表示されている画像の虚像は、光の波長に応じて異なる位置に現れる。
【0039】
例えば、図9中、像55は、第1表示面51で表示されている画像の実像であるのに対して、像56Rは、回折光のうちの赤色光による虚像、像56Gは、回折光のうちの緑色光による虚像、像56Bは、回折光のうちの青色光による虚像である。当該比較例に係る表示装置は、上記のように、アイレンジER内の目視位置にて、第1表示面51で表示されている実像画像51aの虚像が視認されるおそれがあり、これにより、視認性が悪化するおそれがある。
【0040】
これに対して、本実施形態の表示装置1は、図10に示すように、第1表示面51から出射され溝5dで回折した可視光域成分の回折光がアイレンジER内で結像しない溝ピッチdで複数の微細な溝5dが形成される。これにより、表示装置1は、アイレンジER内の目視位置にて、虚像が視認されることを抑制し、第1表示面51で表示されている画像の実像(像55)の適正な視認性を確保している。ここで、可視光域成分とは、人が視認できる波長成分であり、例えば、波長が360〜830nmの範囲の成分である。以下、図11図12図13図14図15、を参照して、本実施形態の表示装置1において、アイレンジER内の目視位置にて虚像が抑制される原理について説明する。
【0041】
以下、図11を参照して具体例を挙げて説明する。図11に示す具体例では、第1表示面51と第2表示面52への光の入射面と第2表示面52からの光の出射面とは、互いに平行であり、溝5dは、上記のように水平方向に延在するものとして説明する。したがってここでは、第1表示面51の法線L5と第2表示面52への光の入射面及び第2表示面52からの光の出射面の法線L6とは一致している。またここでは、溝5dへの入射光は、水平方向に延在する溝5dによって鉛直方向に沿って回折するので、溝5dによる回折光の結像の有無を評価する場合には、アイレンジERとして、鉛直方向に沿った所定の角度範囲での結像の有無を評価すればよい。ここでは、アイレンジERは、車両に搭載される表示装置1の位置と運転席との幾何学的な位置等に応じて、第1表示面51と当該第1表示面51の法線L5との交点Pを基準として、鉛直方向に当該第1表示面51の法線L5を中心とした20度の角度範囲(法線L5の上下10度ずつの角度範囲)を想定する。
【0042】
図11に示すように、微細な溝5dが形成された第2表示面52への入射光、言い換えれば、溝5dへの入射光の入射角(第2表示面52の法線L6と入射光とがなす角度)を「α」とし、第2表示面52からの出射光、言い換えれば、溝5dによる回折光の出射角(第2表示面52の法線L6と出射光とがなす角度)を「β」とし、微細な溝5dの鉛直方向に沿った溝ピッチを「d」とすると、回折の関係式は、例えば、下記の数式(1)で表すことができる。数式(1)において、「λ」は光の波長であり、「m」は、次数(m=±0、1、2、・・・)である。

d(sinα±sinβ)=mλ ・・・ (1)
【0043】
ここで、ディスプレイ3が第1表示面51から出射する出射光は、図12に示すように、特定の角度範囲の外側の角度では輝度が著しく低くなる傾向にある。図12は、横軸をディスプレイ光の出射角(法線L5と出射光とがなす角度)[deg]とし、縦軸を輝度の相対変化率(=(当該出射角における輝度/最大輝度)×100)[%]としている。なおここでは、第1表示面51の法線L5と第2表示面52の入射面、及び、出射面の法線L6とが一致しており、法線L5と法線L6とがなす角度が0であることから、ディスプレイ光の出射角=溝5dへの入射光の入射角αとなる。
【0044】
図12からも明らかなように、ディスプレイ3が第1表示面51から出射する出射光の輝度は、出射角=0、すなわち、法線L5上で最大となり、当該法線L5から離れるほど低くなり、特定の角度範囲、ここでは、±40度の角度範囲から外れると顕著に低下する傾向にある。したがってここでは、溝5dによる回折光の結像の有無を評価する場合には、ディスプレイ3から出射された光のうち、第1表示面51と当該第1表示面51の法線L5との交点Pを基準として、鉛直方向に当該第1表示面51の法線L5を中心とした80度の角度範囲(法線L5の上下40度ずつの角度範囲)の光について、アイレンジER内での結像の有無を評価すれば十分である。
【0045】
図13図14図15は、このような前提のもと、上記の数式(1)を用いて、溝ピッチdを1μm、0.5μm、0.4μmとした場合のそれぞれについて、入射角αと出射角βとを算出し、アイレンジER内での結像の有無を評価した線図である。ここでは、m=1を想定する。図13図14図15は、可視光域成分の回折光として、波長λが650nmである赤色光、波長λが550nmである緑色光、波長λが450nmである青色光の回折光がアイレンジER内で結像するか否かについて評価している。図13図14図15中、線LBは、上記青色光が入射角αで溝5dに入射した場合の回折光の出射角βの特性を表し、線LGは、上記緑色光が入射角αで溝5dに入射した場合の回折光の出射角βの特性を表し、線LRは、上記赤色光が入射角αで溝5dに入射した場合の回折光の出射角βの特性を表している。図13図14図15は、横軸における評価対象となるディスプレイ3からの出射光の角度範囲[0〜α1=0〜40度]と、縦軸におけるアイレンジERの角度範囲[β1〜β2=−10度〜10度]とによって規定される評価対象領域Tに、各線LR、LG、LBが入らなければ、アイレンジER内の目視位置にて当該波長の光の回折光が結像しない、すなわち、虚像が現れないことを表している。
【0046】
図13に示すように、溝ピッチdを1μm(d=1μm)とした場合、線LR、LG、LBのすべてが評価対象領域Tにかかっていることから、赤色光、緑色光、及び、青色光のすべてについて、アイレンジER内の目視位置にて回折光が結像し、虚像が現れることとなる(図9で説明した状態に相当する。)。一方、図14に示すように、溝ピッチdを0.5μm(d=0.5μm)とした場合、線LR、LG、LBのすべてが評価対象領域Tから外れていることから、赤色光、緑色光、及び、青色光のすべてについて、アイレンジER内の目視位置にて回折光が結像せず、虚像が現れないこととなる(図10で説明した状態に相当する。)。図15に示すように、溝ピッチdを0.4μm(d=0.4μm)とした場合には、図14の場合と比較して、さらに線LR、LG、LBが評価対象領域Tから離間し、赤色光、緑色光、及び、青色光のすべてについて、アイレンジER内の目視位置にて回折光が結像せず、虚像が現れない。このように、表示装置1は、上記のような前提のもとでは、少なくとも複数の微細な溝5dの溝ピッチdを0.5μm以下とすることで、アイレンジER内の目視位置にて回折光が結像せず、虚像が現れないようにすることができる。
【0047】
以上で説明した表示装置1によれば、光を出射し車両情報を表示する第1表示面51、ここでは、車両情報に関する実像画像51aを表示する第1表示面51と、第1表示面51に重ねて設けられ第1表示面51から出射された光を透過すると共に実像図柄52aを構成する溝5dが形成された第2表示面52とを備え、溝5dは、第1表示面51から出射され当該溝5dで回折した可視光域成分の回折光が車両に応じて予め定まるアイレンジER内で結像しない溝ピッチdで複数形成される。
【0048】
したがって、表示装置1は、第1表示面51に表示される車両情報に関する実像画像51aと、第1表示面51に重ねて設けられ第1表示面51から出射された光を透過する第2表示面52に形成された実像図柄52aとを組み合わせた表示を行うことができる。この場合、表示装置1は、第2表示面52の実像図柄52aを構成する溝5dが所定の溝ピッチdで複数形成されるので、第1表示面51から出射され当該溝5dで回折した可視光域成分の回折光が車両に応じて予め定まるアイレンジER内で結像しないようにすることができる。この結果、表示装置1は、アイレンジER内の目視位置にて、当該第1表示面51で表示されている実像画像51aの虚像が視認されることを抑制することができるので、適正な視認性を確保することができる。例えば、表示装置1は、第2表示面52が非表示状態であるときに、第2表示面52の背面側の第1表示面51の実像画像51aがぼやけて見え難くなることを抑制することができ、第2表示面52を介して実像画像51aを明瞭に透過することができる。
【0049】
ここでは、以上で説明した表示装置1によれば、第1表示面51と第2表示面52への光の入射面と第2表示面52からの光の出射面とは、互いに平行であり、溝5dは、水平方向に延在し、溝ピッチdが0より大きく0.5μm以下とされることで、第1表示面51と当該第1表示面51の法線L5との交点Pを基準として、鉛直方向に当該第1表示面51の法線L5を中心とした20度の角度範囲内に、第1表示面51から出射され当該溝5dで回折した可視光域成分の回折光を結像させない。溝ピッチdの下限値は、より好ましくは製造上可能な寸法、例えば、0.1μm程度とするとよい。したがって、表示装置1は、上記のような前提のもと、溝ピッチdが0より大きく0.5μm以下となるように複数の溝5dが形成されることで、第1表示面51から出射され当該溝5dで回折した可視光域成分の回折光が上記の角度範囲内、典型的には、車両に応じて予め定まるアイレンジER内で結像しないようにすることができる。これにより、表示装置1は、上記の角度範囲内、典型的には、アイレンジER内の目視位置にて、当該第1表示面51で表示されている実像画像51aの虚像が視認されることを確実に抑制することができるので、適正な視認性を確保することができる。
【0050】
さらに、以上で説明した表示装置1によれば、溝ピッチdは、第1表示面51から出射され溝5dで回折した可視光域成分の回折光が予め設定される所定の領域、ここでは、第1表示面51と当該第1表示面51の法線L5との交点Pを基準として、鉛直方向に当該第1表示面51の法線L5を中心とした20度の角度範囲内、典型的には、アイレンジER内で結像しない範囲で最大とされることが好ましい。これにより、表示装置1は、第1表示面51から出射され当該溝5dで回折した可視光域成分の回折光が車両に応じて予め定まる領域内、ここでは、アイレンジER内で結像しない溝ピッチdとした上で、当該溝ピッチdをできる限り大きくすることで、第2表示面52の表示状態にて、実像図柄52aを構成する溝5dで反射する光の光量をできる限り多くすることができる。この結果、表示装置1は、アイレンジER内の目視位置にて、当該第1表示面51で表示されている実像画像51aの虚像が視認されることを抑制した上で、第2表示面52の表示状態において実像図柄52aを明瞭に表示することができ、この点でも適正な視認性を確保することができる。また、表示装置1は、溝ピッチdをできる限り大きくすることで、例えば、当該微細な溝5dの加工コストを抑制し、製造コストを抑制することができる。
【0051】
さらに、以上で説明した表示装置1によれば、第1表示面51は、一方向に偏光された光によって車両情報、ここでは車両情報に関する実像画像51aを表示し、溝5dは、偏向された光の偏光方向L1と交差する方向に延在する。したがって、表示装置1は、第2表示面52の非表示状態にて表示状態と比較して実像図柄52aを構成する溝5d自体を視認し難くすることができる。
【0052】
より詳細には、以上で説明した表示装置1によれば、一方向に偏光された光を照射し画像(実像画像51a)を表示する画像表示面3aを有するディスプレイ3と、画像表示面3aに重ねて設けられディスプレイ3から照射された光を透過すると共に図柄5c(実像図柄52a)を構成する溝5dが形成された透明導光板5a、及び、透明導光板5aの端面に光を照射する光源5bを有し、光源5bの点灯、消灯に基づいて、図柄5cの表示、非表示が切り替えられる重畳表示装置5とを備える。そして、ディスプレイ3の偏光方向L1と溝5dの延在方向L2とは、75°以上105°以下の角度範囲で交差する。これにより、この表示装置1によれば、ディスプレイ3の偏光方向L1と溝5dの延在方向L2とは、光源5bが消灯され画像表示面3aに画像が表示された状態で、透明導光板5aにおける図柄5cの周囲の領域の輝度に対する図柄5cの領域の輝度の輝度比が90%以上100%以下となる角度範囲で交差する構成となる。なお、透明導光板5aは、図柄5cの領域の材質の透過率と図柄5cの周囲の領域の材質の透過率とが同等となるように構成されている。
【0053】
したがって、表示装置1は、ディスプレイ3の画像表示面3a上の画像(実像画像51a)の表示と、画像表示面3aに重ねて設けられた重畳表示装置5の透明導光板5a上の図柄5c(実像図柄52a)の表示とを組み合わせて多様な表示態様を実現することができる。そして、この表示装置1は、ディスプレイ3の偏光方向L1と溝5dの延在方向L2とが所定の角度範囲で交差するように構成されることから、透明導光板5a上の図柄5cを非表示とした場合に、透明導光板5aにおける図柄5cの周囲の領域の輝度に対する図柄5cの領域の輝度の輝度比を相対的に大きくすることができる。これにより、表示装置1は、光源5bを消灯し微細な溝5dによって構成された透明導光板5a上の図柄5cを非表示とした場合に、透明導光板5a上の図柄5cを構成する溝5dを視認されにくくすることができ、ディスプレイ3の画像表示面3a上に表示される画像の視認性が阻害されることを抑制することができる。この結果、この表示装置1は、例えば、多様な表示を実現した上で、適正な視認性を確保することができる。
【0054】
つまり、表示装置1は、ディスプレイ3の画像表示面3aの前面側に図柄5cの意匠を表示し、背景の画像表示面3a上の画像情報と図柄5cの意匠とを立体的に組み合わせて表示できるので、例えば、立体的で斬新な表示を行うことができる。その上で、表示装置1は、微細な溝5dによって図柄5cが構成される重畳表示装置5において、光源5bの消灯時に図柄5cの意匠が見えにくくなり、透明導光板5aの背景の画像表示面3aを見通すことができ、必要に応じて光源5bの点灯時に図柄5cの意匠が現れるようにすることができる。
【0055】
また、以上で説明した表示装置1によれば、ディスプレイ3の偏光方向L1と溝5dの延在方向L2とは、直交する。したがって、表示装置1は、透明導光板5a上の図柄5cを非表示とした場合に、図柄5cの周囲の領域に対する図柄5cの領域の輝度比が最大になるようにすることができる。これにより、表示装置1は、透明導光板5a上の図柄5cを非表示とした場合に、確実に溝5dを視認されにくくすることができ、ディスプレイ3の画像表示面3a上に表示される画像の視認性が阻害されることを確実に抑制することができる。
【0056】
さらに、以上で説明した表示装置1によれば、溝5dの延在方向L2と光源5bによる光の照射方向L3とは、直交する。したがって、表示装置1は、光源5bからの光を、図柄5cを構成する溝5dに対してほぼ垂直に入射するようにすることができるので、透明導光板5a上に図柄5cを表示する場合に、溝5dで前面側(運転席側)に反射される光の量を相対的に増加させることができ、当該図柄5cを鮮明に表示することができる。
【0057】
さらに、以上で説明した表示装置1によれば、ディスプレイ3の偏光方向L1、及び、光源5bによる光の照射方向L3は、鉛直方向に沿った方向であり、溝5dの延在方向L2は、水平方向に沿った方向であり、透明導光板5aは、水平方向の長さが鉛直方向の長さより長く形成され、光源5bは、透明導光板5aの鉛直方向下側又は鉛直方向上側に配置される。したがって、表示装置1は、光源5bを溝5dに近接させて配置し、溝5dの延在方向L2と光源5bによる光の照射方向L3とを直交させ、光源5bからの光を溝5dに対してほぼ垂直に入射させる構成を、よりコンパクトに実現することができる。
【0058】
なお、上述した本発明の実施形態に係る表示装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0059】
以上の説明では、ディスプレイ3は、1つで構成されるものとして説明したが2つ以上が組み合わせられて構成されてもよい。
【0060】
以上で説明した表示装置1は、ディスプレイ3の偏光方向L1と溝5dの延在方向L2とが75°以上105°以下の角度範囲で交差するように構成され、言い換えれば、透明導光板5aにおける図柄5cの周囲の領域の輝度に対する図柄5cの領域の輝度の輝度比が90%以上100%以下となる角度範囲で交差するように構成されればよい。表示装置1は、例えば、ディスプレイ3の偏光方向L1が鉛直方向に対して傾斜していてもよく、この場合であってもディスプレイ3の偏光方向L1と溝5dの延在方向L2とが上記のような関係になっていればよい。
【0061】
以上の説明では、光源5bは、図柄5cが形成された領域の鉛直方向下側であって透明導光板5aの鉛直方向下側の端面と対向する位置に幅方向(水平方向)に沿って等間隔で3つが設けられ、鉛直方向上側に向けて光を照射するものとして説明したが、これに限らず、透明導光板5aの鉛直方向上側に設けられてもよいし、透明導光板5aの幅方向側方に設けられてもよい。
【0062】
以上の説明では、溝5dは、水平方向に延在するものとして説明したがこれに限らない。例えば、溝5dが鉛直方向に延在する場合、溝5dに入射した光は、鉛直方向に延在する溝5dによって水平方向に沿って回折することになる。この場合、溝5dによる回折光の結像の有無を評価する際には、アイレンジERとして、水平方向に沿った所定の角度範囲を想定すればよい。
【0063】
例えば、以上で説明した図柄5cを構成する溝5dは、透明導光板5aの奥行き方向前面側の主面上に形成されてもよく、当該透明導光板5aの奥行き方向前面側の主面が第2表示面52を構成してもよい。
【0064】
また、以上で説明した表示装置1は、図1に示すように、第2表示面52を構成する部材である透明導光板5aの端面の所定の部位に反射材57が設けられることで、さらなる適正な視認性を確保するようにしてもよい。具体的には、反射材57は、第2表示面52を構成する透明導光板5aの端面であって光源5bからの光が入射する入射端面と当該光の照射方向に対向する端面に設けられる。ここでは、反射材57は、透明導光板5aの鉛直方向上側の端面であって鉛直方向に光源5bと対向する端面に設けられる。反射材57は、光源5bからの光を凹凸部としての溝5d側に反射する。反射材57は、例えば、ホットスタンプ箔、ミラー箔等によって構成されるが、これに限らず光源5bからの光を溝5d側に反射する材料であればなんでもよい。これにより、表示装置1は、透明導光板5aの入射端面と当該光の照射方向に対向する端面に設けられた反射材57によって、光源5bからの光を溝5d側に反射することで、当該溝5dで反射する光量を相対的に多くすることができる。この結果、表示装置1は、溝5dによって形成される実像図柄52aにおける輝度が不足することを抑制することができ、当該実像図柄52aが視認し難くなること抑制することができるので、適正な視認性を確保することができる。特に、表示装置1は、第2表示面52の背面側の第1表示面51でも実像画像51aを表示する構成であり、また、複数の微細な溝5dの溝ピッチdを0.5μm以下とすることで当該微細な溝5dで反射する光量が相対的に少なくなりやすい構成であることから、表示状態において、第2表示面52で表示される実像図柄52aが見え難くなる傾向にある。これに対して、表示装置1は、上記のように反射材57を備えることで、第2表示面52の表示状態において凹凸部(溝5d)で反射する光量を相対的に多くすることができるので、このような構造であっても適正な視認性を確保することができる。また、表示装置1は、反射材57の作用によって実像図柄52aの輝度ムラを抑制することもできるので、この点でも適正な視認性を確保することができる。
【0065】
また、以上の説明では、第1表示面51は、一方向に偏光された光によって、車両情報として、車両情報に関する実像画像51aを表示するものとして説明したがこれに限らず、実像画像51a以外で車両情報を表示するものであってもよい。図16に示す変形例に係る表示装置201は、アナログ計器、及び、その文字板の表面(奥行き方向前面側の面)によって第1表示面251が構成される。この場合、表示装置201は、典型的には、奥行き方向背面側から前面側に向かって、背面側光源260、偏光板261、文字板262、指針263、重畳表示装置5の透明導光板5aの順で積層された構造となっている。図16の例では、微細な溝5dによって形成される図柄5c(実像図柄52a)は、例えば、「注意マーク(三角形の中に感嘆符(エクスクラメーション・マーク)を模したアイコン)」であり、溝5dの延在方向L2は、水平方向に沿った方向である。第2表示面52は、図柄5cを構成する溝5dが形成された透明導光板5aの奥行き方向背面側の主面によって構成される。
【0066】
そして、背面側光源260、文字板262、指針263は、車両に関する種々の計測値を当該指針263によってアナログ式で表示するアナログ計器(ここでは一例として回転計であるがこれに限らない。)を構成する。背面側光源260は、筐体2(図1等参照)内に設けられ奥行き方向背面側から前面側に向けて光を照射するものである。ここでは、背面側光源260、1つを図示しているが複数設けられてもよい。背面側光源260は、例えば、LED素子等によって構成されるがこれに限らない。文字板262は、表示する車両情報に応じた種々の図柄、記号、文字列等が描かれた板状の部材であり、略矩形状に形成され、背面側光源260の奥行き方向前面側に設けられる。文字板262は、例えば、透明生地のポリカーボネイト製シートであり、暗色系のインクによって、上記図柄、記号、文字列等に対応した形状が中抜きされた印刷が施される。文字板262は、背面側光源260から光が照射され、図柄、記号、文字列等が描かれた部分において当該照射された光が透過されることで、当該図柄、記号、文字列等が点灯表示される。文字板262は、車両情報に関する図柄、記号、文字列として、例えば、指標部262aや報知記号262bが形成されている。文字板262は、指標部262a、各種報知記号262bの部分が上述の中抜きされた部分であり、すなわち、光を透過する部分である。指標部262aは、背面側光源260から照射される光を透過し指針263によって指し示されるものである。各指標部262aは、指針263の先端の回動軌跡に沿った円弧、当該円弧に沿って等間隔で付された複数の目盛、数字等を含んで構成される。各報知記号262bは、警告する必要がある事象に対応して点灯するいわゆる各種の警告灯(ウォーニングランプ、いわゆるテルテール)等を含んで構成され、背面側光源260から照射される光を透過し当該背面側光源260の点灯、消灯に基づいて表示、非表示が切り替えられるものである。指針263は、文字板262の奥行き方向前面側に位置し、筐体2(図1等参照)内に設けられるモータが駆動することで回動し、車両に関する種々の計測値(車速、回転数等)に応じて指標部262aの所定の位置を指し示す。本変形例の第1表示面251は、背面側光源260から照射される光を所定の形状で透過することで車両情報を表示する表示面であり、ここでは、指標部262a、報知記号262b等を含んで構成される文字板262の奥行き方向前面側の面によって構成される。
【0067】
偏光板261は、背面側光源260と透明導光板5aの第2表示面52との間に設けられ背面側光源260から第2表示面52に向けて照射された光を一方向に偏光された光にするものである。ここでは、偏光板261は、略矩形状に形成され、文字板262の奥行き方向背面側の面に設けられるが、文字板262の奥行き方向前面側の面に設けられてもよいし、透明導光板5aの奥行き方向背面側の面に設けられてもよい。偏光板261は、背面側光源260から発せられた光を、偏光方向L4(図16等参照)を透過軸方向として揃え、当該偏光方向L4(透過軸方向)に沿った振動方向の光を出射することで一方向に偏光された光を第2表示面52側に出射する。ここでは、偏光板261によって偏光された光の偏光方向L4は、鉛直方向に沿った方向とされている。つまり、溝5dの延在方向L2と偏光板261による偏光方向L4とは、直交する。この場合であっても、表示装置1は、溝5dが偏光方向L4と交差する方向に延在するようにして形成されることで、第2表示面52の非表示状態で実像図柄52aを構成する溝5dを見えにくい構造とすることができ、その上で、アイレンジER内の目視位置にて、当該第1表示面51で表示されている実像画像51aの虚像が視認されることを抑制することができ、適正な視認性を確保することができる。
【符号の説明】
【0068】
1、201 表示装置
5a 透明導光板
5b 光源
5c 図柄
5d 溝
51、251 第1表示面
51a 実像画像(画像)
52 第2表示面
52a 実像図柄(図柄)
261 偏光板
d 溝ピッチ
ER アイレンジ
L1、L4 偏光方向
L2 延在方向
L3 照射方向
L5、L6 法線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図16