特許第6232022号(P6232022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232022
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】携帯端末装置用保持具
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   H04M1/02 C
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-193995(P2015-193995)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-69791(P2017-69791A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】505431640
【氏名又は名称】ゴールデンバーグ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087550
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 莞爾
(72)【発明者】
【氏名】金沢 秀憲
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3178173(JP,U)
【文献】 特表2014−512709(JP,A)
【文献】 特表2014−503160(JP,A)
【文献】 特表2013−519339(JP,A)
【文献】 これでもう落とさない!スマホをがっちりホールドするSmarpea,日本,ovamac,2012年 4月 5日,インターネット<URL:http://ovamac.blog.fc2.com/blog-entry-85.html>
【文献】 スマホが片手でも操作しやすいリング型ホルダーが好調,日本,日経トレンディネット,2012年 7月10日,インターネット<URL:http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20120702/1041769/?rt=nocnt>
【文献】 スマホアクセサリー:今が旬!,日本,Seeaa BLOG,2012年12月22日,インターネット<URL:http://imagashunyo.seesaa.net/category/14139955-1.html>
【文献】 ロジック、スマホを指で固定するホルダーリング,日本,MdN Design Interactive,2015年 1月 9日,インターネット<URL:http://www.mdn.co.jp/di/newstopics/39529>
【文献】 Holder Ring,ホルダーリングでスマートフォンを落下から防いで安心!,日本,株式会社ロジック,2015年 1月 9日,インターネット<URL:http://logic-products.com/lg_hrw/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置が滑落することなく取り扱う保持具であって、
携帯端末装置の背面側に取り付けるための装着手段を一面側に備える基体と、
前記基体の他面側に設けられた突出支持部と、
前記突出支持部の側面において相反した位置にそれぞれ取り付けられた一対の指用保持部と、
前記突出支持部の外側を覆う外枠カバーと、
から構成され、
前記指用保持部は何れも、指を差し入れる大きさをしたリング部と、該リング部から突出した支軸部とから形成され、前記支軸部の一部において肉厚径となる凸部をそれぞれ有し、
前記外枠カバーは、前記指用保持部の支軸部の径より大きく、かつ、凸部の径より小さい切欠き部を周壁部における対向する位置にそれぞれ有するものであって、
前記指用保持部におけるそれぞれの支軸部の凸部が共に前記外枠カバーの内側となるように前記切欠き部が前記支軸部に接しつつ跨いで前記突出支持部を覆っている、
ことを特徴とする携帯端末装置用保持具。
【請求項2】
前記突出支持部は、前記基体に対して回動自在に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置用保持具。
【請求項3】
前記指用保持部は、前記突出支持部に対して回動自在に取付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末装置用保持具。
【請求項4】
前記装着手段は、携帯端末の背面に対して繰り返し着脱自在な粘着シートであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の携帯端末装置用保持具。
【請求項5】
前記基体の他面もしくは前記指用保持部のリング部の外周面の少なくとも何れか一方に、装飾部材を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の携帯端末装置用保持具。
【請求項6】
前記装飾部材は、光の反射や屈折の度合いの高い透明または半透明をした複数の粒状体であることを特徴とする請求項5に記載の携帯端末装置用保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、携帯端末装置の背面に取り付けることにより、該携帯端末装置が滑落することなく安全かつ容易に取り扱うことを可能とした携帯端末装置用保持具に係り、詳しくは、使用に際して破損するおそれを低減させるように改良した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等の携帯端末装置において、通話以外に、メールやインターネット等でキー操作やパネル操作を行う頻度が高まっており、片手で携帯端末装置を持ちながらその手で携帯端末装置のキー等を操作することが多くなってきている。また、最近の携帯端末装置では、ワンセグ機能やタッチパネル機能を搭載する傾向にあり、画面を縦向きにして使用するばかりでなく、横向きにして使用することもある。
【0003】
ところが、携帯端末装置を保持しているときや取り扱っている際に、ふとしたことで携帯端末装置を落して破損させてしまうことがある。特に、人ごみなどで歩きながら携帯端末装置を操作していると、ちょっとした衝撃を受けただけで携帯端末装置を簡単に落してしまうこともある。
また、最近では本体の幅が大きい、いわゆるタブレット型端末やパッド型端末と称される携帯端末装置も提案されており、持ち運ぶ際に落してしまいそうな不安感や持ち辛さを覚えることもある。さらに、携帯端末装置を長時間把持していると、手が疲労して携帯端末装置を落してしまうおそれが一層高まるものとなる。
【0004】
そこで、携帯端末装置を安全かつ容易に保持することが可能となることを目的として、携帯端末装置の背面に対して起立するようにした指用保持部を取付け、この指用保持部のリング部に指を差し入れることで、携帯端末装置の保持や操作を容易になし得るようにした携帯端末装置用保持具が提案されている(たとえば、特許文献1,2を参照)。
【0005】
しかしながら、従来提案されている携帯端末装置用保持具は、指用保持部のリング部から突出した支軸部が、携帯端末装置の背面に設けた支持部に対して取り付けられたものとなっている。そのため、リング部が起立するように指用保持部を回動させたりする使用時や、リング部に指を差し入れて携帯端末装置を保持したりする指用保持部の使用時に、支持部に取り付けられた支軸部の基端部分(支持部と支軸部との境界部分)に集中して負荷が掛かり、その部分が破損してしまうおそれが多分にあった。
【0006】
また、支持部に対して回動自在となるように指用保持部を取り付ける場合、支持部に対して指用保持部の支軸部を単に挿入しただけでは、指用保持部の使用時において、支軸部が支持部から抜け落ちてしまうおそれを有するものでもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−35810号公報
【特許文献2】特表2014−503160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、携帯端末装置が滑落することなく安全、かつ、容易に取り扱うことを可能とすると共に、使用に際して破損するおそれを低減させるようにした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の携帯端末装置用保持具は、携帯端末装置が滑落することなく取り扱う保持具であって、携帯端末装置の背面側に取り付けるための装着手段を一面側に備える基体と、前記基体の他面側に設けられた突出支持部と、前記突出支持部の側面において相反した位置にそれぞれ取り付けられた一対の指用保持部と、前記突出支持部の外側を覆う外枠カバーとから構成され、前記指用保持部は何れも、指を差し入れる大きさをしたリング部と、該リング部から突出した支軸部とから形成され、前記支軸部の一部において肉厚径となる凸部をそれぞれ有し、前記外枠カバーは、前記指用保持部の支軸部の径より大きく、かつ、凸部の径より小さい切欠き部を周壁部における対向する位置にそれぞれ有するものであって、前記指用保持部におけるそれぞれの支軸部の凸部が共に前記外枠カバーの内側となるように前記切欠き部が前記支軸部に接しつつ跨いで前記突出支持部を覆っていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の携帯端末装置用保持具は、前記突出支持部が、前記基体に対して回動自在に取付けられていると望ましい。
【0011】
また、本発明の携帯端末装置用保持具は、前記指用保持部が、前記突出支持部に対して回動自在に取付けられていると望ましい。
【0012】
また、本発明の携帯端末装置用保持具は、前記装着手段が、携帯端末の背面に対して繰り返し着脱自在な粘着シートであると望ましい。
【0013】
さらに、本発明の携帯端末装置用保持具は、前記基体の他面もしくは前記指用保持部のリング部の外周面の少なくとも何れか一方に、装飾部材を備えるものとすると望ましい。この装飾部材は、光の反射や屈折の度合いの高い透明または半透明をした複数の粒状体とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の携帯端末装置用保持具は、指用保持部の支軸部の径より僅かに大きく、かつ、指用保持部の支軸部の凸部の径より小さい切欠き部を有する外枠カバーを備え、指用保持部が取り付けられた突出支持部が、指用保持部における支軸部の凸部が内側となるように、外枠カバーにおける切欠き部が支軸部に接しつつ跨いで突出支持部を覆ったものとなっている。
ゆえに、指用保持部のリング部内への指の挿入や、携帯端末装置の保持・取り扱いにおいて、突出支持部へ取り付けた指用保持部における支軸部の基端部分に負荷が集中することなく、外枠カバーの切欠き部が指用保持部の支軸部を跨ぐことで接することとなる部分、もしくは支軸部の基端部分から切欠き部が支軸部を跨ぐ部分の間の領域に負荷を分散させ、指用保持部における支軸部が破損してしまうおそれを低減させることができる。
【0015】
しかも、本発明の携帯端末用保持具では、指用保持部を外側へ引っ張っても、外枠カバーの切欠き部によって指用保持部における支軸部の凸部が係止されるものとなるので、指用保持部が突出支持部から抜け落ちることの無いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る携帯端末装置用保持具の構造を説明する図であって、(A)は指用保持部が倒伏した状態の正面図、(B)は外枠カバーだけを破断した状態を示す同正面図である。
図2】本発明に係る携帯端末装置用保持具を示す図であって、(A)は指用保持部が倒伏した状態を示す側面図、(B)は指用保持部が起立した状態を示す側面図
図3】本発明に係る携帯端末装置用保持具を示す背面図である。
図4】本発明に係る携帯端末装置用保持具における基体の構造を説明する、(A)は正面図、(B)は長手方向に沿って切断した中央縦断面である。
図5】本発明に係る携帯端末装置用保持具における突出支持部の構造を説明する、(A)正面図、(B)支軸挿通孔側より見た側面図である。
図6】本発明に係る携帯端末装置用保持具における指用保持部の構造を説明する正面図である。
図7】本発明に係る携帯端末装置用保持具における外枠カバーの構造を説明する、(A)は底面図、(B)は側面を一部破断した状態を示す正面図である。
図8】本発明に係る携帯端末装置用保持具における基体と装着部材の組み立て状態を説明する側面図である。
図9】本発明に係る携帯端末装置用保持具における突出支持部と指用保持部の組み立て状態を説明する正面図である。
図10】本発明に係る携帯端末装置用保持具を携帯端末装置の背面に取り付けた状態を示す斜視図である。
図11】本発明に係る携帯端末装置用保持具を携帯端末装置の背面に取り付けたときの他の使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る携帯端末装置用保持具の実施の形態の一例について、図面に基づき説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるため技術的に種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0018】
本発明に係る携帯端末装置用保持具は、携帯端末装置が滑落することなく安全、かつ、容易に取り扱うことを可能とすることだけを目的とするものではなく、使用に際して破損するおそれを低減させるようになし得ることをも目的とするものである。
ここで、携帯端末装置としては、携帯電話機やスマートフォン、タブレット端末、ゲーム機などの各種の携帯電子機器をいう。
【0019】
図1乃至図3に示すように、本実施の形態における携帯端末装置用保持具10は、基体1と、突出支持部2と、一対の指用保持部3,3と、外枠カバー4と、を少なくとも備える。また、携帯端末装置用保持具10は、必要に応じて、装着手段5を備えるものとしても良い。
【0020】
基体1は、本発明に係る携帯端末装置用保持具10を携帯端末装置の背面側に対して安定して取り付けるための平板状をした部材である。
この基体1は、金属や合成樹脂材料等を用いて製造されたものであって、図4に示すように、その中央には挿通孔11が穿設されている。この挿通孔11には、後述する金属製又は合成樹脂製の筒状をした取付ピン7が挿通され、突出支持部2が、取付ピン7を軸として基体1に対して平行な回動自在に取付けられるものとなる。この取付ピン7は、上端側が開口しており、筒状体の内面に螺子溝が設けられたものとなっている。
【0021】
図4において、基体1は、巴形(勾玉形)を左右に二つ並べて連結した曲線的な特異な平面視形状をしたものとして示されている。このような形状とすることにより、携帯端末装置の背面に対する基体1の取り付け向き(角度)を気にすることなく、平面視矩形状をしたものに比して見栄え良く取り付けられたものとすることができる。
なお、本発明において基体1の形状は、上述したような巴形を左右に二つ並べて連結した曲線的な形状が望ましいとするものであって、矩形状とすることを排除したものではない。ゆえに、基体1の形状は、平面視矩形状やその他の形状であっても良い。
【0022】
また、本実施の形態において、基体1の一面1a側には、略全面的に凹部12が形成されたものとなっている(図4(B)を参照)。この凹部12内には、図2及び図3に示すように、基体1を携帯端末装置の背面側に取り付けるための装着手段5が装着されるものとなる。
すなわち、本発明に係る携帯端末装置用保持具10は、携帯端末装置の背面に対して接着剤等を用いて固着するものとしても良いが、接着剤等よりも容易にかつ効率良く取り付け可能とすることが望ましい。ゆえに、本実施の形態においては、携帯端末装置の背面側に対して携帯端末装置用保持具10を容易に取り付け可能とするため、基体1の一面1a側に、携帯端末装置の背面側に取り付けるための装着手段5を効率良く装着する凹部12を備えたものとなっている。
【0023】
装着手段5は、携帯端末装置の背面に対して繰り返し着脱自在な粘着シートである。
この粘着シート5は、高い粘着性を有して何回も着脱可能な反復性を持ち合わせており、水等で表面の汚れを洗浄した後も粘着性が維持される性能を有する。このような粘着シートは、薄厚をした基材の一面側に、繰り返し貼り替え可能な第一の粘着層を備え、同他面側に、強力に貼り付けることのできる第二の粘着層を備える。
【0024】
基材としては、たとえば、ポリエステル(PEs)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン酢酸ビニル(PEVA)、ポリプロピレン(PP)、ゴムフィルム、布材のいずれかの材料を挙げることができる。
【0025】
第一の粘着層は、たとえば、ウレタン系の粘着剤を使用してなるもので、装着又は取り外しが繰返し可能な(貼り直しできる)粘着面となっている。また、第一の粘着層は、接着剤が接着面に残らず、また、ゴミや埃などが付着しにくく、数回洗浄しても粘着力も影響されないものとなっている。
【0026】
第二の粘着層は、たとえば、アクリル系の粘着剤を使用してなるもので、装着又は取り外しが繰返し行い難い、しっかり貼れる感圧接粘着面となっている。
【0027】
また、本実施の形態において、基体1の他面1b側には、複数の窪み部13・・13が形成されたものとなっている(図4(A)を参照)。この窪み部13には、基体1の外観を美感に優れたものとするための、後述する装飾部材6が装着されるものとなる。
すなわち、基体1に装飾を施す場合、平面的な模様を付すようにしても良いが、本実施の形態においては、デザイン的により豊かなものとなる立体的な装飾を施すものとすることが望ましい。
【0028】
本実施の形態においては、立体的な装飾部材を効率良く装着することができるように、基体1の他面1b側に、立体的な装飾部材を装着する窪み部13を複数備えたものとなっている。
この窪み部13は、立体的な装飾部材を効率良く装着するだけではなく、装飾部材を強固に装着して容易に脱落してしまうことを防ぐものとすることもできる。
【0029】
装飾部材6は、光の反射や屈折の度合いの高い透明または半透明をした粒状体とすると望ましい。このような粒状体6としては、たとえば、表面に角度の違う多数の切子面を有する、水晶やガラスまたはアクリル樹脂製のダイヤモンド類似石であって、具体的には、ファセット・カット等された屈折率の高いラインストーンやキュービックジルコニアを挙げることができる。
【0030】
したがって、本発明に係る携帯端末装置用保持具10を製造する場合、図8に示すように、予め、基体1の他面1bに複数形成された窪み部13・・13内に装飾部材6をそれぞれ装着しておく。次いで、図中一点鎖線矢印で示すように、挿通孔11に取付ピン7を挿通し、さらに、図中二点鎖線矢印で示すように、粘着シート(装着手段)5の第二の粘着層側を凹部12内に貼付して取付基体部を組み立てておく。
【0031】
突出支持部2は、基体1の他面1b側に配され、指用保持部3を取り付けるための部材である。
この 突出支持部2は、合成樹脂材料等を用いて製造されたものであって、図5に示すように、正面側から背面側に貫通する支持孔22が中央に穿設されている。突出支持部2は、この支持孔22を介してネジ等の固定部材によって基体1に取り付けられるものとなっている。
【0032】
また、突出支持部2は、側面に、指用保持部3を取り付けるための支軸挿入孔21を備える。この支軸挿入孔21は、指用保持部3を取り付けるものであって、一つの孔部において相反した位置に一対の指用保持部3をそれぞれ配するようにしても良いし、二つの孔部において相反した位置に一対の指用保持部3をそれぞれ別々の孔部に配するようにしても良い。
【0033】
また、支軸挿入孔21は、内部に、内径が部分的に狭められた径小部23を備えている。この径小部23は、指用保持部3の脱落を防止するためのものであって、支軸挿入孔21の内部において、内周面を全体的に均一に狭小となるものとしても良いし、内周面に幾つかの突起を設けて部分的に狭小となるものとしても良い。
【0034】
図5において、支軸挿入孔21は、一対の指用保持部3を相反した位置にそれぞれ別々の孔部に配するために、二つの孔部を並行して設けたものとして示されている。
また、図5において、径小部23は、支軸挿入孔21の内部において内周面を全体的に均一に狭小としたものとして示されている。
【0035】
本実施の形態において、突出支持部2は、基体1の挿通孔11に挿通して取り付けた取付ピン7に支持孔22が挿通され、突出支持部2が、取付ピン7を軸として基体1に対して平行な回動自在に取付けられるものとなっている。
すなわち、突出支持部2は、基体1に対して固定して取り付けられたものとしても良いが、携帯端末装置を縦向きに保持したり、横向きに保持したりできるようにすることが望ましい。ゆえに、本実施の形態においては、携帯端末装置の持ち方を自由に変えることができるように、突出支持部2は基体1に対して固定されず、回動自在に取付けられるものとなっている。
【0036】
指用保持部3は、指を挿入して携帯端末装置を保持するための部材である。
この指用保持部3は、金属材料等を用いて製造されたものであって、図6に示すように、指を差し入れる大きさをしたリング部31と、このリング部31から突出した支軸部32とを有する。すなわち、本実施の形態において、リング部31は、指が嵌め込まれる内径寸法を有しており、支軸部32は、突出支持部2における支軸挿入孔21に対して挿入可能な外径寸法を有したものとなっている。
【0037】
図6において、指用保持部3は、円形をしたリング部31の外周における一部分に、略L字状をした支軸部32が突出するように一体的に形成されたものとして示されている。
【0038】
本実施の形態において、指用保持部3は、支軸部32の一部において段差を有して肉厚径となる凸部33を有するものとなっている。この凸部33は、指用保持部3を突出支持部2に取り付ける際、支軸部32が支軸挿入孔21内に必要以上入り過ぎないように、突出支持部2に対する支軸部32の挿入を制御するものである。また、凸部33は、指用保持部3が外側へ引っ張られた際、後述するように外枠カバー4の切欠き部41の周縁に係止され、指用保持部3が突出支持部2から抜け落ちないように維持するものである。さらに、凸部33は、突出支持部2に取り付けた指用保持部3の支軸部32に負荷が掛かった場合に、その負荷が支軸部32の基端部分に集中することなく吸収・分散させるものでもある。
【0039】
また、本実施の形態において、指用保持部3は、支軸部32の先端部側(すなわち、突出支持部2の支軸挿入孔21内へ挿入される側)に径小となるくびれ部34と、段差を有して径大となる係止部35とをそれぞれ備えるものとなっている。このくびれ部34と係止部35は、支軸部32を突出支持部2の支軸挿入孔21内へ挿入する際、係止部35が支軸挿入孔21内における径小部23をくぐり抜けて、くびれ部34が径小部23に相対的に位置するものとなる。
ゆえに、指用保持部3が外側へ引っ張られた際、係止部35が径小部23に引っ掛かることで、指用保持部3が突出支持部2から無暗に抜け落ちないように維持するものとなっている。
【0040】
この指用保持部3は、予めリング部31が基体1に対して垂直な起立位置状態を維持するように、支軸部32を突出支持部2に対して固定して取り付けたものとしても良いが、携帯端末装置の不使用時に鞄の中などに収容することを考慮すると、リング部31は、基体1に対して平行な倒伏位置状態と、基体1に対して垂直な起立位置状態とを取り得るように、突出支持部2に対して回動自在に取り付けられたものとすることが望ましい。
【0041】
すなわち、図2に示すように、携帯端末装置用保持具10の使用時には、リング部31へ指を差し入れることができるようにするため、図2(A)において示す指用保持部3の倒伏位置状態から、指用保持部3を図中一点鎖線矢印で示すように、支軸部32を軸として突出支持部2に対して回動させて、基体1に対して垂直な起立位置状態とする(図2(B)を参照)。一方、携帯端末装置用保持具10の不使用時には、リング部31が邪魔にならないようにするため、図2(B)において示す指用保持部3の起立位置状態から、指用保持部3を図中二点鎖線矢印で示すように、支軸部32を軸として突出支持部2に対して回動させて、基体1に対して平行に折り畳まれた倒伏位置状態とする(図2(A)を参照)。ゆえに、本発明に係る携帯端末装置用保持具10は、このように何れの状態をも取り得るようにすることが望ましい。
【0042】
なお、図示しないが、本実施の形態において、指用保持部3におけるリング部31の外周面には複数の窪み部が形成されたものとなっている。そして、この窪み部には、基体1と同様に、指用保持部3の外観を美感に優れたものとするための装飾部材6が装着されるものとなる。
【0043】
したがって、本発明に係る携帯端末装置用保持具10を製造する場合、図9に示すように、予め、指用保持部3におけるリング部31の外周面に形成された複数の窪み部内に装飾部材6をそれぞれ装着しておく。次いで、図中一点鎖線矢印で示すように、突出支持部2の支軸挿入孔21内へ指用保持部3の支軸部32を先端部側より挿入して組み立てる。その後、突出支持部2における支持孔22を、事前に組み立てておいた取付基体部における取付ピン7に挿入する。
【0044】
外枠カバー4は、突出支持部2の外側を覆うものである。
この外枠カバーは、金属材料等を用いて製造されたものであって、図1(B)及び図7に示すように、指用保持部3の支軸部32の径より僅かに大きく、かつ、凸部33の径より小さい切欠き部41を有するものである。
【0045】
本実施の形態において、外枠カバー4の内寸は、突出支持部2の外寸より僅かに大きなものとなっている。そして、外枠カバー4は、指用保持部3における支軸部32に形成した凸部33が内側となるように、切欠き部41が支軸部32を跨いで突出支持部2を覆うものとなっている。すなわち、突出支持部2は外枠カバー4によって覆われたものとなっており、突出支持部2の外面と外枠カバー4の内面とが圧接することにより、無暗に外れることなく被覆状態が保たれるものとなっている。
【0046】
また、本実施の形態において、外枠カバー4は、内側天部の中央部に支持ネジ42を備えたものとなっている。この支持ネジ42は、外面に螺子溝が設けられたものとなっており、上述したように、突出支持部2における支持孔22内に挿通され、突出支持部2が、支持ネジ42を軸として基体1に対して平行な回動自在に取付けられるものとなっている。すなわち、突出支持部2における支持孔22内には取付ピン7が挿通され、外枠カバー4の支持ネジ42はこの取付ピン7の内部に挿通されるものとなる。ゆえに、取付ピン7と支持ネジ42が螺合されることで、基体1と突出支持部2と外枠カバー4とが不離一体に、かつ、突出支持部2と外枠カバー4が基体1に対して回動自在に取付けられるものとなる。
【0047】
図7において、外枠カバー4は、周壁部において対向する位置にそれぞれ、逆さ舌状をした切欠き部41が形成されたものとして示されている。
【0048】
したがって、本発明に係る携帯端末装置用保持具10を製造する場合、基体1に取り付けられた突出支持部2の支持孔22内に配されている取付ピン7の筒内に、外枠カバー4の内部に設けられた支持ネジ42が挿通されるように突出支持部2に対して外枠カバー4を被せて覆う。このとき、突出支持部2は、取付ピン7及び支持ネジ42を軸として基体1に対して平行な回動自在に取付けられるものとなっている。
【0049】
以上のように構成した携帯端末装置用保持具10は、図10に示すように、使用において、まず、携帯端末装置Sの背面側に、粘着シート(装着部材)5を用いて取り付けた後、倒伏状態となっている指用保持部3の一対のリング部31をそれぞれ回動して共に起立状態とする。
次いで、たとえば、指用保持部3における一方のリング部31に人指し指(又は中指)を差し入れると共に、他方のリング部31に中指(又は薬指)を差し入れた後、携帯端末装置Sの背面に掌を添えるようにして携帯端末装置Sを保持する。
【0050】
この場合、指用保持部3の突出支持部2に対する回動操作において、突出支持部2へ取り付けた指用保持部3における支軸部32の基端部分に通常より大きな負荷が掛かるおそれがある。しかしながら、外枠カバー4の切欠き部41が指用保持部3の支軸部32を跨いで突出支持部2を覆ったものとなっている。
【0051】
これにより、携帯端末装置Sを片手で持って使用することができると共に、携帯端末装置Sの画面の向きを縦向きに片手で保持したり、同横向きに片手で保持したり、その持ち方を自由に変えることできる。
しかも、その際に携帯端末装置Sの保持・取り扱いにおいて、突出支持部2へ取り付けた指用保持3部における支軸部32の基端部分に大きな負荷が掛かることの無いように、外枠カバー4の切欠き部41が指用保持部の3支軸部32を跨ぐことで、支軸部32の基端部分に掛かる負荷を分散させ、携帯端末装置用保持具10が使用に際して破損するおそれを低減させるようにすることができる。
【0052】
また、携帯端末装置用保持具10は、リング部31に指を差し入れて引っ掛けるように保持しているので、不意に手が滑って携帯端末装置を落としてしまうといった事故を防止して、携帯端末装置を安全かつ容易に取り扱うことを可能とすることができる。
【0053】
さらに、本発明に係る携帯端末装置用保持具10は、図11に示すように、携帯端末装置Sを斜めに立てて使用するための簡易スタンドとして使用することもできる。すなわち、携帯端末装置Sを机の上などに置く場合、携帯端末装置Sの背面側に取り付けられた携帯端末装置用保持具10における指用保持部3のリング部31を基体1に対して垂直位置状態を取り得るように回動させることで、指用保持部3が携帯端末装置Sの脚部となり、スマートフォン等の携帯端末装置Sを見易い傾斜角度に安定して支持することが可能となる。
【0054】
しかも、本発明に係る携帯端末装置用保持具10は、基体1の他面1bもしくは指用保持部3のリング部31の外周面の少なくとも何れか一方に、光の反射や屈折の度合いの高い装飾部材6を備えるものとすると、美感に優れたアクセサリーとしての要素を兼ね備えたものとすることができる。また、基体1や指用保持部3に、光の反射や屈折の度合いの高い装飾部材6が備えられていると、この装飾部材6が周囲の光を反射して光ることで、携帯端末装置を部屋の何処かに置き忘れてしまった場合や、離れた位置、薄暗いときであってもその位置が直ちに分かり、携帯端末装置を探し易いものとすることもできる。
【符号の説明】
【0055】
S 携帯端末装置、1 基体、1a 一面、1b 他面、2 突出支持部、3 指用保持部、4 外枠カバー、5 装着手段、6 装飾部材、7 取付ピン、10 携帯端末装置用保持具、11 挿通孔、12 凹部、13 窪み部、21 支軸挿入孔、22 支持孔、23 径小部、31 リング部、32 支軸部、33 凸部、34 くびれ部、35 係止部、41 切欠き部、42 支持ネジ部。
図1
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図7
図8
図9
図10
図11