特許第6232039号(P6232039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6232039画像表示システム、表示方法、およびコンピュータ・プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232039
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】画像表示システム、表示方法、およびコンピュータ・プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/36 20060101AFI20171106BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20171106BHJP
   G09G 3/3225 20160101ALI20171106BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G09G5/36 520A
   G09G3/20 611A
   G09G3/20 670K
   G09G3/3225
   G09G3/20 611B
   G09G5/00 550B
   G09G5/00 550C
   G09G5/36 520P
   G09G3/20 641P
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-246597(P2015-246597)
(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公開番号】特開2017-111345(P2017-111345A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2015年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
(72)【発明者】
【氏名】今井 拓水
(72)【発明者】
【氏名】土橋 守幸
(72)【発明者】
【氏名】石原 のぞみ
(72)【発明者】
【氏名】杉山 恭平
【審査官】 西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−161579(JP,A)
【文献】 特開平05−317522(JP,A)
【文献】 特開2010−117551(JP,A)
【文献】 特開2008−111886(JP,A)
【文献】 特開2014−240913(JP,A)
【文献】 特開2003−295827(JP,A)
【文献】 特開2002−287726(JP,A)
【文献】 特開2003−228329(JP,A)
【文献】 特開2000−148118(JP,A)
【文献】 特開2014−126698(JP,A)
【文献】 特開2006−284971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/36
G09G 3/20
G09G 3/3225
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発光型のディスプレイに画像データを出力する、電子機器に搭載された画像表示システムであって、
前記ディスプレイに表示するオリジナル画像の画像データを作成する上位システムと、
前記上位システムの状態を監視して、ユーザによる前記ディスプレイの利用を妨げない画質許容条件を判断し補正イベントを出力する補正イベント生成部と、
前記補正イベントに応じて前記ディスプレイの画面に定義した複数のセルのそれぞれにおける前記オリジナル画像の画素値のバラツキを計算し、該バラツキが所定値以下のセルを構成するすべてのサブ画素についての補正量として、白基調の前記セルについて前記画素値を低下させ黒基調の前記セルについて前記画素値を増加させるように前記画素値の平均値に応じた同一の値を設定した補正画像の画像データを出力する階調補正部と
を有する画像表示システム。
【請求項2】
前記補正イベント生成部は、前記上位システムが所定時間プロセッサの使用率が低いシステム・アイドル状態に遷移しているときに前記画質許容条件が成立したと判断する請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記補正イベント生成部は、前記上位システムが所定時間ユーザによる入力が発生しないユーザ・アイドル状態に遷移しているときに前記画質許容条件が成立したと判断する請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記補正イベント生成部は、前記オリジナル画像が所定時間変化しないときに前記画質許容条件が成立したと判断する請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記補正イベント生成部は、前記電子機器の揺動を検出する加速度センサの出力が前記電子機器をユーザが持ち運んでいることを示すときに前記画質許容条件が成立したと判断する請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項6】
前記補正イベント生成部は、カメラが撮影した映像が所定時間前記ディスプレイをユーザが使用していないことを示すときに前記画質許容条件が成立したと判断する請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項7】
前記階調補正部は、前記バラツキが所定値以上のセルについて前記オリジナル画像の画素値を維持する請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項8】
前記1から請求項7のいずれかに記載の画像表示システムを搭載した電子機器。
【請求項9】
自発光型のディスプレイを搭載する電子機器が画像を表示する方法であって、
前記ディスプレイに表示するオリジナル画像を作成するステップと、
前記オリジナル画像を複数のセルに分割するステップと、
前記ディスプレイをユーザが利用していない状態を推定したときに、各セルを構成するサブ画素の画素値のバラツキを計算するステップと、
前記バラツキが所定値以下のセルを構成するすべての前記サブ画素についての補正量として、白基調の前記セルについて前記画素値を低下させ黒基調の前記セルについて前記画素値を増加させるように前記画素値の平均値に応じた同一の値を設定した補正画像の画像データを作成するステップと、
前記補正画像の画像データを前記ディスプレイに出力するステップと
を有する方法。
【請求項10】
自発光型のディスプレイを搭載する電子機器に、
前記ディスプレイに表示するオリジナル画像を作成する機能と、
前記ディスプレイをユーザが利用していない状態を推定する機能と、
前記推定に基づいて前記ディスプレイの画面に定義した複数のセルのそれぞれにおける前記オリジナル画像の画素値のバラツキを計算する機能と、
前記ディスプレイの焼き付きを抑制するために、前記バラツキが所定値以下のセルを構成するすべてのサブ画素についての補正量として、白基調の前記セルについて前記画素値を低下させ黒基調の前記セルについて前記画素値を増加させるように前記画素値の平均値に応じた同一の値を設定した補正画像を作成する機能と
を実現させるためのコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自発光型表示装置の消費電力を低減する技術に関し、さらには消費電力の低減とともに焼き付きを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フラット・パネル・ディスプレイ(FPD)の発光方式は、液晶ディスプレイ(LCD)に代表される非自発光型と、プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)や有機ELディスプレイ(OELD:organic electroluminescence display)などの自発光型に大別することができる。バックライトを使用しない自発光型のFPDは、赤、緑、青(RGB)の発光素子の色を加法混色して所定の色を表現しており、すべての発光素子が最大の画素値で発光する白を基調とする画面を表示するほど消費電力が多くなる。
【0003】
また、自発光型のFPDの発光素子は発光時間が経過するとともに劣化して、同じエネルギー(画素値)を供給しても使用開始時より輝度が低下するいわゆる輝度劣化をきたす。ある画素を構成する発光素子の輝度劣化が周囲の画素を構成する発光素子よりも進行すると、それらの画素に同一の色を表示する画素値を設定したときに人間の目で両者の輝度の差が認識できる状態となるいわゆる焼き付き現象が発生する。
【0004】
たとえば、灰色のデスクトップ画面に、カラー表示のアイコンを静止画像として長時間表示する場合には、その後当該アイコンが表示された領域にデスクトップ画面と同じ灰色を表示するとアイコンを表示していた画素が表示する灰色と当初からデスクトップ画面を表示していた画素が表示する灰色との間には焼き付きで明るさの相違が生ずる。
【0005】
焼き付きは、発光素子間の輝度劣化の進行の差により発生する。したがって、デスクトップのような背景画像の全体を同一色で表示すれば焼き付きの問題はほとんど発生しない。しかし、実際の発光素子は表示する画像に応じてランダムな画素値で駆動されるため、輝度劣化に差が発生する。特に、固定した場所に固定した明るい色で表示する画像が長時間表示されると輝度劣化が激しくなる。
【0006】
特許文献1は、人間に色の変化を感じさせないようにしながら、固定パターンを表示する発光素子の輝度劣化量と背景画像を表示する発光素子の輝度劣化量を等しくする発明を開示する。特許文献2は、オペレータの存在と表示画面の状態に応じてスクリーンセーブをすることで、焼き付きを防止するプラズマ・ディスプレイ装置を開示する。
【0007】
特許文献3は、有機ELディスプレイを備えるデジタル・カメラにおいて、アイコンの表示位置を輝度ごとに変化させることで焼き付きを制御する発明を開示する。特許文献4は、消費電力の節約を可能にするOELDを開示する。同文献には、通常モードよりも発光素子に印加する電圧が低い節電モードのときに、ガンマ特性を切り替えてドライブ・トランジスを飽和領域で動作させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−17746号公報
【特許文献2】特開平9−50258号公報
【特許文献3】特願2005−37843号公報
【特許文献4】特願2008−83085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これまでOELDの消費電力を低減するために、デスクトップ画面や待ち受け画面に黒を基調にする画像を採用することが行われていたが、ランダムな色調の通常のアプリケーション画像を多く表示する場合には、十分な効果を上げることができなかった。アプリケーション画像に対して消費電力の低減や焼き付きを抑制できるような処理を施すことは、本来のOELDの機能を損なってユーザに無用のストレスを与えることになるため本質的な解決策にはならない。
【0010】
そこで本発明の目的は、自発光型のディスプレイの消費電力を低減する画像表示システムを提供することにある。さらに本発明の目的は、自発光型のディスプレイの焼き付きを抑制する画像表示システムを提供することにある。さらに本発明の目的は、ユーザによるディスプレイの使用に影響を与えないようにしながら消費電力の低減および焼き付きの抑制を図る画像表示システムを提供することにある。さらに本発明の目的は、そのような画像表示システムに適用する画像の表示方法およびコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、自発光型のディスプレイに画像データを出力する、電子機器に搭載した画像表示システムを提供する。画像表示システムは、ディスプレイに表示するオリジナル画像の画像データを作成する上位システムと、上位システムの状態を監視してユーザによるディスプレイの利用を妨げない画質許容条件を判断して補正イベントを出力する補正イベント生成部と、補正イベントに応じてオリジナル画像の画素値を低下させた補正画像の画像データを出力する階調補正部と、オリジナル画像に対応する入力画素値と補正画像に対応する出力画素値を関連付けた、階調補正部が参照可能な階調補正情報とを有し、階調補正情報を、少なくとも、入力画素値が所定値以上の高画素領域では出力画素値が入力画素値未満になるように構成している。
【0012】
上記の構成により、画質許容条件が成立したときは、オリジナル画像の画素値を低下させた補正画像を表示することにより消費電力の低減と焼き付きの抑制を図ることができる。画質許容条件は、ユーザのディスプレイの利用を妨げないものにしているため、ユーザにストレスを与えることがない。補正イベントは、上位システムが所定時間プロセッサの使用率が低いシステム・アイドル状態に遷移していると判断したときに出力することができる。
【0013】
補正イベントはまた、上位システムが所定時間ユーザによる入力が発生しないユーザ・アイドル状態に遷移していると判断したときに出力することができる。システム・アイドル状態およびユーザ・アイドル状態では、ユーザがディスプレイを使用していないか、画質を気にしない可能性が高いため、ユーザの利便性を低下させることがない。
【0014】
補正イベントは、オリジナル画像が所定時間変化しないときに出力することができる。所定時間変化のないオリジナル画像は、ユーザにとって有用性が低いと考えることができる。補正イベントはまた、電子機器の揺動を検出する加速度センサの出力から電子機器をユーザが持ち運んでいる判断したときに出力することができる。ユーザが持ち運んでいる間は、ディスプレイを閲覧していない可能性が高い。補正イベントは、カメラが撮影した映像が、所定時間ディスプレイをユーザが使用していないと判断したときに出力することができる。画質の低下を好まない一方で、バッテリィでの動作時間を気にするユーザにおいては、補正イベントを、電子機器がAC電源で動作しているときには出力しないで、バッテリィ駆動のときだけ出力することができる。
【0015】
階調補正情報が、同一の入力画素値に対して異なる出力画素値を関連付けた複数の階調補正情報を含む場合は、階調補正部は複数の階調補正情報のなかから画質許容条件が成立する継続時間が長くなるほど補正画像の画素値を小さくする階調補正情報を選択することができる。継続時間が長いほど、ユーザがディスプレイを使用していない可能性が高く画質の低下を問題にしないと想定できるため、継続時間に応じて階調補正の強度を調整することが合理的である。
【0016】
階調補正情報を、入力画素値が所定値未満の低画素領域では出力画素値が入力画素値以上となるように構成することができる。これによって、低画素領域で発光する発光素子と高画素領域で発光する発光素子の劣化速度の差を小さくして焼き付きを抑制しながら、高画素領域で消費電力の低減を図ることができる。このとき階調補正情報を、低画素領域では曲線で構成し高画素領域では直線で構成したり、低画素領域から高画素領域に渡って逆S字状に構成したりすることができる。
【0017】
階調補正情報を、オリジナル画像の所定の領域ごとに入力画素値を補正するマスキング画像で構成することができる。マスキング画像は、オリジナル画像のバラツキが所定値以上の領域の入力画素値だけを補正するように構成することができる。したがって、バラツキが大きいオブジェクト画像を表示する部分は画質を低下させないようにしながら、背景画像のような画質の低下をさほど問題にしない部分だけ階調調整をすることができる。補正画像は、オリジナル画像の色空間のサイズが所定値未満のときに作成することができる。よって、画質が重要なオリジナル画像は、補正イベントが発生しても画質を維持することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、自発光型のディスプレイの消費電力を低減する画像表示システムを提供することができた。さらに本発明により、自発光型のディスプレイの焼き付きを抑制する画像表示システムを提供することができた。さらに本発明により、ユーザによるディスプレイの使用に影響を与えないようにしながら消費電力の低減および焼き付きの抑制を図る画像表示システムを提供することができた。さらに本発明により、そのような画像表示システムに適用する画像の表示方法およびコンピュータ・プログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】携帯式電子機器の一例としてのラップトップ10の概略の構成を示す機能ブロック図である。
図2】画像表示システム100の構成を示す機能ブロック図である。
図3】階調補正情報を格納するLUT105の一例を説明するための図である。
図4】他の階調補正情報を格納するLUT107の一例を説明するための図である。
図5】補正イベント生成部111が補正イベントを生成する手順を示すフローチャートである。
図6】画像表示システム100の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[電子機器のハードウェア構成]
本発明はデスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット端末、およびスマートフォンなどの自発光型のディスプレイを搭載する電子機器および自発光型のディスプレイに画像データを出力する画像表示システムに適用することができる。図1は、電子機器の一例としてのラップトップ型コンピュータ(ラップトップ)10の概略の構成を示す機能ブロック図である。ディスプレイを搭載するラップトップ10に本発明を適用すると、バッテリィ駆動をする際の消費電力の低減を図ることができるため特に効果的である。
【0021】
CPU11はメモリ・コントローラとPCI Expressコントローラを内蔵しており、システム・メモリ13、GPU15およびチップ・セット19が接続されている。GPU15には自発光型のFPD(Flat Panel Display)の一例としてのOELD17が接続されている。チップ・セット19には、HDD21、カメラ23、加速度センサ25、マイクロフォン27およびエンベデッド・コントローラ(EC)29が接続されている。
【0022】
HDD21は、アプリケーション・プログラム、OS、およびビデオ・ドライバなどを格納する。アプリケーション・プログラムは、図2で説明するメモリ常駐型のパワー・マネジメント109を含む。さらに、アプリケーション・プログラムは、カメラ23、加速度センサ25、およびマイクロフォン27の出力から図2で説明する補正イベントを生成するための処理をする周知のソフトウェアを含む。
【0023】
EC29には、DC/DCコンバータ31、電池ユニット37、充電器35の信号線および入力デバイス33が接続されている。入力デバイス33は、キーボードおよびタッチ・パネルやマウスなどのポインティング・デバイスを含む。EC29は、電力や筐体内部の温度を制御したり、入力デバイス33のインターフェースを提供したりするマイクロ・コントローラである。ラップトップ10には、AC/DCアダプタ39を接続して電池ユニット37の充電およびシステムへの電力供給をすることができる。ラップトップ10は多数の要素で構成されるが、図1は本実施の形態の説明に必要な周知の要素だけを示しているため詳細な説明は省略する。
【0024】
[画像表示システム]
図2は、画像表示システム100の構成を示す機能ブロック図である。画像表示システム100は、図1に示すハードウェアとHDD21が格納するソフトウェアの協働で構成する。画像表示システム100は、上位システム101、階調補正部103、参照テーブル(LUT)105、107、補正イベント生成部111、画像評価部113およびOELD17で構成している。
【0025】
上位システム101は図1に示すハードウェアと、HDD21が格納するアプリケーション・ブログラム、OSおよびデバイス・ドライバを含んでいる。上位システム101は、OSおよびアプリケーション・プログラムが作成したベクター形式の画像データを階調補正部103に出力する。上位システム101が生成した画像データが構成する画像をオリジナル画像ということにする。階調補正部103、補正イベント生成部111および画像評価部113は、アプリケーション・プログラムの一部として本実施の形態で提供するパワー・マネジメント109を含む。階調補正部103は、GPU15、VRAMおよびOSを含んでおり、ベクター形式の画像データからラスタ形式の画像データを作成してVRAMに展開しOELD17に出力する。画像データは、一例において赤、緑、青(RGB)の8ビットのサブ画素をそれぞれ256階調で表現する。
【0026】
階調補正部103は補正イベント生成部111から補正イベントを受け取ったときに、LUT105、107および画像評価部109を参照して画像データの階調を補正する。補正イベント生成部111は、図5で説明する手順で上位システム101の動作状態を監視して、階調補正をするタイミングを判断し階調補正部103に補正イベントまたは解除イベントを出力する。階調補正は画質の低下を伴うために、補正イベント生成部111は、画質の低下が問題にならないと判断したときに補正イベントを生成する。
【0027】
色空間が広いオリジナル画像は、ユーザが精密な色で表現したい画像に相当し、そのようなオリジナル画像に対しては、階調補正をしない方が適切な場合がある。画像評価部113は、色空間におけるオリジナル画像の色空間のサイズ(面積)を取得する。画像評価部113は色空間のサイズを、画像ファイルのメタ情報やGraphics SubsystemやDisplay Subsystemから取得することができる。あるいは画像評価部113は、色空間のサイズをオリジナル画像の三角形の頂点座標から計算することができる。あるいは、画像評価部113は、標準化されたsRGBやAdobe RGBのようなあらかじめ標準化された色空間の種類からサイズを認識することができる。
【0028】
OELD17は、コントローラ17a、ガンマ補正回路17bおよび画素マトリクス17cを含む。画素マトリクス17cは、有機EL素子をマトリクス状に配置した複数の画素で構成している。有機EL素子は、自発光型の発光素子の例示であり、本発明は、PDP(plasma display panel)、FED(Field Emission Display)または無機LED(Inorganic LED)などの他の自発光型のFPDに適用することができる。
【0029】
各画素は、発光層として機能する有機EL素子、画素の選択および有機EL素子に対する供給電流を制御するスイッチ素子(TFT)、およびRGBデータ信号を記憶するキャパシタなどで構成している。1個の画素は、RGBに対応する有機EL素子で構成した3個のサブ画素で構成している。他の例では、1個の画素をWに対応する3個の有機素子とRGBに対応するカラー・フィルターで構成した3個のサブ画素で構成することができる。さらに他の例では、1個の画素を3個のSOLED(Transparent Stacked OLED)で構成することもできる。
【0030】
コントローラ17aは、ファームウェアの実行回路、信号線駆動回路および走査線駆動回路を含む。有機EL素子は、信号線駆動回路から供給された電流で発光する。電流の大きさは画像データに対応するRGBデータ信号に応じて変化する。コントローラ17aは、階調補正部103から画像データ、同期信号、およびクロック信号を受け取って、信号線駆動回路および走査線駆動回路を駆動する制御信号を生成し、所定のタイミングで信号線駆動回路にRGBデータ信号を送る。
【0031】
信号線駆動回路に供給されるRGBデータ信号は、画素値に応じた大きさの駆動電流に変換される。ガンマ補正回路17bは、オリジナル画像の画素値と有機EL素子の輝度の関係が直線に近づくように画素値を補正する。本実施の形態にかかる階調補正部103、画像評価部113、LUT105、107は、コントローラ17aのファームウェアで構成することもできる。
【0032】
[階調補正情報]
上位システム101が作成した画像データは、画素マトリクス17cのサブ画素に設定する画素値の集合としてのオリジナル画像を形成する。OELD17が実装するガンマ補正回路17bは、オリジナル画像の画素値を入力すると、入力した画素値と輝度が比例して自然な明るさで表示できるように画素値を変換する。階調補正部103はそれに加えて、ユーザが好みに応じて明るさやカラー・バランスを補正する周知の画面調整サービスを提供する。このようなサービスは、Windows(登録商標)のようなOSで提供している。ただし、本発明は画面調整サービスを提供しないOSの動作環境にも適用することができる。
【0033】
本実施の形態にかかる階調補正部103は、パワー・マネジメント109が提供する新たな階調補正機能を含む。階調補正部103は、オリジナル画像の画素値を、LUT105またはLUT107を参照して画素値の合計が低下するように変換した補正画像を生成する。階調補正部103は、LUT105、107を利用した本実施の形態にかかる階調補正を実行しないときに、OSが提供する画面調整サービスに戻ることができる。LUT105、107は、それぞれ入力画素値を出力画素値に変換するための複数の階調補正情報を含む。
【0034】
図3は、階調補正情報を格納するLUT105の一例を説明するための図である。図3(A)ないし図3(F)において、横軸は階調補正部103に入力されるオリジナル画像を構成する入力画素値xを示し、縦軸は階調補正部103が出力する補正画像を構成する出力画素値yを示している。階調補正情報は関数形式で保有してもよいが、テーブル形式で保有すると階調補正部103が参照するときのCPU11の負担を軽減できる。直線201は階調補正をしない場合の入力画素値xと出力画素値yの関係を示している。本実施の形態にかかる階調補正をしない場合はオリジナル画像の画素値と補正画像の画素値が一致するが、OSの画面調整サービスを適用することで画素値が補正されることになる。
【0035】
LUT105、107が格納する階調補正情報の第1の特徴は、補正画像の画素値の合計をオリジナル画像に比べて小さくする点にある。その結果、OELD17の消費電力を低減するとともに、全体的な有機EL素子の劣化速度を低下させて焼きつきを抑制することができる。階調補正情報の第2の特徴は、補正画像を表示する画素マトリクス17cの有機EL素子の輝度の差、すなわち劣化速度の差がオリジナル画像に比べて小さくできる点にある。その結果、全体的に画素値を低下させるよりも積極的に焼き付きを抑制することができる。第3の特徴は階調補正情報が第1の特徴と第2の特徴を同時に含む点にある。ただし階調補正情報は、第1の特徴と第2の特徴の、いずれか一方だけを含んでいてもよい。
【0036】
図3(A)〜図3(F)は、それぞれ異なる補正プロファイル203〜213を例示している。各補正プロファイル203〜213は、同一の入力画素値に対して異なる出力画素値を関連付けた複数のラインとして示した階調補正情報を含む。階調補正情報が矢印の方向に向かうに従って階調補正の強度が大きくなり、補正画像の画素値の合計は一層低下する。図3(A)に示す補正プロファイル203では、階調補正情報を直線201の傾きを変えないようにしながら右にシフトさせて作成している。
【0037】
階調補正情報203aは、入力画素値がx1未満の範囲(低画素領域)では出力画素値yがゼロになり、出力画素値yは最大値255より小さいy1未満の範囲となる。階調補正情報203aで階調補正をすると、入力画素値xの全体にわたって出力画素値yが直線201から一定値だけ減算される。シフト量を多くするほど減算値が大きくなり一層消費電力を低減することができるが、他方で低画素領域における画質の低下が顕著になる。
【0038】
図3(B)に示す補正プロファイル205では、階調補正情報を直線201の原点の位置を変えないようにしながら傾きが小さくなるように作成している。階調補正情報205aは、低画素領域でも出力画素値yがゼロにならないためある程度の画質を維持することができる。階調補正情報205aで補正すると、入力画素値xが大きくなるほど出力画素値yが直線201から減算される量が増加する。階調補正情報205aは低画素領域でも出力画素値yが存在するため階調補正情報203aに比べて黒基調の画像の画質の低下が小さく、さらに、傾きを小さくするほど減算値が大きくなり一層消費電力を低減することができる。
【0039】
図3(C)に示す補正プロファイル207は、階調補正情報を、低画素領域では直線201に一致する直線で作成し、入力画素値xがx1以上の範囲(高画素領域)では直線201よりも傾きが小さい複数の直線で作成している。図3(D)に示す補正プロファイル209は、階調補正情報を、低画素領域では出力画素値yが直線201より大きい曲線で作成し、高画素領域では直線201よりも傾きが小さい複数の直線で作成している。
【0040】
低画素領域で点灯する有機EL素子は消費電力の問題が小さい一方で、劣化速度が遅くなるため高画素領域で点灯する有機EL素子との劣化量の差、すなわち焼き付きの問題が大きくなる。たとえば、黒のオブジェクト画像の周囲に白の背景画像が存在するときは、黒の画素と白の画素の間に発生する輝度劣化の差が大きくなって焼き付きが発生するため、消費電力の低減よりも劣化速度を均等化させる方向に画素値を補正した方が有利になる。
【0041】
階調補正情報207、209で階調補正をすると、いずれも消費電力の低下にさほど寄与しない低画素領域では出力画素値yを直線201以上にして輝度の劣化量を多くし、消費電力の低下に大きく寄与する高画素領域では直線201未満にして、消費電力の低減を図りながら焼き付きを抑制することができる。低画素領域と高画素領域の境界を定める入力画素値x1は、一例で画素値の最大値の5%〜30%の範囲で定めることができる。
【0042】
ユーザは焼き付きの抑制を重視する場合は、入力画素値x1を大きく設定し、消費電力の低減を重視する場合は入力画素値x1を小さく設定することができる。また、階調補正情報を関数で保有する場合には、入力画素値x1をオリジナル画像の画素値の分布を示すヒストグラムからダイナミックに決めるようにしてもよい。たとえば、入力画素値x1をオリジナル画像のヒストグラムから計算した中間値または平均値と最小値の間の所定の位置に設定するようにしてもよい。入力画素値x1をオリジナル画像の画素値の統計量から決めるとオリジナル画像ごとに効果的に焼き付きの抑制と消費電力の低減を調和させることができる。
【0043】
図3(E)に示す補正プロファイル211は、2つの変曲点を備えた逆S字となるように構成している。階調補正情報211aは、低画素領域ではライン201より大きく高画素領域ではライン201よりも小さい。補正プロファイル211は、低画素領域では補正プロファイル209と同じ効果を与えるが、高画素領域では一層出力画素値yを小さくすることができるため、白基調のオリジナル画像に適用すると消費電力の低減に効果的である。図3(F)に示す補正プロファイル213は、いわゆるガンマ補正といわれる階調補正情報に相当する。ガンマ補正の特徴を備えた階調補正情報213aも本発明の適用の範囲となる。
【0044】
図3に示した補正プロファイル203ないし213は、本発明を説明するための一例であり、当業者が周知技術に基づいて容易に想起できる階調補正情報はすべて本発明の範囲に含む。ユーザはあらかじめ所定のオリジナル画像に補正プロファイル203〜213を適用して、階調補正部103に好みの補正プロファイルを登録することができる。
【0045】
階調補正部103は、オリジナル画像の画素値の分布にもとづいて、補正プロファイルおよび階調補正情報を選択することができる。たとえば、白基調のオリジナル画像では補正プロファイル211を選択し、消費電力の低減を効果的に行うようにすることができる。このとき、オリジナル画像の画素値の合計が大きいほど強い階調補正をする階調補正情報を選択することができる。また、黒基調のオリジナル画像では、補正プロファイル209を選択することで、低画素領域の画質の低下を抑制しながら焼き付きの抑制を図ることができる。
【0046】
図4は、他の階調補正情報を格納するLUT107の一例を説明するための図である。図4(A)は、OELD17が表示する特定のオリジナル画像300を示している。オリジナル画像300は背景画像301が白で、オブジェクト画像301a〜301cが文字、図形、模様などを表示している。オリジナル画像300は、面積の広い背景画像301が白いため消費電力が大きくまた長時間表示するとオブジェクト画像300a〜300cを表示する有機EL素子との間に焼き付きが発生する。
【0047】
階調補正部103は、図4(B)に示すように画面を複数のセル351に分割して、各セル351がオブジェクト画像301a〜301cを含むか否かを判断する。判断方法の一例では、各セル351について、入力画素値xの統計量から標準偏差または分散を計算してバラツキを評価する。バラツキが所定値より大きいセルは何らかのオブジェクト画像を表示していると推定し、バラツキが所定値より小さいセルは背景画像301や有用性の低い画像を表示していると推定する。
【0048】
図4(A)、(B)において、背景画像301を表示するセル351はバラツキが小さく、オブジェクト画像301a〜301cを表示するセル351はバラツキが大きくなる。階調補正部103は、バラツキの大きいセルは階調補正をしないか弱い階調補正をし、バラツキの小さいセルは当該セルの画素値の平均値の大きさに応じて補正量を決めて階調補正をするようなマスキング画像371(図4(C))を生成する。
【0049】
マスキング画像371は、セル351ごとに同一の補正量を与える階調補正情報に相当する。マスキング画像371は、オブジェクト画像301a〜301cを表示するセル群351aに対しては補正量をゼロにしている。また、背景画像301を表示するセル群351bに対しては各セルの画素値の平均値に応じて減算値または加算値を補正量として設定することができる。バラツキの小さいセルにおいて、画素値の平均値が所定値よりも小さい黒基調の画像を表示するときは加算値を設定し、画素値の平均値が所定値よりも大きい白基調の画像を表示するときは減算値を設定することができる。
【0050】
減算値は平均値が大きいほど大きくなるように設定することができる。各セルに設定した補正量は、当該セルを構成するすべてのサブ画素の入力画素値に対して同一の加算値または減算値として適用される。その結果、オブジェクト画像301a〜301cの領域では画質を維持することができる。また、白基調の背景画像301に対しては補正画像の画素値を低下させて消費電力を低減し、黒基調の背景画像301に対しては補正画像の画素値を増加させて焼き付きの抑制を図ることができる。
【0051】
階調補正部103は、発生頻度の高い所定のオリジナル画像に対してあらかじめマスキング画像371を作成してLUT107に格納することができる。階調補正部103は階調補正情報371を、オリジナル画像の識別子に関連付けてLUT107に格納しておくことで、補正イベントがあったときに適用するマスキング画像371を選択することができる。階調補正部103はまた、補正イベント生成部111から補正イベントを受け取ったときに、その都度バラツキを計算してその時点で表示していたオリジナル画像に適用するマスキング画像371を作成することができる。
【0052】
[補正イベント]
つぎに補正イベント生成部111が補正イベントおよび解除イベントを生成する手順を図5のフローチャートに基づいて説明する。補正イベントは上位システム101の状態を監視した補正イベント生成部111が、階調補正をしてもユーザにストレスを与えることがないか、ストレスを与える可能性が小さいために焼き付きの抑制および消費電力の低減を図った方が有利であると判断したときに生成する。
【0053】
ブロック401で上位システム101が動作して画像表示システム100が構築されている。ブロック403で補正イベント生成部111は、システム・アイドルの継続時間を計時する。システム・アイドルは、一例でOSが提供するCPU11の使用率が所定値未満の状態として定義することができる。他の例ではシステム・アイドルをCPU11が所定の深度のスリープ・ステートCxに入っている状態として定義することができる。システム・アイドル状態が所定時間以上継続しているときはブロック413に移行し、システム・アイドル状態と判断できないときはブロック405に移行する。
【0054】
ブロック405で補正イベント生成部111は、ユーザ・アイドルの継続時間を計時する。ユーザ・アイドルは、入力デバイス33またはマイクロフォン27からのユーザ入力に対応する入力イベントをOSが検出しない状態として定義することができる。ユーザ・アイドル状態が所定時間以上継続しているときはブロック413に移行し、ユーザ・アイドル状態と判断できないときはブロック407に移行する。
【0055】
ブロック407で補正イベント生成部111は、上位システム101が階調補正部103に出力する画像データの変化を観察する。画像データが所定時間以上変化しない状態、すなわち、OELD17に同じ画像が表示され続けている状態のときはブロック413に移行し、画像が変化していないと判断できないときはブロック409に移行する。ブロック409で補正イベント生成部111は、上位システム101から加速度センサ25の出力を受け取る。
【0056】
ユーザはスリープ状態からのレジュームが煩わしいため、オフィスから会議室まで移動するときにラップトップ10のディスプレイ筐体を閉じないで画面を表示し続けることがある。あるいはタブレット・モードでも使用できるラップトップ10の場合は、画面を表示させたまま持ち運ぶことが多い。補正イベント生成部111は、加速度センサ25の出力から、ユーザがラップトップ10を保持しながら歩行している状態を判断する。歩行しているときにOELD17が表示する画像は、ユーザが見ていないか、見ていても画質に対する期待感が低いと想定することができる。
【0057】
振動の大きさおよび周波数のパターンからユーザが所定時間歩行していると判断したときはブロック413に移行し、歩行していると判断できないときはブロック411に移行する。ブロック411で補正イベント生成部111は、上位システム101からカメラ23が検出する映像に基づくユーザの顔の存在または視線の位置に関する情報を取得する。補正イベント生成部111は、所定時間OELD17に向かうユーザの顔が存在しないとき、または、顔は存在しても視線が画面以外を向いていると判断したときはブロック413に移行し、いずれとも判断できないときはブロック403に戻る。
【0058】
ユーザはバッテリィ駆動のときだけ階調補正をしたい場合がある。ブロック413で補正イベント生成部111は、AC/DCアダプタ39の接続状態を判断する。AC/DCアダプタ39が接続されているときはブロック403に戻りバッテリィ駆動のときはブロック415に移行する。ブロック403〜411の判断は、消費電力の低減および焼き付きの抑制を図るために画質の低下というユーザにとってネガティブな状態を許容する画質許容条件に相当する。画質許容条件は、一旦成立してもその後成立しなくなる場合がある。たとえばブロック403では、CPU使用率がシステム・アイドルとして定義した値よりも増加する状態が所定時間継続することがある。
【0059】
あるいは、ブロック407で画像データが変化しないと判断したあとに、画像データが変化する場合もある。補正イベント生成部111はブロック415で、画質許容条件が解除されたと判断したときにブロック419に移行して解除イベントを出力する。一旦成立した画質許容条件を解除するための経過時間などの条件は、それぞれの画質許容条件の特徴に応じて定めることができる。補正イベント生成部111はブロック417で、原因となるブロック403〜411に対応する識別子と継続時間を含む補正イベントを出力する。
【0060】
補正イベント生成部111は、特定の画質許容条件が持続するときに、その継続時間を所定のインターバールで検知して追加の補正イベントを出力することができる。たとえば、ブロック403でシステム・アイドル状態が継続するときに、所定の継続時間ごとにより強い階調補正をするための補正イベントを生成することができる。ブロック403〜411として示した画質許容条件の判断はすべて採用する必要はなく、また、順番も例示したものに限定する必要はない。さらに補正イベント生成部111は、ブロック403〜411のなかから選択した複数の画質許容条件が同時に成立したときだけ補正イベントを出力するようにしてもよい。
【0061】
[画像表示システムの動作]
図6は画像表示システム100の動作手順を示すフローチャートである。ブロック501でパワー・マネジメント109をOSのタスクスケジューラにアイドル・タスクとして登録する。他の例では、パワー・マネジメント109を所定の周期で実行するようにタスクスケジューラに登録することができる。階調補正部103は、OSが提供する画面調整サービスを利用して階調補正をしている。
【0062】
ブロック503でタスクスケジューラのアイドル条件が成立するとパワー・マネジメント109が実行され、ラップトップ10に画像表示システム100が構築される。画像評価部113は、オリジナル画像が変化するたびに色空間を取得する。ブロック505で補正イベント生成部111が補正イベントを出力したときはブロック507に移行する。ブロック507で階調補正部103は、補正イベントの種類を認識する。補正イベントの種類には、継続時間を示す識別子も含む。ブロック509で階調補正部103は、画像評価部113からオリジナル画像の色空間のサイズを取得し所定値よりも大きいときは階調調整をしないほうがよいと判断してブロック505に戻る。
【0063】
ブロック511で、階調補正部103は、補正イベントの種類およびオリジナル画像の識別子に基づいて、LUT105、107のなかから適切な階調補正情報を選択する。たとえば、階調補正部103は、オリジナル画像の識別子がLUT107に登録した階調補正情報371の識別子に合致する場合は、LUT107から対応するマスキング画像371を取得する。
【0064】
オリジナル画像に対応するマスキング画像371が存在しない場合は、LUT105に登録しておいた補正プロファイル203〜213のいずれかを選択することができる。補正プロファイル203〜213は、ユーザがディフォルトで設定したものを採用することができる。あるいは、補正プロファイル203〜213は、オリジナル画像の統計量に基づいて選択することができる。
【0065】
階調補正部103は、選択した補正プロファイル203〜213のなかで、補正イベントの種類に応じた強度の階調補正情報を取得する。たとえば階調補正部103は、補正プロファイル207〜211のいずれかを選択して、画質許容条件の継続時間が長いほど同一の入力画素値xに対して高画素領域での出力画素値yが小さくなる階調補正情報を取得する。
【0066】
ブロック513で階調補正部103は、取得した階調補正情報でオリジナル画像を階調補正して作成した補正画像をOELD17に出力する。ブロック515でアイドル状態が終了すると、ブロック517で階調補正部103はOSの画面調整サービスを復帰させ画像表示システム100を終了させてからブロック503に戻る。ブロック519で補正イベント生成部111が解除イベントを出力したときは、ブロック521で階調補正部103は階調補正を終了し、OSの画面調整サービスを復帰させてからブロック505に戻る。
【0067】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0068】
17 有機ELディスプレイ(OELD)
100 画像表示システム
105、107 参照テーブル(LUT)
109 パワー・パネジメント
203〜213 補正プロファイル
203a〜213a 階調補正情報
300 オリジナル画像
301 背景画像
301a〜301c オブジェクト画像
351 セル
371 マスキング画像(階調補正情報)
図1
図2
図3
図4
図5
図6