【文献】
GOPAKUMAR T.G,POLYMER,英国,ELSEVIER SCIENCE PUBLISHERS B.V.,1999年 1月 1日,V40 N2,P357-364
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ中の液晶ポリマー対ポリアリーレンスルフィドの比が、5:1〜1:5である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0023]本開示は、一般にポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ、ポリアリー
レンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物、及びポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを形成する方法に関する。
【0015】
[0024]一般に、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイは、反応的に官能基化
されたジスルフィド化合物及びポリアリーレンスルフィドと液晶ポリマーとを混和することを含むプロセスに従って形成することができる。より具体的には、そして特定の理論に限定されるつもりはないが、溶融加工の間、反応的に官能基化されたジスルフィド化合物は、溶血反応(hemolytic reaction)に従ってポリアリーレンスルフィドと反応することができ、それによってポリアリーレンスルフィドの鎖を切断し、反応的に官能基化されたジスルフィド化合物の反応性部分でポリアリーレンスルフィドをエンドキャップすると考えられる。エンドキャップされた反応性ポリアリーレンスルフィド(end capped reactive polyarylene sulfide)はエステル交換反応に従って液晶ポリマーと反応することができ、
その生成物は、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイの形成の間にその場で形
成しえるポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーコポリマーであり、且つポリアリーレ
ンスルフィド/液晶ポリマーアロイ中の相溶化剤である。一般に、反応的に官能基化され
たジスルフィド化合物は、ポリアリーレンスルフィドの一部とのみ反応するために化学量論量で溶融加工プロセスに添加され、従ってポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーア
ロイは、コポリマーである相溶化剤並びに、互いに共重合しなかったポリアリーレンスルフィドと液晶ポリマーを含みうる。一態様において、相溶化剤は、液晶ポリマーとポリアリーレンスルフィドとを溶融加工する間に形成することができるので、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイは、比較的簡単な一または二段階溶融加工プロセスで形成
することができる。
【0016】
[0025]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを形成する間に相溶化剤を現場
形成すると、(単数または複数種類の)ポリアリーレンスルフィドと(単数または複数種類
の)液晶ポリマーとの任意の組み合わせに関して具体的に設計される相溶化剤を提供する
簡単な経路を提供することができる。より具体的には、現場形成法は自動的に、相溶化剤が、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ中に含まれるべきである一緒に共重
合されたポリアリーレンスルフィドのユニットと液晶ポリマーのユニットとを確実に含むようにする。既に公知の技術では、どの具体的なポリアリーレンスルフィドとどの具体的な液晶ポリマーとがアロイ中で混和されるべきであるかを知って、そしてこれらの材料に対して特異的である相溶化剤を別に形成する必要があった。そのような系では、アロイのポリマーのうち一つが変わったら、相溶化剤をアロイのポリマーと理想的に適合させるために、相溶化剤の形成も変える必要があるだろう。本開示の方法では、相溶化剤を現場形成すると、プロセスに添加された特定のポリアリーレンスルフィドと液晶ポリマーのコポリマーユニットセグメントとして含むポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーコポリマ
ーを必然的に形成するので、この別の段階が必要ではない。
【0017】
[0026]一態様において、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを形成するの
に使用される溶融加工技術は、単一の溶融加工プロセスでポリアリーレンスルフィド/液
晶ポリマーアロイを含む組成物を形成するために、他の添加剤の添加も含むことができる。
【0018】
[0027]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイの溶融加工及び形成の間に、反
応的に官能基化されたジスルフィド化合物とポリアリーレンスルフィドとを混和すると、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイの全体の溶融粘度を下げることができる
と考えられる。従って、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物は
、組成物の加工性を改善しえる比較的低い溶融粘度をもつことができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物は、1200s
-1の剪断速度及び310
℃の温度でISO試験No.11443に従って測定して、約1500ポアズ未満、約1000ポアズ未満、
約500ポアズ未満、または約400ポアズ未満の溶融粘度を有しえる。
【0019】
[0028]一態様において、ポリアリーレンスルフィドは、高分子量、低塩素含有量のポリアリーレンスルフィドでありえ、得られたポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロ
イ並びにポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物は、比較的低い溶
融粘度及び良好な加工性を示すことができるだけでなく、低塩素含有量でもありえる。たとえば、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ及び/またはポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物は、約1000ppm未満、約900ppm未満、約600ppm未満、または400ppm未満の塩素含有量を有しうる。一態様において、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物は、国際電気標準会議基準(International Electrochemical Commission standard)61249-2-21に従ってハロゲンフリーでありえる。
【0020】
[0029]さらに、溶融加工したポリアリーレンスルフィド組成物は、均質組成物でありえ、且つ優れた機械的特性を示すことができる。特定の理論に限定されるつもりはないが、相溶化剤の現場形成プロセスにより、改善された混和性(miscibility)を備えたポリアリ
ーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイとなることができ、この改善された混和性により
、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物が改善された機械的特性
となりうると考えられる。
【0021】
[0030]たとえば、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物は、試
験温度23℃及び5mm/分の試験速度で、ISO試験No.527(ASTM D638と技術的に同等)に従って測定して、約30MPaを超える、約32MPaを超える、または約35MPaを超えるウエルドライン
引張強さ(weldline tensile strength)をもつことができる。一態様において、ポリアリ
ーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物のウエルドライン引張強さは、相溶
化剤を含まず且つ単なるポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーブレンドである同様の
組成物と比較して、約30%を超え、または約35%を超える分だけ改善する(improve by)ことができる。
【0022】
[0031]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物は、所望の外観を
持つことができる。たとえば、ポリアリーレン/液晶ポリマーアロイを含む組成物は、光
沢度計(gloss meter)を使用して測定して、約60を超え、約65を超え、または約70を超え
る表面光沢度を有することができる。
【0023】
[0032]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物は、ISO試験No.180/1Uに従って測定して良好なIzodノッチなし衝撃強さ(Izod unnotched impact strength(
ノッチなしIzod:Unnotched Izod))並びに、ISO試験No.180/1Aに従って測定して良好なIzodノッチ付き衝撃強さ(Izod notched impact strength(ノッチ付きIzod:Notched Izod))をもつことができる。たとえば、溶融加工したポリアリーレンスルフィド組成物のIzodノッチなし衝撃強さは、23℃で測定して19kJ/m
2を超え、約23kJ/m
2を超え、または約25kJ/m
2を超えることができる。溶融加工したポリアリーレンスルフィド組成物のIzodノッチ付
き衝撃強さは、23℃で測定して約10kJ/m
2を超え、または約15kJ/m
2を超えることができる。たとえば、Izodノッチ付き衝撃強さは、相溶化剤を含まず、且つ単にポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーブレンドである同様の組成物と比較して、約40%を超え、または約45%を超える分だけ改善することができる。
【0024】
[0033]ポリアリーレンスルフィド/液晶アロイのポリアリーレンスルフィド相は、低い
結晶化温度及び低い結晶化熱(low heat of crystallization)、並びに高度な過冷却(a high degree of supercooling)を示すことができ、このことは、相溶化剤が存在すると、ポリアリーレンスルフィドの結晶化を遅らせうることを示すのかもしれない。このことは、アロイ中のポリアリーレンスルフィドと液晶ポリマーとの改善された相溶性(compatibility)をよく示している。たとえば、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイのポリアリーレンスルフィド相の再結晶化温度は、示差走査熱量計を使用して測定して、約225
℃未満、または約220℃未満でありえる。ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイのポリアリーレン相は、示差走査熱量計を使用して測定して、約50℃超える、約55℃を超える、または約60℃を超える過冷却度(degree of supercooling)(平衡融解温度(equilibrium melting temperature)、T
mと結晶化温度、T
cとの差として定義される)をもつことが
できる。
【0025】
[0034]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイは、良好な難燃性ももつことが
できる。たとえば、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイは、アンダーライタ
ーズ・ラボラトリーズ(UNDERWRITERS LABORATORIES、INC,ノースブック、III)により公
開されたように、0.2ミリメートルの厚さでV-0燃焼性規格(flammability standard)を満
たすことができる。
【0026】
[0035]すでに記載したように、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイは、液
晶ポリマーと共に、ポリアリーレンスルフィド及び反応的に官能基化されたジスルフィド化合物の溶融加工を含むプロセスに従って形成することができる。
【0027】
[0036]一般に、ポリアリーレンスルフィドは、式(I):
【0029】
{式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4は同一または異なり、6〜18個の炭素原子のアリーレン
ユニットであり;W、X、Y、及びZは同一または異なり、−SO
2−、−S−、−SO−、−CO−、−O−、−COO−または、1〜6個の炭素原子のアルキレン若しくはアルキリデン基から選択される二価の結合基(linking group)であり、ここで前記結合基の少なくとも一つは−S−であり;n、m、i、j、k、l、o、及びpは独立してゼロまたは1、2、3、または4であり、但し、その合計は2以上である}の繰り返しユニットを含むポリアリーレンチオエーテル
でありえる。アリーレンユニットAr
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4は、選択的に置換または非置換でありえる。好都合なアリーレン系は、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセン及びフェナントレンである。ポリアリーレンスルフィドは典型的には、約30mol%を超え、約50mol%を超え、または約70mol%を超えるアリーレンスルフィド(−S−)ユニット
を含む。一態様において、ポリアリーレンスルフィドは、少なくとも85mol%の、二つの芳香環に直接結合したスルフィド結合を含む。
【0030】
[0037]一態様において、ポリアリーレンスルフィドは、その成分としてフェニレンスルフィド構造−(C
6H
4−S)
n−(式中、nは1以上の整数である)を含むものとして、本明細書中で定義されるポリフェニレンスルフィドである。
【0031】
[0038]ポリアリーレンスルフィドは、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ
を形成する前に合成することができるが、これはプロセスの必要条件ではない。たとえばティコナ・オブ・フローレンス(Ticona of Florence、Kentucky、USA)より入手可能なFortron(フォートロン)(登録商標)ポリフェニレンスルフィドは、購入することができ、ポリアリーレンスルフィドとして使用することができる。
【0032】
[0039]ポリアリーレンスルフィドを製造する際に使用しえる合成技術は、一般に当業界で公知である。たとえば、ポリアリーレンスルフィドを製造するプロセスは、有機アミド溶媒中でアルカリ金属の硫化物などの水硫化物イオン(hydrosulfide ion)を提供する材料と、ジハロ芳香族化合物(dihaloaromatic compound)とを反応させることを含みえる。
【0033】
[0040]アルカリ金属の硫化物は、たとえば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムまたはその混合物でありえる。アルカリ金属の硫化物が水和物または水性混合物(aqueous mixture)である場合、アルカリ金属の硫化物は、重
合反応より前に脱水操作に従って処理することができる。アルカリ金属の硫化物は、現場生成することもできる。さらに少量のアルカリ金属の水酸化物を反応に含めて、アルカリ金属の硫化物と共に少量で存在するかもしれない、アルカリ金属ポリスルフィド(alkali metal polysulfide)またはチオ硫酸アルカリ金属(alkali metal thiosulfate)などの不純物を除去または反応させる(たとえば、そのような不純物を無害の物質に変える)ことができる。
【0034】
[0041]ジハロ芳香族化合物は、これらに限定されないが、o-ジハロベンゼン、m-ジハロベンゼン、p-ジハロベンゼン、ジハロトルエン、ジハロナフタレン、メトキシ-ジハロベ
ンゼン、ジハロビフェニル、ジハロ安息香酸、ジハロジフェニルエーテル、ジハロジフェニルスルホン、ジハロジフェニルスルホキシドまたはジハロジフェニルケトンでありえる。ジハロ芳香族化合物は、単独でまたはそれらの任意の組み合わせで使用することができる。具体的な代表例のジハロ芳香族化合物としては、これらに限定されないが、p-ジクロロベンゼン;m-ジクロロベンゼン;o-ジクロロベンゼン;2,5-ジクロロトルエン;1,4-ジブロモベンゼン;1,4-ジクロロナフタレン;1-メトキシ-2,5-ジクロロベンゼン;4,4'-ジ
クロロビフェニル;3,5-ジクロロ安息香酸;4,4'-ジクロロジフェニルエーテル;4,4'-ジクロロジフェニルスルホン;4,4'-ジクロロジフェニルスルホキシド;及び4,4'-ジクロロジフェニルケトンを挙げることができる。
【0035】
[0042]ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素でありえ、同一ジハロ-芳香
族化合物中の二つのハロゲン原子は同一または互いに異なっていてもよい。一態様において、o-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベンゼンまたはこれらの二つ以上の化合物の混合物をジハロ-芳香族化合物として使用する。
【0036】
[0043]当業界で公知のように、ポリアリーレンスルフィドの末端基(end group)を形成
するか、重合反応及び/またはポリアリーレンスルフィドの分子量を調整するために、ジ
ハロ芳香族化合物と組み合わせてモノハロ化合物(monohalo compound)(必ずしも芳香族化合物ではない)を使用することも可能である。
【0037】
[0044]ポリアリーレンスルフィドは、ホモポリマーでありえ、またはコポリマーでありえる。ジハロ芳香族化合物の好適な、選択的な組み合わせにより、ポリアリーレンスルフィドコポリマーは、二つ以上の異なるユニットを含んで形成することができる。たとえばp-ジクロロベンゼンをm-ジクロロベンゼンまたは4,4'-ジクロロジフェニルスルホンと組
み合わせて使用する場合、ポリアリーレンスルフィドコポリマーは、式(II):
【0039】
の構造をもつセグメントと、式(III):
【0041】
の構造をもつセグメント、または式(IV):
【0043】
の構造をもつセグメントを含んで形成することができる。
【0044】
[0045]一般に、充填されたアルカリ金属の硫化物の有効量1モルあたりの(単数または複数種類の)ジハロ芳香族化合物の量は、1.0〜2.0モル、1.05〜2.0モル、または1.1〜1.7モルでありえる。従って、ポリアリーレンスルフィドは、ハロゲン化アルキル(通常、塩化
アルキル)末端基を含むことができる。
【0045】
[0046]ポリアリーレンスルフィドを製造するプロセスは、有機アミド溶媒中で重合反応を実施することを含みえる。重合反応で使用される代表的な有機アミド溶媒としては、これらに限定されないが、N-メチル-2-ピロリドン;N-エチル-2-ピロリドン;N,N-ジメチルホルムアミド;N,N-ジメチルアセトアミド;N-メチルカプロラクタム;テトラメチルウレア;ジメチルイミダゾリジノン;ヘキサメチルリン酸トリアミド及びこれらの混合物を挙げることができる。反応中で使用される有機アミド溶媒の量は、アルカリ金属の硫化物の有効量1モルあたり0.2〜5キログラム(kg/mol)でありえる。
【0046】
[0047]重合は、段階的重合プロセスにより実施することができる。第一の重合段階は、ジハロ芳香族化合物を反応器に導入する、及び約180℃〜約235℃、または約200℃〜約230℃の温度で水の存在下、重合反応に前記ジハロ芳香族化合物を暴露する、及びジハロ芳香族化合物の転換速度(conversion rate)が理論的必要量の約50モル%以上に到達するまで
重合を継続することを含みえる。
【0047】
[0048]第一の重合段階を実施するとき、通常、水を含むアルカリ金属の硫化物は、有機アミド溶媒中に充填することができ、この混合物を加熱して、反応系から過剰な水を蒸留することができる。そのとき、アルカリ金属の硫化物の一部は分解して、アルカリと硫化水素(H
2S)とを形成する。H
2Sの生成量から、充填したアルカリ金属の硫化物の有効量を計算する。その後、充填したアルカリ金属の硫化物の有効量から計算した量でジハロ芳香族化合物を反応系に充填することができ、混合物を不活性雰囲気中、約180℃〜約235℃の温度に加熱して、重合反応を起こすことができる。
【0048】
[0049]第一の重合反応の終結は、反応系のジハロ芳香族化合物の転換速度が、理論転換率の約50モル%以上、約70モル%以上、または約90モル%以上に到達する点である。ジハロ
芳香族化合物の理論転換率は、以下の式の一つから計算することができる。
【0049】
(a)ジハロ芳香族化合物(以後、DHAという)をアルカリ金属の硫化物の(モル比で)過剰量で添加した場合:
【0053】
{式中、Xは充填したジハロ芳香族化合物の量であり;Yはジハロ芳香族化合物の残りの量であり、Zはジハロ芳香族化合物の過剰量(モル)である}。
【0054】
[0050]第二の重合段階では、重合系中の水の総量が、充填したアルカリ金属の硫化物の有効量1モルあたり、約7モル、または約5モルに増加するように、水を反応スラリーに添加する。その後、重合系の反応混合物を約250℃〜約290℃、約255℃〜約280℃、または約260℃〜約270℃の温度に加熱することができ、このようにして形成したポリマーの溶融粘度がポリアリーレンスルフィドの所望の最終レベルに上昇するまで、重合を継続することができる。第二の重合段階の持続時間は、たとえば約0.5〜約20時間、または約1〜約10時
間でありえる。
【0055】
[0051]ポリアリーレンスルフィドは、線状、半線状(semi-linear)、分岐または架橋で
ありえる。線状ポリアリーレンスルフィドは、−(Ar−S)−の繰り返しユニットを主な構
成ユニットとして含む。通常、線状ポリアリーレンスルフィドは、この繰り返しユニット約80モル%以上を含むことができる。線状ポリアリーレンスルフィドは、少量の分岐ユニ
ットまたは架橋ユニットを含むことができるが、分岐または架橋ユニットの量はポリアリーレンスルフィドの総モノマーユニットの約1モル%未満でありえる。線状ポリアリーレンスルフィドポリマーは、上記繰り返しユニットを含むランダムコポリマーまたはブロックコポリマーでありえる。
【0056】
[0052]3つ以上の反応性官能基(reactive functional group)をもつ一つ以上のモノマーを少量、ポリマーに導入することにより提供される架橋構造または分岐構造をもちうる半線状ポリアリーレンスルフィドを使用することができる。たとえば、ポリマーの約1モル%〜約10モル%は、三つ以上の反応性官能基をもつモノマーから形成することができる。半線状ポリアリーレンスルフィドを製造する際に使用することができる方法は、通常、当業界で公知である。たとえば、半線状ポリアリーレンスルフィドを形成する際に使用されるモノマー成分は、分岐ポリマーを製造する際に使用することができるモノマー当たり2
つ以上のハロゲン置換基をもつ所定量(an amount)のポリハロ芳香族化合物(polyhaloaromatic compound)を含むことができる。そのようなモノマーは、式:R'X
n{式中、Xはそれ
ぞれ、塩素、臭素、及びヨウ素から選択され、nは3〜6の整数であり、R'は、約4個以下のメチル置換基をもつことができる価数nの多価芳香族基であり、R'中の炭素原子の総数は
、6〜約16の範囲内である}により表すことができる。半線状ポリアリーレンスルフィド
を形成する際に使用することができる1分子あたり2を超える置換ハロゲン(more than two halogens substituted per molecule)をもつ多価芳香族化合物の例としては、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,3-ジクロロ-5-ブロモベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、1,2,3,5-テトラブロモベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、1,3,5-
トリクロロ-2,4,6-トリメチルベンゼン、2,2',4,4'-テトラクロロビフェニル、2,2',5,5'-テトラ-ヨードビフェニル、2,2',6,6'-テトラブロモ-3,3',5,5'-テトラメチルビフェニ
ル、1,2,3,4-テトラクロロナフタレン、1,2,4-トリブロモ-6-メチルナフタレンなど、及
びこれらの混合物が挙げられる。
【0057】
[0053]重合の後、ポリアリーレンスルフィドは液体媒体で洗浄することができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィドは、混合物を形成しながら、他の成分と混和する前に、水、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン、食塩水(salt solution)、及び/または酢酸また
は塩酸などの酸性媒体で洗浄することができる。ポリアリーレンスルフィドは、通常、当業者に公知の逐次的方法で洗浄することができる。酸性溶液または食塩水で洗浄すると、ナトリウム、リチウムまたはカルシウム金属イオン末端基濃度を約2000ppmから約100ppm
に削減することができる。
【0058】
[0054]ポリアリーレンスルフィドは、温水(hot water)洗浄プロセスにかけることがで
きる。温水洗浄液の温度は、約100℃以上でありえ、たとえば約120℃を超え、約150℃を
超え、または約170℃超える。通常、温水洗浄用には蒸留水または脱イオン水を使用する
ことができる。一態様において、温水洗浄は、所定量の(predetermined amount)のポリアリーレンスルフィドを所定量の水に添加する、及び圧力容器中で攪拌しながらこの混合物を加熱することによって実施することができる。たとえば、水1リットル当たり約200グ
ラム以下のポリアリーレンスルフィドの浴比を使用することができる。温水洗浄後、ポリアリーレンスルフィドは、約10℃〜約100℃の温度に保持された暖水(warm water)で数回
洗浄することができる。ポリマーの劣化を回避するために、洗浄は不活性雰囲気中で実施することができる。
【0059】
[0055]ポリアリーレンスルフィドを分解しない有機溶媒を洗浄用に使用することができる。有機溶媒としては、これらに限定されないが、窒素含有極性溶媒、たとえばN-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルアミド、及びピペラジノン;スルホキシド及びスルホン溶媒、たとえばジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、及びスルホラン;ケトン溶媒、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン及びアセトフェノン、エーテル溶媒、たとえばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン及びテトラヒドロフラン;ハロゲン含有炭化水素溶媒、たとえばクロロホルム、塩化メチレン、二塩化メチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、モノクロロエタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、パークロロエタン、及びクロロベンゼン;アルコール及びフェノール溶媒、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール;及び芳香族炭化水素溶媒、たとえばベンゼン、トルエン及びキシレンが挙げられる。さらに、溶媒は単独またはこれら二種以上の混合物として使用することができる。
【0060】
[0056]有機溶媒での洗浄は、有機溶媒中にポリアリーレンスルフィドを浸漬し、それぞれの場合に応じて(as appropriate)加熱または攪拌することにより実施することができる。有機溶媒洗浄の洗浄温度は特に重要ではなく、温度は通常約20℃〜約300℃でありえる
。洗浄効率は洗浄温度の上昇と共に上昇しえるが、通常、約20℃〜約150℃の洗浄温度で
十分な効果が得られる。
【0061】
[0057]一態様において、圧力容器中の有機溶媒の沸点より高い温度で、圧力下で洗浄を実施することができる。洗浄時間は重要ではなく、バッチ式洗浄に関しては、洗浄は通常、約5分以上実施することができる。バッチ式洗浄は必要条件ではないが、洗浄は連続方式で実施することができる。
【0062】
[0058]一態様において、有機溶媒洗浄は、温水洗浄及び/または暖水洗浄と組み合わせ
ることができる。高沸点の有機溶媒、たとえばN-メチルピロリドンを使用するとき、残存する有機溶媒は、有機溶媒洗浄の後、水または暖水で洗浄することにより除去し、蒸留水または脱イオン水をこの洗浄用に使用することができる。
【0063】
[0059]ポリアリーレンスルフィドを形成するための重合反応装置は特に限定されないが、典型的には、高粘度流体の形成で通常使用される装置を使用するのが望ましい。そのような反応装置の例としては、様々な形状の攪拌ブレード、たとえばアンカー型、多段型、螺旋-リボン型、スクリューシャフト型など、またはそれらの修正形をもつ攪拌装置をも
つ攪拌タンク型重合反応装置を挙げることができる。そのような反応装置のさらなる例としては、混練で通常、使用される混合装置、たとえば混練機、ロールミル、バンバリーミキサーなどが挙げられる。重合後、溶融ポリマーは、典型的には所望の形状のダイがついた押出しオリフィスを通って反応器から排出され、冷却され、集めることができる。通常、ポリアリーレンスルフィドは、水浴中に引き取られ、ペレット化して乾燥されるストランドを形成するために、穿孔ダイを通って排出される。ポリアリーレンスルフィドは、ストランド、小粒または粉末の形状でもありえる。
【0064】
[0060]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイは、ポリアリーレンスルフィド(または多様なポリアリーレンスルフィドのブレンド)を、アロイの重量の約5wt%〜約90wt%、たとえばアロイの重量の約10wt%〜約80wt%、約20wt%〜約70wt%、または約25wt%〜約50wt%含むことができる。
【0065】
[0061]ポリアリーレンスルフィド(一種以上のポリアリーレンスルフィドポリマー及び/またはコポリマーのブレンドも含むことができる)は、比較的高分子量を有しえる。たと
えば、ポリアリーレンスルフィドは、約25,000g/モルを超える、または約30,000g/モルを超える数平均分子量、及び約60,000g/モルを超える、または約65,000g/モルを超える重量平均分子量を有することができる。高分子量ポリアリーレンスルフィドは、たとえば約1000ppm未満、約900ppm未満、約600ppm未満、または約400ppm未満の低い塩素含有量であり
える。
【0066】
[0062]一態様において、ポリアリーレンスルフィドは、高分子量及び高溶融粘度を有しえる。たとえば、ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度は、剪断速度1200s
-1及び温度310℃において、ISO試験No.11443に従って測定して、約1,500ポアズを超え、約2,500ポアズ
を超え、または約3,000ポアズを超えうる。
【0067】
[0063]ポリアリーレンスルフィドは、反応的に官能基化されたジスルフィド化合物と共に溶融加工することができる。通常、反応的に官能基化されたジスルフィド化合物は、式(V):
【0069】
{式中、R
3及びR
4は同一または異なっていてもよく、1〜20個の炭素原子を独立して含み、且つR
3及びR
4の末端(terminal end)で反応性官能基(reactive functionality)を含む炭化水素基である}の構造をもつことができる。たとえば、R
3及びR
4はアルキル、シクロアルキルまたは複素環基でありえる。
【0070】
[0064]R
3及びR
4の少なくとも一つは、末端カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基(置換されているか、または非置換)、ニトロ基等を含みえる。溶融加工用の混合物を形成する際にポリアリーレンスルフィドと混和することができるような、反応性末端基を含むジスルフィド化合物の例としては、これらに限定されないが、2,2'-ジアミノジフェニルジスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルジスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、ジチオサリチル酸(dithiosalicyclic acid)、ジチオグリコール酸、α,α'-ジチオ二乳酸(dithiodilactic acid)、β,β'-ジチオ二乳酸酸、3,3'-ジチオジピリジン、4,4'-チオモルホリン、2,2'-ジチオビス(ベンゾチアゾール)、2,2'-ジチオビス(ベンズイミダゾール)、2,2'-ジチオビス(ベンゾオキサゾール)、L-
シスチン、ジチオ安息香酸、ジヒドロキシフェニルジスルフィド、及び2-(4'-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールを含みえる。
【0071】
[0065]ポリアリーレンスルフィドと混和されたジスルフィド化合物の量は、通常、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイの約0.1wt%〜約3wt%、たとえばポリアリーレ
ンスルフィド/液晶ポリマーアロイの約0.1wt%〜約1wt%でありえる。通常、添加されたジ
スルフィド化合物の量は、共重合しなかったポリアリーレンスルフィドと液晶ポリマーとに加えて、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーが相溶化剤を含むことができるよう
に、ポリアリーレンスルフィドの一部との反応に関して化学量論量、たとえばポリアリーレンスルフィドの約0.1%〜約5%と反応する量であろう。
【0072】
[0066]液晶ポリマーは、ポリアリーレンスルフィド及び反応的に官能基化されたジスルフィド化合物と混和することができる。一態様において、液晶ポリマーは単一段階の形成プロセスでは、ポリアリーレンスルフィド及び反応的に官能基化されたジスルフィド化合物と混和することができる。すなわち、三つ全ての成分は、単一の溶融加工段階で混和す
ることができる。別の態様では、溶融加工プロセスは、ポリアリーレンスルフィドと反応的に官能基化されたジスルフィド化合物とを溶融加工する第一の溶融加工段階と、液晶ポリマーを、溶融加工された液晶ポリマーとジスルフィド化合物と混和する第二の溶融加工段階とを含むことができる。
【0073】
[0067]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを形成するプロセスは、液晶ポ
リマー形成を含むことができるが、これはプロセスの必要条件ではない。たとえば、液晶ポリマーは、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール、及び芳香族二酸を含むモノマーの反応により形成することができる。
【0074】
[0068]たとえば、モノマーは、溶融アシドリシス(melt acidolysis)重合プロセスで重
合することができる。この段階では、非アセチル化モノマーを無水酢酸の存在下で加熱する。あるいは、モノマーは、第一段階でアセチル化することができ、次いでこのアセチル化したモノマーを、第二段階の溶融状態で溶融アシドリシスプロセスにより重合することができる。
【0075】
[0069]どちらの場合においても、モノマーは、アセチル化されたフェノール基がカルボン酸基と反応してエステル結合を形成するように、攪拌しながら十分に高温に加熱することができ、副生成物の酢酸が形成する。加熱及び攪拌は、約2dl/gを超える、約3dl/gを超える、または約5dl/gを超える固有粘度をもつ液晶ポリマーが形成する十分に高い温度及
び十分に長い時間、継続することができ、固有粘度は、等しい体積のペンタフルオロフェノールとヘキサフルオロイソプロパノールとの混合物中、液晶ポリマー0.1%溶液(重量/体積)として25℃で測定される。典型的には、重合は、液晶ポリマーが約280℃〜約380℃の
範囲、たとえば約320℃〜約380℃の範囲の温度で溶融状態であるのに十分に高い温度で完了することができる。液晶ポリマーは、約1時間以下の間、溶融状態で真空下で加熱することができ、この時間は、温度、真空、及び攪拌速度などの変数に依存する。
【0076】
[0070]一態様において、液晶ポリマーは、p-ヒドロキシ安息香酸、芳香族ジヒドロキシ化合物(例えば、4,4'-ジヒドロキシビフェニル及びヒドロキノン)、芳香族ジカルボン酸(たとえば2,6-ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸)から重縮合(酢酸の除去による)により製造することができ、そのフェノール性ヒドロキシル基は、無水酢
酸との反応によりアシル化される。
【0077】
[0071]あるいは、液晶ポリマーは、p-アセトキシ安息香酸、ジアシル化芳香族ジヒドロキシ化合物(たとえば4,4'-ジアセトキシビフェニル及びジアセトキシベンゼン)、及び芳
香族ジカルボン酸(たとえば2,6-ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、及びイソフタ
ル酸)から重縮合(酢酸の除去による)により形成することができる。
【0078】
[0072]別の液晶ポリマー製造法は、p-ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステル及び芳香族ジヒドロキシ化合物のジフェニルエステル(たとえば4,4'-ジヒドロキシビフェニル及びヒドロキノン)及び芳香族ジカルボン酸(たとえば2,6-ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸からの重縮合(フェノールの除去による)を含むことができる。
【0079】
[0073]さらに別の態様では、液晶ポリマーは、ジフェニルエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物から重縮合(フェノールの除去による)により製造することができる。ジフェニルエステルは、規定量のジフェニルカーボネートとの反応によりp-ヒドロキシ安息香酸と芳香族ジカルボン酸(たとえば6-ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、及びイソフタル
酸)から形成することができる。芳香族ジヒドロキシ化合物は、4,4'-ジヒドロキシビフェニル及びヒドロキノンを含むことができる。
【0080】
[0074]上記重縮合反応は、触媒の非存在下で進行することができる。しかしながら、一態様において、これらは、金属化合物(たとえば二酢酸スズ(stannous acetate)、テトラ
ブチルチタニウム(tetrabutyl titanium)、好ましくは酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、
及び三酸化アンチモン)または金属マグネシウムまたはこれらの組み合わせにより触媒作
用を受けることができる。一態様において、得られる液晶ポリマーが水疱(blistering)を形成しないように、触媒の使用を無くすか、最小化することができる。たとえば、一態様において、液晶ポリマーは、金属触媒約500ppm未満、たとえば約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約20ppm未満、または触媒約10ppm未満を使用することにより形成する
ことができる。
【0081】
[0075]一態様において、液晶ポリマーは一つ以上の末端キャッピング剤(end-capping agent)の存在下で形成することができる。たとえば末端キャッピング剤は、液晶ポリマー
の分子量、融点、及び/または粘度を制御するために使用することができる。たとえば末
端キャッピング剤は、約1重量モル%(mol% by weight)未満の量、たとえば約0.5モル%未満の量で存在することができる。一態様において、末端キャッピング剤は、約0.2モル%未満の量でテレフタル酸を含むことができる。
【0082】
[0076]液晶ポリマーの得られる特性を制御する際の改良点は、二酸、ジオールまたは両方をわずかにモル過剰を使用して液晶ポリマーを形成することにより、一態様において実現することもできる。
【0083】
[0077]一態様において、液晶ポリマーは、P1〜P8の液晶ポリマーの群から選択することができ、ここでそれぞれのポリマーは、以下の繰り返し単位(i)〜(viii)のうちの少なく
とも二つを含む:
【0085】
{式中、液晶ポリマーの繰り返しユニットの量は、モル%で表され、存在する繰り返し単
位のモル%の合計は常に100%となる}。特定の態様において、液晶ポリマーは、以下のようにP1〜P8から選択することができる。
【0086】
P1は、約70%〜約90%の(i)と、約10%〜約30%の(ii)を含み、ここで(iii)〜(viii)は存在しない;
P2は、約10%〜約25%の(i)と、約75%〜約90%の(ii)を含み、ここで(iii)〜(viii)は存在しない;
P3は、約50%〜約70%の(ii)を含み、(iii)は存在し、(vi)、(vii)、及び(viii)の少なくとも一つは存在し、(iii)の量=[100−(ii)]/2、及び(iii)の量=(vi)、(vii)及び(viii)の少なくとも一つの合計であり、ここで(i)、(iv)及び(v)は存在しない;
P4は、約0%〜約10%の(i)、約40%〜約60%の(ii)を含み、(iii)、(iv)及び(v)の少なくとも一つは存在し、(vi)及び(vii)及び(viii)の少なくとも一つは存在し、ここで(iii)、(iv)及び(v)の少なくとも一つの合計=[100−Σ(i)+(ii)]/2=(vi)、(vii)及び(viii)の少
なくとも一つの合計であり;
P5は、約45%〜約65%の(i)、約1%〜約10%の(ii)、(iii)、(iv)及び(v)の少なくとも一つは存在し、(vi)、(vii)及び(viii)の少なくとも一つは存在し、ここで(iii)、(iv)及び(v)の少なくとも一つの合計=[100−Σ(i)+(ii)]/2=(vi)、(vii)及び(viii)の少なくとも一つの合計であり;
P6は、約40%〜約70%の(i)、約5%〜約30%の(v)を含み、(iii)及び(iv)の少なくとも一つは存在し、且つ(iii)及び(iv)の少なくとも一つの合計=[100−(i)]/2−(v)、(vi)、(vii)及び(viii)の少なくとも一つは存在し、且つ(vi)、(vii)及び(viii)の少なくとも一つの量=Σ(iii)、(iv)及び(v)、ここで(ii)は存在しない;
P7は、約30%〜約80%の(i)を含み、(vi)、(vii)及び(viii)の少なくとも一つは存在し、(v)は存在し、(v)の量=[100−(i)]/2=(vi)、(vii)及び(viii)の少なくとも一つの合計
であり、ここで(ii)、(iii)及び(iv)は存在しない。
【0087】
P8は、約50%〜約70%の(i)を含み、(iii)及び(iv)の少なくとも一つは存在し、(vi)及び(vii)の少なくとも一つは存在し、ここで(iii)及び(iv)の少なくとも一つ=[100−(i)]/2=(vi)、(vii)及び(viii)の少なくとも一つの合計であり、ここで(ii)は存在しない。
【0088】
[0078]液晶ポリマーを形成するのに使用される液晶ポリマー及び/またはモノマーは、
たとえば、Ticona Engineering Polymers(フローレンス、ケンタッキー)より商標名VECTRA(登録商標)のもと市販されている。
【0089】
[0079]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーを形成する際に使用するのに良く適し
たVECTRA(登録商標)ポリマーグレードは、VECTRA(登録商標)Eiグレード、VECTRA(登録商
標)Aグレード、及びVECTRA(登録商標)Lグレードを含むことができる。
【0090】
[0080]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを形成する際に使用するのに選
択される液晶ポリマーは、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイに関して望ま
しい特定の用途及び特性に応じて変動しえる。一態様において、たとえば280℃を超える
融点などの、比較的高い融点をもつ液晶ポリマーを使用することができる。一態様において、液晶ポリマーの融点は約280℃〜約370℃、たとえば約330℃〜約340℃である。たとえばより高い融点の液晶ポリマーを使用して、より高い熱変形温度(heat distortion temperature:HDT)をもつ製品を製造することができる。
【0091】
[0081]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイに存在する液晶ポリマーの量は
、様々な因子に依存して変動しえる。たとえばポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマー
アロイは、アロイの重量の約5wt%〜約90wt%、約10wt%〜約80wt%、約20wt%〜約70wt%、ま
たは約25wt%〜約50wt%の液晶ポリマーを含むことができる。ポリアリーレンスルフィド及び液晶ポリマーは、特定の強度を増強したり、特性の所望の組み合わせを得たりするために、一緒にブレンドすることができる。一態様において、液晶ポリマー及びポリアリーレンスルフィドポリマーは、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ中に、約5:1〜約1:5の液晶ポリマー対ポリアリーレンスルフィドの重量比で存在することができる
。たとえば、液晶ポリマー対ポリアリーレンスルフィドの重量比は、約1:2〜約1:3でありえる。
【0092】
[0082]一態様において、ポリアリーレンスルフィド及び液晶ポリマーの相対量は、350
℃の温度におけるポリアリーレンスルフィドと液晶ポリマーとの間の粘度の比が、約1:10〜約3:1であるように、選択することができる。たとえば、粘度は、ポリアリーレンス
ルフィドと液晶ポリマーの間の粘度比が約1.5:1〜約1:1.5であるように選択的に適合させることができる。.
[0083]液晶ポリマーは、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイの中にドメイ
ンを形成することができる。液晶ポリマードメインは、たとえば棒様構造をもつことができる。一態様において、棒様構造の約90%は約1ミクロン〜約10ミクロンの直径、及び約5
ミクロン〜約30ミクロンの長さをもつことができる。一態様において、アロイの中の液晶ポリマーのドメインは、さらに小さい可能性がある。たとえば液晶ポリマードメインは、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ中で約1ミクロン未満の直径をもちえる
。
【0093】
[0084]すでに述べられたように、アロイに加えて一つ以上の添加剤を含むポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物を形成することができる。
【0094】
[0085]たとえば、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物は、ホ
スファイト安定化剤を含むことができる。ホスファイト安定化剤(phosphite stabilizer)は、溶融加工の間にポリアリーレンスルフィド及び液晶ポリマーが熱劣化しないようにすることができる。さらに、ホスファイト安定化剤は、金型の付着物をさらに最小化することができ、且つポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物の黄変また
は黒ずみを軽減することができ、溶融加工の間の強度低下を軽減することができ、且つポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物の加工性を改善することがで
きる。
【0095】
[0086]ホスファイト安定化剤としては、有機ホスファイトを挙げることができる。たとえば、本発明に含まれるホスファイト安定化剤としては、より高い温度、特にポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーを含む組成物が溶融加工の間に暴露される可能性のある温
度に耐えられるホスファイトが挙げられる。たとえば、ホスファイト安定化剤は、モノホスファイト(monophosphite)及びジホスファイト(diphosphite)を含むことができ、ここでジホスファイトは水分の吸収を阻害する、及び/または比較的高いスピロ異性体含有量を
もつ分子構造をもつ。たとえば90%を超える、たとえば95%を超える、たとえば98%を超え
るスピロ異性体含有量をもつジホスファイトを選択することができる。
【0096】
[0087]ホスファイト安定化剤の非限定例としては、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール
ジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、その混合物などが挙げられる。
【0097】
[0088]ホスファイト安定化剤、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトは、式(VI):
【0100】
[0089]ホスファイト安定化剤、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトは、式(VII):
【0103】
[0090]ホスファイト安定化剤、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトは、式(VIII):
【0106】
[0091]式中、R’はアルキル基またはアリール基であり、二つのR’基は同一または異なっていてもよい。
【0107】
[0092]ホスファイト安定化剤に加えて、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロ
イを含む組成物は、場合により第二の安定化剤またはさらなる安定化剤を含むことができる。一態様において、たとえば第二の安定化剤は、有機ホスフェート(organic phosphate)などのホスフェートを含むことができる。たとえば、一態様において、非ハロゲンホス
フェートエステル安定化剤は、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組
成物に含ませることができる。
【0108】
[0093]ホスフェート安定化剤は、モノホスフェート安定化剤(monophosphate stabilizer)及びポリホスフェート安定化剤(polyphosphate stabilizer)を含むことができる。たとえばモノホスフェート安定化剤の例としては、トリフェニルホスフェートがある。本開示に従って使用しえるポリホスフェート安定化剤としては、一般式(IX):
【0110】
{式中、Rは、非置換または置換アリールのいずれかであり、Aは、アルキレン基、一つのアリーレン環、互いに直接またはアルキレン橋かけ基(bridging group)により結合した二つのアリーレン基を含む橋かけ基であり、nは1〜約10を変動する}をもつホスフェート安
定化剤が挙げられる。一態様において、上記Aは、たとえばレゾルシノールまたはヒドロ
キノンから誘導されうるモノアリーレンでありうる。上記式において、「ビス」ホスフェートは、nが1に等しい時に形成する。他方、オリゴマーホスフェートは、nが2以上の時に形成する。
【0111】
[0094]使用しえるホスフェート安定化剤の例としては、これらに限定されないが、レゾルシノールビス(ジ-キシリルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェ
ート)、レコルシノール(recorcinol)ビス(ジフェニルホスフェート)またはその混合物が
挙げられる。
【0112】
[0095]ホスフェート安定化剤は典型的には、室温で液体として、または固体として存在する。一態様において、固体ホスフェート安定化剤は、より高い温度でより安定でありえ、且つ他の成分とより混和しやすいポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含
む組成物に配合することができる。
【0113】
[0096]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーを含む組成物は、アルキレン-アクリルエステル共重合体(インターポリマー:interpolymer)安定化剤も含むことができる。たとえば、無水マレイン酸を含むか、またはグリシジルメタクリレートを含むランダムエチレン-アクリルエステル共重合体安定化剤を本組成物に配合することができる。そのような
化合物は、商標LOTADER(登録商標)の元、Arkemaから市販されている。
【0114】
[0097]一つ以上の安定化剤は、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む
組成物中に、比較的少量で存在することができる。たとえばそれぞれの安定剤は、組成物の約5重量%未満の量で組成物中に存在することができる。たとえば、ホスファイト安定
剤は、約0.05重量%〜約5重量%、たとえば約0.1重量%〜約1重量%の量で、ポリアリー
レンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物中に存在することができる。他の任意
の安定剤は、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物の約2重量%未満、たとえば約0.1重量%〜約1重量%の量で存在することができる。
【0115】
[0098]一態様において、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物
は、繊維充填剤(fibrous filler)を含むことができる。繊維充填剤は通常、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物中に、組成物の重量の約5wt%〜約70wt%、または約20wt%〜約65wt%の量で含まれえる。
【0116】
[0099]繊維は通常、約0.5mm〜約5.0mmの長さを有する。特定の理論に縛られるつもりはないが、反応的に官能基化されたジスルフィド化合物とポリアリーレンスルフィドとの間の相互作用により得ることができるポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイのよ
り低い溶融粘度は、溶融加工の間の繊維の崩壊を防ぐことができ、繊維の長さを維持し、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物に優れた強度特性を提供す
ると考えられる。
【0117】
[0100]繊維充填剤は、一種以上の種類の繊維、これらに限定されないが、たとえばポリマー繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維など、または繊維の種類の組み合わせを挙げることができる。一態様において、繊維はチョップドガラス繊維(chopped glass fiber)
またはガラス繊維ロービング(roving)(トウ)でありえる。
【0118】
[0101]一態様において、繊維は、本質的にホウ素を含まないガラス繊維でありえる。「本質的に含まない」なる用語は通常、ガラス繊維が全くホウ素を含まないか、またはたかだか、ほんの痕跡量、たとえば約2wt%未満、態様によっては1wt%未満、態様によっては約0.1wt%未満、及び態様によっては0.01wt%未満のホウ素を含むことを意味する。繊維中の
ホウ素の存在を最小化することによって、インクジェットプリンターで使用される強い(aggressive)インクからの攻撃に対してガラスの耐薬品性を強化することができる。ホウ素を含まない繊維は、たとえばOwens Corning Vetrotex Corporationより商標名Advantex(
登録商標)のもと市販されている。かかる繊維は、好適な成分または原材料(たとえば、SiO
2に関しては砂、CaOに関しては生石灰、MgOに関してはドロマイト)から製造することが
でき、これは慣用法で好適量で混合またはブレンドして、最終組成物の所望の重量パーセントを得ることができる。次いで混合したバッチを加熱炉または溶解装置で溶解し、得られた溶融ガラスを前床に沿って、そして前床の床に沿って配置された繊維形成ブッシング(bushing)内に通すことができる。溶融ガラスは、ガラス繊維を形成するためにブッシン
グの底部またはチッププレート(tip plate)の穴またはオリフィスを通して引っ張るかま
たは引き取ることができる。ブッシングオリフィスを通って流れる溶融ガラス流は、巻上機の回転可能なコレット上に据え付けられた形成チューブ上にフィラメントストランドを巻き上げることによって、細くしてフィラメントにすることができる。繊維は、所望の用途に好適な慣用法でさらに加工することができる。
【0119】
[0102]繊維の直径は、使用される特定の繊維に依存して変動しえ、チョップド形または連続形のいずれかで利用可能である。繊維は、たとえば約100μm未満、たとえば約50μm
未満の直径をもつことができる。たとえば繊維は、チョップドまたは連続繊維でありえ、約5μm〜約50μm、たとえば約5μm〜約15μmの繊維径を有することができる。
【0120】
[0103]繊維長さは変動しえる。一態様において、繊維は約3mm〜約5mmの初期繊維長さを有することができる。反応的に官能基化されたジスルフィド化合物とポリアリーレンスルフィドとの組み合わせにより、溶融加工条件は、添加した繊維の過剰な崩壊を防ぐことができ、その結果、繊維は溶融加工の間により少ない摩耗を示すことができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物中の最終繊維長は、約200μm〜約1500μm、または約250μm〜約1000μmを変動しえる。
【0121】
[0104]繊維は、溶融加工の間に、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイと混
合し易くすることもできるサイジングで前処理することができる。
【0122】
[0105]一態様において、繊維は、高い歩留り(yield)または小さなK数(K number)をもつことができる。トウは、歩留りまたはK数により表される。たとえばガラス繊維トウは、50歩留り以上(yield and up)、たとえば約115歩留り〜約1200歩留りを有しえる。
【0123】
[0106]一態様において、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイは、オルガノ
シランカップリング剤を含むことができる。オルガノシランカップリング剤は、当業界で公知のようにアルコキシシランカップリング剤でありえる。アルコキシシラン化合物は、ビニルアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、アミノアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるシラン化合物でありえる。使用しえるビニルアルコキシシランの例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シランが挙げら
れる。使用しえるエポキシアルコキシシランの例としては、γ-グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン及びγ-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。使用しえるメルカプトアルコキシシランの例としては、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ-メルカプトプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
【0124】
[0107]配合しえるアミノシラン化合物は、通常、式:R
5-Si-(R
6)
3のものであり、式中
、R
5は、アミノ基、たとえばNH
2;約1〜約10個の炭素原子、または約2〜約5個の炭素原子をもつアミノアルキル、たとえばアミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノ
ブチルなど;約2〜約10個の炭素原子、または約2〜約5個の炭素原子のアルケン、たとえ
ばエチレン、プロピレン、ブチレンなど;及び約2〜約10個の炭素原子、または約2〜約5
個の炭素原子のアルキン、たとえばエチン、プロピン、ブチンなどからなる群から選択される;及び式中、R
6は、約1〜約10個の原子、または約2〜約5個の炭素原子のアルコキシ
基、たとえばメトキシ、エトキシ、プロポキシなどである。
【0125】
[0108]一態様において、R
5は、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、エチレン、エチン、プロピレン及びプロピンからなる群から選択され、及びR
6は、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基からなる群から選択される。別の態様では、R
5は、約2〜約10個の炭素原子のアルケン、たとえばエチレン、プロピレン、ブチレンなど、及び約2〜約10個の炭素原子のアルキン、たとえばエチン、プロピン、ブチンなどからなる群から選択され、及びR
6は、約1〜約10個の原子のアルコキシ基、たとえばメトキシ基、エトキシ基
、プロポキシ基などである。様々なアミノシランの組み合わせも含むことができる。
【0126】
[0109]使用しえるアミノシランカップリング剤の代表例としては、これらに限定されないが、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルトリメトキシシラン、エチレントリメトキシシラン、エチレントリエトキシシラン、エチントリメトキシシラン、エチントリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシランまたは3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3-アミノプロピル)テトラメトキシシラン、ビス(3-アミノプロピル)テトラエトキシジシロキサン及びそれらの組み合わせが挙げられる。アミノシランは、アミノアルコキシシラン、たとえばγ-アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-ジ
アリルアミノプロピルトリメトキシシラン及びγ-ジアリルアミノプロピルトリメトキシ
シランでありえる。好適な一アミノシランは、Degussa、Sigma Chemical Company、及びAldrich Chemical Companyより入手可能な3-アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0127】
[0110]配合するときには、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成
物は、混合物の重量の約0.1wt%〜約5wt%、混合物の重量の約0.3wt%〜約2wt%、または組成物の重量の約0.2wt%〜約1wt%の量でオルガノシランカップリング剤を含むことができる。
【0128】
[0111]耐衝撃性改良剤は、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成
物中に含めることができる。一態様において、耐衝撃性改良剤は、ポリエチレンとグリシジルメタクリレートとのランダムコポリマーを含むことができる。ランダムコポリマー中に含まれるグリシジルメタクリレートの量は変動しえる。特別な一態様において、ランダムコポリマーは、コポリマーの約6重量%〜約10重量%の量のグリシジルメタクリレートを
含む。
【0129】
[0112]使用しえる他の耐衝撃性改良剤としては、ポリウレタン、ポリブタジエンとスチレン-アクリロニトリル(ABS)の二相混合物、変性シロキサン若しくはシリコーンゴム、またはポリジエンをベースとするエラストマー性、単一相のコア及び硬質グラフトシェルのグラフトコポリマー(コア-シエル構造)が挙げられる。
【0130】
[0113]グラフトコポリマーの耐衝撃性改良剤を考慮するときに、耐衝撃性改良剤は粒子から構成され、その殆ど、たとえばその70%を超える部分は、コアと一つ以上のシェルと
から構成される構造をもつ。コアは、エラストマー性ポリマー相から形成することができ、その上に二つ以上の層から構成されえる硬質シェルがグラフトされていた。コアは通常、エラストマー性軟質相であり、たとえあるにしても、ほんの少量のシェルの硬質ポリマー構成成分を含むに過ぎない。グラフトコポリマーは、エラストマー性コア40〜95重量%、60〜90重量%、または70〜80重量%から構成されえる。シェルの割合は、5〜60重量%、10〜40重量%、または20〜30重量%でありえる。
【0131】
[0114]本明細書中に包含される他の耐衝撃性改良剤としては、ポリウレタン類、たとえば、熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。ポリウレタン耐衝撃性改良剤は、ポリイソシアネート、特にジイソシアネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエステルアミド、ポリアセタール、または他の好適なヒドロキシ若しくはアミノ化合物、たとえばヒドロキシル化ポリブタジエン、または上記化合物の混合物の重付加(polyaddition)により公知方法にて製造される。それぞれの場合に応じて、連鎖延長剤、たとえば低分子量ポリオール類、特にジオール、ポリアミン類、特にジアミンまたは水も使用する。
【0132】
[0115]一態様において、一つ以上の無機充填剤(mineral filler)を、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物に含めることができる。たとえば、組成物は
、組成物の約1wt%〜約50wt%の量で一つ以上の無機充填剤を含むことができる。無機充填
剤としては、これに限定されないが、シリカ、石英粉末、ケイ酸塩、たとえばケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、タルク、粘度、珪藻土及び珪灰石などを挙げることができる。
【0133】
[0116]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物中に含めることが
できるさらに他の添加剤としては、これらに限定されないが、抗菌剤、顔料、滑剤、酸化防止剤、安定化剤、界面活性剤、蝋、流動性改良剤、固体溶剤(solid solvent)、並びに
特性及び加工性を改善するために添加される他の添加剤を含むことができる。そのような任意選択の材料は、慣用量で組成物中に使用することができる。
【0134】
[0117]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物は、単一の溶融加
工プロセスで形成することができ、そのプロセスでは成分、たとえばポリアリーレンスルフィド、液晶ポリマー、反応的に官能基化されたジスルフィド化合物及び一つ以上の添加剤の全てを押出機で混和することができる。あるいは、組成物は多段階プロセスで形成することができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィド及び反応的に官能性のジスルフィド化合物は、第一の溶融加工段階で混和することができ、液晶ポリマーと一つ以上の添加剤は、一つ以上の続く段階で、溶融加工したポリアリーレンスルフィドと反応的に官能基化されたジスルフィド化合物と混和することができる。さらに別の方法では、一つ以上の添加剤を、ポリアリーレンスルフィドと最初に個別に、または反応的に官能基化されたジスルフィド化合物との組み合わせと併せて混和することができる。
【0135】
[0118]成分は、当業界で公知の技術に従って溶融加工することができる。たとえば、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物の成分は、約250℃〜約320℃
の温度で一軸または多軸押出機で溶融混練(melt knead)することができる。一態様において、組成物は、多数の温度ゾーンを含む押出機で溶融加工することができる。たとえば、約250℃〜約320℃の間の温度に維持される温度ゾーンを含む押出機で溶融加工することができる。
【0136】
[0119]たとえば、ポリアリーレンスルフィド、反応的に官能基化されたジスルフィド化合物、液晶ポリマー及び一つ以上の添加剤は、Leistritz 25mm共回転完全噛み合い二軸押出機(co-rotating fully intermeshing twin screw extruder)などの二軸押出機を使用して溶融混合して、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物を形成す
ることができる。押出機は、複数の温度制御ゾーン、たとえば約6の温度制御ゾーン(押
出しダイを含む)と、30の全L/Dをもつことができる。溶融加工の間、汎用スクリューデザインを使用することができる。一態様において、成分を全て、定量供給機(volumetric feeder)により第一のバレルの供給口に供給することができる。別の態様では、公知のよう
に、押出機の別の添加点で別の成分を加えることができる。成分を融解し、混合し、次いでダイを通してポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物として押し
出すことができる。次いで組成物は水浴中でクエンチして固化し、ペレタイザーで造粒し、続いて約120℃で乾燥するなど、乾燥することができる。
【0137】
[0120]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物から製品を形成す
る慣用の成形プロセスとしては、これらに限定されないが、押出し、射出成形、ブロー成形、熱成形、発泡(foaming)、圧縮成形、箔押(hot-stamping)、紡糸などが挙げられる。
形成しえる造形品としては、構造的及び非構造的造形部品(shaped part)、たとえば電気
製品(appliance)、電気材料(electrical material)、電子製品、繊維ウエブ、及び自動車工学の熱可塑性物質の組立品を挙げることができる。代表的な自動車用造形プラスチック部品は、たとえば二三、例を挙げると、ファンシュラウド(fan shroud)、支持部材、ワイヤ及びケーブル外被、カバー、ハウジング、バッテリーパン、電槽、ダクト材料、電気的ハウジング(electrical housing)、ヒューズケースハウジング、ブロー成形容器、不織または織補強土工用繊維(geotextile)、集塵装置フィルター(baghouse filter)、膜及び池
の中敷き(pond liner)などのフード用途(hood application)に適している。成形品、押出し形材及び繊維以外の他の有用な製品としては、壁パネル、天井貯蔵用ロッカー、配膳盆、シートバック(背ずり:seat back)、客室間仕切り(cabin partition)、窓覆い(window cover)、及び集積回路トレーなどの電子部品梱包用処理システムが挙げられる。
【0138】
[0121]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物は、様々な電気及
び電子機器用途、たとえば低塩素含有量が望ましい電気及び電子機器用途で使用することができる。たとえば、コネクター及びオーバーモールド(インサート成形)部品の成形においてポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーを含む組成物の使用を包含する。
【0139】
[0122]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物は、高温用途に関
して優れた材料とする良好な熱的特性も示す。たとえば、ポリアリーレンスルフィド/液
晶ポリマーアロイを含む組成物の高いDTULは、これらの組成物を無鉛はんだ加工用の優れた候補とし、且つ高温塗装プロセスを受けることができるものなど、インサート成形部品に有益とする。
【0140】
[0123]一態様に従って、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物
は、電気コネクタを形成する際に使用することができる。
図1〜2を参照して、たとえばプリント配線板(printed circuit board)(示されていない)に取り付けるために使用でき
るように、電気コネクタ200を形成することができる。電気コネクタ200は、絶縁ハウジング210、絶縁ハウジング210に挿入された複数のコンタクトモジュール(contact module)230、及び絶縁ハウジング210を囲むシールド220を含む。電気コネクタ200は、まっすぐで且つプリント配線板の頂面に平行の取り付け面(mounting face)201と、前記取り付け面201
と反対側の合わせ面(mating face)202を画定する。
【0141】
[0124]絶縁ハウジング210とシールド220はそれぞれ、互いに同一または異なり得るポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物で一元的に成形した(unitarily molded)一体構造(one-piece structure)でありえる。シールド220は、第一のシェル221と第二のシェル222とを含む二部式構造(two-piece structure)でありえ、それぞれのシェルは、本明細書中で記載するように、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含
む同一または異なる組成物から形成することができる。絶縁ハウジング210は、ベース部
分221と、上下方向(up to down direction)に相補的プラグ(示されていない)と合わさる
ためにベース部分211から上方に伸長する長方形の合わせ部分(mating port)212を有する
。ベース部分211は、その中の複数のコンタクトモジュール230を受けるために下方に面している縦方向のキャビティを画定する。絶縁ハウジング210の合わせ部分212は、前壁321
、前壁321と平行な後壁322、及び前壁321と後壁322に結合した一対の側壁323を有する。
合わせ部分212は、前壁321と後壁322に平行で、その間に伸長しているタングプレート(tongue plate)224を含む。通路225により、コンタクトモジュール230と回路基板との間が接触できる。
【0142】
[0125]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物は、金属ボディ上
に組成物のコーティングを含むオーバーモールドを形成する際に有用でありえる。金属ボディは、様々な金属ベースまたは、前もって無機材料及び/または有機材料で形成された
アンダーコートを備えた金属ベースのいずれか一つでありうる。
【0143】
[0126]金属ベース材料としては、これらに限定されないが、アルミニウム、鉄、チタン、クロム、ニッケル及び、これらの金属の少なくとも一つを含む合金を挙げることができ、たとえばジュラルミン、カーボンスチール及びステンレススチールは、耐熱性、耐腐食性、接着性、機械的特性、効率(economy)などを提供することができる。
【0144】
[0127]オーバーモールドは、金属ベース上にポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマー
アロイを含む組成物の少なくとも一つのコーティング層を提供することにより形成できる。たとえば、コーティングプロセスは、コーティング層を形成する前に実施される金属ベースの前処理を含むことができる。前処理は、金属ベースとコーティング層との間の接着を改善することができる。前処理としては通常、洗浄、表面粗化(surface roughening)若しくは表面変性、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0145】
[0128]洗浄は、洗剤、溶媒、酸若しくはアルカリ、または除錆剤で錆若しくはバリを除去する処理、物理的方法(サンドブラスト、ホーニング(honing)など)、または高温加熱処理で実施することができる。表面粗化は、酸化剤、電解酸化を使用する化学的粗化、またはサンドブラストなどの物理的方法でありえる。表面変性により、コーティング層上への金属ベースの接着を改善することができる。これは表面酸化処理(たとえば酸化剤を使用
する、または電解酸化若しくは高温酸化による)、表面窒化、または表面-水酸化処理(surface-hydroxylating treatment)(蒸気処理による)を挙げることができる。
【0146】
[0129]場合により、たとえば金属ベースとコーティング層との間の線膨張係数の差を小さくするために、金属ベースとコーティング層との間の接着を改善するために、及びそのコーティング処理の時に金属ベースの腐食を防ぐために、アンダーコートを適用することができる。これを含めるときには、アンダーコートは、無機材料層、たとえばセラミック層、ガラス層及びサーメット層(cermet layer)並びにコーティング層と同じ種類の層またはコーティング層と異なる種類の層を含むことができる。コーティング方法としては、これらに限定されないが、スラリーコーティング、パウダーコーティング、流動床(fluidized bed)コーティング及び静電コーティングを挙げることができる。
【0147】
[0130]任意の(単数または複数種類の)アンダーコート層の前処理及び形成後、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物を金属ベースの上にコーティングし
て、コーティング層を形成することができる。コーティング層は、当業界で通常公知のように、これらに限定されないが、スラリーコーティング、パウダーコーティング、流動床コーティング及び静電コーティングなどの任意の標準的なコーティング方法に従って形成することができる。
【0148】
[0131]オーバーモールドの適用目的に依存して、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリ
マーアロイを含む組成物の層とは異なる種類のコーティング層と任意のアンダーコートを、中間コーティング層またはトップコートとして追加的に適用することができる。たとえば、フッ素樹脂またはフッ素化ポリマー組成物のトップコートは、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物のコーティング層の上に形成することができる。
【0149】
[0132]オーバーモールドは、広範囲の用途、たとえば自動車、トラック、民間航空機、航空宇宙、レール、家電製品、コンピューターハードウエア、携帯用デバイス(hand held
device)、レクリエーション及びスポーツ用の構成部分、機械の構造成分、建築物の構造成分などに使用することができる。
【0150】
[0133]ワイヤレス電子デバイスは特に好適である。たとえば、オーバーモールドは、ワイヤレス電子デバイス用のハウジングとして役立つことができる。そのような態様では、アンテナは、オーバーモールドする前に金属成分の上及び/またはその中に配置すること
ができる。アンテナの部品として、金属成分それ自体も使用することができる。たとえば、金属成分の一部は、プリント配線基板構造(たとえば、アンテナ構造体を形成する際に
使用されるプリンター配線基板構造)など、平面的な回路構造から形成される、下地の平
面的な構造(ground plane structure)を拡張するために、またはその中に下地平面を形成するために、共に短絡(shorted together)することができる。あるいは、アンテナは、成形プロセスの間に、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物の中に
埋め込むこともできる。他の個別の成分も、注意深く配置された部品の周りに熱可塑性物質を射出することにより、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物
、たとえば金属打ち抜き加工(metal stamping)、軸受筒(bushing)、電気機械部品、ろ過
材、金属強化材及び、単一の構成成分に組み合わせられる他の個別の部品の中に埋め込むことができる。
【0151】
[0134]好適なワイヤレス電子デバイスの例としては、デスクトップコンピューターまたは他のコンピューター装置、ポータブル電子デバイス、たとえばラップトップコンピューター若しくは、「超軽量(ultraportable)」として参照されることもあるタイプの小さな
ポータブルコンピューターを挙げることができる。好適な一態様において、ポータブル電子デバイスは、携帯用電子デバイスでありえる。ポータブル及び携帯用電子デバイスの例としては、携帯電話、ワイヤレスコミュニケーション能力をもつメディアプレイヤー、携帯用のコンピューター(電子手帳とも呼ばれることもある)、遠隔操作、全地球測位装置(GPS)デバイス及び携帯用ゲームデバイスを挙げることができる。デバイスは、多様な慣用
のデバイスの機能性を組み合わせるハイブリッドデバイスでもありえる。ハイブリッドデバイスの例としては、メディアプレイヤー機能を含む携帯電話、ワイヤレスコミュニケーション能力を含むゲームデバイス、ゲーム及び電子メール機能を含む携帯電話、並びに電子メールを受け、携帯電話をサポートし、音楽プレイヤー機能をもち、且つウェブ閲覧をサポートする携帯用デバイスが挙げられる。
【0152】
[0135]
図3〜4を参照して、ワイヤレス電子デバイス100の特別な一態様がラップトッ
プコンピューターとして示されている。電子デバイス100は、ベース部材106に回転可能に結合されたディスプレイ部材103を含む。ディスプレイ部材103は、液晶ダイオード(liquid crystal diode:LCD)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、プラズ
マディスプレイ、または他の任意の好適なディスプレイでありえる。ディスプレイ部材103及びベース部材106はそれぞれ、電子デバイス100の一つ以上の構成成分を保護及び/または支持するために、それぞれハウジング86及び88を含む。ハウジング86は、たとえばディスプレイスクリーン120を支持することができ、ベース部材106は、様々なユーザーインターフェース構成成分(たとえばキーボード、マウス及び、他の周辺機器への接続)のためのインターフェース及びキャビティを含むことができる。
【0153】
[0136]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物は、電子デバイス100の任意の部分を形成するために通常、使用することができる。しかしながらほとんどの態様において、組成物は、ハウジング86及び/または88の全てまたは一部を形成するため
に使用される。たとえば、
図2のハウジング86はオーバーモールドから形成することができ、金属成分162の内部表面(示されていない)に接着したポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物160を含むことができる。この特定の一態様において、ポリ
アリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物160は、ストリップの形状であり、これは場合によりハウジング86内に配置されたアンテナ(示されていない)を覆うことができる。もちろん、アンテナ及び/またはポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む組成物160は、隅に隣接して、端に沿って、または他の任意の好適な位置など、ハ
ウジング86の他の位置に配置することができる。それにもかかわらず、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイの組成物160を含む、得られたハウジング及び金属成分162
は、ハウジング86の外面163を画定する。外面163は通常平滑であり、上記に示され、同じような色及び外観をもつ。
【0154】
[0137]はっきりと示されていないが、デバイス100は、当業界で公知のように電気回路(circuitry)、たとえば記憶装置、処理回路(processing circuitry)、及び入力-出力成分
も含むことができる。電気回路中のワイヤレストランシーバー電気回路を使用して、無線周波数(RF)シグナルを送受信することができる。同軸通信路(coaxial communications path)及びマイクロストリップ通信路などの通信路を使用して、トランシーバー電気回路と
アンテナ構造体との間で無線周波数シグナルを伝達することができる。通信路を使用して、アンテナ構造体と電気回路との間でシグナルを伝達することができる。通信路は、たとえばRFトランシーバー(ラジオとも呼ばれることもある)と多周波帯アンテナとの間に接続される同軸ケーブルでありえる。
【0155】
[0138]一態様に従って、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを使用して、
プリンターカートリッジ、多岐管、ハウジングなどのインクジェットプリンターまたはインクジェットプリンターの構成要素を形成することができる。一態様において、組成物は、プリンターの全アセンブリの中に組み込むことができる。
図5は、本発明のポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを組み込むことができるプリンターカットリッジの
一態様を示す。示されているように、インクカートリッジは、周壁区分(peripheral wall
section)16の反対側に熱接着、または接着剤、または好ましくは嵌合ツメ(interlocking
tab)によって圧入するなどによってはり付けられる予定の一対の間隔をあけたカバープ
レートをもつ硬質外部ハウジング10を含む。一態様において、カバープレート12、14及び/または壁区分16は、本発明のポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイで形成することができる。カートリッジの突起部分(snout portion)13は、電気的に駆動されるプリ
ントヘッド(示されていない)がはり付けられるその最下部端壁(lowermost end wall)にインク吐出口を有する。
【0156】
[0139]比較的硬質の内部プラスチックフレーム20と一対のインク側壁22、24を含む内部リザーバ構造ユニット(inner reservoir structure unit)5は、外部ハウジング10に取り
付けられる。一態様において、側壁22、24及び/またはフレーム20は、本発明のポリアリ
ーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイで形成することができる。フレーム20は、側壁22
、24がそれらの周囲端で結合されて、リザーバ構造を形成する、一対の向かい合う側端21を有する。リザーバ構造は、調圧器30を含み、これは順に柔軟な膜22、24に向かって弓状バネ(bow spring)30によって離れるように強いられた一対の間隔をあけた実質的に平行の金属側板40、50で形成することができる。次いで組み立てられたリザーバ構造体は、カートリッジの壁区分16の内部に取り付けることができ、次いで側壁12、14はカートリッジ周壁16にはり付けることができる。ハウジング10の突起部分13も、インクリザーバと流体連
通するように配置しえるインクフィルター18を含む。フィルター18は、リザーバ構造体内部に取り付けることができるか、またはリザーバ構造体の外部であるが、外部ハウジング10の内部に配置することができ、インクリザーバからフィルター18へ流体連通が起きるようにするために、少し移動(porting)及びシール改造する。周辺外部ハウジング壁16の最
下部分には、その中を通ってインクがフィルター18からプリントヘッド(示されていない)へ下方へ吐出される、インク吐出口を備えることができる。その一つの表面に接着剤を有する、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイから形成することもできる、薄い
が、頑丈なカバー層41、51の形状のエッジガード(edge guard)は、所望によりそれぞれの側板40、50の外部表面に押圧(press bond)することができる。カバー層41、51は、カバー層の周辺の幅(marginal width)が板40、50のそれぞれの端部を超えて伸長するように、側板40、50よりもやや大きいサイズにする。
【0157】
試験法
[0140]溶融粘度:溶融粘度は、走査剪断速度粘度(scanning shear rate viscosity)と
して報告する。本明細書中で報告されるように走査剪断速度粘度は、Dynisco 7001キャピラリーレオメーターを使用して、剪断速度1200s
-1及び温度310℃で、ISO試験No.11443(ASTM D3835と技術的に等価)に従って測定した。レオメーターオリフィス(ダイ)は、直径1mm、長さ20mm、L/D比20.1、入口角180°を有していた。バレル直径は9.55mm±0.005mmであ
り、ロッド長さは233.4mmであった。
【0158】
[0141]溶融安定性:溶融安定性(melt stability)は、ISO試験No.11443(技術的にASTM D3835と等価)に従って測定した。試験は、310℃及び一定の剪断速度で実施した。
【0159】
[0142]引張弾性率、引張応力及び引張伸び:引張特性は、ISO試験No.527(技術的にASTM
D638と等価)に従って試験した。弾性率及び強さの測定は、長さ80mm、厚さ10mm、及び幅4mmをもつ同一試験ストリップサンプルで行った。試験温度は23℃であり、試験速度は5mm/分であった。
【0160】
[0143]曲げ弾性率、曲げ応力及び曲げ歪み:曲げ特性は、ISO試験No.178(技術的にASTM
D790と等価)に従って試験した。この試験は、64mmサポートスパン上で実施した。試験は、切断していないISO 3167マルチパーパスバー(multi-purpose bar)で実施した。試験温
度は23℃であり、試験速度は2mm/分であった。
【0161】
[0144]ウエルドライン引張弾性率、ウエルドライン引張強さ及びウエルドライン引張歪みは、ISO試験No.527(技術的にASTM D638と等価)に従って試験した。この試験は、長さ80mm、厚さ10mm及び幅4mmのダブルゲート型引張試験片(double-gated tensile bar)で実施
した。試験温度は23℃、試験速度は5mm/分であった。
【0162】
[0145]Izodノッチなし衝撃強さ:ノッチなしIzod特性は、ISO試験No.180/1 Uに従って
測定した。試験片は、一本歯フライス盤(single tooth milling machine)を使用してマルチパーパスバーの中心から切り出した。試験温度は23℃であった。
【0163】
[0146]Izodノッチ付き衝撃強さ:ノッチ付きIzod特性は、ISO試験No.180/1A(技術的にASTM D256と等価)に従って試験した。この試験は、タイプAを使用して実施した。試験片は、一本歯フライス盤を使用してマルチパーパスバーの中心から切り出した。試験温度は23℃であった。
【0164】
[0147]荷重撓み温度(Deflection Under Load Temperature:DTUL):荷重撓み温度は、ISO試験No.75-2(ASTM D648-07と技術的に同等)に従って測定した。長さ80mm、厚さ10mm、
幅4mmの試験ストリップサンプルを、指定荷重(最大外部繊維応力(maximum outer fibers
stress))が1.8メガパスカルであるエッジワイズ三点曲げ試験(edgewise three-point bending test)にかけた。試験片をシリコン湯浴中に下げ、試験片が0.25mm(ISO試験No.75-2
に関しては0.32mm)に撓むまで、温度を2℃/分で上昇させる。
【0165】
[0148]塩素含有量:塩素含有量は、Parr Bomb燃焼、続いてイオンクロマトグラフィー
を使用して元素分析に従って測定した。
【0166】
[0149]光沢低下率(Gloss reduction)を使用して付着物の生成を測定する。光沢度計を
使用して、最初に成形前の清浄な金型表面、次いで成形1時間後の金型の表面の光沢度を
測定する。
【0167】
[0150]光沢減少率(%)は、以下のように定義される:
【0169】
光沢度の読み取りは、金型表面の二つの異なる場所で実施し、それぞれの位置で3回測定を繰り返す。読み取りの平均は、光沢減少率を計算するためにとる。光沢減少率がより低いのは、金型の上に生成した付着物がより少ないことに対応する。
【0170】
[0151]任意の好適な光沢度計、たとえばMicro-TRI-Gloss(BYK Gardner GmbH製)を使用
して光沢度を測定することができる。
【0171】
[0152]予備結晶化の融解熱(Precrystallization Heat of Fusion)、1回目の融解熱、二回目の融解熱及び予備結晶化熱は、示差走査熱量計(DSC)で測定した。サンプルは、昇温
速度(ramp rate)10℃/分で40℃〜340℃に昇温した。
【0172】
[0153]結晶化度は、100%結晶性ポリフェニレンスルフィドの融解エンタルピーに関し
て、146.2J/gの値を使用して計算した。
【0173】
[0154]燃焼性(flammability)は、UL-94規格に従って測定した。サンプルを垂直燃焼試
験(vertical burn test)にかけた。試験片を2秒間炎に暴露し、次いで残炎(after flame)が消えるのに必要な時間の長さを測定する。次いで試験片をさらに10秒間炎に暴露し、再び残炎が消えるのに必要な時間の長さを観察する。そのような時間の後、試験片をさらに観察して、試験片が残光(afterglow)する時間を測定する。
【0174】
[0155]破砕した引張試験片(tensile bar)のモルフォロジーは、JOEL走査電子顕微鏡を
使用して調査した。
【0175】
[0156]本開示の態様は、単に態様の説明の目的のためである以下の実施例により説明され、実施しえる本発明の範囲または方法を限定するものではない。他に具体的に記載しない限り、部及びパーセンテージは重量である。
【実施例】
【0176】
実施例1
[0157]ポリフェニレンスルフィド(Fortron(登録商標)0214、Ticona Engineering Polymers製の無添加(natural)ポリフェニレンスルフィド)は、以下のように数種の異なるジスルフィド化合物のうちの一つと310℃で溶融加工する:
L-シスチン;
ジフェニルスルフィド(DPDS);
ジチオ安息香酸(DTSA);
ジヒドロキシフェニルジスルフィド(DHDS);
4-アミノフェニルジスルフィド(4-APDS);
2-アミノフェニルジスルフィド(2-APDS)。
【0177】
[0158]各ジスルフィド化合物の充填レベルは、ジスルフィド1wt%まで変動する。それ
ぞれのサンプルで得られた溶融粘度を
図6に示す。理解できるように、ジスルフィド化合物をポリアリーレンスルフィドと溶融加工すると、生成物の溶融粘度を低減する。
【0178】
実施例2
[0159]試験用のサンプルを形成する際に使用される材料としては、以下の成分を含む:
反応的に官能基化されたジスルフィド化合物
2,2’
-ジチオ
二安息香酸;
3,3’
-ジヒドロキシジフェニルジスルフィド。
【0179】
滑剤
ペンタエリスリトールテトラステアレート;
商標名Dyneon(登録商標)のものと市販のポリテトラフルオロエチレン。
【0180】
ガラス繊維
ガラス繊維910A-10C、4mm、Owens Corning、Inc製。
【0181】
ポリアリーレンスルフィド
Fortron(登録商標)0214無添加ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers製。
【0182】
Fortron(登録商標)0214 MPポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers
製。
【0183】
Fortron(登録商標)0203BG SF3001無添加ポリフェニレンスルフィド、Ticona Engineering Polymers製。
【0184】
液晶ポリマー
Vectra(登録商標)E950iRX、Ticona Engineering Polymers製。
【0185】
Vectra(登録商標)E9500l、VD3003K20、BLACK、Ticona Engineering Polymers製。
【0186】
[0160]試験したそれぞれの材料の具体的な配合は、以下の表1に提供する。
【0187】
【表1】
【0188】
[0161]サンプル001、002、及び004を形成するために、以下に記載の成分を、直径25mm
のWerner Pfleiderer ZSK 25共回転完全噛み合い二軸押出機で混合する。
【0189】
[0162]サンプル003は、ポリアリーレンスルフィドと反応的に官能基化されたジスルフ
ィド化合物を最初に混合し、次いで残りの成分をこの溶融混合した組み合わせと混和する、二段階プロセスに従って形成する。このサンプルで使用するポリフェニレンスルフィドは、最初に二軸押出機で反応押出しプロセスにより、反応的に官能基化されたジスルフィド化合物で官能基化する。次いで官能基化されたポリフェニレンを二軸押出機で他の成分とブレンドする。
【0190】
[0163]サンプルは、Mannesmann Demag D100 NCIII射出成型機で成形する。
【0191】
[0164]押し出したペレットは様々な物理的特性に関して試験する。結果を以下の表2に記載する。
【0192】
【表2】
【0193】
[0165]材料のポリフェニレンスルフィド相を観察し、測定した特徴を以下の表3に記載する。
【0194】
【表3】
【0195】
[0166]
図7A〜7Dは、サンプル001と002の走査電子顕微鏡画像を示す。具体的には、
図7Aはサンプル001のスキン領域、
図7Bはサンプル002のスキン領域、
図7Cはサンプル001のコア領域、及び
図7Dはサンプル002のコア領域のモルフォロジーを示す。
図7Aは、液
晶ポリマーのフィブリルが非混和ブレンド中でかなり長く、そのほとんどがポリフェニレンスルフィドマトリックスから引き出されている。このことは、界面結合が悪いことを示
している。他方、
図7Bは、ポリフェニレンスルフィドマトリックス中のずっと小さな液
晶ポリマーフィブリルを示す。
図7C及び
図7Cは、破砕部分の断面のコア領域におけるモルフォロジーを示す。
図7Cは、液晶ポリマー相が非混和ブレンド(uncompatibilized blend)中で大きな球状粒子として存在することを示している。
図7Dは、混和ポリフェニレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ中の液晶ポリマー相のずっと小さなドメインサイズを示
している。
図7Cのポリフェニレンスルフィド/液晶ポリマーブレンド中の予想液晶ポリマードメインサイズは5〜20ミクロンであるが、
図7Dの混和アロイ中では1ミクロン未満に低減する。このことは、溶融状態で液晶ポリマー相とポリフェニレンスルフィド相との間の界面張力が低減していること、そしてこれが改善された相溶性の直接的証拠となることを示している。
【0196】
[0167]サンプル001及び002の示差走査熱量計サーモグラムを
図8に示し、他の熱的特性を表3にまとめる。これらから理解されるように、ポリフェニレンスルフィド相と液晶ポリマー相の両方の融解転移(melting transition)は、相溶化(compatiblization)によって影響を受けなかったが、結晶化挙動は、非相溶化ブレンドト相溶化アロイとの間で確かに差があった。ポリフェニレンスルフィド相の結晶化温度は225℃から216℃に低下し、結晶化熱も19.27J/gから16.44J/gに低下した。このことは、ポリフェニレンスルフィド結晶化プロセスが遅延(retardation)したことを示していた。過冷却度が増加することにより示
されるように、相溶化ポリフェニレンスルフィド/液晶ポリマーブレンド中では、ポリフ
ェニレンスルフィド相の結晶化速度が低下した。結晶化温度におけるそのような低下及びポリフェニレンスルフィド相の過冷却の増加は、非混和性ブレンドの相溶化で発生することは公知である。表3のデータにより示されるように、相溶化によりポリフェニレンスルフィド相の結晶化が減少しており、これは相溶化ブレンドの従前の研究からも観察されたことである。
【0197】
[0168]燃焼性試験は、物理的ブレンド材料(サンプル001)と相溶化させた材料(サンプル002)が両方とも、厚さ0.2ミリメートルでV-0の評価に合格したことを確認した。
【0198】
[0169]サンプル001及び002の塩素含有量を
図9に示す。図から解るように、サンプル001のブレンドの塩素含有量は1500ppmであったが、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマ
ーアロイを含む相溶化材料の塩素含有量は490ppmに低下した。従って、このアロイは現在の工業基準に従ってハロゲンフリーであると考えられる。
【0199】
実施例3
[0170]サンプルは、実施例1に記載の単一段階押出しプロセスで形成する。ホスファイト安定化剤、Doverphos S680(Dover Chemical Company製)をサンプル009と010に配合した。配合は以下の表4に示す。
【0200】
【表4】
【0201】
[0171]押し出したペレットは、灰分含有量及び溶融粘度に関して試験し、結果を表5にまとめる。
【0202】
【表5】
【0203】
[0172]サンプルを射出成形し、表6にまとめるように特定の特性に関して試験する。
【0204】
【表6】
【0205】
[0173]相溶化されていない(反応的に官能基化されたジスルフィド化合物を含まない)ポリフェニレンスルフィド/液晶ポリマーアロイと相溶化された(反応的に官能基化されたジスルフィド化合物を含む)ポリフェニレンスルフィド/液晶ポリマーアロイの両方の機械的特性は、相溶化されたアロイにおいてウエルドライン強さと衝撃強さとが有意に改善されたことを除いては同等であり、これは、二つの相の間の混和性と改善された応力転移(stress transfer)の直接的な影響であると理解される。
【0206】
[0174]Izodノッチなし耐衝撃性とノッチ付き耐衝撃性は両方とも、相溶化で有意な改善を示した。特にノッチ付きIzod衝撃は45%だけ増加する。耐衝撃性は、マトリックス内の
衝撃エネルギーの放散能力と、連続相から分散相への内部応力の送達に依存する。耐衝撃性が改良されたことは、相溶化されたPPS/LCPアロイにおける改善された界面結合をよく
示している。相溶化されたPPS/LCPアロイのウエルドライン強さも、PPS/LCP物理的ブレンドと比較して37%だけ増加し、これは、より良い混和性と、相溶化アロイのウエルドラインでより効率的な応力転移に起因すると考えられる。
【0207】
[0175]相溶化されたポリフェニレンスルフィドは、表面光沢度により示されるように改善された表面特性をもつ(
図10)。より低い塩素含有量のため、相溶化されたポリフェニレンスルフィド/液晶ポリマーアロイは、相溶化されていないポリフェニレンスルフィド/液晶ポリマーアロイで知見される金型の付着物を低減することもできる。
【0208】
実施例4
[0176]ガラス繊維サンプルは、濃硝酸中で短くし(digest)、続いて誘導結合プラズマ(inductive coupled plasma)/質量分析で、以下のホウ素含有ガラスサンプルとホウ素を含
まないガラスサンプルとの間の抽出可能なカチオンのレベルを測定する。
【0209】
サンプル11:ホウ素含有E-ガラス(NEG製);
サンプル12:ホウ素含有E-ガラス(Vetrotex製);
サンプル13:ホウ素を含まない(boron-free)E-ガラス(Owens Corning Vetrotex:OCV製);及び
サンプル14:ホウ素を含まないE-ガラス(OCV製)、サンプル10と同一サイズ。
【0210】
以下の表は、硝酸により短くした後でのホウ素を含有するガラスとホウ素を含まないガラスとの間の抽出可能なカチオンのレベルを比較する。
【0211】
【表7】
【0212】
【表8】
【0213】
【表9】
【0214】
[0177]表7〜9に示されたように、ホウ素を含まないE-ガラス繊維(サンプル13及び14)は、典型的なホウ素を含有するE-ガラスよりも総カチオン量がずっと低い。
【0215】
[0178]本発明を説明する目的に関して、特定の代表的な態様及び詳細を示してきたが、当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更及び変形を実施しえることは明らかであろう。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[1]ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイであって、
ポリアリーレンスルフィド;
液晶ポリマー;及び
相溶化剤、ここで、前記相溶化剤は、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイの形成と併せてその場で形成されるコポリマーであり、前記相溶化剤は、互いに共重合されるポリアリーレンスルフィドの第一のユニットと、液晶ポリマーの第二のユニットとを含む;
を含む、上記ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ。
[2]前記ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイは、前記ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイの重量の約5wt%〜約90wt%のポリアリーレンスルフィドと、前記ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイの重量の約5wt%〜約90wt%の液晶ポリマーとを含む、[1]に記載のポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ。
[3]前記ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ中の液晶ポリマー対ポリアリーレンスルフィドの比が、約5:1〜約1:5である、[1]または[2]に記載のポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ。
[4]前記ポリアリーレンスルフィドがホモポリマーまたはコポリマーである、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ。
[5]前記ポリアリーレンスルフィドが、剪断速度1200s-1及び温度310℃でISO試験No.11443に従って測定して約1500ポアズを超える溶融粘度をもち、且つ前記ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイが、1000ppm(parts per million)未満の塩素含有量である、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ。
[6]前記ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイが、約225℃未満の再結晶化温度をもつポリアリーレンスルフィドを含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ。
[7]前記組成物が、ホスファイト安定化剤、有機リン酸塩、繊維充填剤、オルガノシランカップリング剤、無機充填剤、耐衝撃性改良剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される一つ以上の添加剤をさらに含む、[1]に記載のポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ。
[8]前記組成物が、以下の特徴:
剪断速度1200s-1及び温度310℃で、ISO試験No.11443に従って測定して約1500ポアズ未満の溶融粘度、
試験温度23℃及び試験速度5mm/分で、ISO試験No.527に従って測定して、約30MPaを超えるウエルドライン引張強さ、
約60を越える表面光沢度、
温度23℃で、ISO試験180/1Uに従って測定して、約19kJ/m2を越えるノッチなしIzod衝撃強さ
の一つ以上をもつ、[7]に記載の組成物。
[9]繊維充填剤をさらに含む、[7]に記載の組成物。
[10]前記繊維充填剤が、本質的にホウ素を含まないガラス繊維を含む、[9]に記載の組成物。
[11][10]に記載の組成物を含む、プリンターカートリッジまたはプリンター部品。
[12][1]に記載のポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを含む、電気コネクター、オーバーモールド、またはコンピューター。
[13][1]〜[12]のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイを形成する方法であって、
前記ポリアリーレンスルフィドと、反応性部分を含む反応的に官能基化されたジスルフィド化合物とを溶融加工すること、ここで、前記反応的に官能基化されたジスルフィド化合物は、ポリアリーレンスルフィドのほんの一部と反応するために化学量論量で存在して、反応的に官能基化されたジスルフィド化合物の反応性部分でエンドキャップされたポリアリーレンスルフィドを形成する;
液晶ポリマーと前記ポリアリーレンスルフィドとを混和すること;
ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイ中で相溶化剤であるポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーコポリマーを形成すること;
の各段階を含む、上記方法。
[14]ポリアリーレンスルフィドと反応的に官能基化されたジスルフィド化合物とを溶融加工するのに併せて、前記液晶ポリマーをポリアリーレンスルフィドと混和するか、またはポリアリーレンスルフィドと反応的に官能基化されたジスルフィド化合物とを溶融加工した後に、液晶ポリマーをポリアリーレンスルフィドと混和する、[13]に記載の方法。
[15]前記ポリアリーレンスルフィド及び/または液晶ポリマーを形成する段階をさらに含み、前記ポリアリーレンスルフィドは、剪断速度1200s-1及び温度310℃で、ISO試験11443に従って測定して、約1500ポアズを超える溶融粘度をもつ、[13]に記載の方法。
[16]一つ以上の添加剤と前記ポリアリーレンスルフィドとを混和することをさらに含み、ポリアリーレンスルフィドと反応的に官能基化されたジスルフィド化合物とを溶融加工するのに併せて、前記一つ以上の添加剤とポリアリーレンスルフィドとを混和する、[13]に記載の方法。
[17]反応的に官能基化されたジスルフィド化合物の反応性部分は、ヒドロキシル部分、カルボキシル部分、アミノ部分、及びニトロ部分からなる群から選択される、[13]に記載の方法。
[18]反応的に官能基化されたジスルフィド化合物は、ポリアリーレンスルフィド/液晶ポリマーアロイの重量の約0.1wt%〜約3wt%の量でポリアリーレンスルフィドと溶融加工される、[13]に記載の方法。