(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
一態様として、下記式で表される、末端反応性官能基を含有する主鎖上にグラフトされたポリイソブチレンを有する反応性官能化PIBグラフト化ポリマーを記載する:
【化2】
【0011】
Zは、1ないし約50原子、有利には1ないし約20原子、より有利には1ないし約10原子を有する概略直鎖の構造体を有している有機主鎖である。該Z構造体は、1以上の脂肪族基、1以上の芳香族基、1以上のヘテロ原子またはそれらの任意の組み合わせを含有しうる。該Z構造体は、枝分れ、ペンダント脂肪族、ペンダント芳香族基およびペンダントヘテロ原子の1以上を含むことができる。Zは、ポリイソブチレンにはならない。
【0012】
各Mは、X
1およびX
2の1つを、Z有機主鎖の1つの原子に結びつけている。各Mは、共有結合または1〜約20原子、有利には1〜約10原子を有する有機構造体から独立して選択される。M構造体としては、例えば、共有結合、へテロ原子、C
1−10アリキル、C
6−10アリール、アミド、ウレタン、ウレア、C
3−6脂環式、C
6−10シクロアリールおよびポリエーテルを含む。Mは、その構造体内に、1以上の直鎖、枝分れまたは環状部分;1以上の飽和、不飽和または芳香族部分;カルボニル、アミド、アルキル、C
3−6シクロアルキル、C
6−10シクロアリールから選択される1以上の置換基;N、OまたはS原子等のヘテロ原子1以上、またはそれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0013】
X
1およびX
2は、独立して、Hまたは反応性官能基から選択されるが、X
1およびX
2の少なくとも1つは、反応性官能基でなければならない。反応性官能基としては、例えば、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、アリル、スチレン、ビニルエーテル、マレイミドおよびN−ビニルアミドを含む。好ましくは、両X
1およびX
2は、独立して選択された反応性官能基を含有する。より好ましくは両X
1およびX
2は、独立して選択されたアクリレート反応性官能基またはメタクリレート反応性官能基を含有する。
【0015】
Lは、ポリイソブチレン基を、Z有機主鎖の1原子か、またはM部分の1原子に結びつける。ポリイソブチレン基は、Lリンカー上の末端位置になければならないというものではない。Lは、共有結合、または1ないし約30原子、有利には1〜約20原子、より有利には1〜約10原子を有する有機構造体から選択される。Lは、その構造体内に、1以上の直鎖、枝分れまたは環状部分、1以上の飽和、不飽和または芳香族部分、1以上のN、OまたはS原子等のヘテロ原子、またはそれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。L構造体としては、例えば、C
1−5アルキル、ヘテロ原子、エステル、チオエステル、アミド、イミド、環状イミド、ケトン、カルボキシル、ウレタン、カーボネート、ウレアおよびそれらの組み合わせを含む。Lが共有結合ならば、ポリイソブチレン基は、Z有機主鎖原子に直接結合する。Lリンカーが多数ある場合、各Lリンカーは、独立して選択され、他のLリンカーと異なっていても、また同じであってもよい。
【0017】
一態様として、下記式で表される、末端反応性官能基を含有する主鎖上にグラフトされたポリイソブチレンを有する反応性官能化PIBグラフト化ポリマーを記載する:
【化3】
【0018】
Zは、1ないし約50原子、有利には1ないし約20原子、より有利には1ないし約10原子を有する概略直鎖の構造体を有している有機主鎖である。該Z構造体は、1以上の脂肪族基、1以上の芳香族基、1以上のヘテロ原子またはそれらの任意の組み合わせを含有しうる。該Z構造体は、枝分れ、ペンダント脂肪族、ペンダント芳香族基およびペンダントヘテロ原子の1以上を含むことができる。Zは、ポリイソブチレンにはならない。
【0019】
各Mは、1つのXを、Z有機主鎖の1つの原子に結びつけている。各Mは、共有結合または1〜約20原子、有利には1〜約10原子を有する有機構造体から独立して選択される。M構造体としては、例えば、共有結合、へテロ原子、C
1−10アリキル、C
6−10アリール、アミド、ウレタン、ウレア、C
3−6脂環式、C
6−10シクロアリールおよびポリエーテルを含む。Mは、その構造体内に、1以上の直鎖、枝分れまたは環状部分;1以上の飽和、不飽和または芳香族部分;カルボニル、アミド、アルキル、C
3−6シクロアルキル、C
6−10シクロアリールから選択される1以上の置換基;N、OまたはS原子等のヘテロ原子1以上、またはそれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0020】
各Xは、独立して、Hまたは反応性官能基であるが、少なくとも1つのXは、反応性官能基でなければならない。反応性官能基としては、例えば、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、アリル、スチレン、ビニルエーテル、マレイミドおよびN−ビニルアミドを含む。好ましくは、Xは、アクリレート反応性官能基またはメタクリレート反応性官能基である。より好ましくは、各Xは、独立して選択されたアクリレート反応性官能基またはメタクリレート反応性官能基を含有する。
【0022】
Lは、ポリイソブチレン基Yを、Z有機主鎖の1原子に結びつける。ポリイソブチレン基は、Lリンカー上の末端位置になければならないというものではない。Lは、共有結合、または1ないし約30原子、有利には1〜約20原子、より有利には1〜約10原子を有する構造体から選択される。Lは、1以上の直鎖、枝分れまたは環状部分、1以上の飽和、不飽和または芳香族部分、1以上のN、OまたはS原子等のヘテロ原子、またはそれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。L部分としては、例えば、C
1−5アルキル、ヘテロ原子、エステル、チオエステル、アミド、イミド、環状イミド、ケトン、カルボキシル、ウレタン、カーボネート、ウレアおよびそれらの組み合わせを含む。Lが共有結合ならば、ポリイソブチレン基は、Z有機主鎖に直接結合する。Lリンカーが多数ある場合、各Lリンカーは、独立して選択され、他のLリンカーと異なっていても、また同じであってもよい。
【0023】
mおよびnはそれぞれ独立して1−10の整数である。
【0024】
一態様として、下記式で表される、末端反応性官能基を含有する主鎖上にグラフトされたテレケリックポリイソブチレンを有する反応性官能化PIBグラフト化ポリマーを記載する:
【化4】
【0025】
Zは、1ないし約50原子、有利には1ないし約20原子、より有利には1ないし約10原子を有する概略直鎖の構造体を有している有機主鎖である。Zは、飽和または不飽和基であってよい。該Z構造体は、1以上の脂肪族基、1以上の芳香族基、1以上のヘテロ原子またはそれらの任意の組み合わせを含有しうる。該Z構造体は、枝分れ、ペンダント脂肪族、ペンダント芳香族基およびペンダントヘテロ原子の1以上を含むことができる。Zは、ポリイソブチレンにはならない。
【0026】
X
1、X
2、X
3およびX
4は、それぞれ独立してHまたは反応性官能基から選択されるが、X
1、X
2、X
3およびX
4の少なくとも1つは反応性官能基でなければならない。反応性官能基としては、例えばアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、アリル、スチレン、ビニルエーテル、マレイミドおよびN−ビニルアミドかを含む。好ましくは、X
1、X
2、X
3およびX
4のすべてが、独立して選択された反応性官能基を含有している。より好ましくは、X
1、X
2、X
3およびX
4のすべてが、独立して選択されたアクリレートまたはメタクリレート反応性官能基を含有している。
【0028】
R
1およびR
2は、反応性官能基X
1、X
2、X
3およびX
4およびPIB基Yを主鎖Zに結びつけるセグメントである。R
1およびR
2は、それぞれ独立して選択された、1ないし約30原子、有利には1ないし約20原子、より有利には1ないし10原子を有する有機構造体である。R
1およびR
2は、それぞれ独立して、その構造体中に、1以上の直鎖、枝分れまたは環状部分、1以上の飽和、不飽和または芳香族部分、1以上のN、OまたはS原子等のヘテロ原子、またはそれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。R
1およびR
2部分としては、例えば、ヘテロ原子、C
1−10アルキル、C
6−10アリールを含む。
【0029】
開示された態様におけるどの態様においても、反応性官能化PIBグラフト化ポリマーは、接着剤またはシーラントとしての使用に適した熱または光硬化性組成物の一部として使用することができる。
【0030】
開示された態様におけるどの態様においても、反応性官能化PIBグラフト化ポリマーは、最大分子量約30000、好ましくは約10000以下、より好ましくは1000ないし10000の分子量を有する。すべての分子量は、別途規定していない限り、重量平均(Mw)に基づいている。
【0031】
反応性官能化PIBグラフト化ポリマーは、液体、ペースト、または固体であり得る。固体の場合、テレケリックポリマーは、フィルム等の便利な形状に形成できる。好ましくは、テレケリックポリマーは、粘性のある、液体またはペーストである。液体またはペーストのテレケリックポリマーの粘度は、B型粘度計(モデルDV-11)またはARES-M流量計により測定して10000cPsないし約5000000cPsにまたがっていてよい。本明細書に使用されているように、液体は、室温(約70°F)重力下で流れるものである;ペーストは、室温重力下で流れても流れなくてもよいが、ポンプで汲み上げることができる;そして、固体は、室温重力下で流れず、そして室温で汲み上げることができない。
【0032】
反応性官能化PIBグラフト化ポリマーの合成
ポリイソブチレングラフト化アクリレート、メタクリレート、アクリルアミドの合成
ポリイソブチレングラフト化多官能価(メタ)アクリレートポリマーの合成の1プロセスは、所望により溶媒および触媒量の塩基またはルイス酸の存在下、ヒドロキシ、アミノまたはチオール基を含有するジアクリレートと、商業的に入手可能なポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA)との反応を含む。低分子量(約2300Mn未満)PIBSAが、BASFおよびTexas Petrochemicalsグループ等の供給業者から商業的に入手可能である。より高分子量(約2300Mw)PIBSAの製造のための合成手順が知られている。例えば、合衆国特許No.4169836参照のこと。その全内容を本明細書の一部として引用する。
【0033】
本アプローチを使用し、PIBアクリレート1;PIBアクリレート2;およびPIBアクリレート3等のいくつかのポリイソブチレングラフト化ジアクリレートおよびメタクリレートを、下記反応式に示したように、対応するモノヒドロキシまたはジヒドロキシジアクリレートまたはメタクリレートから製造した。
【0034】
対応するヒドロキシアクリレート出発物質は、Sigma-Aldrich社から商業的に入手可能である。反応は、より高い温度であればストレートで行うことができるであろう。所望により、THF、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンおよび、ヘキサンおよびトルエン等の脂肪族または芳香族炭化水素等の溶媒を使用することができる。所望によりルイス塩基またはルイス酸を、触媒として使用し、反応を加速することができる。ルイス塩基としては、例えばトリエチルアミン、DMAP等のターシャリーアミンを含む。ルイス酸としては、例えば、過塩素酸亜鉛、ビスマストリフレート、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートを含み、すべてSigma-Aldrich社から商業的に入手可能である。
【化5】
【0035】
同様に、対応PIBグラフト化アクリルアミドは、下記化学式に示された商業的に入手可能(Sigma-Aldrich社)なジヒドロキシビスアクリルアミドと、PIBSAとを反応させることにより調製することができる。
【化6】
【0036】
主鎖上に多ヒドロキシル基を有するジアクリレートを使用すると、PIBSAに対するジアクリレートの比を変え、下記化学式に示したようにジアクリレート主鎖上にグラフト化した、1、2または3PIBユニットを得ることができるであろう。かくして、PIBアクリレート4、5、および6を、商業的に入手可能(Sigma-Aldrich社)なトリヒドロキシジアクリレートと、適切な化学量論的量のPIBSAとを反応させることにより得ることができた。分析的技術としてGPSを使用し、トリヒドロキシジアクリレート化合物上に多ポリイソブチレンユニットがグラフト化していることを確認した。ポリイソブチレン分子量が、低温カチオン重合を通じて制御される従来の方法と異なり、本方法は、グラフト化工程を通じてPIBグラフト化アクリレートポリマーの分子量を制御する機会を提供するものである。本PIBのコントロールされたグラフト化は、また、ポリマーのPIB装填量を調整する機会を与え、低表面エネルギー付着を有利に高める。
【化7】
【0037】
同様の制御されたグラフト化グラフト化を、下記化学式にも示されているようにジヒドロキシモノメタクリレート上に行うことができた。本方法を使用し、PIBアクリレート7が、グリセロールモノメタクリレート上にPIBSAをグラフトすることにより合成された。
【化8】
【0038】
いくつかのポリイソブチレンユニットが、主鎖に添って異なるポイントでアクリレート主鎖に結合している、化学式5、7、8に示されているPIBジアクリレートとは異なり、多ポリイソブチレンユニットを、シングルポイントで主鎖に結合させることもできた。実施例としては、下記化学式に示された数例の実施例を含んでおり、PIBSAと、商業的に入手可能(Sigma-Aldrich社)なポリヒドロキシアクリレートおよびアクリルアミド出発物質との反応により得ることができる。
【化9】
【0039】
上記化学式5、7、8および9に記述されたすべての合成において、グラフト化プロセスの間に、ポリイソブチレン基当たり、1つのカルボン酸基が生じる。熱および光硬化性組成物、特に、エポキシアクリレートを含有している組成物においては、エポキシ官能性に加えてフリーカルボン酸基を有することは望ましくない。このような硬化性組成物に対して、下記化学式に概略的に示されているようなアミノアルコールからスタートするカルボン酸フリーグラフト化プロセスが開発された。このプロセスは、アミノアルコールのPIBSAによるイミド化を含み、中間体イミドアルコールを得、該イミドアルコールをアクリル酸でエステル化し、PIBグラフト化アクリレートを得ることができる。
【化10】
【0040】
下記化学式に関しては、商業的に入手可能なアミノアルコールを、PIBSAと反応させ、続いてイミド化し、中間体イミドアルコールを得た。該イミドアルコールをフィッシャーエステル化条件下メタクリル酸と反応させ、PIBアクリレート8を得た。逆に、t−ブチルアミノエチルメタクリレート等のアミン含有メタクリレートをPIBSAの無水物のリングオープニングのために使用することができ、続いて、環化によりPIBアクリレート9が得られる。
【化11】
【0041】
前記グラフト化およびエステル化の順に使用できるアミノアルコールとしては、例えば、下記化学式に示されている。これらは、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、セリノール(serinol)、1,3−ジアミノ−2−プロパノールおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含むが、それらに限定されるものではない。ここに例示したものはすべて、Sigma-Aldrich社から商業的に入手可能である。第2アミノアルコールは、対応するアミドアクリレートまたはメタクリレートを提供するのに使用できる。第2アミノアルコールとしては、例えば、下記化学式で示されている、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、ジエタノールアミンおよびN,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを含むが、それらに限定されるものではない。
【化12】
【0042】
グラフト化構造PIBアクリレートを得る他のアプローチを、下記化学式に概略的に示す。本アプローチにおいては、PIBSAをヒドロキシエチルメタクリレートと反応させることにより得ることができるPIBアクリレート10は、多官能価のビニルエーテルと反応させて、カルボン酸−ビニルエーテル付加反応により、PIBアクリレート11を得る。PIBアクリレート11は、ジアクリレート主鎖に沿って、PIBのグラフト化構造を有している。
【化13】
【0043】
PIBアクリレート10は、多官能価のビニルエーテルと反応させて、カルボン酸−ビニルエーテル付加反応により、PIBポリマーを得る。このPIBアクリレートポリマーは、ジアクリレート主鎖に沿って、PIBのグラフト化構造を有している。
【0044】
PIBアクリレート10と2つのビニルエーテル(エチルビニルエーテルおよび2−ヒドロキシエチルビニルエーテル)を反応させて、熱およびマイクロ波両条件下で、カルボン酸−ビニルエーテル付加反応により、PIBアクリレート12および13(下記化学式)を得た。本方法は、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、ビニルエーテルエチルメタクリレート等の他のビニルエーテルに拡張し、対応するPIBグラフト化ジアクリレートを得た。本付加反応に使用することができたビニルエーテルのさらなる例として、VECTOMERシリーズに属するビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル](4-メチル-1,3-フェニレン)ビスカルバメート、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル](メチレンジ-4,1-フェニレン)ビスカルバメート、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]-1,6- ヘキサンジイルビスカルバメート(hexanediylbiscarbamate)、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]イソフタレート、ビス[4-(ビニルオキシブチル]スクシネート、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]テレフタレート、ビス[4-(ビニルオキシメチル)シクロヘキシルメチル]グルタレート、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、およびトリス[4-(ビニルオキシ)ブチル]トリメリテートを例示できるが、それらに限定されるものではない。
【化14】
【0045】
ポリイソブチレングラフト化アリルアミド、アリルエーテルおよびビニルエーテルを得るためのアプローチは、適切に置換された出発物質とPIBSAとの反応を含む。例えば、下記化学式に示されているジアリルグラフト化ポリイソブチレンは、商業的に入手可能なジアリルアミン(Sigma-Aldrich社)とPIBSAとの反応により製造できた。PIBSAでの同様なグラフト化に使用できたアリル基幹(substrate)の他の例としては、3-アリルオキシ-1,2-プロパンジオール、トリメチロールプロパンアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アミノエチルビニルエーテル(これらはすべてSigma-Aldrich社から商業的に入手可能である)を含むが、これらに限定されるものではない。
【化15】
【0046】
官能化PIBグラフト化ポリマーを含有する硬化性組成物
開示された反応性官能化PIBグラフト化ポリマーは、接着剤またはシーラントとしての使用に適した熱または光硬化性組成物の基礎材料として使用できる。
【0047】
望ましくは、組成物は、ポリマーのフリーラジカル硬化メカニズムを開始することができる硬化誘発成分を含む。1態様において、開始成分は、光開始剤である。全体としての硬化性組成物が化学線等の電磁放射線に晒されると、光開始剤は硬化プロセスの速度を高める。有用な化学線は、紫外線、可視光、およびそれらの混合線を含む。望ましくは、液状ガスケット形成材を硬化するのに使用される化学線は、波長約200nmないし約1000nmを有する。有用なUVは、A波紫外線(約320nm〜約410nm)、B波紫外線(約290nm〜約320nm)、C波紫外線(約220nm〜約290nm)およびそれらの混合紫外線を含むが、これらに限定されるものではない。有用な可視光は、青色光、緑色光およびそれらの混合光を含むが、これらに限定されるものではない。このような有用な可視光は波長約450nm〜約550nmを有する。
【0048】
本発明における使用に適した光開始剤としては、例えば、商品名「IRGACURE」および「DAROCUR」、特に、「IRGACURE」184(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、907(2-メチル-1- [4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン)、369(2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン)、500(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびベンゾフェノンとの組合せ)、651(2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン)、1700(ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンの組合せ)、および819[ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド]および「DAROCUR」1173(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン-1-オン)および4265(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニル-ホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンの組合せ)名でCiba Specialty Chemicals社から商業的に入手可能な光開始剤;および可視光[青色]光開始剤、dl-カンファーキノン(dl-camphorquinone)および「IRGACURE」784DCを含むが、これらに限定されるものではない。もちろん、これらの材料の混合物も本明細書において使用できる。
【0049】
本明細書に有用な他の光開始剤は、メチル、エチル、プロピルおよびブチルピルベート等のアルキルピルベート、およびフェニル、ベンジル等のアリールピルベート、およびそれらの適宜置換誘導体を含む。本明細書の使用に特に適した光開始剤は、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(例えば、「IRGACURE」651)、および2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン(例えば、「DAROCUR」1173)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(例えば、「IRGACURE」819)等の紫外線光開始剤、およびビス(2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(例えば、「IRGACURE」1700)の紫外線/可視光開始剤組合せ、同様に可視光開始剤ビス(η
5‐2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル]チタン(例えば、「IRGACURE」784DC)を含む。
【0050】
ラジカル硬化誘導成分は、熱硬化開始剤(すなわち、所望の高温条件、例えば約90℃ないし約150℃(約194゜Fないし約302゜F)でフリーラジカルを製造する成分またはそれらの成分の組合せ)であってもよい。適当な開始剤はパーオキシ物質、例えばパーオキシド、ヒドロパーオキシド、およびパーエステルを含んでいてもよく、それらは、適当な高温条件下で分解し、熱硬化性組成物の重合にとって、開始時に(initiatingly)効果的なパーオキシフリーラジカルを形成する。組成物の約0.1重量%ないし約10重量%、好ましくは0.1重量%ないし3重量%程度の濃度でラジカル硬化誘導成分にエポキシ物質を使用してもよい。
【0051】
熱誘硬化開始剤の他の有用な種類は、熱分解したときフリーラジカルを生成するアゾニトリル化合物を含有する。
【0052】
例えば、アゾニトリルは下記化学式の化合物であってよい:
【化16】
(式中、各R
14は、独立して、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、iso-ブチルまたはn-ペンチル基から選択される;各R
15は、独立して、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、シクロプロピル、カルボキシ-n-プロピル、iso-ブチル、シクロブチル、n-ペンチル、neo-ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、p-クロロベンジル、またはp-ニトロベンジル基から選択される;または、R
14およびR
15は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、下記式の基:
【化17】
(式中、mは、3ないし9の整数である。)
または下記式の基
【化18】
を表す。)。
【0053】
上記式の化合物は、米国特許第4416921号に、より十分に記載されており、その開示は
参照することにより本明細書に含まれるものである。
【0054】
上記化学式のアゾニトリル開始剤は、容易に商業的に入手可能であり、
例えば、VAZO52(R
14がメチル、R
15がイソブチル)、VAZO64(R
14がメチル、R
15がメチル)、およびVAZO67(R
14がメチル、R
15がエチル)(このようなR
14およびR
15のすべての構成要素は、上記アゾニトリル一般式に関連して同定される。)を含むE. I. DuPont de Nemours and Company社、デュポン・カンパニー、デラウェア州ウィルミントンから、商標VAZOの名称で商業的に入手可能な開始剤である。望ましいアゾニトリル開始剤は、2,2'-アゾビス(iso-ブチロニトリル)またはAIBNである。
【0055】
アゾニトリルは、組成物重量で、約500ないし約10000ピーピーエム(ppm)、望ましくは約1000ないし約5000ppm程度の濃度で硬化誘発成分に使用されてよい。
【0056】
硬化性組成物は、硬化性共反応体成分を含有しうる。硬化性共反応体成分の1つの有用な種類は、多官能価アルコール、ポリアミン、ポリチオール、およびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの化合物を含む。他の有用な硬化性共反応体成分は、末端、第1、および第2アミン基を含有するポリアミンまたは多価アルコール、例えば、グリセロール、エチレングリコール、ビスフェノールA、4,4'-ジヒドロキシ-フェニルジメチルメタン置換ビスフェノール‐A等のアルカン、シクロアルカン、アルケンおよびシクロアルケンポリオールを反応させて得られるものを含む。有用なアルコールは、限定されるものではないが、3−7のエチレンオキサイド繰り返し単位および末端ヒドロキシ基を有するポリエチレングリコールエーテル;ポリエーテルアルコール;ポリエステルアルコール;同様にポリブタジエンに基づくアルコールを含む。1つの有用なアルコールは1,4−ブタンジオールである。その他の有用なアルコールとしては、制限するものではないが、ヒマシ油、グリセリン、ポリエチレングリコール、エーテルジオール、エチレングリコール、カプロラクトンポリオールおよびそれらの組み合わせを含む。
【0057】
硬化性共反応体成分のもう1つの有用な種類は、アクリレート、例えば、ポリ−およびモノ−官能価(メタ)アクリレートエステルである。(メタ)アクリレートエステルは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸の両方を含む。有用な(メタ)アクリレートエステルは、一般構造CH
2=C(R)COOR
1(式中、Rは、H、CH
3、C
2H
5またはハロゲン、例えばClであり、そしてR
1は、C
1-16モノ‐またはビシクロアルキル、最大2つの酸素原子を複素環に有する3〜8員の複素環、H、アルキル、ヒドロキシアルキルまたはアミノアルキル(アルキル部分は、C
1-8直鎖又は分枝の炭素原子鎖である)を有している。
【0058】
モノ官能価の重合性(メタ)アクリレートエステルモノマーとしては、例えば、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-アミノプロピルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートおよび対応するアクリレートを含む。多官能価モノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートを含む。
【0059】
いくつかの有用なアクリレートは下記構造の範囲内にあるものを含む:
【化19】
(式中、R
2は、水素、1〜約4個の炭素原子を有するアルキル、1〜約4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル、または
【化20】
から選択されてもよい;
R
3は、水素、ハロゲン、および1〜約4個の炭素原子を有するアルキル、およびC
1−8モノ−またはビシクロアルキル、最大2個の酸素原子をリング内に有する3ないし8員環ヘテロ環基から選択されてもよい;
R
4は、水素、ヒドロキシ、および
【化21】
mは、少なくとも1、
例えば、1ないし約8以上、例えば1〜約4に等しい整数である;
nは、少なくとも1、
例えば、1ないし約20以上に等しい整数である;および
vは、0または1である。)
から選択されてもよい。
【0060】
いくつかの有用なアクリレートは、下記一般構造の範囲内にあるものを含む:
【化22】
【0061】
式中、R
5は、H、CH
3、C
2H
5またはCl等のハロゲン;R
6は、(i)C
1-8ヒドロキシアルキレンまたはアミノアルキレン基、(ii)C
1−6アルキルアミノ-C
1-8アルキレン、ヒドロキシフェニレン、アミノフェニレン、C
1−3アルキル、C
1−3アルキルアミノ、またはジ−C
1−3アルキルアミノ基で置換されていてもよいヒドロキシナフタレンまたはアミノナフタレン;および、R
7はC
2−20のアルキレン、アルケニレンまたははシクロアルキレン、C
6-40アリーレン、アルカリーレン、アラルカリーレン(aralkarylene)、1〜4個のハロゲン原子または1-3アミノまたはモノ-もしくはジ-C
1−3アルキルアミノまたはC
1−3アルコキシ基で置換されていてもよいアルキルオキシアルキレンまたはアリールオキシアリーレンである。他の有用なウレタンアクリレートは、下記一般構造の範囲内にあるものを含む:
【化23】
式中、R
5、R
6、およびR
7は、上記と同様である;R
8は、それぞれ少なくともn 第1、または第2アミノまたはヒドロキシ基を有するポリアミンまたは多価アルコールの非官能性残基である;Xは、OまたはNR
9(R
9は、HまたはC
1−7アルキル基である);および、nは、2ないし20の整数である。
【0062】
他の有用なアクリレートは、ビスフェノールAの、アクリレート、メタクリレート、およびグリシジルメタクリレートエステルの部類から選択することができる。エトキシレート化ビスフェノール−A−ジメタクリレート(「EBIPMA」)が、特に、有用である。
【0063】
他の有用なアクリレートとしては、以下に例示のものを含むが、それらに限定されるものではない:ジ-、トリ-、およびテトラ-エチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジ(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(クロロアクリレート)、ジグリセロールジアクリレート、ジグリセロールテトラメタクリレート、テトラメチレンジメタクリレート、エチレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレート。
【0064】
アクリレート共反応体成分は、純粋な状態である必要はなく、多価フェノール、キノン等の抑制剤または安定剤が含まれている商業的品種を含んでいてもよい。これらの材料は、フリーラジカル抑制剤として機能し、アクリレート共反応体成分の早期重合を防ぐ。上記でリストされているもの、または不飽和基ハイドロカーボンおよび不飽和基エステルを含む不飽和基モノマー等のさらなる添加剤から1以上のモノマーを利用することにより、硬化組成物に対して改良された特性を得ることもまた本開示の範囲内である。
【0065】
硬化性組成物は、反応性官能化PIBグラフト化ポリマーを組成物の約1重量%ないし約99重量%含む。好ましくは、硬化性組成物は、反応性官能化PIBグラフト化ポリマーを組成物の約10重量%ないし約50重量%含む。
【0066】
硬化性組成物は、所望により、1以上の共反応体成分を組成物の約1重量%ないし約99重量%含むことができる。好ましくは、硬化性組成物は、共反応体成分を組成物の約50重量%ないし約90重量%含む。
【0067】
硬化性組成物は、所望により、1以上の硬化誘発成分を組成物の約0.1重量%ないし約10重量%含むことができる。好ましくは、硬化性組成物は、所望により、1以上の硬化誘発成分を組成物の約0.1重量%ないし約3重量%含むことができる。
【0068】
硬化性組成物は、重合し、シールを与えるという硬化性組成物の機能に重大に干渉しないとう条件で、所望により、所望の官能性特性作り出すように、ヒュームドシリカ等のフィラーを組成物の約0重量ないし約90重量%、より代表的には約10重量%ないし30重量%;レオロジー改質剤を組成物の約0重量ないし約20重量%;接着促進剤を組成物の約0重量ないし約20重量%;蛍光剤または顔料を組成物の約0重量ないし約20重量%;酸化防止剤、増粘剤、可塑剤、顔料、染料、希釈剤、および溶媒等のシーラント技術において知られている他の添加剤を組成物の約0重量ないし約20重量%含むことができる。あるケースにおいては、フィラーとレオロジー改質剤は、同じで有り得る。
【0069】
組成物は、(樹脂を含む)構成材または硬化ポリマーの屈折率を改良するフィラーを含むことができる。例えば、ジルコニウムアクリレート等の遷移金属アクリレート;イオウ含有化合物および芳香族基を含有する化合物が挙げられる。これらの屈折率改良成分は、ソーラーパネルカプセル封入等のある一定の用途における組成物の使用に有利である。
【0070】
以下の実施例は、開示内容をより容易に理解できるように説明する目的で含まれているものであり、特に別段指摘されていない限り、開示の範囲を限定するものでは決してない。
【0071】
反応性官能化PIBグラフト化ポリマーの合成
PIBアクリレート1の合成
機械的攪拌機および還流冷却器を備えた2Lの四つ口フラスコ中に、2300分子量PIBSA(952g、405mmol)、グリセロールジメチルアクリレート(92.5g、405mmol)、トリエチルアミン(0.82g、8.1mmol)およびMeHQ(本明細書においては、MeHqは、メチルヒドロキノンとして使用されている)(2.09g、2000ppm)の混合物を取り入れた。内容物を、機械的攪拌機を使用してゆっくりと混合した。配合剤の十分な混合が達成されると、混合物を、約3時間約110℃でオイルバスを使用して撹拌しながら加熱した(反応温度約104−105℃)。転化は、酸無水物バンドのIR消失によりモニターした。
【0072】
同じ手順を、1000分子量PIBSAを使用して、PIBジアクリレートの合成に適用した。
【0073】
PIBアクリレート2の合成
機械的攪拌機および還流冷却器を備えた2Lの四つ口フラスコ中に、950分子量PIBSA(498g、488mmol)、ビスフェノールA−グリセロレートジアクリレート(118g、244mmol)、トリエチルアミン(1.1g、10.87mmol)およびMeHQ(924mg、1500ppm)の混合物を取り入れた。内容物を、機械的攪拌機を使用してゆっくりと混合した。配合剤の十分な混合が達成されると、混合物を、約4時間約100℃で、および約45分約110℃でオイルバスを使用して撹拌しながら加熱した(反応温度約104−105℃)。転化は、酸無水物バンドのIR消失によりモニターした。
【0074】
同じ手順を、1000Mw PIBSAに基づいてPIBジアクリレートの合成に使用した。2300Mw PIBSAも本合成に使用できるであろうと思われる。
【0075】
PIBアクリレート3の合成
機械的攪拌機および還流冷却器を備えた2Lの四つ口フラスコ中に、950分子量PIBSA(511g、500mmol)、1,6−ヘキサンジイルビス[オキシ(2−ヒドロキシ−3,1−プロパンジイル)]ビスアクリレート(94g、250mmol)、トリエチルアミン(1.13g、11.12mmol)およびMeHQ(906mg、1500ppm)の混合物を取り入れた。内容物を、機械的攪拌機を使用してゆっくりと混合した。配合剤の十分な混合が達成されると、混合物を、約4時間約100℃で、および約45分約110℃でオイルバスを使用して撹拌しながら加熱した(反応温度約104−105℃)。転化は、酸無水物バンドのIR消失によりモニターした。
【0076】
同じ手順を、1000Mw PIBSAに基づいてPIBジアクリレートの合成に使用した。2300Mw PIBSAも本合成に使用できるであろうと思われる。
【0077】
PIBアクリレート4の合成手順
1000分子量PIBSA(100.0g)、ブチレート化ヒドロキシトルエン(BHT、0.27g)、およびグリセロール−1,3−ジグリセロレートジアクリレート(34.84g)を秤量し、バナナ形状のブレードを有するステンレス攪拌機、温度計、冷却器、およびオイルバスを備えた250ml丸底四つ口フラスコに取り入れた。混合物を、撹拌しながら6−12時間110℃に加熱した。反応は酸無水物ピークの消失をFTIRでモニターした。酸無水物ピークが消失すると、フラスコ内容物を室温まで冷却し、GPCで分子量を分析した。
【0078】
PIBアクリレート5の合成手順
1000分子量PIBSA(100.0g)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.23g、およびグリセロール−1,3−ジグリセロレートジアクリレート(17.42g)を秤量し、バナナ形状のブレードを有するステンレス攪拌機、温度計、冷却器、およびオイルバスを備えた250ml丸底四つ口フラスコに取り入れた。混合物を、撹拌しながら6−12時間110℃に加熱した。反応は酸無水物ピークの消失をFTIRでモニターした。酸無水物ピークが消失すると、フラスコ内容物を室温まで冷却し、GPCで分子量を分析した。
【0079】
PIBアクリレート6の合成手順
1000分子量PIBSA(100g)、ブチレート化ヒドロキシトルエン(BHT)0.22g、およびグリセロール−1,3−ジグリセロレートジアクリレート(11.61g)を秤量し、バナナ形状のブレードを有するステンレス攪拌機、温度計、冷却器、およびオイルバスを備えた250ml丸底四つ口フラスコに取り入れた。混合物を、撹拌しながら6−12時間110℃に加熱した。反応は酸無水物ピークの消失をFTIRでモニターした。酸無水物ピークが消失すると、フラスコ内容物を室温まで冷却し、GPCで分子量を分析した。
【0080】
ジアリルポリイソブチレン合成手順
機械的攪拌機を備えた500mL四つ口フラスコ中のシクロヘキサン(200mL)に、2300分子量PIBSA(237g、101mmol)を取り入れた。全PIBSAがシクロヘキサンに溶解するまで、混合物を撹拌した。ジアリルアミンを約30分以上かけて滴下添加した。得られた混合物を2時間室温で撹拌した。IRは、酸無水物基に対するIRバンドの完全な消失を示した。溶媒をロータリーエバポレータを使用して蒸発させ、残渣溶媒はクーゲルロール(Kugelrohr)蒸留で除いた。これにより、ジアリルポリイソブチレンが得られた。
【0081】
PIBアクリレート7の合成手順
機械的攪拌機を備えた2Lの四つ口フラスコ中に、2300分子量PIBSA(635g、270mmol)、およびグリセロールモノメタクリレート(21.6g、135mmol)を取り入れた。混合物を、トリエチルアミン(0.66g、65mmol)を添加する前に、15分間ゆっくりと撹拌した。メチルヒドロキノン(325mg、500ppm)を添加し、混合物を3時間110℃で加熱した。IRは、酸無水物バンドのほぼ完全な消失を示した。混合物をガラス容器に移し、室温まで冷却した。
【0082】
同じ手順を、1000分子量PIBSAを使用して、対応するPIBアクリレート7を製造するのに使用した。
【0083】
PIBアクリレート8の合成手順
機械的攪拌機および温度計を備えた四つ口1Lフラスコ内に、2300分子量PIBSA(424g、184mmol)を取り入れた。2−(2−アミノエトキシ)エタノール(19.38g、184mmol)を約30分かけて滴下添加する前に、フラスコを約60℃に加熱した。混合物を約1時間同じ温度で撹拌した。IRが、1645cm
−1あたりにアミドに対する新しいバンドが現れたことを示した。バスの温度を約170℃まで上げた。反応温度が約140℃に達した時に、窒素ガスを混合物に泡立て、生成した水をフラッシュアオウトした。同温度で、約2時間バブリングを続けた。この時点で、IRは、アミドピークが消失し、イミドに対する新しいピークが、約1780cm
−1に現れたことを示した。この時点で反応を止め、材料をメタクリル酸でエステル化するのに使用した。
【0084】
機械的攪拌機およびディーン・スタークを備えた四つ口2Lフラスコ内、トルエン(600mL)中に、上記で得られたイミドアルコール(400g、163mmol)を取り入れた。メタクリル酸(70g、813mmol)、PTSA(3.1g、16.2mmol)およびMeHQ(0.68g、1000ppm)を添加し、混合物を10時間水の共沸蒸留で還流した。室温(RT)に冷却した後、ヘプタン(1L)を添加し、有機層を、飽和水溶液NaHCO
3溶液および塩水で数回洗浄した。無水MgSO
4上で乾燥後、溶媒をロータリーエバポレータで蒸発させた。最後の微量の溶媒を、クーゲルロール蒸留で除いた。これにより、カルボン酸フリーPIBアクリレート8を粘性ブラウン液体として得た(380g、92%)。
【0085】
PIBアクリレート10の合成手順
機械的攪拌機および温度計を備えた四つ口500mLフラスコ中に、MeHQ200ppmシクロヘキサン溶液(80%固形分)の存在下、2300分子量PIBSA(147g、62.6mmol)、HEMA(8.55g、65.7mmol)の混合物を取り入れた。該混合物を、触媒量のトリエチルアミンの存在下、約2時間の間、105℃(反応温度95−96℃)で加熱した(撹拌速度250rpm)。反応をIRでモニターしたところ、酸無水物カルボニルピークがほぼ消失した。反応時間約1時間後に、HEMAをさらに5%添加し、反応をさらに1時間撹拌した。IRが、カルボニル強度の変化を示さなくなった時点で、反応を停止した。ロータリーエバポレータを使用して、溶媒を取り除き(80℃、1時間)、残留溶媒をクーゲルロール蒸留で除いた(65℃、30分)。PIBアクリレート10を定量的収率で得た。しかし、容器へ移す間に、幾ばくかの材料を焼失した。
【0086】
PIBアクリレート12の合成手順
頭上式攪拌機、水コンデンサー、熱調整および外部加熱を備えた、1Lガラス樹脂ケトル(kettle)に、PIBアクリレート10(220g)、MEHQ(100ppm)(0.022g)およびシクロヘキサン(100mL)を添加した。混合物を30℃に暖め、エチルビニルエーテル(11.6g、160.9mmol)を添加した。50℃、〜1トル真空中で濃縮し、一定重量を達成する前に、全混合物を、30℃、18時間、一晩中、撹拌した。収率92%。
【0087】
PIBアクリレート13の合成手順
頭上式攪拌機、水コンデンサー、熱調整および外部加熱を備えた、1Lガラス樹脂ケトルに、PIBアクリレート10(220g)、MEHQ(100ppm)(0.022g)およびシクロヘキサン(100mL)を添加した。混合物を30℃に暖め、エチレングリコールビニルエーテル(14.2g、160.9mmol)を添加した。50℃、〜1トル真空中で濃縮し、一定重量を達成する前に、全混合物を、30℃、18時間、一晩中、撹拌した。収率84.3%。
【0088】
PIBアクリレート12のマイクロ波調製
磁気撹拌を備えた35mLガラスマイクロ波リアクターチューブに、PIBアクリレート10(10.0g)およびシクロヘキサン(10.0mL)を添加した。混合物を予め50℃に暖め、ビニルエーテル、例えば、エチルビニルエーテル(EVE)(5g、69.3mmol)等を添加した。全混合物を、予め撹拌し、シールし、そして10分間、132℃、マイクロ波反応器中で反応させた。50℃、〜1トル真空中で濃縮し、一定重量を達成する前に、0.2μmPTFEミクロフィルターを通して内容物を、加圧濾過した。
【0089】
他のPIBアクリレートを、上記プロセスにおけるPIBアクリレート10およびエチレングリコールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、およびビニルエーテル(メタ)アクリレートを反応させることにより調製した。
【0090】
反応性官能化PIBグラフト化ポリマーを含有する光硬化性組成物
上記PIBジアクリレートIを含有する硬化性組成物を以下に示す。組成物は、都合のよい順番で個々の成分を添加し、混合し、成分を溶解させ、配合物を均質にすることにより、調製した。
【表1】
【0091】
硬化性組成物をテストしたところ以下の特性を有していた。
【表2】
水蒸気透過は、商業的に入手可能なMocon測定器(Mocon instrument)を使用して測定した。詳細は、http://www.mocon.com/permeation.phpで入手可能である。
粘度は、商業的に入手可能なARES-M流量計を使用して測定した。
剥離接着(peel adhesion)は、Instron 3300測定器およびASTM D3330/D3330Mを使用して測定した。