(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232056
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】濾過カセット及び濾過カセットのスタック
(51)【国際特許分類】
B01D 63/08 20060101AFI20171106BHJP
C12M 3/06 20060101ALI20171106BHJP
C12N 1/00 20060101ALI20171106BHJP
B01D 29/01 20060101ALI20171106BHJP
B01D 29/90 20060101ALI20171106BHJP
B01D 24/42 20060101ALI20171106BHJP
B01D 29/92 20060101ALI20171106BHJP
B01D 65/02 20060101ALI20171106BHJP
A61L 2/08 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
B01D63/08
C12M3/06
C12N1/00 K
B01D29/04 510D
B01D29/04 510F
B01D29/04 530A
B01D29/42 501A
B01D29/42 510
B01D65/02 500
A61L2/08
B01D29/04 510E
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-514958(P2015-514958)
(86)(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公表番号】特表2015-519196(P2015-519196A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】SE2013050611
(87)【国際公開番号】WO2013180632
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2016年5月17日
(31)【優先権主張番号】61/652,873
(32)【優先日】2012年5月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】1250690-3
(32)【優先日】2012年6月26日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ランバロット,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン,ウィリアム
【審査官】
池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−504750(JP,A)
【文献】
特開平10−137557(JP,A)
【文献】
特開2000−083649(JP,A)
【文献】
特開2006−088152(JP,A)
【文献】
国際公開第02/076592(WO,A1)
【文献】
特開2006−000848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00−71/82
B01D 29/00−29/96
C12M 1/00−3/10
A61L 2/00−2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同様のカセットと共に積み重ねることができる全量濾過カセット(1)であって、3以上のポート導管(2、3、4)と、少なくともポート導管(2、3、4)の第1の導管(2)と流体連通する入口チャンバ(5)と、少なくともポート導管(2、3、4)の第2の導管(3)と流体連通する出口チャンバ(6)と、入口チャンバ(5)と出口チャンバ(6)の間のフィルター媒体(7)とを備えるカセット(1)であって、3以上のポート導管(2、3、4)が各々対応する入口ポート(8、9、10)と流体連通し、かつ対応する1組の出口ポート(11、12、13)の1つとも流体連通しており、1組の入口ポート(8、9、10)の各々が、スタック内にあるとき隣接する同様のカセットのそれぞれの相補的な出口ポートと協働するように構成され、出口ポート(11、12、13)の各々がスタック内にあるとき隣接する別の同様のカセットのそれぞれの相補的な入口ポートと協働するように構成されるカセット(1)。
【請求項2】
3以上のポート導管(2、3、4)の第3の導管(4)が、入口チャンバ(5)及び出口チャンバ(6)から流体遮断される、請求項1に記載のカセット(1)。
【請求項3】
入口ポート(8、9、10)が、カセット(1)の入口側(14)のくぼみとして構成され、出口ポート(11、12、13)がカセット(1)の出口側(15)の突起として構成される、請求項1又は請求項2に記載のカセット(1)。
【請求項4】
ポート導管(2、3、4)の少なくとも第1の導管(2)の壁のスリット開口(18)によって、入口チャンバ(5)との流体連通が実現し、ポート導管(2、3、4)の少なくとも第2の導管(3)の壁のスリット開口(19)によって、出口チャンバ(6)との流体連通が実現する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のカセット(1)。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の2以上のカセット(21、22;41−44)を備えるスタック(20;40)であって、隣接するカセット表面(25、26;45、46)の入口(27−30)及び出口(31−34)ポートが、互いに対をなすように協働するスタック(20;40)。
【請求項6】
少なくとも第1のカセット(44)が、第1の定格孔径を有する第1のフィルター媒体又はフィルター媒体のシート(55)を備え、少なくとも第2のカセット(43)が、第1のフィルター媒体又はフィルター媒体シート(55)とは異なる特性を有する第2のフィルター媒体又はフィルター媒体のシート(56)を備える、請求項5に記載のスタック(20;40)。
【請求項7】
一方のカセット(22)では、1つの入口ポート(35)と、2つの出口ポート(31、34)であって、その1つ(31)が入口ポート(35)と同じ導管(38)内に形成されている2つの出口ポート(31、34)とが開口していて入口又は出口チャンバと流体連通しており、隣接するカセット(21)では、入口又は出口チャンバと流体連通する唯一の開口ポートは、第1のカセット(22)の開口出口ポート(31)と対をなす1つの入口ポート(27)と、カセット(22)の開口出口ポート(34)と対をなす入口ポート(30)と、開口入口ポート(30)と同じポート導管(37)内に形成された1つの出口ポート(36)である、請求項5又は請求項6に記載のスタック(20;40)。
【請求項8】
第1の定格孔径を有するフィルター材のシート(55)を備える第1のカセット(22;44)の出口チャンバ(57)が、第1の定格孔径より10%以上小さい第2の定格孔径を有するフィルター材のシート(56)を備える第2のカセット(21;43)の入口チャンバ(58)と流体連通する、請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載のスタック(20;40)。
【請求項9】
バイオプロセス供給原料の清澄化のための方法であって、
a)細胞培養液を準備するステップと、
b)遠心分離又は細胞の沈降分離によって細胞培養液を適宜前処理するステップと、
c)培養液を請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載のスタック(20;40)を通過させるステップと
を含む方法。
【請求項10】
バイオプロセス供給原料の清澄化のためにスタック(20;40)を選択するための方法であって、
a)細胞培養液を準備するステップと、
b)遠心分離又は細胞の沈降分離によって細胞培養液を適宜前処理するステップと、
c)請求項5、請求項6、請求項7又は請求項8のいずれか1項記載の、異なる特性を有する第1、第2及び適宜第3のフィルター媒体又はフィルター媒体のシート(55、56)を備える複数のスタック(20;40)を異なるカセットの順序で組み立てるステップと、
d)細胞培養液のアリコートをスタック(20;40)の各々に通過させ、流量の減衰又は背圧の増加を測定するステップと、
e)流量の減衰又は背圧の増加のデータを利用して特定の順序を有するスタック(20;40)を選択するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過に関し、より詳細にはバイオプロセス
供給原料の清澄化のための濾過カセットに関する。本発明はまた、濾過カセットのスタック、かかるスタックによるバイオプロセス
供給原料の清澄化方法及びバイオプロセス
供給原料の清澄化のためにスタックを選択する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク
質医薬品、ワクチンなどの
バイオ医薬品は通常、細胞培養によって
生産され、クロマトグラフィー
その他の方法によって下流精製される。下流精製の前に、細胞培養からの全ての微粒子、例えば細胞、細胞残屑など
を1以上の清澄化ステップ
で除去する必要がある。これらの清澄化ステップの少なくとも1つは通常、フィルター材料
の目詰まり
を最小限に抑制しながら良好な清澄化結果を得るためにデプス濾過を含んでおり、
定格孔径が漸減するデプスフィルター材料
での直列濾過が
常用される。
【0003】
スタック式デプスフィルターカセット又はカプセル
は、再利用可能な筐体
内の従来の
レンチキュラーフィルタースタック
に比べてユーザに
便利である。
このようなスタック式カセット/カプセルが
幾つか開示されており、例えば米国特許出願公開第20100282663号明細書、欧州特許出願公開第1967244号明細書などを参照されたい。それら
の多くは、
微細な物質の目詰まりを低下させるた
め各カセット/カプセル
に孔径が漸減する
一連のデプスフィルター材を含
んでおり、スタック内で異なるフィルター材
料を組み合わせる可能性
が制限さ
れる。
【0004】
バイオプロセス
供給原料の特性は、使用
する細胞の種類、細胞培養条件、デプスフィルター清澄化の前
の前処理などによって
劇的に変化
する可能性があるので、深刻な目詰まり
を起こさずに効率的な清澄化を実現
すると同時に
、使用されるフィルター面を最小限にすることで低コスト
を維持するために、デプス濾過設定の
設計適応性に対する高い要求がある。現行のカセット及びカプセルは、この点に
問題があり、
粗目フィルターと
細目フィルターの
面積比が1:1
に固定されており、
そのため、あるタイプのフィルター
では寸法が大きすぎ、場合によっては他のタイプの
寸法が小さすぎるおそれがある。
こうして非効率的な濾過
プロセスとな
ってしまうので、適応性
の向上したカセット又はカプセルシステムを提供する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第20100282663号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様は、
フィルター媒体を異なる面積比で組み合わせることのできる適応性に富むフィルターモジュール
組立体を与えるスタック式全量濾過カセットを提供する。これは、請求項1に
規定するカセットによって達成される。
【0007】
1つの利点は、
フィルター媒体
の異なる複数のカセットを
並列又は直
列流路或いはその
組合せで組み合わせることができる
ことである。これにより特定の
供給原料に
合わせてフィルターモジュールを調整する
ことができる。別の利点は、
複数のカセットのスタックを
一緒に保持するのに高い締め付け力
を必要と
せず、簡素なフレーム構造で十分である
ことである。さらに別の利点は、
特殊な設計のマニフォルド
を必要とせず、使い捨てバイオプロセス
で使用される衛生的な継手をカセットに直接
適用できる
ことである。
【0008】
本発明の第2の態様
では、フィルター媒体の
種々の組合せと柔軟に組み合わせることができるフィルターモジュールを提供
する。これは、
特許請求の範囲に
規定するカセットのスタックによって達成される。
【0009】
本発明の第3の態様
では、バイオプロセス
供給原料の清澄化のための有効な方法を提供
する。これは、
特許請求の範囲に
規定する方法によって達成される。
【0010】
本発明の第4の態様
では、バイオプロセス
供給原料の清澄化のためのフィルターモジュールの設計の簡便な方法を提供
する。これは、
特許請求の範囲に
規定する方法によって達成される。
【0011】
本発明の好適な
その他の実施形態は、従属請求項
に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
本発明に係るカセットの分解
側面図、
平面図及び
非分解側面
図である。
【
図2】本発明
に係る2カセットのスタックを示す
分解図である。
【
図3】本発明
に係るカセット及び本発明
に係る2カセットのスタックを示す図である。
【
図4】
図1〜
図3のポート導管の拡大図
であって、a)入口チャンバと流体連通し
た状態、b)出口チャンバと流体連通し
た状態、及びc)入口及び出口チャンバから
流体遮断され
た状態を示しており、
上側に示すものは、
下側に示すものより断面径
の小さい小型カセット用のポート導管を示す図である。
【
図5】本発明
に係る2カセットのスタックの
分解図である。
【
図6】
本発明
に係る4カセットのスタックの
分解図であ
り、カセット内に2種類の異なるフィルター媒体を備える。
【
図7】本発明
に係る12カセットの4つのスタック
であって、a)1
種類のフィルター媒
体、b)各
々1
種類の
粗目カセットと1
種類の
細目カセットを含む6つの平行なサブスタッ
ク、c)各
々2
種類の
粗目カセットと1
種類の
細目カセットを含む4つの平行なサブスタッ
ク、
及びd)各
々3
種類の
粗目カセットと1
種類の
細目カセットを含む3つの平行なサブスタックを示す図である。
【
図8】各
々3
種類の
粗目カセットと、2
種類の
細目カセットと、1
種類の超
細目カセットとを含む2つの平行なサブスタックを備え
る本発明
に係る1
2カセッ
トのスタックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本
明細書では「
全量濾過」
という用語は、
カセットのようなフィルターデバイ
スに加え
た供給流全体
をフィルター媒体を通
過させて流
す濾過プロセスを意味
する。これは、
供給流のかなりの部分が再循環され、
供給流の一部
しかフィルター媒体を
通過しないタンジェンシャルフロー濾過(クロスフロー濾過とも呼ばれる)とは対照的である。
全量濾過は典型的には、デプス濾過及び
ある種の膜精密濾過用途で使用される。
【0014】
本
明細書では「デプスフィルター」
という用語は、
捕捉(entrapment)及び/又は吸着によってその
細孔構造内に汚染粒子を捕らえる
ことができる厚肉の(少なくとも0.5mm)フィルターを意味
する。
【0015】
図1〜
図5に示
す一態様
では、本発明は、
全量濾過カセット(1)
について開示
するが、本カセットは同様のカセットと積み重ねることができる。カセットは、3以上のポート導管(2
,3
,4)と、少なくとも第1のポート導
管(2)と流体連通する入口チャンバ(5)と、少なくとも第2のポート導管(3)と流体連通する出口チャンバ(6)とを備える。
本カセットはまた、入口チャンバ(5)と出口チャンバ(6)の間にフィルター媒体(7)を備える。フィルター媒体は、
封止フレーム(98)に対して
封止することができ、
次いで封止フレーム
を、カセットの側壁(97)に対して
封止すると、入口チャンバから出口チャンバへの流路がフィルター媒体を通過する
ようになる。或いはフィルター媒体
をカセットの側壁に対して直接
封止してもよい。入口及び出口チャンバの高さは、
滑らかな流量をもたらすため、1mm以上
(例えば2〜10mm又は3〜8mmなど
)とすることができる。3つのポート導管(2
,3
,4)は各々対応する入口ポート(8
,9
,10)と流体連通しており、また各
々対応する出口ポート(11
,12
,13)の
組の1つとも流体連通している。入口ポート(8
,9
,10)の
組の各々は、スタック内にあるとき、隣接する同様のカセットのそれぞれの相補的な出口ポートと協働するように構成され、出口ポート(11
,12
,13)は各々、スタック内にあるとき、別の隣接する同様のカセットのそれぞれの相補的な入口ポートと協働するように構成されている。協働は、対になるような協働形態であって
もよく、例えば雄の出口ポートは雌の入口ポートと対
をなす。各々のポート導管は、ポートポスト(96)として対応する入口及び出口ポートと
共に一
体に形成
することができる。ポートポストは、耐荷重構造であって
もよく、またカセットの高さ並びに入口及び出口チャンバの高さを画定することができる。これにより、簡素でコスト効果の高い構造体及びカセットの組立体が実現し、
併せて機械的堅牢性
も得られる。
図1に
示す一例として、カセットは、フィルター媒体(7)、支持スクリーン(99)、
封止フレーム(98)、3以上の(例えば4つの)ポートポスト(96)並びに入口側カバー部品(95)及び出口側カバー部品(94)から組み立てることができる。支持スクリーン、
封止フレーム、ポートポスト並びに入口及び出口カバー部品は全て、熱可塑性材料
で製造することができ、
融接によ
る組立て
が可能
となる。
【0016】
特定の実施形態
では、3以上のポート導管の第3の導管(4)は、入口チャンバ(5)及び出口チャンバ(6)から
流体遮断さ
れる。これによりカセットを迂回
して流
すことができるため、例えば直列に結合
したカセットの複数の
組への並行
アクセスを実現することができる。カセットはまた、
入口及び出口チャンバから流体遮断された第4のポート導管(4)を備え
ていてもよく、カセットのスタックの流路を配列する際
の適応性を
さらに高めることができる。
【0017】
いくつかの実施形態
では、入口ポート(8
,9
,10)は、カセットの入口側(14)
にくぼみとして構成され、出口ポート(11
,12
,13)は、カセットの出口側(15)
に突起として構成される。
このように入口ポート
は、雄ポートとして構成される出口ポートと対
をなす雌ポートとして構成することができる。
その利点は、カセットを互いに固定
することができ、
使用時に、スタックを
一緒に保持するのにわずかな締め付け力しか必要としない
ことである。入口及び出口ポートはまた、例えばスナップ動作
その他のロック手段によって
連結することができ、
締め付けは全く不要となる。出口及び/又は入口ポートはまた、協働又は対
をなすポートからの流体の漏出を阻止するために
封止手段を備え
ていてもよい。
封止手段は、例えばガスケット又はOリング、例えば各々の出口ポート上のくぼみ
内に設置されたOリングであって
もよい
し、或いはそれはポートと一
体に形成されたエラストマー材の一部であって
もよい。
【0018】
特定の実施形態
では、入口ポートの少なくとも1つは、栓(16)
で閉鎖さ
れ、及び/又は出口ポートの少なくとも1つは、キャップ(17)
で閉鎖される。栓及びキャップは、例えばスタック内の最初と最後のカセットに対して使用することで、流れを特有の経路に
導くとともに、
所定の流路からの流出物を阻止
し、もって流れが
所定のカセット内
のフィルター媒体を通
して流れるように
することができる。
特有の流路パターンを形成するため、特殊な設計の栓及び/又はキャップをスタックの内部のカセット
に使用する
こともできる。
【0019】
いくつかの実施形態
では、少なくとも第1のポート導管(2)の
壁のスリット開口(18)によって入口チャンバとの流体連通が実現し、少なくとも第2のポート導管(3)の
壁のスリット開口(19)によって出口チャンバとの流体連通が実現する。
図4に
示すように、ポート導管の直径は、カセット内の
所期の流量に
応じて変更し得る。スリット
形の開口は、例えば射出成型によ
る製造に適しており、機械的安定性と
開口面積との適切な折り合いをつけることができる。
【0020】
特定の実施形態
では、フィルター媒体は、1シートのフィルター媒体であり、カセットはさらに、フィルター媒体のシート(7)
と出口チャンバ(5)
との間に支持スクリーン(99)を備える。支持スクリーン
は、非自立
式フィルター媒体のため
の機械的支持
を提供
する。支持スクリーンの
孔は、
好適には、フィルター媒体のものより実質的に大きく
することができる。支持スクリーンは、例えば
製織又は不織布材料、押出しスクリーン、焼結
材料などから選択
することができ、これらは濾過の分野で
周知である。
【0021】
いくつかの実施形態
では、フィルター媒体又はフィルター媒体のシート(7)は、デプスフィルターパッド、例えば繊維
状デプスフィルターパッド又は多孔質ポリマーパッドを備える。デプスフィルターパッドの厚さは、例えば0.5〜20mm
、例えば1〜15又は2〜15mm
とすることができる。デプスフィルターが繊維
状デプスフィルターパッドの場合、
例えばセルロース繊維又はガラス繊維などの繊
維、
及び適宜例えば、濾過助剤、多孔質粒子、電荷
調整剤などの他の成分を含
んでいてもよい。デプスフィルターパッドが、多孔質ポリマーパッドの場合
、発泡ポリマ
ー、多孔
質焼結ポリマー又は相分離
法による多孔質ポリマーを含
んでいてもよい。この
場合も、他の成分、例えば濾過助剤、多孔質粒子、電荷
調整剤などをさらに含
んでいてもよい。本発明で有益な
別の種類のデプスフィルター媒体は
、例えば、M Prashad,K Tarrasch:Filtration+Separation 28−30、9月、2006年及びT E Arnold:BioProcess Int 44−49、2005
に記載されている。デプスフィルター媒体の
定格孔径は、例えば0.1〜70
μmの範囲内、例えば0.1〜20又は0.2〜10
μmであって
もよく、
細孔構造は、均一であ
ってもよいし、或いは
媒体
を通して横
断勾配
(典型的には濾液側の孔径が小さいもの)を形成
してもよい。孔の表面電荷は、正、中
性又は負であって
もよい。
荷電細孔表面、詳細には正
荷電細孔
表面は、フィルター媒体の
細孔より大きな粒子を捕
捉すること
ができる。有益なフィルター媒体の具体的な例としては、Pall社
から市販のSeitz Bio−、K−、P−、T−及びZ−シリーズのフィルターシート、3M
社から市販のZetaPlus(商標)VR or EXT−シリーズのフィルター媒体が挙げられる。
定格孔径は、
様々な粒径の粒子(典型的には
体積加重平均粒子径として表される)を含有する液体によってフィルター媒体をテストし、フィルター
に保持される最も小さい
粒径を判定することによって測定される。
細孔の表面電荷は、例えば
流動電位測
定によって測定することができる。
【0022】
カセットはまた、2
種以上のフィルター媒体
、例えば
粗目媒体
と細目媒体
とを順次備えていてもよい。
カセットはまた
ミクロポーラス膜を単一のフィルター媒体として、又はデプスフィルター媒体
との
組合せとして備え
ていてもよい。
【0023】
特定の実施形態
では、入口(8
,9
,10)及び出口(11
,12
,13)ポートが、取り外し可能な衛生フィルムカバー
で密
封される。このカバーによって、カセッ
ト内部の外
部からの汚染に対
して保
護される。これは、潜在的な病原体
その他の望ましくない物質による汚染を回避する必要があるバイオプロセス環境
で重要である。カバーはまた、
予め滅菌
しておいたカセットの無菌状態を維持する
のに特に有効である。カセットのスタック
組立作業を通して無菌状態を維持するために、衛生フィルムカバーは、
好適には米国特許第6679529号明細書、国際公開第1994008173号パンフレット又は同第1996030076号パンフレットに記載され
ているよう
に配置することができ、(これらは全てその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、
入口
ポートと出口ポートが接触
したときに引きはがすことができ、カバー
を引きはがすとポート同士はすぐに
封止される。
【0024】
いくつかの実施形態
では、カセットは、放射線滅菌される。放射線滅菌は、無菌状態にするのに十分な
線量
の電離放射
線、例えばガンマ
線又は電子ビーム放射に
カセットを曝すことによって達成することができる。カセットの無菌状態を維持するために、カセットのポートは、滅
菌前に
上述の通り密
封してもよい。或いはカセットは、
密封バッグ
内に包んでもよい。後者の場合、カセットのスタックは、滅菌空間
で組み立てる必要がある。
【0025】
特定の実施形態
では、カセットは4つのポート導管を備える。第4のポート導管は、例えばカセットのスタックが3
種類の異なるフィルター媒体を備えるカセットを備える場合、より複雑な流路を形成するのに有益である。
第4のポート導管はまた、
流量を
増すために同
じのカセットの別のポート導管と
並列に使用することもできる。このようにして
、入口
流、一次濾
液流及び/又は二次濾
液流を倍加するのに使用することができる。
【0026】
いくつかの実施形態
では、カセットは略矩
形又は略矩形平行六面体である。その形状又は断面は、例えば矩形、正方形、例えば
角切
又は角を丸めた矩形/正方形であって
もよい。ポート導管は、カセットの角に隣接して配置することができ、例えば各々の角に隣接して1つのポート導管を備える。これによりカセット内での良好な流れ
分布を得ることができ、ポートを備えたポート導管が耐荷重性ポートポストとして構築される場合
、カセットの優れた機械的特性も可能にする。
【0027】
上述の実施形態
では、カセットはさらに1以上のセンサ
、例えば、フィルター媒体
に対する背圧及び目詰
の傾向
を監視する
ための入口及び出口チャンバ
内の圧力センサなど
を備えていてもよい。他のセンサ、例えば
濁度センサ
も、カセット
使用時の濾過効果を監視するのに使用することができる。或いは又は付加的に、カセットはまた、例えば
供給原料に対する濾過効果を評価する目的で濾過中にサンプルを採取するために1以上のサンプリングポートを備え
ていてもよい。
【0028】
図5〜
図8に
示す第2の態様
では、本発明は、
上述のいずれかの実施形態
に係る2以上
のカセット、例えば3以上又は4以上或いは2〜24個のカセット(21、22;41
〜44)を備えるスタック(20;40)
であって、隣接するカセット表面(25、26;45、46)
の入口(27
〜30;47
〜50)及び出口(31
〜34;51
〜54)ポート
が互いに対をなすスタックについて開示する。
【0029】
図6〜
図8に
示すいくつかの実施形態
では、少なくとも第1のカセット(44)は、第1のフィルター媒体のシート(55)を備え、少なくとも第2のカセット(43)は、第1のフィルター媒体とは実質的に異なる特性を有する第2のフィルター媒体のシート(56)を備える。実質的に異なる特性
としては、(公称)
定格孔径、密度、表面電荷
並びに孔径、密度及び/又は表面電荷
の横断勾配が
挙げられる。実質的に異なる
とは、特性が
10%
以上、例えば
25%
以上異なることを意味す
る。第1及び第2のカセットは直列に結合
して直列の列を形成すること
ができ、第1のカセットの出口チャンバ(57)は、第2のカセットの入口チャンバ(58)と流体連通する。直列の列はまた、
第1のフィルタ媒体を備える複数の第1のカセットを平行に連結し、第2のフィルター媒体を備える第2のカセットと直列に
連結したものを備え
ていてもよい。スタックは、
複数のかかる直列の列を
平行に連結したものを備え
ていてもよい。かかる構成の利点は、第1及び第2のフィルター媒体を独立して変えることができ、最も効率的な方法で媒体の最大能力を利用することができる
ことである。
【0030】
特定の実施形態
では、スタックはさらに、1以上の第3のカセットを備え、これは
上述の第1及び第2のフィルター材
料と実質的に異なる特性を有する第3のフィルター材
料のシートを備える。第1、第2及び第3のカセットは、直列に結合
して直列の列を形成し、
適宜複数の第1、第2及び第3のカセットは列
内で平行に結合
してもよく、複数のかかる直列の列がスタック内で平行に結合
してもよい。
【0031】
図5に
示すいくつかの実施形態
では、1つのカセット(22)
では、
1つの入口ポート(35)
と、2つの出口ポートであって、
その1つ(31)が入口ポート(35)と同
じ導管(38)内に形成され
ている2つの出口ポート(31、34)と
が開口していて入口又は出口チャンバと流体連通しており、隣接するカセット(21)
では、入口又は出口チャンバと流体連通する唯一の
開口ポートは、第1のカセットの
開口出口ポート(31)と
対をなす1つの入口ポート(27)と、カセット(22)の
開口出口ポート(34)と
対をなす入口ポート(30)と、
開口入口ポート(30)と同
じポート導管(37)内に形成された1つの出口ポート(36)である。
【0032】
図6〜
図8に
示す特定の実施形態
では、第1の
定格孔径を有する第1のフィルター媒体のシート(55)を備える1以上の第1のカセット(44)の出口チャンバ(57)は、第1の
孔径定格より
10%
以上、例えば
25%
以上小さい第2の
定格孔径を有す
る第2のフィルター媒体のシート(56)を備える第2のカセット(43)の入口チャンバ(58)と流体連通
しており、例えば第1のフィルター媒体は約10μmの定格孔径を有し、第2のフィルター媒体は約0.5μmの定格孔径を有する。スタックは、
複数のかかる直列の列を
平行に連結したものを備え
ていてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態
では、第1のカセットの出口チャンバと第2のカセットの入口チャンバ間の流体連通は、別のカセットのポート導管を介して実現され、
そのポート導管は、
そのカセットの入口及び出口チャンバから
流体遮断されている。
【0034】
図7は、
粗目フィルター媒体と
細目フィルター媒体とを備え
るカセットを
示す。
図7a
では、スタックは、
粗目フィルター媒体を備え
る12個のカセットを
平行に連結したものを含んでいる。
図7bのスタックは、
6つの直列の列を
平行に連結したものを含み、
各列は、
細目フィルター媒体を備え
る1つのカセット
と粗目媒体を備え
る1つのカセットを
順次含んでいる。
図7c
では、スタックは、
4つの直列の列を
平行に連結したものを含み、
各列は2つの平行な
粗目カセット
と1つの
細目カセット
を順次含んでいる。
図7dのスタックは、平行
に連結した3つの直列の列を有し、
各列は、1つの
細目カセット
と3つの平行な
粗目カセットを
順次含んでいる。
図8は、
2つの直列の列を
平行に連結したものを備え
るスタックを示しており、
各列は、3つの平行な
粗目カセット
と、2つの平行な
細目カセット
と、最後に1つの超
細目カセット
を順次含んでいる。
【0035】
スタックは、1つの
開口入口と1つの
開口出口を有するように塞いで蓋をすることによって配置することができる。
開口入口及び
開口出口は、衛生コネクタを
備えていてもよく、これは取り外し可能な衛生フィルムカバー
で密封される。かかるコネクタは、米国特許第6679529号明細書及び国際公開第1994008173A1号パンフレットに記載されており、これらはその全体が参考により本明細書に組み込まれている。それらは例えばReadyMate(商標)(GEヘルスケア)
として市販されており、例えば配管を介してポートに接続させることができる。衛生コネクタと組み立てられたスタックは、例えば放射線又は蒸気滅菌によって滅菌され、接続
時にフィルムカバーを取り外すことによって滅菌条件
下で回路に接続することができる。
【0036】
第3の態様
では本発明は、バイオプロセス
供給原料の清澄化のための方法
であって、
a)細胞培養液を準備するステップと、
b)遠心分離又は細胞の沈降分離によって細胞培養液を
適宜前処理するステップと、
c)
上述のいずれかの実施形態に従って
培養液をスタックに通過させるステップと
を含む
方法について開示する。細胞培養液は、例えば抗体、抗体フラグメンなどの発現タンパク質、融合タンパク質、又はワクチン抗原、例えばウイルス粒子、多糖類、プラスミドなどの
バイオ医薬品を包含し得る。使用
する細胞は、例えばCHO細胞などの哺乳類の細胞などの動物細胞又は昆虫の細胞であって
もよい、或いは例えば細菌又はイースト細胞などの微生物細胞
であってもよい。濾
過前に細胞及び細胞残屑の量を減少させるために遠心分離又は重力沈降を伴う
前処理ステップ
を用いてもよい。カセットのスタックは、
媒体(例えば粗目媒体と細目媒体)のキャパシティを最適に利用
するため異なるフィルター媒体と共に配置されて
もよい。
例えば
粗目フィルター媒体と
細目フィルター媒体の面積比が、1:1より大きい、例えば2:1、3:1又は4:1であるように配置される場合がある。
【0037】
第4の態様
では、本発明は、バイオプロセス
供給原料の清澄化のためにスタックを選択するための方法
であって、
a)細胞培養液を準備するステップと、
b)遠心分離又は細胞の沈降分離によって細胞培養液を
適宜前処理するステップと、
c)
上述のように実質的に異なる特性を有する第1、第2及び
適宜第3のフィルター媒体又はフィルター媒体のシートを備える
複数のスタックを
異なるカセットの順序で組み立てるステップと、
d)細胞培養液のアリコートをスタックの各々に通過させ、流量の減衰又は
背圧の増加を測定するステップと、
e)流量の減衰又は
背圧の増加のデータを利用して特定の
順序を有するスタックを選択するステップと
を含む
方法について開示する。
【0038】
スタックは、異なるフィルター媒体同士の面積比
を種々変更して組み立て
ることができる。これにより、
所定の供給原料に対して、フィルターの目詰まりを検知するための出力変数として流量の減衰(一
定圧力の濾過
実験による)又は
背圧の増加(一
定流量の濾過
実験による)のいずれかを
用いた濾過
プロセスの効率的な最適化が可能
となる。最適化における出力変数として、
スタックから又は個々のカセットの後に採取されたサンプルからの濾液の透明度
(例えば比濁分析で測定)を利用することも
できる。
【0039】
スタック内の1以上のカセットが、
上述のセンサを備え
ている場合、例えばどのカセッ
トで最初に目詰まり
が起こる(
背圧の
早期増加
又は流量の早期損失によって監
視)のか知るために
スタック内のカセットの個々の性能を
経時的に監視することが
できる。ステップc)
で1以上の個々のカセット
での背圧の増加又は流量の減衰を測定することで、ステップd)に関して極めて有益なデータが得られるが、
必須ではない。またステップc)
でスタック全体
での背圧の増加/流量の減衰を測定し、ステップd)
でこれらのデータを利用することも
できる。
【0040】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【0041】
全ての刊行物、特許公開公報及び特許は、各々の個々の公報又は特許が明確にかつ個別に参照により組み込まれることが指摘されているのと同程度に参照により本明細書に組み込まれている。
【符号の説明】
【0042】
1 濾過カセット
2
,3
,4 ポート導管
5 入口チャンバ
6 出口チャンバ
7 フィルター媒体
8
,9
,10 入口ポート
11
,12
,13 出口ポート
14 入口側
15 出口側
16 栓
17 キャップ
18
,19 スリット開口
20;40 スタック
21、22;41
〜44 カセット
27
〜30;47
〜50 入口ポート
31
〜34;51
〜54 出口ポート
35 入口ポート
36 出口ポート
37、38 ポート導管
25、26、45、46 カセットの表面
55 第1のフィルター媒体
56 第2のフィルター媒体
57 出口チャンバ
58 入口チャンバ
94 出口側部カバー部品
95 入口側部カバー部品
96 ポートポスト
97 側壁
98
封止フレーム
99 支持スクリーン