(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御システムは、線形計画(LP)ソルバー、二次錐計画(SOCP)ソルバー、半正定値計画(SDP)ソルバー、錐計画ソルバー、非線形計画ソルバー、制約充足ソルバー、ヒューリスティックソルバー、または、これらの組み合わせを有する最適コントローラ(116)を備える、請求項3に記載のシステム。
前記助言システム(76)は、k最近傍(k−NN)システム、エキスパートシステム、ニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズム(GA)、状態ベクトルマシン、または、これらの組み合わせを備える、請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
プラントにおける動作助言を決定するステップであって、前記動作助言は、劣化寄与因子モデル(112)、および、1つ以上の最適化方針に基づいて決定される、ステップと、
前記動作助言を出力するステップであって、前記動作助言は、保守計画、警告、メッセージ制御動作、または、これらの組み合わせのうちの少なくとも1つを備える、ステップと、
を含み、
前記劣化寄与因子モデル(112)は、プラントの特定の構成要素の劣化の重み或いは重要性を反映するように構成される少なくとも1つの係数を有するパラメトリックモデルを備える、
方法。
現在のプラントデータ、過去のプラントデータ、構成要素劣化データ、物理データ、技術・ビジネスデータ、または、環境データのうちの少なくとも1つから少なくとも1つの構成要素レベル伝達関数(108)を決定するステップと、
少なくとも1つの構成要素レベル伝達関数(108)、従来的な劣化寄与、非従来的な劣化寄与、または、これらの組み合わせから劣化寄与因子モデル(112)を構築するステップと、
を含む、請求項7に記載の方法。
前記非一時的コンピュータ可読媒体を有する、発電プラント(10)、化学プラント、石油精製所、製造プラント、または、これらの組み合わせのうちの少なくとも1つを備える、請求項10に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の1つ以上の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を与えるために、実際の実装の全ての特徴が明細書中に記載されない場合がある。任意のそのような実際の実装の開発では、任意のエンジニアリングまたは設計プロジェクトの場合のように、実装ごとに異なる場合があるシステム関連およびビジネス関連の制約の順守などの開発者の具体的な目的を達成するために多数の実装特有の決定がなされなければならないことが理解されるべきである。また、言うまでもなく、そのような開発努力は、複雑であって多大な時間を要する場合があるが、それにもかかわらず、この開示の利益を有する当業者にとっては、設計、製作、および、製造の決まりきった取り組みである。
【0011】
本発明の様々な実施形態の要素を導入する際、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および、「前記(said)」は、その要素のうちの1つ以上が存在することを意味するように意図される。「備える」、「含む」、および、「有する」という用語は、内包的であるように、また、挙げられた要素以外の更なる要素が存在してもよいことを意味するように意図される。
【0012】
本開示の実施形態は、発電プラント、化学プラント、製造プラント、石油精製所などを含むがこれらに限定されない様々な工業プラントに適用されてもよい。工業プラントは、様々な動作およびサービスを与える上で有用な様々な設備およびプロセスを含んでもよい。例えば、発電プラントの設備または機械は、電力を生成するのに適した動作を与えてもよい。同様に、化学処理機械は、化学物質の製造および/または処理に有用な動作を与えてもよい。同様に、製造機械は、物理的な物品を形成する或いはさもなければ再形成するのに適した動作を与えてもよい。
【0013】
発電プラントなどの工業プラントは、多くの異なる構成要素およびプロセスを含んでもよい。例えば、プラントは、タービンシステム、発電機、ガス処理システム(例えば、酸性ガス除去システム)、ボイラー、炉、ガス化装置などを含んでもよい。前述したように、そのような構成要素およびプロセスの性能パラメータおよび物理的パラメータは、老朽化や環境因子などに起因して経時的に変化する場合がある。したがって、個々の構成要素およびプラントは、プラント性能に影響を及ぼし得る劣化に晒される場合がある。
【0014】
結果として、劣化を補償するために、そのような構成要素の新たな制御パラメータを更新することが有益な場合がある。本開示は、現在のプラントデータ、過去のプラントデータ、技術的および商業的データ、環境データ、劣化データ、最適化基準などの複数のデータタイプに基づいて制御パラメータを決定することができる工業プラントを提供する。商業的データは、例えば、市況に基づいて現在の望ましい電力生成量に関連するプラントパラメータを計算するために使用されてもよい。また、排出レベル、試験間隔、報告方法などの動作パラメータを導き出すために、連邦規制、コード、および/または、標準規格(例えば、工業規格)が使用されてもよい。現在のプラントデータとは、一般に、経時的変化に晒されるプラント動作中にプラントにより生成されるデータのことである。例えば、センサ機器などのプラント機器の使用により生成されるデータが現在のプラントデータであってよい。過去のプラントデータとは、一般に、プラント建設中に決定されたデータ、プラント構成データ、または、過去のプラント挙動および/または傾向の記録を含む、安定したデータのことである。
【0015】
本明細書中に記載されるシステムおよび方法を使用することにより、プラント動作を最適化する上で役立つ情報を得るために使用され得る複数のモデルを構築するべく、前述したデータが組み合わされて操作されてもよい。1つの実施形態では、工業プラントに結合される助言システムが、伝達関数、劣化寄与因子モデル、および、コストモデルなどのプラントレベルモデルおよび構成要素レベルを前述したデータから形成するように構成されてもよい。その場合、助言システムは、そのようなモデルおよび所定の論理にしたがって制御決定を行ってもよい。また、助言システムは、そのような制御決定に対応する自動制御コマンドを自動的に実施するように構成されてもよい。また、助言システムは、ヒューマンマシンインタフェースを介して制御推奨をオペレータに出力するように構成されてもよい。制御推奨は、特定のコマンドまたは保守タスクを行うための命令を含んでもよい。また、助言システムは、最適化基準に基づいてプラント保守を行うために戦略時間の概要を示す最適な保守計画を出力してもよい。一般に、本明細書中に記載される技術は、プラント設備の使用を改善してプラントの信頼性および効率を高めるのに適した措置を導き出すために使用されてもよい。
【0016】
ここで、図を参照すると、
図1は、動作制御および助言動作を行うように構成される典型的な発電プラント10のブロック図である。図示のように、発電プラント10は、合成ガスを生成するために使用される固形供給物などの燃料源12によって動力供給される。燃料源12としては、石炭、石油コークス、バイオマス、木質系材料、農業廃棄物、タール、コークス炉ガス、および、アスファルト、または、他の炭素含有品を挙げることができる。燃料源12の固体燃料は供給材料前処理ユニット14へ送られてもよい。供給材料前処理ユニット14は、例えば、供給材料を生成するために、燃料源12を切り刻み、押し潰し、切削し、細かく刻み、粉砕し、ブリケット化し、または、ペレット化することによって、燃料源12をサイズ変更または再成形してもよい。加えて、スラリー供給材料を形成するために、供給材料前処理ユニット14内で水または他の適した液体が燃料源12に加えられてもよい。他の実施形態では、燃料源12に液体が加えられず、したがって、それにより乾燥供給材料がもたらされる。
【0017】
供給材料は、供給材料前処理ユニット14からガス化装置16へ送られてもよい。ガス化装置16は、供給材料を、一酸化炭素、二酸化炭素、水、および、水素の組み合わせ、例えば、合成ガスへと変換してもよい。この変換は、高圧の制御された量の蒸気および酸素に供給材料を晒すことによって達成されてもよい。ガス化プロセスは、供給材料が熱分解プロセスを受けること含んでもよく、それにより、供給材料が加熱されて、固体、例えばチャーと、残留ガス、例えば一酸化炭素および水素とが生成される。
【0018】
その後、燃焼プロセスがガス化装置16内で行われてもよい。燃焼は、酸素をチャーおよび残留ガスへ導入することを含んでよい。チャーおよび残留ガスは、酸素と反応して、その後のガス化反応のための熱を与える二酸化炭素および一酸化炭素を形成してもよい。次に、ガス化ステップ中に、蒸気がガス化装置16内へ導入されてもよい。チャーは、約800℃から1100℃までの範囲の温度で、二酸化炭素および蒸気と反応して、一酸化炭素および水素を生成してもよい。本質的に、ガス化装置16は、蒸気および酸素を利用して供給材料の一部を「燃やす」ことができるようにすることにより一酸化炭素およびエネルギーを生成し、それにより、更なる供給材料を水素と更なる二酸化炭素とに変換する第2の反応がもたらされる。このようにすると、これに伴うガスがガス化装置16によって製造される。この伴って生じるガスは、未処理合成ガスと称されてもよい。また、ガス化装置16は、湿潤灰材料であってもよいスラグ18などの廃棄物を生成してもよい。このスラグ18は、ガス化装置16から除去されて、例えば道路基盤として或いは他の建築材料として処分されてもよい。
【0019】
ガス化装置16からの未処理合成ガスは、その後、ガス処理システム20内で浄化されてもよい。例えば、ガス処理システム20は、冷却された未処理(例えば、洗浄しない)合成ガスから硫黄22および塩24を分離してもよい。それ以降、ガス処理システム20からのガスは、清浄な(例えば、洗浄した)合成ガスを含むことができる。特定の実施形態では、アンモニア、メタノール、または、任意の残留化学物質などの残留ガス成分28を清浄な(例えば、洗浄した)合成ガスから除去するためにガスプロセッサ26が利用されてもよい。加えて、特定の実施形態では、炭素捕捉システム30が、合成ガス中に含まれる炭素系ガス(例えば、容量で約80〜100パーセント純粋な二酸化炭素)を除去して処理してもよい。洗浄した合成ガスは、その後、ガスタービンエンジン34の燃焼器32、例えば、燃焼室へ可燃性燃料として送られてもよい
発電プラント10は空気分離ユニット(ASU)36を更に含んでもよい。ASU36は、例えば蒸留技術によって空気を成分ガスへと分離するようになっていてもよい。ASU36は、ASU圧縮機38からASUへ供給される空気から酸素を分離してもよく、また、ASU36は、分離された酸素をガス化装置16へ送ってもよい。加えて、ASU36は、分離された窒素を希釈気体窒素(DGAN)圧縮機40へ送ってもよい。
【0020】
DGAN圧縮機40は、ASU36から受けられる窒素を少なくともガスタービンエンジン34の燃焼器32内の圧力レベルに等しい圧力レベルまで圧縮して、燃焼室内への適切な注入が起こるようにしてもよい。このようにして、DGAN圧縮機40が窒素を適したレベルまで適切に圧縮した時点で、DGAN圧縮機40は、圧縮された窒素をガスタービンエンジン34の燃焼器32へ送ってもよい。窒素は、例えば、排出の制御を容易にするために希釈剤として使用されてもよい
ガスタービンエンジン34は、タービン42、駆動シャフト44、および、圧縮機46、並びに、燃焼器32を含んでもよい。燃焼器32は、燃料ノズルから加圧下で注入されてもよい合成ガスなどの燃料を受けてもよい。この燃料は、圧縮空気およびDGAN圧縮機40からの圧縮窒素と混合されて、燃焼器32内で燃焼されてもよい。この燃焼が高温の加圧燃焼ガスを形成してもよい。燃焼器32は、燃焼ガスをタービン42の入口へ向けて導いてもよい。燃焼器32からの燃焼ガスがタービン42を通過する際に、この燃焼ガスにより、タービン42内のタービンブレードがガスタービンエンジン34の軸に沿って駆動シャフト44を回転させてもよい。図示のように、駆動シャフト44は、圧縮機46を含むガスタービンエンジン34の様々な構成要素に接続される。駆動シャフト44は、タービン42を圧縮機46に接続してロータを形成してもよい。圧縮機46は、駆動シャフト44に結合されるブレードを含んでもよい。このようにすると、タービン42内のタービンブレードの回転により、タービン42を圧縮機46に接続する駆動シャフト44が圧縮機46内のブレードを回転させる。圧縮機46内のブレードのこの回転により、圧縮機46は、空気取り入れ口を介して圧縮機46内に受け取られる空気を圧縮する。圧縮された空気は、その後、より高い効率の燃焼を可能にするために、燃焼器32へ供給されて燃料および圧縮窒素と混合されてもよい。駆動シャフト44は、例えば発電プラント内にある電力を生成するための発電機などの定常負荷であってよい第1の負荷48に接続されてもよい。実際には、第1の負荷48は、ガスタービンエンジン34の回転出力によって動力供給される任意の適した装置であってよい。
【0021】
発電プラント10は、蒸気タービンエンジン50および熱回収蒸気発生(HRSG)システム52を含んでもよい。蒸気タービンエンジン50は第2の負荷54を駆動させてもよい。また、第2の負荷54は、電力を生成するための発電機であってもよい。しかしながら、第1および第2の負荷48,54はいずれもそれぞれガスタービンエンジン34および蒸気タービンエンジン50により駆動され得る他のタイプの負荷であってもよい。
【0022】
また、ガスタービンエンジン34からの加熱された排ガスは、HRSG52内へ輸送されるとともに、水を加熱して蒸気タービンエンジン50に動力供給するために使用される蒸気を生成するために使用されてもよい。例えば蒸気タービンエンジン50の低圧部からの排ガスが凝縮器56へと導かれてもよい。凝縮器56は、加熱水を冷却水と交換するために冷却塔58を利用してもよい。冷却塔58は、蒸気タービンエンジン50から凝縮器56へ送られる蒸気を凝縮するのに役立つように冷却水を凝縮器56へ与える役目を果たす。凝縮器56からの凝縮物は、引き続いて、HRSG52へと導かれてもよい。この場合も先と同様に、ガスタービンエンジン34からの排ガスは、凝縮器56からの水を加熱して蒸気を生成するためにHRSG52へ導かれてもよい。
【0023】
図1の例示される工業プラント10は、燃料源12、ガス化装置16、ガス処理システム20、炭素捕捉システム30、熱回収蒸気発生器52、蒸気タービンエンジン50など、異なるタスクを実行する様々な異なるサブシステムおよび構成要素を含む。これらの構成要素は、それぞれの構成要素の状態、属性、および、動作に関するデータを送信する複数の機器60(例えば、センサ、コントローラ、起動器(activator)など)に結合されてもよい。機器60は、構成要素の動作および性能に関連する複数のパラメータを監視するように構成されてもよい。例えば、複数の機器60のうちの1つがガスタービンエンジン34に結合されてもよい。機器60は、例えば、周囲温度および周囲圧力などの環境条件、並びに、排ガス温度、ロータ速度、エンジン温度、エンジン圧力、ガス温度、エンジン燃料流量、振動、回転構成要素と固定構成要素との間のクリアランス、圧縮機吐出圧力、排気物質/汚染物質、および、タービン排気圧力などのガスタービンエンジン34の動作および性能に関連する複数のエンジンパラメータを測定してもよい。更に、機器60は、バルブ位置などのアクチュエータ情報および可変の幾何学的構成要素(例えば、空気取り入れ口)の幾何学的位置を測定してもよい。機器60は、受信された制御信号にしたがってそれぞれの構成要素の特定の態様を制御するコントローラとしての役目を果たしてもよい。機器60によって取得された測定値は、制御ネットワーク62を介して送信されてもよく、また、プラント制御システム64によって受信されてもよい。同様に、プラント制御システム64からの制御信号などのデータが機器60へ送信されてもよい。
【0024】
プラント制御システム64は、分散制御システム(DCS)66、製造実行システム(MES)68、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)システム70、および/または、監視制御・データ取得(SCADA)システム72を含む、制御ステーションまたはコンピュータであってもよい。プラント制御システム64は、多変数制御システム、H無限大制御システム、H2制御システム、線形象限レギュレータ、線形象限ガウシアン制御システムなどを含む幾つかのタイプの制御システムを使用してもよい。HMIシステム70は、オペレータがプラント制御システム64および他のプラント構成要素と相互に作用できるようにしてもよいディスプレイおよびインタフェースシステムを含んでもよい。例えば、ディスプレイおよびインタフェースシステムは、情報を入力して様々なデータを表示するのに適したスクリーンを含んでもよい。特定の実施形態において、ディスプレイおよびインタフェースシステムは、イントラネット、および、インターネットアクセスまたはウェブアクセスなど、プラント10の様々な構成要素への遠隔的なアクセスを可能にしてもよい。
【0025】
また、制御システム64が助言システム76に結合されてもよい。助言システム76は、制御または保守に関連する助言を生成するために、制御システム64からデータを受信して特定の計算を実行してもよい。助言システム76は、現在のプラントデータ、過去のプラントデータ、環境因子および環境予測、市場因子および市場予測などを含む複数のデータに基づいて、推奨される制御動作、最適な保守計画を提供してもよい。以下、そのようなデータ、および、助言を得るためのそのようなデータの操作について更に詳しく説明する。助言システム76は、推奨される手動制御動作をオペレータに出力してもよく、および/または、信号を制御システム64へ送ることによって制御パラメータを自動的に実施してもよく、制御システム64は、その後、適切な制御信号を機器60へ送ってもよい。手動制御動作は、例えば警報、警告、および、メッセージにより、オペレータへ通信されてもよい。この通信は、推奨される制御動作のテキスト情報およびマルチメディア(例えば、画像、ビデオ、3D表示、音声)記述を含んでもよい。助言システム76は、プラントの用地に或いは遠隔的に単一のコンピュータデバイスとして実装されてもよく、または、助言システム76は、異なる場所からアクセス可能な複数のコンピュータデバイスであってよい。
【0026】
図2は、助言システム76の一実施形態の概略図である。助言システム76は、プロセッサ78、メモリ80、ディスプレイ82、ヒューマンマシンインタフェース84、1つ以上のI/Oポート86、および、ネットワークデバイス88を含んでもよい。プロセッサ78は、助言システム76の動作と関連付けられる計算、決定、データ処理、および、通信を行うために非一時的な機械可読コード(例えば、コンピュータ命令)を実行するように構成されてもよい。そのようなコードがメモリ80に含まれてもよい。メモリ80としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)等を挙げることができる。メモリ80は、過去のプラントデータ、ビジネス・環境データ、物理データなどを含む複数のデータを記憶してもよい。助言システム76は、データ受信モジュール90、モデル構築モジュール92、計算モジュール94、および、助言生成モジュール96を含む幾つかのモジュールを更に含んでもよい。
【0027】
データ受信モジュール90は、機器60からの現在のプラントデータ、並びに、過去のプラントデータ、技術的および商業的なデータ、環境データ、劣化データ、最適化基準などのメモリからの任意の記憶されたデータを受信してもよい。特定の実施形態において、データ受信モジュール90は、商業的データ(例えば、エネルギー市場データ、エネルギー先物データ、燃料市場データ、燃料先物データ)、環境データ(例えば、「グリーン」クレジットデータ、排出上限値データ)、規制データ(例えば、許容排出データ)、劣化データ、および、最適化基準などの特定のデータをネットワークまたはデータベースからダウンロードするように構成されてもよい。そのようなデータは頻繁な更新を受けてもよい。
【0028】
前述したように、助言システム76は、最適な制御助言を生成するために幾つかのタイプのデータを使用してもよい。機器60から受信されてもよい現在のプラントデータは、機器60に基づく測定値および派生物を含んでもよい。例えば、データとしては、温度測定値、圧力測定値、流量測定値、クリアランス測定値(例えば、回転構成要素と固定構成要素との間の距離を測定する)、振動測定値、位置測定値、化学的測定値、電力生成測定値、排ガス排出量測定値、応力または歪み測定値、漏れ測定値、速度測定値、燃料利用率測定値などを挙げることができる。プラント設備データは、個々の設備に関連するデータを含んでもよい。例えば、データとしては、設備の動作状態(例えば、速度、温度、圧力、振動、流量、燃料消費量、電力生成、クリアランス)、保守履歴(例えば、保守記録)、性能履歴(例えば、電力生成記録)などを挙げることができる。
【0029】
ビジネスデータまたは市場データは、プラント10に影響を与える場合がある景気および商況と関連するデータを含んでもよい。例えば、データとしては、電力、製品、燃料、原材料(例えば、金属、化学物質)、および/または、加工済み材料(例えば、処理済み化学物質、精製油)の需要および供給に関する市場データを挙げることができる。また、データとしては、先物市場、例えば、将来の電力出力、将来の商品、将来の原材料などの販売に関するデータを挙げることができる。加えて、データとしては、キャップアンドトレード市場(すなわち、排出権市場)などの規制市場における供給および需要データを挙げることができる。更に、データとしては、排出量制御に関する税額控除、特定の技術(例えば、炭素捕捉技術、炭素隔離技術)の使用に関する税額控除、特定の化学物質の排出量(例えば、硫黄排出量、CO
2排出量)に関連する調整コストなどに関連するビジネスデータを挙げることができる。環境データとしては、保守計画などにも影響を与える気象予測情報などのデータを挙げることができる。
【0030】
助言システム76は、故障モード解析・リスクデータ、動作モデル、および、物理特性、並びに、アルゴリズムを考慮に入れる物理関連データを用いてもよい。故障モード解析・リスクデータは、プラント動作と関連する特定のリスクを導出する際に有用なデータを含んでもよい。例えば、故障モード解析・リスクデータとしては、設備故障のリスクまたは設備保守の必要性を予測するために使用されてもよい低サイクル疲労(LCF)寿命予測モデル、計算流体力学(CFD)モデル、有限要素解析(FEA)モデル、ソリッドモデル(例えば、パラメトリックモデリングおよび非パラメトリックモデリング)、および/または、3次元から2次元へのFEAマッピングモデルなどの物理学ベースのモデルを挙げることができる。故障モード解析と併せて、発電プラント10および発電プラント10の構成要素の動作をシミュレートするために、動作モードおよび物理特性が使用されてもよい。したがって、電力出力、燃料利用率、合成ガス生成、HRSG52のエネルギー回収、タービン34のエンジン速度などがシミュレートされてもよい。
【0031】
故障モード解析・リスクデータおよび動作モデルは、回帰分析モデル、データマイニングモデル(例えば、クラスタリングモデル、分類モデル、アソシエーションモデル)などの統計モデルを含んでもよい。例えば、クラスタリング技術は、ある意味で「同様」であるグループまたは構造をデータ中で見つけてもよい。分類技術は、データ点を、特定のグループ、例えば、計画外の保守事象に出くわす確率がより高い構成要素の一部として分類してもよい。回帰分析は、将来の傾向を特定の誤差範囲内でモデル化することができる関数を見つけるために使用されてもよい。アソシエーション技術は、変数間の関係を見つけるために使用されてもよい。例えば、連関規則学習技術を使用することは、特定の冷間始動手順をタービンシステムにおけるブレード摩耗の増大と関連付けることに繋がる場合がある。
【0032】
前述したデータタイプは、最適な制御動作および計画を決定する際に助言システム76によって使用されてもよいデータの例であることに留意すべきである。助言システム76の実施形態は、前述したデータタイプの一部のみを利用してもよく、或いは、本明細書中に記載された他のデータを含んでもよい。
【0033】
モデル構築モジュール92は、所望のモデルを構築するためにデータ受信モジュール90により受信されるデータを使用するように構成されてもよい。モデルとしては、プラント伝達関数、構成要素レベル伝達関数、プラントレベルコストモデル、劣化寄与因子モデル、最適化モデル、または、他の関連モデルを挙げることができる。プラント劣化寄与因子モデルは、一般に、特定の構成要素の劣化が一般的に他の性能基準における効率に関してプラント全体にどのように影響を及ぼすのかをモデル化する。プラントレベルコストモデルは、一般に、劣化寄与因子モデル、および、コスト、電力、発熱率、排出量、需要、供給などの他の基準データの関数として構築される。最適化モデルは、最適化基準およびプラントレベルコストモデルから構築されてもよい。そのようなモデルは、
図3において更に論じられる。
【0034】
1つの実施形態において、計算モジュール94は、最適な制御パラメータを決定するために、前述したモデル、入力、および、前述したデータの少なくとも一部を使用する。プラントが既に許容可能な状態にある場合、計算モジュールは、そのような状態を示す値を戻してもよい。そうでなければ、計算モジュール94は、現在の制御パラメータと最適な制御パラメータとの間の差に対応する出力を戻してもよい。助言生成モジュール96は、計算モジュール94からの出力を動作コマンドへ変換するように構成されてもよく、動作コマンドは、オペレータによって実行されてもよく或いは自動的に実施されてもよい。このように、助言生成モジュール96は、ディスプレイを介してオペレータに助言を出力してもよい。助言生成モジュール96は、オペレータに与えられる最適な動作計画および/または保守計画を生成してもよい。例えば、保守計画は、プラント設備の検査、特定の構成要素の交換、設備試験の実行などの動作を含んでもよい。同様に、動作計画は、例えば、プラント動作および/または設備を始動する際に有用な時間ベースの動作を含んでもよい。例えば、タービン始動は、特定のタービン速度に到達するべく、燃料の送出、燃料の点火、並びに、燃料および空気の送出制御に基づく動作行為の計画を含んでもよい。助言生成モジュール96の出力は、ディスプレイ82上でオペレータに与えてもよい。その後、オペレータは、HMI84を介して、特定の推奨される制御動作を実施してもよい。また、出力は、ネットワークデバイス88を介して他の制御ステーションまたはデバイスに送信されてもよく、ネットワークデバイス88は、無線ルータ、モデム、イーサネット(登録商標)カード、ゲートウェイなどを含んでもよい。出力は、通信チャネル74を介して通信されてもよい。
【0035】
図3は、助言システム76の一実施形態のブロック図表示であり、この助言システム76により、データ102を使用して、自動制御動作104およびオペレータ助言106を生成してもよい。データは、論じられたように、現在のプラントデータ、過去のプラントデータ、物理データ、ビジネス・市場データ、環境データなどを含んでもよい。そのような入力に基づき、構成要素レベル伝達関数108およびプラントレベル伝達関数110が決定されてもよい。具体的には、構成要素レベル伝達関数は、一般に、入力と出力との間の関係または特定の構成要素のシステム応答をモデル化する。したがって、特定の構成要素の出力は、構成要素レベル伝達関数に与えられる入力から決定されてもよい。特定の実施形態において、複数の構成要素レベル伝達関数は、ガスタービン、蒸気タービン、熱回収蒸気発生器などの複数の構成要素のそれぞれの入力−出力関係をモデル化し、それにより、それぞれの構成要素および/または構成要素相互作用をシミュレートしてもよい。プラントレベル伝達関数も同様に、工業プラント10全体または構成要素の一部の入力−出力関係をモデル化してもよい。したがって、発電プラント10の電力生成計画、燃料使用計画、排出計画、保守計画などをシミュレートするのに適した全プラント10シミュレーションが可能にされてもよい。
【0036】
構成要素レベル伝達関数108は、その後、劣化寄与因子モデル112を決定するために使用されてもよい。劣化とは、構成要素のパラメータの定格(例えば、国際標準化機構(ISO)定格、ISO3977定格、製造業者定格など)値とそれぞれのパラメータの現在観察される値との間の差のことである。劣化寄与因子モデル112は、凝縮器性能劣化やタービン性能劣化等の従来的な劣化寄与、より一般的には、システム10のサブシステムおよび/または構成要素の劣化に関連するモデルを含んでもよい。好適には、劣化を導き出すための非従来的な寄与が使用されてもよい。例えば、命じられた設定点に対するドラムレベルの現在の応答時間や、バルブ(例えば、バイパスバルブ)開閉の応答時間などが使用されてもよい。言い換えると、非従来的な寄与は、関連するシステムおよび構成要素の挙動の直接的な或いは間接的な観測を含む。従来的な劣化寄与と非従来的な劣化寄与とを組み合わせるハイブリッド手法を使用することにより、より正確な劣化寄与因子モデル112が与えられてもよい。
【0037】
各構成要素の各パラメータの劣化は、プラント全体の性能の固有の効果を有してもよい。したがって、劣化に起因する性能の変化を追跡するためのプロセスが与えられてもよい。例としては、流量に直接に影響を及ぼす流体圧送の累積変化率、したがってメガワット性能の累積変化率が挙げられる。同様に、レベル設定点に対するドラムの経時的応答がHRSG52性能/効率劣化の直接的な指標となり得る。また、着火温度のより高い変化は、排気損失の増大、したがって性能劣化を意味し得る。一般に、劣化寄与因子モデル112は、プラント全体に関する特定のパラメータまたは構成要素の劣化の重み或いは重要性を係数が反映するパラメトリックモデルとして表されてもよい。係数は、過去のプラントデータの回帰モデリングまたは他の方法によって見出されてもよい。したがって、劣化寄与因子モデル112は、構成要素(例えば、ガスタービン、蒸気タービン、熱回収蒸気発生器、ガス化装置、発電機、冷却塔)における劣化を反映するとともに、特定の構成要素における劣化が全体のプラント性能にどの程度寄与するのかを反映する。
【0038】
劣化寄与因子モデル112、プラントレベル伝達関数110、および、コスト、電力、発熱率、排出量、需要、供給などの臨界パラメータの関数として、プラントレベルコストモデル114が構築されてもよい。プラントレベルコストモデル114の生成は、プラントレベル性能向上のために多目的制約/非制約動的最適化問題を解決するべく使用され得る劣化寄与因子の1つ以上のコスト関数を生成することを含んでも良い。劣化寄与因子における幾つかの決定変数としては、本明細書中で言及された他の寄与因子に加えて、命じられた設定点に対するドラムレベルの応答時間、バルブ(例えば、バイパスバルブ)開閉応答時間、冷却率の時間に対する変化、時間に伴う給水流量変化、凝縮物形成速度、ポンプ流量変化などが挙げられる。コスト関数は、従来的および非従来的な劣化寄与因子に関連する経験に基づく定式化である。
【0039】
1つの実施形態において、プラントレベルコストモデルは、一般に、生成される電力の量などの所望の出力を達成するためにそれがプラントに負わせるコストを決定してもよい。プラントレベルコストモデルは、一般に、特定の所望の出力(例えば、生成される電力)、所望の出力(例えば、設備圧力、発熱率、温度、流量、動作速度、排出量、燃料のコストおよび量)を達成するための動作パラメータ、および、劣化寄与因子モデル112の関数である。コストは、これらのコスト因子の加重総量として決定されてもよい。物理学、統計学、および、経験則の知識も利用することを伴う劣化寄与因子の閉形式「コスト関数」を規定するために重み導関数との経験的関係が使用されてもよい。パラメータ係数は、部分負荷動作、ベース負荷動作、および、ピーク負荷動作に適応する。例えば、老朽化した熱交換器により形成される異物や不純物の他の形成に起因して、ボイラー内の汚染が引き起こされる可能性がある。機械学習、ニューラルネットワーク(NN)、人工知能、人工NNなどを含むデータマイニング技術の適用は、劣化およびその寄与因子に関連するプラントレベル伝達関数110を生み出す。1つの手法は、実験を考え出すことを行って、伝達関数110を生成するべく応答表面モデルを構築することを含む。このように、プラントレベルコストモデルは、所望の出力を生成するコスト(例えば、保守コスト、燃料コスト、リスク、動作コスト)を決定することができる。実際に、プラント10のコスト関数が劣化寄与を入力として含んでもよく、この場合、劣化寄与は、プラント10に含まれる全ての構成要素またはシステム(例えば、HRSG52、ガスタービンエンジン34、蒸気タービン50、排気圧損失、凝縮器56、制御バルブなど)に起因する劣化を考慮に入れる。実環境の劣化寄与因子を組み込むことによって、プラントレベルコストモデルおよび関連するサブモデル(例えば、物理ベースのモデル、統計モデル)が精度の向上を含んでもよい。
【0040】
その後、最適コントローラ116が、プラントレベルコストモデル114および最適化技術を使用して、最適なパラメータを決定する。最適コントローラ116は、短期動作および長期保守計画を可能にするためにハイブリッドモデル(物理学ベース&データ駆動型)を使用する劣化が存在する複合サイクル発電プラント(例えば、システム10)全体の定常状態性能を制御するための監視システムとして機能する。最適コントローラ116は、システム10に対する劣化の影響を軽減する低レベル規制制御ループに対してコントローラ116が設定点を規定するように設計されてもよい。最適コントローラ116は、プラントの様々な構成要素にとって最適なパラメータを特定して分類するために様々な人工知能および最適化技術を含んでもよい。1つの実施形態において、コスト関数f114(例えば、目的関数f、効用関数f)は、A内の全てのxに関してf(x
0)≦f(x)(例えば、最小値)を見つけることによって、より数学的に最適化されてもよい。ここで、Aは、プラント10における一組の制約である。線形計画(LP)ソルバー、二次錐計画(SOCP)ソルバー、半正定値計画(SDP)ソルバー、錐計画ソルバー、非線形計画ソルバー、制約充足ソルバー、および/または、ヒューリスティックソルバーを含むがこれらに限定されないソルバーが使用されてもよい。他の実施形態では、A内の全てのxに関してf(x
0)≧f(x)(例えば、最大値)を見つけることにより、本明細書中に記載されるソルバーを使用して、コスト関数f114がより数学的に最適化されてもよい。
【0041】
最適コントローラ116は、前述したように、コスト関数f114の最適性について解いてもよい。最適コントローラ116により決定される最適なパラメータは、その後、最適なパラメータがもしあればその最適なパラメータと現在のパラメータとの間の差を決定するために、現在のプラント状態118と比較される。現在のプラント状態は、プラントおよびプラント構成要素の現在の状態を反映するパラメータを含んでもよい。その結果は、現在のパラメータを最適コントローラ116により決定される最適なパラメータに更に近づけることができる推奨される制御動作104を決定するために使用されてもよい。したがって、コントローラは、最適な着火温度、排気温度、燃料流量、圧力、速度などを出力してもよい。
【0042】
助言システム76は、最適コントローラ116の出力および他のデータに基づいて助言決定を行うために人工知能(AI)および/または機械学習システムを使用してもよい。他のデータとしては、ビジネス/市場データ、環境データ、規制データなどを挙げることができる。そのようなデータは、プラントの物理的状態に基づかないが、それらが制御決定に影響を与え得ると見なす価値がある場合がある。例えば、特定の規制は、プラント排出量が特定の閾値を下回る場合、プラントまたは親企業に信用または利益を与える場合がある。しかしながら、目標電力出力を生成するために、プラントは、より多くの排出量を放出する場合があり、潜在的に排出権を失う場合がある。したがって、助言システムは、AIまたは機械学習システムを介して、どちらのシナリオの利益および損失も計算することができ、より有利な制御決定を行うことができる。加えて、AIまたは機械学習システムは、その意思決定を容易にするため、過去のデータを使用してもよい。これは、過去の決定、結果、および、傾向にしたがって特定の決定閾値を更新する或いは調整すること、および、より洗練された入出力因果関係を得ることを含んでもよい。例えば、助言システム76は、収益を最大化して損失を最小化する最適な停止計画を決定する際にこれらの方法を適用してもよい。
【0043】
前述した機能を果たすために使用されるAIおよび/または機械学習システムは、k−NNアルゴリズムを実装するk最近傍システム(k−NN)を含んでもよく、このk−NN法では、最も近い既知の例または最近傍に基づいてオブジェクトまたは状況が分類される。AIおよび/または機械学習システムはエキスパートシステムを含んでもよく、この場合、エキスパートシステムは、人間の専門家の意思決定を見習う。エキスパートシステムは、一連の「仮に...の場合には...(if...then...)」文などとして表されてもよい知識データベースを含んでもよい。また、エキスパートシステムは、推論および意思決定を容易にするために推論エンジンを使用してもよい。推論エンジンは、命題論理、時相論理、様相論理、ファジー理論などを含んでもよい。前述したKNNアルゴリズムおよびエキスパートシステムに加えて、助言システム76は、遺伝的アルゴリズム、状態ベクトルマシン、ファジー理論、ニューラルネットワークなどの他のAIおよび/または機械学習システムを使用してもよい。
【0044】
このように、プラント性能を最大にすることを目的とする制御調整を行う、最適コントローラによりもたらされる最適な制御に加えて、助言システムは、制御パラメータの更新、保守、および、停止計画を含む助言を生成するために、環境的因子、経済的因子、規制的因子、および、時間的因子も組み入れる。助言は、自動制御動作として自動的に実施されてもよく、この場合、助言システムが信号を制御システム64へ送り、動作が自動的に実施される。同様に、その結果は、警告、警報、または、メッセージの形式でオペレータに提示されてもよいオペレータ助言106を生成するために使用されてもよい。オペレータ助言106は、特定の制御動作を実行するための命令を含んでもよい。オペレータ助言106は保守プランナを含んでもよく、該保守プランナは、特定の制御または保守動作を行う最適な時間をオペレータに示し、特定の制御または保守動作の一部は、プラントまたはプラントの特定の構成要素をオフラインにすることを伴ってもよい。前述したように、ビジネス・環境データを使用してそのような計画を構築してもよい。例えば、最適化技術は、予想需要、コスト、収益性、気象条件、および、保守または停止の緊急度を考慮に入れてもよい。加えて、過去のプラントデータが使用されてもよい。最適化技術は、そのようなデータ並びにユーザ定義の最適化方針および制約を使用して保守計画を生成するために適用されてもよい。また、特定の実施形態では、助言システム76がHMI84を介してボタン等を与えてもよく、オペレータは、このボタン等を押して、提案された命令動作を直接に実施してもよい。これは、命令自体へと誘導することなく或いは命令自体を入力することなく、オペレータが命令を実施できるようにする。
【0045】
図4は、HMI84上に表示されてもよいインタフェース120(例えば、オペレータインタフェース)の一実施形態を示す。インタフェース120は、視覚的で非常に基本的な理解できるグラフィックスの形態で、動作および保守の推奨組を与えてもよい。インタフェース120により表示されるプラントのストレスおよび現在の状態に加えて、制御パネルがプラント動作の視覚的制御をオペレータに与えてもよい。この新機軸は、劣化寄与因子の大きさに対するプラントの始動、停止、通常動作の分類や、動作の進行に伴う各寄与因子の予測/期待挙動パターンなどを与えてもよい。この特定の実施形態において、インタフェースは、ファイルローダ122、1つ以上のデータウインドウ124、状態バー126、1つ以上のボタン128、および、1つ以上の計算ウインドウ130を含む。ファイルローダ122は、オペレータがデータファイルをシステムへロードできるようにする。データファイルは、履歴データ、環境データ、市場データ、最適化方針などの組を含んでもよい。一例として、図示の実施形態では、閾値ファイルがファイルローダ122にアップロードされてもよい。閾値ファイルは、最適な制御および助言を生成する際に使用されるべき特定の閾値を含んでもよい。データウインドウ124は、機器60からのデータのグラフィック表示を含んでもよい。本実施形態において、データウインドウは、熱回収蒸気発生器(HRSG)の高圧セグメント、中圧セグメント、および、低圧セグメントのドラムレベルを経時的に示す。他の実施形態において、データウインドウは、タービンエンジン34、蒸気タービン50、凝縮器56などのプラント10の任意の構成要素における構成要素データを示してもよい。また、データウインドウ124は、実際のデータを閾値と比較して見ることができるように閾値レベルを表示してもよい。状態バー126は、「待機」、「処理」、「完了」などの助言システムの現在の状態または活動を表示してもよい。ボタン128は、シミュレーションプロセスを含むプロセスを始める、終える、または、中断するためにオペレータによって使用されてもよい。計算ウインドウ130は、出力された結果を表示してもよい。例えば、本実施形態において、計算ウインドウ130は、データウインドウ124からの観測データにしたがったHRSGドラムシステムの計算されたトリップリスク、および、観測データ、閾値データ、他のデバイス、および、トリップリスクの間の既知の相関関係および/またはアルゴリズムを示す。助言システム76は、計算されたトリップリスクおよび他のデバイス、例えば履歴データ、環境データ、または、経済データに基づいて助言を更に生成してもよい。データを可視化形式で容易に与えることにより、インタフェース120は、プラント10のための動作を更に最適化するのに有用な視覚化をプラント10のオペレータに与えてもよい。
【0046】
図5は、プラント10により使用される、特定の実施形態では最適コントローラ116および/または助言システム76により使用されるプロセス132を示す。プロセス132は、最適コントローラ116および/または助言システム76によって実行できるプロセス132における計算、決定、データ処理、および、通信を行うための非一時的機械可読コード(例えば、コンピュータ命令)として実装されてもよい。プロセス132は、様々なソースからデータ134を受信してもよい(ブロック136)。データ134は、機器60(
図1)から来てもよい現在のプラントデータ、過去のプラントデータ、ビジネス・環境データ、最適化基準、物理データなどを含んでもよい。幾つかのデータは、メモリ80から受信されてもよく、および/または、ネットワークまたは他のマシン上に位置付けられるデータベースからダウンロードされてもよい。適切なデータが受信された(ブロック136)後、該データは、プラントレベル伝達関数および構成要素レベル伝達関数を決定する(ブロック138)ために使用されてもよい。構成要素レベル伝達関数は、特定のデータ134と共に、劣化寄与因子モデルを構築する(140)ために使用されてもよく、劣化寄与因子モデルは、プラントの全体の性能に対して個々の構成要素が与える影響または寄与を決定する。劣化寄与因子モデルおよび他の臨界パラメータ、例えば、コスト、電力、発熱率、排出量、需要、供給などは、プラントの性能を個々の構成要素の関数としてモデル化するプラントレベルコストモデルを構築する(ブロック142)ために使用される。プラントレベルコストモデルは、その後、全体のプラント性能に対する構成要素劣化の影響を最小限に抑えるように選択される最適化パラメータを計算する(ブロック144)ために使用されてもよい。最適化パラメータは、排気温度、着火温度、給水入力、流量レベルなどの特性に関連付けられてもよい。決定された最適化パラメータ値は、その後、最適化値を実現するのに適した制御動作を決定する(ブロック146)ために使用されてもよい。これは、それぞれのパラメータの現在の値と最適化値とを比較することによって行われてもよい。最適値と現在の値との間の差は、対応する制御動作へと変換されてもよく、対応する制御動作は、実施される際に、現在の値を最適値へ至らせてもよい。プラント10または助言システム76は、その後、助言を生成して出力してもよい(ブロック148)。助言は、コンピュータなどのオペレータデバイスのディスプレイに出力されてもよい。助言は、提案された制御動作および/またはそのような制御動作を行うための命令をオペレータに与える警告150であってもよい。また、助言は、1つ或いは一連の制御動作または保守動作、例えばプラント停止を行うのに最適なタイムフレームの概要を示す保守計画152を含んでもよい。実際に、標準状態に対して比較される劣化寄与因子の傾向に基づく停止・保守計画および設計限界が与えられてもよい。例えば、本明細書中に記載される技術は、劣化寄与因子の傾向を監視して評価するとともに、それらの傾向を設計限界および過去の経験に対して比較して、行われるべき停止または計画されるべき次の保守に関する視覚情報を生成する。また、プラント10または助言システムは自動制御動作を生成して実施してもよく(ブロック154)、これは、制御システム64(
図1)へ送られるようになっている制御コマンド154であってもよい。高められたおよび/または向上された始動信頼性を得ることができる。例えば、劣化寄与因子傾向は、システム10の構成要素に作用する熱応力および他の形態の負荷の直接的な指標として使用されてもよく、したがって、プラント動作にわたってこれらの経過を追うことは、より一貫した更に最適化された始動を確保するのに役立つとともに、始動中に回避できるトリップを減らすのに役立つ。
【0047】
本発明の技術的効果は、工業プラントおよびプラント構成要素にとって最適な制御パラメータを生成するシステムおよび方法を提供することを含む。最適な制御パラメータは、その後、オペレータへの制御助言を生成して、最適なプラント性能のために行うべき制御動作をオペレータに警告するために使用されてもよい。また、システムは、プラント/構成要素状態、履歴データ、ビジネス・環境データなどの多くの因子を考慮に入れて、特定の保守動作または停止にとって最良の時間の概要を示す最適な保守計画を形成してもよい。また、システムは、オペレータの相互作用を伴わずに、最適な制御動作を自動的に実施する自動制御信号を送ってもよい。したがって、システムは、所望の最適化考慮事項にしたがって最適な態様でプラントを制御できるようにする。
【0048】
この書かれた説明は、本発明を開示するとともに、任意のデバイスまたはシステムを形成して使用すること、および、任意の組み入れられた方法を実行することを含めて、任意の当業者が本発明を実施できるようにするために、最良の形態を含む実施例を使用する。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、また、当業者が想起する他の実施例を含んでもよい。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉とは異ならない構造要素を有する場合、或いは、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉との実体のない差異を伴う等価な構造要素を含む場合に、特許請求の範囲内に入るように意図される。