(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232068
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】コポリアミド、該コポリアミドを含む組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
C08G 69/08 20060101AFI20171106BHJP
C08L 77/02 20060101ALI20171106BHJP
A43B 5/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
C08G69/08
C08L77/02
A43B5/00
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-529098(P2015-529098)
(86)(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公表番号】特表2015-528521(P2015-528521A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(86)【国際出願番号】FR2013051972
(87)【国際公開番号】WO2014037647
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2016年2月23日
(31)【優先権主張番号】1258232
(32)【優先日】2012年9月4日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロンデル,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブリフォー,ティエリー
【審査官】
渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−111691(JP,A)
【文献】
特開平11−286544(JP,A)
【文献】
特開平05−311066(JP,A)
【文献】
特開2001−002779(JP,A)
【文献】
特開2005−088344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G69、C08L、A43B1−23、B32B1−43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式:
A/X.Y
に対応する少なくとも2つの異なる繰り返し単位を含むコポリアミドであって、
式中、
Aは、少なくとも1つのアミノ酸から得られる単位及び少なくとも1つのラクタムから得られる単位から選択される脂肪族繰り返し単位であり、繰り返し単位Aは、9個から12個の炭素原子を含むアミノカルボン酸又は9個から12個の炭素原子を含むラクタムから得られ、並びに
X.Yは、4個から36個の炭素原子を含む、少なくとも1つの環式脂肪族ジアミン及び少なくとも1つのジカルボン酸の重縮合から得られる繰り返し単位を表し、
前記コポリアミドA/X.Yにおける単位Aの重量比率が91%以上であり、
560nmの波長で厚さ2mmのプレートで測定して、75%以上の光透過率の係数を有し、
ISO527規格に準じて測定して、1000から1500MPaの曲げ弾性率を有することを特徴とする、コポリアミド。
【請求項2】
単位X.Yの環式脂肪族ジアミンが、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(B)、p−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(P)及びイソホロンジアミン(IPD)から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のコポリアミド。
【請求項3】
単位X.Yのジカルボン酸が、脂肪族ジカルボン酸であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコポリアミド。
【請求項4】
前記コポリアミドが、式11/B.6、11/P.6、11/IPD.6、12/B.6、12/P.6、12/IPD.6、11/B.10、11/P.10、11/IPD.10、12/B.10、12/P.10、12/IPD.10、11/B.14、11/P.14、11/IPD.14、12/B.14、12/P.14又は12/IPD.14(ここで、11は11−アミノウンデカン酸であり、12はラウリルラクタムであり、Bは3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンであり、Pはp−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンであり、IPDはイソホロンジアミンであり、6はアジピン酸であり、10はセバシン酸であり、14はテトラデカン二酸である)に対応することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項5】
単位X.Yのジカルボン酸が、芳香族ジカルボン酸であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコポリアミド。
【請求項6】
前記コポリアミドが、式11/B.T、11/B.I、12/B.T、12/B.I、11/P.T、11/P.I、12/P.T、12/P.I、11/IPD.T、11/IPD.I、12/IPD.T又は12/IPD.I(ここで、11は11−アミノウンデカン酸であり、12はラウリルラクタムであり、Bは3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンであり、Pはp−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンであり、IPDはイソホロンジアミンであり、Tはテレフタル酸であり、Iはイソフタル酸である)に対応することを特徴とする、請求項1、2及び5のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のコポリアミドを調製するための方法であって、繰り返し単位A及びX.Yをもたらすコモノマーの重縮合ステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのコポリアミドを含む、組成物。
【請求項9】
充填材、繊維、染料、安定剤、特にUV安定剤、可塑剤、衝撃改質剤、界面活性剤、顔料、光学的増白剤、酸化防止剤及び天然ワックス、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1つの添加剤を含むことを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載のコポリアミド又は請求項8若しくは9に記載の組成物の使用であって、単層構造体、又は多層構造体の少なくとも1つの層を製造するための、使用。
【請求項11】
構造体が、繊維、フィルム、シート、チューブ、中空体、成形部品又は射出成形部品の形態であることを特徴とする、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
請求項1から6のいずれか一項に記載のポリアミド又は請求項8又は9に記載の組成物の使用であって、シューズソール又はシューズソールの構成要素などの、特にスポーツシューズの透明な成形物品を製造するための、使用。
【請求項13】
ソールを含み、前記ソールが全体的に若しくは部分的に請求項1から6のいずれか一項に記載のコポリアミド又は請求項8若しくは9に記載の組成物から製造される、シューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコポリアミド、これを調製するための方法及びその使用、特に、透明性、装飾のし易さ及び繰返し応力に対する機械的強度を併せ持つ種々の対象物の製造における使用に関する。これらの対象物のうちスポーツ用品、より具体的にはスポーツシューズなどの一般消費者向け物品を挙げることができる。
【0002】
また、本発明は該コポリアミドを含む組成物、並びにこの組成物の使用、特に上記した対象物の全体若しくは部品の製造における使用に関する。
【0003】
最後に、本発明はこのコポリアミド若しくは組成物を使用するシューズ、特にスポーツシューズに関する。
【背景技術】
【0004】
特にスポーツ業界におけるシューズ分野においては現在、「Ross Flex」試験として知られる疲労試験に満足する、比較的に硬く、かつ透明なソールを製造することが探求されている。
【0005】
本明細書において、用語「ソール」は一般的に受け入れられている認識におけるソール、並びにシューズ及び衝撃を吸収する系構成要素、特に中間ソール又は外側ソールを意味する。
【0006】
スポーツシューズソールを製造するための種々の熱可塑性ポリマーが現在、市場で入手可能である。これらのポリマーのうち、ポリアミド、特に非晶質ポリアミドが一般的に用いられる。
【0007】
該ポリアミドは、非常に良好な機械特性を有しており、かつ透明であることからとりわけ有利である。しかしながら、これらのポリアミドは「Ross Flex」疲労試験を満足せず、従って屈曲が繰り返される部品の製造には用いることができない。
【0008】
他の透明なポリマー、加えて疲労試験を満足するポリマーが一般的にスポーツシューズソールの製造に使用され、これらは商品名Pebax(R)で知られるポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーである。しかしながら、これらのポリマーは必要とされる要求に関しては、柔軟性が高すぎる。
【0009】
従って、上記した3つの基準、即ち、
− 十分に硬く、かつ1000から1500MPaの曲げ弾性率(ISO規格に準じて測定して)を有し、
− 透明である、即ち75%以上の光透過率の係数(560nmの波長で、厚さ2mmのプレートで測定する)を有し、並びに
− 「Ross Flex」疲労試験(後段で詳述する)を満足する
ことを同時に満たすことができるポリマーを見つけることが真に必要とされている。
【0010】
文書US 2008/0 119 632は、印刷可能な透明物品を製造するための、コポリアミドを含む透明な組成物を記載している。これらの物品はより具体的には、スキー上衣の製造を目的とするフィルムの形態にある。この組成物のコポリアミドは:
− 65mol%から99mol%の直鎖脂肪族ジアミン及び直鎖脂肪族ジカルボン酸からなる等モル量混合物であり、8個から12個の平均炭素原子数を有する混合物、
− 1mol%から35 mol%の環式脂肪族ジアミン及びジカルボン酸の等モル量混合物
を含む。
【0011】
該コポリアミドは、上記した硬さ、透明性及び疲労の3つの基準を満足する。しかしながら、成形による該コポリアミドの変形または成形は完全に満足なものではない。特に、成形物中に気泡の形成が見られるだけではなく、コポリアミドが型の壁に固着するために、型の引き抜き操作も困難である。従って、成形によってシューズソールを製造するために、該コポリアミドを使用することを想定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0119632号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は上記の硬さ、透明性及び疲労の3つの基準を同時に満足し、並びに成形によって、特にシューズソールなどの成形物品を製造するために容易に使用することができるポリマーを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、下記一般式:
A/X.Y
に対応する、少なくとも2つの異なる繰り返し単位を含むコポリアミドによって達成され、
式中、
Aは、少なくとも1つのアミノ酸から得られる単位及び少なくとも1つのラクタムから得られる単位から選択される脂肪族繰り返し単位であり、並びに
X.Yは、4個から36個の炭素原子、有利には6個から18個の炭素原子を含む、少なくとも1つの環式脂肪族ジアミン及び少なくとも1つのジカルボン酸の重縮合から得られる繰り返し単位を表す。
【0015】
本発明によれば、該コポリアミドA/X.Yにおける単位Aの重量比率は91%以上である。
【0016】
具体的には、該コポリアミドA/X.Y(繰り返し単位A及びX.Yは上記定義の通りである)における繰り返し単位Aの重量含有量が91%以上では、変形条件に依らず、硬さ、透明性及び疲労の基準が達成されることが観察されている。特に、成形による実施は完全に満足できるものであり、成形物の反りは観察されない。一方、この重量含有量が91%未満では、このコポリアミドはもはや「Ross Flex」疲労試験を満足しないことが観察されている。
【0017】
本発明のその他の特徴、態様、主題及び利点は後段の記載及び実施例を読むことでより明らかにされる。
【0018】
特に、本発明はコポリアミドを調製する方法、その使用並びに該コポリアミドを含む組成物および該組成物の使用にも関する。
【0019】
本発明はまた、シューズ、具体的にはスポーツシューズに関する。
【0020】
前段の記載並びに本明細書の残りの部分において、「...から...」及び「...から...を含む」なる用語は、それぞれ範囲の上下限を含むと理解されるべきであることを注記する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によるコポリアミドは下記一般式:
A/X.Y
に対応する、少なくとも2つの異なる繰り返し単位を含み、
式中、
Aは、少なくとも1つのアミノ酸から得られる単位及び少なくとも1つのラクタムから得られる単位から選択される脂肪族繰り返し単位であり、並びに
X.Yは、4個から36個の炭素原子、有利には6個から18個の炭素原子を含む、少なくとも1つの環式脂肪族ジアミン及び少なくとも1つのジカルボン酸の重縮合から得られる繰り返し単位を表す。
【0022】
コポリアミドA/X.Yにおいて、繰り返し単位Aの重量比率は91%以上である。従って、繰り返し単位X.Yの含有量は9%以下である。
【0023】
単位Aの重量比率は有利には91.5%から99%、有利には91.5%から97%、より好ましくは92%から95%、特に92%から94%、有利には92%から93.3%であり、100%までの残分は、繰り返し単位X.Yの重量比率に対応する。
【0024】
繰り返し単位A
本発明の第1の異なる形態において、繰り返し単位Aは、9個から12個の炭素原子を含むアミノカルボン酸から得られる。従って、9−アミノノナン酸(9と記載する)、10−アミノデカン酸(10と記載する)、11−アミノウンデカン酸(11と記載する)及び12−アミノドデカン酸(12と記載する)から選択することができる。
【0025】
好ましくは、繰り返し単位Aは、11−アミノウンデカン酸(11)から得られる。
【0026】
本発明の第2の異なる形態において、繰り返し単位Aは、9個から12個の炭素原子を含むラクタムから得られる。従って、デカノラクタム(10と記載する)、ウンデカノラクタム(11と記載する)及びラウロラクタム又はラウリルラクタム(12と記載する)から選択される。
【0027】
好ましくは、繰り返し単位Aはラウリルラクタム(12)から得られる。
【0028】
さらに特に好ましくは、繰り返し単位Aは単一のアミノカルボン酸又は単一のラクタムから得られる。
【0029】
しかしながら、同じ単位Aを得るために、2つ以上のアミノカルボン酸の混合物、2つ以上のラクタムの混合物、並びに1つ、2つ若しくは3つ以上のアミノカルボン酸と1つ、2つ若しくは3つ以上のラクタムの混合物を使用することは完全に想定することができる。
【0030】
繰り返し単位X.Y
繰り返し単位X.Yは少なくとも1つの環式脂肪族ジアミン及び少なくとも1つのジカルボン酸の重縮合から得られる単位である。
【0031】
環式脂肪族ジアミン及びジカルボン酸のモル比率は好ましくは当量である。
【0032】
環式脂肪族ジアミン及びジカルボン酸はそれぞれ4個から36個の炭素原子、有利には6個から18個の炭素原子を含む。
【0033】
環式脂肪族ジアミンは、ビス(3,5−ジアルキル―4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジアルキル―4−アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5−ジアルキル―4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジアルキル―4−アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン又はは3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(一般的にBMACM若しくはMACMを指す(以降Bと記載する))、p−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(一般的にPACMを指す(以降Pと記載する))、イソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(一般的にPACPを指す)、イソホロンジアミン(以降IPDと記載する)及び2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルナン(一般的にBAMNを指す)から選択することができる。
【0034】
有利には、単位X.Yの環式脂肪族ジアミンは、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(B)、p−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(P)及びイソホロンジアミン(IPD)から選択される。
【0035】
本発明の有利な実施形態において、単位X.Yの環式脂肪族ジアミンは、特に3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(B)及びp−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(P)から選択される二環式脂肪族ジアミンである。
【0036】
ジカルボン酸は、直鎖若しくは分岐鎖脂肪族ジカルボン酸、環式脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸から選択することができる。
【0037】
有利には、ジカルボン酸は、直鎖脂肪族ジカルボン酸、環式脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸から選択することができる。
【0038】
ジカルボン酸が脂肪族でありかつ直鎖である場合、コハク酸(4)、ペンタン二酸(5)、アジピン酸(6)、ヘプタン二酸(7)、オクタン二酸(8)、アゼライン酸(9)、セバシン酸(10)、ウンデカン二酸(11)、ドデカン二酸(12)、ブラシル酸(13)、テトラデカン二酸(14)、ヘキサデカン二酸(16)、オクタデカン二酸(18)、オクタデセン二酸(18)、エイコサン二酸(20)、ドコサン二酸(22)及び36個の炭素原子を含む脂肪酸二量体から選択することができる。
【0039】
上記の脂肪酸二量体は、特に文書EP 0 471 566に記載されるとおりの、長炭化水素鎖を含む不飽和一塩基脂肪酸(例えば、リノール酸及びオレイン酸など)のオリゴマー化若しくは重合により得られる二量化された脂肪酸である。
【0040】
有利な形態において、単位X.Yのジカルボン酸は、アジピン酸(6)、デカン二酸(10)、ドデカン二酸(12)及びテトラデカン二酸(14)から選択される脂肪族ジカルボン酸である。
【0041】
脂肪族ジカルボン酸が用いられる場合、コポリアミドA/X.Yに関するあらゆる可能な組み合わせのうち、11/B.6、11/P.6、11/IPD.6、12/B.6、12/P.6、12/IPD.6、11/B.10、11/P.10、11/IPD.10、12/B.10、12/P.10、12/IPD.10、11/B.14、11/P.14、11/IPD.14、12/B.14、12/P.14、12/IPD.14などから選択される、式の1つに対応するコポリアミドが、特に選択されることになる。
【0042】
ジカルボン酸が環式脂肪族の場合、以下の炭素骨格:ノルボルニルメタン、シクロヘキサン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)又はジ(メチルシクロヘキシル)プロパンを含むことができる。
【0043】
ジカルボン酸が芳香族の場合、テレフタル酸(Tと記載する)、イソフタル酸(Iと記載する)及びナフテン酸から選択することができる。
【0044】
有利な形態において、単位X.Yのジカルボン酸は芳香族ジカルボン酸、好ましくはイソフタル酸(I)である。
【0045】
芳香族ジカルボン酸が用いられる場合、コポリアミドA/X.Yに関するすべての可能な組み合わせのうち、11/B.T、11/B.I、12/B.T、12/B.I、11/P.T、11/P.I、12/P.T、12/P.I、11/IPD.T、11/IPD.I、12/IPD.T及び12/IPD.Iから選択される式の1つに対応するコポリアミド、より具体的には11/B.T、11/B.I、12/B.T、12/B.I、11/P.T、11/P.I、12/P.T及び12/P.I、有利には11/B.T、11/P.T、11/P.I、12/P.T及び12/P.Iから選択される1つの式に対応するコポリアミドが特に選択されることになる。
【0046】
有利には、繰り返し単位X.Yは少なくとも1つの環式脂肪族ジアミン、特に二環式脂肪族ジアミン、及び単一のジカルボン酸から得られ、このジカルボン酸は好ましくは芳香族ジカルボン酸である。
【0047】
好ましくは、繰り返し単位X.Yは、単一の環式脂肪族ジアミン、特に二環式脂肪族ジアミン、及び単一のジカルボン酸から得られ、このジカルボン酸は好ましくは芳香族ジカルボン酸である。
【0048】
しかしながら、この同じ繰り返し単位X.Yを得るために、1つ、2つ若しくは3つ以上の環式脂肪族ジアミンの混合物、特に1つ、2つ若しくは3つ以上の二環式脂肪族ジアミンの混合物を1つ、2つ若しくは3つ以上のジカルボン酸と共に使用することは、完全に想定することができる。
【0049】
さらに好ましくは、本発明によるコポリアミドは、2つの繰り返し単位A及びX.Y:
・単一のアミノカルボン酸、又は単一のラクタムのいずれかから得られる繰り返し単位A、
・単一の環式脂肪族ジアミン、特に単一の二環式脂肪族ジアミン、及び単一のジカルボン酸の重縮合から得られる繰り返し単位であり、このジカルボン酸は好ましくは芳香族ジカルボン酸である、繰り返し単位
のみからなる。
【0050】
本発明はまた、上記に定義されたコポリアミドを調製するための方法に関する。この方法は、繰り返し単位A及びX.Yをもたらすコモノマーの重縮合の少なくとも1つのステップ、即ち、少なくとも1つのアミノカルボン酸及び/若しくは少なくとも1つのラクタムと、少なくとも1つの環式脂肪族ジアミン、特に二環式脂肪族ジアミン、及び少なくとも1つのジカルボン酸、特に直鎖脂肪族ジカルボン酸、環式脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸から選択されるジカルボン酸との重縮合の、少なくとも1つのステップを含む。
【0051】
また、本発明は先に記載した少なくとも1つのコポリアミドを含む組成物に関する。
【0052】
本発明による組成物は、前述のコポリアミドに加え、少なくとも1つの第2のポリマーを含んでいてもよい。
【0053】
有利には、この第2のポリマーは半結晶質性ポリアミド、非晶質性ポリアミド、半結晶質性コポリアミド、非晶質性コポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリエーテルアミド及びポリエステルアミド、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0054】
本発明による組成物はまた、少なくとも1つの添加剤を含むことができる。
【0055】
この添加剤は充填材、繊維、染料、安定剤(特にUV安定剤)、可塑剤、衝撃改質剤、界面活性剤、顔料、光学的増白剤、酸化防止剤及び天然ワックス、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0056】
充填材のうちで、特にタルク、シリカ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、膨張黒鉛、酸化チタン及びガラスビーズが挙げられる。
【0057】
本発明によるコポリアミド又は本発明による組成物は構造体を製造するために使用することができる。
【0058】
この構造体は、本発明によるコポリアミドのみから又は組成物のみから形成される場合には、単層であってもよい。
【0059】
この構造体は、少なくとも2つの層を含んでいて、構造体を形成している幾つかの層の少なくとも1つが本発明によるコポリアミドから又は組成物から形成される場合、多層構造体であってもよい。
【0060】
この構造体は、単層又は多層によらず、特に繊維、フィルム、シート、チューブ、中空体、成形部品又は射出成形部品の形態であってもよい。
【0061】
該構造体は、特にフィルムやシート形態の場合、装飾することができる。これらの構造体は、部品を製造するために、特にオーバーインジェクションモールド工程の実施を伴って、部品を製造するために使用することができる。
【0062】
本発明によるコポリアミド又は本発明による組成物は、透明な成形物品の製造のために有利に使用することができる。該物品は例えば、シューズソール又はシューズソールの構成要素、特にスポーツシューズソール又はスポーツシューズソールの構成要素であってもよい。
【0063】
本発明によるコポリアミド又は本発明による組成物はまた、スキー上衣の製造のために使用することができ;特にコポリアミド又は組成物はフィルム若しくはシートに変形することができ、シートは場合により装飾され、次いでオーバーモールド工程を介して使用される。
【0064】
本発明によるコポリアミド又は本発明による組成物はまた、光起電性パネルの製造のために使用することができる。
【0065】
最後に、本発明はソールを含むシューズ、特にスポーツシューズに関する。本発明によれば、このソールは全体的に若しくは部分的に本発明によるコポリアミド又は組成物からなる。
【0066】
本明細書の記載において、用語「ソール」は一般的に受け入れられている認識におけるソール、並びにシューズ及び衝撃を吸収する構成要素、特に中間ソール又は外側ソールを意味することを改めて記載する。
【0067】
ここで、本発明を下記実施例において記載する。該実施例は純粋に例示目的のために与えられるものであり、非限定的なものであることが明らかである。
【実施例】
【0068】
本発明によるコポリアミドI1とI2及び比較のコポリアミドC1からC3の調製
コポリアミドI1、I2、C1、C2及びC3の合成のために使用したコモノマーは以下の通りである:
− 11−アミノウンデカン酸(A11と記載する)
− デカンジアミン(DA10と記載する)
− デカン二酸(DC10と記載する)
− ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(Bと記載する)
− イソフタル酸(Iと記載する)
− アジピン酸(DC6と記載する)。
【0069】
これら種々のコポリアミドのモル比率及び重量比率を下記表1に掲げる。
【0070】
全ての合成コポリアミドについて置き換えることができる調製方法を、コポリアミドI1について詳細に記載することとする。
【0071】
コポリアミドI1を、下記の重量の種々の化合物から調製した:
− 30.54kgの11−アミノウンデカン酸(25mol)
− 1.45kgのビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(1mol)
− 1.01kgのイソフタル酸(1mol)
− 214.5gのステアリン酸
− 6.6gの次亜リン酸(H
3PO
2)(水中で50%)
− 4kgの水。
【0072】
上記のコモノマーを92リットルのオートクレーブ反応器に入れ、閉じた後、窒素下で不活性にして、30バールの圧力下、240℃で、撹拌(40rpm)しながら加熱する。次いで、圧力を大気圧に下げ、270℃の温度とする。次いで、窒素を吹きつけ反応器を脱気して1.10から1.60dl/gの固有粘度を与える対(couple)を得る(固有粘度は、25℃でメタ−クレゾールに溶解した0.5gのコポリアミドを使用して測定される)。
【0073】
次いで得られるコポリアミドをロッドの形態に押出し、室温の水槽で冷却した後、顆粒化する。
【0074】
次いで得られた顆粒を減圧下に80℃で12時間乾燥させて0.1%未満の湿気含有量を達成する。
【0075】
実施した試験
透明性の測定:コポリアミドI1、I2及びC1からC3から、2mm厚のプレートを作製した。ISO 13468規格に従って、コポリアミドから調製した2mmのプレートについて、波長560nmで透過する、あるいは反射する光のパーセンテージを測定した。70%以上光の透過で、コポリアミドは透明であると考えられる。
【0076】
曲げ弾性率:ISO 527規格に準拠して曲げ弾性率の値を決定するために、コポリアミドI1、I2及びC1からC3から、引張試験片を調製した。所望される曲げ弾性率は1000から1500MPaの間である。
【0077】
「Ross Flex」疲労試験;この試験は規格ASTM D1052に準拠して実施される。コポリアミドI1、I2及びC1からC3から、2mm厚の部品を調製した。これらの部品に直径2.5mmの孔を穿孔し、次いで温度23℃及び相対湿度50%において15日間保管した。この「Ross Flex」疲労試験により、−10℃の温度において、孔の位置で60度に折り曲げた時に部品が破壊するまでの、回数が決定される。繰り返し回数が50000回以上である場合、かかる部品はこの試験の条件を満足するものと考える。
【0078】
成形による変形の評価:コポリアミドI1、I2及びC1からC3を、250から270℃の間の温度で、40℃の型に注入し、型内に25秒間保持した。20秒間冷却した後、部品を型から引き抜いた。引き抜きステップの間、成形部品の外観について行われた観察結果を、下記表1に掲げる。
【0079】
【表1】
【0080】
本発明によるコポリアミドI1及びI2は、透明性、硬さ及び「Ross Flex」試験の基準を満足することが観察される。さらに、成形材料中に気泡の形成が観察され、コポリアミドが型の壁に固着することによって、型の引き抜きステップが難しい比較例C3とは対照的に、成形による変形は完全に満足できるものである。コポリアミドC2及びC3については、その成形品の結晶化が遅いことが観察され、このことはサイクル時間を長くする可能性がある。さらに、成形部品上にフローの痕跡が観察される。