特許第6232080号(P6232080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232080
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   G01R15/20 B
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-562692(P2015-562692)
(86)(22)【出願日】2014年11月11日
(86)【国際出願番号】JP2014079836
(87)【国際公開番号】WO2015122064
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2016年8月9日
(31)【優先権主張番号】特願2014-25719(P2014-25719)
(32)【優先日】2014年2月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】福井 洋文
(72)【発明者】
【氏名】菅野 猛
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 隆支
【審査官】 名取 乾治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/111459(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/128993(WO,A1)
【文献】 特開2014−134491(JP,A)
【文献】 特開2007−107972(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0016614(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3186356(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板に設けられ、被測定電流路を流れる電流によって発生する磁気を検出する複数の磁電変換素子と
を備え、
前記配線基板には、仮想の長方形の重心に前記被測定電流路を位置させるための切欠が形成され、
前記複数の磁電変換素子の内4つは、前記長方形の4個の頂点に設けられ、
前記複数の磁電変換素子の内4つは、前記長方形の長辺に設けられ、
前記複数の磁電変換素子の内の2つは、第2の仮想線上で前記長方形の外側に配設され、
前記長辺上の磁電変換素子は、第1の仮想線と直交し前記重心を通る第2の仮想線から、前記重心を中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に配設され、
前記長辺上の磁電変換素子は、前記第2の仮想線に対して線対称に配設され、
前記第2の仮想線上で前記長方形の外側に配置された磁電変換素子は、第1の仮想線に対して線対称に配設され、
前記長辺上に配設された前記磁電変換素子の感度軸の向きは、前記長辺と平行であり、
前記第2の仮想線上で前記長方形の外側に配置された前記磁電変換素子の感度軸の向きは、前記長辺と平行であり、
前記頂点に配設された前記磁電変換素子の感度軸の向きは、短辺と平行であり、
前記重心を中心に点対称位置にある前記磁電変換素子同士の感度軸の向きは同一あるいは逆である
ことを特徴とする電流センサ。
【請求項2】
配線基板と、
前記配線基板に設けられ、被測定電流路を流れる電流によって発生する磁気を検出する複数の磁電変換素子と
を備え、
前記配線基板には、仮想の長方形の重心に前記被測定電流路を位置させるための切欠が形成され、
前記複数の磁電変換素子の内4つは、前記長方形の4個の頂点に設けられ、
前記複数の磁電変換素子の内4つは、前記長方形の長辺に設けられ、
前記複数の磁電変換素子の内の4つは、前記長方形の外側に配設され、
前記長辺上の磁電変換素子は、第1の仮想線と直交し前記重心を通る第2の仮想線から、前記重心を中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に配設され、
前記長辺上の磁電変換素子は、前記第2の仮想線に対して線対称に配設され、
前記長方形の外側に配置された磁電変換素子は、前記長辺上の4個の磁電変換素子よりも前記第2の仮想線に近くに配設され、
前記長方形の外側に配設された磁電変換素子は、前記第1の仮想線に対して線対称に配設され、
前記長方形の外側に配設された磁電変換素子は、前記第2の仮想線に対して線対称に配設され、
前記長辺上に配設された前記磁電変換素子の感度軸の向きは、前記長辺と平行であり、
前記長方形の外側に配置された前記磁電変換素子の感度軸の向きは、前記長辺と平行であり、
前記頂点に配設された前記磁電変換素子の感度軸の向きは、短辺と平行であり、
前記重心を中心に点対称位置にある前記磁電変換素子同士の感度軸の向きは同一あるいは逆である
ことを特徴とする電流センサ。
【請求項3】
前記複数の磁電変換素子は、同一特性である
請求項1又は2に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記複数の磁電変換素子の感度軸が前記長方形に沿って一方向を向くように、前記複数の磁電変換素子が配設されている
請求項1〜のいずれかに記載の電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定電流路に流れる電流を検出する電流センサに関し、特に、磁電変換素子を用いて被測定電流路に流れる電流を検出する電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器の制御や監視のために、被測定電流路に取り付けて被測定電流路に流れる電流を検出する電流センサが良く知られている。この種の電流センサとしては、ホール素子や磁気抵抗素子等の磁電変換素子を用いた電流センサが知られており、磁電変換素子の感度向上や外部磁場からの影響低減等のため、複数の磁電変換素子を用いられることがある。
このように複数の磁電変換素子を用いた電流センサでは、被測定電流路の周囲に発生する磁界の向きに合わせて、被測定電流路の周囲の仮想円上に複数の磁電変換素子を配設していた。
【0003】
しかしながら、上述したように仮想円上に磁電変換素子を配設すると、電流センサが大型化し、被測定電流路と近隣電流路との距離が短い場合に、電流センサを設置できないという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1の電流センサでは、被測定電流路の位置を中心とし、当該被測定電流路と近隣電流路とを結ぶ方向を短軸とする仮想楕円上に複数の磁電変換素子を配設している。当該電流センサによれば、近隣電流路の外来磁場の影響を大きく受けずに安定した電流検出ができると共に、小型化が図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2013/128993号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電流センサには、被測定電流路と近隣電流路との距離がさらに短い場合においても設置可能であり、近隣電流路の外来磁場の影響を大きく受けずに安定した電流検出したいという要請がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、さらなる小型化が図れると共に、近隣電流路の外来磁場の影響を大きく受けずに安定した電流検出ができる電流センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した従来技術の問題点を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の電流センサは、配線基板と、前記配線基板に設けられ、被測定電流路を流れる電流によって発生する磁気を検出する複数の磁電変換素子とを備え、前記配線基板には、仮想の長方形の重心に前記被測定電流路を位置させるための切欠が形成され、前記複数の磁電変換素子の内4つは、前記長方形の4個の頂点に設けられ、残りの前記複数の磁電変換素子は、前記長方形の長辺に設けられ、前記複数の磁電変換素子は、前記長方形の長辺と平行で当該長方形の重心を通る第1の仮想線に対して線対称且つ前記重心に点対称となるように設けられ、前記長辺上の磁電変換素子は、前記第1の仮想線と直交し前記重心を通る第2の仮想線から、前記重心を中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に配設され、前記長辺上に配設された前記磁電変換素子の感度軸の向きは、前記長辺と平行であり、前記頂点に配設された前記磁電変換素子の感度軸の向きは、短辺と平行であり、前記重心を中心に点対称位置にある前記磁電変換素子同士の感度軸の向きは同一あるいは逆である。
【0009】
上記構成によれば、上述したように磁電変換素子を配設することで、第2の仮想線が延在する方向において、磁電変換素子を配設する領域を小さくでき、被測定電流路と隣接する電流路(近隣電流路)との距離を狭くできる。これにより、配線基板16の小型化、つまり電流センサ101の小型化が可能である。
また、近隣電流路からの外来磁場の影響を相対的に低減することができる。従って、外来磁場による磁電変換素子への影響が低減されるので、磁電変換素子からの検出値を安定して得ることができる。
また、上述したように、仮想の長方形の長辺と短辺に平行に磁電変換素子の感度軸の方向を規定したことで、磁電変換素子が円周上に等間隔で配設されている場合と比較して、各磁電変換素子を配線基板16に実装する際に、容易に実装することができると共に、配線基板と磁電変換素子との位置関係を容易に設計することができる。従って、被測定電流路の取付け角度や取付け位置等の精度を高めることができるので、測定精度を向上させることができる。
また、上記構成によれば、各磁電変換素子に加わる磁界の向きと、感磁方向は45度未満となっており、良好な感度を保つことができる。
また、上記構成によれば、磁電変換素子は、仮想の長方形の長辺及び短辺方向で位置調整をすればよく、測定精度を高める設計が容易になる。
【0010】
好適には、本発明の電流センサの前記長辺上の磁電変換素子は、前記第2の仮想線に対して線対称に配設されている。
上記構成によれば、位置調整が簡単であり、測定精度を高める設計が容易になる。
好適には、本発明の電流センサでは、前記長辺と前記第2の仮想線とが交わる2個の位置に磁電変換素子が配設されており、前記長辺上の磁電変換素子のうち、前記長辺上と前記第2の仮想線とが交わる位置に配設された磁電変換素子以外の磁電変換素子は、前記第2の仮想線に対して線対称に配設されている。
上記構成によれば、位置調整が簡単であり、測定精度を高める設計が容易になる。また、上記構成によれば、被測定電流路からの磁界が強く、且つ磁界の第1の仮想線に沿った方向成分が大きい領域に多くの磁電変換素子を配置でき、隣り合う位置に配設された近隣電流路からの外来磁場の影響を相対的に低減することができる。従って、外来磁場による磁電変換素子への影響が低減されるので、磁電変換素子からの検出値を安定して得ることができる。
【0011】
発明の電流センサは、配線基板と、前記配線基板に設けられ、被測定電流路を流れる電流によって発生する磁気を検出する複数の磁電変換素子とを備え、前記配線基板には、仮想の長方形の重心に前記被測定電流路を位置させるための切欠が形成され、前記複数の磁電変換素子の内4つは、前記長方形の4個の頂点に設けられ、残りの前記複数の磁電変換素子は、前記長方形の長辺に設けられ、前記複数の磁電変換素子は、前記長方形の長辺と平行で当該長方形の重心を通る第1の仮想線に対して線対称且つ前記重心に点対称となるように設けられ、前記長辺上の磁電変換素子は、前記第1の仮想線と直交し前記重心を通る第2の仮想線から、前記重心を中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に配設され、前記長辺上に配設された前記磁電変換素子の感度軸の向きは、前記長辺と平行であり、前記頂点に配設された前記磁電変換素子の感度軸の向きは、短辺と平行であり、前記重心を中心に点対称位置にある前記磁電変換素子同士の感度軸の向きは同一あるいは逆である。
上記構成によれば、磁電変換素子を仮想の長方形の外側に配設することで、最も感度の高い磁電変換素子の感度を小さくして、広いダイナミックレンジで高精度に検出ができる。また、磁電変換素子の配置エリアの幅の広がりを小さくすることができる。
【0012】
発明の電流センサは、配線基板と、前記配線基板に設けられ、被測定電流路を流れる電流によって発生する磁気を検出する複数の磁電変換素子とを備え、前記配線基板には、仮想の長方形の重心に前記被測定電流路を位置させるための切欠が形成され、前記複数の磁電変換素子の内4つは、前記長方形の4個の頂点に設けられ、前記複数の磁電変換素子の内4つは、前記長方形の長辺に設けられ、前記複数の磁電変換素子の内の4つは、前記長方形の外側に配設され、前記長辺上の磁電変換素子は、第1の仮想線と直交し前記重心を通る第2の仮想線から、前記重心を中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に配設され、前記長辺上の磁電変換素子は、前記第2の仮想線に対して線対称に配設され、前記長方形の外側に配置された磁電変換素子は、前記長辺上の4個の磁電変換素子よりも前記第2の仮想線に近くに配設され、前記長方形の外側に配設された磁電変換素子は、前記第1の仮想線に対して線対称に配設され、前記長方形の外側に配設された磁電変換素子は、前記第2の仮想線に対して線対称に配設され、前記長辺上に配設された前記磁電変換素子の感度軸の向きは、前記長辺と平行であり、前記長方形の外側に配置された前記磁電変換素子の感度軸の向きは、前記長辺と平行であり、前記頂点に配設された前記磁電変換素子の感度軸の向きは、短辺と平行であり、前記重心を中心に点対称位置にある前記磁電変換素子同士の感度軸の向きは同一あるいは逆である。
上記構成によれば、磁電変換素子を仮想の長方形の外側に配設することで、最も感度の高い磁電変換素子の感度を小さくして、広いダイナミックレンジで高精度に検出ができる。また、磁電変換素子の配置エリアの幅の広がりを小さくすることができる。
【0013】
好適には、本発明の電流センサの前記複数の磁電変換素子は、同一特性である。
好適には、本発明の電流センサでは、前記複数の磁電変換素子の感度軸が前記長方形に沿って一方向を向くように、前記複数の磁電変換素子が配設されている。
上記構成によれば、測定精度を高める設計が容易になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、さらなる小型化が図れると共に、近隣電流路の外来磁場の影響を大きく受けずに安定した電流検出ができる電流センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る電流センサを示す分解斜視図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る電流センサを示す斜視図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係る電流センサを説明するための図であって、図1に示すZ1側から見た配線基板の上面図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態に係る電流センサを示す分解斜視図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係る電流センサを説明するための図であって、図1に示すZ1側から見た配線基板の上面図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態に係る電流センサの配線基板の上面図である。
図7図7は、本発明の第4実施形態に係る電流センサの配線基板の上面図である。
図8図8は、本発明の第2実施形態の電流センサと、10個の磁電変換素子を仮想の楕円上に配置した比較例(楕円)とについて、被測定電流路CBと近隣電流路CNとの距離と、検出値への近隣電流路の影響度とを比較するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電流センサ101を示す分解斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る電流センサ101を示す斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る電流センサ101を説明するための図であって、図1に示すZ1側から見た配線基板16の上面図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る電流センサ101は、被測定電流路CBに電流が流れたときに発生する磁気を検出する複数の磁電変換素子15と、複数の磁電変換素子15が配置された配線基板16とを備えて構成されている。また、電流センサ101は、配線基板16を収納する収納部11sを有する筐体11と、磁電変換素子15からの電気信号を取り出すための取出し端子13tを有したコネクタ13と、被測定電流路CBを固定し保持するための保持部材14と、を備えている。
【0018】
筐体11は、例えば、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂材料で形成されている。この筐体11は、上方が開口した箱状のケース31と、ケース31の開口部を塞ぐような板状のカバー41と、から構成され、ケース31内部に、配線基板16を収納する収納部11sが形成されている。なお、筐体11の材質に合成樹脂材料を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、強磁性体でなければ、金属材料を用いた構成にしても良い。
【0019】
ケース31には、その一辺側からケース31の中心側に向かって切り欠かれた凹部(凹溝)32が形成され、この凹部32内に被測定電流路CBが導入されて保持されるように構成されている。凹部32の奥壁32aは、被測定電流路CBの外周面と相補形状に形成されている。本実施の形態では、凹部32の奥壁32aは、円筒形状の被測定電流路CBの外周面に対応するように円弧状に湾曲して形成されている。また、奥壁32aに連なるケース31の対向する内側壁32bには、クリップバネ14Kの自由端部側を係止する切欠32cが、それぞれ対峙する位置に形成されている。切欠32cは、内側壁32bの上端部側から下方に向かって切り欠かれ、入り口側の端面が、外方に向かって傾斜するように形成されている。被測定電流路CBは、その外周面の奥側を凹部32の奥壁32aに当接させた状態で、手前側を切欠32cから凹部32内に突出するクリップバネ14Kによって挟持されることで、筐体11に対して保持される。この凹部32の奥壁32aとクリップバネ14Kとで挟持される位置が、筐体11に対する被測定電流路CBの配設位置PPとなる。本実施形態では、配設位置PPが、後述する仮想の長方形Lの重心PPとなる。
【0020】
カバー41は、一方の辺部に、ケース31の凹部32と対応するように同一形状の開口部42が形成され、この開口部42の形成された辺部と反対側の辺部に、コネクタ13の上端部を筐体11外部に露出させるための開口部43が形成されている。
【0021】
保持部材14は、被測定電流路CBを固定し保持するための部材であり、被測定電流路CBの外縁を挟み込んで保持するクリップバネ14Kと、被測定電流路CBが配設位置PPに配設された後にクリップバネ14Kを押さえる押し部材14Hとを備えている。
【0022】
クリップバネ14Kは、短冊状の板ばねを平面視略円形状に湾曲させて、自由端部側に間隙14Lが形成されるように、2個の自由端部を離間する方向(外方)に折り曲げて形成されている。このクリップバネ14Kは、ケース31の収納部11s内に収容され、湾曲部分を凹部32の奥壁32aに沿わせた状態で、自由端部を切欠32cの傾斜面に当接させて自由端部側の折り曲げ部分を切欠32cから凹部32内に突出させるように配設される。ここで、クリップバネ14Kの自由端部側の折り曲げ部分間の間隙14Lは、被測定電流路CBを配設位置PPへの導入を許容すると共に配設位置PPから容易に脱落しないように、凹部32内に導入される被測定電流路CBの最大径(最大幅)寸法よりも狭くなるように形成されている。
【0023】
押し部材14Hは、略直方体形状で形成されており、ケース31に形成された凹部32に強嵌合されるサイズで作製されている。この押し部材14Hは、クリップバネ14Kを押さえた状態で、ケース31の凹部32内に保持される。このように構成された電流センサ101において、被測定電流路CBがケース31の凹部32に導入されて凹部32内に露出するクリップバネ14Kの折り曲げ部分に押し当てられると、クリップバネ14Kが撓みを許容して、自由端部が切欠32cの傾斜面に案内されながら折り曲げ部分が収納部11s内に逃がされ、折り曲げ部分間の間隙14Lが広がっていく。被測定電流路CBをさらに押し込んで奥壁32aに当接させると、自由端部が切欠32cの傾斜面に案内されながら折り曲げ部分が凹部32内に露出する初期位置に復帰する。このとき、被測定電流路CBの外周面は、奥壁32a及びクリップバネ14Kの折り曲げ部分によって挟持される。そして、押し部材14Hが凹部32内に押し込まれると、クリップバネ14K(の折り曲げ部分)が抑え込まれる。この押し部材14H及びクリップバネ14Kからなる保持部材14が凹部32の奥壁32aと協働することによって、被測定電流路CBが配設位置PPに精度良く配設させることができる。なお、本実施形態では、被測定電流路CBの断面形状を円形にしたが、矩形の断面形状の被測定電流路であっても良い。この場合には、保持部材14のクリップバネ14Kは、矩形の断面形状の被測定電流路に対応した形状にすることが望ましい。
【0024】
配線基板16は、例えば、一般に広く知られている両面のプリント配線板(PCB)を用いられ、ガラス入りのエポキシ樹脂からなるベース基板上に設けられた銅(Cu)等の金属箔をパターニングして、配線パターンが形成されている。配線基板16は、ケース31の収納部11sに収納可能な大きさで形成されており、その一辺部に、被測定電流路CBが挿通されて且つ配設される切欠17が形成されている。すなわち、配線基板16は、収納部11sの底面部と相似形状に形成されており、ケース31の凹部32と相補形状の切欠部17が形成されている。図1及び図3に示すように、配線基板16の切欠17の近傍には、複数(12個)の磁電変換素子15が配置され、切欠17が形成される辺部と対向する辺部近傍にはコネクタ13が配設されている。なお、磁電変換素子15の詳細な配置位置については後述する。また、本実施形態では、配線基板16にガラス入りのエポキシ樹脂からなるプリント配線板(PCB)を用いたが、これに限定されるものではなく、絶縁性のリジット基板であれば良く、例えばセラミック配線板を用いても良い。また、本実施形態では、配線基板16に両面のプリント配線板(PCB)を用いたが、回路設計の結果に応じて片面のプリント配線板(PCB)を用いても良い。
【0025】
コネクタ13は、相手側コネクタ(図示省略)と電気的に接続する複数の端子を備えており、これら複数の端子の中に、磁電変換素子15からの電気信号を取り出すため取出し端子13tを有している。また、コネクタ13は、相手側コネクタ(図示省略)と嵌合するための絶縁基体13Kを備えている。絶縁基体13Kは、上方が開口した箱状に形成され、その内部に、取出し端子13tを含む複数の端子が、各端子間を絶縁した状態で保持され収納されている。なお、本実施形態では、磁電変換素子15からの電気信号を取り出すためにコネクタ13を用いたが、コネクタ13に限らず、例えば、フレキシブルプリント配線板(FPC:Flexible Printed Circuits)等を用いても良い。
【0026】
磁電変換素子15は、被測定電流路CBに電流が流れたときに発生する磁気を検出する電流センサ素子であって、例えば、巨大磁気抵抗効果を用いた磁気検出素子(GMR(Giant Magneto Resistive)素子という)を用いることが可能である。この磁電変換素子15は、説明を容易にするため詳細な図示は省略したが、GMR素子をシリコン基板上に作製した後、切り出されたチップを熱硬化性の合成樹脂でパッケージングし、信号の取り出しのためのリード端子がGMR素子と電気的に接続されて構成されている。そして、このリード端子により、配線基板16にはんだ付けがされている。
【0027】
図3に示すように、電流センサ101では、重心PPの仮想的な長方形L上に12個の磁電変換素子15a〜15lが配設さている。
なお、本実施形態において、磁電変換素子15a〜15lが長方形L等の上にあるとは、磁電変換素子15の中心点が略長方形L等の長辺、短辺あるいは頂点の上にあることを意味する。
磁電変換素子15a〜15lは、例えば、同一の磁電変換特性を有している。これにより、電流センサ101の測定精度を高めるための設計が容易になる。
【0028】
長方形Lの重心PPは、前述したように、被測定電流路CBの横断面(X,Y断面)の中心となる。切欠17は、被測定電流路CBに対して電流センサ101を位置決めした際に、仮想の長方形Lの重心PPに被測定電流路CBの中心を位置させることが可能な形状を有している。
図3に示すように、Y1方向から見て切欠17の左側(X2方向側)の配線基板16の表面には、磁電変換素子15a〜15fが配設されている。また、Y1方向から見て切欠17の右側(X1方向側)の配線基板16の表面には、磁電変換素子15g〜15lが配設されている。
ここで、磁電変換素子15a,15f,15g,15lは長方形Lの4個の頂点に配設されている。
【0029】
また、磁電変換素子15b,15c,15d,15eは長方形Lの仮想の長辺L1上に配設され、磁電変換素子15g,15h,15i,15j,15kは長方形Lの仮想的な長辺L2上に配設されている。
磁電変換素子15g,15h,15i,15j,15kは、長辺L1,L2と平行で重心PPを通る第1の仮想線IL1に対して、磁電変換素子15b,15c,15d,15eとそれぞれ線対称に配設されている。
【0030】
磁電変換素子15g,15h,15i,15j,15kは、長方形Lの重心PPに対して、それぞれ磁電変換素子15f,15e,15d,15c,15b,15aとそれぞれ点対称に配設されている。
その結果、磁電変換素子15a,15b,15c,15g,15h,15iは、第1の仮想線IL1と直交し重心PPを通る第2の仮想線IL2に対して、磁電変換素子15f,15e,15d,15l,15k,15jとそれぞれ線対称に配設されている。
【0031】
このように磁電変換素子15a〜15lを配設することで、磁電変換素子が円周上に等間隔で配設されている場合(比較例)と比較して、被測定電流路CBが挿通されて且つ配設される磁電変換素子15a〜15lの配置でありながら、磁電変換素子15a〜15lの配設スペースを小さくできる。すなわち、比較例に係る磁電変換素子の場合には、被測定電流路CBの配設位置を中心として周方向に等間隔で磁電変換素子が均等配置されている。そのため、磁電変換素子間から被測定電流路CBを導入して配設位置に配設する場合、磁電変換素子同士の素子間隔として、少なくとも被測定電流路CBが通過可能な間隔を確保する必要があるので、全ての磁電変換素子の配設領域が大きくなり、これに伴い配線基板が大型化してしまうことになる。
【0032】
一方、本実施形態に係る磁電変換素子15の配置の場合には、6個の磁電変換素子15a〜15fが長方形Lの長辺L1上に配設され、6個の磁電変換素子15g〜15lが長方形Lの長辺L2上に配設されている。
そのため、磁電変換素子15a〜15fと磁電変換素子15g〜15lとの配置に必要な短辺L3方向(X方向)の距離を短くできる。すなわち、被測定電流路CBと隣接する電流路CNとの距離を狭くできる。
その結果、比較例3に係る磁電変換素子C35の配設領域と比べて、特に切欠17の形成方向と直交する方向(第2の仮想線IL2の延在方向)における磁電変換素子15の配設領域を小さくすることができ、配線基板16の小型化、つまり電流センサ101の小型化が可能である。特に配電盤のように複数の電流路を、できるだけ狭い間隔で設けたい用途では、切欠17の左右の腕部18の幅を狭くできることが重要となる。
【0033】
また、長方形Lの長辺L1上の磁電変換素子15b,15c,15d,15eは、第2の仮想線IL2のX2方向から重心PPを中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に配設されている。
【0034】
また、長辺L2上の磁電変換素子15h,15i,15j,15kは、第2の仮想線IL2のX1方向から重心PPを中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に配設されている。
【0035】
このように、磁電変換素子15a〜15f及び磁電変換素子15g〜15lの素子間隔を長方形Lの長辺方向において均等にするのではなく、第2の仮想線IL2のX1,X2方向から重心PPを中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に集中させることで、被測定電流路CBの磁界が強く、且つ磁界のY方向成分が大きい領域に多くの磁電変換素子を配置でき、隣り合う位置に配設された近隣電流路CNからの外来磁場の影響を相対的に低減することができる。従って、外来磁場による磁電変換素子15への影響が低減されるので、磁電変換素子15からの検出値を安定して得ることができる。
【0036】
磁電変換素子15a〜15lの感度軸(磁気を感知する方向)の向きSJは、長方形Lの長辺L1,L2あるいは短辺L3と平行であり、且つ長方形Lに沿って一方向である。これにより、電流センサ101の測定精度を高める設計が容易になる。
具体的には、長方形Lの頂点に配設された磁電変換素子15a,15gの感度軸の向きSJはX1方向であり、磁電変換素子15f,15lの感度軸の向きSJはX2方向である。
また、磁電変換素子15b,15c,15d,15eの感度軸の向きSJはY1方向であり、磁電変換素子15h,15i,15j,15kの感度軸の向きSJはY2方向である。
これにより、磁電変換素子15a〜15lは、重心PPを中心に点対称位置にある磁電変換素子15l〜15aと感度軸の向きSJが逆になる。
後段の演算回路では、磁電変換素子15a〜15lの出力を加算することで、被測定電流路CBの磁界に応じた成分を累積して有効化し、隣接する電流路CNの磁界に応じた成分をキャンセルする。
【0037】
なお、図3の例において、磁電変換素子15gの感度軸の向きSJを磁電変換素子15aとは逆のX2方向とし、磁電変換素子15lの感度軸の向きSJを磁電変換素子15fとは逆のX1方向とし、磁電変換素子15h,15i,15j,15kの感度軸の向きSJを磁電変換素子15b,15c,15d,15eと同じY1方向としてもよい。
この場合は、後段の演算回路では、磁電変換素子15a〜15fの出力から、磁電変換素子15g〜15lの出力を減算することで、被測定電流路CBの磁界に応じた成分を累積して有効化し、隣接する電流路CNの磁界に応じた成分をキャンセルする。
【0038】
以上説明したように、電流センサ101によれば、図3に示すように磁電変換素子15a〜15lを配置したことで、磁電変換素子15a〜15lの配置エリアのX方向の幅を最小限にでき、被測定電流路CBと隣接する電流路CNとの距離を狭くできる。これにより、配線基板16の小型化、つまり電流センサ101の小型化が可能である。特に、切欠17の左右の腕部18の幅が狭くできる。
【0039】
また、電流センサ101によれば、図3に示すように磁電変換素子15a〜15lを配置したことで、隣り合う位置に配設された近隣電流路CNからの外来磁場の影響を相対的に低減することができる。従って、外来磁場による磁電変換素子15a〜15lへの影響が低減されるので、磁電変換素子15a〜15lからの検出値を安定して得ることができる。このように隣接電線の影響を除けることを、シミュレーションで確認した。
【0040】
また、電流センサ101によれば、図3に示すように磁電変換素子15a〜15lの感度軸の方向SJを規定したことで、磁電変換素子C35が円周上に等間隔で配設されている場合(比較例)と比較して、各磁電変換素子15a〜15lを配線基板16に実装する際に、容易に実装することができると共に、配線基板16と磁電変換素子15a〜15lとの位置関係を容易に設計することができる。従って、被測定電流路CBの取付け角度や取付け位置等の精度を高めることができるので、測定精度を向上させることができる。
【0041】
電流センサ101では、各磁電変換素子15a〜15lに加わる磁界の向きと、感磁方向は45度未満となっており、良好な感度を保つことができる。
電流センサ101では、被測定電流路CBに流れる電流と、隣接する電流路CNに流れる電流の向きが同じ場合、長方形Lの頂点の磁電変換素子15a,15f,15g,15lと、隣接する電流路CNから遠い側の長辺L1,L2上の磁電変換素子15b,15c,15d,15e,15h,15i,15j,15kは+側の誤差となる。一方隣接する電流路CNから近い側の長辺L1,L2の磁電変換素子は−側の誤差となる。+側の誤差と−側の誤差があるため、誤差を打ち消すようにできる。
【0042】
電流センサ101では、12個の磁電変換素子15a〜15lを用いることから、切欠17の両側に2列の直線上に磁電変換素子を配置でき、長方形Lの長辺L1,L2及び短辺L3方向で位置調整をすればよく、測定精度を高める設計が容易になる。
【0043】
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係る電流センサ201を示す分解斜視図である。図5は、本発明の第2実施形態に係る電流センサ201を説明するための図であって、図4に示すZ1側から見た配線基板16の上面図である。
【0044】
図4及び図5に示すように、配線基板16の切欠17の近傍には、複数(10個)の磁電変換素子25a〜25jが配置されている。
【0045】
図5に示すように、電流センサ201では、重心PPの仮想的な長方形Lx上に10個の磁電変換素子25a〜25jが配設さている。重心PPは、被測定電流路CBの横断面(X,Y断面)の中心となる。切欠17は、被測定電流路CBに対して電流センサ201を位置決めした際に、仮想の長方形Lxの重心に被測定電流路CBの中心を位置させることが可能な形状を有している。
図5に示すように、Y1方向から見て切欠17の左側(X2方向側)の配線基板16の表面には、磁電変換素子25a〜25eが配設されている。また、Y1方向から見て切欠17の右側(X1方向側)の配線基板16の表面には、磁電変換素子25f〜25jが配設されている。
ここで、磁電変換素子25a,25e,25f,25jは長方形Lの4個の頂点に配設されている。
【0046】
また、磁電変換素子25b,25c,25dは長方形Lxの長辺L1x上に配設され、磁電変換素子25g,25h,25iは長方形Lxの仮想的な長辺L2x上に配設されている。
磁電変換素子25c,25hは、第1の仮想線IL1xと直交し重心PPを通る第2の仮想線IL2x上に配設されている。
磁電変換素子25f,25g,25h,25i,25jは、長辺L1x,L2xと平行で重心PPを通る第1の仮想線IL1xに対して、磁電変換素子25a,25b,25c,25d,25eとそれぞれ線対称に配設されている。
【0047】
磁電変換素子25f,25g,25h,2i,25jは、長方形Lxの重心PPに対して、それぞれ磁電変換素子25e,25d,25c,25b,25aとそれぞれ点対称に配設されている。
その結果、磁電変換素子25a,25b,25f,25gは、第2の仮想線IL2xに対して、磁電変換素子25e,25d,25j,25iとそれぞれ線対称に配設されている。
【0048】
このように磁電変換素子25a〜25jを配設することで、磁電変換素子が円周上に等間隔で配設されている場合(比較例)と比較して、被測定電流路CBが挿通されて且つ配設される磁電変換素子25a〜25jの配置でありながら、磁電変換素子25a〜25jの配設スペースを小さくできる。すなわち、比較例に係る磁電変換素子の場合には、被測定電流路CBの配設位置を中心として周方向に等間隔で磁電変換素子が均等配置されている。そのため、磁電変換素子間から被測定電流路CBを導入して配設位置に配設する場合、磁電変換素子同士の素子間隔として、少なくとも被測定電流路CBが通過可能な間隔を確保する必要があるので、全ての磁電変換素子の配設領域が大きくなり、これに伴い配線基板が大型化してしまうことになる。
【0049】
一方、本実施形態に係る磁電変換素子25a〜25jの配置の場合には、5個の磁電変換素子25a〜25eが長方形Lxの長辺L1x上に配設され、5個の磁電変換素子25f〜25jが長方形Lxの長辺L2x上に配設されている。
そのため、磁電変換素子25a〜25eと磁電変換素子25f〜25jとの配置に必要な短辺L3x方向(X方向)の距離を短くできる。すなわち、被測定電流路CBと隣接する電流路CNとの距離を狭くできる。
その結果、上記比較例に係る磁電変換素子の配設領域と比べて、特に切欠17の形成方向と直交する方向(第2の仮想線IL2の延在方向)における磁電変換素子25a〜25jの配設領域を小さくすることができ、配線基板16の小型化、つまり電流センサ201の小型化が可能である。特に、切欠17の左右の腕部18の幅が狭くできる。
【0050】
また、長方形Lxの長辺L1x上の磁電変換素子25b,25c,25dは、第2の仮想線IL2xのX2方向から重心PPを中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に配設されている。
また、長辺L2x上の磁電変換素子25g,25h,25jは、第2の仮想線IL2xのX1方向から重心PPを中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に配設されている。
【0051】
このように、磁電変換素子25a〜25j素子間隔を長方形Lの長辺方向において均等にするのではなく、第2の仮想線IL2xのX1,X2方向から重心PPを中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に集中させることで、被測定電流路CBからの磁界が強く、且つ磁界のY方向成分が大きい領域に多くの磁電変換素子を配置でき、隣り合う位置に配設された近隣電流路CNからの外来磁場の影響を相対的に低減することができる。従って、外来磁場による磁電変換素子25a〜25jへの影響が低減されるので、磁電変換素子25a〜25jからの検出値を安定して得ることができる。
【0052】
磁電変換素子25a〜25jの感度軸(磁気を感知する方向)の向きSJは、長方形Lxの長辺L1x,L2xあるいは短辺L3xと平行であり、且つ長方形Lxに沿って一方向である。
具体的には、長方形Lの頂点に配設された磁電変換素子25a,25fの感度軸の向きSJはX1方向であり、磁電変換素子25e,25jの感度軸の向きSJはX2方向である。
また、磁電変換素子25b,25c,25dの感度軸の向きSJはY1方向であり、磁電変換素子25g,25h,25iの感度軸の向きSJはY2方向である。
これにより、磁電変換素子25a〜25jは、重心PPを中心に点対称位置にある磁電変換素子25j〜25aと感度軸の向きSJが逆になる。
後段の演算回路では、磁電変換素子25a〜25jの出力を加算することで、被測定電流路CBの磁界に応じた成分を累積して有効化し、隣接する電流路CNの磁界に応じた成分をキャンセルする。
【0053】
磁電変換素子25c,25hは、第2の仮想線IL2x上にあるため、被測定電流路CBからの磁界方向と、感度軸の向きSJとが略一致する。そのため、磁界を高感度で検出が可能である。
【0054】
なお、図5の例において、磁電変換素子25fの感度軸の向きSJを磁電変換素子25aとは逆のX2方向とし、磁電変換素子25jの感度軸の向きSJを磁電変換素子25aとは逆のX1方向とし、磁電変換素子25g,25h,25iの感度軸の向きSJを磁電変換素子25b,25c,25dと同じY1方向としてもよい。
この場合は、後段の演算回路では、磁電変換素子25a〜25eの出力から、磁電変換素子25f〜25jの出力を減算することで、被測定電流路CBの磁界に応じた成分を累積して有効化し、隣接する電流路CNの磁界に応じた成分をキャンセルする。
【0055】
本磁電変換素子の電流センサ201によっても、第1磁電変換素子の電流センサ101と同様の効果が得られる。
【0056】
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態に係る電流センサ301の配線基板16の上面図である。
図6において、図3と同じ符号を付した構成要素は第1実施形態で説明したものと同じである。
【0057】
図6に示すように、電流センサ301では、第1実施形態と同様に、磁電変換素子15a,15b,15e,15f,15g,15h,15k,15lは、仮想の長方形L上に配設されている。
また、図6に示すように、電流センサ301は、第1実施形態の電流センサ101の磁電変換素子15c,15d,15i,15jの代わりに、磁電変換素子35c,35d,35i,35jを配設している。
【0058】
磁電変換素子35c,35d,35i,35jは、第1実施形態とは異なり、長方形Lの外側に配設されている。
磁電変換素子35c,35dと磁電変換素子35i,35jは、仮想線IL1に対して線対称である。
【0059】
磁電変換素子35i,35jは、長方形Lの重心PPに対して、それぞれ磁電変換素子35d,35cとそれぞれ点対称に配設されている。
その結果、磁電変換素子35c,35iと磁電変換素子35d,35jとは、仮想線IL2に対して線対称である。
【0060】
磁電変換素子15b,35c,35d,15eは、第2の仮想線IL2のX2方向から重心PPを中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に配設されている。
また、磁電変換素子15h,35i,35j,15kは、第2の仮想線IL2のX1方向から重心PPを中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に配設されている。
【0061】
磁電変換素子35c,35dの感度軸の向きSJはY1方向であり、磁電変換素子35i,35jの感度軸の向きSJはY2方向である。
後段の演算回路では、磁電変換素子15a,15b,35c,35d,15e,15f,15g,15h,35i,35j,15k,15lの出力を加算することで、被測定電流路CBの磁界に応じた成分を累積して有効化し、隣接する電流路CNの磁界に応じた成分をキャンセルする。
【0062】
なお、図6の例において、磁電変換素子15gの感度軸の向きSJを磁電変換素子15aとは逆のX2方向とし、磁電変換素子15lの感度軸の向きSJを磁電変換素子15fとは逆のX1方向とし、磁電変換素子15h,35i,35j,15kの感度軸の向きSJを磁電変換素子15b,35c,35d,15eと同じY1方向としてもよい。
この場合は、後段の演算回路では、磁電変換素子15a,15b,35c,35d,15e,15fの出力から、磁電変換素子15g,15h,35i,35j,15k,15lの出力を減算することで、被測定電流路CBの磁界に応じた成分を累積して有効化し、隣接する電流路CNの磁界に応じた成分をキャンセルする。
【0063】
電流センサ301において、被測定電流路CBの真横に近い磁電変換素子35c,35d,35i,35jは、磁界の向きと感磁方向が最も近いため感度が高い。
電流センサ301によれば、磁電変換素子35c,35d,35i,35jを長方形Lの外側に配設することで、最も感度の高い磁電変換素子の感度を小さくして、広いダイナミックレンジで高精度に検出ができる。また、磁電変換素子の配置エリアの幅の広がりを小さくすることができる。
【0064】
また、電流センサ301によれば、磁電変換素子35c,35d,35i,35jを長方形Lの外側の長辺L1,L2に近接させ配設することで小型化できる。
また、電流センサ301によれば、第1実施形態の電流センサ101と同様の効果も得ることができる。
【0065】
<第4実施形態>
図7は、本発明の第4実施形態に係る電流センサ401の配線基板16の上面図である。
図7において、図5と同じ符号を付した構成要素は第2実施形態で説明したものと同じである。
【0066】
図7に示すように、電流センサ401では、第2実施形態と同様に、磁電変換素子25a,25b,25d,25e,25f,25g,25i,25jは、仮想の長方形Lx上に配設されている。
また、 図7に示すように、電流センサ401は、第2実施形態の電流センサ201の磁電変換素子25c,25hの代わりに、磁電変換素子45c,45hを配設している。
【0067】
磁電変換素子45c,45hは、第2実施形態とは異なり、長方形Lxの外側に配設されている。
磁電変換素子35c,35dと磁電変換素子35i,35jは、仮想線IL1に対して線対称である。
【0068】
磁電変換素子35i,35jは、長方形Lの重心PPに対して、それぞれ磁電変換素子35d,35cとそれぞれ点対称に配設されている。
その結果、磁電変換素子45cと磁電変換素子45hとは、仮想線IL2に対して線対称である。
磁電変換素子25b,45c,25dは、第2の仮想線IL2xのX2方向から重心PPを中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に配設されている。
また、磁電変換素子25g,45h,25iは、第2の仮想線IL2xのX1方向から重心PPを中心として時計回り及び反時計回りの方向にそれぞれ角度45°以内の範囲に配設されている。
【0069】
磁電変換素子45cの感度軸の向きSJはY1方向であり、磁電変換素子45hの感度軸の向きSJはY2方向である。
後段の演算回路では、磁電変換素子25a,25b,45c,25d,25e,25f,25g,45h,25i,25jの出力を加算することで、被測定電流路CBの磁界に応じた成分を累積して有効化し、隣接する電流路CNの磁界に応じた成分をキャンセルする。
【0070】
なお、図7の例において、磁電変換素子25fの感度軸の向きSJを磁電変換素子25aとは逆のX2方向とし、磁電変換素子25jの感度軸の向きSJを磁電変換素子25eとは逆のX1方向とし、磁電変換素子25g,45h,25iの感度軸の向きSJを磁電変換素子25b,45c,25dと同じY1方向としてもよい。
この場合は、後段の演算回路では、磁電変換素子25a,25b,45c,25d,25eの出力から、磁電変換素子25f,25g,45h,25i,25jの出力を減算することで、被測定電流路CBの磁界に応じた成分を累積して有効化し、隣接する電流路CNの磁界に応じた成分をキャンセルする。
【0071】
電流センサ401において、被測定電流路CBの真横に近い磁電変換素子45c,45hは、磁界の向きと感磁方向が最も近いため感度が高い。
電流センサ401によれば、磁電変換素子45c,45hを長方形Lの外側に配設することで、最も感度の高い磁電変換素子の感度を小さくして、広いダイナミックレンジで高精度に検出ができる。また、磁電変換素子の配置エリアの幅の広がりを小さくすることができる。
【0072】
また、電流センサ401によれば、磁電変換素子45c,45hを長方形Lの外側の長辺L1x,L2xに近接させ配設することで小型化できる。
また、電流センサ401によれば、第1実施形態の電流センサ101と同様の効果も得ることができる。
図8は、本実施形態の電流センサ401と、10個の磁電変換素子を仮想の楕円上に配置した比較例(楕円)とについて、被測定電流路CBと近隣電流路CNとの距離(mm)と、検出値への近隣電流路CNの影響度(%)とを比較するための図である。図8Aは電流センサ401と上記比較例(楕円)との磁電変換素子の配置を示し、横軸がX方向の位置を示し、縦軸がY方向の位置を示している。また、図8Bは、横軸が被測定電流路CBと近隣電流路CNとの距離(mm)を示し、縦軸が検出値への近隣電流路CNの影響度(%)とを示している。
図8に示すように、電流センサ401によれば、上記比較例(楕円)に比べて、近隣電流路CNの影響度(%)を小さくでき、高い測定精度を得ることができる。
【0073】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
上述した実施形態において、磁電変換素子の数は、10個以上であれば、特に限定されない。
【0074】
また、磁電変換素子間の距離についても特に限定されない。
また、上述した実施形態では、同一特性の磁電変換素子を用いる場合を例示したが、後段の演算回路において被測定電流路CBの磁界に応じた成分を累積して有効化し、隣接する電流路CNの磁界に応じた成分をキャンセルすることが可能な範囲において、2個以上の特性の磁電変換素子を用いてもよい。
【0075】
また、上述した実施形態では、磁電変換素子としてGMR素子を好適に用いたが、磁気の方向を検知できる磁気検出素子であれば良く、MR(Magneto Resistive)素子、AMR(Anisotropic Magneto Resistive)素子、TMR(Tunnel Magneto Resistive)素子、ホール素子等であっても良い。但し、ホール素子等の場合は、GMR素子やMR素子の感度軸と異なるので、使用するホール素子の感度軸に合わせて、実装に工夫が必要である。
【符号の説明】
【0076】
101,201,301,401…電流センサ、11…筐体、13…コネクタ、15,15a〜15l,25a〜25j,35c,35d,35i,35j,45c,45h…磁電変換素子、16…配線基板、L…長方形、IL1,IL1x…第1の仮想線、IL2,IL2x…第1の仮想線、L1,L1x,L2,L2x…長辺、L3,L3x…短辺、31…ケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8